「N/A」年森瑛今年、第127回文學界新人賞受賞作で、芥川賞候補にもなった作品。タイトルのN/Aは、小説の中には出てこなかったが、エクセルで計算式を書き間違えたときなどに表示されることでおなじみの #N/A だと思う。該当する解がありません、ということ。何かを検索してそれにあてはまる答えはここにはないです、ということ。主人公は、そして誰もが、そういうふうに何かの言葉を検索して出てくる解や、数式で導かれる...
『石の来歴』 奥泉光奥泉先生の本は「桑潟教授の」シリーズしか読んだことがなかった。作品によって作風がすごく違うとは聞いていたけど、『石の来歴』を読んでみてびっくりした。クワコーのユーモラスなおもしろさとはぜんぜんちがうが、めちゃくちゃおもしろいやないか!最初のほうはなんかよくわからず、陰気な話なのかなぁと思いながら読み進め、眠くなった。翌日、少し戻ってから読み進めると、眠いどころか背筋がぞくぞくす...
『君は永遠にそいつらより若い』 津村記久子2009年初版発行ちくま文庫版で読む。津村さんのデビュー作で、太宰治賞受賞作。最近、映画にもなったらしい(そちらは未見)。津村さんの小説にはふたつの系統があると思っていた。ひとつは、『ポトスライムの舟』や『アレグリアとは仕事はできない』などのお仕事小説。もうひとつは、『ミュージック・ブレス・ユー!!』や、毎日新聞で現在連載中の『水車小屋のネネ』に代表される、...
タイトルがネガティブに聞こえたのが、長嶋有さんの作品にしては珍しい気がした。物語は2011年から始まる。いつもの長嶋有作品と同じように、ごくふつうの人たちのふつうの日常の話。そのなかで、たくさんの人の「死」について語られていく。解散したロックバンドのメンバーや、スティーブジョブズなど遠くにいた人、あるいは身近な人の死。視点人物はどんどん変わっていき、みんな少しずつつながっている。まずそういう構成の...
津村記久子 まるで自分のことが書かれているみたいな『この世にたやすい仕事はない』
『この世にたやすい仕事はない』は、2015年日本経済新聞社から出版されている。えっ!津村さんの小説がニッケイから出てんの!と、まずおどろくが、津村さんと言えば「お仕事小説」だから、ニッケイかあ。この小説は芸術選奨新人賞文学賞を受賞されている。津村さんの小説は大好きだが、読み終わってこんなにボロ泣きしたのははじめてだった。共感したというか、なんか、まるで自分に向けて書かれたような小説だと感じた。津村さん...
サマセット・モーム『月と6ペンス』を読む。金星堂、というあまり聞いたことない出版社から出た、英語日本語対訳本を、図書館で借りて。奥付によると昭和61年に第15刷で出たもの。金星堂をネットで調べると、英語教科書などの会社であることがわかった。日本語訳は中野好夫先生。モームってもっと難しい文学みたいなのだと思い込んでいた。読んでみたら(もちろん日本語のほう)、めちゃくちゃおもしろいやん! と、とまらなくな...
話題の小説、藤原無雨さんの 『水と礫』 を『文藝2020冬季号』(河出書房新社)で読みました。こんな小説読んだことない・・・それも日本の文芸誌の新人賞受賞作では、なおのこと異色の感じを受けました。外国の小説のような空気感というか。最初はよくわからないまま、とりあえず読み進めていきます。どこの話なんだろう、東京が出てくるから日本なんだろうな? 砂漠ってどういうことなんだ?という感じ。読み進めると、構...
『「繊細さん」の本「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる』武田友紀 (飛鳥新社)『HSPあるある!1巻』おがたちえ (ナンバーナイン)最近話題になっている「HSP」=Highly Sensitive Person の生き方についての本です。作者の武田さんも、おがたさんも、ご自身がHSPとのことで、説得力があります。HSPなるものを知ったとき、これは・・・! 私?? と思いました。それを知ったきっかけはネットで「生きづらい」とかを検...
失われた世代の読書日記
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