酔いも加わって、優奈の話があちこちに飛ぶ。それを優輝は一生懸命理解する。 彼女の話をまとめると次の様な大事件に遭遇したという。最も、自ら招いた事件でもあるが。 ある時、関連会社の証券会社営業課長が優奈の元を訪れ、彼女に簡単な作業を依頼する。数日後、再び遣って来た課長は...
お酒が入ると雰囲気が変わって行く。 缶ビールを手にする優奈のピッチは早い。既に2缶飲み干している。 「優ちゃんは好きな人が居るの?」 「いるけど」 彼女は誰とまでは聞かない。 「抱きたいと思う?」 ヤバい質問になって来た。何故なら、綾香が側に居る。うっかりした返事は...
優輝は、綾香達の部屋に行く日を、自分の休みの日にした。スーパーで緊急事態が起きれば約束を守れなくなるからだった。 例えば、パートやバイトの複数ドタキャンがあれば、代わりをしなければならないのである。 優輝は綾香に訪問日を告げる。 「分かった。伝えておきます。あっそうだ...
優輝は無事、綾香をアパートまで送り届ける。 「大分遅くなってしまったけど、お姉さん心配してるんじゃ無い?」 優輝が心配そうに言う。 「大丈夫。お姉ちゃんは私の事なんか全然心配しないから」 綾香が笑って答える。 姉は心配などしていないと綾香は言うが、喧嘩をしていようと...
つるべ落としの季節。忽ち闇が襲ってくる。 「今日中に帰れなかったらどうする?」 その言葉に全く意図はなかった。軽口を吐いただけだった。 「そうなったら、どこかに泊まろうか」 その言葉に、優輝はドギマギする。 女性との付き合いが豊富な男なら、 (よっしゃ、了承を得た。...
優しいメロディーに仕上がっています。 心が落ち着くと思います。 [Music] 秋風 メロディーや曲調は違いますが、雰囲気は似ているかも知れません。 この曲の楽器を違えた後半の曲が自分としてはとても良く仕上がったと思っています。 一応、右左とスピーカー音を分けています。 [...
やっと完成しました。 短編小説 ポン太 画像、映像、挿入曲 すべて大空ひろし一人の手作りです。
只今「ポン太」というYouTubeアップロード用短編小説を作製中ですが、一息吐いた所です。 後は朗読の声を入れ(ソフト)、自作した曲を入れて動画にすれば完成です。 4~5時間ぶっ通しだったので疲れました。 続きは明日以降にします。 連載は少しだけお休みさせて頂きます。
加(か)戸(と)優(ゆう)輝(き)。二十歳半ばを過ぎたというのに、未だ独身である。 「今度、ブドウ狩りに行かない?」 ダメ元で、バイトの塚(つか)谷(たに)綾(あや)香(か)に声を掛けた。 「うん。何も予定が無いから、付き合っても良いよ」 優輝は、スーパーの鮮魚部で魚...
嫉妬心とかライバル意識が薄まれば、経験を十分に積んだ大人達の事。もめ事は起こさない。 応接間の家具などを整理し、ソファーを出来るだけ陰に寄せ、開けたスペースにコタツを設けると、3人は炬燵に入りミカンを摘まみながら新年を迎える。 最も、炬燵により深く潜り込んだ秀人は、体...
暫くして恵美子が戻って来た。 「あら、未だ居たの? 折角、帰り支度の時間を与えて遣ったのに」 憎まれ口を叩く恵美子。 「何言ってんだ。此処にズーッと居るって言ったろう」 秀人が麻美の味方に付く。 「しょうがないわね。追い出したくても追い出せないし」 「馬鹿言ってんじゃ...
恵美子は麻美を見るなり 「あんた、歳幾つ?」 「54」 恵美子が真っ先に歳を聞いたのには理由がある。恵美子より年上だとプライドが傷つくし、年下なら多少は有利な言い方が出来るとの判断だ。 「何でここに居るの?」 「あなたこそ、秀人さんの所に何しに来たの? もう、関係は切れ...
人間は、抱き合うとか肌を合わす行為に、より深き愛情が生まれる。その愛は、男女間の愛や恋に限定されない。 性に捕らわれず、信頼だったり友情だったり、喜怒哀楽を共有する行為にもなる。 子供が「抱っこ」とせがむのも、単に疲れたとか甘えたいとかだけでは無い。愛情を確認したいか...
自分も参加しているTwitterでは、次期総理に高市早苗総務大臣を推すコメントで溢れている。 ただ、Twitter民の多くが押しているとは思えない。理由は、強く押す意志が少なければ敢えてコメントしない人が多いからだ。 総裁選は一般国民には選ぶ方法が無い。とは言え、自民党総裁...
「勿論大歓迎さ。でも、来春っていう約束じゃあなかったっけ?」 「あら、私はそんな事、言った覚えないよ」 確かに、栖本の「来春にしよう」という呼びかけに、彼女は明確に応えていなかった。 (まあいいや。俺も嬉しいし) 彼はあっさり受け入れる。 しかし、栖本には若干の気掛か...
「次は春に来ると言いながら今来た。俺の反応を見るためか? 恵美子は、俺が情に弱いのを知ってるからな」 長年連れ添っただけに、お互い、性格は見抜いている。 「若しかしたら恵美子の奴、茜たちに疎外されていると吹き込み、俺の情を揺さぶって様子を見ようとしているのか?」 栖本は...
栖本は本気で悩む。麻美は暗に一緒に住みたいと言っている。それは、彼にとって願ってもない事。 だが、やはり恵美子の事も気になる。 「そうだね」 「あら、奥歯に物が挟まったような返事ね。私と一緒に住むのが嫌なの?」 「そうじゃないよ。そうじゃなくて、ほら、離婚してから一年も...
現在、日本が研究している計画に、壮大なものがある。 宇宙ソーラー発電と宇宙エレベーター。 政府機関が参加しているかどうかは不明だが、断念すること無く研究は進めれらている。 宇宙ソーラー発電は、地上から約36000kmの所にソーラーパネルを並べて、得たエニルギーをマイクロ波で...
恵美子が帰った二日後だった。 「ねえ、来ちゃった。場所分からないから駅まで迎えに来てくれる?」 麻美からの電話だった。 どうしても行きたかった浅草に来れた。時間があるので、その帰りに栖本の家に寄ってみたかったのだと話す。 突然の申し出に彼は少し戸惑う。麻美の来訪に問...
恵美子の言うままに、ホームセンターでチューリップの球根を大量に仕入れる。 「そんなに買いやがって。赤・青・黄色の三個あれば十分だ」 「あら、青は無いよ。それに、そんな数じゃチューリップが寂しがるでしょ」 「チューリップが寂しいなんて言うもんか。まあ良い。所でさ、何で茜の家...
オリンピックにせよ、パラリンピックにせよ、日の丸の旗がポールに揚がった時、選手達の胸に万感の思いがこみ上げたと思う。 同じように、いやもっとその思いは強かったかも知れない父や祖父達。 飢えや病気、そして敵と、正に命を掛けてた戦った戦争。戦争の是非はともかくとして、...
麻美は、思いやりというか、想像も付かないようなプレゼントを、栖本のスマホにそっと忍ばしてくれた。 恐らく、二人で一夜を過ごした温泉旅館で撮った物だろう。常に一緒に行動していたのでは無いから、彼が部屋を離れた間に自撮りしたのだろうと推測出来る。 水商売を経験し、男の気持...
https://hirosioozora.muragon.com/entry/633.html
アパートの外見や内装もリフォームしてある分小綺麗ではあったが、築年数は大分経っていると言う。 最近の若者、特に女性は、新築とか築年の新しい物件を好む。それもあり、古いアパートだと借り手がなかなか見つからないと聞く。 「一〇分や二〇分の内見では、そんな細かい点など分からな...
麻美の説明では、娘夫婦と一緒に生活するのが息苦しくなって、思い切って一人で都会に出ようと考えていたようで、その切っ掛けとなったがの栖本秀人との懐かしい再開だった。 ただ、いきなり東京都心に行くのは流石に気が引けたようで、都心よりも家賃が少し安い都会圏にしたという。 ど...
翌日、恵美子は早くから庭に出て作業を行う。その作業も昼頃には終え、家の中に戻る。 冷蔵庫の残り物で昼食を終えると、今度はトイレや風呂場の掃除に取り掛かる。 恵美子は結構働き者だった。 恵美子は三時頃になると娘の家に戻る。帰り際に 「マメに換気や掃除をしてよ! カビだ...
夜の11時頃になり、栖本秀人は寝る準備を始める。彼は、12時前にはベッドに入るよう心掛けていた。 お風呂に入って何時ものように寝室に入ると、畳の上に折り畳みマットレスを敷き、その上に敷き布団を広げ、夏掛け用の薄い布団を掛けて恵美子は寝ていた。 妻と一緒の部屋で寝るのは...
二人の間に話が途切れる。恵美子は食事の後片付けが終わると、サッサとお風呂に入る。 風呂から上がると、恵美子は2階へと消えて行く。 恵美子の寝室は2階の部屋だった。娘の一人が結婚して家を出て行くと、その部屋を恵美子は自分の寝室にした。 夫婦別々に寝るようになって随分と久...
栖本秀人と恵美子がテーブルを挟み向き合って食事をする。この形は久しぶりだ。過去の日常風景。 離婚したとは思えない雰囲気である。 「あんた。庭の手入れ、全然してないでしょ」 説教口で、突然恵美子が切り出した。 確かに、栖本は庭の手入れなど殆どしていない。両親が健在だっ...
「ブログリーダー」を活用して、大空ひろしさんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。