chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • ほら探日記 幽霊屋敷 その5

    外に出て振り返ると、出て来た引き戸は入る時の引き戸と同じ位置だった。冷静になって思い起せば、建物を一廻りした時に、既に戸は一カ所だけと確認済みだった。つまり、入るのも出るのも此処だけと分かっていた筈なのである。いかに冷静さを失っていたか、保来は己を恥ずかしく感じた。 そ...

  • ほら探日記 幽霊屋敷 その4

    入り口迄逃げ戻りたいが、戻ったところで戸が開かない。 (クソッ、岩の奴め) 口の中で、エンドレスのように岩田を罵る言葉を吐き続ける。恐怖心を紛らわす狙いもあった。 掛け軸壁を通り過ぎると、再び灯りは懐中電灯のみとなった。壁の照明が消えたのだ。 錯覚かも知れないが、通...

  • ほら探日記 幽霊屋敷 その3

    依頼主は三輪と名乗った。五〇歳を過ぎているであろう恰幅の良い中年男性。 三輪は、挨拶もそこそこに母屋から少し離れた離れ屋敷に案内する。屋敷は想像していたよりも大きく、高さは、二階建て家屋と比べて少々低い感じがする。天井が高い平屋なのか。 入り口は普通サイズの引き戸で、...

  • ほら探日記 幽霊屋敷 その2

    父親が亡くなったので、その息子の長男が建物を相続することになった。ただし、屋敷内の収納品までは未だ相続が決まっていない。中を調べたいのだが、屋敷の入り口戸は鍵が掛かっているし、建物に近づくと、ざわざわとした不気味な雰囲気を感じるので躊躇してしまった。 一緒に屋敷を造り上...

  • 幾度も変える曲

    2曲とも既に発表済みです。が、気に入らないので少し変えました。 歌詞は無いですが、何れ歌詞を入れたいと考えています。 そして、出来れば私自身が歌いたいのですが、なにせ、音痴なもので。 他に、親父の嘆き節なるものも作曲してあります。 此方の歌詞は、一部頭の中にできています。 ...

  • ほら探日記 幽霊屋敷 その1

    目的の家に着き玄関口で声を掛けると、何とその入居者本人が出て来た。不動産会社の名を出したところ、やや狼狽する。 簡単に訪問目的を話すと、男は「話は別なところで」と、家から遠ざけさせた。保来達は、乗って来た車に彼を招き入れ、三人で話し合う。 当然、警察沙汰にされるよりは素...

  • ほら探日記 ユニットバス その2

    一階の部屋を借りていた入居者が、ユニットバス天井裏に角材で足場のような物を造ってしまった。それだけなら誰にも迷惑が掛からず分らなかっただろうが、踏み外し天井部分に足を乗せてしまったのか、天井が部分的に凹んでいた。この状態のままでは次の入居者に貸せないので、その修理代を入居...

  • ほら探日記 ユニットバス その1

    ゆにっとばす アパート名は「コーポやすき」と名付けた。このアパートは、基本的には単身者向けワンルームになっている。身軽な人が入居する分、入居退室も家族向け賃貸部屋よりは多い。 引っ越後には、次の入居者の為の部屋のクリーニングは必須である。以前は、不動産関係が近所の主婦...

  • ほら探日記 父の失踪 その2

    一週間が過ぎても何も情報が得られない。孝太朗の足取りは結局分らず終いである。 すると母ユキに、警察に失踪届を出し、旅館に戻って来るように言われる。やむなく、信次郎は和枝に後を任せ一旦帰郷する。 信次郎は、帰ってからも頻繁に和枝に電話を掛ける。表面上、父孝太朗の行方につ...

  • ほら探日記 父の失踪 その1

    父の失踪 木村和枝が保来興信所を去ってから一年ぐらいして、突然孝太朗からの音信が途絶えた。蒸発というか失踪したのである。 信次郎は、この機会を利用すればいい加減嫌になっていた旅館業から解放されるかも知れないと考えた。勿論、父を心配する気持ちも大きい。 「親父が心配だ...

  • ほら探日記 ルーツ その5

    大学を卒業した信次郎。何だかんだと言い張り、帰郷を渋る息子をどうにか帰らせ、孝太朗はホッとする。 待ってましたとばかりに迎え入れたユキは、思い切って信次郎に尋ねた。 「お前は、和ちゃんと結婚する気ないの?」 「どうして俺が和ちゃんと結婚しなければならないの?」 「だって...

  • ほら探日記 ルーツ その4

    今と違って、昔は携帯電話など無かったから、電話番など事務所には留守を預かる人が必要だった。その役目として白羽の矢を当てられたのが木村和枝だった。和枝は、事務所を守るに相応しい人物だった。 和枝は孝太朗の補佐となり、電話、依頼者応対、事務経理関係などの仕事に就いた。 実...

  • ほら探日記 ルーツ3

    山(やま)間(あい)の僅かな平地を求め、ひしめき合うように佇む温泉地。温泉客の出入りは多いが同年代の子供達は少なく、学校から帰宅すれば自ずと遊び相手は信次郎と和枝の二人だけとなる。それ故に、二人の関係は濃厚となった。 二歳年上ということで、和枝は信次郎の勉強や宿題、食事...

  • 思うに

    北朝鮮に連れられていった人が拉致と認定されてもうかなりの年月が経つ。 小泉元総理が数人を連れ戻したが、それ以後まったく動きが見られない。 「拉致問題は私が解決する」という頼もしい言葉を聞いてはや何年経つのだろう? 何も進展が無いと言うのは何もしていないのと同じ。 世の中はシ...

  • ほら探日記 ルーツ その3

    葬式はユキの手で執り行われた。人となりを知っている近所の従業員もチラホラ焼香に来てくれた。 そこで彼女らが見たのは、小さい身体を丸めるようにして、動かなくなってしまった母の横顔を一心に見つめる和枝の姿だった。 「母親が亡くなったのに、泣きもしなければ涙も見せない。何て子...

  • ほら探日記 ルーツ その1

    ルーツ 保来信次郎と木村和枝との出会いは、信次郎の実家、家業である旅館だった。 信次郎が未だ幼い頃だった。母娘で仲居の仕事を求め、旅館に遣って来た。そこから不思議な絆が生じ、絡み合って行く。 いかにも病弱そうな母。その後ろに隠れるようにして母の脚にしがみつく少女。そ...

  • ほら探日記 再興 1

    新作物語は少し構想を練りたいと思います。 暫くの間、我がライフワークでもある物語を掲載していきます。 ほら探偵のらりくらり日記 再興 保(やす)来(き)信(しん)次(じ)郎(ろう)にとって今日は特別な日である。保来探偵事務所開設から3周年の記念すべき日。又、彼の父である...

  • 編曲しました

    燦めきの川面 music 以前しょうもない題名「揺らぎの川面」なんて言う曲 その曲を編曲した。気に入らない部分があったので。大分良くなった。 実はせかされた面もあり、見切り発車的にアップロードしたので。 これに歌詞を付ければ、それなりの「歌」といえる曲になるでしょう。 これ...

  • 振り返れば その10(最終)

    葦原には真梨子の仕草が分からない。 「葦原君ったら、冗談が上手いんだから。はっはっは」 大きく笑う。 「冗談では無い。本気だ」 葦原は、ムッとした表情で真梨子を睨む。 葦原は、真梨子から色々な情報を得るために通っていたのでは無かった。彼女と居ると、何やら元気とか覇気...

  • 振り向けば その9

    安田真梨子と葦原亘は道路に沿って店舗を構えている蕎麦屋に入る。 「ここのとろろソバ美味しいのよ」 真梨子に勧められて、葦原も同じ物を注文する。 「やっぱりお母さんよね。以前の仕事関係者に声を掛けていたなんて」 「うん。俺、製材に関しては全くの素人だから、どうしたら良いか...

  • 振り向けば その8

    葦原は安田真梨子の元に顔を出し始めた。彼は体が空いているので、真梨子の仕事を手伝うという名目だ。 本音は、葦原亘という人物をこの地域の人達がどう見ているのか? 更に、Iターンの形となる彼を、歓迎してくれるだろうかが気になるのだ。 葦原は、地元で父親の後を引き継ぎ...

  • 振り向けば その6

    安田真梨子は、葦原亘の母に持って帰ってと、トマトを採りにビニールハウスに向かった。 「何、こんなに色々あるのかよ。これ、みんなトマトなのか?」 ハウスでは、色も形も違う数種類のトマトを栽培していた。 「それなりに需要があるのでね。でも、売れ筋はやはりポピュラーで甘みのあ...

  • 振り返れば その6

    安田真梨子の話は、その殆どが推測だった。 真梨子は高校を卒業すると地元を離れ、横浜のある会社で添乗員の仕事に就いた。 添乗員と言うより、バスガイドといった方が正しい。 その会社で事務方をしていた男性と結婚をする。それから2年ぐらい経ってある噂が立つ。 「安田真梨子は...

  • 振り返れば その5

    二人は暫く同級生の話題に終始する。 葦原は、同級生の名前を言われても、顔が浮かんでこないことが殆ど。なので、真梨子に適当に話を合わすがイマイチ興味が湧かない。 「ねえ、本当に分かってるの?」 「ああ、何となくね」 「葦原君、元気ないよ。仕事、上手く行って無いの?」 真...

  • バッシング

    皇室バッシングについて考える。 先の小室圭・真子さんの結婚までのバッシングは目に余る物があった。 圭君の母親とその相手男性のいざこざ。圭君真子さんとは直接関係無い事。 極論を言えば、犯罪者の親、その子供も犯罪者だと決めつけて良いのかである。 しっかりした弁護士が両者間に入っ...

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、大空ひろしさんをフォローしませんか?

ハンドル名
大空ひろしさん
ブログタイトル
大空ひろしの創作小説
フォロー
大空ひろしの創作小説

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用