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2019/04/14

  • 『シャザム!〜神々の怒り〜』ヒーローという理想(ネタバレあり)

    面白かった。前作は肉親から捨てられ孤独だったビリー少年が血の繋がらない「家族」の一員になる話だった。今回のビリーはその家族との繋がりを大切にするあまり、彼らを束縛してしまっている。シャザムは「中身は子供」のヒーローであるが、ビリーはもうすぐ18歳で大人に近づいていて、制度上は「家族」からひとり立ちしなければいけない可能性がある。一方、ビリー自身は理想の世界に生きている。だから、彼はこのグループホームこそが自分の居場所だと思っている。また、ビリーはまだ理想のヒーローになることが出来ていない。ヒーロー活動はするものの、市民からは「フィラデルフィアの恥」と言われる始末であり、実はヒーロー名もまだ決ま…

  • 2023年2月に観た新作映画

    まあまあ 『#エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』傑作!壮大なのにインディペンデントな作りで,どこか懐かしい感じ.ユニバースにより撮り方が変わるのも面白い(ウォン・カーワァイ的な映像だったり).多層的で複雑だが,このカオスな感じを楽しむのも醍醐味.#エブエブ @FansVoiceJP pic.twitter.com/JoU39UxLMY— Taku (@glaneurs_et_al) 2023年2月5日 『バビロン』傑作。過去作同様、理想に対する現実を描いた苦い作品。トーキーへの移行を描いた(ゾウ繋がり)エテックス『ヨーヨー』が創造の力を高らかに宣言したのに対し、本作は無限の可…

  • 2023年1月に観た新作映画

    ぴこぴこぽよぽよ 『非常宣言』時代性を取り入れたテーマは良く、航空機内外で物理的に断絶された人々がどうやって互いに関わり合うことができるのかという視点も興味深かったが、ディテールを詰めないまま色々な要素を詰め込んだ結果ボヤけた印象に。特に後半のウェットな描き方も好みの分かれどころ。 pic.twitter.com/ZWnSxmqOI1— Taku (@glaneurs_et_al) 2023年1月8日 『#ヒトラーのための虐殺会議』大傑作。淡々とナチス高官達の会議を描く。我々が行う会議のように、参加者達は"論理的"に意見を戦わせる。意外にも、ちゃんと反対意見を述べるのだ。休憩中には雑談をする。…

  • 『ヒトラーのための虐殺会議』(微ネタバレ) "普通の"会議の席につく

    IMDbによれば、ヴァンゼー会議の三度目の映画化(テレビ映画)らしい。純会話劇で、ひたすらナチス幹部らがユダヤ人をどうするか話し合う様子が映される。特にドラマチックな展開もないから退屈だと思う人もいるだろうが、個人的には大傑作であった。 ヴァンゼー会議の詳細はあまり知らなかったが、最終的にナチス・ドイツがユダヤ人に対する行為についてはもちろん知っている。なのでこの映画ではどのようにその決定に至ったのかを見ていくことになる。面白いのは、この会議が至って"普通"に進んでいくことだ。よくフィクションで描かれるような一辺倒な印象を与えるのはオットー・ホフマンくらいで、基本的には我々が行うのと同じように…

  • 2022年12月に観た新作映画

    傑作が多かった 『フランス』様々な"顔"で魅せるレア・セドゥの独壇場。ジャーナリズムを虚栄心を満たす場だと思っていそうな人気キャスターを演じる。「撮る」という暴力を行使し、自らもそれに曝されながら次第に"顔"の切り替えが効かず崩壊していく。彼女の名が"フランス"である故の切れ味ある着地が良い。 pic.twitter.com/Ygn5qv4oC3— Taku (@glaneurs_et_al) 2022年12月1日 『ザ・バットマン』や『ジョーカー』が作られたように,独立作やユニバース作品がごちゃ混ぜでも個人的には良い(一般客向けではないが)ので,カヴィルのスーパーマン映画も平行して作ってほし…

  • 2022年映画ベスト10

    恒例のベスト決めの時期。例年通りギリギリまで悩んでいたが、発表します。ちなみに上半期ベストはこちら。点数化も上半期と同じ基準で行った。総合ベスト10は映画祭や試写で鑑賞した日本未公開作品を入れたものと除外したものを分けたが、それ以降のランキングは全て含めたものになっている。 otakuiy.com 2022映画ベスト10(映画祭・試写含む) 2022映画ベスト10(一般公開・配信のみ) 2022年日本映画ベスト10 2022年ドキュメンタリー映画ベスト10 2022年映画監督ベスト10(順不同) 2022年映画俳優ベスト10(順不同) 2022年映画音楽ベスト10(順不同) 2022映画ベスト…

  • 『フラッグ・デイ 父を想う日』感想 ペンがいっぱい(ネタバレなし)

    www.youtube.com ショーン・ペンの前作『ラスト・フェイス』は評判の悪さでスルーしてしまっていたが、監督作『イントゥ・ザ・ワイルド』は自分にとってかなり重要な映画なので、今回はあまり期待せずに観に行ってみた。一般評価は微妙で賛否両論という感じだが、個人的には大当たりの映画だった。 まず何と言っても映像が特徴的。16 mmフィルムのザラついた質感が非常に味わい深く、温かく懐かしい空気感を作っている。劇場でやっている新作の中で異質の存在感を放っている。16 mmフィルムでの撮影といえば大傑作『ケイコ 目を澄ませて』でも使われている。新作でこういう映像を観ることができるのは、とても幸せだ…

  • 『THE FIRST SLAM DUNK』感想 ミリ知らでも楽しめる傑作(微ネタバレ)

    「スラムダンク」という作品の存在くらいは今までの人生の中で認知していたものの、それが一体何なのかは全く知らなかったし、惰性のせいで調べようともしなかった。この映画についても観るつもりはなかったのだが、やたらと評価が高く、「映像作品として素晴らしい」と言われていたので観ることにした。 以前宇多丸さんが『ハリー・ポッター』の新作を批評した際、「知らない状態は貴重だから」と何も予習せずに新作に臨んでいたことを思い出した。確かに「何も知らない自分」は貴重なので、自分も予習どころか予告編すらチェックせずに鑑賞した。事前知識はこれはバスケについての作品だということくらい。 結果からいえば大傑作であった。非…

  • 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』感想 キャメロンのライフワーク(ネタバレなし)

    新宿バルト9のHFRドルビーで鑑賞。これは観る前から分かっていたことだが、現実/虚構の差などどうでも良く思わせてくる映像についてはやはり全編凄まじい。特に『タイタニック』で使っていたような水没するリアルなセットとモーションキャプチャーのアバターが同居するところに感動した。アクション演出も流石キャメロン印。キャメロンのアクションはしっかり交通整理がされているから位置関係を把握しやすい。やたらとカットを割ったり手振れを激しくすることもないから大変見やすいのだ。 脚本については正直あまり褒められないが、前世代の香りがする語り口は個人的には好き。ちなみに武器やガジェットも前時代的ではあるのだが、自分と…

  • 『ブラックアダム』感想 肉体の圧倒的な説得力(ネタバレあり)

    ネタバレあり 特別試写会で『ブラックアダム』を観たが、感想を書くタイミングを逃していたのでそろそろ書いてみる。ロッテントマトでは評論家受けが悪く、一般観客に好評といった感触だが、まさにそんな映画。個人的には楽しめたが、言いたいこともある作品だった。 まず自分はDCが好きなので映画を作ってくれてありがとうという気持ち。更にずっと実写化して欲しかったドクター・フェイトをピアース・ブロスナンが演じたという奇跡に感謝している。 映画は観客の感情よりも早く展開が進むので、何も前提知識がない人が観たらどう思うか気になるところだが、自分は楽しめた。自分は常々「ヒーロー映画では市井の人々を描くべき」と言ってい…

  • 『マッドゴッド』感想 地獄巡回ぶらり旅(ネタバレあり)

    ネタバレあり フィル・ティペットの『マッドゴッド』を観た.ティペットといえば,『ジュラシック・パーク』製作での神の一人だと前に書いたが,実際のところ『スターウォーズ』『スターシップ・トゥルーパーズ』なども彼がいなければ実現しておらず,やはり彼は今の私を創ったという意味で神である(?). otakuiy.com だいぶ前から日本公開されるか不安だったが,無事公開されただけでなく宣伝にも力が入っていて盛り上がっているように感じる. 結論から言えば大傑作であった.似たようなストップ・モーション映画といえば『JUNK HEAD』があったが,個人的には断然こちらの方が好み.『JUNK HEAD』は世界観…

  • 2022年11月に観た新作映画

    新作をあまり観なかった月. 『ノベンバー』『マルゲリータ・ラザロヴァー』からの影響を感じる美しいモノクロームとは裏腹に被写体は大方汚い。また、話も突飛。しかしその中で、シンプルな情動に突き動かされた二人の儚いラブストーリーの美しさが際立つ。事前予想よりは大人しめな映画だったが、魅力的な作品だった。 pic.twitter.com/Y3MsB6behB — Taku (@glaneurs_et_al) 2022年11月5日 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』「追悼映画としては良いがヒーロー映画としては微妙」という意見をチラホラ見るが、個人的にはヒーロー映画として良かった。ヒーローとはど…

  • 『EO』感想(前半ネタバレなし、後半ネタバレあり)

    前半ネタバレなし、後半ネタバレあり www.youtube.com ネタバレなし イエジー・スコリモフスキ監督の新作『EO』をポーランド映画祭で観た。個人的なポーランド映画祭の思い出といえば、昨年イメージフォーラムで開催された『DAU. 退行』オールナイト上映の直後にそのままポーランド映画祭でキェシロフスキ特集に臨んだこと(疲労で少しウトウトしてしまったが)。 結論から言えば、めちゃくちゃ好きだった。オマージュを捧げていると言われる『バルタザールどこへ行く』よりも好きだ。ちなみに、物語自体は『バルタザールどこへ行く』とは全然違う。 個人的に好きなショットがかなり多かった。冒頭の廃棄処理場のクレ…

  • 『MEN 同じ顔の男たち』感想 グロテスクな男たち(ネタバレあり)

    ネタバレあります 試写会にてアレックス・ガーランドの『MEN 同じ顔の男たち』を観た。なかなか良かった。 アレックス・ガーランドはこれまで「ハードSFっぽい何か」を撮ってきた。本作はその「っぽい何か」の部分を煮詰めたような印象だった。そして、ガーランドはビジュアリストでもあるが、ビジュアルとテーマ性の結びつきという意味では、個人的には過去作の中で最も彼の手腕が発揮されていたのではないかと思う。 本作はかなり寓話性が高い。例えば裸の男はジェシー・バックリー演じるハーパーに上腕を裂かれるが、他の男たちも同期するように腕が裂かれている。つまり、彼らは個人ではなく、集団で一つの「男性という存在」を形成…

  • 第35回TIFF『パシフィクション』トロピカル・ノワールな『地獄の黙示録』(ネタバレなし)

    www.youtube.com 東京国際映画祭で『パシフィクション』を観た。アルベルト・セラの映画はこれが初鑑賞。事前にかなりつまらないという評判を聴いていたので不安だったが、好きな映画だった。 舞台はフランス領ポリネシア。そこに赴任したブノア・マジメル(『ピアニスト』)演じるフランス人高等弁務官デ・ロールが核兵器実験の噂を聞きつけ、段々と陰謀の匂いを嗅ぎつけていく…という話。 賛否両論になるのは確かに分かる。陰謀を巡るフィルム・ノワール風の映画というと『チャイナタウン』が思い出されるが、そういう感じではない。真実は何かというサスペンスはなく、ひたすら冗長な会話劇が繰り返されるのだ。話が全然動…

  • ちゃんとヒーロー映画だった『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』感想(ネタバレあり)

    『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を観た。チャドウィック・ボーズマンの死があって、どうなることかと思っていたが良かった。もちろんボーズマンに捧げられた作品ではあるが、『ブラックパンサー』の続編として良かった。 この映画には「継承」と「救済」というキーワードを感じた。前者はMCUフェーズ4のトレンドでもある。後者前々から言っているのだが、ヒーロー映画には「誰かを救う瞬間」を入れて欲しい。それも、相手が自分と近しい関係にある(例えば恋人ではなく)かどうかに拘わらず救って欲しい。自分の利害関係を超えた救済行為の方がより純粋な善だからだ。個人的にMCUではその要素が不足しているなと思っていた…

  • 2022年10月に観た新作映画

    映画祭の月 『恋するアナイス』先日観た『スペンサー』から引き続き『燃ゆる女の肖像』的な海岸のイメージが前景化したクィア映画でありながら、将来不透明な主人公が自己愛を見い出していく作品とも捉えられる。程よいユーモアが散りばめられており、コメディとしても面白い。疾走感溢れる冒頭から好きになる。 pic.twitter.com/ullQCo1KQA — Taku (@batmanight) 2022年10月1日 『秘密の森の、その向こう』大傑作技術面で素晴らしいのは勿論、"Au revoir"と別れを告げていく冒頭から始まる、まさに夢のような幼少期のひとときを描くミニマムな物語にやられてしまったので…

  • 第35回TIFF『ヌズーフ/魂、水、人々の移動』壁の穴から見出す希望(ネタバレなし)

    www.youtube.com 東京国際映画祭で『ヌズーフ/魂、水、人々の移動』を観た。このサムネとタイトルが印象的で、とても観たかった作品。これは結構良かった。ユース部門に相応しい映画。 空爆により主人公一家の壁に大きな穴が開く。面白いのは、空爆自体は悲劇であり作中でもそう描かれているが、一方で長引く戦争や家父長制などによってそもそも家の内側には閉塞感が存在しており、それが壁の穴によって打破されるところだ。穴を通じて外の世界と繋がることで希望が見出されていくのだ。タイトルに「魂、水、人々の移動」とあるが、文字通り穴を通じた移動が映像として描かれており、その見せ方が良かった。 劇中でも言及され…

  • 第35回TIFF『セルヴィアム ―私は仕える―』自分で考えないの?(ネタバレなし)

    www.youtube.com 東京国際映画祭で『セルヴィアム ―私は仕える―』を観た。ルース・メイダー監督作品は『モニタリング』を鑑賞済み。 結論から言えば、悪い意味で期待を超えてこなかった。本作のテーマはキリスト教それ自体というよりは、何かを盲目的に信じ(→キリスト教への過度な信仰)、自分で考えて行動しないことの危うさというところにあると思う。本作で不気味な存在感を放っているマリア・ドラグシ演じるシスターは、そのような「信者」として登場する。 本作には前作『モニタリング』と重なる部分があり、ここにルース・メイダーの作家性、描きたいテーマがあると読めるが、残念ながら設定を活かしきれておらず中…

  • 第35回TIFF『カイマック』人生の上澄みを集めてみた(ネタバレなし)

    www.youtube.com 東京国際映画祭でミルチョ・マンチェフスキー『カイマック』を観た。マンチェフスキー監督の作品は『ビフォア・ザ・レイン』『ダスト』を鑑賞済み。本作の参考になりそうな『柳』は残念ながら未鑑賞。 これは傑作だった。鑑賞済みのマンチェフスキー作品はどちらも主にマケドニアを舞台にしていて、一筋縄ではない凝った作りの映画になっていた。特に両作とも「循環」のイメージがある。『ビフォア・ザ・レイン』は三部構成の最初と最後が輪のように繋がることで、マケドニアの終わりの見えない民族紛争の不毛さを表現していた。『ダスト』では現代ニューヨークと一世紀前のマケドニア双方の物語が互いに相互作…

  • 第35回TIFF『ライフ』三時間の地獄めぐり(ネタバレなし)

    www.youtube.com 東京国際映画祭でエミール・バイガジン『ライフ』を観た。過去作の『ザ・リバー』は鑑賞済み。本当はその前の『ハーモニー・レッスン』を観たいのだが、なかなか観ることが出来ない。『ライフ』はIMDbでのスコアが4点台だったりと、事前に評価が低いことは知っていたので、期待値は下げて臨んだ。 観てみると、低評価の理由は頷けた。主人公がある失敗(誰にでも起こりうるから怖い)をきっかけに、ひたすら堕ちる様子を三時間みっちり描く。しかもメリハリもあまりないので三時間観続けるのが辛く感じる人も多いだろう。また、作中での女性の扱いは、真意としてそれが肯定的か否定的に描かれているかに依…

  • 『ジュラシック・パーク』について話したくなったのですこしだけ(自然 vs 人工)

    *『ジュラシック・パーク 』『ジュラシック・ワールド』のネタバレあり 『ジュラシック・ワールド』のラストバトルに関して、あれは「自然の摂理 vs 人工物」だという意見をよく見る。つまり、実際に存在するティラノサウルスやヴェロキラプトル(=自然物)と、ハイブリッド恐竜であるインドミナス・レックス(=人工物)の対立であるというわけだ。でも、仮に製作者の意図がそうであっても、この説は引っ掛かる。このシリーズの恐竜は「遺伝子操作によって、人間が望む姿を具現化した恐竜」だからだ。『ジュラシック・パーク』では恐竜再生において、DNAの欠損部位の補完のためにカエルのDNAを使っている。その影響でメスしかいな…

  • 映画月間批評『ブリュノ・レダル、ある殺人犯の告白』感想(ネタバレなし)

    アンスティチュ・フランセ日本主催、映画月間批評で観た二作目は『ブリュノ・レダル、ある殺人犯の告白』。 www.youtube.com 1900年代初頭に実在した殺人犯ブリュノ・レダルと、彼を担当した医師の手記を基に映画化したようだ。とある少年を山中で殺害した17歳のレダルは自首をする。捕まった彼は、医師に自分の人生を幼少期から振り返るような回顧録を書くように言われる。本作ではその手記に書かれた内容(過去)と、レダルと医師の問答が映し出される。 まず特筆すべきはレダルの手記をほぼそのまま再現したらしいナレーションだ。本作には全編通してレダル役のディミトレ・ドレによる語りが存在する。その語りによっ…

  • 『悪の法則』と『ノーカントリー』についての雑感#1

    評価の差 Rotten Tomatoesで『悪の法則』の評価を見たことがあるだろうか?2022年9月28日時点ではこんな感じだ。 https://www.rottentomatoes.com/m/the_counselor_2013 一方、同じコーマック・マッカーシーの作品『血と暴力の国』を原作とした『ノーカントリー』は『悪の法則』と似たような話であるが、評価はこんな感じだ。 https://www.rottentomatoes.com/m/no_country_for_old_men Rotten Tomatoesに絶対的信頼を置いているわけではないが、にしてもこの評価の差はなんだろうか?と…

  • 映画月間批評『恋するアナイス』感想(ネタバレなし)

    アンスティチュ・フランセ日本主催の映画月間批評で『恋するアナイス』を観た。日本未公開の作品が上映されるので、あと何作かは観に行きたい。 www.youtube.com 本作はシャルリーヌ・ブルジョワ=タケ監督の長編デビュー作品とのことだが、傑作だったと思う。主人公アナイスが疾走するスピード感溢れる冒頭からグッと引き込まれ、力強いラストまで目が離せない。饒舌で自由奔放な彼女はエネルギッシュであるが、一方で彼女は自他問わず永遠ではない人生に恐れを抱いている。彼女は恋愛が長続きせず、博士論文も仕上がらない。将来不透明な人生を歩んでいる。また、彼女にとって大切な人が居なくなることに対する不安も抱えてい…

  • Filmarksに追加されたら嬉しい機能

    前々から欲しいと思っていたサービスの一つが「映画パンフレットのレビューサイト」だ。劇場にもよるが、購入前にパンフレットを閲覧できない場合が多い。立ち読み防止等、それはそれで良いのだが、やはりパンフレットは1000円近くするのだし、中身が充実しているかは知りたいところである。買ってみたら写真ばかりで文章が全然なくてガッカリというケースも多い。特に最近はネットでも映画についてのインタビューや解説記事を簡単に読むことが出来るので、ますますパンフレットを買う価値があるかどうかを見定めたい気持ちになってくる(勿論、「紙の本」が手元にあるという状況自体が嬉しくもあるが)。 だからTwitterなどで「〇〇…

  • 2022年9月に観た新作映画

    金子監督おめでとうございますの月. 『#人質 韓国トップスター誘拐事件』サスペンスもアクションもバランス良く演出されている良作。撮影も良いなと思ったら、最近だと『モガディシュ』を撮ったChoi Young-hwan。ファン・ジョンミンが本人役を演じているので、彼の映画を観ていればより楽しめるかも。@FansVoiceJP pic.twitter.com/DERsSLwNYJ — Taku (@batmanight) 2022年9月1日 『さかなのこ』「奇妙」な作品であるので好みは分かれるが、大傑作だと言っておく。奇妙という言葉は本作に不適である。ベスト配役であるのんと完全には実話に徹しない方向…

  • ウクライナでのユダヤ人大虐殺『バビ・ヤール』感想

    www.youtube.com セルゲイ・ロズニツァ監督作品『バビ・ヤール』を観た。ロズニツァの映画はまだ数作品しか観れていないが、その中でも本作は特に印象に残った。 本作では第二次世界大戦中のウクライナで起きた「バビ・ヤール大虐殺」を当時のアーカイブ映像を繋いで描いている(https://neutmagazine.com/goodcinemapicks-babiyar)。 本作、事件を解説するのではなく、観客に体感として知ってもらうことに重点を置いているように感じた。なので、最低限の注釈、ナレーションしか登場しない。恥ずかしながら事件のことをあまり知らなかった自分には鑑賞中に整理出来ていない…

  • 『アテナ』感想(ネタバレなし)

    www.youtube.com Netflix『アテナ』を観た。しれっと配信されているので本作の存在すら知らない人が多いのではという感じだが、これが中々の力作であった。 あらすじは以下 ひとりの少年が殺害された悲しい事件をきっかけに、激しい戦いの舞台と化したアテナ団地。その争いの渦中には、被害者である少年の兄たちがいた。(Netflixより) フランス団地映画といえばレジ・リ監督作『レ・ミゼラブル』(2019)が思いだされるが、実際に脚本にはレジ・リが関わっているようだ。確かに共通点は多い。警察(権力)vs 国民の構図であったり、炙り出される負の連鎖。 本作でまず印象的なのは長回しを多用したア…

  • 『スペンサー』感想(ネタバレなし)

    www.youtube.com 『スペンサー』を試写会で観てきた。クリステン・スチュワートがダイアナを演じるということ以外情報を入れずに観たのだが、いい意味で期待を裏切られた。本作で描かれるのはダイアナがチャールズ皇太子と離婚する直前の三日間だ。この頃、ダイアナと皇太子の関係性は冷え切り、ロイヤルファミリーの生活にも馴染めずにいる。彼女の精神的負担も頂点にあった。映画はそんな彼女の精神状態を表現するように、全体的に不穏で閉塞感がすごい。 主演のクリステン・スチュワート。クリステンが演じているのだから勿論めちゃくちゃカッコいいのだが、一方で本作のダイアナは序盤から弱々しく見える。ロイヤルファミリ…

  • 2022年の敬老の日はローズマリー・ハリスのお誕生日だった

    今年の敬老の日は9月19日だった。そして、9月19日といえばローズマリー・ハリスのお誕生日である。ローズマリー・ハリスは、多分、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズでのメイおばさん役が一般的に有名だろう。もちろん他にも色々出ているが、観ていない作品も多いので、一度自分用にまとめておこうと思う。余談だが、有名人のお誕生日には、誰かしらがそれをツイートするものだが、自分の見る限り、ローズマリー・ハリスのお誕生日をツイートしているのは私+αくらいて悲しかった。その意味でも再度出演作品を確認して皆の記憶に彼女を呼び戻したい。 IMDbで出演作を調べてみると、ドキュメンタリーを除いた長編映画では…

  • 〜打ち切らないで〜『レイズド・バイ・ウルヴス/神なき惑星』(ネタバレなし)

    www.youtube.com www.youtube.com 『レイズド・バイ・ウルヴス/神なき惑星』はリドリー・スコットが製作総指揮を務めるドラマシリーズだ。現在シーズン2まで作られているが、なんと打ち切りになってしまうらしい。海外ドラマを追っていると、こういうことにたびたび遭遇する。例えば『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』や『ノット・オーケー』もそう。とりあえず打ち切りを撤回してもらいたいものだ。 このドラマ、非常にリドリー色が濃い。ミトラ教徒と無神論者が戦争をしている世界で、とある無神論者のカップルがミトラ教徒になりすまして地球を脱出する。一方で無神論者に再プログラムされた…

  • ドラマについて色々書いていきたい場所です

    ドラマについて色々書いていきたい場所です - otaku8’s diary

  • 何かふと感じたことを書いていきたい場所です

    何かふと感じたことを書いていきたい場所です - otaku8’s diary

  • 『ロード・オブ・ザ・リング』を映画館で観たら感動してしまいました。

    『ロード・オブ・ザ・リング』を劇場で、しかもIMAXで体感した。昔家で観たことはあり、その後も部分的に観たりはしていて好きなシリーズではあったのだが、通して観るのはかなり久しぶりだった。 冒頭では「指輪の伝説」について説明がある。「こんな分かりやすく描かれてたんだ」と再認識した直後、衝撃を受けることになる。時が流れ、ホビット庄の場面に移るのだが The Fellowship of the Ring とサブタイトルが表示された瞬間、スクリーンが見えにくくなってしまったのだ(つまり感動してしまった)。そこから「ホビット庄のテーマ」が流れ出したあたりから本格的に”ヤバく”なった。これまで何回か観てい…

  • 【記録】MUBIで出会った良作10選#1

    MUBI(https://mubi.com)に加入してしばらく経つので、MUBIで出会った良作を定期的に記録しておこうと思う。第一回目。 『I Won’t Come Back』 MUBI: I Won't Come Back MUBIに加入してから最初に観た映画。孤児院出身の主人公が、ひょんなことから出会った同じく孤児である少女と共にカザフスタンを目指すロードムービー。淡々とした語りで派手さはないが、荒涼とした大地とその中で二人の人生が歩み寄っていく様子が美しく印象的だった。 『Nimic』 MUBI: Nimic ヨルゴス・ランティモスの短編で、マット・ディロン主演作品。10分弱で日常を侵食…

  • 「キャンプ」が出てくる映画,何かありますか?

    はてなブログのが今週のお題「キャンプ」だったのでキャンプが出てくる映画を考えてみたのだが,あまり思いつかない.キャンプに行きたくなるような映画を紹介したいところだが,真っ先に出てくるのはホラー映画たちだ...実際,キャンプ場が舞台になるホラーは多いと思う... あと,キャンプ映画とはいわないかもしれないが,登場人物たちが焚火を囲んで語り合うような場面はよく見かける. 何か,キャンプに行きたくなるようなキャンプ映画があれば教えてほしい.

  • 『NOPE/ノープ』感想(ネタバレあり)

    いまさらながら『NOPE/ノープ』を観た。鑑賞が遅れた理由は、評判によるとこの映画は「IMAX案件」らしいのだが、なかなか都合が合わなかったからだ。確かに、できればIMAXで観てほしい作品だった。もっといえば前の方の席が良いと思う。観るのが遅かったので、もう散々言われているだろうけど思うことを書いていく。 「スピルバーグ映画的」だと事前にいわれていたが、『未知との遭遇』よりも『ジョーズ』で、根底には特に白人・男性至上主義の強かった西部劇というジャンルを持ち込んできたのが良かった。また、本作は「見る/見られる」関係をテーマにしている。あの飛行生命体は「観客」を象徴していて、地上の人間は「見世物」…

  • PFFに行ってみた(『瀉血』『幽霊がいる家』ネタバレなし)

    フォロワーで友人の「シャンバラの雨」こと金子優太監督の初監督作品『瀉血』がPFFアワードで入選し,国立映画アーカイブで上映されるとのことで行ってみた.南香好監督作品『幽霊がいる家』との連続上映だった. pff.jp www.youtube.com 結論から書くと,両作品とも好き.『瀉血』はまずよく計算し尽くされていて,ちゃんと映像でストーリーを語っている.明暗が対比される地下道への分かれ道や互いにすれ違うモノレール,スイッチの点滅が印象的な自動販売機など,ロケーションとその使い方がとても巧かった.常日頃から身の回りに「映画的」な要素を見出そうとしているのかなと思った.また,普段から監督の話は聞…

  • 『ベルベット・クイーン ユキヒョウを探して』感想(ネタバレなし)

    www.youtube.com 『ベルベット・クイーン ユキヒョウを探して』を観た.昔から動物ドキュメンタリーが好きで,しかも音楽をニック・ケイヴとウォーレン・エリスが担当しているとのことで非常に楽しみにしていた作品.実際に観てみると,これは大傑作だった.もちろん,音楽も素晴らしく感動的だった. 動物ドキュメンタリーといえば,人間を意識させずに動物をいかに野生の姿のままカメラに収めるかに重点を置いている作品が多いと思う(『アース』など).あるいは,『クロコダイル・ハンター』のように動物の紹介役となる人物をメインに置いた作品もあるが,本作はそのどちらとも違っていた. 本作の特徴は「視る/視られる…

  • 『さかなのこ』感想(ネタバレ)

    さかなクンをのん氏(←素晴らしかった)が演じるということで気にはなっていた映画だが、予告編以上の情報は殆ど入れずに観た。予告編の印象だと、所謂「いい話」なのかなと思っていた。実際観てみると、確かにいい話ではあるのだが、予想以上に「奇妙」な作品であった。ここで「奇妙」とカッコ付きにしたが、実際のところ本作を奇妙だと形容するのは不適切だ。のん演じるみー坊は「普通って何?」と問いかける。日常生活では「普通」と軽々しく口にしがちだが、実はとても残酷な言葉だと思っている。「普通」は自分の中の「常識」を他人に押し付け、そこから外れるものを奇妙だと考え、排除してしまう。この映画では、好きなことをひたすら突き…

  • 2022年8月に観た新作映画

    ほとんど試写です. #彼女のいない部屋 話に関しては「家出をした女性の物語、のようだ」以上を知らなくて良い.特徴的なのは音の演出.ある場面で発生した音が次の場面にも浸透する.このような演出は他作品でも見られるが,本作では顕著だ.時間と場所を超越する「音」が本作を観終わったとき,響く.@FansVoiceJP pic.twitter.com/b1p8tqHVEa — Taku (@batmanight) 2022年8月8日 #川っぺりムコリッタ観終れば猛烈に白米を食べたくなる。しかし、単なる飯テロ映画ではない。食事は「生」の行為である。本作では「生」を感じさせる要素が映像的に強調される。一方、こ…

  • 『こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジュラシック・パーク効果』感想

    こうして絶滅種復活は現実になる 古代DNA研究とジュラシック・パーク効果 [ エリザベス・D・ジョーンズ ] ちょうど『ジュラシックワールド/新たなる支配者』が公開されたタイミングで本書が出版されたので早速読んでみた。本書は「セレブリティ科学」について書かれてある。馴染みのない単語だが、大雑把に言えば、科学とメディアはお互いに影響し合いながら発展していく(相互作用する)ということだ。『ジュラシックパーク』が発表される前から「古代のDNA」を抽出しようとする研究は行われていたが、それが小説・映画の登場でメディアがこの分野に注目、研究者たちの気持ちとは別に「恐竜の復活」が求められるようになっていっ…

  • 2022年7月に観た新作映画

    非常に暑い. 『マルケータ・ラザロヴァー』最近は静的な映画を観ていたから、動的なカメラワークを多用する本作は新鮮。面白いのはエコーがかった台詞。映像内の人物が発したと思えない言葉は全体のリアリズムとは反し、不思議な感覚に。急な場面の転換など故物語は把握し辛い。明快な語りをしないのは敢えてか。 pic.twitter.com/9B5WWhPSqK — Taku (@batmanight) 2022年7月2日 「earthearthearth 斎藤大地 特集上映」斎藤大地氏の三作品の上映。氏の映画は初めて観た。アフタートークの内容も踏まえて再確認したのはやはり映画は必ずしも書き物には出来ないという…

  • 『ジュラシックワールド 新たなる支配者』感想(ネタバレあり)

    本作だけでなく,本シリーズのネタバレを含みます はじめに 感想 良かったところ イマイチだったところ はじめに 『ジュラシックパーク』シリーズには思い入れがあって,自分の人生の根幹をなす作品の一つである.いまのところ,シリーズの作品は手放しでは褒められないものはあれど,どれも好きだ.『ジュラシックワールド』シリーズも個人的には結構評価している.『ジュラシックワールド』ではハモンドの理想郷である「ジュラシックパーク」が実現した.ごく普通のテーマパークと同じく観光客で賑わっている.人間が完全に恐竜を管理できたかのような前半を踏まえて,中盤でそれが一瞬にして崩壊する様が描かれていた.前作『炎の王国』…

  • 2022年上半期映画ベスト10

    例年は何となく順位をつけていたが、今回は基準を設けて点数化して決定。 方法は次の通り *基準を ①好み ②クオリティ ③作品の意義 として、1〜5点を各項目に割り振って足し合わせた。この際、重み付けとして①は×1、②は×0.9、③は×0.8と決めた。これは自分がその作品を好きかどうかが最も重要であり、次いでクオリティ、作品の意義が大切だと思ったからだ。例えば、好き度が5点、クオリティが3点、意義が4点なら、5×1+3×0.9+4×0.8=10.9点となる。ある程度作品を絞ってからこの基準で順位を決めたものが下。 #2022年上半期映画ベスト10①『トップガン マーヴェリック』②『TITANE』…

  • 2022年6月に観た新作映画

    上半期終わりとか信じられない。 『ドンバス』ウクライナの地ドンバスでの出来事を13のエピソードで綴る。構成やウクライナ情勢について事前情報を少しいれておいた方がいいかもしれない。ロズニツァはドキュメンタリー作家らしく、虚構とリアルが入り混じるような本作の作り自体が、描かれるウクライナの現状(2018)と共鳴する。 pic.twitter.com/Ddvdke3Kjv — Taku (@batmanight) 2022年6月6日 『ニューオーダー』個人的に好きなジャンルである「一番恐ろしいのは"システム"である系映画」だった。どんなに捥がこうとも、そもそも貴方はそのシステムに組み込まれている。中…

  • 2022年5月に観た新作映画

    五月分サボったので... 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』予想より良かった。脚本・設定の粗が結構目立つが、プロットは前作より分かりやすく、ここは自分のシリーズとの距離感の問題かもだが、楽しめた。最大の魅力は俳優陣とニュートンハワードのスコア。個人的にはマイナスをプラスが上回った形。 pic.twitter.com/LxN8DzORMi — Taku (@batmanight) 2022年5月1日 『メモリア』母国タイを飛び出した作品だが、紛うことなきアピチャッポン映画になっていた。自然音が特徴的な監督だが、本作では「音」それ自体が「言語」的に強調される。主演のスウィントンは…

  • 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』感想

    全体的には楽しめた。以下、雑感。 冒頭数十分は「スパイダーマン三部作」を連想させる。結婚式といえば『スパイダーマン2 』だし、新しい恋人のいるクリスティーンと彼女に未練が残るスティーブンの関係性にも見覚えがある。街の危機を察知してヒーローとして出動していく懐かしい図。市街戦。黄色いタクシーが走るニューヨークの雰囲気が何となく「スパイダーマン三部作」っぽい。幾度かカメラは市民のリアクションを映し出す。サム・ライミはヒーロー映画における市井の人々の見せ方が巧い。ヒーローと一般人の関係性の大切さをよく分かっている。タコ型の敵がビルの側面を登って戦う…というのはまんま『スパイダーマン2 』だ。しかも、…

  • 2022年4月に観た新作映画

    新年度 『アンビュランス』久しぶりのベイ!早いカット割と意味があるのかよく分からないダイナミックなドローン撮影。これが不思議と心地よい。理屈は不明だが快感を与える技術は、もはや巨匠の域。全体的には比較的地に足がついていて、ベイの実物主義がマッチしていた。ローン・バルフェの劇伴も見事。 pic.twitter.com/E0bMafoEUf— Taku_200mL (@batmanight) 2022年4月3日 『ニトラム』実話ベースだが、キャラ配置や演出等による社会構図の炙り出し方があまりに巧い。このような作品は巧いほど、その存在自体が賛否を呼ぶ。個人的には、完全には彼に寄り添っていないと思うの…

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