日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
前回は、「便秘」があると認知症症状が悪化したり、波を打ってしまうため、「排便」を整えることが認知症治療の第一歩になるというお話をしました。 また、当院を受診される認知症患者さんの半分以上が「便秘」の症状を持っており、当院では本人やご家族に「2日出なければイエローカード、3日出なければレッドカード」とお伝えして治療を進めているというお話もしました。 今回はその続きになります。 「便秘」によって悪化しやすい症状 「便秘」になると、どのような認知症症状が悪化しやすいのでしょうか。 答えは簡単です。 身体的にも精神的にもすべての症状が悪化してしまいます。 そればかりではありません。 普段から出現してい…
「排便」を整えることが認知症治療の第一歩 前回は、睡眠の質を上げることは認知症の予防と改善につながるため、認知症疾患に対する治療の第一歩は、生活習慣の改善や投薬治療を通じて、いかに夜間しっかり寝てもらうかになる、ということをお話ししました。 しかし、認知症の予防と改善にとって、実は「睡眠」と同じくらい大切なことがもう一つあります。 それが「排便」です。 当院では、認知症疾患の治療の第一歩は「睡眠」と「排便」を整えることだと皆さんにお伝えしています。 それだけ「便秘」を症状に持つ認知症患者さんが多く、さらに「便秘」によって症状を悪化させている認知症患者さんが多いということでもあるのですが、このブ…
前回は、心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動していることと、自閉症スペクトラム症の気質も「目」に表れることについてお話ししました。 今回はその続きになります。 眠っていても、まぶたごしに「目」が動いているのは脳が活動している証拠 前回までは日中起きている時の「目」の徴候についてお話ししてきましたが、今回は寝ている時の「目」の徴候についてお話しします。 脳が活動するのは、日中覚醒している時ばかりではありません。 皆さんは眠っている人の「目」が、まぶたごしにクルクル動いているのを見たことがないでしょうか。 そういう時は、眠りが浅くなっていて、夢を見ていることも多く、脳は活発に活動しているのです。…
前回は、「目」の動きが制限されたり、指などをしっかり追視できなくなるのも認知症を伴う神経変性疾患の症状であるというお話をしました。 今回はその続きになります。 心の動きや頭の働きは「目」の動きと連動している 心がきれいな子供の「目」はとても澄んでいます。 「目」には、その人の意志の強さや性格、怒り、悲しみ、驚き、動揺といった心の動きが表れます。 同じように、人がものを考えている時もその様子が「目」に表れます。 例えば、何かを思い出そうとしている時には「目」が上を向いたりします。 また、集中して何かを深く考えている時にはどこか一点をじっと見つめていたり、逆に「目まぐるしく」思考をめぐらせている時…
前回は「目」に表れるパーキンソン症状についてと、認知症になると「目」の動きが悪くなりやすいことについてお話ししました 今回はその続きになります。 「目」が上下に動きづらくなるのが進行性核上性麻痺 脳の神経障害によって眼球運動が障害される主要な疾患としては、脳血管障害や多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、進行性核上性麻痺などが挙げられますが、「目」が上下に動きづらくなる「上下転制限」を合併する認知症疾患としては進行性核上性麻痺が有名です。 進行性核上性麻痺では脳幹部にある中脳被蓋部という部位が萎縮して発症するのですが、中脳は眼球運動を司(つかさど)る中枢部位でもあるため、眼球運動障害が出現しやすい…
前回は、認知症疾患で高頻度に合併する「意識の変容」が疑われる「目の表情」についてお話ししました。 今回はその続きになります。 「目」に表れるパーキンソン症状 当院を受診されるほとんどの認知症患者さんがパーキンソン症状を合併されています。 パーキンソン症状とはパーキンソン病関連疾患(パーキンソン病、レビー小体型認知症)や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などの神経変性疾患、正常圧水頭症、脳血管障害、一部の薬の副作用などで出現しやすい症状のことです。 具体的なパーキンソン症状としては、安静時振戦(手足の震え)、固縮(手足や体幹筋群のこわばり)、姿勢反射障害(バランス不良)、無動・…
認知症があるかどうかは「目」からも気付ける 前回までの「まなざしによるケア」では、「まなざしには人を癒す大きな力が秘められている」というお話をしました。 また「目は口ほどに物をいう」というように、人は「目」という「心の窓」を通して「心の動き」を表出し、相手に多くのメッセージを発しているということもお話ししました。 今回お話ししたいのは、「目」には「心の動き」だけでなく、認知症を伴う変性疾患が疑われるような徴候もいくつか表れるということです。 そのため認知症外来の初診では「目の表情や動き」を必ず確認しています。 身近にいる人が、本人の「目の表情や動き」に違和感を覚えて受診に至るということもありま…
前回は、認知症の人にとって、相手が「自分の目を見てくれないこと」は大きなストレスになるため、「目を見ない」応対は認知症の病状を悪化させたり、進行させかねないというお話をしました。 さらに「メラビアンの法則」によれば、コミュニケーションにおいて、話すしぐさや表情、視線といった「見た目」が相手の印象を決定する割合は55%もあり、言葉の理解力や記憶力の低下があって視覚情報に頼らざるを得ない認知症の人だったら、その割合はそれ以上になるのではないかということ、そして「見た目」を大きく左右するのが「顔の表情」とりわけ「目の表情」になるため、認知症ケアにおいてはやはり「相手の目を見る」ことが不可欠になるとい…
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