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  • 【展覧会】オディロン・ルドン ―光の夢、影の輝き

    ルドン。昔、まだ美術史もろくにわかってなかった頃に、近美で観て、ずっと心に残っていた。歳とったから、観方も変わるものかしら、と思ったけれど(確かに当時よりはるかに理解は深まってはいると思うのだけれど)好きなところは変わっていないのでした。パステルの、漂う花らしきもの、空のような背景、赤い枝の花、光線、まつげ(?)、瞳のハイライト…シンプルな題材で、軽やかなまま多層的な描線で・あるいは色彩で、それでも画面に漂うのは深淵な奥深さ。ルオー部屋も今回はちょっとルドンチューンで面白かった。-----オディロン・ルドン―光の夢、影の輝きパナソニック汐留美術館2025年4月12日~6月22日https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/25/250412/(2025.4.29【展覧会】オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 四月大歌舞伎 2025年4月

    松竹創業百三十周年四月大歌舞伎歌舞伎座-----今年に入ってから毎月毎月盛り沢山です。演目・配役、芝居、高密度。・昼の「木挽町のあだ討ち」と夜の「無筆の出世」で人の情のひだを味わう。・毛谷村は仁左衛門さんの六助で拝見。・右近さんの春興鏡獅子。おもわず唸る(すてき)。(2025.4.5)【歌舞伎】歌舞伎座四月大歌舞伎2025年4月

  • 【映画】終わりの鳥

    すご。予測を裏切る展開に呆然としひと呼吸後にクスリと笑う、を繰り返し。可笑しみの寓話でありつつ母娘の心情は繊細なドラマである。私はこれ好き。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/tuesday/(2025.4.4)【映画】終わりの鳥

  • 【映画】Flow

    猫のボディの色のにじみ、作り方上の解像度のせいだと思うのだけど、案外それが毛並みのようにみえて面白い。台詞はない。擬人化を極力排す(特に前半)。猫らしい好奇心ときまぐれ、ふんわりした哀しみとか、恐慌とか、見応え。種の違いからの諍いやちょっかい・捕食行動、しかし不思議な成り行きで進む舟の上。急転。災禍を招いたのは何だったのか。白いのの、あれは召喚か生贄か。謎は謎。森や緑地の景色がきらきらと美しい。神秘的な巨大構造物も。-----公式サイト:https://flow-movie.com/(2025.3.31)【映画】Flow

  • 【展覧会】魂を込めた 円空仏

    横から見れば驚くほど厚みがない木片から豊かな表情のお顔が、袈裟の襞が、掘り出されている。「ほえぇぇ」と喉のあたりが思わずゆるむ、幅のない木片ゆえ御手はあまり(物理的に)伸びてはいないのだけどこちらに差し出されているような心持になるのだ。-----魂を込めた円空仏三井記念美術館2025年2月1日~3月30日https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html(2025.3.29)【展覧会】魂を込めた円空仏

  • 【展覧会】異端の奇才――ビアズリー

    わずか10年。紙の白にインクの黒。余白と黒ベタと繊細な線に点。描線が囲う白の布衣はふっくらと、花のつぼみのような、やわと硬の絶妙。点が表すレースの透け感。どれだけみても、見飽きることがない描線。この触感的な視覚は、写真とたぶん全然ちがうから、見に来てよかったと思う。時々、意地悪か巫山戯か、画面上で実在のひとをいじる。解説読んでると、お気に入りや敬う相手にそういうことをしてるようなのでナナメな愛情なのかもしれない。愛情、そう。作品から慈しみを感じる。それは、被写体に対する慈しみではない。描かれた作品それ自体への慈しみである。自作を撫でる指先、少し上がった口角の表情が、想起されて、毒のある絵なのにほのかにほろほろと楽しいのだ。-----異端の奇才――ビアズリー三菱一号館美術館2025年2月15日~5月11日h...【展覧会】異端の奇才――ビアズリー

  • 【展覧会】ヒルマ・アフ・クリント展

    初期作、繊細精密、写実の線はただ線にて官能的で魅惑的。30代でスピリチュアルに向かったのだそう。折々パステルトーンで描かれる、曲線の多い作品は、あかるく軽やかに見えていて、実際そういう何かを描いているのかもしれないけれど、何かが潜んでいる感じもする。20世紀の直前辺り、科学が解像度を上げ始めた時代。その時代に在れることの喜びがあり、そして知は、スピリチュアル世界のより深い解釈にフィードバックされ融合する。(100年を経て現在起きていることと位相は同じだなぁ。閑話休題)。観る側が言語の次元で理解説明しようとするのを拒むタイプの絵のような気がする。例示に適切か覚束ないけれどヘンリー・ターガーを観たときの情動と似ている。すなおにみるとよいのだろう。-----ヒルマ・アフ・クリント展東京国立近代美術館2025年3...【展覧会】ヒルマ・アフ・クリント展

  • 【映画】劇場版モノノ怪 第二章 火鼠

    今回もめくるめく映像に酔う(目が回るほうじゃなくて堪能するほう)。帰宅してからTV版の録画をヘビロテしてしまった。次作も楽しみです。物語の骨格、業というにはかなしみがおおきいお話。-----公式サイト:https://www.mononoke-movie.com/(2025.3.15)【映画】劇場版モノノ怪第二章火鼠

  • ミロ展

    初期作から時系列な変化が興味深い。20代の風景画の色づかいがやわらかく刺激的で不思議な感じ、色彩にご本人の気質が表れたりするのかしら、などつらつら思い。1930年代、スペイン内戦~第二次大戦の社会背景のなかで描かれた作品群をこの世界情勢のいま、観る。キャンバスの上にトゲトゲしたかたちや砂を固めたざらつき、しみのような黒、たぶん、今のわたしは数年前のわたしがみるのとは違う感慨。詩とのかかわりは、水墨画と賛を連想もするし、詩を吟じることに憧れても詩の達人まではなりえない人が詩に代えて絵画で表現する、なんていうこともあるのかなと思ったり。100年前の先駆はいまも新鮮。-----ミロ展JoanMiró東京都美術館2025年3月1日~7月6日https://miro2025.exhibit.jp/(2025.3.9ミロ展

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2025年3月

    三月大歌舞伎通し狂言仮名手本忠臣蔵歌舞伎座-----昼夜Bプロの通しで拝見しました。ワタシ観劇史上最高に揺さぶられた通し上演かもしれない。「口上人形」で期待を盛り上げ、微速の幕開けでじらされた後に顕れた"場"の空気、舞台全体、ちょっとないくらい、他所事を考えることを許さない、引力がすごかった。松の間から塩冶判官切腹に至る途切れなくシビシビとした緊張感。高師直のしたたかないびり、塩冶判官の憤懣・無念、遺骸を整える由良之助の指先の敬愛と哀切から城門での決意と、場の様相が切り替わりながら間断なく道行までその感じは続き。そうして夜の部はまた違った味わいの引力で、舞台から気も目もそらす隙がない。昼の主要人物に比して、夜の勘平や平右衛門は直情と未熟が波乱の要因になっているのだなと、今さらながらじっくり感じ取り。勘平は...【歌舞伎】歌舞伎座三月大歌舞伎2025年3月

  • 【展覧会】宮脇綾子の芸術

    布が、布の文様が、糸が、紐が。ああ、そう、そういうかたち、そういう風情でしたね、と。それは、いつかの台所のまな板の上に見た光景。根を伸ばした玉ねぎ。葉を繁らす人参。南瓜種のぽやぽや綿。繊細でふしぎなかたち。断面は案外、不思議でいとおしいくて魅惑的なのをほんとは現物とは似ない素材と柄行なのに、宮脇さんの手指にかかると、ああ、そう、まさにそんな感じ。表現材料の選択のセンスのみならず、端々のかたちの正確な捕捉と再現のすごさ。柿の皮に入る黒とか、蓮根の結節とか、筍のぶつぶつとか。リアリティ。あれですね、いまどきスーパーにならぶつるっとしたキレイな規格品にはない、収穫場所に近いところで見かける、野菜や果物の貌。そして古布の蒐集の側面もあり。こうして表現の素材になることで消失せずに残されている。素材をいとおしむ瞳とゆ...【展覧会】宮脇綾子の芸術

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 猿若祭二月大歌舞伎 2025年2月

    松竹創業百三十周年猿若祭二月大歌舞伎歌舞伎座-----◆昼の部・蔦重、表現の自由、お上と戦う話なんだな。何を原動力としていたのかが興味深いし、歌舞伎と大河ではまた違うのだろうなと。◆夜の部・阿古屋見惚れ聞き惚れ「今度は三味線責めだ」「えええぇぇぇ」←かわいい秩父庄司重忠を菊之助さん、岩永左衛門は種之助さん・文七元結中村屋!従来よりも所作がダイナミックなのか身体能力すごい+泣かすお兼から取り上げた長着の裾の扱いとか細かいところまで丁寧・江島生島きれいだ…(2025.2.3,2025.2.15)【歌舞伎】歌舞伎座猿若祭二月大歌舞伎2025年2月

  • 【映画】ベルサイユのばら

    原作の絵の雰囲気を忠実に表現、瞳の星々。これ連載当時の技術では不可能(またはとてつもなく高コスト)だったのかも。現代技術が可能にしたのだろう。最近のアニメの瞳の描写すごいよね。まばたきもするし。エピソードを上手く畳みつつ約20年の時の経過がキャラクターの容貌・衣装と声色の変化で表現されている。巧みさに唸る。そして時々ミュージカル。ヅカ版の舞台(TVでしか見たことないけど)の華やかさを引いてきてるのかな。市内戦、バスチーユ監獄のあたりは圧巻で、人が人を撃つ痛みとか、戦争(内戦)の暴力性が立ち現れていると感じるのは、観る側の背景の所為だけではないような気がする。現代の空気が染みてる。-----公式サイト:https://verbara-movie.jp/(2025.2.1)【映画】ベルサイユのばら

  • 【映画】聖☆おにいさん THE MOVIE

    ゴージャスなB級というか。宗教の崇拝対象の人物像を要素分解して愛嬌ある天然味のキャラに再構成、という原作の面白さを福田カントクテイストで映像に。魅惑の俳優陣楽しそうだし小技連発ですごく巧いのと、キッチュな絵面に反し相当に真剣な特撮や装束がけっこうクるのと、パクリかレトロスペクティブか本歌取り元ネタクイズ振りがちょいちょい入るのと、たまに冗長と楽屋落ちで商用作品の枠からの逸脱感があるのと、各教の本気の方々から刺されないのかというドキドキとで案外飽きずに観てしまった。-----聖☆おにいさんTHEMOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~公式サイト:https://saint023movie.jp/某小説タイトルではないけれど「他人のXXを笑うな」(XXは誰もに起こる事象諸々)、XXを物語の笑いの種にしつつ、聖な...【映画】聖☆おにいさんTHEMOVIE

  • 【映画】聖☆おにいさん THE MOVIE

    ゴージャスなB級というか。宗教の崇拝対象の人物像を要素分解して愛嬌ある天然味のキャラに再構成、という原作の面白さを福田カントクテイストで映像に。魅惑の俳優陣楽しそうだし小技連発ですごく巧いのと、キッチュな絵面に反し相当に真剣な特撮や装束がけっこうクるのと、パクリかレトロスペクティブか本歌取り元ネタクイズ振りがちょいちょい入るのと、たまに冗長と楽屋落ちで商用作品の枠からの逸脱感があるのと、各教の本気の方々から刺されないのかというドキドキとで案外飽きずに観てしまった。-----聖☆おにいさんTHEMOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~公式サイト:https://saint023movie.jp/某小説タイトルではないけれど「他人のXXを笑うな」(XXは誰もに起こる事象諸々)、XXを物語の笑いの種にしつつ、聖な...【映画】聖☆おにいさんTHEMOVIE

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 2025年1月

    松竹創業百三十周年壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----初春大歌舞伎、曽我物で新春気分上がり、加えて昼・夜とも現代作娯楽味+定番作しっとりじっくり深みでとても満足。・封印切、圧巻。鴈治郎さん忠兵衛と扇雀さん八右衛門のなめらかかつ緊迫の遣取。孝太郎さんの梅川はたまらなく愛らしく。Wキャストなのですね。逆も観たい。井筒屋おえん・魁春さん治右衛門・東蔵さん、気骨と弱さの絶妙。・二人椀久、尾上右近さん・久兵衛、壱太郎さん・松山太夫、二人椀久ってこんなに軽やかだったろうか、と。…史上最高エアリー(ワタシ比)。薄絹がふわふわと風に舞うように、柔らかく儚い。・曽我は配役見ずに臨み、答え合わせ楽しむ。朝比奈の身体のキレに誰?と目を瞠り「右近さんでしたか!」。巳之助さんの五郎と米吉さんの十郎。・陰陽師、幸四郎さん晴明と勘九郎さん...【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2025年1月

  • 【展覧会】ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―

    工芸文脈から観に行ったほうの観客です。ポケモンはあまり詳しくないのですが、時折目にするキャラクターのデザインが秀逸(ピカチュウが全方位カワイくてすごいとか)だなと以前から感じていました。観ている間は、美しくて、かわいくて、たまに怪しくて、時々とても"お気に入り"な視覚を発見して楽しくなったり、並行で技巧の凄まじさに鳥肌立てたりして、見飽きることがありません。順路逆行を禁じているのも納得です。写真たくさん撮ったけれど、現物に勝るものなし。観られてよかった。帰ってから反芻するに、昔から工芸に幻獣をモチーフにした意匠や像は数多あるのだからなるほどこれはそういう流れの上にあるのだということと、ポケモンというデザインが様々な創作者の創作意欲を掻き立てるすばらしいコンセプトなのだということに、思い至りました。----...【展覧会】ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 朧の森に棲む鬼 2024年12月

    歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼新橋演舞場-----幸四郎さんのライ/サダミツの上演を観劇。本作、ワタシは初見です。ライはLieか。舌先の嘘でのし上がる悪逆。生き残るためという背景は(おそらく)あるものの、それよりも映ってくるのは、精神のネジが飛んだ、恐ろしさを孕む弾け感。こういう闇や病みのエッセンスと前進エネルギーの混在する人物、幸四郎さんは当代一の演じ手ではないかしらん…。物語が肚に来ます。尾上右近さんキンタのキャラと真逆の鋭い剣技。新悟さんシキブ、かわいい毒婦。あざとさがありそでないかわいさ。イチノオオキミ彌十郎さん、いとおしむ最期、印象。猿弥さんマダレの漲る生気と歳の重ね具合が格好よし。そしてマダレとツナ時蔵さん、超速立ち回りに仰天・興奮。(2024.12.15)※2025/1/4更新さぼりを2025...【歌舞伎】歌舞伎座朧の森に棲む鬼2024年12月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十二月大歌舞伎 2024年12月

    十二月大歌舞伎歌舞伎座-----・天守物語、玉三郎さんの富姫、七之助さんの亀姫、お可愛らしいやりとりをほわほわと味わった後に、何とまあ清廉この上ない図書之助は團子さんです。目が開いたエンディングの涼やかな幸福感たるや。・加賀鳶、松緑さんの道玄は当たり役と言ってよいのではないかと。加えて、まとめて書くのが申し訳ないくらい配役全般とてもよく。・あらしのよるに、獅童さんと菊之助のがぶとめい。芸域広し。ちゃんとかわいい。・舞踊は七之助の鷺娘(今後も継続的に観たい)、勘九郎さん長三郎さんの桜・松虫・雪達磨、微笑みいただく。(2024.12.8,2024.12.13)※2025/1/4更新さぼりを2025正月休みに一気に挽回中。鑑賞日付で公開。【歌舞伎】歌舞伎座十二月大歌舞伎2024年12月

  • 【映画】劇場版「進撃の巨人」完結編

    轟音上映で観ましたよ。耳が心配だったけど、そこまでではなく楽しめました。TV放映の前後編一気に。改めて、すごい物語構成だったのだなと思うのと、最終決戦の絵の動きの凄まじさ。あの構造のどこで誰がどう動いているかおそらく設計された上での局所表現であろうと思うといやはや。(2024.12.1)【映画】劇場版「進撃の巨人」完結編

  • 【展覧会】テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする

    コンランショップで知られている、テレンス・コンランです。多才にびっくり。バイタリティにびっくり。楽しく過ごすこと、おいしく楽しむこと。常に何か描いている、ずっとデザインしている。実体化、実践している。本人が置かれた状況は実際にはわからないけれど、作品に映るのは、楽しむ時間を紡ぎ続ける生き方。-----テレンス・コンランモダン・ブリテンをデザインする2024年10月12日~2025年1月5日東京ステーションギャラリーhttps://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202410_conran.html(2024.11.30)※2025/1/4更新さぼりを2025正月休みに一気に挽回中。鑑賞日付で公開。【展覧会】テレンス・コンランモダン・ブリテンをデザインする

  • 【展覧会】ルイーズ・ブルジョワ展

    母親への依存とか生家を離れることへの罪悪感とか父親への拒否感とか子をもつこと子を見ることとか精神の深いところに落ち込んで浮上できない短からずの期間のそこでぐねぐねごりごりと重たいものを練って練ってでてくる表現は他愛ないようでいて神経を直接触れてくるような、映さずにいられない何かそれでいて時々とてつもなく(クラシカルな)美しさがあるクラフトの表現布とボタンとビーズと造花、あみぐるみ、ぬいぐるみ頭部も-----ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ言っとくけど、素晴らしかったわ森美術館2024/9/25~2025/1/19https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/bourgeois/index.html(2024.11.25)【展覧会】ルイーズ・ブルジョワ展

  • 【展覧会】特別展「はにわ」

    これほど大量で幅広いはにわを観る機会はあまりないだろう。展示演出と解説も分かり易く、見るべきところを余さず見ることができます。ものすごくたくさん写真を撮りました。やっぱり、動物系がたまらなくカワイイ。カワイイの要素は、ぽやっとした印象の目元口元、末端が小さめの手足、小さいしっぽ、とか。(建物の精緻さはすごいと思うけどカワいくはない)。これは幼児の描く人や動物の特徴と近いかもしれない。あどけなさ。現代人の眼には、武人もカワイイのだけれど、当時はこれは勇ましいもので、この表情はこう造らざるを得なかった定番表現(手わざ的に科学技術的に)なのかもなぁ、とも思いました。-----挂甲の武人国宝指定50周年記念特別展「はにわ」東京国立博物館平成館特別展示室2024年10月16日~12月8日https://www.tn...【展覧会】特別展「はにわ」

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十一月歌舞伎座特別公演 2024年11月

    十一月歌舞伎座特別公演歌舞伎座-----中村虎之介さんの案内で歌舞伎座の裏側を巡り、三人吉三の大川端と、石橋で歌舞伎の雰囲気を楽しみます。歌舞伎座杮落しの時のNHKの特集番組と、コロナ時の玉三郎さんの案内で少し見知った裏側ですが、今回はさらに奥深くまでご案内。面白かった。大道具さんなどの姿を拝見できたのもよく。(2024.11.10)※2025/1/4更新さぼりを2025正月休みに一気に挽回中。鑑賞日付で公開。【歌舞伎】歌舞伎座十一月歌舞伎座特別公演2024年11月

  • 【映画】侍タイムスリッパー

    立ち廻り(映画だと"殺陣"というのかな)が圧巻なのはもちろんのこと、剣劇のほか、日常含め、俳優さんの着物越しに立ちのぼる身体の存在感がものすごい。タイムスリッパーすなわち、見知らぬ身元不明者をも温かくのみこむ人々のやわらかさもまぶしい。-----公式サイト:https://www.samutai.net/(2024.11.9)※2025/1/4更新さぼりを2025正月休みに一気に挽回中。鑑賞日付で公開。【映画】侍タイムスリッパー

  • 【展覧会】シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

    陶芸とアスファルトで描いた作品がとても素敵でフロアを何度も回遊してしまった。つくることと、記憶を預かること。両方ともが、ぶっとい軸となって、どちらにも拠りすぎず、両面どんと押し出す(しかし静謐)な展示構成。持ち続けられず、でも捨てがたく「どうにかしてほしい」と願われているモノ。作品と行動で願いを昇華する活動。胆力と信念のようなもの、思い、が静かで余白のある展示空間に満ちている。会場フロアに敷き詰められた焼き物とか。手ざわりやさしく数がすごみ。時をまとう手ざわりのあるものたちを、暮らしから掘り出し、引き受け、可視化し、保つ。民藝。日本の民藝と共振がありつつも、少し違う感じがするのは、もうちょっと踏み込んでいるというか、モノに対する美的感覚以外の、社会軸での私的価値観(信仰とかそういう次元に近い感じがする)が...【展覧会】シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

  • 【展覧会】日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション

    量と幅とひとつひとつの重量感が圧倒的。高橋氏がコレクションを始めたのは1997年という。ワタシの社会人として過ごしてきた期間と重なっていて、なにをどうしたらこういう選別眼と蒐集力が成立するのだろうと、感嘆とか敬服をみぞおちの下の方に静かにふつふつと沸かせつつ。精神科医であることが、コレクションに加える判断の基調にあるのかもしれないし、展覧会解説にあるように高橋氏の過ごした時代と体験が基盤になってるのでしょう。一作一作のメンタルへのインパクトが大きくて、でも傾向は様々(作家にもよるし、作品が語る時代にもよる)、ゆるやかにボディーブロー※を受け続けながら観覧を進めていくので、なかなかに消耗しました。※懊悩や混乱だけでなく、美しいとか幸せとかカワイイのインパクトもあるので必ずしも痛いわけではなく。発するエネルギ...【展覧会】日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション

  • 【展覧会】大地に耳をすます 気配と手ざわり

    「気配と手ざわり」の副題が表している通り、作品そのものの美しさや愛らしさ峻烈さとともに、その背景にある、作品がそのかたちに至った時間も含めて、感受することができます。制作過程を示す映像もとてもよく。お時間確保しての観覧がおすすめ。出品作家さん(五十音順、敬称略):榎本裕一、川村喜一、倉科光子、ふるさかはるか、ミロコマチコこの5名の方で構成を編まれたというのが、観る方としてはとても充実した体験を得られて、ありがたいことでした。-----大地に耳をすます気配と手ざわり東京都美術館2024年7月20日~10月9日https://www.tobikan.jp/daichinimimi/outline.html#enomoto(2024.8.18)【展覧会】大地に耳をすます気配と手ざわり

  • 【展覧会】デ・キリコ展

    形而上絵画。遠近法の意図的な破綻。"いつもの"モチーフの、構成、再構成、再構成。独自と古典とを行き来する表現技術。哲学への傾倒、戦時に"表情"(ないけど)が抜け落ちた表現を見ていると、心理を描いているように思われるけれど、晩年はちょっと違うなと。何を描いているのかな?と暫く進みながら、なるほど遊んでいるのかなと。初期の肖像画の着衣の生地の質感の豊かさ、マヌカンに現れる縫い目とおぼしきステッチや、刺繍にも見える星印、関節や幾何図形の鋲のような小丸は、クラフトにアンテナが立つワタシには興味深いところでした。後年、造形を多く成されているのと関係あるのかどうなのかしらん。-----デ・キリコ展東京都美術館2024年4月27日~8月29日https://www.e-tix.jp/dechirico/(2024.8.【展覧会】デ・キリコ展

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 八月納涼歌舞伎 2024年8月

    八月納涼歌舞伎歌舞伎座-----世代シフト、次の担い手の充実に明るさを感じた八月。・今月の勘九郎さん色悪系統が突き抜けてた。新三と上月監物。(お役的に色悪という言い方が適切かは分からねど。悪みのキレと色気)・やりこめられる弥太五郎源七のじくじくとした傷を幸四郎さん。・桶職弥六ってひょっと間違うとヒドイ男、嫌われない線をキープしきった巳之助さん。(弥六はどうにも可愛げがあるから仕方ねぇってなってるのかどうなんだ自分)・新悟さん今月もよきよき。(推し)◆第一部一、ゆうれい貸屋二、鵜の殿様◆第二部一、梅雨小袖昔八丈髪結新三二、艶紅曙接拙紅翫◆第三部狐花葉不見冥府路行(2024.8.10)【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎2024年8月

  • 【展覧会】神護寺―空海と真言密教のはじまり

    両界曼荼羅(高雄曼荼羅)を間近で。息をのみ、つい細部を見つめながら視点を動かし続けても、視界に入りきらない4m×4mの"世界"が観るものの観念を覆う。後世につくられた曼荼羅図像の細密な写し。線画も美しい。紺紙金字ほか、文字の姿がありがたみを纏う経文の数々。空海の筆による記録書類。←かっこいい。すごくかっこいい。かの、伝源頼朝像ほか肖像の名作の並びが続き。日光月光菩薩を両脇にした薬師如来像、五大虚空菩薩、四天王、十二神将、二天王。たいへんに見応え。-----創建1200年記念特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」東京国立博物館平成館特別展示室2024年7月17日~9月8日https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2649https://tsu...【展覧会】神護寺―空海と真言密教のはじまり

  • 【展覧会】TRIO パリ・東京・大阪

    パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のコレクションからさまざまなテーマ・視点の下、トリオ展示を構成。たのしいたのしい。表現と、意味や意図や方法に「へぇぇ」と、発見をしながら散歩していく感じ。そういうのを徹頭徹尾、名品づくしでやっちゃえるところがさすがの3館なのでしょう。贅沢。-----TRIOパリ・東京・大阪モダンアート・コレクション東京国立近代美術館2024年5月21日~8月25日https://www.momat.go.jp/exhibitions/558https://art.nikkei.com/trio/ticket/(2024.7.20)【展覧会】TRIOパリ・東京・大阪

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 七月大歌舞伎 2024年7月

    七月大歌舞伎歌舞伎座-----・昼の部と夜の部を1日でハシゴしたらば総じて、情報量が多すぎて※一回観ただけでは消化できない畳み込みがすごい。今月、定額制観劇サービスを試せばよかったと思います。・広いキャスティング、立ち回り大量投入(バリエーション相当量出てるんじゃ?)、多彩な音曲、下座音楽、鳴り物、附け打ち、ケレンにケレン。宙乗り4回/昼夜。かつて7月大歌舞伎は三代目猿之助(猿翁)さん枠だった時代があったのだった。今日見たのは、三代目が蒔いた種と、再発見・新発見が合わさった新しい何かの、完成のはじまりの予感。令和のナントカ(いずれ名前が付くであろう)。※私はIT業界の人間なので、上記において「情報量が多い」という言葉を、コンテンツの濃厚さ・多彩さ、いい意味での過剰の表現として使っています。この"過剰"は、...【歌舞伎】歌舞伎座七月大歌舞伎2024年7月

  • 【展覧会】第2回 Tokyo Gendai

    国内外のギャラリーが小間を構えているのを回遊して、お気に入りを探すのはとても楽しかった。海洋生物を糸のクラフト(編むなど)で表現してたデンマーク(だったかな)の画廊の作品群、クラフト好きにはたまりません。-----第2回TokyoGendaihttps://tokyogendai.com/ja/パシフィコ横浜展示ホールC/D2024年7月5日~7月7日(2024.7.7)【展覧会】第2回TokyoGendai

  • 【展覧会】宇野亞喜良展

    繊細な線。艶やかだったりポップだったりする色彩。時代をあらわしていながら、時代を易々と超えている。少年少女の無性な貌に、ほんのひと雫のみだりがましさのエッセンス。おどろな光景でも清涼さがあるのはお人柄が出ているのだろうか。観終われば、なんだか大きな花束を受け取ったような感慨があった。-----宇野亞喜良展AQUIRAXUNO東京オペラシティアートギャラリー2024年4月11日~6月16日https://www.operacity.jp/ag/exh273/(2024.6.8)【展覧会】宇野亞喜良展

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 六月大歌舞伎 2024年6月

    六月大歌舞伎歌舞伎座-----・昼夜ともみっちり満ち満ちの充実感、昼の部が特にすごい。端の端まで餡のつまった鯛焼きのごとく(←もっとましな表現ないのか自分)。清新と、すずやかな緊張と、祝祭と、密度と、(演目テーマの)重み。・腹の底にじりりとくる、上州土産百両首。獅童さんと菊之助さん。前半の客席めぐりの楽しさと終盤とのギャップ、切ない。・三笠山御殿はニザ様豆腐屋口上御馳走から、出語り葵太夫さん・宏太郎さんで豪華お局がたは重量級の華やぎ(観客視点)から徐々に熾烈、の先の時蔵さん花道七三疑着の相。・夜の部は、どこを切っても瑞々し。フレッシュフレッシュフレッシュ。◆昼の部一、上州土産百両首二、義経千本桜三、妹背山婦女庭訓三笠山御殿六代目中村時蔵襲名披露狂言◆夜の部一、南総里見八犬伝円塚山の場二、山姥初代中村萬壽襲...【歌舞伎】歌舞伎座六月大歌舞伎2024年6月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 2024年5月

    團菊祭五月大歌舞伎歌舞伎座-----・毛抜、錦の前(男寅さん)の眼使いが可憐でドキドキした。・菊之助さん水野と團十郎さん長兵衛はゴールデンコンビではなかろうか。・先代萩、飯炊きのプロセスと減食の切羽詰まった状況が重厚。・四千両小判梅葉は、幕間反転の都度「こういう夢をみた」っていう脳内ナレーションが。◆昼の部一、鴛鴦襖恋睦二、歌舞伎十八番の内毛抜三、極付幡随長兵衛◆夜の部一、伽羅先代萩二、四千両小判梅葉(2024.5.19)6月の梅枝さん(→時蔵さん襲名)のお三輪、楽しみにしています!【歌舞伎】歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎2024年5月

  • 【展覧会】大吉原展

    歌舞伎観劇する私には資料的にいろいろ学ぶところがありました。-----大吉原展東京藝術大学大学美術館2024年3月26日~5月19日https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2024/03/yoshiwara.html(2024.4.21)【展覧会】大吉原展

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 四月大歌舞伎 2024年4月

    四月大歌舞伎歌舞伎座-----・愛之助さん、団七九郎兵衛とお辰二役!・夜の部みとれ言葉なし。◆昼の部一、双蝶々曲輪日記二、七福神三、夏祭浪花鑑◆夜の部一、於染久松色読販二、神田祭(2024.4.7)【歌舞伎】歌舞伎座四月大歌舞伎2024年4月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2024年3月

    三月大歌舞伎歌舞伎座-----・寺子屋、従来よりも機微がくっきりしてた印象。よその子をそう扱うことの罪深さとか。現代の感性に少し寄せたのかな。・御浜御殿のお座敷の広大な空間を介した綱豊卿と助右衛門の緊迫、後を申せの一括にシビれる。丁寧。・昼夜通して梅枝さん新悟さん活躍ホクホク。梅枝さんの舞踊所作の加減速が快でスキ。・伊勢音頭ってどうしてそこでダマされちゃうのってハラハライライラの物語に、素敵役者を多数投入して華やかし笑いありからうわぁな屈辱から鮮烈な殺しの場に持ち込んでて、改めてすごいなと。たしか梅玉さんの襲名で歌右衛門さんの万野を観た。まだ歌舞伎見始めた頃。年ふった私は今回、魁春さんのすばらしい万野を観て、万野は貢にねじれた恋情(のようなもの)を持っているのかもしれないと思ったりした。決して手に入れるこ...【歌舞伎】歌舞伎座三月大歌舞伎2024年3月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 猿若祭二月大歌舞伎 2024年2月

    ◆昼の部・籠釣瓶に継承と新時代をみる。次郎左衛門の重層的な反転。八ツ橋の愛らしい浅はか。+御馳走すぎる脇。がんばれ七さん。・鶴松さんの野崎村・お光。道理じゃ。泣。一、新版歌祭文二、釣女三、籠釣瓶花街酔醒◆夜の部・すし屋はこのフォーメーションが定番ユニットの1つになるのかもしらん。・おおっと、やるなぁ…(長三郎さんの仔獅子を観)。親子獅子も僧侶も長唄・囃子方も瑞々しく満ち。・福助さんのお姿嬉しいです。一、猿若江戸の初櫓二、義経千本桜すし屋三、連獅子(2024.2.9、2024.2.11)【歌舞伎】歌舞伎座猿若祭二月大歌舞伎2024年2月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 2024年1月

    1月は感想書くのを忘れていました。初春らしい演目ほんわか+渋め近代歌舞伎でじっくり味わう心理表現+次世代道成寺----------◆昼の部一、當辰歳歌舞伎賑五人三番叟英獅子二、荒川十太夫三、狐狸狐狸ばなし◆夜の部一、鶴亀二、寿曽我対面三、息子(むすこ)四、京鹿子娘道成寺(壱太郎さん回)(2024.1.6)【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2024年1月

  • 【歌舞伎】新春浅草歌舞伎 2024年1月

    ◆夜の部お年玉は米吉さんでした!(世情に配慮のご挨拶)出演俳優さんのかなりの方は今回で新春浅草を卒業とのこと。歌舞伎座でも重要な役につく機会の増えたみなさん、さもありなん。重厚な立役もしっくりき始めています。流星の種之助さんの変面みごと。全身から発する"健やか"清々し。巳之助さんの声色の幅に感嘆(義経と岩上)。魚屋宗五郎、そう遠くない未来、今回に近い顔ぶれで、木挽町で再見するのでしょう。(2024.1.3)書くの忘れてた。紋付で歩む姿を捉えたポスター、みなさんよいお顔で惚れ惚れです。【歌舞伎】新春浅草歌舞伎2024年1月

  • 【映画】PERFECT DAYS

    東京のなかにある景色、平山の暮らしの光景、の切り取り方・つくりかたとか、役所広司さん演じる平山の表情のありようとか、ちいさなエピソードの積み方とか。時を経るということと、みずみずしさと。ことし年明け最初の日に目に心に入れるのに、最良のものでした。-----公式サイト:https://perfectdays-movie.jp/(2024.1.1)【映画】PERFECTDAYS

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十二月大歌舞伎 2023年12月

    歌舞伎座新開場十周年十二月大歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部一、旅噂岡崎猫二、今昔饗宴千本桜超歌舞伎PoweredbyNTT・客層(というかそのファッション)が新しい雰囲気に満ちてる第一部、「旅噂岡崎猫」外連味大盛・猫いろいろ、巳之助さんの所作(老身/怪異)さすが+着ぐるみ猫見た目ファンキーなのに身体能力すごくて格好いい。・「今昔饗宴千本桜」、超歌舞伎は現物初めて。新しい”楽しい”。ライブ。超歌舞伎初心者をも包括する導入から場内巻き込みまで観客に遂には一歩を踏み出させるインタラクティブ(初めて屋号発声しましたよ)、3DCGの表現に舌を巻きつつ、生身の演者さんがうまく(CGを分断させない工夫を気づかせないくらい)呼応しつつ歌舞伎としての見せ場くっきり、立ち回りも大道具も鳴り物も工夫盛り盛りで隅々までみっちり...【歌舞伎】歌舞伎座十二月大歌舞伎2023年12月

  • 【歌舞伎】新橋演舞場 流白浪燦星 2023年12月

    流白浪燦星新橋演舞場-----観てる最中はシンプルに楽しんでいたので、以下は観劇後に思い返した振り返りです。・「ルパン三世」は広い世代に共有されている符牒を多く持つ活劇なのだとあらためて気づくとともに、それゆえ荒事歌舞伎表現と相性がよいのだと感心(でもワルサーP38とカーチェイスは割り切ったんだな。。)。随所に入る立ち回りは速い・鋭い。クライマックスに本水。・物語に重層さ・謎解きありつつ、主要5人のコミュニケーション表現が本質というところは世話物歌舞伎表現と相性よく、ルパン次元五右衛門の会話が「いい」のもみどころ。・今回もっとも、笑三郎さんの次元が、事前に想像できなかったのですが、実にしっくりでびっくり。声色。声優できそう。(2023.12.9)・唐句麗屋の不二子ちゃんへのおいたには、回避か反撃の演出に持...【歌舞伎】新橋演舞場流白浪燦星2023年12月

  • 【展覧会】棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ

    さまざまを吸収し錬成して手先からかたちに映しているようであり、それが思考を超えていて生きることそのものであったようだ。芸術家、であるのだろうが、手仕事のひと、の側面に、より惹かれる。-----生誕120年棟方志功展メイキング・オブ・ムナカタ2023年10月6日~12月3日東京国立近代美術館https://www.momat.go.jp/exhibitions/553https://www.munakata-shiko2023.jp/(2023.11.25)【展覧会】棟方志功展メイキング・オブ・ムナカタ

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎 2023年11月

    歌舞伎座新開場十周年吉例顔見世大歌舞伎歌舞伎座-----・マハーバーラタ、2017より高練度、全体的にすばらしく再見したいていうかVで繰り返し見たい。芝のぶさん大活躍。立ち回りは1.5倍速か2倍速。舞台写真パノラマで背景画全体を入れたのがほしい。・松浦の殿様のお可愛らしいこと。みえないところに胆力を感じ。・鎌倉三代記、高密度。長丁場も緊張途切れず。夜の部は春調娘七種までみっちり。しっぽまで餡の詰まったたい焼きな11月。◆昼の部極付印度伝マハーバーラタ戦記◆夜の部一、秀山十種の内松浦の太鼓二、鎌倉三代記絹川村閑居の場三、顔見世季花姿繪春調娘七種三社祭教草吉原雀(2023.11.11)ナウシカを経て今回のマハーバーラタで、歌舞伎の枠組みに新しい物語(と異文化情緒)を組み入れる方法論が確立されつつあるのではない...【歌舞伎】歌舞伎座吉例顔見世大歌舞伎2023年11月

  • 【映画】ザ・クリエイター/創造者

    AIを殲滅しようとするUS軍、AIと共存しているアジア圏という構造で。子供のなりをしたそれは自己成長型で、影響範囲無限大に至る勢い。絵はよくできてて、アナログ&レトロで鄙な光景と、SF的未来都市や兵器の造形。SFのスタイルで描かれたおとぎばなし。国家の自己中心性に立った暴力の行使への批判。理不尽でためらいがなく無差別な暴力が、生活を破壊する様を何度も何度も見せつけている。AI(機械+知能)を題材にしているけれど、人工のレベルが超ド級なのでほぼ神、このあとこの子はどうなるのであろうと見終わって考えずにはいられない。-----公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/thecreator(2023.11.8)【映画】ザ・クリエイター/創造者

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 錦秋十月大歌舞伎 2023年10月

    歌舞伎座新開場十周年錦秋十月大歌舞伎-----・天竺徳兵衛は転換山盛り、予習推奨ですね。蝦蟇なかみホンモノだった!!・新悟さん活躍。巳之助さん、桂之介みたいな役もよいですね。・文七元結、ひとりの人に複数の側面の同居が自然(獅童さんとしのぶさん)。◆昼の部一、天竺徳兵衛韓噺二、文七元結物語文七:大道具モダン。物語が鮮明に立ってるぶん歌舞伎っぽいご都合な転向は多少浮き感出るなぁ。別日で夜のチケット取ってたのですが、発熱で観れず。残念。(2023.10.20)【歌舞伎】歌舞伎座錦秋十月大歌舞伎2023年10月

  • 【映画】ジョン・ウィック コンセクエンス

    キアヌ・リーブスによるジョン・ウィックのシリーズ第4作です。導入部で前3作のあらすじをさっと流して、つまりは、戦闘が必要な状態に至っているところからスタートですから、もう最初っから撃って打って蹴って切って刺してぶん投げて、が、ほんとうにみごとに途切れのない流れで繰り出されていきます。前作の感想でも繰り返し書いてるのですが「すごすぎて笑う」。インターナショナルに転戦する本作では、各国の景色の中でのバトルやカーチェイス、ロケハンすげー!!(あるいはそっくりにしつらえたセットか?CGか?それもならそれですげー)と、折々に差し挟まれる天井が高い建物がうみだす、神とか人智超えの意思の思わせぶりと、主役級の俳優陣の、素人目にもものすごく高度高価で、せくすぃな身体を際立てるスーツとかみどころが絶え間なし。ラウンドアバウ...【映画】ジョン・ウィックコンセクエンス

  • 【展覧会】超絶技巧、未来へ!

    どれだけ微細な感覚の指を、身体を、眼を、もってこれらをなしているのだろう。美の感覚と技と両方なくては成立しえない。それと、執念にもにた拘りだろうか。明治の超絶技巧に目をみはったのは、2014年のこと。当時のブログに「時を経て、触れずに距離を置いて鑑賞するもの、に変わって行った様子も何となく察せられて、私たちは美術館の展示品としてしか観ることができないのも、少々さびしいことだな、などと過ぎし時代をうらやましく思ったりした。」などと書いていました。現代の超絶技巧も手に取るものではないですが、明治の遺産(今回は後半に展示あり)を見たのとはまた別の感慨も持ちました。それは、私がさいきん、クラフト(主に編・刺・ガラス)に興味と愛情を持っているからかも。出展作は超絶技巧で、表現テーマに抽象的概念が置かれ、工芸(クラフ...【展覧会】超絶技巧、未来へ!

  • 【展覧会】蔡國強、ホックニー、横尾龍彦

    新美の蔡國強展、現美のデイヴィッド・ホックニー展の感想を書きあぐねて(特にデイヴィッド・ホックニー展は気持ちが満たされすぎ、あふれてなにも書けない感じで)、そのまま埼玉県立近代美術館の横尾龍彦展に行って、ワタシ的には全部つながった感じなので、1記事で書きます。横尾龍彦展は、鎌田東二氏の水沢勉氏との特別対談も目当て(大人気焦った。追加席でぎりぎり入。岩笛・横笛・法螺貝実演、貴重)でした。対談でくしくも、蔡國強氏との交流の話が出てきたり、横尾龍彦氏の見え方への意識の向け方に、思わぬホックニーとの共通要素を見出したり。横尾龍彦氏のことは実はよく知らなかったのです。わたしはザオ・ウーキーがとても好きで(19世紀末ウィーンも好きですよ)、だから横尾作品は、観てみればとても好きな部類の表現で、知ることができてよかった...【展覧会】蔡國強、ホックニー、横尾龍彦

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎 2023年9月

    秀山祭九月二世中村吉右衛門三回忌追善歌舞伎座-----今月は少し長く書いてしまいます。--二世吉右衛門追善というタイトルを帯びてから、「秀山祭」は別格のものになった。私の観劇ライフの大部分を二世が占めていたから、だろうか。(初代吉右衛門の現役活躍時代を私は知らない)。かつての九月は、私には、滋味の時間だった。昨年は初めての二世追善ゆえかと思ったのだけれど、今年もまた格別だった。九月秀山祭は、変容したと思う。成熟も若さもそれぞれのが満ち満ちた。あの雰囲気は、うまく言えないのだけれど、一番近いイメージは、ソーシャルグラフかなぁ。真ん中に二世、役者さんたちをおだやかにつないで、上から色をかぶせることなく、それぞれが在るけれどバラバラではない。間をつなぐネットワークを流れるものは何だろう。愛?(照)。2階のポスタ...【歌舞伎】歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎2023年9月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 八月納涼歌舞伎 2023年8月

    歌舞伎座新開場十周年八月納涼歌舞伎歌舞伎座-----・納涼、かつての中堅チャレンジ元気枠から演者がベテランに移行して新しい若手もいっぱい入ってて感慨深い。・第一部は全般、愛らしいの盛り盛りだった(次郎長外伝もね)。酒呑童子後半はダイナミック。・新門辰五郎の終幕場面、こころに来る。◆第一部一、裸道中博徒緒川の勝五郎二、大江山酒呑童子◆第二部一、新門辰五郎二、団子売◆第三部新・水滸伝(2023.8.62023.8.9)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#投稿忘れてた(9月に投稿)。【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎2023年8月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 七月大歌舞伎 2023年7月

    歌舞伎座新開場十周年七月大歌舞伎歌舞伎座-----・「菊宴月白浪」仮名手本の刷り込みから善悪変換、起承転転転転転転転転転結、的な展開(たまにお茶目)、脳内なかなかハードでした。演じるほうもすごい集中力要りそう。中車さん宙乗り往復も入れて全編張る。・今月は児太郎さんが印象深い。神霊矢口渡と法楽舞。・め組の喧嘩の、喧嘩みどころ。-----◆昼の部通し狂言菊宴月白浪忠臣蔵後日譚◆夜の部一、神霊矢口渡二、神明恵和合取組三、鎌倉八幡宮静の法楽舞(2023.7.8)#2023年の歌舞伎座観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。【歌舞伎】歌舞伎座七月大歌舞伎2023年7月

  • 【歌舞伎】新橋演舞場 刀剣乱舞 2023年7月

    新作歌舞伎刀剣乱舞新橋演舞場-----松也さんの三日月宗近はじめ、六振りの刀剣男子の大活躍、はちきれんばかり。歌舞伎役者の身体と、とても相性のよい演目だなぁと。松也さんがソロでバーンと見得を切るシーンとか、決まる決まる。かわいい、かっこいい、きれい、たのしい。↑本作は”かわいい”要素が多く入ってるのが特徴的だと思う。役者さんの表情にもあるし、衣装や道具のはしばしに。刀剣側だけでなく敵方もふくめ。そして、立ち回りが、すごく、すごく、いい!序盤のワイヤーでの客席にはみだす3D的な跳躍に度肝をぬかれ、終盤の階段での圧倒的な演出・演技に息をのみ。劇中、客席通路も大胆に使って、カーテンコールはインタラクティブにファンサ。さいご写真OKって、どんだけ太っ腹。(撮ったのですがこのサイト写真入れられないのです、すいません...【歌舞伎】新橋演舞場刀剣乱舞2023年7月

  • 【映画】リバー、流れないでよ

    もとは舞台劇なの?と思うほど不条理がコンパクトにまとまっていて、雪景色のいったりきたりと水流の画像に知覚を乱されつつときどきくすくす笑ったりツッコミ入れたりしながらなりゆきをみまもる。座席でじっとみているのに、身体疲労感を得てしまい(階段が…)、人間の脳のミラーリング能力すごい、と妙な感慨も持ったのだった。作家と猟友会?の体験がインパクトあるよな。-----公式サイト:https://www.europe-kikaku.com/river/神社と旅館のしつらえがすてきで、舞台効果満点。ほわほわした設定のものがたりの足元をしっかりさせている。(2023.7.1)【映画】リバー、流れないでよ

  • 【展覧会】ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開

    圧巻でした。量・質。19世紀末の抽象絵画の始まりから、大戦を経て20世紀後半に至る展開を、ヨーロッパからアメリカへ、あるいは日本/日本人画家への波及も切り口として各時代の特徴を見せる作品の総覧。各コーナーの解説文が、たっぷりかつ簡潔に学べる構成になっていて、追って読んでいくにつれ、知識が整理され補充されていくことに充実を感じつつ、一方で一点一点がそれぞれに強力な輝きを発する作品が、しかも大判多数で、3フロアにわたってずらりと並び、視覚もまんぞくまんぞく。ゆっくりじっくり観たら2時間では足りない。抽象画なら何でも心動くわけではないけれど、この展示では眼福たっぷり。そしてやっぱり、ザオ・ウーキーが一番好き。図録、購入しました。こちらも圧巻(厚さも)。観覧中の解説文を再読したく。抽象絵画のゆたかな教科書としてお...【展覧会】ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 六月大歌舞伎 2023年6月

    六月大歌舞伎歌舞伎座-----・ども又、なぜこれが繰り返し上演されるのか、どこが難所なのかが、あらためて思われた今月。・いがみの権太、思えば変転多く説得力持たせにくい難しい役…そんな余分な思考など差し挟む隙もなく食い入るように観させられた。最期はうすく微笑むのだなぁ。・歌六さんと東蔵さん、幅広く演じていつもどこか一角を占めておられる、代え難い、大事。大好きです。・扇獅子、楽しむのと応援と。ほかの演目も若い役者さんが多く活躍し始めている。追記:ここさいきん新悟ちゃん(愛をこめてちゃんづけ)から目が離せない。追記:児雷也、蝦蟇。のっそり。びったんびったん。ぱっかーん(口)。ブキかわいい。かわいぃぃぃ←萌えている-----◆昼の部一、傾城反魂香土佐将監閑居の場浮世又平住家の場二、児雷也三、扇獅子◆夜の部義経千本...【歌舞伎】歌舞伎座六月大歌舞伎2023年6月

  • 【映画】怪物

    観客が暗に脳内に構成する”設定”は、やわらかくけれどきっぱりと、反転させられる。2度。印象的な出来事、景色、天候、衣服の色、ことば、小さな物たちは、”あのとき”を特定する符牒として緻密に配置されている。ああ、なるほど、と思いながらも、ちくちくと硝子の破片の触れたように胸が痛むのは、登場する誰かに対する批判的な心情を持った罪悪感、ではなく、透明感にあふれる”彼ら”の、青葉のような感性が直面しあるいは直面するであろう理不尽の予感からだろうか。解釈をどう述べようとしても、言葉にしたら陳腐になりそうで書けない。うけとって、かかえて、苦みや痛みやねがいなど、小さな種々の情動が、わらわらと手の内に在るのを、ジャッジせずにあるがまま持っていられるかを試されている気がした。-----公式サイト:https://gaga....【映画】怪物

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 2023年5月

    團菊祭五月大歌舞伎歌舞伎座-----・髪結新三、スキッと切れよくとてもよかった。特に終盤三人の場面。・眞秀さん初舞台。堂々。声よく、足腰強そう、腰高い割にぶれないすごい。足の親指とひとさし指が開いてた。・若き日の信長、達陀など、いくつもの大人数で演じられる場面が印象的。眞秀さんご本人にも目を瞠りましたが、手仕事作品が大好きな私は祝幕にも目を奪われ、3階席からの全景では我慢できず、1階の幕の真下から至近でしげしげと拝見してしまいました。明るく愛らしい。モンテックス謹製。-----◆昼の部一、寿曽我対面二、若き日の信長三、音菊眞秀若武者岩見重太郎狒々退治初代尾上眞秀初舞台◆夜の部一、宮島のだんまり二、春をよぶ二月堂お水取り達陀三、梅雨小袖昔八丈髪結新三(2023.5.6)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残...【歌舞伎】歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎2023年5月

  • 【映画】帰れない山

    彼らの、この痛みを感じるほどに強いつながりは、何であろうか。自分のしたいこと・居場所を自覚してひたすらそうあろうとする片割れにおのれを照らして自らに問いをなげつづける片割れ。「俺は好きなことをする」(ブルーノ)かれらの人生のできごとは、自然の光や冬の怖さ厳しさとも重なってみえ、分かりやすく完結するドラマパッケージと一線を画す厚みがある。観る者は、清涼も渋みもふくめてなんども噛み締めざるをえないだろう。-----公式サイト:http://www.cetera.co.jp/theeightmountains/(2023.5.5)【映画】帰れない山

  • 【展覧会】マティス展 と ルオー展

    マティス展とルオー展、中1日で観覧。ほぼ同時代を生きて、同じ師匠(モロー)の下で学んだふたり。マティス1869–1954、ルオー1871-1958。今回は、どちらの展示でもあまり交友は語られていませんが、戦中にそれぞれが作品を寄せた「ヴェルヴ第8号」はどちらの会場にも展示があります。マティスは、神経に、さわ、と触れる感じ。ルオーは、皮膚の触感を想起させる感じ。観覧後に改めて、それぞれが同時代に何を描いていたかを並べると興味深い。マティスがフォーヴィスムに至るころ、ルオーの描く人物像は精神性を強め。制作活動に戦争の影響を受けながらも、表現を模索し。晩年、切り紙絵と装飾的コンポジション。かたちとマチエール。そうしてどちらも、わたしにとっては、こんなふうに描けたらここちがよいだろうなと思う表現なのである。---...【展覧会】マティス展とルオー展

  • 【映画】サイド バイ サイド 隣にいる人

    テンポといい展開といい、安易な予想の線上にはない。台詞の間合いが割と長いのだけれど、そういえば誠実に言葉を口にしようとしたらこういう感じになるよな、と思う。ものがたりに、激しい変動があるわけではないのだけれど、よくよくみればあんがい、とくべつなことがおきているようだ。ひととひとのかかわりからそれは生じていて、やわらかく、優しく、そうして不可逆で少し切ない。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/sidebyside/(2023.4.15)【映画】サイドバイサイド隣にいる人

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 鳳凰祭四月大歌舞伎 2023年4月

    歌舞伎座新開場十周年記念鳳凰祭四月大歌舞伎歌舞伎座-----柿葺落から10年。会社を休んで手打式に行った思い出。当時ティーンの役者さんがいまは主役級をつとめている。・新・陰陽師、猿之助一座はいつも隅々まで猿之助さんの気(テンション)が満ち。工夫色々、言葉遊び・名台詞ぶっこみ、美麗と血糊、立ち回りそれぞれエッジ効いてて。百足。・ニザ玉でお富与三郎、瑞々しさがすごい。仁左衛門さんと距離1mで興奮の1階17列。・松緑さんちの連獅子、清冽さ迸る所作。キレと品。ブレない。左近さんたいへんによく。-----◆昼の部新・陰陽師滝夜叉姫◆夜の部一、与話情浮名横櫛木更津海岸見染の場赤間別荘の場源氏店の場二、連獅子(2023.4.8)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#今月は少しはみ...【歌舞伎】歌舞伎座鳳凰祭四月大歌舞伎2023年4月

  • 【映画】シン・仮面ライダー

    感想まとめにくい作品なので、箇条書きにします。・バイク走行、空中戦、真剣、戦闘みどころ多い。・サイエンスっぽいリクツが、イマドキなサイバー要素入れて、よく練られてる。空中元素固定装置+ヨガ(の呼吸、プラーナ)、トランスヒューマニズム…・(TV放送見てた世代として)TVプログラムにおけるフレーミングはそうかこういう感じだったとニヤつく。-どうやって侵入したかは端折っていいし「どうやって入った」とは問わない-屋外の広い場所に移動して戦闘-そこがどこかというリクツは不要-山を背景にした平地、コンビナート、操車場、、・悪役のおまぬけ要素(キュートの素)にもニヤつく。・文字通り破壊的な身体能力を表現するためとはいえチノリガー。・キャスティングがリッチ。演技派ならぶ。排他性質キャラ並ぶが全体はウェット。・森山未來さん...【映画】シン・仮面ライダー

  • 【映画】Winny

    リアルの成り行きをうっすら知っているから、観たら苦いだろうなと思ったけれど、観ておかなければいけない気がした。当事者の方と世代が近いし、IT業界にいるので、この事件は外形的には知っていた。当時の私は、今よりも”人”を重く扱えていなかったし、つくったモノの機能に関する争いとして見ていたと思う。人の創造性、ひいては人生が賭された場面であると気づけなかった。見過ごしを直視する。エンドロールでのご本人の映像と、作中の東出さんの見せる人物像の重なりがおおきいことも影響している。ああ、こういう技術者のひと、いる。いるよ。純で、尊敬できて。悲しいね。Winnyに関する裁判に、もう1つ別の告発、ものがたりは、2つが平行で語られる。なぜこの語り口にしたのかな。批判でなく素朴に、意図に興味。-----公式サイト:http:/...【映画】Winny

  • 【映画】美しい彼~special edit version~

    これたしかTVコンテンツですよね?とても繊細につくりあげられている。景色も、人と人も、どこを切り取っても、きらきらときれい。人物と人物の物理的な距離とか、髪ひとすじ、折々のシーンの微細な表情、首の角度、まばたきひとつ、ゆびさきひとつ。彼の志向はちょっとしたら粘着性に見えるほんの手前のところで若くて繊細な感情として画面に現れる。原作がそうなのか、脚本・演出・演技の功なのか。両方か。-----公式サイト:https://www.culture-pub.jp/news/239/#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)【映画】美しい彼~specialeditversion~

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2023年3月

    歌舞伎座新開場十周年三月大歌舞伎歌舞伎座-----・「花の御所始末」幸四郎さんの義教、えもいわれぬ味。絶対的徹底的な悪。ほんの僅か滲む弱さ。・第二部第三部続け観、鴈治郎さん大活躍。それぞれぜんぜん違う。さすがの幅。・「廓文章」玉三郎さんの可愛らしさ眼福この上なく。愛之助さん線の細さ出てスケールアップ、最近見るの楽しみ。-----◆第一部花の御所始末◆第二部一、仮名手本忠臣蔵十段目二、新古演劇十種の内身替座禅◆第三部一、髑髏尼二、夕霧伊左衛門廓文章(2023.3.5、2023.3.11)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)【歌舞伎】歌舞伎座三月大歌舞伎2023年3月

  • 【映画】エゴイスト

    見る前、恋愛の、話なのだろうと思っていた。ちょっとドロドロしてたりするのかしら、とか。恋愛の話だった。だけどむしろ、"一緒に生きていく"ことの喜びと重さとか。社会での立ち位置の異なるふたりが最大限近くに在りつづけようとする姿が描かれていたようにも思うし、終盤には"縁"て何だろとも思った。(後半~終盤は別の角度から心に来るところがあったけれど、下手に書くと、ネタバレになってしまうので、以下自粛)。龍太(宮沢氷魚さん)の白い肌に朱が差すさまをともなう微笑みが、うたがいようもない純性を表していて、浩輔(鈴木亮平さん)の思いやりと恣意っぽさ、企業社会の人らしい、無自覚に持っている行動形式の枷みたいなものを行き来する様は、観終わって振り返れば、さすがの感がある。-----公式サイト:https://egoist-m...【映画】エゴイスト

  • 【映画】仕掛人・藤枝梅安

    皮膚が。面の皮が。それだけでここまで物語るのだ。一種の驚きというか。崇高なものを感じさせる何かというか。行燈の薄暗い室内にあって、映画館の大画面のアップショットがとらえる男性俳優陣の貌は、皺、しみ、たるみをあらわし陰影を備える。高解像度化に伴って、つるつるとしみもなく毛穴もみえないキレイな面皮をスタンダードとしつつある昨今のあれこれとは一線を画す彼らの相貌は、たいへんに、とてつもなく、味わい深く、存外に醜さを感じることがなく、ここまで徹底しているということはメイクなのか、とも思いつつ。当然に俳優それぞれ異なる個性・唯一無二であること、その人生の時間の降り積もった結果としての身体であることを示し、梅安(豊川悦司さん)、彦次郎(片岡愛之助さん)、蔓役その他の関係人物の背景の厚みに重ねられている。そこにたぶんわ...【映画】仕掛人・藤枝梅安

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 二月大歌舞伎 2023年2月

    歌舞伎座新開場十周年二月大歌舞伎歌舞伎座-----第二部一、女車引二、船弁慶第三部通し狂言霊験亀山鉾-----・「女車引」私の好きなお三方、魁春さん雀右衛門さん七之助さんが、お三方だけの舞台。よきよき。・「船弁慶」鷹之資による、静御前、平知盛。長丁場を持ち切る。力量。・「霊験亀山鉾」初見にて仁左衛門さん一世一代。素人目にもたいへんに高難度な演目なのだろうと。繰り出す見せ場の連打連打。走り抜けた。30年超の観劇人生で最も舞台に近い席で、まばたき惜しんで拝見。(2023.2.4)【歌舞伎】歌舞伎座二月大歌舞伎2023年2月

  • 【歌舞伎】浅草公会堂 新春浅草歌舞伎 2023年1月

    新春浅草歌舞伎浅草公会堂-----第一部一、双蝶々曲輪日記引窓二、男女道成寺-----・引窓、フレッシュ、ゆえに、リアリティ。・巳之助さんの狂言師に見惚れ。新悟さんの花子に応援の拍手。・出語りの宏太郎さんのお三味線みれてうれしい。(2023.1.15)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】浅草公会堂新春浅草歌舞伎2023年1月

  • 【展覧会】江戸絵画の華 <第1部>

    離れておおきくみてよし、近づいて細部みてよし。「松竹梅群鳥図」松竹梅、に、八十八の鳥がお出迎え。谷鵬「虎図」の毛並みに唸り。水上景邨「牡丹に唐獅子図屏風」に口元ゆるみつつ畏敬も感じる不思議。若冲「鳥獣花木図屏風」、とても近くでゆっくりと見れた。多少見知っていたはずだったけれど、発見も多かった。これからも、みてもみても、発見は尽きないに違いない。何故こんなに穏やかなのだろう、微笑み感ある、無垢の動物たち。鶴、ほか、墨でのしごと、筆づかいの妙、かたちの妙。この方は生涯にどれくらいたくさん描いたのだろうと思う。屏風の名品、肉筆浮世絵、みどころ尽きず。ブライスコレクションから出光美術館コレクションへ。持っていらした側、受け継いだ側、それぞれに大きな感謝と敬意を。-----江戸絵画の華<第1部>若冲と江戸絵画出光美...【展覧会】江戸絵画の華<第1部>

  • 【展覧会】京都・智積院の名宝

    いずれも眼福ながら。感じ入ってしまった「楓図」。風の気配、ざざという葉擦れがきこえ、少しひんやりした気温を感じる。立ち止まり熟視し、戻って観、座って観、その前を立ち去りがたく。ほか「桜図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵図」「雪松図」が並ぶ空間にはいつまでも身を置いていたかった。経文もすばらしくて、「金剛経」の清廉に胸うたれ。「阿字観」もよかった。「刺繍法華経」にも違う感性でフラグ立った(クラフト)。興味津々。-----京都・智積院の名宝サントリー美術館2022年11月30日~2023年1月22日https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2022_5/index.html(2023.1.7)【展覧会】京都・智積院の名宝

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----第一部一、卯春歌舞伎草紙二、弁天娘女男白浪第三部花街模様薊色縫十六夜清心-----・卯春歌舞伎草紙観客の目にお年玉。・弁天娘女男白浪この配役おもいのほかいい。・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。(2023.1.3)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2023年1月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----第一部一、卯春歌舞伎草紙二、弁天娘女男白浪第三部花街模様薊色縫十六夜清心-----・卯春歌舞伎草紙観客の目にお年玉。・弁天娘女男白浪この配役おもいのほかいい。・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。(2023.1.3)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2023年1月

  • 【映画】THE FIRST SLAM DUNK

    すごい。すごいすごいすごい。山王戦をじっくりと。井上雄彦さんの絵の力を再認識する。漫画画面のあの雰囲気、迫力、重量と質量、美しさ、を滅することなくさらにアニメーションでしかできない表現が重ねられた劇場の大画面に圧倒された。「FIRST」は、当初のプロットがリョータを主軸にあてていたということなのだろうか。どこか、プレスか何かにFIRSTの由来が語られているのかな。水彩のような肌の着色、貌の影のつきかた、リアリティの濃い身体動作表現、30年を経た今の技術で可能になった表現でもあるのだろう。エンドロールのスタッフの人数構成もそういう印象。-----公式サイト:https://slamdunk-movie.jp/連載オンタイムから30年経過して観る方も歳とって涙もろくなってきてるのか、「ここで泣くのかお前」(対...【映画】THEFIRSTSLAMDUNK

  • 【映画】ルイス・ウェイン

    「ルイス・ウェイン生涯愛した妻とネコ」。カンバーバッチが主演の時点で察するべきだったのかもしれないが、あんがいほろ苦いやつだった。-----公式サイト:https://louis-wain.jp/(2022.12.1)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。【映画】ルイス・ウェイン

  • 【映画】グリーン・ナイト

    「ダークファンタジー」よりも「寓話」の表現のほうがしっくりくる。ロケハンとCGとセットがなめらかに融合して、かつてのイングランドの陰影が特徴的で美しい景色を表現し、衣装と道具には再現と創造のすばらしい統合がみられる。予定調和でないなりゆきに、最初、少し戸惑ったのだけれど、観終わったら、なぜかわからないけれど、とても豊かな感じ。深くて厳しくて優しい"智慧"のにおいがする。-----公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/greenknight/(2022.11.30)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。【映画】グリーン・ナイト

  • 【映画】ある男

    やりなおしたいとかそういうことじゃないのだ。選びえない人生の構成要素。その選択によって得られたもの。むなしさもまた。選択の作用は図りえない、予想できない、そして誰も評価することはできないのだろう。-----公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/a-man/(2022.11.20)【映画】ある男

  • 【映画】土を喰らう十二ヵ月

    四季の地物を味わう光景がつづられているであろうということ以外あまり想定せずに見に行った。思いのほか人間ドラマだった。自然とのことのほかに、老いとか終のなにかとか。古民家の庭先に折々の野菜や実もの、暖房や給湯器がなさそうな、竈のある台所に素朴ながら上質そうな器たち。味噌、漬物、干柿、胡麻の実、雪の下の青菜、大根、山にはきのこ。手を使う日々のたべものは、丁寧を重ねてできあがって食べるのは一瞬。真知子は思い切りがよくて、惜しまないツトムの表情は愛情か。シビアな成り行きにはリアルな苦み、丁寧に描かれる田園のくらしはむしろ寓話性。滋味。-----公式サイト:http://tsuchiwokurau12.jp/(2022.11.16)【映画】土を喰らう十二ヵ月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十一月吉例顔見世大歌舞伎 2022年11月

    十三代目市川團十郎白猿襲名披露十一月吉例顔見世大歌舞伎歌舞伎座-----何はともあれ。十三代目市川團十郎白猿襲名、新之助さん初舞台、おめでとうございます。夜の部、口上を挟んで歌舞伎十八番の2本立て。矢の根と助六由縁江戸桜。矢ノ根の幸四郎さんの五郎はやんちゃな愛嬌に頬ほころぶ。馬かわいい。口上、国宝級で占める渋さ。助六由縁江戸桜、成田屋を観た!感たっぷり。目の保養度も抜群。2時間超の長丁場、ゆるめのテンポの演目ながら多彩な演者が入れ替わり立ち代わり舞台を織りなして充実。傘の揺るがなさに目がいったり。(花魁道中でも)。股くぐりのゲストがいずれも愛らしくてすごかった。発声者限定ながら大向こう復活うれしい。黙食でかべすも復活。(2022.11.13)【歌舞伎】歌舞伎座十一月吉例顔見世大歌舞伎2022年11月

  • 【映画】すずめの戸締まり

    結局落涙したわけです。冒険譚とロードムービーのエンタメ要素と、美麗な鄙の景色と都会の人工構造、土地土地のことば。わくわくどきどきさせることのその先に置かれるメッセージと。秀逸なひとの情動の表現は、それがなにから生じているかと関係なく揺さぶりにくるのだという再認識と(だからすごいんだ新海作)。今回はひときわ、私は分析せずにそのまま味わっておきたい。地の天災に関するところの重さとか逃れようのなさとかのモチーフには、いまだ真正面から直面しかねる自分を発見したり。カミサマという概念を思ったり。(人は対象を人のように解釈するけど人じゃないんだから気まぐれ、優しい、怖い、変節が信じがたい、などと感じるとき、無意識に擬人化しているのかもね)。-----公式サイト:https://suzume-tojimari-movi...【映画】すずめの戸締まり

  • 【映画】RRR

    まいど圧倒的な熱量でありえへんアクションすごいのとみごとなダンス。という、つたない表現しか出てこない。だってすごいだもん。-----公式サイト:https://rrr-movie.jp/友情と対立のものがたりの背景には英国による支配の歴史がおかれていて、おとぎ話的におけるほど昔のことでもないので、善悪単純には受け取りがたい。(2022.10.22)【映画】RRR

  • 【映画】マイ・ブロークン・マリコ

    シイノはたぶんおおざっぱなところもある、こころに傷もなくはないけど、懸命に(でも懸命な自分に無自覚?)日々生きている女子で。ダチのマリコとの関係の様子やマリコ自身に起こっていることはものがたりの進行とともに徐々に明らかになる。世代もありようも違うシイノとマリコを離れたところから眺めていた観客(ワタシ)は、あるところに至りシイノの無力感に共振を起こしてしまった。その先のエネルギーのようなのは人の靭さなのか、若さなのか。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/mariko(2022.10.1)【映画】マイ・ブロークン・マリコ

  • 【展覧会】李禹煥

    禅問答みたいな空間とか。瓦か石垣のような床面とか。なんだか楽しかったなぁ。空間に「問い」がふわふわと浮いている。正面から応答できそうなときもあれば、つかみ損ねてあれれとなるときもある、ような。-----李禹煥国立新美術館開館15周年記念国立新美術館2022年8月10日(水)~11月7日https://LeeUFan.exhibit.jp/https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/leeufan/(2022.9.23)【展覧会】李禹煥

  • 【展覧会】ゲルハルト・リヒター展

    ゲルハルト・リヒターは、名前は知ってるけど実はよく知らなかった。実物をたくさん見て、すごいとは思った。でも消化できてないので感想が書けない。塗り重ね、色を重層的に交差させる表現。場の記憶のような視点。-----ゲルハルト・リヒター展https://www.momat.go.jp/am/exhibition/gerhardrichter/https://richter.exhibit.jp/東京国立近代美術館(2022.9.23)【展覧会】ゲルハルト・リヒター展

  • 【展覧会】日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱

    粒選りな。美術館らしい、高い天井の展示スペースを、そぞろ歩いて見ていくのだけれど、なぜか、どちらかのお宅にお邪魔して「ウチで保管しているものなんだけど」と次々と気安く、解説してもらいながら、所蔵品を見せられているようなそんな気配を感じたのはなぜだろう。絵巻の名品展示がいくつもつづいててすごいし、細部にわたって美しく繊細な画、工芸にも目を奪われる。源氏物語画帖(伝土佐光則)の人物。七宝蜻蛉河骨図香炉(川出柴太郎)の取手の細工。挙げたらきりない。若冲の動植綵絵は正面から見れる高さの展示で、つぶさに見れてよかった。書はふだんきれいだなと思う程度なのだが、今回は小野道風の筆の味わいに打たれた。-----特別展「日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱」東京藝術大学大学美術館2022年8月6日~9月25日https:/...【展覧会】日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱

  • 【展覧会】装いの力―異性装の日本史

    観終わって、裡が波立つ。ざわっとする。越境しきれなかった事例(現実やものがたりの成り行き)を見たからか。ココ・シャネルが突破したことや何か、装い以外の場面でおそらくずっと越境は試みられ続けていて、完全客観では見れないところがある。興味深い構成。アート系統では中世の日本の作品(小碓命、とりかへばや、巴御前、阿国、若衆、稚児など)と、20世紀以降の表現と。ベルばら、リボンの騎士、ひばりくん、異性装といっても理由も自己納得も異なるのだ。そうか。読んだ当時は子供だったからよくわかっていなかった。歴史的経緯については、何度かの公権による禁止のことなど。明治期の新聞・雑誌記事の内容が興味深い。禁則破りで逮捕、という記事は却って、遮られたかつてある程度ふつうにあったのかもしれない越境を思わせる。経済その他の事情によって...【展覧会】装いの力―異性装の日本史

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎 2022年9月

    秀山祭九月大歌舞伎二世中村吉右衛門一周忌追善歌舞伎座-----追善興行でここまで故人に思いを遣ったのは初めてかもしれない。吉右衛門さんは、歌舞伎を見始めて2、3回目くらいのときに、石切梶原で大好きになって、同時期に池波正太郎の鬼平犯科帳にも嵌ってドラマの方にも手を伸ばし、以来ゆるゆると追いかけてきた。30年くらいだろうか。私は歌舞伎の蘊蓄派でないし、何年何月のだれだれがどうとの記憶力もさして持たず、不真面目きわまりない観劇者だと自覚していたのに。揚羽蝶繍姿の様々な役を見ていたら、もちろん、俳優さんがそれぞれの声でそれぞれの役を演っているに、私の頭の中では吉右衛門さんの声で台詞が再生されて、ああ気づかぬ間にこんなにも、吉右衛門さんが記憶の中に降り積もっていたのだと、ひとり、じくじくと涙が止まらず。第二部の松...【歌舞伎】歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎2022年9月

  • 【展覧会】ボストン美術館展 芸術×力

    「×力」とは?時の権力との関係性なのであった。日本から渡ったものが多くはあるけれど、11世紀~18世紀の幅で東西様々、重厚な作品を取り上げている。作品を作らせてしまう財力であったり、作品が必要とされる背景、制作の契機であったり、そもそも描かれている姿や光景の贅や規模であったり、権力の影響はいろいろ。そういう環境ではなくなった今の時代。振り返ることが可能なのは、作品が見れる形で残っているから、ということに改めて思い至ったりした。-----ボストン美術館展芸術×力Art&Power:FromPharaohstoDaimyōs.MasterworksfromtheMuseumofFineArts,Boston東京都美術館2022年7月23日~10月2日https://www.tobikan.jp/exhibit...【展覧会】ボストン美術館展芸術×力

  • 【映画】ブレット・トレイン

    おもちゃばこひっくり返したような映画だった。小ネタと伏線の波状攻撃、もももん。歌謡曲。昭和任侠と令和二次元とツイステッド新幹線ともろもろ、たぶん日本マニアな海外の方のほうが私より理解していっぱい笑えたのではないか。皮肉な展開をくすくす笑いながら(酸鼻なところはちょっと顰めながら)達者な役者さんたちががっつり真面目に、とっちらかる伏線をテンポよくかつぎりぎりついていける速度で表現してるのを、街や車窓のしつらえにちょくちょくツッコミを入れながらずっと楽しく見ていた気がする。エンドロールのバックの絵づらがなかなかに味わい。-----公式サイト:https://www.bullettrain-movie.jp/(2022.9.3)【映画】ブレット・トレイン

  • 【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎 2022年8月

    八月納涼歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部一、新選組手塚治虫原作だそう。手塚治虫が新選組を描いていたの知らなかった。多分相当端折って(とセリフで何度か言ってた)いるのだろうけれど、人の関わりの皮肉やめぐる因果のモチーフに、なるほど、と。大道具、襖に背景、人物にも、手塚有名キャラがちょいちょい登場。歌之助と福之助さんの主役ふたりは若々しくかわいく時々とぼけてて手塚というかジャンプ辺りに出てきそう。扇雀さんの坂本龍馬はたたずまいがかっこいい。二、闇梅百物語そうか、今月は納涼歌舞伎でした。人ならぬものたちが続々登場。愛嬌のあるの、美麗なもの(七之助さん…)、平均年齢相当低いぞ。すごい。達者だなぁと。末恐ろしくたのしみ。◆第二部一、安政奇聞佃夜嵐明治以降の作ながら、説明臭くないせいか、割と江戸っぽい感じがする。甲州...【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎2022年8月

  • 【映画】PLAN 75

    「百年法」という小説を以前に興味深く読んだ。前提はだいぶ違うのだけれど、この映画はそのテーマをどう扱っているのだろうと。その制度についての確たるこたえはない。でもこの映画の価値は、制度を描いているようでいて、制度の成立有無とは関係なく、老いの世代が直面する事実の救われなさや手立てのなさの表出であったり、周辺社会で起こっていることを、ふつうに起こりうることとして描き切っているところにあるのではないだろうか。劇中の「PLAN75」はとても杜撰なシステムに見える。負債があったら処理は国がやるのだろうか…制度の破綻が早そう。それに申し込むのはミチさんのような、働く気力もあって善良で生真面目に思考する人が先行して、"迷惑上等"な人は申し込まないかもしれない。そういう杜撰さも含め、杜撰なまま制度が出来上がってしまう可...【映画】PLAN75

  • 【展覧会】ボテロ展 ふくよかな魔法

    膨、なインパクトの迫力たるや。モノが内側から外に押し出す圧、表面張力?…とも少し違う。果物を題材とした静物は、どう見ても果物なのになぜか身体の一部が描かれているかのように感じられたりする。バナナは大腿、オレンジは二の腕、ヘタは臍…(妄想)。随所の濃いピンク(ヴァチカンのバスルームの石鹸の色)がお茶目に思うのは私が日本の人だからで、現地の方の受け取りはまた違うのかもしれない。無表情の描くのも手法なのだという。ふくよかと、無表情と、ルネサンスなど古典からの題材引用と。そうして描かれた作品は、意味を押し付けず(あるいは解釈をゆるさず)、くらしの苦しみや思わぬ運命がさまざま起こりながら流転していく時間の、一瞬を、ただ切り取って留めているよう。南米出身作家の文学や映画の感性と通じると思うのは頭を働かせすぎか。切り取...【展覧会】ボテロ展ふくよかな魔法

  • 【映画】ベイビー・ブローカー

    なんとも、どの画面でも、景色の中の俳優さんたちの身体の存在感たるや。悪い?ひとたち。やさしいひとたち。軽くふざけあった遣り取りの折々に切実が見え隠れする。出自にまつわるさまざまについて、私には語れる言葉がない。ただ、観てよかったと思う。-----公式サイト:https://gaga.ne.jp/babybroker/(2022.7.1)【映画】ベイビー・ブローカー

  • 【映画】メタモルフォーゼの縁側

    歳の差58歳のふたりがどちらも素直でかわいらしい。うらら(芦田愛菜さん)、「BL好き」のうしろめたさを薄くあらわしつつも卑屈に落ちず決して痛々しくなく熱量を内包する17歳が絶妙。何度か象徴的に出てくる走りっぷりもよく。じっくりすごい。宮本信子さん演じる雪さん。楽しむことに開いている明るさと、自然に背を押す胆力。老いのステージとのつきあい具合。ものがたりは起伏ありつつも軽やかで、おとぎ話の香りを纏っているような気がするのは、かかわる人たちのひとのよさだろうか。-----公式サイト:https://metamor-movie.jp/(2022.6.26)【映画】メタモルフォーゼの縁側

  • 【気になる本】2022年4-6月

    上半期棚卸その2@7月-----我感ずる、ゆえに我あり──内受容感覚の神経解剖学A・D・(バド)クレイグ青灯社https://seitosha-p.com/2022/06/post-106.html土の中の生き物たちのはなし島野智之長谷川元洋萩原康夫朝倉書店https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=17179お嬢さんと噓と男たちのデス・ロードジェンダー・フェミニズム批評入門北村紗衣文藝春秋https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915609感情の向こうがわ武術家と精神科医のダイアローグ光岡英稔名越康文国書刊行会https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336073419/ウ...【気になる本】2022年4-6月

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