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  • 雲龍図鐔 若芝Jakushi Tsuba

    雲龍図鐔若芝雲龍図鐔若芝若芝もまた布目象嵌の技法を独特の描写方法で突き詰め、若芝一門の特質とした。布目象嵌とは、地面に細かな鑢目のような切り込みを施し、ここに薄い金銀の板を叩き込む手法だ。だが、若芝の布目象嵌は、表面に皺や地模様のような切り込みを設け、ここに擦り込むように金を象嵌している。甚吾のぼかしによる龍神の描写とはちょっと違って、龍は鏨を効かせた高彫で、周囲の雲をおぼろに表すことにより、龍を際立たせている。地鉄の鍛え肌をも鮮明にして、本来見えることのない空気の流動する様子(あるいは激しく波立つ海原)を表現している。雲龍図鐔若芝JakushiTsuba

  • 雲龍図鐔 甚吾 Jingo Tsuba

    雲龍図鐔甚吾雲龍図鐔甚吾甚吾が得意とした図柄構成の鐔。表に龍を描き、裏に三鈷などを描く。多くが鉄地を高彫や薄肉に彫り出し、金銀の布目象嵌を加えて龍を描いている。肥後金工は布目象嵌を得意としたが、さて、龍神を布目象嵌で描く理由はどこにあるのだろう。単に正阿弥系の伝統を守っているだけだろうか。龍という実態不明の怪物を表現するには、あるいは布目象嵌を用いておぼろに描写した方が迫力があると、突き詰めたのではないだろうか。龍の身体を構成する線も、他の金工による鏨を効かせた高彫に比較して明らかに不明瞭である。雲龍図鐔甚吾雲龍図鐔甚吾JingoTsuba

  • 砂潜り龍図鐔 三宅友英 Tomohide Tsuba

    砂潜り龍図鐔三宅友英砂潜り龍図鐔三宅友英三宅友英は肥前長崎の金工。このような作品を見ると南蛮物には影響されなかったようだ。この図は、砂原から姿を現したように見えることから砂潜り龍と呼ばれている。本来は雲間から現れた場面と考えてよいだろう。龍の背後が石目地に仕立てられているところが要点で、砂と言われれば砂であろうし、雲と言われれば雲に見える。砂潜り龍の呼称が広まって以降は、作者も砂原として意識したものであろう。そもそも雲を描写する場合、ふんわりとした、実体のないものとして感じさせる必要がある。風が必要であれば雲に流れを加えて風を表現する。砂潜り龍図鐔三宅友英TomohideTsuba

  • 波龍図鐔 長州萩幸利 Yukitoshi Tsuba

    波龍図鐔長州萩幸利波龍図鐔長州萩幸利翼をもつ龍?あるいは鯱?火炎をまとい激しく波立たせ、海原を大荒れにする。嵐の海には龍があばれていると考えられていたものであろう。波龍図鐔長州萩幸利YukitoshiTsuba

  • 這龍図鐔 金子幸治 Yukiharu Tsuba

    這龍図鐔金子幸治這龍図鐔金子幸治これも長州鐔工。龍神の背景を完全に透かし去って、身体を明瞭に表現している。胴体から手足出ているところなどが太く量感があり、これも力強い。鐔の形状が真円にちかいため、水晶玉の中に閉じ込められた龍神のようにも見えるところが面白い。這龍図鐔金子幸治YukiharuTsuba

  • 雲龍図鐔 長州萩住光高 Mitsutaka Tsuba

    雲龍図鐔長州萩住光高雲龍図鐔長州萩住光高長州鐔工は南蛮風の作風だけでなく、真に迫る高彫表現も得意とし、多々印象の異なる龍の図柄を遺している。この鐔などはごくごく普通にみられる図柄構成だが、彫口が鋭く、龍の表情はもちろんだが、流れる雲も迫力がある。雲龍図鐔長陽萩茂常これも雲龍図。地を透かして印象深い図柄としている。雲龍図鐔長州萩住光高MitsutakaTsuba

  • 対龍図大小鐔 長門萩住久次 Hisatsugu Tsuba

    対龍図大小鐔長門萩住久次対龍図大小鐔長門萩住久次南蛮鐔の典型。長州鐔工が南蛮鐔を製作していることは、驚くことではない。江戸時代における南蛮鐔の流行は、現在考えているより遥かに大きかった。それを証するように、数多くの南蛮鐔が現存している。いずれも無銘であることから南蛮と汎称されてしまうが、こうして在銘作があると、うれしい。他の有銘鐔工も製作しているだろうと想像する。長州鐔工は龍の図を得意とした。対龍図大小鐔長門萩住久次HisatsuguTsuba

  • 対龍図鐔 肥前 Hizen Tsuba

    対龍図鐔肥前対龍図鐔肥前西洋文化の影響を受けた南蛮鐔がある。西洋そのものというわけでもなく、西洋文化の通過地である中国の影響も受けているのが面白い。もちろん南蛮鐔といえども南蛮で製作されたのではなく、我が国内において意匠されたものである。江戸時代に西洋に開かれていたのは肥前の長崎。肥前の金工で多分に影響を受けているのは國重(下写真)で、以前にも紹介したことがある。波に対龍図が多い。上の写真は無銘で肥前の金工。表が奇抜な対龍で、裏は梅に椿であろうか、この採り合わせが面白い。対龍図鐔肥前HizenTsuba

  • 雲龍図鐔 仙台金工 清定 Kiyosada Tsuba

    雲龍図鐔仙台金工清定雲龍図鐔仙台金工清定仙台金工草刈清定の得意とした、金線象嵌と平象嵌による龍神。下地は赤銅の石目地で、石目地にも様々な手法があってみどころ。その表面を平滑に仕上げ、平象嵌は象嵌部分がわずかに高い特徴がみられ、線象嵌も細く繊細。失火奥の赤銅地にくっきりと際立つ表現である。2点紹介しているが、いずれも龍神を描いている部分の地金は、表面がふっくらと丸みを持たせてある。下の鐔は雲の表現も異質。虫食い状に鋤き込んだ描法と、ごく細の金線象嵌。特に金線象嵌は微妙に線の太さの調子を違えている。雲龍図鐔仙台金工清定KiyosadaTsuba

  • 龍神図大小鐔 友善 Tomoyoshi Tsuba

    龍神図大小鐔友善龍神図大小鐔友善以前にも紹介したことがあるも、大だけであったり、表だけであったりと、不完全な紹介の仕方であるとの指摘をいただいたので、改めて大小の表裏を紹介する。この金工の描写力は説明する必要はないだろう。龍神図大小鐔友善TomoyoshiTsuba

  • 波龍図鐔 長吉 Nagayoshi Tsuba

    波龍図鐔長吉波龍図鐔長吉鉄地真鍮象嵌という平安城象嵌の手法からなる作。地文は毛彫とその所々に象嵌した細い真鍮による渦巻く波。波頭も真鍮で表し、龍神に伴う火炎は素銅の象嵌。目玉が銀象嵌で異風。この鐔の面白さは、古調な意匠と龍神の身体に刻されている毛彫。子細に観察すると鱗などの彫口は細い鏨を走られている様子がわかる。真鍮は金と異なる渋い風合いを呈している。次第に綺麗な描写が好まれるようになってゆく過程で、古風を求めた鐔工の独自性が窺えるのである。波龍図鐔長吉NagayoshiTsuba

  • 龍図環頭太刀金具 古墳時代 Kantotachikanagu

    環頭太刀金具古墳時代環頭太刀金具古墳時代江戸時代から一気に時代を遡る。鐔ではないし、武士の時代とはかけ離れているのだが、古墳時代まで遡る龍の図柄の意匠を紹介する。直刀の柄頭に装着された飾りで、透かし鐔のように肉彫地透の手法で対龍が構成されている。これを龍と断じ得るか。後の装剣小道具にはこれに似た龍文が施されているものがままみられるので、龍で良いだろう。しかも龍の接している部分には珠が描かれており、龍神と珠の関係性が示されている。地は銅に金の色絵で、これを金銅と呼ぶ。龍図環頭太刀金具古墳時代Kantotachikanagu

  • 剣巻龍図二所物 柳川直光 Naomitsu Kozuka

    剣巻龍図二所物柳川直光剣巻龍図二所物柳川直光直光は町彫金工だが、正確な構図と精密で精巧な彫刻技術を持つ名人の一人。後藤の作風に倣い、後藤に負けない出来に仕上げている。注文があったのか、後藤に負けぬという気持ちで創作したものか。赤銅魚子地に金を打ち出して高彫した龍神を据紋している。刀剣類の更新の希望が多くありましたので、すこしずつですが出してゆきます。併せてごらんください。《刀剣鑑賞の基礎》https://blog.goo.ne.jp/nihontokansho剣巻龍図二所物柳川直光NaomitsuKozuka

  • 龍神図小柄 後藤 Goto Kozuka

    龍神図小柄後藤龍神図小柄後藤江戸時代中頃の後藤家の龍。誰とも極められないのだが、小柄の小さな画面に押し合うように彫り描かれている。このような構成も迫力があって好まれたようだが、それほど多くはない。後藤というと、中央に這龍か剣巻龍があって静かな存在感を示している構成が最も好まれていたようだ。龍神図小柄後藤GotoKozuka

  • 雨龍図小柄 後藤即乗 Sokujo Kozuka

    雨龍図小柄後藤即乗雨龍図小柄後藤即乗宗家八代即乗と極められた作。後藤らしからぬ作風。後藤というと、鱗がくっきりと立って鰭や手足の爪が鋭く宙を掻くような、そして大きく口を開いて、ちょっと下を出している姿格好を思い浮かべるが、このような龍もあるということ。刀剣類の更新の希望が多くありましたので、すこしずつですが出してゆきます。併せてごらんください。《刀剣鑑賞の基礎》https://blog.goo.ne.jp/nihontokansho雨龍図小柄後藤即乗SokujoKozuka

  • 霊獣図鐔 後藤 Goto Tsuba

    霊獣図鐔後藤霊獣図鐔後藤10年ちかく経ただろうか、ずいぶん前にこのブログで龍の図柄を採りあげたことがあった。以降、当時とは異なる龍図金具を扱っているので、もう一度興味深い作品を鑑賞してみようと思う。龍の図というと、獅子や虎と同様に後藤家の伝統的な図柄として有名で、その作風に倣った金工作品も多いのだが、一方で個性的な作風もあり、それはそれは楽しい。さて、これも楽しい作品である。全面に散らし配されているのは後藤の典型的彫口からなる動物群。引き締まった赤銅魚子地に、これも龍虎を中心に意匠している。後藤家は小柄笄目貫の三所物を専らとし、鐔を製作しなかったが、江戸時代に入ると、加賀後藤などが鐔を製作し始める。世の要求もあったのであろう。高彫の描法は伝統的。刀剣類の更新の希望が多くありましたので、すこしずつですが出してゆき...霊獣図鐔後藤GotoTsuba

  • 十二支図鐔 宗典 Souten Tsuba

    十二支図鐔宗典十二支図鐔宗典十二支が題材なのだが、主題はどうやら龍虎のようだ。その対峙する様子が鐔の表全面を使って描かれている。宗典は、美濃彫様式の秋草図などを描き、鉄地肉彫地透金銀素銅の象嵌で合戦図や中国の人物図を描くを得意としている。この鐔の描法はどちらとも異なるのだが、宗典には稀にある。ただし、図柄の構成は、鐔全面に主題を散し配し、山水図のように風景の一部としているところは中国の人物図に似ている。一柳友善でも龍虎図鐔を紹介したように、この図は迫力があって広く好まれたようだ。十二支図鐔宗典SoutenTsuba

  • 猛虎図小柄 赤文 Sekibun Kozuka

    猛虎図小柄赤文猛虎図小柄赤文竹林に潜む虎。激しく動いているあるいは何かに襲い掛かろうとしている躍動的な場面ではないのだが、背を低くしてじっと獲物の動きを見つめ、その瞬間を待っているような・・・。手の爪が地に食い込んでいるようなところに力が感じられる。目玉のみ金で、闇に光っているような、怖さが感じられる。刀剣類の更新の希望が多くありますので、そちらもすこしずつですが出してゆきます。併せてご覧ください。《刀剣鑑賞の基礎》https://blog.goo.ne.jp/nihontokansho猛虎図小柄赤文SekibunKozuka

  • 豊干禅師留守模様図鐔 勝珉 Shomin Tsuba

    豊干禅師留守模様図鐔勝珉豊干禅師留守模様図鐔勝珉寒山、拾得の両詩人と、虎を手なずけていた豊干禅師の四者が眠る図(四睡図)があり、これも禅画として好まれている。この鐔は、高彫の寒山拾得に対して片切彫のみによる虎の描写がすごい。太く細くと切り施した片切彫の線描写だけを見ると、赤文の片切彫ほど強くはないのだが、線に独特の表情がある。虎の顔つきがまたいい。豊干禅師留守模様図鐔勝珉ShominTsuba

  • 猛虎図小柄 常代 Tsuneyo Kozuka

    猛虎図小柄常代猛虎図小柄常代藪常代は長常の門人で紀州和歌山の名工。虎の描写や表情などに独創がみられる。「藪にらみ」の言葉そのまま図柄としたようだ。背後に気をくばりながら虎が睨んでいるのはこれを鑑賞する者であろうか、小柄の中からこちらを窺う視線のあり様が面白い。これも迫力ある作品である。猛虎図小柄常代TsuneyoKozuka

  • 親子虎図目貫 長常

    親子虎図目貫長常親子虎図目貫長常一宮長常の目貫。後藤を下地としていることは間違いないのだが、明らかに風合いが異なる。長常は町彫金工の中でも技術力が最上位に位置付けられる一人。図の採り方が後藤とは異なる。阿吽の相を示す図が多いのだが、この目貫は雌雄対峙としている。恐れて母にすり寄る子虎の様子もいい。親子図は、鶏を題にした作でもみられる。子を守る親の存在感が主題か。親子虎図目貫長常

  • 猛虎図小柄 吉岡因幡介 Yoshiokainabanosuke Kozuka

    猛虎図小柄吉岡因幡介猛虎図小柄吉岡因幡介これも虎の川を渡る様子を描いたもので、先に紹介した虎の子渡しに通じるものであろう。赤銅魚子地高彫色絵。先に紹介した吉岡因幡介の鐔の虎は後藤に倣った風情があるも、この虎はちょっと様子が異なる。小柄の画面をいっぱいに描いているところが大らか。誰が考案したのであろうか詳らかでないのだが、虎の毛模様は縞であるものの豹のような斑紋の虎が描かれることがある。豹も虎の種と勘違いしたものか。猛虎図小柄吉岡因幡介YoshiokainabanosukeKozuka

  • 竹林に猛虎図鐔 吉岡因幡介 Inabanosuke Tsuba

    竹林に猛虎図鐔吉岡因幡介竹林に猛虎図鐔吉岡因幡介吉岡因幡介家は徳川幕府に仕えた金工職。赤銅魚子地に高彫色絵を技法としており、正確な構成で精密な彫刻表現を専らとした。式正の拵に用いられるような家紋図金具を造るが、このような絵画的表現も間々見かける。しかも優れている。赤銅魚子地に澄明感があり、金による主題がくっきりと浮かび上がる。虎は高彫色絵象嵌。竹は金の平象嵌を施した後に魚子を打っている。それがゆえに竹の描写がシャープである。虎が活動を始める夕暮れ時、といった印象。竹林に猛虎図鐔吉岡因幡介InabanosukeTsuba

  • 竹林に猛虎図鐔 小田直教 Naonori Tsuba

    竹林に猛虎図鐔小田直教竹林に猛虎図鐔小田直教無銘だが薩摩金工小田直教と極められた鐔。鉄味がいい。鉄味がどうのこうのと言うのは判りにくいのだが、良く鍛えられているのであろうな、と感じる質感のことで、たくさんの作品を見ていないと判らない。図柄もいい。虎はふつう群をなさないのだが、一枚の鐔に三頭も描くと、縄張り争いの用にも見えて、それだけで迫力が増す。竹を噛む虎の図も好まれたようだ。竹という強靭な植物を噛み倒すところからのものであろうか。虎それぞれの表情も優れている。全体を鉄地高彫にし、目玉のみに金を入れている。暗闇に光る目玉。竹の背後には何も描かず、すうっと抜けるように感じられるのは闇であろうか。□竹林に猛虎図鐔小田直教NaonoriTsuba

  • 竹林に猛虎図鐔 薩摩 Satsuma Tsuba

    竹林に猛虎図鐔薩摩竹林に猛虎図鐔薩摩薩摩金工がこの図を得意としたことは先に紹介した。耳を竹で意匠し、これを踏み歩く猛虎の図であった。この鐔では湖水に竹林を背景とし、探るように竹を踏み歩く様子を描いている。精巧で精密な虎の姿ではないが迫りくるものがある。背をまるめて首を下にして鋭い目つき。獲物を狙う姿であろう。高彫、肉合彫、鋤彫、象嵌、様々な手法を用いている。薩摩の武士は、示現流という特殊な剣術を専らとしている。ごっつい刀を用いて一撃で断ち切る。そのため重い刀を扱えるように肉体改造行う。拵は簡素で、鐔は邪魔にならないよう刀身に比較して小振りなものを使う。それがためであろうか頗る人気が高い。竹林に猛虎図鐔薩摩SatsumaTsuba

  • 竹林に猛虎図鐔 常重 Tsuneshige Tsuba

    竹林に猛虎図鐔常重竹林に猛虎図鐔常重常重は江戸中期の奈良派の金工。これも安親を手本として背景を竹林に変えた作だが、虎の表情がいい。何とも愛らしい。虎というと猫のように表現された作が多いのだが、その中でも猫に近い。こんな猫が家の近くにいるなあと思わせるそこが面白い。真鍮地を活かした奈良派の特徴的な作風。石目地の中にすっきりと浮かび上がってくる竹や虎の表情がいい。優れた作品だと思う。竹林に猛虎図鐔常重TsuneshigeTsuba

  • 龍虎図鐔 友善 Tomoyoshi Tsuba

    龍虎図鐔友善龍虎図鐔友善水戸金工を代表する友善は龍神図で名高い。ここでは両者を鮮明に描き出して龍虎対峙の緊張感あふれる場面としている。虎の表情が、龍神との対比としてみてもひときわ厳しい。友善らしいといえばその通りだ。鐔の裏面に描かれている虎の尻や背中の様子を眺めているが、これも力があっていい。表の虎の鋭い目つきの連続と考えると、確かに友善らしい迫力がある。龍虎図鐔友善TomoyoshiTsuba

  • 猛虎図鐔 玉川美清 Yoshikiyo Tsuba

    猛虎図鐔玉川美清猛虎図鐔玉川美清これも絵画的だ。岩穴から出てきた虎は、自らを照らしている月に気付いて吠えかかる。櫃穴を洞穴に見立てる描法はままあるが、この鐔では、洞穴から這い出てくる様子を描いている。裏面の描写が、虎の尻の表情がいい。安親と比べる意味はないのだが、作者は、想いを新たな創造という方向で作品に挑んでいるのであろう。猛虎図鐔玉川美清YoshikiyoTsuba

  • 猛虎図鐔 宗政

    猛虎図鐔宗政猛虎図鐔宗政宗政の特徴は、ねっとりとした鉄の質感。黒く硬く艶のある鉄の質感を活かしているところにある。それが虎の描写にも現れている。全体の構成は安親に倣っているのだが、岩場をよじ登ろうとしている虎の姿が、表の印象と裏とではちょっと違う。きっとこのような様子だろうと考えたのだろうが、なんとも愛らしい。対して顔つきは凄い。鋭い爪の描写は安親にない。岩場の様子、木々、月を隠している雲の流れなども独特の情感を生み出しているようだ。虎の顔つきも厳しくていいが、鉄の質感があっての作品と言えるだろう。宗政は藤堂家の抱工。猛虎図鐔宗政

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