食堂の窓から見える校庭の木々がもみじして、穏やかな明るい日差しのなか、その葉を散らし始めていた。「水草君はまるで『存在の喜び』のセールスマンだね。」友人たちがそう言って笑った。「存在の喜びのセールスマン」。筆者は、この称号がいたく気に入ってしまった。もう二十数年前、国立にあった東京キリスト教学園の昼食時の食堂でのことである。当時は、東京基督教短大TCCと東京基督神学校キリシンと共立基督教研究所が国立キャンパスに同居し始めて三年目のことであったから、私が食堂で『存在の喜び』を話題にしていた相手はキリシンとTCCの友人たちである。 『存在の喜び』とは宮村武夫先生が仕えておられた新約教団青梅キリスト…