『史記』横山光輝 ⑦ 再読 第3話「刺客荊軻」
秦の侵攻の前に諸国は国の存亡をかけて青息吐息であった。 燕もその一つで太子丹を人質に差し出し服従の意を示そうとした。 太子・丹は趙の人質になった時には秦王政と仲良く遊んだという思い出があった。 きっと秦王は自分を幼馴染として大切にしてくれるだろうと丹は信頼しきっていたのだった。 ところが秦王に謁見した丹が「それにしても政殿も立派な王になられうれしく思います」と声をかけると返ってきた言葉は「控えよ丹」という激しい叱責だった。 「私は今は天下の王なるぞ。なれなれしく口をきくでない。退れ」 丹はひれ伏すしかなかった。 丹は一国の人質として冷遇された少年時代に友であっただけに余計屈辱感に取りつかれどう…
2024/09/30 07:00