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ブログタイトル
認知症診療あれこれ見聞録
ブログURL
https://kotobukireha.hatenablog.com/
ブログ紹介文
日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
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2019/06/25
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きた みちをさんの新着記事

1件〜100件

  • 発達障害ともの忘れ(25)

    前回は、発達障害の気質を強く持つ人ほど認知症になりやすいため「予防」が大事になるということと、認知症疾患は「発病」してから「ある一定以上」に脳細胞が減少して初めて「発症」するというお話をしました。 今回はその続きになります。 「脳を耕す」ことは認知症の「予防」にも繋がる もともと脳を耕していた人と、あまり脳を耕していたなかった人では認知症のなりやすさに違いはあるのでしょうか。 それはもちろん「ある」と考えられます。 脳がしっかり深くまで耕されており、脳細胞が多くて脳神経ネットワークも発達しているような人では、多少脳細胞が脱落したとしても、まだまだ機能している脳細胞や脳神経ネットワークが十分残存…

  • 発達障害ともの忘れ(24)

    前回は、発達障害の気質は「弱さ」であると同時に「強さ」にもなり得るものであり、発達障害の気質を強く持つ人ほど、自分の興味があることに特化して没頭したり、エネルギッシュに取り組んでいける傾向があり、それで脳を深くまで耕すことができたりするので、その点においては発達障害の気質が有利に働くこともあるというお話をしました。 今回はその続きになります。 発達障害の気質を強く持つ人ほど認知症になりやすいため「予防」が大事 今までも何度かお話ししてきたように、当院を受診される認知症患者さんの多くが、もともと発達障害的な気質を色濃く持っています。 その気質が何らかのストレスによって急激に前景化したり、加齢とと…

  • 発達障害ともの忘れ(23)

    前回は、脳は使うほどに脳細胞が増えてシワも深くなるので、頭をよく使うほど「脳を耕すことができる」と言えるのではないかということや、湯川秀樹博士の脳の形態は一般的な人に比べるとひと回り小さいけれども、その代わり驚くほどシワが深かったということ、そしてそのことから推察できることについてお話ししました。 今回はその続きになります。 「脳を耕す」ことで潜在的な能力が引き出される 前回は湯川博士の脳の形態と生前のいくつかのエピソードから、博士はASD(自閉スペクトラム症)的な発達障害の気質を強く有していた可能性が高いというお話をしました。 もしそうであるならば、「脳神経細胞の脆弱(ぜいじゃく)性」を有し…

  • 発達障害ともの忘れ(22)

    前回は、「窓際のトットちゃん」でトットちゃんが通っていたトモエ学園の教育についてご紹介し、そこで実践されていた教育は「発達障害」の気質が強い人にも適用できる「懐の深い」ものであり、私たちに大きなヒントを与えるというお話をしました。 今回はその続きになります。 脳神経細胞は使えば使うほどに増える かつて受験生のバイブルと称されていた「赤尾の豆単」という手のひらサイズの小さな英単語集がありました。 この豆単の前書きに」「人間は忘れる動物である。忘れてもよい。忘れる以上に覚えればよいのである」と書いてあったのを今でもよく覚えています。 学生時代は、この言葉を励みに私もよく英単語の暗記に取り組んだもの…

  • 発達障害ともの忘れ(21)

    前回は、成長期にある子供の脳神経細胞はまだ未成熟なために「ストレス」による影響を受けやすく、子供に大きな「ストレス」を与えるような怒り方や暴言・暴力が脳に及ぼす悪影響は想像以上に大きいというお話をしました。 今回はその続きになります。 「窓際のトットちゃん」から得られる子育てや教育のヒント 「発達障害」の気質を強く持っているのにも関わらず、社会的に成功を収めている人は世界中にたくさんいらっしゃいます。 中でも日本で特に有名なのが、高齢ながら今も現役で活躍されている黒柳徹子さんではないでしょうか。 黒柳さんがご自身の子供時代のことを書かれた「窓際のトットちゃん」は国内外でベストセラーになっていま…

  • 発達障害ともの忘れ(20)

    前回は、もともと「脳神経細胞の脆弱性」を有している「発達障害の気質」の強い人ほど脳神経細胞が変性しやすく、それで認知症を伴う神経変性疾患も発症しやすくなっているため、脳神経細胞の健康を保つためには、日常的にいかに「ストレス」を感じさせないようにできるかが非常に大切であること、さらには本人が伸び伸びと自分の能力を発揮しながらその能力を大きく伸ばしていくためには、周りの人が「ヨイショ」したり「褒めたり」して本人のモチベーションを上げることが非常に効果的なので、いうなれば「発達障害の気質」の強い人の突出した能力を活かすも殺すも周りの人たち次第である、というお話をしました。 今回はその続きになります。…

  • 発達障害ともの忘れ(19)

    前回は、「認知症」や「発達障害」は、ある意味「社会の病気」でもあることや、「発達障害の気質」が強い人が問題なく過ごせるかどうかは周りの人たち次第であるというお話をしました。 さらには、周りにいる人たちの心持ち次第で、「発達障害の気質」を強く持つ人ほど有していやすい突出した能力をさらに伸ばし、その得意な能力を活かして逆に社会に貢献してもらえるかもしれないというお話もしました。 今回はその続きになります。 「発達障害の気質」が強い人ほどストレスをいかに減らせるかが課題 周りにいる人たちの認識や対応いかんで「認知症」や「発達障害」の症状は大きく左右されるということは、これまでにもお話ししてきたことで…

  • 発達障害ともの忘れ(18)

    前回は、「発達障害の気質」は誰もが持ち合わせているもので「個性」でもあるということ、さらには「発達障害」や「認知症」の診断は本人の状態だけに依拠してなされるわけではなく、社会活動や日常生活に何らかの支障があってはじめて「診断」されるため、家族などの周りにいる人たちや社会・文化の許容性や対応力によって診断の可否が左右される病態・気質でもあるということをお話ししました。 今回はその続きになります。 「認知症」や「発達障害」は、ある意味「社会の病気」でもある 今回は少し話が脱線します。 家族などの周りにいる人たちや社会・文化の許容性や対応力によって診断の可否が左右されるのは「認知症」も「発達障害」も…

  • 発達障害ともの忘れ(17)

    前回まで3回に渡り、発達障害の気質が強い人で「もの忘れ」を訴えて受診されてきた3症例についてご紹介いたしました。 今回はその続きになります。 「発達障害の気質」は誰もが持ち合わせているもので「個性」でもある これまで「発達障害ともの忘れ」についてお話ししてきましたが、ここで是非お伝えしておきたいことがあります。 それは「発達障害の気質」というのは、決して特定の人だけに見られるものではなく、特性の種類やその強弱の差こそあれ「誰もが持ち合わせているものだ」ということです。 そしてこの誰もが持ち合わせている特性というのは、その人にとっては「欠点」になると同時に「長所」にもなるものだと言えます。 「い…

  • 発達障害ともの忘れ(16)

    前回から、発達障害の気質が強い人で「もの忘れ」を訴えて受診されてきた実際の症例についてご紹介しています。 今回は3人目の症例についてです。 (症例3)「もの忘れ」を主訴に来院された40代女性 夫と別居中で実家で両親と3人で暮らしている方ですが、ここ数か月で記憶力と注意力の低下、イライラ感の増強があり、当院を受診されました。 以下にまず、症状や神経学的所見、画像検査結果などについてまとめます。 【症状など】 ・もともと大学卒業後、IT企業でシステムエンジニアの仕事をしていたが、仕事量が多いことに加え、年齢とともに仕事内容が高度化して残業が増えてきたことや、他人をまとめたり、指導する立場にもなった…

  • 発達障害ともの忘れ(15)

    前回から、発達障害の気質が強い人で「もの忘れ」を訴えて受診されてきた実際の症例についてご紹介しています。 今回は2人目の症例についてです。 (症例2)「もの忘れ」を主訴に来院された40代男性 妻と子供と3人で暮らしている方ですが、この1年でもの忘れがだんだんひどくなり、仕事にも支障をきたすようになってきたため、当院を受診されました。 以下にまず、症状や神経学的所見、画像検査結果などについてまとめます。 【症状など】 ・最近、忘れ方と忘れる頻度がひどくなった。前は言われれば「あ~」と思い出したが、今は言われても記憶がすっぽり抜けていることがある。仕事面で2~3週間前のことがすっぽり抜けてしまった…

  • 発達障害ともの忘れ(14)

    前回は、患者さん本人の訴えに家族が「共鳴」してしまうと、本人の症状をさらに「増幅」させかねないこと、本人や家族に「待てない」気質があると、目の前に表れる症状に振り回されて薬を勝手に調節してしまうことがあるため、そうなるとさらに治療が難渋しやすくなること、本人や家族が診察時に自ら良くなった点を話すようになったら、それがターニングポイントになって病状が好転していくことが多いことなどについてお話ししました。 今回からは、実際の症例をご紹介していくことにします。 (症例1)「もの忘れ」を主訴に来院された40代女性 夫と娘と3人暮らしでフルタイムで働いている方ですが、最近、仕事で前日に対応したお客さんの…

  • 発達障害ともの忘れ(13)

    前回は、パーキンソン病の人は「暗示にかかりやすい」傾向があるため、治療ではそれを利用して得られる薬の効果を大きくするような声掛けをすることがあること、心配性の患者さんは診察時に悪いことしか言ってこないことがあり、そのような場合には治療に難渋しやすいこと、本来治療を進めていくうえで必要な協力が得られそうもない家族の場合には、スタッフはあらかじめそのことを心づもりして対応した方が良いことなどについてお話ししました。 今回はその続きになります。 家族が本人の訴えに「共鳴」することが、さらに本人の症状を「増幅」させる 前回までにお話ししてきたように、パーキンソン症状のある患者さんは総じて「ストレス」に…

  • 発達障害ともの忘れ(12)

    前回は、ドーパミンが少なくなっているかどうかは、パーキンソン病や発達障害の人に限らず、ドーパミンの機能が落ちることで生じる「パーキンソン症状」が認められれば、その可能性が考えられること、そしてその病態としてはレビー小体型認知症や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺などの神経変性疾患や脳血管障害(血管性パーキンソニズム)、薬の副作用(薬剤性パーキンソニズム)なども挙げられるが、実は加齢によってもドーパミンは減少するため、高齢になるほどパーキンソン症状を呈しやすくなるというお話をしました。 また、ドーパミンが十分に機能しないためにパーキンソン症状を呈している群というのは、総じて「気分」や「気持ち…

  • 発達障害ともの忘れ(11)

    前回は、パーキンソン病や発達障害の人は「気分」や「気持ち」に左右されやすく、それゆえ「ストレス」にも弱くなっているため、何らかの「ストレス」がきっかけになってさらにドーパミンの分泌量が減少してしまいやすく、それが「注意障害」の前景化や「覚醒度」の低下をもたらすことで、結果的に一見「もの忘れ」が出てきたかのように感じられることがあるというお話をしました。 今回は、その続きになります。 「パーキンソン症状がある」ということは「ドーパミンの機能が落ちている」ということ 前回までお話ししてきたように、パーキンソン病や発達障害の人はもともとドーパミンが少ない傾向にあるのですが、ドーパミンの分泌量が減って…

  • 発達障害ともの忘れ(10)

    前回は、ドーパミンは体内に増えてくると「幸福感」や「やる気」が湧いてくるため、それが別名「幸せホルモン」「やる気ホルモン」ともいわれる由来になっているけれども、もともとドーパミンが不足がちなパーキンソン病や発達障害の人には、このようなドーパミンがもたらしてくれる「快楽」を求めて、ド―パミンをたくさん分泌させてくれるギャンブルやアルコール、ニコチン、カフェイン、麻薬といった「刺激的な活動や物質」に依存しやすい傾向があるというお話をしました。 また、ドーパミンは「喜ばしいこと」がこれから起こりそうだと予測される時にも分泌される性質があり、ドーパミンが不足がちなパーキンソン病や発達障害の人は、もとも…

  • 発達障害ともの忘れ(9)

    前回は、まず発達障害の気質のある人が「もの忘れ」を訴えるようになるパターンを整理し、それは「注意障害」と「覚醒度の低下」が大きく関与していることが多いということをお話ししました。 また、注意欠陥多動性障害(ADHD)で「注意障害」や「覚醒度の低下」といった特徴的な症状が生じる原因の1つに、脳内における神経伝達物質(ホルモン)のドーパミンの「流通量」が少ないことが挙げられることや、実際にドーパミンがどのような働きをしているのかについてもお話ししました。 今回はその続きになります。 ドーパミンの別名は「幸せホルモン」「やる気ホルモン」 前回お話ししたように、精神面にも大きく関与するドーパミンは、体…

  • 発達障害ともの忘れ(8)

    前回は、発達障害の人は覚醒度が低下することで、もともと持ち合わせている「注意障害」が前景化し、そのために「もの忘れ」を訴えることもあり得るというお話をしました。 さらにその原因として、発達障害の人は「覚醒度」を保つうえで中心的な役割を果している「前頭葉」機能がそもそも低下傾向にあることが考えられるというお話もしました。 今回は、その続きになります。 発達障害の気質のある人が「もの忘れ」を訴えるようになるパターンを整理すると 前回までに、20~50歳代で発達障害の気質のある人が「もの忘れ」を主訴に受診されてくる場合、その「もの忘れ」は認知症疾患が原因で生じたものではないことが多く、何らかの原因で…

  • 「認知症診療あれこれ見聞録」記事一覧

    おかげさまで2019年6月から書き始めたこのブログも、もう少しで記事数が200に到達します。 当初は日々認知症外来で学んでいることを記録に残すとともに、「認知症」で苦しむ多くの人たちに少しでも役に立てばと考えて書き始めたブログですが、いざ文章を書こうとした時に自分では分かっているつもりだったことが実はあいまいで調べ直すことができたり、しっかり説明しようとしてあれこれ考えることが自分自身の理解や知識の整理につながったり、そうすることでさらに新たな疑問や気づきが生じたりと、いまではブログを通じて自分自身が受ける恩恵が一番大きいのではないかと思うようになりました。 また、書きたいけれども、うまくまと…

  • 発達障害ともの忘れ(7)

    前回は、20~50歳代で「もの忘れ」を主訴に当院を受診される発達障害の気質が強い人の場合、「ストレス」が原因でさらに「注意障害」が増悪し、その結果「もの忘れ」を訴えるのに至ったのではないかと考えられるケースがほとんどだというお話をしました。 これは「ストレス」が加わったことで、もともと低下している「注意の容量・ワーキングメモリ(作業記憶)」がさらに低下し、一度に処理できる情報容量が減ることで、本来入力されるはずの情報が入力されないために起こると考えられ、そのため「記憶」そのものが形成されていないので、厳密にいえば「もの忘れ」と表現するのは正確ではないというお話もしました。 今回はその続きになり…

  • 発達障害ともの忘れ(6)

    前回は、「注意障害」があって「注意の容量」や「ワーキングメモリ(作業記憶)」が低下すると、その人が行っているあらゆる活動において、その作業効率や精度、スピードなどが下がりやすくなるということをお話ししました。 また、そもそも発達障害の気質が強い人には「心身の状態」や「周囲の環境」の変動に敏感で影響を受けやすいという特性があり、ちょっとした変動でも過敏に反応し「注意の容量」が低下しやすいというお話もしました。 今回はその続きになります。 「注意機能」を低下させている主要な要因は「ストレス」がほとんど 前回お話ししたように、「注意機能」の低下を招く要因としては、「心身の状態」や「周囲の環境」を変動…

  • 発達障害ともの忘れ(5)

    前回は、発達障害の気質が強い人の「もの忘れ」は認知症疾患が原因でないことが多く、その原因として私たちは「注意機能」と「覚醒度」の関与を考えているというお話をしました。 そして、発達障害傾向の人が合併していることが多い「注意障害」の理解を深めるうえで、まずは「注意機能」は5つの機能に分けられるというお話ししました。 今回はその続きになります。 「注意障害」による「注意の容量」と「ワーキングメモリ(作業記憶)」の低下 「注意障害」は、前回お話ししたように「注意機能」の「選択性」「持続性」「転導性」「多方向性」「容量」の5つの機能が単独もしくは重複して低下することで生じます。 この5つの機能の中で「…

  • 発達障害ともの忘れ(4)

    前回は、アルツハイマー型認知症の発生機序に関する「ミエリン仮説」について少し詳しくお話ししました。 そのうえで、発達障害の人が有する「神経軸索の髄鞘化機能の低下」という特性と、アルツハイマー型認知症の発生機序には「脱髄」と「再ミエリン化不全」が深く関与しているとする「ミエリン仮説」は、いずれもその病理学的背景が大きく共通していることから、もし「ミエリン仮説」が正しいとすれば、発達障害の人がもの忘れを発症しやすいのも納得がいくというお話をしました。 今回はその続きになります。 発達障害の気質が強い人の「もの忘れ」は認知症疾患が原因でないことが多い 20~50歳代でも「もの忘れ」を主訴に当院を受診…

  • 発達障害ともの忘れ(3)

    前回は、神経軸索の髄鞘化機能の低下が発達障害や認知症疾患を呈する一因になっている可能性が高いということをお話しし、それに関連して、神経軸索の髄鞘が崩壊して軸索がむき出しになる「脱髄(だつずい)」が、アルツハイマー型認知症の発生機序に大きく関与しているとする「ミエリン仮説」についてご紹介しました。 今回はその続きになります。 「脱髄」と「再ミエリン化不全」がアルツハイマー型認知症の発症に深く関与している 人の脳は「灰白質(かいはくしつ)」と「白質」に分けられます。 灰白質は脳の表面にあって、そこに神経細胞が集まっているのに対し、白質は灰白質の内側の脳深部にあって、そこに神経細胞から伸びた神経軸索…

  • 発達障害ともの忘れ(2)

    前回は、発達障害の気質がある人は意外に多く、最近の文部科学省による報告では自閉症スペクトラム(ASD)保有率が1.1%、注意欠陥多動性障害(ADHD)保有率が3.1%、米国のCDCによる報告ではASD保有率は1.85%、ADHD保有率は6.1%とされているけれども、実は当院で認知症と診断される患者さんの多くに発達障害の傾向があるというお話をしました。 また、発達障害のある人は脳の神経細胞に脆弱性(ぜいじゃくせい)があり、ストレスによって脳の神経細胞が変性しやいため、発達障害の気質がある人は認知症になりやすいと考えられるけれども、これは発達障害の人はもともと神経軸索の髄鞘化(ずいしょうか)機能が…

  • 発達障害ともの忘れ(1)

    発達障害の気質がある人は意外に多い!? 当院で認知症と診断される患者さんの多くが、強弱の差こそあれ、もともと発達障害の気質を有しているということを、以前からお話ししてきました。(「認知症と発達障害」カテゴリー記事一覧) ここでいう発達障害とは、主に「自閉症スペクトラム症(ASD)」と「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の2つになります。 発達障害の保有率としては、文部科学省によって2012年に全国の公立小中学校で約5万人を対象に実施された調査によれば6.5%(ASDが1.1%、ADHDが3.1%)とされています。 また米国のCDCの報告によれば、推定される子供のASD保有率は1.85%(2010…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(7)

    前回は、「意味性認知症」になると「失語」だけでなく「視覚性失認」も呈しやすいということをお話しし、当院で実施している「視覚性失認」の有無を確かめるテストをご紹介しました。 今回はその続きになります。 「意味性認知症」は「アルツハイマー型認知症」に間違われやすい 以前もお話したように、特に「意味性認知症」は「失語」症状が「もの忘れ」に勘違いされやすいため、「アルツハイマー型認知症」に誤診されやすくなっています。 そのため「意味性認知症」の患者さんに「アルツハイマー型認知症」治療薬が投与されているケースが少なくありません。 「意味性認知症」は「前頭側頭葉変性症」に含まれているように「前頭葉症状」が…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(6)

    前回は、「失語」の具体的な症状についてお話しするとともに、「失語」症状は「意味性認知症」でなくても出現しやすいものであり、認知症患者さんが合併する症状としては決して珍しくないというお話をしました。 ただ、明らかな「記憶障害」を伴わずに病初期から「失語」症状が前景化している場合には、やはり「意味性認知症」が強く疑われ、その場合には「意味性認知症」において病初期から出現しやすいその他の特徴的な症状についても、簡単なテストで有無を確認していくというお話をしました。 今回は、その続きになります。 「意味性認知症」になると「視覚性失認」を呈しやすい 「意味性認知症」になると障害されやすい側頭葉には、言語…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(5)

    前回は、当院で実施している「失語症スクリーニングテスト」と失語症が疑われるよくある回答や反応についてご紹介しました。 また、認知症患者さんの多くが言葉の視覚的理解よりも聴覚的理解の方が障害されやすい傾向があることについてもお話ししました。 今回はその続きになります。 「失語」の具体的な症状について 「失語」があると具体的にどのような症状が出現してくるのかについて、ここで一旦整理してみたいと思います。 「失語」とは、言葉を「聞く」「話す」「読む」「書く」ことが障害される症状になります。 もちろん脳の障害される部位やその大きさによって、障害される機能や程度は変わりますが、いくつかの機能が重複して障…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(4)

    前回は、「失語」症状のある人は、言葉の意味が分からなくても、そのことを相手に悟られないように「聞こえないふりをする」「笑ってごまかす」「話をそらす」「急に不機嫌になって怒り出す」「その場からいなくなる」といったふるまいをすることがよくあるというお話をしました。 また、「失語」症状は「もの忘れ」に間違われることがよくあるということもお話ししました。 今回はその続きになります。 当院で実施している「失語症スクリーニングテスト」 前回までにお話ししてきたように、「失語」症状は周りにいる人たちから「難聴」や「もの忘れ」に間違われやすいため、「難聴」や「もの忘れ」として表現されることが少なくありません。…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(3)

    前回は、「失語」があるといわゆる「都合耳」になりやすいということと、電話が苦手になりやすいということをお話ししました。 今回はその続きになります。 言葉の意味が分からなくても、本人はそれを隠すことが多い おそらく皆さんも誰かを話してる時に、相手の言っている言葉の意味がよく分からないということがあると思います。 そんな時、皆さんはどうするでしょうか。 相手に改めてその言葉の意味を尋ねることもあるでしょうが、そのまま流してしまうことも多いのではないでしょうか。 それはおそらく「失語」症状のある患者さんも同じで、本当は意味の分からない言葉があったり、話の内容をしっかり理解できなくても、相手の話に相槌…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(2)

    前回は、「意味性認知症」についてご紹介し、その主要な症状である「失語」症状が「難聴」と間違われやすいことと、「失語」症状は少しずつ進行していくために「意味性認知症」はある程度進行するまで、周りの人たちには気付かれにくいということをお話ししました。 今回はその続きになります。 いわゆる「都合耳」じゃないですか? まず、前回の話の補足から始めようと思います。 前回お話ししたように、話が相手に伝わらない原因が「難聴」だけであれば、こちらが話す声の大きさを変えない限り、相手にはすべての話の内容が伝わらないはずです。 しかし、あえて同じ声の大きさで問診やテストを行った時に、質問によって「伝わるもの」と「…

  • 本当に「耳が遠い」だけですか?(1)

    「意味性認知症」をご存じですか? 最近、当院ではなぜか「意味性認知症(Semantic Dementia:SD)」と診断される患者さんが多いのですが、皆さんは「意味性認知症」という病名を聞いたことがあるでしょうか? 「意味性認知症」は、我が国では指定難病とされている「前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration:FTLD)」の1つであり、左右差のある側頭葉前方部の限定された萎縮に伴い、意味記憶が選択的かつ進行性に損なわれる疾患だとされています。 また、もちろん「意味性認知症」は認知症疾患なのですが、高齢での発症が少なく、主に65歳以下で発症する疾患だとさ…

  • 便秘が認知症を悪化させる(8)

    前回は、「便秘」が認知症の症状を悪化させたり、大きく波立たせてしまうということを私たちに教えてくれた印象的な症例についてご紹介しました。 今回も引き続き、そのような症例をご紹介します。 【症例3:認知症を伴うパーキンソン病の80歳代女性】 この患者さんは、当院を受診される3年前から手が震える「振戦」の症状が出現し、その1年後にふらつきや転倒も見られるようになったため、大学病院を受診し「パーキンソン病(PD)」と診断されました。 しかし、投薬治療を開始してから数ヶ月後に「幻視」「幻聴」「幻臭」などの「幻覚」が顕著に出現するようなり、それらの「幻覚」をベースにした「妄想」や「不安感」から、様々な問…

  • 便秘が認知症を悪化させる(7)

    前回は、「便秘」によって認知症の症状が大きく悪化しているような場合には、すっきり排便できただけで劇的に症状が改善する患者さんを何人も経験しているということをお話しし、そのような症例を1つご紹介しました。 引き続き、今回も実際の症例についてご紹介します。 【症例2:レビー小体型認知症の80歳代男性】 この患者さんは、当院を受診される2~3年前から、もの忘れのほかに幻視で子供や女の人、動物などが見えたり、夜寝ている時に急に起き出して外に出ようしてしまうといった「レム睡眠行動異常」の症状が出現するようになりました。 また、パーキンソン症状も徐々に進行して転倒を繰り返すようになり、身体が斜めに傾く「斜…

  • 便秘が認知症を悪化させる(6)

    前回は、便秘がちの人は「リーキーガット」が生じやすく、「リーキーガット」ががあると未消化の食べ物や有害物質、細菌などの「異物」が体内に侵入して炎症を起こしやすくなるというお話をしました。 さらに、それらの「異物」は、本来であれば「血液脳関門」を通り抜けることができないけれども、「リーキガット」を引き起こす物質が「血液脳関門」も緩めてしまって「リーキーブレイン」を生じさせ、そうなると「異物」が脳内に侵入して炎症も起こりやすくなってしまうことから、認知症患者さんが「便秘」になって腸内の「有害物質」が増えてくると、途端にそれらが脳にも影響を及ぼして認知症が悪化してしまうのだろうというお話をしました。…

  • 便秘が認知症を悪化させる(5)

    前回は、「腸内環境」の悪化によって「腸内細菌」が生成する「ドーパミン」量が不足してくると、覚醒度の低下や「意識の変容」も起こりやすくなるため、それらをベースにした妄想や幻覚、易怒性といった症状はもちろん、心身ともに認知症症状が全体的に悪化しやすくなるというお話をしました。 また研究報告を引用しながら、「腸内環境」は脳の働きと非常に深く関連しており、「腸内細菌」は脳を育て、感情を整え、性格まで左右すると言っても過言ではないというお話もしました。 今回はその続きになります。 「便秘」がちな人は「リーキーガット」が生じやすい 前回までにお話ししてきたように、「便秘」になって「腸内細菌」がうまく調和し…

  • 便秘が認知症を悪化させる(4)

    前回は、「腸内細菌」は人間の心身活動に不可欠な「セロトニン」「ドーパミン」といったホルモン(神経伝達物質)のほとんどを生成しているけれども、「便秘」になって「腸内細菌」がうまく働けていないと、それらが不足してしまって身体的にも精神的にも働きが鈍くなってしまうというお話をしました。 さらに「便秘」を改善させるためには「腸内環境」を整える必要がありますが、「腸内環境」とは「様々な腸内細菌によって形成される腸内の生態系」であるため、これらの菌のバランスや調和がとれた状態すなわち「腸和」を目指す必要があるというお話もしました。 今回はその続きになります。 「ドーパミン」が不足すると、覚醒度の低下や「意…

  • 便秘が認知症を悪化させる(3)

    前回は、「便秘」によって悪化しやすい症状についてご紹介しました。 特に、覚醒度が低下しやすくなったり、覚醒度が波を打つ「意識の変容」が顕著化しやすくなることや「パーキンソン症状」が増悪しやすくなることについてお話ししました。 今回はその続きになります。 「便秘」とは「腸内細菌」がうまく働けていない状態 腸は「第二の脳」ともいわれるほど、腸は脳と非常に深く関連していることが分かっています。 「腸内環境」が脳の働きに大きく影響するということです。 そして、この「腸内環境」の状態を決めているのが、大腸に生息する非常に多くの多種多様な「腸内細菌」になります。 個人差はありますが、大腸に生息する「腸内細…

  • 便秘が認知症を悪化させる(2)

    前回は、「便秘」があると認知症症状が悪化したり、波を打ってしまうため、「排便」を整えることが認知症治療の第一歩になるというお話をしました。 また、当院を受診される認知症患者さんの半分以上が「便秘」の症状を持っており、当院では本人やご家族に「2日出なければイエローカード、3日出なければレッドカード」とお伝えして治療を進めているというお話もしました。 今回はその続きになります。 「便秘」によって悪化しやすい症状 「便秘」になると、どのような認知症症状が悪化しやすいのでしょうか。 答えは簡単です。 身体的にも精神的にもすべての症状が悪化してしまいます。 そればかりではありません。 普段から出現してい…

  • 便秘が認知症を悪化させる(1)

    「排便」を整えることが認知症治療の第一歩 前回は、睡眠の質を上げることは認知症の予防と改善につながるため、認知症疾患に対する治療の第一歩は、生活習慣の改善や投薬治療を通じて、いかに夜間しっかり寝てもらうかになる、ということをお話ししました。 しかし、認知症の予防と改善にとって、実は「睡眠」と同じくらい大切なことがもう一つあります。 それが「排便」です。 当院では、認知症疾患の治療の第一歩は「睡眠」と「排便」を整えることだと皆さんにお伝えしています。 それだけ「便秘」を症状に持つ認知症患者さんが多く、さらに「便秘」によって症状を悪化させている認知症患者さんが多いということでもあるのですが、このブ…

  • 「目」に表れる認知症の徴候(5)

    前回は、心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動していることと、自閉症スペクトラム症の気質も「目」に表れることについてお話ししました。 今回はその続きになります。 眠っていても、まぶたごしに「目」が動いているのは脳が活動している証拠 前回までは日中起きている時の「目」の徴候についてお話ししてきましたが、今回は寝ている時の「目」の徴候についてお話しします。 脳が活動するのは、日中覚醒している時ばかりではありません。 皆さんは眠っている人の「目」が、まぶたごしにクルクル動いているのを見たことがないでしょうか。 そういう時は、眠りが浅くなっていて、夢を見ていることも多く、脳は活発に活動しているのです。…

  • 「目」に表れる認知症の徴候(4)

    前回は、「目」の動きが制限されたり、指などをしっかり追視できなくなるのも認知症を伴う神経変性疾患の症状であるというお話をしました。 今回はその続きになります。 心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動している 心がきれいな子供の「目」はとても澄んでいます。 「目」には、その人の意志の強さや性格、怒り、悲しみ、驚き、動揺といった心の動きが表れます。 同じように、人がものを考えている時もその様子が「目」に表れます。 例えば、何かを思い出そうとしている時には「目」が上を向いたりします。 また、集中して何かを深く考えている時にはどこか一点をじっと見つめていたり、逆に「目まぐるしく」思考をめぐらせている時…

  • 「目」に表れる認知症の徴候(3)

    前回は「目」に表れるパーキンソン症状についてと、認知症になると「目」の動きが悪くなりやすいことについてお話ししました 今回はその続きになります。 「目」が上下に動きづらくなるのが進行性核上性麻痺 脳の神経障害によって眼球運動が障害される主要な疾患としては、脳血管障害や多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、進行性核上性麻痺などが挙げられますが、「目」が上下に動きづらくなる「上下転制限」を合併する認知症疾患としては進行性核上性麻痺が有名です。 進行性核上性麻痺では脳幹部にある中脳被蓋部という部位が萎縮して発症するのですが、中脳は眼球運動を司(つかさど)る中枢部位でもあるため、眼球運動障害が出現しやすい…

  • 「目」に表れる認知症の徴候(2)

    前回は、認知症疾患で高頻度に合併する「意識の変容」が疑われる「目の表情」についてお話ししました。 今回はその続きになります。 「目」に表れるパーキンソン症状 当院を受診されるほとんどの認知症患者さんがパーキンソン症状を合併されています。 パーキンソン症状とはパーキンソン病関連疾患(パーキンソン病、レビー小体型認知症)や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などの神経変性疾患、正常圧水頭症、脳血管障害、一部の薬の副作用などで出現しやすい症状のことです。 具体的なパーキンソン症状としては、安静時振戦(手足の震え)、固縮(手足や体幹筋群のこわばり)、姿勢反射障害(バランス不良)、無動・…

  • 「目」に表れる認知症の徴候(1)

    認知症があるかどうかは「目」からも気付ける 前回までの「まなざしによるケア」では、「まなざしには人を癒す大きな力が秘められている」というお話をしました。 また「目は口ほどに物をいう」というように、人は「目」という「心の窓」を通して「心の動き」を表出し、相手に多くのメッセージを発しているということもお話ししました。 今回お話ししたいのは、「目」には「心の動き」だけでなく、認知症を伴う変性疾患が疑われるような徴候もいくつか表れるということです。 そのため認知症外来の初診では「目の表情や動き」を必ず確認しています。 身近にいる人が、本人の「目の表情や動き」に違和感を覚えて受診に至るということもありま…

  • まなざしによるケア(3)

    前回は、認知症の人にとって、相手が「自分の目を見てくれないこと」は大きなストレスになるため、「目を見ない」応対は認知症の病状を悪化させたり、進行させかねないというお話をしました。 さらに「メラビアンの法則」によれば、コミュニケーションにおいて、話すしぐさや表情、視線といった「見た目」が相手の印象を決定する割合は55%もあり、言葉の理解力や記憶力の低下があって視覚情報に頼らざるを得ない認知症の人だったら、その割合はそれ以上になるのではないかということ、そして「見た目」を大きく左右するのが「顔の表情」とりわけ「目の表情」になるため、認知症ケアにおいてはやはり「相手の目を見る」ことが不可欠になるとい…

  • まなざしによるケア(2)

    前回は、まず認知症の人は相手の表情や態度に意外と敏感であるというお話をしました。 それは、失語症状が出て相手が何を言っているのか分からなかったり、自分の置かれている状況が分からないと、会話をしている相手や周りにいる人たちの表情などから、必死にその場の状況や雰囲気だけでも探ろうとするからではないかと思われます。 また、そもそも「相手の目を見ながら会話をする」ということは「あなたのことを見てますよ」というメッセージにもなり、相手に安心感を与えることができるということですが、逆に「相手が目を見てくれない」ということは、その人に対する不信感・不安感のもとになり、本人に少なからずストレスを与えることにも…

  • まなざしによるケア(1)

    認知症の人は相手の表情や態度に敏感である みなさんは認知症の人と接する時に、しっかり相手の目を見ているでしょうか。 「認知症の人だから・・・」と、あまりそんなことには気を払わずに接している人も多いかもしれません。 以前は私もそれほど意識はしていませんでしたが、今では「認知症の人だからこそ、相手の目をしっかり見ながら接しなければいけない」と感じています。 認知症になると多くの人に、程度の差はありますが、少しずつ言葉の意味が分からなくなってきたり(失語)、言葉の意味がすぐに想起できないといった症状が出てきます。 そんな場合、こちらがいくら丁寧に説明しても、本人は理解できずにますます混乱してしまった…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(15)

    前回は、「寝たきり」状態から回復された高齢者に共通していたのは、「できるだけ早期からトイレの使用を始めていた」ことと、「『絶対に良くなる!』という気持ちを持ち続けていた」ことであるというお話をしました。 そして「できるだけ早期からトイレの使用を始めていた」ことが回復に結びついた理由として、「廃用症候群」の予防や、そこからの回復にとって一番のカギになるのは、身体を起こしたり、立つことで「抗重力筋群」をいかに活動させられるかということであり、トイレを使うようになれば、この大事な「起きて」「立つ」という機会が、自然に生活の中に確保されるようになるからでしょうとお話ししました。 今回はその続きになりま…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(14)

    前回は、「和式生活」を導入することで「床上動作」を通じて日常的に全身の筋力を鍛えられるようになるため、「和式生活」は認知症高齢者の身体活動を活発にする選択肢としても十分考えられるというお話をしました。 そして実際に、日常的な「床上動作」が動作能力を飛躍的に回復させた認知症高齢者の症例についてご紹介いたしました。 今回はその続きになります。 「寝たきり」状態から回復された高齢者に共通していたこと 認知症のある高齢者が、ケガや病気などで入院して一旦身体状態が低下してしまうと、そこから回復するのはなかなか難しく、そのまま寝たきりになってしまったり、認知症がどんどん進行していってしまうということがよく…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(13)

    前回は、高齢者やパーキンソン症候群のある人ではお尻の筋肉が衰えやすく、お尻の筋肉が衰えてくると、歩く時に腰や膝が曲がった姿勢になって、すり足や小刻み歩行、動作緩慢などの「パーキンソン症候群」が増強しやすくなったり、さらには腰痛や膝痛、首痛の原因になることもある、ということをお話ししました。 そのため、お尻の筋力をしっかり保つことが若さを保つ秘訣であるとも言え、お尻の筋肉を鍛えるには、日常的に床からの立ち座り動作に代表される「床上動作」を頻繁に行う「和式生活」が適しているということや、お尻の筋肉を効率良く鍛えられる体操についても2つご紹介しました。 今回はその続きになります。 認知症高齢者の身体…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(12)

    前回は、入院で体力が落ちた施設入所者が退院して施設の生活に戻ると、基本的に他の入居者さんと同じように全体の予定に合わせて毎日生活するようになるため、半ば強制的に必要な「生活動作」を繰り返し行うようになって、いつの間にか入院前の身体状態まで戻っているということが多く、これこそが「生活動作」を活用したリハビリの本骨頂ではないかというお話をしました。 また、特に認知症高齢者の心身機能を維持・回復させるためには、日常的に「できるだけ心身の活動性を高く保つ」ことが不可欠であり、リハビリとして「生活動作」を有効に活用していくためには、リハビリスタッフから「生活スタイル」や「生活環境」について、具体的なアド…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(11)

    前回は、リハビリを効果的に進めていくには「負荷量」の設定が大事であり、本人ができるかできないかのギリギリの「負荷量」で動作・運動していけばいくほど、得られるリハビリ効果が大きくなるというお話をしました。 その点、床からの立ち座り動作に代表される「床上動作」は、高齢者にとっては全身の筋力とバランス能力を要求される比較的難易度の高い動作になるので、日常的に行うリハビリとしても適切な「負荷量」の運動になりやすいというお話もしました。 今回はその続きになります。 入院で体力が落ちた施設入所者が退院して施設の生活に戻ると・・・ 前回も少し触れましたが、日常生活の中でリハビリとして「生活動作」を活用してい…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(10)

    前回は、「床上動作」は認知症高齢者で衰えやすい「股関節周囲筋群」や「下部体幹筋群」を鍛えてくれるため、専門のリハビリスタッフも「床上動作」を利用した運動療法をよく実施しているというお話をしました。 そして、実際に専門のリハビリスタッフが行う「床上動作」を利用した運動療法の進め方についてご紹介し、その時に特に気を付けなればならないのが「姿勢」であり、抗重力筋群の神経筋活動を賦活する運動療法を実施する際のキーワードが「まっすぐ伸ばして荷重する」ことである、というお話もしました。 今回はその続きになります、 本人ができるかできないかのギリギリの「負荷量」での運動が効果的 前回もお話しした通り、リハビ…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(9)

    前回は、高齢者や認知症の人にとって有効な「生活動作」活用したリハビリの具体例を、それらによって「期待できる主な効果」とともに6つご紹介しました。 今回はその続きになります。 「床上動作」は認知症高齢者で衰えやすい筋群を鍛えてくれる 和式生活では、日常的に床からの立ち座り動作に代表されるような「床上動作」が必要になります。 前回も「生活動作」を活用したリハビリ例の【具体例その6】の中で少し触れましたが、「床上動作」というのは、上下肢・体幹の筋力とバランス機能を要求されるので、高齢者にとっては比較的難易度の高い動作になっています。 この「床上動作」でよく使われる筋肉としては、「股関節周囲筋群」や「…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(8)

    前回は、そもそも体力が落ちている高齢者では、身体に負荷がかかるような運動を長い時間行うのはなかなか難しいため、高齢者にリハビリを実施する際のキーワードは「低負荷・少量・頻回」になるけれども、そのような「低負荷・少量・頻回」のリハビリとして活用しやすいのが、毎日生活の中で繰り返し行っている「生活動作」であるというお話をしました。 そして「生活動作」を活用したリハビリは、生活の流れの中で自然に促すことができるので本人の負担感が少なく、リハビリをしたくない人や話の理解が難しい認知症の人にとっても実施しやすいといったメリットがあること、さらには、週1~2回専門的なリハビリを受けるよりも「低負荷・少量・…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(6)

    前回は、高齢者では生活が不活発になると「廃用症候群」が少しずつ進行していき、それによってさらに生活が不活発になって「廃用症候群」も進行していくという「負のスパイラル」に陥りやすいため、もしそんな状態に陥ってしまったら、できるだけ早く「負のスパイラル」を断ち切る必要があるけれども、心身ともにどんどん弱っていく状態で、高齢者が自ら前向きな気持ちになって日々活動量を上げていくということはなかなか難しいため、他人の手を借りてでも思い切って生活そのものを変えていくしかないというお話をしました。 そして、その時非常に頼りになるのが介護保険サービスであり、中でも通所サービスを導入することができれば、日中起き…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(5)

    前回は、何らかの原因があって過度の安静を強いられたり、日常生活の不活発や心身機能の不使用によって二次的に引き起こされる「廃用症候群」は高齢者で生じやすいけれども、これは自宅で自立した生活を送っている高齢者であっても、何らかのきっかけで生活が不活発になってしまうと、心身機能の低下とともに、さらに生活を不活発にさせるような要因も次々と生じやすくなるため、このような「負のスパイラル」が加速度的に進行して「廃用症候群」に陥りやすくなるからであるというお話をしました。 また、この「負のスパイラル」が始まるきっかけとしては、病気やケガといった突発的なアクシデントはもちろん、色々なストレスによる気分の落ち込…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(5)

    前回は「使わない機能は衰える」ことの分かりやすい例として、しゃがんだ姿勢を楽にとれない人が増えてきているけれども、これは今では洋式トイレが主流になって和式トイレを使う機会が減ってしまったことが影響しているのではないかというお話をしました。 また和式生活をしている高齢者の人がベッドを導入しようとする際には、日中の活動量が減って体力が落ちたり、昼寝が増えて生活リズムが崩れやすくなるといったリスクがあることも心に留めておいてほしいというお話をしました。 今回はその続きになります。 「廃用症候群」とは 皆さんは「廃用症候群」という診断名を聞いたことがあるでしょうか。 「廃用症候群」とは、病気やケガなど…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(4)

    前回は、和式生活からベッドや椅子を使う洋式の生活様式に切り替わると、生活の中で床から立ち座りする機会が減ってしまい、全身の運動機能が低下しかねないというお話をしました。 実は床からの立ち座り動作というのは全身の筋力やバランス機能を多く使うため、特に高齢者にとっては難易度の高い動作であると言え、この動作を日常的に行うことがリハビリにもつながるので、和式生活を続けるだけでも体力の維持・向上を図りやすくなるということもお話ししました。 今回はその続きになります。 しゃがんだ姿勢を楽にとれない人が増えている 「使わない機能は衰える」ことの分かりやすい例が「和式トイレ」の話だと思われます。 今やトイレは…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(3)

    前回は、人間にはもともと「神経系が環境に応じて最適の処理システムを作り上げるために、よく使われるニューロンの回路の処理効率を高め、使われない回路の効率を下げる」という「脳の可塑性」が備わっていて、「よく使う機能は強化され、使わない機能は衰える」ようになっているので、身体の健康にとっては、その人が普段どのような生活を送っているかといった生活習慣や生活環境などが非常に大切になるというお話をしました。 さらにそのことを考えれば、特に大きな問題もなく和式生活を続けてきたような高齢者が「洋式の生活は楽で便利だから」という理由だけで安易に和式から洋式の生活様式へ切り替えたりすると、運動能力面において「使わ…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(2)

    前回は、和式の生活様式は確かに不便で、人によっては身体に負担がかかる面があるため、高齢者では安全面を考えて洋式の生活に切り替えるケースが多いけれども、実は身体の健康維持にとって効果的な面もあるということをお話ししました。 今回はその続きになります。 よく使う機能は強化され、使わない機能は衰える 人間の身体はうまくできていて、その人が日常生活で行う頻度の高い動作や生活環境にうまく適応するよう日々モデルチェンジを繰り返しています。 つまり、生活の中で「よく使う機能は強化され、使わない機能は衰える」ということです。 これはいわば人間の限られた機能を、その人の生活環境に合わせて効率良く発揮させるために…

  • 高齢者ほど「和式生活のススメ」(1)

    和式の生活様式は身体の健康維持にも効果的な面がある 昭和、平成、令和へと時代が移り変わるにつれ、この数十年で日本人の生活様式は大きく変わってきました。 昔は家に畳があるのが当たり前で、家族みんなで茶の間に座ってテレビを観たり、食事をしたり、夜は布団を敷いて川の字になって寝たりしていました。 それが生活の利便性や生活スタイルの好みなどを理由に、次第に洋式の生活様式を取り入れる人が多くなってきました。 確かに昔ながらの和式の生活様式では、日常的に床に長時間座ったり、床からの立ち座り動作を頻繁に行わなければならず、洋式の生活様式に比べると身体への負担が大きいかもしれません。 布団で寝ている場合には、…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(21)

    前回は、通所サービスのメリットをまとめてみましたが、認知症治療において患者さんには生活の中で改めていってほしい課題があることが多く、それらの課題は患者さんによってもちろん違うけれども、内容は大体決まっており、いずれも通所サービスの導入によって解決を目指せるものが多いというお話をしました。 今回はその続きになります。 認知症を一番進行させてしまうのは「座敷牢」のような生活 皆さんは「座敷牢」というものをご存じでしょうか? 昔は家族に精神疾患や認知症の人が出たりすると、「恥ずかしい」と言って世間体を慮り、家族が本人を外に出さないようにすることがありました。 しかし本人の足腰が丈夫で自分で外に出てい…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(20)

    前回は、認知症患者さんに通所サービスを導入できるかどうかが、その後の病状経過や人生において大きな分岐点になると言えるほど、認知症治療においては、通所サービスの導入によって得られる効果は大きいが、初めから喜んで通ってくれるような方はほとんどいないので、当院では本人の意思に関わらず、無理やりにでも通所サービスに通わせた方が良いと家族に勧めているというお話をしました。 また、本人の拒否が強い場合でも、通所サービスのスタッフたちはそのような方への対応には慣れているので、すべてお任せしてしまっても良いということや、楽しんで通所サービスに通っている患者さんは、認知症があまり進行していかない印象があること、…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(19)

    前回は、認知症の治療を進めていくうえでは、家族の協力が不可欠であり、家族が健康でいることが認知症治療の「土台」になるとも言えるため、もし介護ストレスなどで家族が心身のバランスを崩しているようなら、患者さんと一緒に治療介入することもありますが、いずれにしても医療従事者は家族に寄り添ったり励ましたりしながら、時間をかけてお互いの信頼関係を構築していくことで、少しでも家族が患者さんに対して適切なケアが行えるようにバックアップしていくというお話をしました。 ただ、どうしても適切なケアを行うのが難しい家族の場合には、介護保険サービスの利用を積極的に促していきますが、中でも当院で一番利用をお勧めしているの…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(18)

    前回は、治療に難渋する家族に共通する傾向として、診察では悪いことばかり強調して良いことは話さなかったり、また医療従事者が熱心に応対してもなかなか話が通じなかったり急に来院しなくなることもあるということをお話ししました。 そのためあらかじめそのことを心に留めておかないと、薬を出し過ぎてしまって患者さんの症状をさらに悪化させてしまったり、医療従事者がいわば振り回されて疲弊しかねないというお話もしました。 今回はその続きになります。 認知症の治療には家族の健康が不可欠 認知症患者さんの治療には家族の協力が欠かせません。 以前にもお話しした通り、認知症治療においては「薬とケアは両輪」になります。 患者…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(17)

    前回は、治療に難渋する患者さん家族には一定のパターンや傾向があり、大まかに「話が主観的でまとまりがない」タイプと「熱心で細かく要求が高い」タイプの2つに分けられことをお話ししました。 そして、それぞれのタイプの特徴や傾向についてご紹介し、そのような家族の場合には、主治医が処方した薬を自己判断で勝手にいじってしまう傾向があることを踏まえて対応していくというお話をしました。 今回はその続きになります。 治療に難渋する家族に共通する傾向 前回は治療に難渋する患者さん家族の2つのタイプについてご紹介しましたが、さらに両者には共通する特徴や傾向があります。 ①悪いことばかり強調して良いことは話さない そ…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(16)

    前回は、認知症患者さんに新たに薬を始めたり投薬量を調節した場合には、様々な要因による日々の小さな変動を差し引いたうえで、全体的に症状が良くなったのか悪くなったのかを判断するために、最低でも1~2週間はそのままで様子をみたいということ、治療の過程においては時折必ず困った症状が「爆発」するものであり、段々とその大きさや頻度が減っていくことと併せて家族に伝えておけば、「爆発」にもあたふたせず適切に対応できるようになり、家族に何があっても動じない心構えができてくれば、患者さんの症状は自然に好転していくるということをお話ししました。 一方で、薬を勝手にいじってしまうような家族の場合は、どうしても目の前の…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(15)

    前回は、認知症治療においては投薬以外のケアによる効果も非常に大きいため、治療がうまくいくかどうかは、家族と医療従事者が同じ土俵に立って協力し合えるどうかが大きな分岐点になるというお話をしました。 そのため認知症治療においては家族の協力が不可欠になるけれども、安全で適切な投薬治療にはどうしても時間がかかってしまうことを理解し、治療に協力してくれる家族がいる一方で、それができずに逆に治療の足を引っ張ってしまうような対応を続けてしまう家族もいること、そしてその最たるものが「勝手に薬をいじってしまう」家族であり、実はそのような家族には似たような特徴や傾向があるということをお話ししました。 今回はその続…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(14)

    認知症治療における投薬と家族によるケアについて強調しておきたかったこと ここまで数回にわたって、認知症の投薬治療について少し詳しくお話ししてきました。 そのため「『お父さん!違うでしょ!』といったような家族の対応が認知症患者さんの病状を進行させかねない」という今回のテーマからは少し離れてしまったようにも感じられます。 しかしそれは、認知症の投薬治療では実際にどのような点に苦心しているのか、そしてそれはどんな理由からなのかについて知っておくことが、適切な認知症ケアの理解を深めるうえで、とても役に立つと考えたからです。 それでは、今回どうしてもお伝えしておきたかったことを以下の6点に整理しておきま…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(13)

    前回は、精神症状と身体症状に対する薬の効果は完全に「シーソー関係」にあり、精神症状を良くする薬を使うと身体の動きが悪くなり、身体症状を良くする薬を使うと精神症状が悪くなる傾向があること、そして精神症状に対する投薬で最も出現頻度の高い副作用は「薬剤性パーキンソニズム」であること、一方で身体症状に対する過度な投薬は幻覚や妄想などの精神症状を出現・再燃させかねないということをお話ししました。 そのため認知症の投薬調整の「キモ」は、精神症状と身体症状の「シーソー関係」を保ちつつ、両者のバランスが大きく崩れないよう全体的に症状を「底上げ」することになりますが、薬には必ず副作用があるのでどうしても投薬治療…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(12)

    前回は、認知症患者さんの多くが有している「薬剤過敏性」こそが認知症治療の難易度を上げている主要な要因の一つであり、そのため投薬治療を安全に進めていくには、予期せぬ薬の効果が出ていないかどうかを注意深く見極めながら、おかしな兆候があればすぐにそれを察知して、減薬・中止などの適切な対応ができるよう、微量で投薬調整を重ねていくしかないというお話をしました。 今回はその続きになります。 精神症状と身体症状に対する「薬効」は「シーソー関係」 ①最も出現頻度が高い副作用は「薬剤性パーキンソニズム」 以前もお話ししましたが、認知症治療に用いる薬の効果は、精神症状と身体症状においては完全に「シーソー関係」にあ…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(11)

    前回は、認知症医療の臨床において、家族が勝手に薬を調整してしまうケースは治療に最も難渋するが、そもそも自己判断で内服薬の調整をすることは「悪性症候群」という命に係わる状況を引き起こしかねず、非常に危険なので絶対にしてはいけないというお話をしました。 また、認知症を伴う神経変性疾患ではほとんどの方が「薬剤過敏性」を有しているので、家族が内服薬を勝手に調節してしまうと症状が大きく波打ちやすく、治療が上手く進まなくなるということもお話ししました。 今回はその続きになります。 「薬剤過敏性」が認知症治療の難易度を上げている 私は昔「フライトシュミレーター」という旅客機を操縦して着陸させるアーケードゲー…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(10)

    前回は、患者さんの客観的な症状と変化を報告できない家族の場合、家族の大げさな話にこちらが振り回されないようにしながら、できるだけ客観的な情報を引き出せるように問診するとともに、その他の家族やケアマネを初めとする医療・介護保険スタッフとも積極的に情報交換するよう心掛けているというお話をしました。 また、認知症治療においては適切な投薬治療とケアは両輪なので、どちらが欠けても上手くいかないことが多く、ましてやどちらも不適切だと症状の改善は一層困難になるけれども、治療に最も難渋するのが家族が勝手に薬をいじってしまうケースだということもお話ししました。 今回はその続きになります。 自己判断で内服薬の調整…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(9)

    前回は、認知症患者さんがデイサービスやデイケアなどの通所サービスを利用するようになると、生活リズムが整って夜間の睡眠の質が上がり、それによってほとんどの認知症症状のベースになっている「意識の変容」が改善するので、認知症症状も全体的に落ち着きやすくなるというお話をしました。 また、通所サービスを導入すると同居家族の介護負担の軽減も期待できるので、それが家族の気持ちに余裕を生じさせることにもつながり、それによって家族が今まで気付けなかったような患者さんの症状や変化にも気付けるようになると、主治医も投薬治療をより的確に行えるようになるので、さらに患者さんの症状が改善されていくといった好循環が生まれや…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(8)

    前回は、認知症患者さんと同居されている方が、どうしても本人の気持ちを落ち着かなくさせてしまうような言動をしており、それを改めるのがなかなか難しい場合、当院では本人にデイサービスやデイケアなどの通所サービスを利用してもらうようお勧めしているというお話をしました。 そして通所サービスを導入できれば、その方と認知症患者さんを定期的に一定時間離せるようになるばかりか、患者さん本人も多くの人と交流したり、身体を動かす機会が格段に増えることで脳が活性化され、さらに生活リズムも整いやすくなるため、本人の症状も目に見えて落ち着ちついてくるとお話ししました。 今回はその続きになります。 通所サービスの導入・拡充…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(7)

    前回は、認知症患者さんと同居されている方が、どうしても本人の気持ちを落ち着かなくさせてしまうような言動をしてしまい、それを改められない場合には、自宅でその方と2人だけで過ごす時間を減らしていくことが必要であり、そのためには介護保険サービスを利用するのが現実的であるというお話をしました。 そして利用をお勧めしているサービスには訪問型と通所型があり、それぞれにメリットがあるのですが、前回は訪問型サービスのメリットについてお話ししました。 今回はその続きになります。 デイサービスやデイケアの導入は非常に有効 当院で利用を一番お勧めしているのが、デイサービスやデイケアといった施設へ通いながら受ける通所…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(6)

    前回は、認知症患者さんを不安にさせたり、興奮させるようなやりとりが病状を進行させてしまうので、認知症治療にとっては同居している方による適切なケアが不可欠なのですが、実は周りの方が本人を落ち着かなくさせる「スイッチ」を入れてしまっていることが少なくないというお話をしました。 そして「同居している相手の方が不適切なケアを改めることは難しい」と判断される場合には、その相手の方と2人だけでいる時間をできるだけ減らしていくようアプローチしていくとお話ししました。 今回はその続きになります。 まずは介護保険サービスの導入と拡充を 認知症患者さんと同居されている方が、どうしても本人の気持ちを逆なでしてしまい…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(5)

    前回は、高齢夫婦2人暮らしではどちらか一方が認知症になったとしても、相手の方は毎日顔をつき合わせているためになかなか気づきにくく、症状に気づいた時には病状がかなり進行していたりするばかりか、一緒にいる相手の方も認知症を発症していたり、何かしらの心身の不調を抱えていることが多いというお話をしました。 そのため、患者さんの認知症症状を落ち着かせる適切なケアを相手の方にしてもらうためにも、ご夫婦とも治療介入するということも少なくなく、それによってケアがうまくいくようになると治療効果も目に見えて上がってくるため、認知症治療においては「投薬治療」と「ケア」はどちらも欠かせない両輪であるということもお話し…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(4)

    前回は、認知症の人に対していわば「大人の対応」をすることに、少なからず抵抗感を感じてしまう身内の方もいらっしゃるかもしれないが、適切なケアの出発点というのは、今まで良いことも悪いことも、楽しいこともつらいことも一緒に乗り越えながら共に長い人生を歩んできた、自分のことを一番分かってくれているはずの相手のことを、一旦「あきらめること」であるかもしれないというお話をしました。 そして介護するこちら側が腹を決め、落ち着いて適切なケアができるようになると、相手も自然に落ち着いてくることが多いけれども、適切なケアを実践するのが難しいという家族も少なくなく、特に長年連れ添った高齢夫婦の2人暮らしの場合、もう…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(3)

    前回は、認知症の人に対する適切なケアとしては、本人が「穏やか」に過ごせるようにすることが一番大事であり、いわば「子供返り」してしまったような認知症の人に対しては、同じ土俵に立って言い合ったり、感情をぶつけ合ったりすると病状をどんどん進ませてしまうことになるので、介護する側が一歩引いて、いわゆる「大人の対応」をする必要があること、そのためには本人に変化を求めるのではなく、こちらが変わるという意識を持つことが大切であり、あくまで「頑張るのは本人ではなく周りにいる人である」というお話をしました。 今回はその続きになります。 身内にとって適切なケアの出発点は一旦「あきらめること」 前回お話ししたような…

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(2)

    前回は、認知症を進行させないためにはデイサービスなどを利用しながら日常的に他人と接したり、会話する機会を持つことが大事だけれども、会話の中で本人の間違いを指摘して否定したり、怒ったり、理解が難しいのに理屈を説明して納得させようとしたりするのはやめた方が良いというお話をしました。 認知症の人はストレスに弱く、不安や怒りといった負の気持ちを増強させたり、感情を波立たせるようなやりとりを続けていると、どんどん病状が進行していってしまうからですが、それにも関わらず実際の臨床ではこのような症例が後を絶たない、ということもお伝えしました。 今回はその続きになります。 好ましいケアのキーワードは「穏やか」 …

  • 「お父さん!違うでしょ!」が症状を進行させる(1)

    人間は社会の中でこそ人間らしく生きられる 新型コロナウイルス感染症の対応で、1~2か月デイサービスがお休みになっていたり、通うのを控えていた患者さんが多くいらっしゃいます。 その結果、動作能力が低下してしまったり、認知症の症状が進行してボーっとすることが多くなったという方が少なくありません。 やはり認知症の方にとって、いかに家の中に引こもっていることが良くないことであり、身体を動かしたり色々な人と交わることが症状を安定させるためには大切なのか、ということを改めて認識させられました。 以前もお話しした通り、認知症の方を家に引きこもらさせて刺激のない生活を送らせたり、一人にして構わないでいると、坂…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(10)

    前回は、体内にビタミンDを増やす方法としてサプリメントから摂取する方法とどれくらい摂取したら良いのかについてお話ししました。 ただビタミンDはマグネシウムがないと体内で利用できませんが、マグネシウムも不足しやすい成分なので、日常的に食事などから意識的に摂取する必要があることをお伝えし、1日の推奨摂取量やマグネシウムが豊富な食品の覚え方などについてもご紹介しました。 今回はその続きになります。 太陽光や紫外線が新型コロナウイルスを不活性化する!? 4月23日に米国土安全保障省は「太陽光や紫外線には、物質の表面と空気中の両方に存在する新型コロナウイルスを不活性化する作用があるとみられる」「特に直射…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(9)

    前回は、体内にビタミンDを増やす方法として食事から摂取する方法についてお話ししました。 ただビタミンDが豊富な食品は限られていることや、そのような食品を摂取するだけでは、体内のビタミンDを充足させることはなかなか難しいかもしれないというお話もしました。 今回はその続きになります。 体内にビタミンDを増やすためには (3)ビタミンDのサプリメントを使う サプリメントの使用が便利 前回までにお話ししてきた通り、体内にビタミンDを充足させていくためには、日常的に日光浴をしたり、ビタミンDが豊富な食品を意識的に摂る必要があります。 ただビタミンDが豊富な食品は限られていることや、ビタミンDを含む食品を…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(8)

    前回は、血中ビタミンDの基準値とあらゆる疾患の予防につながる目指すべき最適値をお示ししたうえで、体内にビタミンDを増やす方法として、まず日光浴をすることを挙げました。 ビタミンDは紫外線B波が皮膚に当たることで生成されますが、体内のビタミンD量の約8割が皮膚由来とも言われているので、ビタミンDを充足させるには日光浴が不可欠であることをお話し、また実際に日光浴をしていくにあたっては、安全な範囲で日光浴をしても良い時間の目安を教えてくれる便利なサイトがあることをご紹介しました。 今回はその続きになります。 体内にビタミンDを増やすためには (2)食事から摂る ビタミンDの1日の摂取推奨量は 厚生労…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(7)

    前回は、免疫力の強化をはじめとして様々な効果を期待できるビタミンDですが、日本人では不足している人が少なくないため、ビタミンDを充足させることで、新型コロナウイルスを含むあらゆる疾患に対する免疫力の強化を期待できる人も多いのではないかというお話をしました。 今回はその続きになります。 血中ビタミンD濃度[25(OH)D]の基準値 日本人ではビタミンDが不足している人が多いということですが、では血中ビタミンD濃度が一体どれくらいあれば良いのでしょうか。 血中ビタミンD濃度を示す25(OH)Dの基準値については、充足状態が30ng/ml(75nmol/ml)以上、不足状態が20~30ng/ml(5…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(6)

    前回は、新型コロナウイルスは細胞の表面にある「ACE2(アンギオテンシン転換酵素)」に結びつくことで人間に感染するが、それによって「ACE2」が機能不全になると、免疫を調節する「レニン-アンジオテンシン系」をうまくコントロールできなくなるために、免疫が「暴走」して「サイトカインストーム」が起こりやすくなるということをお話ししました。 そして、実はビタミンDには「ACE2」の代わりに「レニン-アンジオテンシン系」をコントロールして病態を一気に重症化させる「サイトカインストーム」を低減させる可能性があることをお伝えしました。 今回はその続きになります。 ビタミンDを体内に増やして免疫力を高めよう …

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(5)

    前回は、ビタミンDが「制御性T細胞」を活性化させて免疫が過剰になるのを防ぐとともに、カテリシジンやディフェンシンといった細菌感染症のリスクを下げたり、ウイルスの生存率や複製速度を下げたりする「抗菌ペプチド」を増やして「自然免疫」を高めてくれるというお話をしました。 今回もビタミンDが「免疫システム」を整えてくれるというお話の続きになります。 「レニン-アンジオテンシン系」を調節する「ACE2」を介して新型コロナは感染する 人間の身体を作っている細胞の細胞膜には「ACE2(アンギオテンシン転換酵素)」という酵素があります。 この「ACE2」は、血管収縮やナトリウム代謝などを通して血圧上昇の調整を…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(4)

    前回は、ビタミンDは人間の「免疫システム」を活性化させるとともに、免疫反応が過剰になりすぎないように調節(=「免疫寛容」)する役割も果たしているということをお伝えしました。 そして、もし免疫が過剰になると身体の正常な組織まで攻撃対象にして炎症を拡大させてしまうことになりかねず、新型コロナウイルス感染症が急激に重症化してしまう要因の1つに、この免疫過剰による急激な炎症の拡大(=「サイトカインストーム」)があることが分かっているため、ビタミンDが「制御性T細胞(Treg)」を介して免疫反応を抑制することで新型コロナウイルス感染症の重症化を防いでくれるのではないかというお話をしました。 今回は、この…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(3)

    前回まで、ビタミンDが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ可能性があることを示す4つの論文の内容をご紹介しました。 実はこれらの論文の他にも、ビタミンDが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ可能性があることを示す最新論文が各国から次々に発表されています。 今後機会があればそれらについてもご紹介いたしますが、いずれにしてもビタミンDが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ可能性がますます高まってきたと言えます。 そこで今回からは、ビタミンDがどのようにしてそのような効果を発揮すると考えられているのかについてお話ししていこうと思います。 人間の「免疫システム」は「自然免疫」と「獲得免疫」からな…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(2)

    前回は、ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性があることを示す2つの論文の内容をご紹介しました。 今回はその続きになります。 新型コロナ感染症では血清ビタミンDが不足するほど死亡率が高まる!? 次にご紹介する調査研究は、2020年4月26日にインドネシアが発表した「新型コロナ死亡率とビタミンDのパターン」というものです。 この調査研究は、インドネシア公立病院で780名の患者を対象に2020年3月2日から4月24日まで行われたもので、血清ビタミンD濃度[25(OH)D]で患者を正常群(30ng/ml以上)、不足群(21~29ng/ml)、欠乏群(20ng/ml未満)の3群にグループ分け…

  • ビタミンDが新型コロナ感染症の重症化を防ぐ可能性がある(1)

    前回まで、食事習慣などを通じて「自然免疫」を強化することができれば、新型コロナウイルスの感染・重症化予防につながる可能性が高いというお話をしました。 さらに「自然免疫」を高めることは、認知症疾患を含めた多くの疾患の予防や進行を防ぐことにもつながるので、この際みんなで新型コロナウイルスの感染・重症化予防をもたらす生活習慣を徹底することで、もっと健康になってしまいませんかともお話ししました。 今回は、前回「自然免疫」を強化する物質としてご紹介した「ビタミンD」が、新型コロナウイルスの感染・重症化予防につながる可能性が高いのではないか、という調査研究が最近いくつか報告されましたので、それらをご紹介し…

  • 免疫力を強化して新型コロナと向き合おう(3)

    前回は、病原体が変異し続けている可能性が高い新型コロナウイルスに対して、病原体を特定してその「抗体」の産生を促す従来のワクチンが有効なのかについては、まだ明らかになっていないというお話をしました。 今回はその続きになります。 BCGワクチンは「自然免疫」を高める可能性がある 病原体を特定してその「抗体」の産生を促す基本的なワクチンの有効性についてはまだ明らかになっていません。 ただBCGワクチンは新型コロナウイルス感染症に効果があるのではないかということが、様々なメディアで報じられています。 新型コロナウイルスによる感染者数と死亡率が比較的低く抑えられている国では、現在も広範なBCGワクチン接…

  • 免疫力を強化して新型コロナと向き合おう(2)

    前回は、今世界で大流行している新型コロナウイルス感染症は、ウイルスが変異しやすく現在進行形で新たな変異株が生まれている可能性が高いというお話をしました。 今回はその続きになります。 ウイルスの病原性が高まった変異株が発見されている 4月19日に中国の浙江大学による「患者を経由した変異はSARS-CoV-2の病原性に影響を与える」という研究が発表されました。(Patient-derived mutations impact pathogenicity of SARS-CoV-2) この報告によると、浙江大学附属病院の新型コロナ入院患者からランダムに11人を選び、SARS-CoV-2ウイルス(=新…

  • 免疫力を強化して新型コロナと向き合おう(1)

    今回からは、認知症診療のお話からは一旦離れて、今世界で歴史的な大流行と大混乱を巻き起こしている新型コロナウイルスについて、最近の知見を踏まえて個人的な見解をお話ししていこうと思います。 はじめに 今回の新型コロナウイルス感染症への対応は、おそらく長期戦を覚悟しないといけませんが、この世界的な危機に瀕することで、多くの人が「生きていくうえで本当は何が大切なのか?」「真実は何なのか?」といった人生の根源的な宿題を、再度目の前に引っ張り出してきているのではないかと思うのです。 そして個人的には幸か不幸か、今回の騒動によって世の中の価値観が大きく変わるような、そんなまさに時代の転換期を今生きている感じ…

  • 「てんかん」から「認知症」を診る(9)~「認知症」と「てんかん」~

    前回は、「ケトン食」を通じて身体のエネルギー源を「ブドウ糖」から「ケトン体」に切り替えることによって、脳神経細胞の「てんかん性異常放電」そして「てんかん発作」の抑制効果が期待できるというお話をしました。 今回はその続きになります。 「ケトン食」の効果が出るまでの期間と効果の持続性について 前回ご紹介した通り、「ケトン食」によって「てんかん性異常放電」や「てんかん発作」の抑制が期待できることが分かっています。 では実際に「ケトン食」を始めたら、どれくらいで効果が出てくるものなのでしょうか? また「ケトン食」での治療がうまくいったとしても、「ケトン食」をやめてしまったら、また「てんかん発作」が再発…

  • 「てんかん」から「認知症」を診る(8)~「認知症」と「てんかん」~

    前回は難治性てんかんに適応されている「ケトン食」についてご紹介するとともに、「ケトン体」が認知症の方の脳神経細胞に好ましい影響をもたらすということをお話ししました。 好ましい影響として、前回はまず「ケトン体」がアルツハイマー型認知症の方の脳細胞を活性化させることについてご紹介しましたが、今回は「ケトン体」が「てんかん性異常放電」を抑制することについてお話しします。 「てんかん発作」が起こる仕組み そもそも「てんかん発作」はどのようにして起こると考えられているのでしょうか。 神経細胞が集まった軸索とその周囲を取り囲むミエリンで構成されている神経線維は、電線のように電気信号を伝えていきますが、次に…

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認知症診療あれこれ見聞録
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