日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
「睡眠薬」を長年使用していると「認知症」になりやすくなる!?
前回まで数回にわたってレビー小体型認知症の治療にとって中核となる「意識の変容」に対する治療についてお話しし、前回から良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療)についてのお話を始めました。 今回から良質な睡眠習慣を確立するための投薬治療についてお話しする予定でしたが、その前にまずは睡眠障害の治療に広く使用されているいわゆる「睡眠薬」と「認知症」の関係についてお話しすることにしました。 というのも一部の「睡眠薬」の中には「認知症を発症させやすくしてしまうのではないか」と疑われているものがあるからです。 日本で一番使われているベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用 国内で流通している睡眠薬のうち「ベンゾジアゼ…
レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(4)
レビー小体型認知症の治療にとって中核となる「意識の変容」に対する治療についてですが、主要なアプローチ方法として ①「意識の変容」そのものに対する投薬治療 ②良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療) ③毎日から1日おきの定期的な排便習慣の確立(便秘の治療) の3つがあり、前回は①「意識の変容」そのものに対する投薬治療についてお話ししました。 今回は②良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療)についてお話しします。 ②良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療) 「意識の変容」に対する治療では、睡眠へのアプローチは欠かせません。 「意識の変容」が強い方は、夜間しっかり眠れていないことがほとんどだからです。 「…
レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(3)
前回は、レビー小体型認知症の症状と治療にとっては「意識の変容」がまさに中核になるというお話をしました。 今回から「意識の変容」の具体的な治療方法についてお話ししようと思います。 「意識の変容」の治療について レビー小体型認知症の治療にとって中核となる「意識の変容」の治療ですが、主要なものについて大きく分けると以下の3つのアプローチ方法があります。 ①「意識の変容」そのものに対する投薬治療 ②良質な睡眠習慣の確立(睡眠障害の治療) ③毎日から1日おきの定期的な排便習慣の確立(便秘の治療) それぞれについて順次お話ししていきますが、今回は①「意識の変容」そのものに対する投薬治療についてご説明します…
レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(2)
前回は、レビー小体型認知症では非常に多彩な認知症症状が出現するけれども、その中には他の認知症疾患でも認められるものが少なくないため、レビー小体型認知症の症状や治療について理解することは「認知症」全体を理解するうえで非常に役に立つというお話をしました。 そしてレビー小体型認知症の診断基準を紹介したうえで、一番の中核症状である「意識の変容」についてお話ししました。 今回はさらに「意識の変容」について前回お伝えしきれなかった点からお話を始めようと思います。 「意識の変容」は認知症疾患ではありふれた症状 「意識を失ってしまって救急車で病院に搬送され、検査を受けても何の問題もなかった」というのはレビー小…
レビー小体型認知症を知れば「認知症」が理解しやすくなる(1)
レビー小体型認知症は認知症症状の宝庫 前回は認知症で最も多いアルツハイマー型認知症の診断についてお話しました。 今回からアルツハイマー型認知症に次いで多いレビー小体型認知症についてお話ししていきますが、レビー小体型認知症で現れる認知症症状は実に多彩です。 いわばレビー小体型認知症は認知症症状の宝庫だと言えます。 そしてこれら認知症症状は、レビー小体型認知症でない認知症疾患においても認められるものが多いため、レビー小体型認知症の症状や治療について理解することは「認知症」全体を理解するうえでとても役に立つと思われます。 そこで今回から何回かに渡ってレビー小体型認知症の診療について詳しくお話ししてい…
総務省統計局によると2019年の65歳以上の高齢者人口は3588万人にのぼり、これは日本の全人口の28.4%にあたるそうです。 さらに高齢者白書によると2012年の認知症患者数が約460万人で高齢者人口の15%という割合だったのが、2025年には20%となり5人に1人の割合になるものと推計されています。 日本人の平均寿命の伸びとともに、ますます認知症になる方が増えてきていると言えます。 そもそも認知症とは「記憶障害のほかに、失語、失行、失認、実行機能の障害が1つ以上加わり、その結果、社会生活あるいは職業上明らかに支障をきたし、かつての能力レべルに比べて明らかな低下が認められる状態」だとされてい…
前回は認知症治療によく使われる向精神薬や認知症治療薬の中には、薬剤性パーキンソニズムを生じさせてしまうようなものが少なくないというお話をしました。 そこで今回は認知症治療に多用されている抗認知症薬の副作用についてお話ししたいと思います。 現在、日本では認知症治療薬としてドネペジル塩酸塩(アリセプト等)、ガランタミン臭化水素酸塩(レミニール)、リバスチグミンパッチ(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)、メマンチン塩酸塩(メマリー)の4種類の薬が処方箋薬として認可されています。 適応疾患としては4つとも「アルツハイマー型認知症」であり、ドネペジル塩酸塩のみ「レビー小体型認知症」にも適応が拡げられ…
前回は、薬の副作用で生じる薬剤性パーキンソニズムは頻繁に遭遇するものであり、投薬治療においてはいかに薬剤性パーキンソニズムを生じさせないようにするかが常に大きな課題になっているというお話をしました。 今回は「認知症治療と薬剤性パーキンソニズム」についてお話しします。 薬の副作用としてパーキンソン症状が現れるものを薬剤性パーキンソニズムと言います。 実は薬剤性パーキンソニズムを引き起こす薬はたくさんあります。 主要なものとしては降圧剤、向精神薬、抗うつ剤、抗認知症薬、消化器系薬剤などがありますが、これらにはドーパミン拮抗作用があります。 パーキンソン病は神経伝達物質のドーパミンの作用が低下するこ…
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