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創作BL小説を書いています。 ヤフーブログから引っ越して参りました。
ヤフーブログ終了でライブドア様に引越しました。今日の夜中更新分からはこちらがメインです!
「あ!それは私も少し考えた…。職業病みたいなものだろうな。主人公が所属する『鬼狩り』のトップが病(やまい)で瀕死の所に鬼のボスがやって来るシーンがあっただろう?」 最新作の最終話の話だ。「ありましたね。なまじビジュアルが良い鬼がドライアイスを纏って現れた時
「おはようご…。え!?って、お前来てたのか?」 いかにも寝起きといったぼんやりとした声が一気に喧嘩腰に変わっている。とはいえ、呉先生の、最愛の人よりも更に細い髪の毛には寝ぐせがついていたのはご愛敬(あいきょう)だと思わず観察してしまった。ただ、そんな呑気な
「ストレスの原因が配偶者の不倫だからな。呉先生がレベル分けをして画像を見せたとはいえ、配偶者の不貞行為そのものがショックだろう。それに杉田弁護士がいるとはいえ、離婚訴訟は最も精神的なダメージがあるというのが法曹界で通説になっている。一生を共にしようと一度
「山氏のカウンセリングを精神科医である呉先生にお任せしましたよね?心臓外科医の私達…いや貴方は精神科にも精通してらっしゃるので、私だけかも知れないですが、とにかく専門医が付き添っていたなら診察代金が発生するのが当たり前だと」 病院では冷静沈着な彼も驚いた
「ご無沙汰だったのでついつい気が逸(はや)ってしまって…痛みを与えたのでしょうか?やはり抱いて運んだ方が良いような気がしますけれど」 すぐ傍(そば)の最愛の人の表情を窺いながら聞いてみた。「いや、痛いわけでは全くなくて…祐樹がせっかく注いでくれた真珠の放埓(ほ
「しかし、恋人同士のというのは当事者でない人に対して情報を開示する必要性もないと個人的には思いますけれども…森技官もそうお思いになりませんか?出来れば二人きりで話したいのではないでしょうか?」 辛うじて援護射撃をすると氷のような表情と熱い火花が散っている
「祐樹、桜餅が食べたいな…。ほら、裕樹と私の時間が合わなかったせいで、こういう行為はとてもご無沙汰だっただろう?ずっと焦がれて待ち望んできて…そして少し(・・)は(・)満たされたら食欲が…」 やはり「少しは」なのだろう。祐樹も一回では足りないと思っていたので
呉先生の精神科復帰待望論について話しておくべきだろう。清水研修医に送るハズのメールの文面にも関わることなのだから。「内田教授は随分とお疲れだったようなので今日は自粛しましたけれど、どうやら精神科の真殿教授は手に負えない患者さんを他の精神病院に送っている
森技官は苦み走った男らしい顔に必死といった表情を浮かべている。アルマーニが良く似合う大人の男という風情の森技官に対してどちらかと言えば童顔の祐樹はコンプレックスを持っていたが、今の森技官は何だか気の毒な感じだ。しかもリアルな(?)救急救命室の処置を聞か
熱く荒い息が収まった後に取り敢えずのピリオドという意味のキスを交わした。そして最愛の人の紅色の肢体を祐樹の楔から解放することにして、裕樹の身体に凭れ掛かっている彼の腰を両手で掴んで持ち上げた。若干細いが男性らしい長方形のウエストという点も最高にそそる。
「いえ、お詫びの席などは…困った時はお互い様ですよ。それよりもまた小児科の浜田教授も誘ってアニメや漫画の話をしたいです」 最愛の人が力づけるように言葉を添えている。「そうですね。浜田教授も招いて気に滅入る話ではなく楽しい話題で盛り上がりましょう」 疲れて
何しろ血と内臓が生理的に無理な人だ。こんな人が天下の東京大学の医学部を良く卒業出来たなとある意味感心してしまう。聞くところによると、聞いたことのないような私立大学医学部では臨床や解剖などのいわゆる実技系がなくて、ペーパーテストで行われる医師国家試験対策
ただ、彼との間接キスは祐樹にも覚えがない。「間接キスは交わしたことはないと思いますよ。こういう空気の良い場所に限ってたくさんしましょうね…」 最愛の人の呼吸がやっと鎮まったので、裕樹は愛の行為を再開させようとした矢先に鳥の声が桜の舞い散る庭園をより一層
森技官がどういう態度を取られてもそれは自業自得だが、裕樹に対してこういう態度に出られたらメンタルがもたないだろう。「それはこちらの配慮不足でした。申し訳ございませんでした」 リビングルームに入った森技官は深々とお辞儀をしている。彼はお辞儀をされたら自分
清水研修医は流石、京都一の私立病院の跡継ぎ候補として特別な教育を受けただけのことはあるなと感心した。久米先生を筆頭に実家がクリニック経営という医師は多いが、いわゆる町の開業医と大病院の御曹司だと心構えが異なるのだろう。大学付属病院も今では破綻する可能性
彼の弱い場所に祐樹の指が更に当たるようにと腰を小刻みに上下させている濃い紅色の肢体は滴るような色香に満ちている。しかも先ほどから風に煽(あお)られて乱舞する桜の花が紅色の肢体に宿っているのも蠱惑に富んでいる。「聡の極上の花園のココ」 指全体で擦(こす)ると
「無理に起こすと意識がぼんやりする可能性がある薬だ、な」 祐樹の横を歩む最愛の人は何故か両手で自分の頬を叩いている。そういう仕草は見たことがなかったが、容赦なく追及するという役柄(?)を演じるための心の準備のような気がする。 出勤時などでは指を付け根まで
一度海外に出た最愛の人が教授職として凱旋帰国出来たのは、国立病院が独立行政法人に変わったせいだ。もしその変化がなければ京大を卒業していたとしてもアメリカに行ってしまった時点で病院との縁は切れるのが「国立病院」の考え方だ。祐樹のように大学卒業後に同じ大学
「ゆ…っ、裕樹…っ」 彼は祐樹の手を縋るように握った後にしなやかな動きで祐樹の身体から離れた。いったん指が裕樹から外されて、もどかしそうな震える手がシャツの袖口のボタンを微かに震える紅色の長い指で自ら外している様子も絶品だった。そして強く握った指を付け根
『私のような研修医が生意気を申し上げることをお許しください』 スマホの向こうでは深々と頭を下げているような感じがする。祐樹のような根っからの庶民ではなくて清水研修医は京都一の私立病院の御曹司として産まれた。そして清水病院長は斎藤病院長のこの大学の医学部の
「大丈夫、裕樹は心変わりなどしないと根気よく教えてくれただろう。付き合い始めの頃は客観的なデータがないと不安だったし、信じていなかった。それに気持ちなど移ろうものだと思っていた私の頑なな心を溶かしてくれたのは祐樹だから」 健気な言葉を紡ぐ薄紅色の唇に約束
「親権はお子さんが状況判断の出来る年齢、具体的には小学校の高学年とか中学生ならお子さんの意見で父親に与えられることもある」 山看護師は不倫の確信犯といった感じで、山氏は善良な社会人かつ家庭人といった雰囲気だった。お子さんがプラス五歳以上だったらお父さんを
「普段は料理する時…いや買い物とかの日常生活だけでなくて病院内でも手術(オペ)や患者さんと向き合っている時以外というのが正確だな。そのような時間には特に何も考えずにいたり祐樹は今何をしているのだろうとか祐樹の好きな点を思いつくまま並べたりしている。教授執務
「結構なお点前でした。熱(あつ)からず温(ぬる)からずというのが抹茶の基本だけれども、まさにこんな温度なのだろう、な。とても美味しかった。それに味はしなかったが、桜の花びらが浮いているのを飲み干すというのはいかにもお花見に相応しいお点前だ」 薄紅色の唇が触れ
緋(ひ)毛氈(もうせん)の敷かれた一畳程度の床の奥に祐樹でも分かる高価そうな漆の箱が鎮座しているのを指で示した。「これは多分野点(のだて)の道具だろうな。確かめてみよう」 彼は靴を脱いで床に上がりしなやかな指を動かしている。「やはりそうだな」 彼の薄紅色の長
数十秒の沈黙の後に最愛の人の白皙の顔に笑みが浮かんだ。病院長との通話は相手の地位を憚ってスピーカー機能を使っていなかったので前後の会話から類推するしかなかったのだが。「お聞き届け頂いて誠に有難うございます。では全職員に周知徹底するように致します。お忙し
「その方(ほう)が熱の通りも良いし、何より色の変化も分かりやすいので」 既に灰汁(あく)を取ったシメジがほかほかと湯気を上げている。こちらも何だか兵隊さんのように整然と並べてあるのが彼らしい。祐樹も手先は器用だと自認しているが、職場ではともかく自宅ではいい加
「温泉は有馬温泉のお湯を引いているみたいですね。このお湯の色は『金泉(きんせん)』と呼ばれているようですが、お湯が赤くて、せっかくの貴方の素肌が見えないのがとても残念です。せっかく温泉の中でもスキンシップ…いや、それ以上でも構わないのですが、視覚では愉しめ
何せダイヤモンドを「ちょっとした好奇心」で砕いてしまう女性なので何をしても驚かない。最愛の人は混んだレジの列に並びながら少し困ったような笑顔を浮かべている。休日にはたまに彼に付き合って百貨店に赴くことはあったのだけれども地下の食料品売り場は店ごとに清算
もしかすると小児科はその事件(・・)のせいでウチの大学病院出身者ではなく他の大学病院から教授職を招聘(しょうへい)するという暗黙のルールが出来たのかも知れない。 現在の教授は看護師にも気さくに接することで院内でも有名な浜田教授だが、彼は生粋の病院育ちではな
「『我が拙宅にようこそ香川教授・田中先生。ご自分の家とお思いになって自由に寛いでください。夕食は午後七時に運ばせます。その他は台所、特に冷蔵庫に有る物をお使いくださればと思います。感謝を込めて』か。岩松氏の厚意は大変有難いのだけれども、なかなかお返しが出
内田教授は文字通り腹を抱えて笑っている。年齢のせいか腹部に厚い脂肪が付いているので何だか本当に狸(たぬき)の大爆笑といった感じだった。精神的なプレッシャーが笑うことによって少しでも軽減出来るのは喜ばしいことだと好意的に解釈しよう。 最愛の人も内田教授に釣
「桜の花、宝物にして下さって有難うございます。私も庭に出た時に貴方が取って下さる桜の花を同じように扱います。『鬼退治アニメ』の遊郭編でお嫁さんが三人も居る『柱』がお墓参りを家族四人でした時にも桜が満開でしたよね。そしてお嫁さんの一人の髪の毛に桜の花びらが
「二人に野菜をたくさん食べて貰うというのが今回の趣旨だろう?白菜とホタテ貝のミルクスープを作ろうかと思っている」 そういえば彼が作ってくれたミルクスープは口に入れると心まで温かくなるような気がする逸品だった。「あの美味しいスープですか。良いですね。身体も
最愛の人の眼差しが裕樹に「どう思う?」と言いたげな光を放っている。柏木看護師の言う通り看護師はパソコンに向かう時間が少ないのも事実だと聞いていたので「その方(ほう)が良いかと思います」とアイサインを送った。「内田教授、今の電話はとても有益な意見だと思うの
「もちろんです!何なら車の中で出来るかどうか確かめてみますか?」 車のロックを外すボタンを押しながら「だめだ」と言うだろうと思っていたら、バターの油分で艶やかさが増した唇が「分かった」と呟いた。 お日様が昇っている間にこんな大胆なことを紡ぐとは思ってもい
「卵掛けご飯を毎日食べるわけでもないですよね?卵はパック売りが基本です。余らせたり彼女らしく重複して買ってしまったりして持て余すことはないのですか?それに卵は傷みますよね、確か」 最愛の人と祐樹は彼女の婚約者の岩松氏の許可を貰ってマンションに出入りする仲
「はい、香川です。ああ、柏木さんですか」 口調から察するに柏木先生の奥さんからの電話らしい。手術室所属の看護師なので手術(オペ)が終われば帰宅可能な人だ。だから今は帰宅途中か家から掛けているに違いない。 祐樹最愛の人に仄かな恋心を持っている人だが、周りに悟
「祐樹、本当にこのドレスシャツで良いのか?」 純白のシルクが艶やかな光をトロリと放っている。怜悧で端整な顔やしなやかな肢体には良く似合う。 彼御用達の老舗ブランドはスタンダードなモノも多いが遊び心が加わった服も売っていて、裕樹が店で選んで購入したのは後者
最愛の人が作ってくれる最高に美味しいエビチリは同じ海老を使ってもさほど美味しいとは思えない出来だった。それが残念でコツを聞いたところ原因は背ワタを取るかどうかだった。「カレーといえばサラダも必要ですよね?リクエストしても良いですか?この際、貴方の絶妙な
「取り乱す」というのは婉曲表現で、実際には嘔吐や失神などだ。どの科に属していようとも医師は医師なので救急救命室の血や内臓を見て嘔吐をしてしまっては物笑いの種(たね)になることは必至だ。救急救命室は病院内の治外法権的な空間だが、ウワサは遅まきながら出入りす
「祐樹、この土日に岩松氏の別荘に行かないか?桜が綺麗だそうだ」 最愛の人はスマホをしげしげと見ながら薄紅色の唇を笑みの形に花開かせている。彼は一瞬でも見たモノは脳に蓄積して好きな時にアウトプット出来る特技を持っている。それにも関わらずスマホに目を落として
「つまり大切なことは恥ずかしくて言えないタイプでしょうかね?」 立て板に水のように話したり息をするように毒舌を吐いたりするというのが裕樹の森技官への認識だった。それは確かに一面の真理だと思っているが、毒舌のターゲットにされるのは祐樹だけだ。 最愛の人は森
この際、精神科に在籍していながら修業と称して救急救命室でも戦力となっている清水先生が適任だろう。救急救命室では、当たり前のことだが休憩室でしかスマホは弄れない。清水先生が休憩室や気晴らしに外の空気を吸いにスマホに反応してくれるのを祈るしかない。『もしも
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「祐樹……、この二人だけの愛の空間……。本当にこの屋上が最も高いのだな……。祐樹の高校の屋上もこんな感じだったのか?」 キスの合間に紡がれた、艶やかな中にも無垢さを含んだ言葉が紡がれている。最愛の人の高校時代も教室から出ることもなく読書をしているか、定期
いつもご覧いただきありがとうございます。これまでブログの更新はパソコンで行っていたため、スマホでの表示について深く意識していませんでした。ところが先日、珍しくスマホから自分のブログを見てみたところ、うっかり広告をタップしてしまい、まったく興味のない外部
「あ!オレ、いや私までも真殿教授は、とても不本意そうな顔で、『なぜFacebookをしないのか』と言ってきたことがあります。まだ医局にいた頃です。大喧嘩をする前も一触即発といった感じが漂っていたのですが、それでも誘ってくるのですから、イエスマンばかりの医局員は皆F
「――先に答えを言ってしまったら、興が削がれるでしょう?」 最愛の人の薄紅色の唇を祐樹の唇で封印した。そしてサマーセーターを着ていても先ほどピーチフィズを零したせいで可憐に尖った胸を指先で弾いた。愛の交歓の前奏曲としてはちょうどいいだろう。このエレベータ
そういえば、最愛の人も祐樹も「心臓外科」の医師一覧に載っているが、同じような「理知的で誠実な、そして控え目な笑みを浮かべてください」と広報室の人に言われた記憶がある。だからきっと同じ指示が医師全員に行き渡っているのだろう。「私が特定不可能な以上、森技官
確かにその通りだろうなと思った。脳外科のアクアマリン姫こと岡田看護師と付き合ったことで、久米先生はゲームという二次元から普通の恋愛にシフトしていて、以前ほどのめり込んではいない。しかし、顔は清楚なのに胸が異様に大きい美少女のセーラー服を一枚一枚脱がして
「別に私はガンジーのような非暴力主義者ではない。祐樹が久米先生の頭を叩いているのを見た時、その行為を彼自身が喜んでいると判断したので、敢えて干渉しようとは思わなかった。医局員全員も、あれは『愛のあるイジり』だと理解していると柏木先生が言っていた」 柏木先
「ウチの病院のサイトに、精神科所属の医師の顔写真は載っていましたっけ?」 最愛の人が淡い笑みを浮かべて頷いている。誰が聞いているかも分からない職員用の食堂で呉先生を揶揄する医師二人は、たとえ親真殿派ではなくても呉「教授」に反対するはずだ。 二人で暮らして
うっかり布地越しとはいえ、胸の尖りを晒してしまった最愛の人のリアクションも非常に気になった。そういう情事に触れられると、普段の最愛の人は顔を紅色に染めて目を伏せていた。しかし今夜はそうではなかったので内心、意外だった。 祐樹と二人きりの時には、大輪の紅
特筆すべきは最愛の人の麗しい筆跡のみで、祐樹には縁のない名前の羅列に過ぎない。森技官が、あたかも国家機密のように大切に抱えていたその紙を、祐樹はテーブルに広げ、何の演出もなくスマホで撮影し、LINEで清水研修医に送信した。一応「極秘でお願いします」とだ
「また始まった」 呉先生がぼそりと漏らした。諦めと愛情が絶妙なバランスで同居した、乾いた呟きだった。しかし、それ以上何かを言うことなく、呉先生は無言で森技官に視線を向けていた。祐樹もつられて視線を向ける。 森技官が言う「備考欄」には、最愛の人の達筆が静か
最愛の人はどこか誇らしげなセピア色の口調とまなざしだった。杉田弁護士は極上の生クリームを心行くまで舐めたチェシャ猫のような表情だ。何しろ祐樹に「香川教授が今『グレイス』に来ていて、多数の男たちから奢られている」と知らせてくれたのは彼だった。「グレイス」
四個の洋菓子は既に食べてしまっている。呉先生は最愛の人よりも華奢な身体なのにどこに収まったのだろうか?まあ、洋菓子効果で呉先生の決意がさらに固まったなら祐樹としては喜ばしいのでスルーしよう。「――新しいかどうかまでは分からないですよ。ただ、その看護師が
最愛の人も男性器は見慣れているはずだ。といっても大学の講義の一環や医学部生の時にボランティアとして参加していた救急救命室での経験に限られていただろう。身体を重ねた相手は祐樹が二人目で祐樹のソレはともかく初めての相手のはそうまじまじと見ていないような気が
「教授教えて下さって有難うございます。あ!お前が軽躁の入り口に立っているかと思った。本気大道芸だったからな、あれはさ」 森技官は一瞬だけアルマーニがこよなく似合う肩を落とした。恋人の言葉は妙に効くらしい。祐樹に言われたなら、きっと三倍返しで皮肉を返してい
最愛の人の怜悧な声は相変わらず淡々としていて、まるで「地球は丸いのです」という自明すぎることを話しているようだった。その静謐な口調が胸の奥に染み入り、祐樹の心は、まるで水面に沈んでいく光の粒のように最愛の人の言葉に全て吸い込まれていく気がした。ただ、二
最愛の人は固まり、呉先生は呆れ果てたスミレの花といった感じで単に咲いている。祐樹は身体を動かすと笑いの発作が再発しそうで、身じろぎすら出来なかった。 精神的には一時間、実際には五分くらいだろうか?ナゾの空白の時間だけが、ただ過ぎていった。 最愛の人がし
ナツキは一瞬だけスマホに目を落とした。多分、両親の待つ家に帰ろうかと思ったのだろう。しかし、今の祐樹は「グレイス」の常連ではない。 今宵訪れたのは最愛の人とのデートの一環で、こんなに長居をするつもりもなかった。最愛の人も祐樹に誘われたから足を運んだだけ
祐樹が洗面所で顔を拭きながら深呼吸を一つ二つと行い、ようやく笑いの発作を収めてキッチンに戻った瞬間、祐樹は一瞬、時空が歪んだのかと思った。 テレビの中でしか見たことのないはずの――学生運動、アジ演説、安田講堂の熱狂。それなのにそこに居たのは、アルマーニ
「サトシ、久しぶりだな?日本に籠り切りで何をしていたのかと思っていたが、年上(・・)の指導をずっとしていたのかい?」 いかにも親しそうに肩を叩いているアメリカ人と思しき人に少しムッとした。アメリカ人のパーソナルスペースは日本よりも近いことは知っていたにも関
一気に買うよりも上策な方法というのは何だろうと疑問に思ったが最愛の人の薄紅色の唇が紡ぐ言葉に聞きほれてしまう。「株式は良さげな銘柄(めいがら)、つまり会社をおいおい選ぶとして……」 三好看護師の同僚兼友達が「銀行でNISA口座を開設してしまったら投資信託
「ウチの田中」と呼んでくれたのはとても嬉しいし何だか新鮮な感じだった。しかも所有権を主張されたような気がする。しかも「出来なくはない」とゴール医師に言っている。「大学病院長兼医学部長の斎藤に貴方の上司から正式な要請のメールか手紙を出して下さるようにお願
「特に不思議に思ったことはないですね。強いて言えば、刃(やいば)の色が初めて握った剣士によって変わるという点でしょうか?『呼吸』の適性が分かるという刀の色は、最終選別を突破して分かるモノですよね。例えば主人公は『水の呼吸』の修行をしていても『滅多に見ない』
「店舗を構えているとなると人件費の問題が出てくるだろう?窓口の女性や営業の人など一店舗で10人以上を配置しなくてはならない。それにオフィスビルの家賃とか光熱費その他諸経費を考えるとそれらを手数料で賄わなければならなくなる」 なるほどと思ってしまう。「最近
「そうなのか?それは少し興味があるな」 若干弾んだ声と艶やかな眼差しが夜の空気に煌めいている。ポケットからスマホを出して検索した。「この旅館ですね」 施設案内という部分をタップした。「本当だ……確かに似ているな」 彼は祐樹との距離を詰めて来てくれるのがと
「麻酔医自身がクローズアップされることだろうか。森さんが日本で面白い催し物を開催予定しているらしいな。田中先生もこうして皆に祝福されたら外科医をしていて良かったとしみじみと思うだろう?麻酔医だって同じだと思う。そういう意味で、日本の催し物で外科医が脇役、
「プラチナや金(ゴールド)は今高価らしいですよね。柏木先生の奥さんが千切れたネックレスとか片方だけになったピアスをリサイクルショップに持って行ったら驚きの価格で買い取ってくれたとホクホクしていましたよ」 柏木看護師は手術室のナースなので手術(オペ)後に雑談す
「仙台結界(コロニー)と言っても、一般人には黒い壁としか認識出来ない物だろう?行ってもいいけれども呪いが見えない私達には単なる道路だろう」 月明かりに照らされた最愛の人の顔は苦い笑みを浮かべている。この人がこういう表情を浮かべるのは珍しいので心の中のシャッ
最愛の人は手術(オペ)を一日二件こなしている上に医局の責任者としての事務仕事を完璧にこなしている。有能な秘書が居るのは確かだが、事務処理能力は祐樹が知る限り最も優れている。森技官の無茶振りで不本意ながら捜査だか調査を二人して頼まれた時に彼の文書作成能力に
「そうなのですか。それは何故ですか?そんなにモルガンスタンレー銀行にお金が有ったら心強いと思いますが?」 思わず背筋を伸ばして彼の複雑そうな表情をまじまじと見詰めた。恋人同士の甘い時間はホテルの客室で過ごすことにして、このバーでは病院関係者の資産運用の話
弁護士の必要性は皆無なような気がするのだけれどもどうもそう単純なモノでもなさそうな表情を最愛の人は浮かべている。「祐樹の場合だと……家で二人きりの時には何の問題も生じないだろうな。いや、嬉しそうな表情で出勤して医局で正直に言った場合は異なるかもしれない
最愛の人は滑らかな白い肌に睫毛の影が綺麗なコントラストを作っている。夜に咲き誇る薄紅色の薔薇のような笑みを浮かべながら祐樹の話を興味深そうに聞いてくれているのも愛おしさが募る。「高価なお酒が呑み放題というのに釣られてしまっていてモトを絶対に取ってやる!
「保険って契約するもので作るものではないと思っていました。ただ、今まで全く気付かなかったのですが、保険商品が山のようにありますから作っている人も居るのでしょうけれども、ね?」 話しを促してみた。「日本人の平均寿命が年々延びているだろう?厚労省や色々な研究
「流石は祐樹のお母さまらしい用心だな。それはともかく若者よりも高齢者の方(ほう)が現金を持っている確率は高い。しかも老後のことを考えてあまり出費はしない傾向にある。例外は子や孫で、それに対して援助しやすいようにと税額が変わるのだ」 すとんと腑に落ちた気がし
「え?どういうことだ……?高専を卒業して第一線で働くことが出来るかという祐樹の質問なのだろうか……」 隣に座った彼は明眸(めいぼう)皓歯(こうし)のお手本のような、瞠った目と和洋折衷菓子を白い歯で挟んで切っている。それはそれで目の保養になっているのだけれど怪
杉田弁護士という知り合いは居るが税理士の知己はいない。確定申告はさして難しいモノではないので専門家に頼まずに自分で確定申告をしている祐樹には税理士の知り合いはいない。 「太陽のたまご」というらしいマンゴーを銀のフォークを使って優雅な動作で魅惑的な微笑み
最愛の人は計ったように二等分、しかもナイフとか正式名称は祐樹も生憎知らないが和菓子の時に使う木の小さなナイフめいた物を使ったかのように切ってあった。スマホのライトに照らされて、皮部分と中央の生クリームと思しき物に挟まれた鮮やかな緑色の色は真珠の中に翡翠
「麻酔医の大切さは良く知っていました。アメリカ時代は当たり前の一手術に一人の麻酔医だったのですが、日本ではそうでないと聞いていたので……私は日本の大学病院に招聘された身の上です。ですから多少の我が儘が効いて専属の麻酔医を指名出来たのですが、あくまで少数派
ポケットを探ると直ぐに手に当たったスマホを取り出してライトをオンにした。パッと明るくなって最愛の人のやや紅色の頬や楽しそうな煌めきを宿す澄んだ眼差しがとても綺麗だ。「こちらが『ずんだ生クリーム味』ですね。ああ、先にペットボトルのお茶の蓋(ふた)を外してお