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腐女子の小説部屋 ライブドアブログ http://kouyamamika.livedoor.blog/

創作BL小説を書いています。 ヤフーブログから引っ越して参りました。

ヤフーブログ終了でライブドア様に引越しました。今日の夜中更新分からはこちらがメインです!

こうやま みか
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2019/06/09

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  • 気分は下剋上 ロンドン編 207 香川教授視点

    座り心地の良い椅子に座っているので視線は低い。 祐樹の筋肉質の長い脚がリズミカルに動いている。普段も職業柄か速足だけれども病院に居る時以上の速度だった。 それに顔を上げるとゆったりとした笑みを浮かべた端整な顔が待ち人を探すように動いていて、その「待ち人

  • 気分は下剋上 ロンドン編 218

    小児科のナースが嬉々として「お化粧」をしようとしてくれたが、コンタクトレンズに縁のない祐樹は恐怖以外の何物でもなかった。 仕事柄、目を酷使しているにも関わらず視力は良いので。 同僚がコンタクトレンズを装着しているところを見て、あんな怖いことを事も無げに

  • 気分は下剋上 ロンドン編 206 香川教授視点

    スーツケースも羽根が生えているように軽く感じるのはもう直ぐ祐樹と会うことが出来るからだろう。 イギリスの貴族の館というよりも、テレビで観たベルサイユ宮殿の絢爛華麗さが際立った廊下を歩んでティルームに着いた。「ようこそいらっしゃいました。奥のお席へご案内

  • 気分は下剋上 ロンドン編 217

    着物だって救急救命室で暇潰しに観る時代劇では帯に煙管(きせる)を差したり襟口に大きな懐紙や書物を入れていたりする。襟口といっても帯に近い部分だが。 アカデミックガウンも学生が余計な荷物を手に持つことがないようにポケットというか収納部分は工夫されているのだ

  • 気分は下剋上 ロンドン編 216

    「お口に合って本当に良かったです! 日本の方(かた)は繊細な味付けを好むと聞いていますので、とても心配していました」 ルイス君は安堵したように笑みを浮かべている。 この英国貴族の邸宅の趣味の良い主人の私室みたいな空間に居るのがルイス君ではなくて最愛の人だと

  • 気分は下剋上 離宮デート 102(最終話)

    「見事な借景(しゃっけい)になっている、な……」 愛の交歓の甘い残り香と余韻を余すところなく纏った薄紅色の肢体に純白のシルクが映える最愛の人も祐樹の傍らに立って潤んだ目を瞠っている。「そうですね。見事な日本式のお庭の灯篭の間に『五山送り火』の一つの『大』の

  • 気分は下剋上 ロンドン編 205 香川教授視点

    「では、フロントにいらしてください」 以前はホテルに入ると内線電話は繋がったし、何なら外からでも通話出来たのだけれども、個人情報漏洩とかそういう観点から見直されたのかも知れない。「はい、宜しくお願いします」 別に疚しいこともないのでボーイさんに付いて行っ

  • 気分は下剋上 ロンドン編 215

    そうだ、黒木准教授に手術の成功と、何だか物凄く思い入れの有りそうなオクスフォード大学のアカデミックガウン姿のルイス君の画像を送ろうとスマホを操作した。 LINEに大学関係者からの連絡がないのは時差の関係もあるだろうが、皆が遠慮しているのだろう。 そう言

  • 気分は下剋上 ロンドン編 204 香川教授視点

    呉先生が北教授に続いて海外の学会に何度も招聘されるとなれば、それでなくとも呉先生を買っている斎藤病院長覚えがますます目出度くなるだろう。 北教授も救急救命室の責任者だが、災害医療の第一人者として病院に居ないことの方(ほう)が多い。大規模災害が起これば現地

  • 気分は下剋上 ロンドン編 214

    「勿論です。ね、スタンリー先生も是非京都にいらして下さい。『チーム・セイブ』の一員ですから」 やっと無事に国際公開手術の術者を務め上げたという実感がわいてきて、肩の荷が下りた爽快な気分だった。 最愛の人と肩を並べることが出来る外科医に一歩近付けたという胸

  • 気分は下剋上 ロンドン編 213

    「人工心肺は貴方みたいに手技の劣る外科医御用達のモノだということをご存知ないのですか?それに脳梗塞や腎不全などの合併症を引き起こしやすいというのは常識ですよ。 この会場でそんな馬鹿なことを言っている暇があるならアメリカの南部の田舎町に帰って手技を磨くこと

  • 気分は下剋上 ロンドン編 212

    質問者の顔は見えないがアメリカ英語の彼は絶対に額に青筋を立てているか顔を真っ赤にしている語気の荒さだ。尤もそんな顔は見たくもないし、見る時間も勿体ない。「人間の手というのは不思議なものなのです。ホチキス(ステープラー)も広義では機械ですよね?狭義では道具

  • 気分は下剋上 ロンドン編 203 香川教授視点

    チケットを見て自分が乗るべき車両を見ると赤色だった。 ロンドン行がその色で統一されているのか偶々(たまたま)なのかまでは調べていなかったが、自分が惹かれて止まない祐樹の太陽のオーラは赤色と黄色だ。 そして日本の百貨店で祐樹にと選んだバーバリーのスーツに合

  • 気分は下剋上 ロンドン編 211

    「その通りです。これ以上肥大が進行しないためにも壁を作る必要が有るのです。 肥大を防ぐために網目状(あみめじょう)に編んだフィラメント糸を被せる術式も有りますが……?」 依然として祐樹の目は周りのあらゆるものがゆっくりと進行していくように見える。そして、何

  • 気分は下剋上 ロンドン編 202 香川教授視点

    シャルルドゴール空港の近未来的な建物は流石「芸術の都パリ」の玄関口に相応しいと感心してしまう。 一部分しか見ていないしさほど興味が有るわけでもなかったが、日本だと反対意見も多く出て結局無難な建物になるのは想像に難くない。 テレビで観たルーブル美術館もガ

  • 気分は下剋上 ロンドン編 210

    「メス」 バーキング看護師が鶺鴒(せきれい)のように渡してくれた。 手に馴染んだ大きさではないものの、先程から必死に見ていたし、イメージトレーニンはミラー先生の助太刀のお蔭で充分過ぎるほど補完出来たので違和感は抱かなかった。 祐樹の脳裏に患者さんの心臓を撮

  • 気分は下剋上 ロンドン編 201 香川教授視点

    いくらファーストクラスのスーツケースが優先されるとしても、時間はもっと掛かると踏んでいたし、入国審査も多めに見積もっていた。 故に時間はたっぷり残されている。 コウシケとやらは殿下に関係するらしい……となると、皇嗣家のことだろうか……? そして皿婆……

  • 気分は下剋上 ロンドン編 209

    「そろそろ種明かしをしてくれても良いだろう?この患者さんにどういう術式で臨むんだい?」 何だか祐樹を囲む全てが遅くなったように感じる。 そして自分の手術(オペ)が今までイメージしてきたよりも簡単に出来るような感覚を抱いた。 ミラー先生とバーキング看護師の連

  • 気分は下剋上 ロンド編 200 香川教授視点

    食事を終えてコーヒーを飲む。 祐樹は誤解しているようだが、自分が飲むコーヒーはインスタントでも全く構わない。 インスタントコーヒーの粉に単に熱湯を注ぐよりも、2割の湯を注いで粉を入れてスプーンで100回混ぜた方(ほう)が美味になると聞いてから実行している

  • 気分は下剋上 ロンドン編 199 香川教授視点

    ……といっても、この国賓とか王族などが報道陣の前に姿を現すまでの休憩所とか、マスコミに漏れてはいけない国際問題について密談を交わすために設えられた場所のようだ。 先ほどのある(・・)一定の年齢の女性が運んで来てくれた、自分がずっと祐樹のために作りたいと思

  • 気分は下剋上 ロンドン編 208

    ミラー先生とバーキング看護師が時間を稼いでくれていたお蔭でようやく祐樹にも道具類の微細な差が手と脳にインプット出来た。 国際公開手術の第一助手に選ばれるだけの力量の持ち主のミラー先生は祐樹も非の打ち所がない手技の冴えを見せてくれていた。 きっと数年後に

  • 気分は下剋上 ロンドン編 198 香川教授視点

    「ラウンジから軽食をお持ち致しました」 パリ大学で講演会の講師を務める呉先生に自宅マンションで教えていた通りのフランス語訛(なま)りの英語を紡いでいたのはフランス語で言うところのある(・・)一定の年齢の女性だ。 自分も呉先生に同じような発音で呉先生の原稿で、

  • 気分は下剋上 ロンドン編 207

    ……スタンリー先生が操作している注射針のサイズは祐樹が普段馴染んでいる物とはサイズがミリ単位であるが異なっている。 この太さは飛行機の中でドクターコールに応えた時に点滴で見たモノと同じだろう。 ということはメスや血管を挟んで仮に止血するペアン鉗子(かんし

  • 気分は下剋上 ロンドン編 197 香川教授視点

    「長旅でさぞお疲れでしょう。どうぞ、お部屋でお寛ぎ下さい」 特に疲れてはいなかった。何しろ長いフライトの80%以上は呉先生から貰った薬で寝ていた。 自分はインターネットカフェなるものに行ったことはなかったものの、テレビで紹介されていた。寝泊りする人も多い

  • 気分は下剋上 ロンドン編 206

    自己紹介を延々としていても全く面白みがないし、祐樹の居る場所が明るすぎるせいで相対的に暗く感じる観客席に座っている外科医達は皆祐樹の経歴など知っているだろう。 気が利いたことを一分以内で話そう。咄嗟に判断して口を開いた。 この観客席のどこかに居る最愛の

  • 気分は下剋上 ロンドン編 196 香川教授視点

    「お風邪は如何ですか?ごゆっくりお休みになられましたでしょうか?」 飛行機を降りる直前に親身そうに、そして何だか眩しそうに聞かれた。「お陰様ですっかり治ったようです。お世話になりまして有難う御座います。 ご配慮とご厚意を感謝致します」 大学病院で眩し気な

  • 気分は下剋上 ロンドン編 205

    待機所に行くと、先程よりも真剣な表情ながらどこか親身そうな笑みを皆が浮かべて出迎えてくれた。 祐樹はスポーツをしないが何だかチームメイトに接するような感じだ。 その頼もしい人たちに混じって見ない顔が一人混じっていた。「田中先生、スタッフのジョージ・カー

  • 気分は下剋上 ロンドン編 204

    世界に冠たるオックスフォード大学が手術準備室の個室デビューか……。 手術室、いや今回は多分無菌シートに覆われた透明な空間になるだろう。ベルリンの時もそうだったので、テント状に覆われた中で執刀を行うことになることは知っていた。 その最後の準備がこういう重

  • 気分は下剋上 ロンドン編 203

    バーキング看護師は祐樹の息とか手の動きをシンクロさせている。既に準備モードに入ったのだろう。「開胸している時間が短いほど患者さんへの身体の負担は減りますよね。ですから……」 この頼もしいチームには祐樹の意図は完全に伝わったらしい。目の輝きがそれを証明し

  • 気分は下剋上 離宮デート 101

    「いや、全然。京都は地下に水が多く含まれている盆地だろう。 だから名水として名高い滝などはあるけれども、温泉が出るとは思っていなかった。 湯冷めどころか未だ身体が火照っている……」 レモン入りの水を一口飲むと紅色の喉が扇情的に動くのを見ているだけで幸せな

  • 気分は下剋上 ロンドン編 195 香川教授視点

    例えごくごく小さなことであっても一仕事終わらせたという達成感を味わって少し気分が浮上したようだ。 ただ、自分には読書や映画鑑賞などの視覚情報よりも、手先を動かすという触覚情報の方(ほう)が向いているということに気付いた。 そう言えば、定時に上がって自宅に

  • 気分は下剋上 ロンドン編 202

    その祐樹の一言で全員の表情がスイッチを切り替えたようにガラリと変わった。 先ほどまでは余計な一言が祐樹の気に障ったバーキング看護師も祐樹の口元を一言も聞き漏らずまじといった感じの瞳だし、そして何より祐樹の息を合わせるように努めているのが分かった。 流石

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