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  • 【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2024年3月

    三月大歌舞伎歌舞伎座-----・寺子屋、従来よりも機微がくっきりしてた印象。よその子をそう扱うことの罪深さとか。現代の感性に少し寄せたのかな。・御浜御殿のお座敷の広大な空間を介した綱豊卿と助右衛門の緊迫、後を申せの一括にシビれる。丁寧。・昼夜通して梅枝さん新悟さん活躍ホクホク。梅枝さんの舞踊所作の加減速が快でスキ。・伊勢音頭ってどうしてそこでダマされちゃうのってハラハライライラの物語に、素敵役者を多数投入して華やかし笑いありからうわぁな屈辱から鮮烈な殺しの場に持ち込んでて、改めてすごいなと。たしか梅玉さんの襲名で歌右衛門さんの万野を観た。まだ歌舞伎見始めた頃。年ふった私は今回、魁春さんのすばらしい万野を観て、万野は貢にねじれた恋情(のようなもの)を持っているのかもしれないと思ったりした。決して手に入れるこ...【歌舞伎】歌舞伎座三月大歌舞伎2024年3月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 猿若祭二月大歌舞伎 2024年2月

    ◆昼の部・籠釣瓶に継承と新時代をみる。次郎左衛門の重層的な反転。八ツ橋の愛らしい浅はか。+御馳走すぎる脇。がんばれ七さん。・鶴松さんの野崎村・お光。道理じゃ。泣。一、新版歌祭文二、釣女三、籠釣瓶花街酔醒◆夜の部・すし屋はこのフォーメーションが定番ユニットの1つになるのかもしらん。・おおっと、やるなぁ…(長三郎さんの仔獅子を観)。親子獅子も僧侶も長唄・囃子方も瑞々しく満ち。・福助さんのお姿嬉しいです。一、猿若江戸の初櫓二、義経千本桜すし屋三、連獅子(2024.2.9、2024.2.11)【歌舞伎】歌舞伎座猿若祭二月大歌舞伎2024年2月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 2024年1月

    1月は感想書くのを忘れていました。初春らしい演目ほんわか+渋め近代歌舞伎でじっくり味わう心理表現+次世代道成寺----------◆昼の部一、當辰歳歌舞伎賑五人三番叟英獅子二、荒川十太夫三、狐狸狐狸ばなし◆夜の部一、鶴亀二、寿曽我対面三、息子(むすこ)四、京鹿子娘道成寺(壱太郎さん回)(2024.1.6)【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2024年1月

  • 【歌舞伎】新春浅草歌舞伎 2024年1月

    ◆夜の部お年玉は米吉さんでした!(世情に配慮のご挨拶)出演俳優さんのかなりの方は今回で新春浅草を卒業とのこと。歌舞伎座でも重要な役につく機会の増えたみなさん、さもありなん。重厚な立役もしっくりき始めています。流星の種之助さんの変面みごと。全身から発する"健やか"清々し。巳之助さんの声色の幅に感嘆(義経と岩上)。魚屋宗五郎、そう遠くない未来、今回に近い顔ぶれで、木挽町で再見するのでしょう。(2024.1.3)書くの忘れてた。紋付で歩む姿を捉えたポスター、みなさんよいお顔で惚れ惚れです。【歌舞伎】新春浅草歌舞伎2024年1月

  • 【映画】PERFECT DAYS

    東京のなかにある景色、平山の暮らしの光景、の切り取り方・つくりかたとか、役所広司さん演じる平山の表情のありようとか、ちいさなエピソードの積み方とか。時を経るということと、みずみずしさと。ことし年明け最初の日に目に心に入れるのに、最良のものでした。-----公式サイト:https://perfectdays-movie.jp/(2024.1.1)【映画】PERFECTDAYS

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十二月大歌舞伎 2023年12月

    歌舞伎座新開場十周年十二月大歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部一、旅噂岡崎猫二、今昔饗宴千本桜超歌舞伎PoweredbyNTT・客層(というかそのファッション)が新しい雰囲気に満ちてる第一部、「旅噂岡崎猫」外連味大盛・猫いろいろ、巳之助さんの所作(老身/怪異)さすが+着ぐるみ猫見た目ファンキーなのに身体能力すごくて格好いい。・「今昔饗宴千本桜」、超歌舞伎は現物初めて。新しい”楽しい”。ライブ。超歌舞伎初心者をも包括する導入から場内巻き込みまで観客に遂には一歩を踏み出させるインタラクティブ(初めて屋号発声しましたよ)、3DCGの表現に舌を巻きつつ、生身の演者さんがうまく(CGを分断させない工夫を気づかせないくらい)呼応しつつ歌舞伎としての見せ場くっきり、立ち回りも大道具も鳴り物も工夫盛り盛りで隅々までみっちり...【歌舞伎】歌舞伎座十二月大歌舞伎2023年12月

  • 【歌舞伎】新橋演舞場 流白浪燦星 2023年12月

    流白浪燦星新橋演舞場-----観てる最中はシンプルに楽しんでいたので、以下は観劇後に思い返した振り返りです。・「ルパン三世」は広い世代に共有されている符牒を多く持つ活劇なのだとあらためて気づくとともに、それゆえ荒事歌舞伎表現と相性がよいのだと感心(でもワルサーP38とカーチェイスは割り切ったんだな。。)。随所に入る立ち回りは速い・鋭い。クライマックスに本水。・物語に重層さ・謎解きありつつ、主要5人のコミュニケーション表現が本質というところは世話物歌舞伎表現と相性よく、ルパン次元五右衛門の会話が「いい」のもみどころ。・今回もっとも、笑三郎さんの次元が、事前に想像できなかったのですが、実にしっくりでびっくり。声色。声優できそう。(2023.12.9)・唐句麗屋の不二子ちゃんへのおいたには、回避か反撃の演出に持...【歌舞伎】新橋演舞場流白浪燦星2023年12月

  • 【展覧会】棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ

    さまざまを吸収し錬成して手先からかたちに映しているようであり、それが思考を超えていて生きることそのものであったようだ。芸術家、であるのだろうが、手仕事のひと、の側面に、より惹かれる。-----生誕120年棟方志功展メイキング・オブ・ムナカタ2023年10月6日~12月3日東京国立近代美術館https://www.momat.go.jp/exhibitions/553https://www.munakata-shiko2023.jp/(2023.11.25)【展覧会】棟方志功展メイキング・オブ・ムナカタ

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎 2023年11月

    歌舞伎座新開場十周年吉例顔見世大歌舞伎歌舞伎座-----・マハーバーラタ、2017より高練度、全体的にすばらしく再見したいていうかVで繰り返し見たい。芝のぶさん大活躍。立ち回りは1.5倍速か2倍速。舞台写真パノラマで背景画全体を入れたのがほしい。・松浦の殿様のお可愛らしいこと。みえないところに胆力を感じ。・鎌倉三代記、高密度。長丁場も緊張途切れず。夜の部は春調娘七種までみっちり。しっぽまで餡の詰まったたい焼きな11月。◆昼の部極付印度伝マハーバーラタ戦記◆夜の部一、秀山十種の内松浦の太鼓二、鎌倉三代記絹川村閑居の場三、顔見世季花姿繪春調娘七種三社祭教草吉原雀(2023.11.11)ナウシカを経て今回のマハーバーラタで、歌舞伎の枠組みに新しい物語(と異文化情緒)を組み入れる方法論が確立されつつあるのではない...【歌舞伎】歌舞伎座吉例顔見世大歌舞伎2023年11月

  • 【映画】ザ・クリエイター/創造者

    AIを殲滅しようとするUS軍、AIと共存しているアジア圏という構造で。子供のなりをしたそれは自己成長型で、影響範囲無限大に至る勢い。絵はよくできてて、アナログ&レトロで鄙な光景と、SF的未来都市や兵器の造形。SFのスタイルで描かれたおとぎばなし。国家の自己中心性に立った暴力の行使への批判。理不尽でためらいがなく無差別な暴力が、生活を破壊する様を何度も何度も見せつけている。AI(機械+知能)を題材にしているけれど、人工のレベルが超ド級なのでほぼ神、このあとこの子はどうなるのであろうと見終わって考えずにはいられない。-----公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/thecreator(2023.11.8)【映画】ザ・クリエイター/創造者

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 錦秋十月大歌舞伎 2023年10月

    歌舞伎座新開場十周年錦秋十月大歌舞伎-----・天竺徳兵衛は転換山盛り、予習推奨ですね。蝦蟇なかみホンモノだった!!・新悟さん活躍。巳之助さん、桂之介みたいな役もよいですね。・文七元結、ひとりの人に複数の側面の同居が自然(獅童さんとしのぶさん)。◆昼の部一、天竺徳兵衛韓噺二、文七元結物語文七:大道具モダン。物語が鮮明に立ってるぶん歌舞伎っぽいご都合な転向は多少浮き感出るなぁ。別日で夜のチケット取ってたのですが、発熱で観れず。残念。(2023.10.20)【歌舞伎】歌舞伎座錦秋十月大歌舞伎2023年10月

  • 【映画】ジョン・ウィック コンセクエンス

    キアヌ・リーブスによるジョン・ウィックのシリーズ第4作です。導入部で前3作のあらすじをさっと流して、つまりは、戦闘が必要な状態に至っているところからスタートですから、もう最初っから撃って打って蹴って切って刺してぶん投げて、が、ほんとうにみごとに途切れのない流れで繰り出されていきます。前作の感想でも繰り返し書いてるのですが「すごすぎて笑う」。インターナショナルに転戦する本作では、各国の景色の中でのバトルやカーチェイス、ロケハンすげー!!(あるいはそっくりにしつらえたセットか?CGか?それもならそれですげー)と、折々に差し挟まれる天井が高い建物がうみだす、神とか人智超えの意思の思わせぶりと、主役級の俳優陣の、素人目にもものすごく高度高価で、せくすぃな身体を際立てるスーツとかみどころが絶え間なし。ラウンドアバウ...【映画】ジョン・ウィックコンセクエンス

  • 【展覧会】超絶技巧、未来へ!

    どれだけ微細な感覚の指を、身体を、眼を、もってこれらをなしているのだろう。美の感覚と技と両方なくては成立しえない。それと、執念にもにた拘りだろうか。明治の超絶技巧に目をみはったのは、2014年のこと。当時のブログに「時を経て、触れずに距離を置いて鑑賞するもの、に変わって行った様子も何となく察せられて、私たちは美術館の展示品としてしか観ることができないのも、少々さびしいことだな、などと過ぎし時代をうらやましく思ったりした。」などと書いていました。現代の超絶技巧も手に取るものではないですが、明治の遺産(今回は後半に展示あり)を見たのとはまた別の感慨も持ちました。それは、私がさいきん、クラフト(主に編・刺・ガラス)に興味と愛情を持っているからかも。出展作は超絶技巧で、表現テーマに抽象的概念が置かれ、工芸(クラフ...【展覧会】超絶技巧、未来へ!

  • 【展覧会】蔡國強、ホックニー、横尾龍彦

    新美の蔡國強展、現美のデイヴィッド・ホックニー展の感想を書きあぐねて(特にデイヴィッド・ホックニー展は気持ちが満たされすぎ、あふれてなにも書けない感じで)、そのまま埼玉県立近代美術館の横尾龍彦展に行って、ワタシ的には全部つながった感じなので、1記事で書きます。横尾龍彦展は、鎌田東二氏の水沢勉氏との特別対談も目当て(大人気焦った。追加席でぎりぎり入。岩笛・横笛・法螺貝実演、貴重)でした。対談でくしくも、蔡國強氏との交流の話が出てきたり、横尾龍彦氏の見え方への意識の向け方に、思わぬホックニーとの共通要素を見出したり。横尾龍彦氏のことは実はよく知らなかったのです。わたしはザオ・ウーキーがとても好きで(19世紀末ウィーンも好きですよ)、だから横尾作品は、観てみればとても好きな部類の表現で、知ることができてよかった...【展覧会】蔡國強、ホックニー、横尾龍彦

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎 2023年9月

    秀山祭九月二世中村吉右衛門三回忌追善歌舞伎座-----今月は少し長く書いてしまいます。--二世吉右衛門追善というタイトルを帯びてから、「秀山祭」は別格のものになった。私の観劇ライフの大部分を二世が占めていたから、だろうか。(初代吉右衛門の現役活躍時代を私は知らない)。かつての九月は、私には、滋味の時間だった。昨年は初めての二世追善ゆえかと思ったのだけれど、今年もまた格別だった。九月秀山祭は、変容したと思う。成熟も若さもそれぞれのが満ち満ちた。あの雰囲気は、うまく言えないのだけれど、一番近いイメージは、ソーシャルグラフかなぁ。真ん中に二世、役者さんたちをおだやかにつないで、上から色をかぶせることなく、それぞれが在るけれどバラバラではない。間をつなぐネットワークを流れるものは何だろう。愛?(照)。2階のポスタ...【歌舞伎】歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎2023年9月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 八月納涼歌舞伎 2023年8月

    歌舞伎座新開場十周年八月納涼歌舞伎歌舞伎座-----・納涼、かつての中堅チャレンジ元気枠から演者がベテランに移行して新しい若手もいっぱい入ってて感慨深い。・第一部は全般、愛らしいの盛り盛りだった(次郎長外伝もね)。酒呑童子後半はダイナミック。・新門辰五郎の終幕場面、こころに来る。◆第一部一、裸道中博徒緒川の勝五郎二、大江山酒呑童子◆第二部一、新門辰五郎二、団子売◆第三部新・水滸伝(2023.8.62023.8.9)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#投稿忘れてた(9月に投稿)。【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎2023年8月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 七月大歌舞伎 2023年7月

    歌舞伎座新開場十周年七月大歌舞伎歌舞伎座-----・「菊宴月白浪」仮名手本の刷り込みから善悪変換、起承転転転転転転転転転結、的な展開(たまにお茶目)、脳内なかなかハードでした。演じるほうもすごい集中力要りそう。中車さん宙乗り往復も入れて全編張る。・今月は児太郎さんが印象深い。神霊矢口渡と法楽舞。・め組の喧嘩の、喧嘩みどころ。-----◆昼の部通し狂言菊宴月白浪忠臣蔵後日譚◆夜の部一、神霊矢口渡二、神明恵和合取組三、鎌倉八幡宮静の法楽舞(2023.7.8)#2023年の歌舞伎座観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。【歌舞伎】歌舞伎座七月大歌舞伎2023年7月

  • 【歌舞伎】新橋演舞場 刀剣乱舞 2023年7月

    新作歌舞伎刀剣乱舞新橋演舞場-----松也さんの三日月宗近はじめ、六振りの刀剣男子の大活躍、はちきれんばかり。歌舞伎役者の身体と、とても相性のよい演目だなぁと。松也さんがソロでバーンと見得を切るシーンとか、決まる決まる。かわいい、かっこいい、きれい、たのしい。↑本作は”かわいい”要素が多く入ってるのが特徴的だと思う。役者さんの表情にもあるし、衣装や道具のはしばしに。刀剣側だけでなく敵方もふくめ。そして、立ち回りが、すごく、すごく、いい!序盤のワイヤーでの客席にはみだす3D的な跳躍に度肝をぬかれ、終盤の階段での圧倒的な演出・演技に息をのみ。劇中、客席通路も大胆に使って、カーテンコールはインタラクティブにファンサ。さいご写真OKって、どんだけ太っ腹。(撮ったのですがこのサイト写真入れられないのです、すいません...【歌舞伎】新橋演舞場刀剣乱舞2023年7月

  • 【映画】リバー、流れないでよ

    もとは舞台劇なの?と思うほど不条理がコンパクトにまとまっていて、雪景色のいったりきたりと水流の画像に知覚を乱されつつときどきくすくす笑ったりツッコミ入れたりしながらなりゆきをみまもる。座席でじっとみているのに、身体疲労感を得てしまい(階段が…)、人間の脳のミラーリング能力すごい、と妙な感慨も持ったのだった。作家と猟友会?の体験がインパクトあるよな。-----公式サイト:https://www.europe-kikaku.com/river/神社と旅館のしつらえがすてきで、舞台効果満点。ほわほわした設定のものがたりの足元をしっかりさせている。(2023.7.1)【映画】リバー、流れないでよ

  • 【展覧会】ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開

    圧巻でした。量・質。19世紀末の抽象絵画の始まりから、大戦を経て20世紀後半に至る展開を、ヨーロッパからアメリカへ、あるいは日本/日本人画家への波及も切り口として各時代の特徴を見せる作品の総覧。各コーナーの解説文が、たっぷりかつ簡潔に学べる構成になっていて、追って読んでいくにつれ、知識が整理され補充されていくことに充実を感じつつ、一方で一点一点がそれぞれに強力な輝きを発する作品が、しかも大判多数で、3フロアにわたってずらりと並び、視覚もまんぞくまんぞく。ゆっくりじっくり観たら2時間では足りない。抽象画なら何でも心動くわけではないけれど、この展示では眼福たっぷり。そしてやっぱり、ザオ・ウーキーが一番好き。図録、購入しました。こちらも圧巻(厚さも)。観覧中の解説文を再読したく。抽象絵画のゆたかな教科書としてお...【展覧会】ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 六月大歌舞伎 2023年6月

    六月大歌舞伎歌舞伎座-----・ども又、なぜこれが繰り返し上演されるのか、どこが難所なのかが、あらためて思われた今月。・いがみの権太、思えば変転多く説得力持たせにくい難しい役…そんな余分な思考など差し挟む隙もなく食い入るように観させられた。最期はうすく微笑むのだなぁ。・歌六さんと東蔵さん、幅広く演じていつもどこか一角を占めておられる、代え難い、大事。大好きです。・扇獅子、楽しむのと応援と。ほかの演目も若い役者さんが多く活躍し始めている。追記:ここさいきん新悟ちゃん(愛をこめてちゃんづけ)から目が離せない。追記:児雷也、蝦蟇。のっそり。びったんびったん。ぱっかーん(口)。ブキかわいい。かわいぃぃぃ←萌えている-----◆昼の部一、傾城反魂香土佐将監閑居の場浮世又平住家の場二、児雷也三、扇獅子◆夜の部義経千本...【歌舞伎】歌舞伎座六月大歌舞伎2023年6月

  • 【映画】怪物

    観客が暗に脳内に構成する”設定”は、やわらかくけれどきっぱりと、反転させられる。2度。印象的な出来事、景色、天候、衣服の色、ことば、小さな物たちは、”あのとき”を特定する符牒として緻密に配置されている。ああ、なるほど、と思いながらも、ちくちくと硝子の破片の触れたように胸が痛むのは、登場する誰かに対する批判的な心情を持った罪悪感、ではなく、透明感にあふれる”彼ら”の、青葉のような感性が直面しあるいは直面するであろう理不尽の予感からだろうか。解釈をどう述べようとしても、言葉にしたら陳腐になりそうで書けない。うけとって、かかえて、苦みや痛みやねがいなど、小さな種々の情動が、わらわらと手の内に在るのを、ジャッジせずにあるがまま持っていられるかを試されている気がした。-----公式サイト:https://gaga....【映画】怪物

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 2023年5月

    團菊祭五月大歌舞伎歌舞伎座-----・髪結新三、スキッと切れよくとてもよかった。特に終盤三人の場面。・眞秀さん初舞台。堂々。声よく、足腰強そう、腰高い割にぶれないすごい。足の親指とひとさし指が開いてた。・若き日の信長、達陀など、いくつもの大人数で演じられる場面が印象的。眞秀さんご本人にも目を瞠りましたが、手仕事作品が大好きな私は祝幕にも目を奪われ、3階席からの全景では我慢できず、1階の幕の真下から至近でしげしげと拝見してしまいました。明るく愛らしい。モンテックス謹製。-----◆昼の部一、寿曽我対面二、若き日の信長三、音菊眞秀若武者岩見重太郎狒々退治初代尾上眞秀初舞台◆夜の部一、宮島のだんまり二、春をよぶ二月堂お水取り達陀三、梅雨小袖昔八丈髪結新三(2023.5.6)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残...【歌舞伎】歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎2023年5月

  • 【映画】帰れない山

    彼らの、この痛みを感じるほどに強いつながりは、何であろうか。自分のしたいこと・居場所を自覚してひたすらそうあろうとする片割れにおのれを照らして自らに問いをなげつづける片割れ。「俺は好きなことをする」(ブルーノ)かれらの人生のできごとは、自然の光や冬の怖さ厳しさとも重なってみえ、分かりやすく完結するドラマパッケージと一線を画す厚みがある。観る者は、清涼も渋みもふくめてなんども噛み締めざるをえないだろう。-----公式サイト:http://www.cetera.co.jp/theeightmountains/(2023.5.5)【映画】帰れない山

  • 【展覧会】マティス展 と ルオー展

    マティス展とルオー展、中1日で観覧。ほぼ同時代を生きて、同じ師匠(モロー)の下で学んだふたり。マティス1869–1954、ルオー1871-1958。今回は、どちらの展示でもあまり交友は語られていませんが、戦中にそれぞれが作品を寄せた「ヴェルヴ第8号」はどちらの会場にも展示があります。マティスは、神経に、さわ、と触れる感じ。ルオーは、皮膚の触感を想起させる感じ。観覧後に改めて、それぞれが同時代に何を描いていたかを並べると興味深い。マティスがフォーヴィスムに至るころ、ルオーの描く人物像は精神性を強め。制作活動に戦争の影響を受けながらも、表現を模索し。晩年、切り紙絵と装飾的コンポジション。かたちとマチエール。そうしてどちらも、わたしにとっては、こんなふうに描けたらここちがよいだろうなと思う表現なのである。---...【展覧会】マティス展とルオー展

  • 【映画】サイド バイ サイド 隣にいる人

    テンポといい展開といい、安易な予想の線上にはない。台詞の間合いが割と長いのだけれど、そういえば誠実に言葉を口にしようとしたらこういう感じになるよな、と思う。ものがたりに、激しい変動があるわけではないのだけれど、よくよくみればあんがい、とくべつなことがおきているようだ。ひととひとのかかわりからそれは生じていて、やわらかく、優しく、そうして不可逆で少し切ない。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/sidebyside/(2023.4.15)【映画】サイドバイサイド隣にいる人

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 鳳凰祭四月大歌舞伎 2023年4月

    歌舞伎座新開場十周年記念鳳凰祭四月大歌舞伎歌舞伎座-----柿葺落から10年。会社を休んで手打式に行った思い出。当時ティーンの役者さんがいまは主役級をつとめている。・新・陰陽師、猿之助一座はいつも隅々まで猿之助さんの気(テンション)が満ち。工夫色々、言葉遊び・名台詞ぶっこみ、美麗と血糊、立ち回りそれぞれエッジ効いてて。百足。・ニザ玉でお富与三郎、瑞々しさがすごい。仁左衛門さんと距離1mで興奮の1階17列。・松緑さんちの連獅子、清冽さ迸る所作。キレと品。ブレない。左近さんたいへんによく。-----◆昼の部新・陰陽師滝夜叉姫◆夜の部一、与話情浮名横櫛木更津海岸見染の場赤間別荘の場源氏店の場二、連獅子(2023.4.8)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#今月は少しはみ...【歌舞伎】歌舞伎座鳳凰祭四月大歌舞伎2023年4月

  • 【映画】シン・仮面ライダー

    感想まとめにくい作品なので、箇条書きにします。・バイク走行、空中戦、真剣、戦闘みどころ多い。・サイエンスっぽいリクツが、イマドキなサイバー要素入れて、よく練られてる。空中元素固定装置+ヨガ(の呼吸、プラーナ)、トランスヒューマニズム…・(TV放送見てた世代として)TVプログラムにおけるフレーミングはそうかこういう感じだったとニヤつく。-どうやって侵入したかは端折っていいし「どうやって入った」とは問わない-屋外の広い場所に移動して戦闘-そこがどこかというリクツは不要-山を背景にした平地、コンビナート、操車場、、・悪役のおまぬけ要素(キュートの素)にもニヤつく。・文字通り破壊的な身体能力を表現するためとはいえチノリガー。・キャスティングがリッチ。演技派ならぶ。排他性質キャラ並ぶが全体はウェット。・森山未來さん...【映画】シン・仮面ライダー

  • 【映画】Winny

    リアルの成り行きをうっすら知っているから、観たら苦いだろうなと思ったけれど、観ておかなければいけない気がした。当事者の方と世代が近いし、IT業界にいるので、この事件は外形的には知っていた。当時の私は、今よりも”人”を重く扱えていなかったし、つくったモノの機能に関する争いとして見ていたと思う。人の創造性、ひいては人生が賭された場面であると気づけなかった。見過ごしを直視する。エンドロールでのご本人の映像と、作中の東出さんの見せる人物像の重なりがおおきいことも影響している。ああ、こういう技術者のひと、いる。いるよ。純で、尊敬できて。悲しいね。Winnyに関する裁判に、もう1つ別の告発、ものがたりは、2つが平行で語られる。なぜこの語り口にしたのかな。批判でなく素朴に、意図に興味。-----公式サイト:http:/...【映画】Winny

  • 【映画】美しい彼~special edit version~

    これたしかTVコンテンツですよね?とても繊細につくりあげられている。景色も、人と人も、どこを切り取っても、きらきらときれい。人物と人物の物理的な距離とか、髪ひとすじ、折々のシーンの微細な表情、首の角度、まばたきひとつ、ゆびさきひとつ。彼の志向はちょっとしたら粘着性に見えるほんの手前のところで若くて繊細な感情として画面に現れる。原作がそうなのか、脚本・演出・演技の功なのか。両方か。-----公式サイト:https://www.culture-pub.jp/news/239/#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)【映画】美しい彼~specialeditversion~

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2023年3月

    歌舞伎座新開場十周年三月大歌舞伎歌舞伎座-----・「花の御所始末」幸四郎さんの義教、えもいわれぬ味。絶対的徹底的な悪。ほんの僅か滲む弱さ。・第二部第三部続け観、鴈治郎さん大活躍。それぞれぜんぜん違う。さすがの幅。・「廓文章」玉三郎さんの可愛らしさ眼福この上なく。愛之助さん線の細さ出てスケールアップ、最近見るの楽しみ。-----◆第一部花の御所始末◆第二部一、仮名手本忠臣蔵十段目二、新古演劇十種の内身替座禅◆第三部一、髑髏尼二、夕霧伊左衛門廓文章(2023.3.5、2023.3.11)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)【歌舞伎】歌舞伎座三月大歌舞伎2023年3月

  • 【映画】エゴイスト

    見る前、恋愛の、話なのだろうと思っていた。ちょっとドロドロしてたりするのかしら、とか。恋愛の話だった。だけどむしろ、"一緒に生きていく"ことの喜びと重さとか。社会での立ち位置の異なるふたりが最大限近くに在りつづけようとする姿が描かれていたようにも思うし、終盤には"縁"て何だろとも思った。(後半~終盤は別の角度から心に来るところがあったけれど、下手に書くと、ネタバレになってしまうので、以下自粛)。龍太(宮沢氷魚さん)の白い肌に朱が差すさまをともなう微笑みが、うたがいようもない純性を表していて、浩輔(鈴木亮平さん)の思いやりと恣意っぽさ、企業社会の人らしい、無自覚に持っている行動形式の枷みたいなものを行き来する様は、観終わって振り返れば、さすがの感がある。-----公式サイト:https://egoist-m...【映画】エゴイスト

  • 【映画】仕掛人・藤枝梅安

    皮膚が。面の皮が。それだけでここまで物語るのだ。一種の驚きというか。崇高なものを感じさせる何かというか。行燈の薄暗い室内にあって、映画館の大画面のアップショットがとらえる男性俳優陣の貌は、皺、しみ、たるみをあらわし陰影を備える。高解像度化に伴って、つるつるとしみもなく毛穴もみえないキレイな面皮をスタンダードとしつつある昨今のあれこれとは一線を画す彼らの相貌は、たいへんに、とてつもなく、味わい深く、存外に醜さを感じることがなく、ここまで徹底しているということはメイクなのか、とも思いつつ。当然に俳優それぞれ異なる個性・唯一無二であること、その人生の時間の降り積もった結果としての身体であることを示し、梅安(豊川悦司さん)、彦次郎(片岡愛之助さん)、蔓役その他の関係人物の背景の厚みに重ねられている。そこにたぶんわ...【映画】仕掛人・藤枝梅安

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 二月大歌舞伎 2023年2月

    歌舞伎座新開場十周年二月大歌舞伎歌舞伎座-----第二部一、女車引二、船弁慶第三部通し狂言霊験亀山鉾-----・「女車引」私の好きなお三方、魁春さん雀右衛門さん七之助さんが、お三方だけの舞台。よきよき。・「船弁慶」鷹之資による、静御前、平知盛。長丁場を持ち切る。力量。・「霊験亀山鉾」初見にて仁左衛門さん一世一代。素人目にもたいへんに高難度な演目なのだろうと。繰り出す見せ場の連打連打。走り抜けた。30年超の観劇人生で最も舞台に近い席で、まばたき惜しんで拝見。(2023.2.4)【歌舞伎】歌舞伎座二月大歌舞伎2023年2月

  • 【歌舞伎】浅草公会堂 新春浅草歌舞伎 2023年1月

    新春浅草歌舞伎浅草公会堂-----第一部一、双蝶々曲輪日記引窓二、男女道成寺-----・引窓、フレッシュ、ゆえに、リアリティ。・巳之助さんの狂言師に見惚れ。新悟さんの花子に応援の拍手。・出語りの宏太郎さんのお三味線みれてうれしい。(2023.1.15)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】浅草公会堂新春浅草歌舞伎2023年1月

  • 【展覧会】江戸絵画の華 <第1部>

    離れておおきくみてよし、近づいて細部みてよし。「松竹梅群鳥図」松竹梅、に、八十八の鳥がお出迎え。谷鵬「虎図」の毛並みに唸り。水上景邨「牡丹に唐獅子図屏風」に口元ゆるみつつ畏敬も感じる不思議。若冲「鳥獣花木図屏風」、とても近くでゆっくりと見れた。多少見知っていたはずだったけれど、発見も多かった。これからも、みてもみても、発見は尽きないに違いない。何故こんなに穏やかなのだろう、微笑み感ある、無垢の動物たち。鶴、ほか、墨でのしごと、筆づかいの妙、かたちの妙。この方は生涯にどれくらいたくさん描いたのだろうと思う。屏風の名品、肉筆浮世絵、みどころ尽きず。ブライスコレクションから出光美術館コレクションへ。持っていらした側、受け継いだ側、それぞれに大きな感謝と敬意を。-----江戸絵画の華<第1部>若冲と江戸絵画出光美...【展覧会】江戸絵画の華<第1部>

  • 【展覧会】京都・智積院の名宝

    いずれも眼福ながら。感じ入ってしまった「楓図」。風の気配、ざざという葉擦れがきこえ、少しひんやりした気温を感じる。立ち止まり熟視し、戻って観、座って観、その前を立ち去りがたく。ほか「桜図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵図」「雪松図」が並ぶ空間にはいつまでも身を置いていたかった。経文もすばらしくて、「金剛経」の清廉に胸うたれ。「阿字観」もよかった。「刺繍法華経」にも違う感性でフラグ立った(クラフト)。興味津々。-----京都・智積院の名宝サントリー美術館2022年11月30日~2023年1月22日https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2022_5/index.html(2023.1.7)【展覧会】京都・智積院の名宝

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----第一部一、卯春歌舞伎草紙二、弁天娘女男白浪第三部花街模様薊色縫十六夜清心-----・卯春歌舞伎草紙観客の目にお年玉。・弁天娘女男白浪この配役おもいのほかいい。・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。(2023.1.3)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2023年1月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----第一部一、卯春歌舞伎草紙二、弁天娘女男白浪第三部花街模様薊色縫十六夜清心-----・卯春歌舞伎草紙観客の目にお年玉。・弁天娘女男白浪この配役おもいのほかいい。・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。(2023.1.3)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2023年1月

  • 【映画】THE FIRST SLAM DUNK

    すごい。すごいすごいすごい。山王戦をじっくりと。井上雄彦さんの絵の力を再認識する。漫画画面のあの雰囲気、迫力、重量と質量、美しさ、を滅することなくさらにアニメーションでしかできない表現が重ねられた劇場の大画面に圧倒された。「FIRST」は、当初のプロットがリョータを主軸にあてていたということなのだろうか。どこか、プレスか何かにFIRSTの由来が語られているのかな。水彩のような肌の着色、貌の影のつきかた、リアリティの濃い身体動作表現、30年を経た今の技術で可能になった表現でもあるのだろう。エンドロールのスタッフの人数構成もそういう印象。-----公式サイト:https://slamdunk-movie.jp/連載オンタイムから30年経過して観る方も歳とって涙もろくなってきてるのか、「ここで泣くのかお前」(対...【映画】THEFIRSTSLAMDUNK

  • 【映画】ルイス・ウェイン

    「ルイス・ウェイン生涯愛した妻とネコ」。カンバーバッチが主演の時点で察するべきだったのかもしれないが、あんがいほろ苦いやつだった。-----公式サイト:https://louis-wain.jp/(2022.12.1)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。【映画】ルイス・ウェイン

  • 【映画】グリーン・ナイト

    「ダークファンタジー」よりも「寓話」の表現のほうがしっくりくる。ロケハンとCGとセットがなめらかに融合して、かつてのイングランドの陰影が特徴的で美しい景色を表現し、衣装と道具には再現と創造のすばらしい統合がみられる。予定調和でないなりゆきに、最初、少し戸惑ったのだけれど、観終わったら、なぜかわからないけれど、とても豊かな感じ。深くて厳しくて優しい"智慧"のにおいがする。-----公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/greenknight/(2022.11.30)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。【映画】グリーン・ナイト

  • 【映画】ある男

    やりなおしたいとかそういうことじゃないのだ。選びえない人生の構成要素。その選択によって得られたもの。むなしさもまた。選択の作用は図りえない、予想できない、そして誰も評価することはできないのだろう。-----公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/a-man/(2022.11.20)【映画】ある男

  • 【映画】土を喰らう十二ヵ月

    四季の地物を味わう光景がつづられているであろうということ以外あまり想定せずに見に行った。思いのほか人間ドラマだった。自然とのことのほかに、老いとか終のなにかとか。古民家の庭先に折々の野菜や実もの、暖房や給湯器がなさそうな、竈のある台所に素朴ながら上質そうな器たち。味噌、漬物、干柿、胡麻の実、雪の下の青菜、大根、山にはきのこ。手を使う日々のたべものは、丁寧を重ねてできあがって食べるのは一瞬。真知子は思い切りがよくて、惜しまないツトムの表情は愛情か。シビアな成り行きにはリアルな苦み、丁寧に描かれる田園のくらしはむしろ寓話性。滋味。-----公式サイト:http://tsuchiwokurau12.jp/(2022.11.16)【映画】土を喰らう十二ヵ月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十一月吉例顔見世大歌舞伎 2022年11月

    十三代目市川團十郎白猿襲名披露十一月吉例顔見世大歌舞伎歌舞伎座-----何はともあれ。十三代目市川團十郎白猿襲名、新之助さん初舞台、おめでとうございます。夜の部、口上を挟んで歌舞伎十八番の2本立て。矢の根と助六由縁江戸桜。矢ノ根の幸四郎さんの五郎はやんちゃな愛嬌に頬ほころぶ。馬かわいい。口上、国宝級で占める渋さ。助六由縁江戸桜、成田屋を観た!感たっぷり。目の保養度も抜群。2時間超の長丁場、ゆるめのテンポの演目ながら多彩な演者が入れ替わり立ち代わり舞台を織りなして充実。傘の揺るがなさに目がいったり。(花魁道中でも)。股くぐりのゲストがいずれも愛らしくてすごかった。発声者限定ながら大向こう復活うれしい。黙食でかべすも復活。(2022.11.13)【歌舞伎】歌舞伎座十一月吉例顔見世大歌舞伎2022年11月

  • 【映画】すずめの戸締まり

    結局落涙したわけです。冒険譚とロードムービーのエンタメ要素と、美麗な鄙の景色と都会の人工構造、土地土地のことば。わくわくどきどきさせることのその先に置かれるメッセージと。秀逸なひとの情動の表現は、それがなにから生じているかと関係なく揺さぶりにくるのだという再認識と(だからすごいんだ新海作)。今回はひときわ、私は分析せずにそのまま味わっておきたい。地の天災に関するところの重さとか逃れようのなさとかのモチーフには、いまだ真正面から直面しかねる自分を発見したり。カミサマという概念を思ったり。(人は対象を人のように解釈するけど人じゃないんだから気まぐれ、優しい、怖い、変節が信じがたい、などと感じるとき、無意識に擬人化しているのかもね)。-----公式サイト:https://suzume-tojimari-movi...【映画】すずめの戸締まり

  • 【映画】RRR

    まいど圧倒的な熱量でありえへんアクションすごいのとみごとなダンス。という、つたない表現しか出てこない。だってすごいだもん。-----公式サイト:https://rrr-movie.jp/友情と対立のものがたりの背景には英国による支配の歴史がおかれていて、おとぎ話的におけるほど昔のことでもないので、善悪単純には受け取りがたい。(2022.10.22)【映画】RRR

  • 【映画】マイ・ブロークン・マリコ

    シイノはたぶんおおざっぱなところもある、こころに傷もなくはないけど、懸命に(でも懸命な自分に無自覚?)日々生きている女子で。ダチのマリコとの関係の様子やマリコ自身に起こっていることはものがたりの進行とともに徐々に明らかになる。世代もありようも違うシイノとマリコを離れたところから眺めていた観客(ワタシ)は、あるところに至りシイノの無力感に共振を起こしてしまった。その先のエネルギーのようなのは人の靭さなのか、若さなのか。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/mariko(2022.10.1)【映画】マイ・ブロークン・マリコ

  • 【展覧会】李禹煥

    禅問答みたいな空間とか。瓦か石垣のような床面とか。なんだか楽しかったなぁ。空間に「問い」がふわふわと浮いている。正面から応答できそうなときもあれば、つかみ損ねてあれれとなるときもある、ような。-----李禹煥国立新美術館開館15周年記念国立新美術館2022年8月10日(水)~11月7日https://LeeUFan.exhibit.jp/https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/leeufan/(2022.9.23)【展覧会】李禹煥

  • 【展覧会】ゲルハルト・リヒター展

    ゲルハルト・リヒターは、名前は知ってるけど実はよく知らなかった。実物をたくさん見て、すごいとは思った。でも消化できてないので感想が書けない。塗り重ね、色を重層的に交差させる表現。場の記憶のような視点。-----ゲルハルト・リヒター展https://www.momat.go.jp/am/exhibition/gerhardrichter/https://richter.exhibit.jp/東京国立近代美術館(2022.9.23)【展覧会】ゲルハルト・リヒター展

  • 【展覧会】日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱

    粒選りな。美術館らしい、高い天井の展示スペースを、そぞろ歩いて見ていくのだけれど、なぜか、どちらかのお宅にお邪魔して「ウチで保管しているものなんだけど」と次々と気安く、解説してもらいながら、所蔵品を見せられているようなそんな気配を感じたのはなぜだろう。絵巻の名品展示がいくつもつづいててすごいし、細部にわたって美しく繊細な画、工芸にも目を奪われる。源氏物語画帖(伝土佐光則)の人物。七宝蜻蛉河骨図香炉(川出柴太郎)の取手の細工。挙げたらきりない。若冲の動植綵絵は正面から見れる高さの展示で、つぶさに見れてよかった。書はふだんきれいだなと思う程度なのだが、今回は小野道風の筆の味わいに打たれた。-----特別展「日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱」東京藝術大学大学美術館2022年8月6日~9月25日https:/...【展覧会】日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱

  • 【展覧会】装いの力―異性装の日本史

    観終わって、裡が波立つ。ざわっとする。越境しきれなかった事例(現実やものがたりの成り行き)を見たからか。ココ・シャネルが突破したことや何か、装い以外の場面でおそらくずっと越境は試みられ続けていて、完全客観では見れないところがある。興味深い構成。アート系統では中世の日本の作品(小碓命、とりかへばや、巴御前、阿国、若衆、稚児など)と、20世紀以降の表現と。ベルばら、リボンの騎士、ひばりくん、異性装といっても理由も自己納得も異なるのだ。そうか。読んだ当時は子供だったからよくわかっていなかった。歴史的経緯については、何度かの公権による禁止のことなど。明治期の新聞・雑誌記事の内容が興味深い。禁則破りで逮捕、という記事は却って、遮られたかつてある程度ふつうにあったのかもしれない越境を思わせる。経済その他の事情によって...【展覧会】装いの力―異性装の日本史

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎 2022年9月

    秀山祭九月大歌舞伎二世中村吉右衛門一周忌追善歌舞伎座-----追善興行でここまで故人に思いを遣ったのは初めてかもしれない。吉右衛門さんは、歌舞伎を見始めて2、3回目くらいのときに、石切梶原で大好きになって、同時期に池波正太郎の鬼平犯科帳にも嵌ってドラマの方にも手を伸ばし、以来ゆるゆると追いかけてきた。30年くらいだろうか。私は歌舞伎の蘊蓄派でないし、何年何月のだれだれがどうとの記憶力もさして持たず、不真面目きわまりない観劇者だと自覚していたのに。揚羽蝶繍姿の様々な役を見ていたら、もちろん、俳優さんがそれぞれの声でそれぞれの役を演っているに、私の頭の中では吉右衛門さんの声で台詞が再生されて、ああ気づかぬ間にこんなにも、吉右衛門さんが記憶の中に降り積もっていたのだと、ひとり、じくじくと涙が止まらず。第二部の松...【歌舞伎】歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎2022年9月

  • 【展覧会】ボストン美術館展 芸術×力

    「×力」とは?時の権力との関係性なのであった。日本から渡ったものが多くはあるけれど、11世紀~18世紀の幅で東西様々、重厚な作品を取り上げている。作品を作らせてしまう財力であったり、作品が必要とされる背景、制作の契機であったり、そもそも描かれている姿や光景の贅や規模であったり、権力の影響はいろいろ。そういう環境ではなくなった今の時代。振り返ることが可能なのは、作品が見れる形で残っているから、ということに改めて思い至ったりした。-----ボストン美術館展芸術×力Art&Power:FromPharaohstoDaimyōs.MasterworksfromtheMuseumofFineArts,Boston東京都美術館2022年7月23日~10月2日https://www.tobikan.jp/exhibit...【展覧会】ボストン美術館展芸術×力

  • 【映画】ブレット・トレイン

    おもちゃばこひっくり返したような映画だった。小ネタと伏線の波状攻撃、もももん。歌謡曲。昭和任侠と令和二次元とツイステッド新幹線ともろもろ、たぶん日本マニアな海外の方のほうが私より理解していっぱい笑えたのではないか。皮肉な展開をくすくす笑いながら(酸鼻なところはちょっと顰めながら)達者な役者さんたちががっつり真面目に、とっちらかる伏線をテンポよくかつぎりぎりついていける速度で表現してるのを、街や車窓のしつらえにちょくちょくツッコミを入れながらずっと楽しく見ていた気がする。エンドロールのバックの絵づらがなかなかに味わい。-----公式サイト:https://www.bullettrain-movie.jp/(2022.9.3)【映画】ブレット・トレイン

  • 【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎 2022年8月

    八月納涼歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部一、新選組手塚治虫原作だそう。手塚治虫が新選組を描いていたの知らなかった。多分相当端折って(とセリフで何度か言ってた)いるのだろうけれど、人の関わりの皮肉やめぐる因果のモチーフに、なるほど、と。大道具、襖に背景、人物にも、手塚有名キャラがちょいちょい登場。歌之助と福之助さんの主役ふたりは若々しくかわいく時々とぼけてて手塚というかジャンプ辺りに出てきそう。扇雀さんの坂本龍馬はたたずまいがかっこいい。二、闇梅百物語そうか、今月は納涼歌舞伎でした。人ならぬものたちが続々登場。愛嬌のあるの、美麗なもの(七之助さん…)、平均年齢相当低いぞ。すごい。達者だなぁと。末恐ろしくたのしみ。◆第二部一、安政奇聞佃夜嵐明治以降の作ながら、説明臭くないせいか、割と江戸っぽい感じがする。甲州...【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎2022年8月

  • 【映画】PLAN 75

    「百年法」という小説を以前に興味深く読んだ。前提はだいぶ違うのだけれど、この映画はそのテーマをどう扱っているのだろうと。その制度についての確たるこたえはない。でもこの映画の価値は、制度を描いているようでいて、制度の成立有無とは関係なく、老いの世代が直面する事実の救われなさや手立てのなさの表出であったり、周辺社会で起こっていることを、ふつうに起こりうることとして描き切っているところにあるのではないだろうか。劇中の「PLAN75」はとても杜撰なシステムに見える。負債があったら処理は国がやるのだろうか…制度の破綻が早そう。それに申し込むのはミチさんのような、働く気力もあって善良で生真面目に思考する人が先行して、"迷惑上等"な人は申し込まないかもしれない。そういう杜撰さも含め、杜撰なまま制度が出来上がってしまう可...【映画】PLAN75

  • 【展覧会】ボテロ展 ふくよかな魔法

    膨、なインパクトの迫力たるや。モノが内側から外に押し出す圧、表面張力?…とも少し違う。果物を題材とした静物は、どう見ても果物なのになぜか身体の一部が描かれているかのように感じられたりする。バナナは大腿、オレンジは二の腕、ヘタは臍…(妄想)。随所の濃いピンク(ヴァチカンのバスルームの石鹸の色)がお茶目に思うのは私が日本の人だからで、現地の方の受け取りはまた違うのかもしれない。無表情の描くのも手法なのだという。ふくよかと、無表情と、ルネサンスなど古典からの題材引用と。そうして描かれた作品は、意味を押し付けず(あるいは解釈をゆるさず)、くらしの苦しみや思わぬ運命がさまざま起こりながら流転していく時間の、一瞬を、ただ切り取って留めているよう。南米出身作家の文学や映画の感性と通じると思うのは頭を働かせすぎか。切り取...【展覧会】ボテロ展ふくよかな魔法

  • 【映画】ベイビー・ブローカー

    なんとも、どの画面でも、景色の中の俳優さんたちの身体の存在感たるや。悪い?ひとたち。やさしいひとたち。軽くふざけあった遣り取りの折々に切実が見え隠れする。出自にまつわるさまざまについて、私には語れる言葉がない。ただ、観てよかったと思う。-----公式サイト:https://gaga.ne.jp/babybroker/(2022.7.1)【映画】ベイビー・ブローカー

  • 【映画】メタモルフォーゼの縁側

    歳の差58歳のふたりがどちらも素直でかわいらしい。うらら(芦田愛菜さん)、「BL好き」のうしろめたさを薄くあらわしつつも卑屈に落ちず決して痛々しくなく熱量を内包する17歳が絶妙。何度か象徴的に出てくる走りっぷりもよく。じっくりすごい。宮本信子さん演じる雪さん。楽しむことに開いている明るさと、自然に背を押す胆力。老いのステージとのつきあい具合。ものがたりは起伏ありつつも軽やかで、おとぎ話の香りを纏っているような気がするのは、かかわる人たちのひとのよさだろうか。-----公式サイト:https://metamor-movie.jp/(2022.6.26)【映画】メタモルフォーゼの縁側

  • 【気になる本】2022年4-6月

    上半期棚卸その2@7月-----我感ずる、ゆえに我あり──内受容感覚の神経解剖学A・D・(バド)クレイグ青灯社https://seitosha-p.com/2022/06/post-106.html土の中の生き物たちのはなし島野智之長谷川元洋萩原康夫朝倉書店https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=17179お嬢さんと噓と男たちのデス・ロードジェンダー・フェミニズム批評入門北村紗衣文藝春秋https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915609感情の向こうがわ武術家と精神科医のダイアローグ光岡英稔名越康文国書刊行会https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336073419/ウ...【気になる本】2022年4-6月

  • 【気になる本】2022年2-3月

    メルロ=ポンティの倫理学誕生・自由・責任川崎唯史ナカニシヤ出版http://www.nakanishiya.co.jp/book/b602740.html土が変わるとお腹も変わる土壌微生物と有機農業吉田太郎築地書館http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1631-0.html太陽の支配神の追放、ゆがむ磁場からうつ病までデイビッド・ホワイトハウス築地書館http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1632-7.htmlAIはどのように社会を変えるかソーシャル・キャピタルと格差の視点から佐藤嘉倫編稲葉陽二編藤原佳典編東京大学出版会http://www.utp.or.jp/...【気になる本】2022年2-3月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 六月大歌舞伎 2022年6月

    六月大歌舞伎歌舞伎座-----今月は第二部と第三部をハシゴしたので、「信康」→「勢獅子」→「ふるあめりか」。結果的に観劇時間としては現代作度合いが高くなりました。歌舞伎美人の演目解説によると、「信康」は1974年大谷竹次郎賞、「ふるあめりか」は1972年初演とあり、現代作とは言え50年近く残ってきた演目ということになるのですね。古典に比べて現代作は、型よりも役者に拠るところが分かりやすく大きいように思うのですが、今月の2作品、染五郎さんの若々しくもしっかりと演じられた信康、玉三郎さんのお園のとてつもない幅を縦横無尽に渡るさま、いずれも濃厚に味わいました。河合雪之丞さん喜多村緑郎さんを歌舞伎座で久しぶりに拝見するのも嬉しいことでした。けっこうな緊張感のある場面がおおい2作の間、勢獅子でほっとひといき。おどる...【歌舞伎】歌舞伎座六月大歌舞伎2022年6月

  • 【映画】犬王

    前半、圧倒的な量の情報が載るミクロとマクロのスコープが自在に切り替わる映像に、琵琶法師の語りが繰り広げられる。吸引力すごい。呪や思い残しとのかかわりは自然と語られていく。時々現れる残忍なシチュエーションは、中世の世相のリアルを思わせて、観客の尻を落ち着かせない。再現不可能な刹那のパフォーマンスとムーブメント、権力の暴挙、その名であることの意味や、効力。関係性。舞台装置・表現技術のアナログな根。いろいろ入ってる。-----公式サイト:https://inuoh-anime.com/(2022.6.4)【映画】犬王

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 2022年5月

    團菊祭五月大歌舞伎歌舞伎座-----すきまなく豪華で爽やか。この後に到来する梅雨の鬱陶しさを乗り越えられそう。◆第一部一、祇園祭礼信仰記金閣寺全般見どころ満載なのですが、やっぱり雪姫に桜が降りしきる場面が好き。(桜に描くシーンこういう感じだったっけ?)二、あやめ浴衣五月さわやか。◆第二部一、歌舞伎十八番の内暫豪華な場面で眼福。観客サービスもたっぷり。二、新古演劇十種の内土蜘場面ごとにテイストは切り替わっていくのだけれど、どこを切ってもどの瞬間もすっきりと美しかった。きもちのよい時間。(2022.5.15)【歌舞伎】歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎2022年5月

  • 【映画】シン・ウルトラマン

    なかなか興味深く見ました。面白かった。同じ「シン」がついててもゴジラとは楽しみ方も違っていいんじゃないでしょうか。全編通してオリジナルへのリスペクトがあふれていると思うし。これはもしかして映画というパッケージメディアのネットワークにライドして(SNSに乗るがごとく)、オリジナル版の視聴を活性化しようというインフルエンサークラスのファンのたくらみなんじゃないかという妄想が頭に浮かんだほどです。60年代に組まれた設定を現代の映画にするにあたり、幾つか設定の解釈を入れて、浮きすぎないように(科学っぽく)まとめていて、"よくできました"のハンコを押して差し上げたくなりました。巨大なあの方が街にばったりの絵づらは、マクロス(最初のTV版)を彷彿とさせましたが、当時の私は「毛穴…」と思っていたので、今回そのあたりの違和感の...【映画】シン・ウルトラマン

  • 【映画】ツユクサ

    痛みを分かりやすく痛みとして表現するのでなく、ふたりの名優(と子役)をもって、じわじわと。-----公式サイト:https://tsuyukusa-movie.jp/(2022.5.3)【映画】ツユクサ

  • 【映画】杜人 環境再生医 矢野智徳の挑戦

    "大地の呼吸"。シンプルで、おそらくとても本質的で。地に点穴をあけていき、滞りがほどけて水が動くべく方向へ動いていく幾つものシーンを見ていると、そのたび魔法のようだと思うけれど、再現性があることなのだ。科学。観察に基づく。測定の尺度は人の五感六感。裡に調和の秤を持っているような方だなと思う。いまの自然環境の状況の諸々を全否定するのでなく。ただただ。傷んだ地(杜)に赴き、風と水の道をつくる。もっと観る人が増えるといい。そうして、観て終わらずに小さな園芸スコップを手にしたらいい。-----公式サイト:https://lingkaranfilms.com/友人が大地の再生講座で知った"風の草刈り"を教わって実践しています。点穴に竹炭もちょこっと。この映画は別系統の友人から聞いて観に行きました。人づてに広がっていく知恵...【映画】杜人環境再生医矢野智徳の挑戦

  • 【展覧会】没後50年 鏑木清方展

    うつくしい、やさしい。季節とくらし。ひとの貌。ものがたりから題を採った作品は、切なかったり怖かったりも。野崎村のお染の繊細な表情。ゆめのように滑らかでしろい肌にあかみさす頬、やわらかく結う黒髪。大正昭和に描かれたそれらは、その時点ですでに消えつつあった明治の気配を名残惜しむものでもあったようで。とにもかくにも圧倒される、着物の文様と素材と織・染(特に染)の数々。江戸小紋と縞、絞が多い生活の着物のシック。町娘のきもののすみずみのおしゃれ。長着からのぞく半襟や襦袢との色合わせ、襟なしでまとう夏もの、帯揚、帯締もいろいろ。暮らしの道具、季節の道具、食、植物。正月の女の子は髪に鶴と亀を挿し。宝来の柄行。意外にも、建造物の表現が印象に残る。屋根、軒先。屋内の柱。-----没後50年鏑木清方展東京国立近代美術館2022年3...【展覧会】没後50年鏑木清方展

  • 【展覧会】ふつうの系譜

    一昨年気になっていて行けなかった「ふつうの系譜」展、再構成で再開催とのこと。ただ観るだけでもじゅうぶん楽しく美しい出展の数々。加えて、「ふつう」とは何か?という問いかけが寄せる波のように(やさしく)やってきます。正統派とか多くに支持されてきた表現、大きな流れとして保たれてきたものや、その隙間にあって気づかれにくかったもの、新しい表現のかつての奇想が伝播と再現によってふつうになったもの。キャプションが時々可笑しい。愛がこぼれている。「敦賀コレクション」すばらしく。岸恭「四季花卉図屛風」の多彩な緑。曽我二直庵「柳枝鷹図」の墨で描かれているおなか。もふりたい。-----ふつうの系譜「奇想」があるなら「ふつう」もあります─京の絵画と敦賀コレクション府中市美術館2022年3月12日~5月8日http://fam-exhi...【展覧会】ふつうの系譜

  • 【映画】アネット

    レオス・カラックス、ミュージカル。オペラの雰囲気も。物語の寓話性もあいまって。かつ、マリオン・コティヤール演じる主人公の妻・アンはオペラ歌手で、舞台シーンも多くオペラ(吹き替え)もミュージカルシーンの本人の歌声も聴くのも観るのも美しい。アネットは主人公・スタンダップ・コメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)とアンの間に産まれた娘の名前。なぜアネットのボディは。斜めにずれゆく進路は、何が原因だったのだろう。本作は、現代に生じている根源的な事象をテーマにしているのかもしれないとも思ったり。直截に言うのが憚られるので、例えていうなら。食べるという行為は、生命維持から情報を食べるほうに比重が移ってきた、というような話と近くて。行き過ぎた抽象化に対する、具象からのアンチテーゼみたいなことをラストシーンを観ながら思った...【映画】アネット

  • 【映画】THE BATMAN-ザ・バットマン-

    誤解を恐れずに言えば、「スケールの小ささ」が絶妙だったと思う。起こる事件は決して小さくなく、時に見るのが辛い凄惨さを伴うけれど、常に描写はブルース・ウェインのメンタルに立ち戻るので。ある青年の、とある期間に起こった体験の、ものがたりで。くらしに困らない資産と階級の子息であって、使命のようなものを背負っているけれど、それもまた、不安定な若さがアイデンティティを立てるための支柱のように見えなくもないような、そういう繊細さが、骨太な、肉弾戦の、暴力にあふれる画面のあいまに揺れる。見終わった直後はもやっとした感じだったけれど時間が経つとその繊細な印象は残り香のように思い起こされる。-----公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/thebatman-movie/(2022.3.27)【映画】THEBATMAN-ザ・バットマン-

  • 【映画】ドライブ・マイ・カー

    淡々とした、ふわっとした、小品をイメージしてた。自分は作品世界の外側で最後まで見続けられるだろうと思っていた。違った。語り口は比較的淡々としていて静か。それは西島秀俊さん演じる主人公の家福のメンタルが穏やかそうに見えるからかもしれないし、あるいは、訥々とした台詞のトーンにそう思わされたのかもしれない。それらを前置きにしてやってくる、終盤の感情のリアリティは圧倒的。普遍的な傷。-----公式サイト:https://dmc.bitters.co.jp/(2022.2.26)【映画】ドライブ・マイ・カー

  • 【展覧会】よみがえる正倉院宝物

    正倉院宝物の再現模造。ひとつひとつゆっくり拝見。ためいき。自然由来の部材、染料、絶滅や絶滅危惧で、手に入れるのが困難なものも少なからず。それでも制作の各段階の技術の担い手の方々が今はまだいて、再現が為されている。現代の再現は、構造も含めた忠実な再現で、構造の把握には21世紀の技術が適用されている。今の時代だからできることもある。センシングと3Dプリンタで、似せたものはもしかしたらいずれ成形できるようになるのかもしれないけど、それは違う。コピーじゃない。人の手わざによる再現であって、もとのものと同じではない。作品なのである。個人的に興味が強い染織。龍村「七条織成樹皮色袈裟」の一見無作為に見える彩の交錯の織り。川島「小菱格子文黄羅」よくよく見ないと判然としないくらい繊細な菱。私のかさついた指先が触れたらひっかけて台...【展覧会】よみがえる正倉院宝物

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 二月大歌舞伎 2022年2月

    二月大歌舞伎歌舞伎座-----第二部二、義経千本桜渡海屋大物浦仁左衛門さんの一世一代は、まさに。心震えすぎてあんまり書けないのだけれど。何度となく観たはずの大物浦なのに、この場面の知盛が、とてもとても恰好悪い状況なのだと、初めて思い至った。安徳天皇の言葉に、屈辱を昇華させた先の清々しさがあまりに儚くて、今思い出してももう一度泣ける。--------第三部二、鼠小僧次郎吉籠から降りて助けを約束する菊之助さん、いい声だなぁ。ただしい人の声色。話が進むにつれ、詰んで詰んで詰んで。息を呑んで見つめた。(2022.2.20)【歌舞伎】歌舞伎座二月大歌舞伎2022年2月

  • 【歌舞伎】コクーン歌舞伎 天日坊 2022年2月

    渋谷・コクーン歌舞伎第十八弾天日坊-----「天日坊」こんな感じだったっけ?2012年の公演、熱さや充実は印象にあるけれど、こんなに凄みを感じはしなかったと思う。10年で記憶が薄れたせいだけではないだろう。メモをひっくり返したら、「俺は、誰なんだ?」を2012年の私は"自己認識の混乱"とか書いてる。今回、印象に残るのは、むしろ、後戻り不可能の切迫。重なり、前後する、嘘と嘘、その場しのぎの積み重ねの後にくるもの。ただ1回の踏み外しから至るところの破滅はしかし、情報が物理実体に優先する現代において、10年前よりも、より、現実味を帯びている。勘九郎さんは真摯に法策⇒頼朝ご落胤⇒義高を演じておられて、それが却って現代のリアルな不安と重なって胸に来る。17歳なんだよね。切ない。せりふの丁々発止、ちょこちょこ挟まる笑い、立...【歌舞伎】コクーン歌舞伎天日坊2022年2月

  • 【展覧会】ミロ展―日本を夢みて

    初期から晩年まで時系列でミロ作品を総覧。各作品に付された詳細な解説とともに、表現の変遷がつぶさに。初期の作品は画面全体が強いトーンながら、多色を用いているのに調和がある。こういう描き方もしていたのかと思う。生涯を通じて表現の工夫に飽くことがない。浮世絵や大津絵、玩具、民藝との接点。墨、書。よく知られた細い描線の表現に至るあたり、情報量が減ってきた、とか、音楽的だなと思ったのだけれど、その後《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》を観るに至り「情報減ってないぞ」と思い直した。たとえば森の中に立って、全方向に多様な音を聞くようなのだ。詩と絵の越境。私はフランス語は分からないから、そもそも意味を取れない記号なのだけれど、フランス語圏の人から見るとまた違うインパクトなのだろう。ミロの絵画表現が象形文字や漢字と似...【展覧会】ミロ展―日本を夢みて

  • 【映画】白いトリュフの宿る森

    いま、じぶん的に第*次(第三次くらいかな)菌類ブームなのであんまり考えずにネット予約で座席指定をポチッた。きのこだし。じつは、ドキュメンタリーだというのを意識したのは観た後だった。なるほど、犬が名演すぎると思っていたが、リアルの関係性を映していたのか。おじいさんたち(あえてそういう表現をさせていただきますwithLOVE)はほんとうにほんとうに犬と密接で家族よりも家族で下手したら恋人くらいな。描かれているのはトリュフ採り師のすがた。(原題はトリュフハンター)対価を得るものだし、一攫千金とか山師の要素がほんとはあるんだと思うけどあまりそういう描かれ方ではなくて。犬とともにトリュフを探すこと自体にうっすら憑かれているようなのだ。おじいさんたちはピュアを漂わせている。私は何を観たのか?いや観たものは分かっているけどど...【映画】白いトリュフの宿る森

  • 【映画】ちょっと思い出しただけ

    ああなんか、よかった。観てよかった。印象的な断片が、たくさん降り重なってる。え、踊っちゃうの?とか。かっわいいなぁ、とか。その切り返し、いいな、とか。ざんねん、とか。あ、そうなったんだ、とか。そういうすれ違いあるある、とか。諸々。甘いのとほろにがいのと。脇もぜいたく。-----公式サイト:https://choiomo.com/(2022.1.13)【映画】ちょっと思い出しただけ

  • 【映画】名付けようのない踊り

    2時間の上映時間の中で、さまざまに感じたり考えたり。序盤を観る私は、踊りから伝わりくるものが「わからない」。私は観るにしても物語を読むにしても、おそらくミラーリングして自分の中に情動を疑似的に起こしている気がするのだけれど、それを機能させにくいのかな、と思ったり。畑をやる身体でもって、踊る。どんな身体でいるか、が、だいじ。身体に精神をもってこようとするとき、とてもとてもゆっくりな動きが出来た方がよいのだと、身体を動かすワークショップで思ったことがある。今の私はぜんぜん、ゆっくり動くことができない。急いて、待たずに、移り行こうとしてしまう。ゆっくり動くにはちゃんとした身体が要る。アニメーションで視覚化される「私のこども」のこと。自分は何を好ましいと思うこどもだっただろうかと記憶を手繰っても大して出てこない。どれほ...【映画】名付けようのない踊り

  • 【気になる本】2022年1月

    2022/01/28環境が芸術になるとき肌理の芸術論/高橋憲人/2,860円/春秋社https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393333884.html現代病「集中できない」を知力に変える読む力最新スキル大全/佐々木俊尚/1,760円/東洋経済新報社https://str.toyokeizai.net/books/9784492046869/2022/01/26移動力と接続性文明3.0の地政学上/パラグ・カンナ/2,420円/原書房http://www.harashobo.co.jp/book/b598189.html移動力と接続性文明3.0の地政学下/パラグ・カンナ/2,420円/原書房http://www.harashobo.co.jp/book/b598192.html2...【気になる本】2022年1月

  • 【展覧会】文様のちから -技法に託す-

    「文様から技法を探る」の展示には単体でも見どころがあふれる装束と裂が、「技法から文様を探る」では読めば読むほど手の込みかたに唸る器物が、次から次へと差し出されて垂涎が止まらない。視覚に供される美は、物理的方法としての技術で実体化される。いったいどれだけ、どのようなプロセスで誰がどれだけどう関わってどんな技術が折り重なってここまでのものに至るのだろう。備忘メモ:#3の紅浅葱段籠目草花模様唐織と#4の紫浅葱縹朱段秋草模様唐織は見ても見ても見足りない。#9古代裂手鑑何かに使われていた裂をきれいにほどいて伸して大事に貼り集めている。#13縮緬地せせらぎあやめ模様友禅小袖裾と肩口の花菱の赤と黒がモダン。#16薄浅葱地槍梅鶴亀模様直垂槍梅の意匠のインパクト。三番叟用。#25茶練貫地亀甲松竹梅折鶴模様腰巻ぴんと張った糸運びは...【展覧会】文様のちから-技法に託す-

  • 【展覧会】生誕120年記念 篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~

    麻紙の白に繊細な描線、フジタを受け継ぐ肌あい、腿や二の腕の充実。さらさらとしていながら重量感がある身体。衣裳や装身の珠や布の洗練。人物の切れ上がった目は表情に富むのと同時に静かでもあって、赦している、という感じがする。誰かをではなく自分を赦しているようなのだ。自己受容。それを見ることは、自分を赦しているひとの傍に居るのと似た心地良さがある。梅や菩提樹、様々な樹は、人物のなめらかな肌とつるりとした表情と対照的に荒々しく奔放で原始生命を思わせる。「天台山豊千禅師」が特に印象深く。人物の表情。樹は菌のコロニーのよう。-----生誕120年記念篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~大倉集古館2021年11月2日~2022年1月10日https://www.shukokan.org/exhibition/(2022.1.8)【展覧会】生誕120年記念篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 2022年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部一、一條大蔵譚「檜垣」の勘九郎さんの大蔵卿が、もう、ふわっふわ。無重力か?くらい。人物の背景を知っていつつも別次元で多幸感きた。すごい。対する鬼次郎お京を獅童さん七之助さんがスキッとでも強すぎず優しい。扇雀さんの常盤御前、おっとりの中の炎の心。大蔵卿は、あのふるまいを長年続けつつ敵の首も取るっていう、狂気かといえばそうではなくて、徹底的に冷静。高度な人格が根底にある。ちゃんとぜんぶ同居してた。二、祝春元禄花見踊やわらかくて、ここちよい。獅童さんちの陽喜ちゃんが初お目見えとは聞いていたのですが。飛び六方とは。いや、なんか、泣けた。花道をリードしていった役者さんの姿と共に。◆第二部一、春の寿コロナになってからの舞踊演目には割と祈りを感じることが多くて。お正月でもありますが。じ...【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2022年1月

  • 【読書】2021年読了(41冊)

    2021年はとても気力が落ちていて、4冊を除き読後メモを怠ってしまいました。リストくらいは残して旧年の読書を〆めることにします。…しかしもはや内容を思い出せずしかも年末に〇ックオフにドナドナした子も。以下読んだ順。------------------------------------------------------------------<感想UP済>世界はありのままに見ることができない(1月)----------------------<感想UP済>MindinMotion身体動作と空間が思考をつくる(1月)----------------------U理論[エッセンシャル版]―人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造するC・オットー・シャーマー英治出版2019/11http://www.e...【読書】2021年読了(41冊)

  • 【映画】マトリックス レザレクションズ

    私は楽しんだのだけど。若い人にはそうでもないのだろうか(隣の席の人が…)。同世代を生きて来たワタシとしては、「老い」というやつの扱いかたが爽快でよかった。扱い方というか。扱ってないというか。視覚的には表れているにも関わらずそれはあるがままとして加齢上等って、ラナ姐御が言外に言わずに言ってる感じ(思い込みですが)。マトリックスの中では身体能力はそのままっていうのアリね。メタバースなんてさ、ついつい若作りして下手すると(本体バレたら)イタイ感じになりそうだけど。こっちの在り方のほうが自己受容性高くていいのでは。素敵なことだ。前作から18年、20世紀の最後と今ではデジタルの在り方が全然違ってて物語のややこしさはデジタルの重層性と無時間性・非同期性のリアルを持ち込んでいるからかもしれない。機械と機械の…(自粛)の様相に...【映画】マトリックスレザレクションズ

  • 【気になる本】20211209-31

    2021/12/27素晴らしき、きのこの世界人と菌類の共生と環境、そして未来ヴィジュアル版/ポール・スタメッツ/3,080円/原書房http://www.harashobo.co.jp/book/b595773.html地球の平和/スタニスワフ・レム/2,640円/国書刊行会https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336071361/大正の夢秘密の銘仙ものがたり桐生正子着物コレクション/大野らふ桐生正子/3,025円/河出書房新社https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309291796/現代思想2022年1月号特集=現代思想の新潮流未邦訳ブックガイド30/1,760円/青土社http://www.seidosha.co.jp/book/in...【気になる本】20211209-31

  • 【気になる本】20211129-08

    2021/12/08サステナブル・フード革命食の未来を変えるイノベーション/アマンダ・リトル/2,420円/インターシフトhttp://www.intershift.jp/w_sus.html2021/12/07持続的農業の土づくり/1,980円/イカロス出版https://www.ikaros.jp/sales/list.php?srhm=0&tidx=78&Page=1&ID=5114命のひととき四季の中で自然を味わう/ヘレン・アポンシリ/2,420円/化学同人https://www.kagakudojin.co.jp/book/b593717.html2021/12/03〈図説〉日本呪術全書普及版/豊嶋泰國/2,750円/原書房http://www.harashobo.co.jp/book/b594669...【気になる本】20211129-08

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十二月大歌舞伎 第一部 2021年12月

    十二月大歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部新版伊達の十役12月の第一部は猿之助さんの十役。前半「奥殿」で政岡の感情の機微をがっつり味わい、後半「間書東路不器」で早替わりの多様な人物と感情表情と所作を楽しむ。今回は1階の後ろの方でしたがオペラグラス必携。表情の演じ分けをじっくり見る。所作も。迷う高尾は哀しげだったなぁ。三部構成ゆえかなりスピーディ。あらすじ・経緯の詳細を知らなくても早替わりで楽しめる構成。政岡と対峙する八汐は個性が出るので楽しみなのです。今回は巳之助さん。新しい。本気で怖い八汐だった。政岡に嫉妬してるのかな。(2021.12.5)【歌舞伎】歌舞伎座十二月大歌舞伎第一部2021年12月

  • 【展覧会】民藝の100年

    「民藝」。組成から活動スタイルの確立、戦中、戦後と時系列的な過程を縦軸に、柳宗悦を始めとするたぐいまれなる才知・感性と探究活動を横軸にモノとことばと行動記録から全体が浮かび上がってくる。観終わったら「すごい。なんだこの人たち」とつぶやくしかない。展示品、蒐集品・創作いずれも、かっこいい。数多の民具・民画からかっこいいものを拾い出したのだ。選別力。かっこいい、に加えて何でしょう、これを"カワイイ"とは言いたくない、擬音でいうと「ほっこり」「ふくふく」とか、陶器には特に、観ればなんとも愛おしい感覚が生じる、という共通項。朝鮮、台湾、沖縄、アイヌ、に関する視座は、それら文化への憧憬に、当事者性から離れていることの自覚と内省も併せ持っていて、じくじくと来る。美術館(展示)・出版・流通、地方のモノ・人をつなぐ、新作民藝に...【展覧会】民藝の100年

  • 【展覧会】ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

    クレラー=ミュラー美術館とファン・ゴッホ美術館から。充実の展示。レーネ・クレラー=ミュラーの選択眼にぶれがない、ということだろうか、基調が一定で観ていて心地いい。ゴッホ作に限らず、解説文に何度か表れていた「精神性」。なるほど、確かに。何かある。しかし「何か」の正体は何であろうか…少し不穏。不快のぎりぎり一歩手前にある快、視覚から神経をゆるゆると振るもの。19世紀末から20世紀初頭、人心に科学が説明をつけ始めた時代。ゴッホの信仰は自然を対象としていて、風景画は宗教画を描くような意味合いがあったのかもしれない。-----ゴッホ展──響きあう魂ヘレーネとフィンセント東京都美術館2021年9月18日~12月12日https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_vangogh.htmlhtt...【展覧会】ゴッホ展──響きあう魂ヘレーネとフィンセント

  • 【気になる本】20211115-28

    2021/11/27大気微生物の世界雨もキノコも鼻クソも気候・健康・発酵とバイオエアロゾル/牧輝弥/1,980円/築地書館http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1627-3.html2021/11/26賃労働の系譜学フォーディズムからデジタル封建制へ/今野晴貴/2,420円/青土社http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=36272021/11/25じつは私たち、菌のおかげで生きています種麴屋さん4代目社長が教える、カラダよろこぶ発酵と微生物の話/今野宏/1,540円/ワニ・プラスワニブックスhttps://www.wani.co.jp/event.php?id=7183自分流にはじめよう!日...【気になる本】20211115-28

  • 【展覧会】柚木沙弥郎 life・LIFE

    柚木沙弥郎さんは柳宗悦や芹沢銈介と二十代で出会って染色作家になったそう。絵本の原画と「布の森」と題した型染め布の展示。どれも心をあたためたりキリっとさせたり熱をくれたりする色遣いで会場をすすむたびに新鮮。私の大好物の染・文様・タペストリーの要素がバーンとくる「布の森」は至福の空間。特に、会場入って右手奥壁際の赤みの布地の一群がもたらす多幸感にしばし立ち尽くしましたよ。ちょっと泣きそうになってしまった。何度か回遊して戻って改めてじっと見て、布の揺れも癒し効果を生んいるのだなと。他の布より薄地なのです。会場内は写真撮影OKなのも嬉しい。帰宅してからも写真を眺めて楽しんでいます。-----柚木沙弥郎life・LIFEPLAY!MUSEUM(立川市)2021年11月20日~2022年1月30日https://play2...【展覧会】柚木沙弥郎life・LIFE

  • 【歌舞伎】赤坂大歌舞伎 2021年11月

    赤坂大歌舞伎赤坂ACTシアター-----赤坂ACTシアターが来年夏以降はハリポタ専用劇場になるそうで、そうか今回でACTシアターでの赤坂歌舞伎はこれぎりなのですね。宵赤坂俄廓景色での過去上演の振り返り、今回含め6つの公演、チケット取り損ねた5つ目以外は観てたんだなと色々思い出しました。一、廓噺山名屋浦里短い物語、かろやかな展開。七之助さんのお国言葉での語りがみどころ。酒井氏って、どうなんだ。このキャラ。ちょっとズレるとアレな人になってしまいそうな際どいところ勘九郎さんの酒井はみごとに実直で懸命の"愛すべき非常識"な人物像になってます。二、越後獅子宵赤坂俄廓景色勘太郎さん一人で越後獅子を踊り切り。いったい幾つになったのだろうと帰宅して思わず確認。10歳。宵赤坂俄廓景色。赤坂。扇雀さん亀蔵さん勘九郎さん七之助さんに...【歌舞伎】赤坂大歌舞伎2021年11月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎 第三部 2021年11月

    吉例顔見世大歌舞伎歌舞伎座-----今月は歌舞伎座は第三部のみ観劇。「花競忠臣顔見勢」仮名手本忠臣蔵のおなじみの場面を組み合わせて短時間に入れ込んでます。「これはあれのあそこか?」などと記憶を追いつつ人物はお馴染みなので意外と苦もなくついていけたりして。2役以上を受け持つ俳優さんが多数、でも"入り乱れ"た感じはなく展開早いのにすごい。チームワークかな。今回はビハインドのリーダーシップかしら。(2021.11.13)【歌舞伎】歌舞伎座吉例顔見世大歌舞伎第三部2021年11月

  • 【気になる本】20211101-14

    2021/11/12スターメイカー/オラフ・ステープルドン/1,430円/ちくま文庫https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480435651/2021/11/11日本酒の世界/小泉武夫/1,100円/講談社学術文庫https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358922「日本酒ルネッサンス」改題大宇宙の魔女ノースウェスト・スミス全短編/C・L・ムーア/1,650円/創元SF文庫http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/97844887900112021/11/10志村ふくみ染めと織り/志村ふくみ/3,300円/求龍堂https://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail...【気になる本】20211101-14

  • 【映画】007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

    ジェームスはほぼ全編途切れなく動き続け、アクションにつぐアクション、場面場面に意表を突く演出が張り巡らされていて飽くことがない。鍵となる兵器の設定も、荒唐無稽と科学要素の際にあって触れることへの畏れを先取りしていて、コロナ禍の今見ることのうすら寒さのリアリティがみごと。いわゆる悪の組織と要塞の姿は、クラシカルである。韻を踏んで繰り返し現れる、円の中のボンドという光景もオマージュだろうか。それでも20世紀のジェームス・ボンドとはずいぶんと違って、一人の男を演じる俳優が移り変わっていくのではなく、21世紀のそれは「ジェームス・ボンド」は007というコードネームに付く名跡のようなもの、という理解に着地したのかな。エンドロールの後の1行のメッセージは。決着は。そうきたか。脇をかためる俳優陣も、特にMI6側の人びとのあり...【映画】007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

  • 【気になる本】20211018-31

    2021/10/29狩りの思考法/角幡唯介/1,760円/アサヒグループホールディングスhttp://www.shimizukobundo.com/book/978-4-87950-636-8/世界は「関係」でできている美しくも過激な量子論/カルロ・ロヴェッリ/2,200円/NHK出版https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818812021.html人間中心設計におけるユーザー調査/黒須正明/3,080円/近代科学社https://www.kindaikagaku.co.jp/engineering/kd0635.htm2021/10/27プロダクト・レッド・オーガニゼーション顧客と組織と成長をつなぐプロダクト主導型の構築/トッド・オルソン/2,530円/日本能率協会マ...【気になる本】20211018-31

  • 【映画】DUNE/デューン 砂の惑星

    ロゴが格好いいのだ。21世紀的デザイン。砂漠・中東的光景にヨーロッパ中世の階級表現に精神世界に作用する力。どこで切っても名優でぜいたく。宇宙船と城塞の光景はレトロSFの味わいを保ちつつ科学の雰囲気を漂わす。とにかくなにしろ、ティモシー・シャラメとレベッカ・ファーガソンの少し不思議な(姉弟のように親密であり師弟のようであり)親子の姿が徹底的にうつくしく描かれていて。砂虫と砂漠のスケール感あふれる光景もみごとだし。予知夢の使い方も効果的。(あれがないと、世界観が入り切ってない状態でついてくの大変かも)文句なく味わいリッチ。少々サウンドが強すぎるかもしれない。そして完結していない所為もあって何を(どんなものがたりを)観たのか腑に落ちずにいる。続編を早めにお願いします。-----公式サイト:https://wwws.w...【映画】DUNE/デューン砂の惑星

  • 【気になる本】20211004-17

    2021/10/15知識は身体からできている身体化された認知の心理学/レベッカ・フィンチャー‐キーファー/2,970円/新曜社https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b592719.htmlコミュニケーション場のメカニズムデザイン/谷口忠大/2,970円/慶應義塾大学出版会https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766427738/なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか逃れられないバイアスとの「共存」のために/ハワード・J・ロス/2,640円/原書房http://www.harashobo.co.jp/book/b591847.html国家をもたぬよう社会は努めてきたクラストルは語る/ピエール・クラストル/2,860円/洛北出版http://...【気になる本】20211004-17

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