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  • 全質量の約91%を鉄のコアが占めている!? 太陽よりも小さく暗い恒星を公転する“GJ 367b”は平均密度が地球の1.85倍もある系外惑星

    今回、トリノ大学の博士課程学生ElisaGoffoさんを筆頭とする研究チームは、ほ座の方向約31光年彼方に位置する太陽系外惑星“グリーゼ367b(GJ367b)”の平均密度が、1立方センチ当たり約10.2gだとする研究成果を発表しました。この値は、地球の平均密度(1立方センチ当たり5.51g)の1.85倍。この値は“GJ367b”が主に鉄でできている可能性を示しているようです。研究成果をまとめた論文はTheAstrophysicalJournalLetters掲載されました。太陽系外惑星“GJ367b”(左)のイメージ図。(Credit:DLR/SPP1992(PatriciaKlein))太陽よりも小さくて暗い恒星を公転する系外惑星NASAのトランジット惑星探査衛星“TESS”の観測データを元に、202...全質量の約91%を鉄のコアが占めている!?太陽よりも小さく暗い恒星を公転する“GJ367b”は平均密度が地球の1.85倍もある系外惑星

  • 土星の環は数億年前に2つの衛星が衝突したして作られた!? 衛星の軌道がある位置まで広がると衝突につながるようです

    太陽系では木星に次いで2番目に大きな惑星が“土星”です。この惑星最大の特徴は何といっても大きな環を持っていること。ただ、この環は土星が形成された頃から存在するのではなく、地質学的には最近と言える数億年前に形成された可能性が近年の研究で指摘されています。今回発表されたのは、この土星の環は2つの衛星が衝突したことで形成されたとする研究成果。研究は、グラスゴー大学/オスロ大学のLuisTeodoroさんを筆頭とする研究チームが進めています。2016年4月にNASAの土星探査機“カッシーニ”が撮影した土星。(Credit:NASA/JPL-Caltech/SpaceScienceInstitute)衛星の軌道がある位置まで広がると衛星同士の衝突につながる今回、研究チームが着目したのは、土星の環が衛星同士の衝突で生...土星の環は数億年前に2つの衛星が衝突したして作られた!?衛星の軌道がある位置まで広がると衝突につながるようです

  • 恒星の密度が高い星団内でブラックホールの存在を間接的に観測! 地球に最も近いブラックホールはヒアデス星団に存在しているかも…

    2015年に初めて“重力波”が直接検出されて以来、この宇宙にはブラックホール同士の連星“連星ブラックホール”が、どの程度存在するのかに研究者の関心が集まっています。特に注目されているのは、恒星の密集度が高い星団内における連星ブラックホールの存在です。ただ、これまで行われてきたのは、年齢の古い“球状星団”についての研究がほとんど…もう1つの星団の形態“散開星団”についての研究は行われてきませんでした。今回の研究では、この種の研究が可能な散開星団“ヒアデス星団(HyadesStarCluster)”についての調査を実施。その結果、ヒアデス星団の中心部には2~3個のブラックホールが存在する可能性が高く、仮に星団を飛び出していたとしても、そのタイミングは1憶5000万年以内であることが示されました。ヒアデス星団は...恒星の密度が高い星団内でブラックホールの存在を間接的に観測!地球に最も近いブラックホールはヒアデス星団に存在しているかも…

  • 海王星の暗い斑点と明るい雲のような構造を地上の望遠鏡で初めて撮影に成功! コストや時間をかけない観測手法とは?

    太陽系で最も遠くを公転する惑星“海王星”の表面には、周囲と比べてより深い青色をした“暗斑(DarkSpot)”が現れることが知られています。でも、暗斑が何なのかは、これまでほとんど分かっていませんでした。今回の研究では、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が南米チリのパラナル天文台(標高2635メートル)に建設した超大型望遠鏡“VLT”(※1)に搭載された3次元分光装置“MUSE”を用いて、海王星の暗斑の詳細な観測を実施。※1.超大型望遠鏡“VLT(VeryLargeTelescope)”は、口径8.2メートルの4基の光赤外線望遠鏡の総称。それぞれ1基ずつ独立に観測でき、ガンマ線バーストをはじめ様々な観測を行っている。4基の望遠鏡を光ファイバーで結合して光干渉計としても活用されている。日本の“すばる望遠鏡”と共...海王星の暗い斑点と明るい雲のような構造を地上の望遠鏡で初めて撮影に成功!コストや時間をかけない観測手法とは?

  • 天の川銀河の中心周りで高速で移動している分子雲を確認! 気になるのは巨大ブラックホールに運ばれていくメカニズム

    ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ巨大ブラックホールが存在すると考えられています。私たちの天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ巨大ブラックホール“いて座A*(エースター)”が存在しています。今回の研究では、この巨大ブラックホールから少し離れたところにある巨大分子雲の3次元位置と速度を、国立天文台の電波望遠鏡ネットワーク“VERA”によって精密に測定することに成功しています。天の川銀河の円盤から巨大ブラックホールへと、物質がどのようにして運ばれるのか?このことを理解する上で、今回の研究は重要な情報を与える結果になるようです。この研究は、国立天文台水沢VLBI観測所の坂井大裕特任助教を中心とする研究チームが進めています。図1.天の川銀河中心ブラックホールを取り囲...天の川銀河の中心周りで高速で移動している分子雲を確認!気になるのは巨大ブラックホールに運ばれていくメカニズム

  • 太陽系は今より1万光年も銀河中心に近い場所で誕生していた!? なぜ現在地に大移動できたかは今後の研究に期待

    今回の研究では、独自の理論モデルを用いて、天の川銀河における主要な元素の循環過程を調査。その結果、太陽系は約46億年前に現在の位置よりも1万光年ほど銀河中心に近い領域で誕生し、長い年月をかけて現在の位置まで移動しながら進化してきたことが示唆されました。さらに、この研究では天の川銀河全体における惑星材料物質の分布の予測にも成功。これにより、天の川銀河の内側では大型の惑星が形成されやすく、一方外側では水を豊富に含む小さな岩石惑星が多数できる可能性が示唆されたそうです。この研究成果は、鹿児島大学天の川銀河研究センターの馬場淳一特任準教授、神戸大学大学院理学研究科の斎藤貴之準教授、国立天文台科学研究部の辻本拓司助教たちの共同研究チームによるもの。11月14日に鹿児島大学、神戸大学、国立天文台の3者が共同で発表し、...太陽系は今より1万光年も銀河中心に近い場所で誕生していた!?なぜ現在地に大移動できたかは今後の研究に期待

  • 月が形成されたのは、これまでの推定より約4000万年も古い年代だった。アポロ17号で採取された月の石を分析して分かったこと

    地球唯一の衛星“月”は、いつ形成されたのでしょうか?この疑問の答えは、太陽系の中で起きた大衝突の答えにも迫ることになります。今回の研究では、アポロ計画で採取された月の石に含まれている鉱物“ジルコン”を分析。これにより、月の表面が固まった時期は遅くても44億6000万年前であると算出しています。この数値は、これまでの研究よりさらに4000万年古く、太陽系の形成から1億1000万年後の時代になるそうです。この研究は、フィールド自然史博物館のJennikaGreerさんたちの研究チームが進めています。月が形成される原因となった巨大衝突夜空でもひときわ目立つ巨大な天体“月”は、地球唯一の衛星です。太陽系全体を見渡しても月は5番目に大きな衛星で、周回している惑星との直径比・質量比は太陽系で最大になります。月と同程度...月が形成されたのは、これまでの推定より約4000万年も古い年代だった。アポロ17号で採取された月の石を分析して分かったこと

  • “SPHEREx”ミッションの目標は宇宙誕生に関する疑問と地球に到達した水の経路の解明! 宇宙望遠鏡は2025年4月に打ち上げ

    NASAの公式サイトに宇宙望遠鏡ミッション“SPHEREx(Spectro-PhotometerfortheHistoryoftheUniverse,EpochofReionization,andIcesExplorer)”の情報がアップされました。近赤外線宇宙望遠鏡“SPHEREx”のイメージ図。主鏡の周りについているコーンは、望遠鏡を赤外線から遮断するために取り付けられている。(Credit:NASA/JPL-Caltech)“SPHEREx”のミッションは、赤外線の波長で全天をマッピングし、1年に2枚の地図を作成すること。小さな望遠鏡ですが、視野が非常に広いので、膨大な量の光を集めることができるんですねー“天の川銀河の1億個の恒星”や“4億5000万の銀河”の画像を、そのスペクトルデータとともに記録...“SPHEREx”ミッションの目標は宇宙誕生に関する疑問と地球に到達した水の経路の解明!宇宙望遠鏡は2025年4月に打ち上げ

  • ほとんどの銀河の中心にある、超巨大ブラックホール周辺の物理構造を解明! X線天文衛星の15年間にわたる観測データを使用

    ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールが存在すると考えられています。私たちの天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ巨大ブラックホール“いて座A*(エースター)”が存在していて、これら超巨大ブラックホールの構造を解明することは、現代天文学の最重要課題の1つになっています。超巨大ブラックホールへ落下する物質は角運動を持つため、降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作ります。降着円盤内ではガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマ状態へ。この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、荷電粒子のジェットが噴射し降着円盤の半径に応じて、可視光線、紫外線、X線と幅広い電磁波が観測されます。これは活動銀河核と呼ばれる天体現象で...ほとんどの銀河の中心にある、超巨大ブラックホール周辺の物理構造を解明!X線天文衛星の15年間にわたる観測データを使用

  • 火星大気の散逸に影響しているかも? 太陽コロナ質量放出が大気に与える影響を米中の火星探査機が観測

    今回の研究では、アメリカと中国の火星探査機により、太陽コロナ質量放出(CME)が火星大気に与える影響を観測しています。太古の火星には厚い大気があり、気候は温暖で、その表面には大量の液体の水が存在した時期があったと考えられています。この研究で分かってきたのは、太陽コロナ質量放出による影響により大気が散逸した可能性があること。火星を温暖で住みやすい惑星から、今日のような乾燥した過酷な世界に変える役割を果たしたようです。この研究成果は2023年8月8日付で“TheAstrophysicalJournal”に掲載されています。図1.NASAの火星探査機“MAVEN”によってとらえられた火星北半球の紫外線が増。(Credit:NASA/LASP/CUBoulder)太陽コロナ中のプラズマが大量に放出される突発的な現...火星大気の散逸に影響しているかも?太陽コロナ質量放出が大気に与える影響を米中の火星探査機が観測

  • 地質活動が不活発な火星で大規模な地震が発生している? 火星最大の地震“S1222a”は隕石の衝突で発生したものではないことを確認

    火星は地質学的に不活発な惑星ですが、ときどき地震が観測されています。その起源については、少なくとも8回は隕石の衝突による衝撃であることが判明しています。今回の研究では、マグニチュード4.7を記録した観測史上最大の地震“S1222a”について、火星を周回している全ての探査機の撮影データを調査し、隕石衝突の痕跡があるかどうかを確認。でも、それらの画像からは隕石衝突の痕跡が見つからなかったんですねーこのことから、“S1222a”は火星の地殻で発生した地震活動の可能性が高いことが判明。地質学的に不活発な火星において、これほど大規模な地震が発生したことは興味深い発見になります。この研究は、オックスフォード大学ののBenjaminFernandoさんたちの研究チームが進めています。火星で観測された史上最大の地震“S1...地質活動が不活発な火星で大規模な地震が発生している?火星最大の地震“S1222a”は隕石の衝突で発生したものではないことを確認

  • 落ち込むガス流のほとんどがブラックホールの成長に寄与していない!? でも噴出したガスの大半は脱出できず舞い戻っているようです

    今回の研究では、アルマ望遠鏡を用いて、近傍宇宙に位置するコンパス座銀河を約1光年という非常に高い解像度で観測。その結果、超巨大ブラックホール周辺わずか数光年の空間スケールでのガス流とその構造を、プラズマ・原子・分子のすべての相において定量的に測定することに世界で初めて成功しています。さらに、超巨大ブラックホールへ向かう降着流を明確にとらえ、降着流が“重力不安定”と呼ばれる物理機構により生じていることをも明らかにしています。一方で、降着流の大半はブラックホールの成長には使われず、原子ガスか分子ガスとして一度ブラックホール付近から噴き出た後に、ガス円盤に舞い戻って再びブラックホールへの降着流となる、あたかも噴水のようなガスの循環が起きていることも分かりました。これらは、超巨大ブラックホールの成長メカニズムの包...落ち込むガス流のほとんどがブラックホールの成長に寄与していない!?でも噴出したガスの大半は脱出できず舞い戻っているようです

  • 宇宙論パラメーターの謎を解決!? ダークマターだけでなくバリオンやニュートリノも考慮した大規模な構造形成シミュレーションを実施

    宇宙初期の急加速膨張“インフレーション”の際に生じた密度ゆらぎがもとになり、ダークマターの密度の空間的なゆらぎが重力によって成長していきます。そのダークマターの重力に引き寄せられた水素やヘリウムが集まり、星や銀河が作られ、網の目状に広がる宇宙の大規模構造を形成してきたと考えられています。宇宙の大規模構造では、銀河がほとんど存在しない領域“ボイド”や、逆に銀河が多く集まる“フィラメント構造”など、銀河が偏って存在しています。宇宙は正体不明の“ダークマター(26.8%)”と“ダークエネルギー(68.3%)”で満たされていて、身近な物質である“バリオン(陽子や中性子などの粒子で構成された普通の物質)”は、宇宙の中にわずか4.9%しか存在しないことが分かってきています。その“バリオン”も、星や銀河、星間ガスなどと...宇宙論パラメーターの謎を解決!?ダークマターだけでなくバリオンやニュートリノも考慮した大規模な構造形成シミュレーションを実施

  • アメリカ宇宙軍の謎に包まれたスペースプレーン“X-37B”が2023年12月に打ち上げへ! 今回もミッションの詳細は明らかにされず

    アメリカ宇宙軍は2023年11月8日、同軍とアメリカ空軍迅速能力開発室(RapidCapabilitesOffice;RCO)が運用する無人軌道試験機“X-37B”による7回目のミッション“OTV-7”を実施すると発表しました。図1.“OTV-6”ミッションを終えてケネディ宇宙センター打ち上げ着陸施設(LLF)に着陸した米宇宙軍の無人軌道試験機“X-37B”。(Credit:Boeing/U.S.SpaceForce)アメリカ宇宙軍の発表によると、X-37BはスペースX社のファルコン・ヘビーロケットに搭載され、フロリダ州のケネディ宇宙センターから2023年12月7日に打ち上げられる予定です。これまで“X-37B”の打ち上げに使われたのは、アトラスVロケットとファルコン9ロケット。今回、初めてファルコン・ヘ...アメリカ宇宙軍の謎に包まれたスペースプレーン“X-37B”が2023年12月に打ち上げへ!今回もミッションの詳細は明らかにされず

  • NASAの木星探査機“ジュノー”の観測データから衛星ガニメデの表面に塩と有機物を検出! 内部の海から表面に到達した海水の名残りかも

    イタリア国立天体物理学研究所(INAF)のFedericoTosiさんを筆頭とする研究チームは、NASAの木星探査機“ジュノー”による2021年の観測データを分析した結果、木星の衛星ガニメデの表面に塩と有機物を検出したたとする研究成果を発表しました。今回の研究成果をまとめた論文はNatureAstronomyに掲載されています。図1.木星の衛星ガニメデ。NASAの木星探査機“ジュノー(Juno)”の可視光カメラ“JunoCam”で2021年6月に撮影。(Credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/KalleheikkiKannisto)太陽系で磁場が発生していることが判明した唯一の衛星木星を周回する4つの大型衛星の一つがガニメデです。ガニメデは直径が5268キロもある太陽系最大の衛...NASAの木星探査機“ジュノー”の観測データから衛星ガニメデの表面に塩と有機物を検出!内部の海から表面に到達した海水の名残りかも

  • 1年周期で地球を周回している衛星のように見える小惑星“カモオアレワ”は、月面から飛び出した破片なのか?

    地球の準衛星になっている小惑星“469219Kamooalewa(カモオアレワ)”。この小惑星は、ひょっとすると月から飛び出した破片かもしれないんですねーこの可能性を改めて示した研究成果が、アリゾナ大学の大学院生JoseDanielCastro-Cisnerosさんを筆頭とする研究チームから発表されました。研究チームによると、月の破片がカモオアレワのように数百万年にわたって、地球と似たような軌道を公転する小惑星となる確率は低いものの、ありえないことではないそうです。図1.地球と月の近くを移動する小惑星“469219Kamooalewa(カモオアレワ)”のイメージ図。(Credit:AddyGraham/UniversityofArizona)1年周期で地球を周回している衛星のように見える天体カモオアレワは...1年周期で地球を周回している衛星のように見える小惑星“カモオアレワ”は、月面から飛び出した破片なのか?

  • これまでに行われた古い隕石の年代測定は再検討が必要!? 理由は初期太陽系全体でアルミニウム26の分布が不均一だったから

    初期の太陽系の状態を研究する上で、非常に古い年代が隕石の調査は有効な手段の一つになります。でも、何十億年もの時間を遡って当時の様子を推定しようとすると、様々な問題や障害が立ちはだかることになります。オーストラリア国立大学のEvgeniiKrestianinovさんたちの研究チームは、年代が古い隕石の1つである“チェック砂砂漠002隕石(エルグ・チェック002、ErgChech002、EC002)”(※1)の分析結果を発表。その目的は、初期太陽系での重要な熱源であり、年代測定の手掛かりとなっているアルミニウムの同位体(※2)“アルミニウム26”の指定濃度を他の隕石と比較しながら調査することでした。分析の結果、初期の太陽系におけるアルミニウム26の濃度は、かなり不均一だった可能性が判明。この結果が示しているの...これまでに行われた古い隕石の年代測定は再検討が必要!?理由は初期太陽系全体でアルミニウム26の分布が不均一だったから

  • 最も遠くで発生し、短時間に過去最大のエネルギーを放出した高速電波バースト“FRB 20220610A”を観測! 多くの謎がある天体現象です

    短時間に大量の電波パルスを発する“高速電波バースト”は、その正体やメカニズムなどに多くの謎があり、現在も研究が続いている天体現象です。今回、マッコーリー大学のStuartRyderさんたちの研究チームは、高速電波バースト“FRB20220610A”が発生した銀河を探索した結果、今から80億年前の宇宙で発生したものであることを突き止めました。地球から“FRB20220610A”の発生源までの距離は112億光年で、これは観測史上最も遠い高速電波バースト。また、放出されたエネルギーも過去最高の値で、高速電波バーストのモデルを構築する上で重要な指標になるようです。図1.“FRB20220610A”は地球から約112億光年彼方に位置する合体中の銀河のグループから放出されたと考えられている。(Credit:ESO,M...最も遠くで発生し、短時間に過去最大のエネルギーを放出した高速電波バースト“FRB20220610A”を観測!多くの謎がある天体現象です

  • 超巨大ブラックホールから噴き出すアウトフローが星の形成や銀河の成長を抑制している!? 電波観測から分かった分子ガスの多様性と分布

    今回の研究では、アルマ望遠鏡を用いて、くじら座の方向に位置する活動銀河核“NGC1068(M77)”の中心領域に対し、波長3mm帯で星間分子ガスの二次元分布を網羅的に観測する“イメージング・ラインサーベイ”を実施しています。活動銀河核の化学特性を調べ、それがどのような物理状態を反映したものなのかを機械学習を利用して解析。すると、超巨大ブラックホールから双極に噴き出すジェットに起因すると思われる分子ガスのアウトフローを発見したんですねーこのことから分かったのは、ジェットが銀河円盤に衝突したことで衝撃波領域を生じ、周囲の物質が高温に加熱されている現場だということ。この銀河の中心付近では、激しいジェットの作用により星の素となる分子の破壊や組成の変化が起きていて、新たな星の誕生が抑制されている可能性があることが考...超巨大ブラックホールから噴き出すアウトフローが星の形成や銀河の成長を抑制している!?電波観測から分かった分子ガスの多様性と分布

  • ディンキネシュは二重小惑星だった!? NASAの探査機“Lucy”が初のフライバイ観測を実施、データ送信は最大で1週間かかるそうです

    12年間にわたるミッションで合計10個の小惑星を探査するNASAの小惑星探査機“Lucy(ルーシー)”が、小惑星ディンキネシュ(Dinkinesh)のフライバイ観測を実施しました。“Lucy”がディンキネシュに最接近したのは日本時間2023年11月2日1時54分。最接近時に撮影した画像からは、小惑星ディンキネシュが二重小惑星ということが判明しています。さらに、今後10年間の探査で使用される装置やシステムのテストも行われたようです。NASAの小惑星探査機“Lucy”が撮影した小惑星ディンキネシュ。二重小惑星だということが判明した。(Credit:NASA/Goddard/SwRI/JohnsHopkinsAPL/NOAO)装置のテストを兼ねたフライバイ観測“フライバイ”とは、探査機が惑星の近傍を通過するとき...ディンキネシュは二重小惑星だった!?NASAの探査機“Lucy”が初のフライバイ観測を実施、データ送信は最大で1週間かかるそうです

  • ジャイアント・インパクトは月の温度を数百度上げる程度だった!? 月の半径変化史や火山活動史を数値モデルで再現して分かったこと

    これまでの数値シミュレーションでは、実際に過去に起きた月の大きさの変化(半径変化)や、火山活動との整合性が取れていませんでした。今回の研究では、新たに構築した月内部の“2次元円環モデル”で初めて整合性をとることに成功。この成果は、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系の于賢洋大学院生、小河正基准教授(研究当時)、愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターの亀山真典教授たちの共同研究チームによるもの。詳細は、惑星科学の全般を扱う学術誌“JournalofGeophysicalResearch:Planets”に掲載されています。過去に起きた月の膨張と火山活動月は誕生してから膨張を続け、約38億年前にピークに達し、その後に収縮したことが明らかにされています(半径変化史)。また、この膨張のピー...ジャイアント・インパクトは月の温度を数百度上げる程度だった!?月の半径変化史や火山活動史を数値モデルで再現して分かったこと

  • 衛星エウロパの地下海に生命にとって重要な元素のひとつ炭素が含まれている? 太陽系内の観測も得意なジェームズウェッブ宇宙望遠鏡

    表面が3キロに及ぶ氷で覆われる木星の第2衛星エウロパでは、潮汐加熱によって内部に広大な海が存在する可能性が指摘されています。衛星の軌道が円形でないとき、惑星から遠いときはほぼ球体の衛星も、接近するにしたがって惑星の重力で引っ張られ極端に言えば卵のような形になります。そして惑星から遠ざかるとまた球体に戻っていく。これを繰り返すことで発生した摩擦熱により衛星内部は熱せられることになります。このような強い重力により、天体そのものが変形させられて熱を持つ現象を潮汐加熱といいます。エウロパには、この潮汐加熱によって作られた地球の海水の2倍という大量の水をたたえた地下海が、氷の外殻の下に広がっているのではないかと考えられて、生命が存在する可能性も指摘されています。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線...衛星エウロパの地下海に生命にとって重要な元素のひとつ炭素が含まれている?太陽系内の観測も得意なジェームズウェッブ宇宙望遠鏡

  • なぜ、“M87”ジェットの噴出方向は約11年周期で変化するのか? 原因は巨大ブラックホールの自転が引き起こすジェットの首振り運動

    楕円銀河“M87”は、中心に巨大ブラックホールを持つことことで知られています。今回の研究では、このM87の中心から噴出するジェットについて、過去20年以上にわたる観測で得られた多数の画像を分析。すると、ジェットが噴出する方向が約11年周期で変化していることが分かりました。さらに、観測結果を理論シミュレーションと比較してみると、巨大ブラックホールの自転が引き起こすジェットの首振り運動“歳差運動”に起因することが明らかになります。これらの結果が示しているのは、M87の巨大ブラックホールが自転していること。さらに、強力なジェットの発生にブラックホールの自転が深く関与していることを裏付ける成果になります。この研究は、国立天文台の研究者を中心とした多数の研究機関の研究者からなる国際研究チームが進めています。自転する...なぜ、“M87”ジェットの噴出方向は約11年周期で変化するのか?原因は巨大ブラックホールの自転が引き起こすジェットの首振り運動

  • どうやって極低温の分子雲コアで複雑な有機分子が生成されるのか? 遷移状態理論に基づく化学反応経路の自動経路探索法で分かったこと

    今回の研究では、星間空間で検出される代表的で複雑な有機分子“ジメチルエーテル”と“ギ酸メチル”が生成される過程を、量子化学に基づく反応経路自動探索法を用いて検証。すると、それぞれの分子について極低温(~10K)の分子雲内で反応が進行し得る経路を発見したんですねーこの研究成果は、アストロバイオロジーセンターの小松勇特任研究員、国立天文台の古池健次特任助教たちの共同研究チームによるもの。詳細は、アメリカ化学会が刊行する地球と宇宙の化学に関する全般を扱う学術誌“ACSEarthandSpaceChemistry”に掲載されました。今回の研究で得られた低温の星形成領域で、ジメチルエーテルとギ酸メチルといった複雑な有機分子ができる反応経路のイメージ図。(出所:ABCWebサイト)分子雲コアで検出される複雑な有機分子...どうやって極低温の分子雲コアで複雑な有機分子が生成されるのか?遷移状態理論に基づく化学反応経路の自動経路探索法で分かったこと

  • ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡の最強タッグで最遠方の原始銀河団をとらえることに成功

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡を用いた観測により、最も遠い131.4億光年彼方に位置する原始銀河団を観測。その中でも、特に銀河が密集している大都市圏に相当する“コア領域”をとらえることに成功したんですねーこれにより明らかになったのは、多くの銀河が狭い領域に集まることで、銀河の成長が急速に進んでいることでした。さらに、研究チームはシミュレーションを活用して将来の大都市圏の姿を予測。すると、数千万年以内に大都市圏が1つのより大きな銀河になることが分かりました。この研究成果は、銀河の生まれと育ちに関わる重要な手掛かりになることが期待されています。この研究を進めているのは、日本の橋本拓也助教(筑波大学)とスペインのJavierAlvarez-Márquez研究員(スペイン宇宙生物セン...ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡の最強タッグで最遠方の原始銀河団をとらえることに成功

  • 小型スペースシャトル“ドリーム・チェイサー”が初試験打ち上げへ前進! 機体の組み立てはほぼ完了し数週間の内に試験施設へ

    民間宇宙ステーションの開発などを手掛ける航空宇宙企業シエラ・スペース(SierraSpace)社が、スペースシャトルの1/3ほどの大きさの宇宙往還機“ドリーム・チェイサー(DreamChaser)”の初テスト飛行に向けて準備を進めているようです。機体の組み立ては、ほぼ完了に近づいている状態。今後、数週間の内にオハイオ州にあるNASAのニール・アームストロング試験施設へ持ち込まれる段階にきているようです。機体の組み立てがほぼ完了に近づいているシエラ・スペース社の宇宙往還機“ドリーム・チェイサー”。(Credit:テクノエッジ)小型スペースシャトル“ドリーム・チェイサー”シエラ・スペース社が開発を進めている有翼の宇宙往還機が“ドリーム・チェイサー”です。“ドリーム・チェイサー”は、小さいながらも翼を持っていて...小型スペースシャトル“ドリーム・チェイサー”が初試験打ち上げへ前進!機体の組み立てはほぼ完了し数週間の内に試験施設へ

  • 若い星の代表格“セファイド変光星”を観測して分かった! 天の川銀河の星に含まれる重元素量は中心にいくほど高くなる

    今回の研究では、天の川銀河の中心から1~2光年にある、約2~50日周期で明暗の脈動現象を起こす“セファイド変光星”の金属量を計測しています。これにより、銀河円盤の金属量勾配がほぼ一直線で表せることを明らかにしているんですねーこの研究成果は、東京大学大学院理学系研究科の松永典之助教、京都産業大学神山天文台の大坪翔悟研究員たちの共同研究チームによるもの。詳細は、アメリカ天体物理学専門誌“TheAstrophysicalJournal”に掲載されました。この研究成果は9月8日に東京大学と京都産業大学から共同で発表されました。銀河における重元素量の増加宇宙には最初、水素、ヘリウム、リチウムなどの軽い元素しか存在していませんでした。そこから、恒星の核融合や超新星爆発、中性子星合体などのプロセスを経て、それぞれの銀河...若い星の代表格“セファイド変光星”を観測して分かった!天の川銀河の星に含まれる重元素量は中心にいくほど高くなる

  • 太陽系成り立ちの解明に向けてNASAの探査機“Lucy”が最初の探査対象に接近中! 小惑星ディンキネシュへの最接近は11月2日の未明

    12年間にわたるミッションで合計10個の小惑星を探査するNASAの小惑星探査機“Lucy(ルーシー)”が、いよいよ最初の探査対象となる小惑星ディンキネシュ(Dinkinesh)に近づいています。“Lucy”は日本時間2023年11月2日未明にディンキネシュに最接近し、今後10年間の探査で使用される装置やシステムのテストを行う予定です。木星のトロヤ群に属する小惑星を探査するNASAの探査機“Lucy”のイメージ図。(Credit:SouthwestResearchInstitute)木星のトロヤ群に属する小惑星の探査小惑星探査機“Lucy”は、2021年10月16日にユナイテッド・ローンチ・アライアンスの“アトラスV-401”ロケットに搭載され、ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。その後、幅7メ...太陽系成り立ちの解明に向けてNASAの探査機“Lucy”が最初の探査対象に接近中!小惑星ディンキネシュへの最接近は11月2日の未明

  • 信じられないほど高密度な系外惑星“TOI-1853b”を発見! 形成シナリオは惑星同士の巨大衝突? それとも通常の惑星形成?

    太陽系外惑星(系外惑星)の大きさは、地球よりもずっと小さいものから木星よりも大きなものまで様々です。でも、系外惑星を質量と公転距離で分類してみると、海王星の数倍程度の質量(地球の数十倍、木星の数分の1)で、なおかつ恒星に極端に近い軌道を公転する惑星はほとんど見つかっていません。この範囲は“ホットネプチューン砂漠(HotNeptuneDesert)”と呼ばれていて、条件に当てはまる惑星が希少な理由は、今でもよく分かっていません。今回、NASAのトランジット惑星探査衛星“TESS”を用いた観測データの分析とフォローアップ研究の成果として、系外惑星“TOI-1853b”の発見を報告されました。そこから判明したのは、“TOI-1853b”の質量と公転軌道がホット・ネプチューン砂漠に位置するだけでなく、平均密度が1...信じられないほど高密度な系外惑星“TOI-1853b”を発見!形成シナリオは惑星同士の巨大衝突?それとも通常の惑星形成?

  • どのようにして太陽系は現在の姿になったのか? 公転周期が長い巨大ガス惑星“TOI-4600b”と“TOI-4600c”がヒントを与えてくれるかも

    初めて太陽以外の恒星を公転する“太陽系外惑星(系外惑星)”が見つかったのは1992年のこと。それ以来、5400個以上の系外惑星が発見されています。でも、観測手法の限界から、これまでに公転周期が50日を超える惑星は、ほとんど見つかっていませんでした。今回の研究では、NASAのトランジット惑星探査衛星“TESS(TransitingExoplanetSurveySatellite)”の観測データおよびフォローアップ観測のデータから、新たに系外惑星“TOI-4600b”と“TOI-4600c”を発見しています。“TOI-4600c”の公転周期は約483日で、現時点では“TESS”の観測で発見された最も公転周期の長い惑星になります。また、2つの惑星は推定される表面温度をもとに、木星や土星のような低温の巨大ガス惑星...どのようにして太陽系は現在の姿になったのか?公転周期が長い巨大ガス惑星“TOI-4600b”と“TOI-4600c”がヒントを与えてくれるかも

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