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  • 【映画】サイド バイ サイド 隣にいる人

    テンポといい展開といい、安易な予想の線上にはない。台詞の間合いが割と長いのだけれど、そういえば誠実に言葉を口にしようとしたらこういう感じになるよな、と思う。ものがたりに、激しい変動があるわけではないのだけれど、よくよくみればあんがい、とくべつなことがおきているようだ。ひととひとのかかわりからそれは生じていて、やわらかく、優しく、そうして不可逆で少し切ない。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/sidebyside/(2023.4.15)【映画】サイドバイサイド隣にいる人

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 鳳凰祭四月大歌舞伎 2023年4月

    歌舞伎座新開場十周年記念鳳凰祭四月大歌舞伎歌舞伎座-----柿葺落から10年。会社を休んで手打式に行った思い出。当時ティーンの役者さんがいまは主役級をつとめている。・新・陰陽師、猿之助一座はいつも隅々まで猿之助さんの気(テンション)が満ち。工夫色々、言葉遊び・名台詞ぶっこみ、美麗と血糊、立ち回りそれぞれエッジ効いてて。百足。・ニザ玉でお富与三郎、瑞々しさがすごい。仁左衛門さんと距離1mで興奮の1階17列。・松緑さんちの連獅子、清冽さ迸る所作。キレと品。ブレない。左近さんたいへんによく。-----◆昼の部新・陰陽師滝夜叉姫◆夜の部一、与話情浮名横櫛木更津海岸見染の場赤間別荘の場源氏店の場二、連獅子(2023.4.8)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#今月は少しはみ...【歌舞伎】歌舞伎座鳳凰祭四月大歌舞伎2023年4月

  • 【映画】シン・仮面ライダー

    感想まとめにくい作品なので、箇条書きにします。・バイク走行、空中戦、真剣、戦闘みどころ多い。・サイエンスっぽいリクツが、イマドキなサイバー要素入れて、よく練られてる。空中元素固定装置+ヨガ(の呼吸、プラーナ)、トランスヒューマニズム…・(TV放送見てた世代として)TVプログラムにおけるフレーミングはそうかこういう感じだったとニヤつく。-どうやって侵入したかは端折っていいし「どうやって入った」とは問わない-屋外の広い場所に移動して戦闘-そこがどこかというリクツは不要-山を背景にした平地、コンビナート、操車場、、・悪役のおまぬけ要素(キュートの素)にもニヤつく。・文字通り破壊的な身体能力を表現するためとはいえチノリガー。・キャスティングがリッチ。演技派ならぶ。排他性質キャラ並ぶが全体はウェット。・森山未來さん...【映画】シン・仮面ライダー

  • 【映画】Winny

    リアルの成り行きをうっすら知っているから、観たら苦いだろうなと思ったけれど、観ておかなければいけない気がした。当事者の方と世代が近いし、IT業界にいるので、この事件は外形的には知っていた。当時の私は、今よりも”人”を重く扱えていなかったし、つくったモノの機能に関する争いとして見ていたと思う。人の創造性、ひいては人生が賭された場面であると気づけなかった。見過ごしを直視する。エンドロールでのご本人の映像と、作中の東出さんの見せる人物像の重なりがおおきいことも影響している。ああ、こういう技術者のひと、いる。いるよ。純で、尊敬できて。悲しいね。Winnyに関する裁判に、もう1つ別の告発、ものがたりは、2つが平行で語られる。なぜこの語り口にしたのかな。批判でなく素朴に、意図に興味。-----公式サイト:http:/...【映画】Winny

  • 【映画】美しい彼~special edit version~

    これたしかTVコンテンツですよね?とても繊細につくりあげられている。景色も、人と人も、どこを切り取っても、きらきらときれい。人物と人物の物理的な距離とか、髪ひとすじ、折々のシーンの微細な表情、首の角度、まばたきひとつ、ゆびさきひとつ。彼の志向はちょっとしたら粘着性に見えるほんの手前のところで若くて繊細な感情として画面に現れる。原作がそうなのか、脚本・演出・演技の功なのか。両方か。-----公式サイト:https://www.culture-pub.jp/news/239/#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)【映画】美しい彼~specialeditversion~

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 三月大歌舞伎 2023年3月

    歌舞伎座新開場十周年三月大歌舞伎歌舞伎座-----・「花の御所始末」幸四郎さんの義教、えもいわれぬ味。絶対的徹底的な悪。ほんの僅か滲む弱さ。・第二部第三部続け観、鴈治郎さん大活躍。それぞれぜんぜん違う。さすがの幅。・「廓文章」玉三郎さんの可愛らしさ眼福この上なく。愛之助さん線の細さ出てスケールアップ、最近見るの楽しみ。-----◆第一部花の御所始末◆第二部一、仮名手本忠臣蔵十段目二、新古演劇十種の内身替座禅◆第三部一、髑髏尼二、夕霧伊左衛門廓文章(2023.3.5、2023.3.11)#2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きとしております。#投稿さぼってたので1か月分連投いきます(2/11~3/21)【歌舞伎】歌舞伎座三月大歌舞伎2023年3月

  • 【映画】エゴイスト

    見る前、恋愛の、話なのだろうと思っていた。ちょっとドロドロしてたりするのかしら、とか。恋愛の話だった。だけどむしろ、"一緒に生きていく"ことの喜びと重さとか。社会での立ち位置の異なるふたりが最大限近くに在りつづけようとする姿が描かれていたようにも思うし、終盤には"縁"て何だろとも思った。(後半~終盤は別の角度から心に来るところがあったけれど、下手に書くと、ネタバレになってしまうので、以下自粛)。龍太(宮沢氷魚さん)の白い肌に朱が差すさまをともなう微笑みが、うたがいようもない純性を表していて、浩輔(鈴木亮平さん)の思いやりと恣意っぽさ、企業社会の人らしい、無自覚に持っている行動形式の枷みたいなものを行き来する様は、観終わって振り返れば、さすがの感がある。-----公式サイト:https://egoist-m...【映画】エゴイスト

  • 【映画】仕掛人・藤枝梅安

    皮膚が。面の皮が。それだけでここまで物語るのだ。一種の驚きというか。崇高なものを感じさせる何かというか。行燈の薄暗い室内にあって、映画館の大画面のアップショットがとらえる男性俳優陣の貌は、皺、しみ、たるみをあらわし陰影を備える。高解像度化に伴って、つるつるとしみもなく毛穴もみえないキレイな面皮をスタンダードとしつつある昨今のあれこれとは一線を画す彼らの相貌は、たいへんに、とてつもなく、味わい深く、存外に醜さを感じることがなく、ここまで徹底しているということはメイクなのか、とも思いつつ。当然に俳優それぞれ異なる個性・唯一無二であること、その人生の時間の降り積もった結果としての身体であることを示し、梅安(豊川悦司さん)、彦次郎(片岡愛之助さん)、蔓役その他の関係人物の背景の厚みに重ねられている。そこにたぶんわ...【映画】仕掛人・藤枝梅安

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 二月大歌舞伎 2023年2月

    歌舞伎座新開場十周年二月大歌舞伎歌舞伎座-----第二部一、女車引二、船弁慶第三部通し狂言霊験亀山鉾-----・「女車引」私の好きなお三方、魁春さん雀右衛門さん七之助さんが、お三方だけの舞台。よきよき。・「船弁慶」鷹之資による、静御前、平知盛。長丁場を持ち切る。力量。・「霊験亀山鉾」初見にて仁左衛門さん一世一代。素人目にもたいへんに高難度な演目なのだろうと。繰り出す見せ場の連打連打。走り抜けた。30年超の観劇人生で最も舞台に近い席で、まばたき惜しんで拝見。(2023.2.4)【歌舞伎】歌舞伎座二月大歌舞伎2023年2月

  • 【歌舞伎】浅草公会堂 新春浅草歌舞伎 2023年1月

    新春浅草歌舞伎浅草公会堂-----第一部一、双蝶々曲輪日記引窓二、男女道成寺-----・引窓、フレッシュ、ゆえに、リアリティ。・巳之助さんの狂言師に見惚れ。新悟さんの花子に応援の拍手。・出語りの宏太郎さんのお三味線みれてうれしい。(2023.1.15)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】浅草公会堂新春浅草歌舞伎2023年1月

  • 【展覧会】江戸絵画の華 <第1部>

    離れておおきくみてよし、近づいて細部みてよし。「松竹梅群鳥図」松竹梅、に、八十八の鳥がお出迎え。谷鵬「虎図」の毛並みに唸り。水上景邨「牡丹に唐獅子図屏風」に口元ゆるみつつ畏敬も感じる不思議。若冲「鳥獣花木図屏風」、とても近くでゆっくりと見れた。多少見知っていたはずだったけれど、発見も多かった。これからも、みてもみても、発見は尽きないに違いない。何故こんなに穏やかなのだろう、微笑み感ある、無垢の動物たち。鶴、ほか、墨でのしごと、筆づかいの妙、かたちの妙。この方は生涯にどれくらいたくさん描いたのだろうと思う。屏風の名品、肉筆浮世絵、みどころ尽きず。ブライスコレクションから出光美術館コレクションへ。持っていらした側、受け継いだ側、それぞれに大きな感謝と敬意を。-----江戸絵画の華<第1部>若冲と江戸絵画出光美...【展覧会】江戸絵画の華<第1部>

  • 【展覧会】京都・智積院の名宝

    いずれも眼福ながら。感じ入ってしまった「楓図」。風の気配、ざざという葉擦れがきこえ、少しひんやりした気温を感じる。立ち止まり熟視し、戻って観、座って観、その前を立ち去りがたく。ほか「桜図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵図」「雪松図」が並ぶ空間にはいつまでも身を置いていたかった。経文もすばらしくて、「金剛経」の清廉に胸うたれ。「阿字観」もよかった。「刺繍法華経」にも違う感性でフラグ立った(クラフト)。興味津々。-----京都・智積院の名宝サントリー美術館2022年11月30日~2023年1月22日https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2022_5/index.html(2023.1.7)【展覧会】京都・智積院の名宝

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----第一部一、卯春歌舞伎草紙二、弁天娘女男白浪第三部花街模様薊色縫十六夜清心-----・卯春歌舞伎草紙観客の目にお年玉。・弁天娘女男白浪この配役おもいのほかいい。・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。(2023.1.3)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2023年1月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

    壽初春大歌舞伎歌舞伎座-----第一部一、卯春歌舞伎草紙二、弁天娘女男白浪第三部花街模様薊色縫十六夜清心-----・卯春歌舞伎草紙観客の目にお年玉。・弁天娘女男白浪この配役おもいのほかいい。・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。(2023.1.3)2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。【歌舞伎】歌舞伎座壽初春大歌舞伎2023年1月

  • 【映画】THE FIRST SLAM DUNK

    すごい。すごいすごいすごい。山王戦をじっくりと。井上雄彦さんの絵の力を再認識する。漫画画面のあの雰囲気、迫力、重量と質量、美しさ、を滅することなくさらにアニメーションでしかできない表現が重ねられた劇場の大画面に圧倒された。「FIRST」は、当初のプロットがリョータを主軸にあてていたということなのだろうか。どこか、プレスか何かにFIRSTの由来が語られているのかな。水彩のような肌の着色、貌の影のつきかた、リアリティの濃い身体動作表現、30年を経た今の技術で可能になった表現でもあるのだろう。エンドロールのスタッフの人数構成もそういう印象。-----公式サイト:https://slamdunk-movie.jp/連載オンタイムから30年経過して観る方も歳とって涙もろくなってきてるのか、「ここで泣くのかお前」(対...【映画】THEFIRSTSLAMDUNK

  • 【映画】ルイス・ウェイン

    「ルイス・ウェイン生涯愛した妻とネコ」。カンバーバッチが主演の時点で察するべきだったのかもしれないが、あんがいほろ苦いやつだった。-----公式サイト:https://louis-wain.jp/(2022.12.1)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。【映画】ルイス・ウェイン

  • 【映画】グリーン・ナイト

    「ダークファンタジー」よりも「寓話」の表現のほうがしっくりくる。ロケハンとCGとセットがなめらかに融合して、かつてのイングランドの陰影が特徴的で美しい景色を表現し、衣装と道具には再現と創造のすばらしい統合がみられる。予定調和でないなりゆきに、最初、少し戸惑ったのだけれど、観終わったら、なぜかわからないけれど、とても豊かな感じ。深くて厳しくて優しい"智慧"のにおいがする。-----公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/greenknight/(2022.11.30)投稿忘れてた。過去日付で投稿します。【映画】グリーン・ナイト

  • 【映画】ある男

    やりなおしたいとかそういうことじゃないのだ。選びえない人生の構成要素。その選択によって得られたもの。むなしさもまた。選択の作用は図りえない、予想できない、そして誰も評価することはできないのだろう。-----公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/a-man/(2022.11.20)【映画】ある男

  • 【映画】土を喰らう十二ヵ月

    四季の地物を味わう光景がつづられているであろうということ以外あまり想定せずに見に行った。思いのほか人間ドラマだった。自然とのことのほかに、老いとか終のなにかとか。古民家の庭先に折々の野菜や実もの、暖房や給湯器がなさそうな、竈のある台所に素朴ながら上質そうな器たち。味噌、漬物、干柿、胡麻の実、雪の下の青菜、大根、山にはきのこ。手を使う日々のたべものは、丁寧を重ねてできあがって食べるのは一瞬。真知子は思い切りがよくて、惜しまないツトムの表情は愛情か。シビアな成り行きにはリアルな苦み、丁寧に描かれる田園のくらしはむしろ寓話性。滋味。-----公式サイト:http://tsuchiwokurau12.jp/(2022.11.16)【映画】土を喰らう十二ヵ月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 十一月吉例顔見世大歌舞伎 2022年11月

    十三代目市川團十郎白猿襲名披露十一月吉例顔見世大歌舞伎歌舞伎座-----何はともあれ。十三代目市川團十郎白猿襲名、新之助さん初舞台、おめでとうございます。夜の部、口上を挟んで歌舞伎十八番の2本立て。矢の根と助六由縁江戸桜。矢ノ根の幸四郎さんの五郎はやんちゃな愛嬌に頬ほころぶ。馬かわいい。口上、国宝級で占める渋さ。助六由縁江戸桜、成田屋を観た!感たっぷり。目の保養度も抜群。2時間超の長丁場、ゆるめのテンポの演目ながら多彩な演者が入れ替わり立ち代わり舞台を織りなして充実。傘の揺るがなさに目がいったり。(花魁道中でも)。股くぐりのゲストがいずれも愛らしくてすごかった。発声者限定ながら大向こう復活うれしい。黙食でかべすも復活。(2022.11.13)【歌舞伎】歌舞伎座十一月吉例顔見世大歌舞伎2022年11月

  • 【映画】すずめの戸締まり

    結局落涙したわけです。冒険譚とロードムービーのエンタメ要素と、美麗な鄙の景色と都会の人工構造、土地土地のことば。わくわくどきどきさせることのその先に置かれるメッセージと。秀逸なひとの情動の表現は、それがなにから生じているかと関係なく揺さぶりにくるのだという再認識と(だからすごいんだ新海作)。今回はひときわ、私は分析せずにそのまま味わっておきたい。地の天災に関するところの重さとか逃れようのなさとかのモチーフには、いまだ真正面から直面しかねる自分を発見したり。カミサマという概念を思ったり。(人は対象を人のように解釈するけど人じゃないんだから気まぐれ、優しい、怖い、変節が信じがたい、などと感じるとき、無意識に擬人化しているのかもね)。-----公式サイト:https://suzume-tojimari-movi...【映画】すずめの戸締まり

  • 【映画】RRR

    まいど圧倒的な熱量でありえへんアクションすごいのとみごとなダンス。という、つたない表現しか出てこない。だってすごいだもん。-----公式サイト:https://rrr-movie.jp/友情と対立のものがたりの背景には英国による支配の歴史がおかれていて、おとぎ話的におけるほど昔のことでもないので、善悪単純には受け取りがたい。(2022.10.22)【映画】RRR

  • 【映画】マイ・ブロークン・マリコ

    シイノはたぶんおおざっぱなところもある、こころに傷もなくはないけど、懸命に(でも懸命な自分に無自覚?)日々生きている女子で。ダチのマリコとの関係の様子やマリコ自身に起こっていることはものがたりの進行とともに徐々に明らかになる。世代もありようも違うシイノとマリコを離れたところから眺めていた観客(ワタシ)は、あるところに至りシイノの無力感に共振を起こしてしまった。その先のエネルギーのようなのは人の靭さなのか、若さなのか。-----公式サイト:https://happinet-phantom.com/mariko(2022.10.1)【映画】マイ・ブロークン・マリコ

  • 【展覧会】李禹煥

    禅問答みたいな空間とか。瓦か石垣のような床面とか。なんだか楽しかったなぁ。空間に「問い」がふわふわと浮いている。正面から応答できそうなときもあれば、つかみ損ねてあれれとなるときもある、ような。-----李禹煥国立新美術館開館15周年記念国立新美術館2022年8月10日(水)~11月7日https://LeeUFan.exhibit.jp/https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/leeufan/(2022.9.23)【展覧会】李禹煥

  • 【展覧会】ゲルハルト・リヒター展

    ゲルハルト・リヒターは、名前は知ってるけど実はよく知らなかった。実物をたくさん見て、すごいとは思った。でも消化できてないので感想が書けない。塗り重ね、色を重層的に交差させる表現。場の記憶のような視点。-----ゲルハルト・リヒター展https://www.momat.go.jp/am/exhibition/gerhardrichter/https://richter.exhibit.jp/東京国立近代美術館(2022.9.23)【展覧会】ゲルハルト・リヒター展

  • 【展覧会】日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱

    粒選りな。美術館らしい、高い天井の展示スペースを、そぞろ歩いて見ていくのだけれど、なぜか、どちらかのお宅にお邪魔して「ウチで保管しているものなんだけど」と次々と気安く、解説してもらいながら、所蔵品を見せられているようなそんな気配を感じたのはなぜだろう。絵巻の名品展示がいくつもつづいててすごいし、細部にわたって美しく繊細な画、工芸にも目を奪われる。源氏物語画帖(伝土佐光則)の人物。七宝蜻蛉河骨図香炉(川出柴太郎)の取手の細工。挙げたらきりない。若冲の動植綵絵は正面から見れる高さの展示で、つぶさに見れてよかった。書はふだんきれいだなと思う程度なのだが、今回は小野道風の筆の味わいに打たれた。-----特別展「日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱」東京藝術大学大学美術館2022年8月6日~9月25日https:/...【展覧会】日本美術をひも解く─皇室、美の玉手箱

  • 【展覧会】装いの力―異性装の日本史

    観終わって、裡が波立つ。ざわっとする。越境しきれなかった事例(現実やものがたりの成り行き)を見たからか。ココ・シャネルが突破したことや何か、装い以外の場面でおそらくずっと越境は試みられ続けていて、完全客観では見れないところがある。興味深い構成。アート系統では中世の日本の作品(小碓命、とりかへばや、巴御前、阿国、若衆、稚児など)と、20世紀以降の表現と。ベルばら、リボンの騎士、ひばりくん、異性装といっても理由も自己納得も異なるのだ。そうか。読んだ当時は子供だったからよくわかっていなかった。歴史的経緯については、何度かの公権による禁止のことなど。明治期の新聞・雑誌記事の内容が興味深い。禁則破りで逮捕、という記事は却って、遮られたかつてある程度ふつうにあったのかもしれない越境を思わせる。経済その他の事情によって...【展覧会】装いの力―異性装の日本史

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎 2022年9月

    秀山祭九月大歌舞伎二世中村吉右衛門一周忌追善歌舞伎座-----追善興行でここまで故人に思いを遣ったのは初めてかもしれない。吉右衛門さんは、歌舞伎を見始めて2、3回目くらいのときに、石切梶原で大好きになって、同時期に池波正太郎の鬼平犯科帳にも嵌ってドラマの方にも手を伸ばし、以来ゆるゆると追いかけてきた。30年くらいだろうか。私は歌舞伎の蘊蓄派でないし、何年何月のだれだれがどうとの記憶力もさして持たず、不真面目きわまりない観劇者だと自覚していたのに。揚羽蝶繍姿の様々な役を見ていたら、もちろん、俳優さんがそれぞれの声でそれぞれの役を演っているに、私の頭の中では吉右衛門さんの声で台詞が再生されて、ああ気づかぬ間にこんなにも、吉右衛門さんが記憶の中に降り積もっていたのだと、ひとり、じくじくと涙が止まらず。第二部の松...【歌舞伎】歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎2022年9月

  • 【展覧会】ボストン美術館展 芸術×力

    「×力」とは?時の権力との関係性なのであった。日本から渡ったものが多くはあるけれど、11世紀~18世紀の幅で東西様々、重厚な作品を取り上げている。作品を作らせてしまう財力であったり、作品が必要とされる背景、制作の契機であったり、そもそも描かれている姿や光景の贅や規模であったり、権力の影響はいろいろ。そういう環境ではなくなった今の時代。振り返ることが可能なのは、作品が見れる形で残っているから、ということに改めて思い至ったりした。-----ボストン美術館展芸術×力Art&Power:FromPharaohstoDaimyōs.MasterworksfromtheMuseumofFineArts,Boston東京都美術館2022年7月23日~10月2日https://www.tobikan.jp/exhibit...【展覧会】ボストン美術館展芸術×力

  • 【映画】ブレット・トレイン

    おもちゃばこひっくり返したような映画だった。小ネタと伏線の波状攻撃、もももん。歌謡曲。昭和任侠と令和二次元とツイステッド新幹線ともろもろ、たぶん日本マニアな海外の方のほうが私より理解していっぱい笑えたのではないか。皮肉な展開をくすくす笑いながら(酸鼻なところはちょっと顰めながら)達者な役者さんたちががっつり真面目に、とっちらかる伏線をテンポよくかつぎりぎりついていける速度で表現してるのを、街や車窓のしつらえにちょくちょくツッコミを入れながらずっと楽しく見ていた気がする。エンドロールのバックの絵づらがなかなかに味わい。-----公式サイト:https://www.bullettrain-movie.jp/(2022.9.3)【映画】ブレット・トレイン

  • 【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎 2022年8月

    八月納涼歌舞伎歌舞伎座-----◆第一部一、新選組手塚治虫原作だそう。手塚治虫が新選組を描いていたの知らなかった。多分相当端折って(とセリフで何度か言ってた)いるのだろうけれど、人の関わりの皮肉やめぐる因果のモチーフに、なるほど、と。大道具、襖に背景、人物にも、手塚有名キャラがちょいちょい登場。歌之助と福之助さんの主役ふたりは若々しくかわいく時々とぼけてて手塚というかジャンプ辺りに出てきそう。扇雀さんの坂本龍馬はたたずまいがかっこいい。二、闇梅百物語そうか、今月は納涼歌舞伎でした。人ならぬものたちが続々登場。愛嬌のあるの、美麗なもの(七之助さん…)、平均年齢相当低いぞ。すごい。達者だなぁと。末恐ろしくたのしみ。◆第二部一、安政奇聞佃夜嵐明治以降の作ながら、説明臭くないせいか、割と江戸っぽい感じがする。甲州...【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎2022年8月

  • 【映画】PLAN 75

    「百年法」という小説を以前に興味深く読んだ。前提はだいぶ違うのだけれど、この映画はそのテーマをどう扱っているのだろうと。その制度についての確たるこたえはない。でもこの映画の価値は、制度を描いているようでいて、制度の成立有無とは関係なく、老いの世代が直面する事実の救われなさや手立てのなさの表出であったり、周辺社会で起こっていることを、ふつうに起こりうることとして描き切っているところにあるのではないだろうか。劇中の「PLAN75」はとても杜撰なシステムに見える。負債があったら処理は国がやるのだろうか…制度の破綻が早そう。それに申し込むのはミチさんのような、働く気力もあって善良で生真面目に思考する人が先行して、"迷惑上等"な人は申し込まないかもしれない。そういう杜撰さも含め、杜撰なまま制度が出来上がってしまう可...【映画】PLAN75

  • 【展覧会】ボテロ展 ふくよかな魔法

    膨、なインパクトの迫力たるや。モノが内側から外に押し出す圧、表面張力?…とも少し違う。果物を題材とした静物は、どう見ても果物なのになぜか身体の一部が描かれているかのように感じられたりする。バナナは大腿、オレンジは二の腕、ヘタは臍…(妄想)。随所の濃いピンク(ヴァチカンのバスルームの石鹸の色)がお茶目に思うのは私が日本の人だからで、現地の方の受け取りはまた違うのかもしれない。無表情の描くのも手法なのだという。ふくよかと、無表情と、ルネサンスなど古典からの題材引用と。そうして描かれた作品は、意味を押し付けず(あるいは解釈をゆるさず)、くらしの苦しみや思わぬ運命がさまざま起こりながら流転していく時間の、一瞬を、ただ切り取って留めているよう。南米出身作家の文学や映画の感性と通じると思うのは頭を働かせすぎか。切り取...【展覧会】ボテロ展ふくよかな魔法

  • 【映画】ベイビー・ブローカー

    なんとも、どの画面でも、景色の中の俳優さんたちの身体の存在感たるや。悪い?ひとたち。やさしいひとたち。軽くふざけあった遣り取りの折々に切実が見え隠れする。出自にまつわるさまざまについて、私には語れる言葉がない。ただ、観てよかったと思う。-----公式サイト:https://gaga.ne.jp/babybroker/(2022.7.1)【映画】ベイビー・ブローカー

  • 【映画】メタモルフォーゼの縁側

    歳の差58歳のふたりがどちらも素直でかわいらしい。うらら(芦田愛菜さん)、「BL好き」のうしろめたさを薄くあらわしつつも卑屈に落ちず決して痛々しくなく熱量を内包する17歳が絶妙。何度か象徴的に出てくる走りっぷりもよく。じっくりすごい。宮本信子さん演じる雪さん。楽しむことに開いている明るさと、自然に背を押す胆力。老いのステージとのつきあい具合。ものがたりは起伏ありつつも軽やかで、おとぎ話の香りを纏っているような気がするのは、かかわる人たちのひとのよさだろうか。-----公式サイト:https://metamor-movie.jp/(2022.6.26)【映画】メタモルフォーゼの縁側

  • 【気になる本】2022年4-6月

    上半期棚卸その2@7月-----我感ずる、ゆえに我あり──内受容感覚の神経解剖学A・D・(バド)クレイグ青灯社https://seitosha-p.com/2022/06/post-106.html土の中の生き物たちのはなし島野智之長谷川元洋萩原康夫朝倉書店https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=17179お嬢さんと噓と男たちのデス・ロードジェンダー・フェミニズム批評入門北村紗衣文藝春秋https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915609感情の向こうがわ武術家と精神科医のダイアローグ光岡英稔名越康文国書刊行会https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336073419/ウ...【気になる本】2022年4-6月

  • 【気になる本】2022年2-3月

    メルロ=ポンティの倫理学誕生・自由・責任川崎唯史ナカニシヤ出版http://www.nakanishiya.co.jp/book/b602740.html土が変わるとお腹も変わる土壌微生物と有機農業吉田太郎築地書館http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1631-0.html太陽の支配神の追放、ゆがむ磁場からうつ病までデイビッド・ホワイトハウス築地書館http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1632-7.htmlAIはどのように社会を変えるかソーシャル・キャピタルと格差の視点から佐藤嘉倫編稲葉陽二編藤原佳典編東京大学出版会http://www.utp.or.jp/...【気になる本】2022年2-3月

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 六月大歌舞伎 2022年6月

    六月大歌舞伎歌舞伎座-----今月は第二部と第三部をハシゴしたので、「信康」→「勢獅子」→「ふるあめりか」。結果的に観劇時間としては現代作度合いが高くなりました。歌舞伎美人の演目解説によると、「信康」は1974年大谷竹次郎賞、「ふるあめりか」は1972年初演とあり、現代作とは言え50年近く残ってきた演目ということになるのですね。古典に比べて現代作は、型よりも役者に拠るところが分かりやすく大きいように思うのですが、今月の2作品、染五郎さんの若々しくもしっかりと演じられた信康、玉三郎さんのお園のとてつもない幅を縦横無尽に渡るさま、いずれも濃厚に味わいました。河合雪之丞さん喜多村緑郎さんを歌舞伎座で久しぶりに拝見するのも嬉しいことでした。けっこうな緊張感のある場面がおおい2作の間、勢獅子でほっとひといき。おどる...【歌舞伎】歌舞伎座六月大歌舞伎2022年6月

  • 【映画】犬王

    前半、圧倒的な量の情報が載るミクロとマクロのスコープが自在に切り替わる映像に、琵琶法師の語りが繰り広げられる。吸引力すごい。呪や思い残しとのかかわりは自然と語られていく。時々現れる残忍なシチュエーションは、中世の世相のリアルを思わせて、観客の尻を落ち着かせない。再現不可能な刹那のパフォーマンスとムーブメント、権力の暴挙、その名であることの意味や、効力。関係性。舞台装置・表現技術のアナログな根。いろいろ入ってる。-----公式サイト:https://inuoh-anime.com/(2022.6.4)【映画】犬王

  • 【歌舞伎】歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 2022年5月

    團菊祭五月大歌舞伎歌舞伎座-----すきまなく豪華で爽やか。この後に到来する梅雨の鬱陶しさを乗り越えられそう。◆第一部一、祇園祭礼信仰記金閣寺全般見どころ満載なのですが、やっぱり雪姫に桜が降りしきる場面が好き。(桜に描くシーンこういう感じだったっけ?)二、あやめ浴衣五月さわやか。◆第二部一、歌舞伎十八番の内暫豪華な場面で眼福。観客サービスもたっぷり。二、新古演劇十種の内土蜘場面ごとにテイストは切り替わっていくのだけれど、どこを切ってもどの瞬間もすっきりと美しかった。きもちのよい時間。(2022.5.15)【歌舞伎】歌舞伎座團菊祭五月大歌舞伎2022年5月

  • 【映画】シン・ウルトラマン

    なかなか興味深く見ました。面白かった。同じ「シン」がついててもゴジラとは楽しみ方も違っていいんじゃないでしょうか。全編通してオリジナルへのリスペクトがあふれていると思うし。これはもしかして映画というパッケージメディアのネットワークにライドして(SNSに乗るがごとく)、オリジナル版の視聴を活性化しようというインフルエンサークラスのファンのたくらみなんじゃないかという妄想が頭に浮かんだほどです。60年代に組まれた設定を現代の映画にするにあたり、幾つか設定の解釈を入れて、浮きすぎないように(科学っぽく)まとめていて、"よくできました"のハンコを押して差し上げたくなりました。巨大なあの方が街にばったりの絵づらは、マクロス(最初のTV版)を彷彿とさせましたが、当時の私は「毛穴…」と思っていたので、今回そのあたりの違和感の...【映画】シン・ウルトラマン

  • 【映画】ツユクサ

    痛みを分かりやすく痛みとして表現するのでなく、ふたりの名優(と子役)をもって、じわじわと。-----公式サイト:https://tsuyukusa-movie.jp/(2022.5.3)【映画】ツユクサ

  • 【映画】杜人 環境再生医 矢野智徳の挑戦

    "大地の呼吸"。シンプルで、おそらくとても本質的で。地に点穴をあけていき、滞りがほどけて水が動くべく方向へ動いていく幾つものシーンを見ていると、そのたび魔法のようだと思うけれど、再現性があることなのだ。科学。観察に基づく。測定の尺度は人の五感六感。裡に調和の秤を持っているような方だなと思う。いまの自然環境の状況の諸々を全否定するのでなく。ただただ。傷んだ地(杜)に赴き、風と水の道をつくる。もっと観る人が増えるといい。そうして、観て終わらずに小さな園芸スコップを手にしたらいい。-----公式サイト:https://lingkaranfilms.com/友人が大地の再生講座で知った"風の草刈り"を教わって実践しています。点穴に竹炭もちょこっと。この映画は別系統の友人から聞いて観に行きました。人づてに広がっていく知恵...【映画】杜人環境再生医矢野智徳の挑戦

  • 【展覧会】没後50年 鏑木清方展

    うつくしい、やさしい。季節とくらし。ひとの貌。ものがたりから題を採った作品は、切なかったり怖かったりも。野崎村のお染の繊細な表情。ゆめのように滑らかでしろい肌にあかみさす頬、やわらかく結う黒髪。大正昭和に描かれたそれらは、その時点ですでに消えつつあった明治の気配を名残惜しむものでもあったようで。とにもかくにも圧倒される、着物の文様と素材と織・染(特に染)の数々。江戸小紋と縞、絞が多い生活の着物のシック。町娘のきもののすみずみのおしゃれ。長着からのぞく半襟や襦袢との色合わせ、襟なしでまとう夏もの、帯揚、帯締もいろいろ。暮らしの道具、季節の道具、食、植物。正月の女の子は髪に鶴と亀を挿し。宝来の柄行。意外にも、建造物の表現が印象に残る。屋根、軒先。屋内の柱。-----没後50年鏑木清方展東京国立近代美術館2022年3...【展覧会】没後50年鏑木清方展

  • 【展覧会】ふつうの系譜

    一昨年気になっていて行けなかった「ふつうの系譜」展、再構成で再開催とのこと。ただ観るだけでもじゅうぶん楽しく美しい出展の数々。加えて、「ふつう」とは何か?という問いかけが寄せる波のように(やさしく)やってきます。正統派とか多くに支持されてきた表現、大きな流れとして保たれてきたものや、その隙間にあって気づかれにくかったもの、新しい表現のかつての奇想が伝播と再現によってふつうになったもの。キャプションが時々可笑しい。愛がこぼれている。「敦賀コレクション」すばらしく。岸恭「四季花卉図屛風」の多彩な緑。曽我二直庵「柳枝鷹図」の墨で描かれているおなか。もふりたい。-----ふつうの系譜「奇想」があるなら「ふつう」もあります─京の絵画と敦賀コレクション府中市美術館2022年3月12日~5月8日http://fam-exhi...【展覧会】ふつうの系譜

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