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  • 『三国志』再び 横山光輝 三十八巻

    張飛を見るだけで嬉しい。 ネタバレしますのでご注意を。 建安二十三年正月。三人の男が国賊曹操討伐の火の手をあげる準備を整え後は決行するのみとなっていた。 王必は酒宴を開いていた。 そこに火の手が上がる。王必の首を求める者たちの声が聞こえ、王必は死んだふりをして逃れ曹休に謀叛を知らせる。 曹休はすぐさま兵を率いて宮中へと駆けた。そして都が赤く燃えているのを見た夏侯惇(その時野営をしていた)も駆け付けたのだった。 三人の計画は帝を動かし「曹操を討て」とのお言葉を賜り近衛兵と共に都に立てこもって玄徳の助けを借りようというものだった。 が、曹休・夏侯惇が続けざまに駆け付けたことで帝は声明を出せず近衛兵…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三十七巻

    孫権なんだよなあ。前にも書いたかも。どうしてもぴんと来ない。 ネタバレしますのでご注意を。 曹操が漢中を平定し蜀の大きな脅威となった。 玄徳が蜀を治めてまだ日が浅い。 曹操が蜀に攻めて来る不安は大いにあった。 ここでも孔明が玄徳に注進した。 重要な大役を自ら担ったのが伊籍だった。 こうして蜀は自ら動くことなく荊州の三郡を返すことで呉の十万の兵を動かしたのである。 まずは合肥城の食糧を補給している睆城を攻めついで合肥を攻める手はずだったが懸命の防戦に呉軍は手こずる。 呂蒙は夜明けとともに四方から総攻撃をかけるという作戦を申し出た。 翌朝太鼓の合図と共に呉軍は総攻撃に出た。 落石・矢を雨あられと放…

  • 『三国志』再び 横山光輝 三十六巻

    『三国志』再び前回三十五巻ついに「三国」となったところで中断していました。 続きを再開します。 久しぶりに関羽を見て泣きそう。 ネタバレしますのでご注意を。 久しぶりに『三国志』世界に戻ってなにもかも懐かしく嬉しい。 横山『三国志』世界はきっと存在する。 やはりやはり横山光輝の『三国志』はすばらしいのである。 そして私はどうしても関羽びいきなので呉が憎い。 国の環境としては呉が一番良さそうには思えるけども。 そして相変わらずのんびりした玄徳くん。孔明を得てすっかり満足しきってる感じするねえ。 それにしても孔明の兄諸葛瑾が呉にいることが公然と許されているのはなかなか凄い雨ことではなかろうか。勿論…

  • 『兵馬地獄旅』横山光輝 再読

    白土三平『忍者武芸帳 影丸伝』と同じ時代の物語ですがベクトルはまったく違います。『忍者武芸帳影丸伝』がは時代の世界を描いたものであり『兵馬地獄旅』は個人にのみ焦点を置かれています。 と同時に白土三平的な要素がかなり感じられてしまいます。 だけど横山光輝にかかるとまったく違うものになってしまうのです。 比較してみると、白土マンガは非常に情動的なのに横山マンガは淡白なのですね。しかしそこが良いのです。 両者ともハードボイルドタッチなのに白土氏は熱いハードボイルドであり横山氏は冷たいハードボイルドというべきなのでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 白土作品と比較するための本作再読なのでもう少し…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その9 完了

    ネタバレしますのでご注意を。 天正年間、明智十人衆は滅び、影一族も壊滅した。 仇討を果たした(と信じている)林崎甚助には弟子になりたいという男たちが後を追ってきた。 これを断った甚助の思いは小萩に飛んでいた。甚助は世話になった北畠の屋敷に戻ったのだ。 しかし屋敷は荒れ果てていた。 甚助はおばば様に出会いその隠れ家へと誘われた。 そこには具教と小萩の遺体が安置されていたのだ。 甚助にはもう何も心を寄せるものが無くなってしまった。仇も恋も。 再び甚助の弟子になりたいという男たちが現れる。 甚助は「行こう」と呼びかけた。生きるのさ、これにな。 ここに抜刀術の祖として林崎甚助の第二の人生が発したのだ。…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その8

    さてかまいたちに胸を切り裂かれおばばさまからもらったキノコの菌体から発見された物質による薬用療法を経て林崎甚助は肺病が完全治癒してしまった。 甚助は咳も出ず胸いっぱいに空気を吸ったのだった。そして北畠具教の娘・小萩と仲良くなっていく。病が治り甚助は仕官して普通に生きていきたいというこれまでとは違う意識が芽生えていた。 北畠は京に坂上主膳がいることを教え甚助に向かうことを勧めた。早く娘と甚助が幸福になれることを願っていたのだ。 北畠具教は娘と甚助を別々に送り出した。その後彼は彼の弟子たちに命を狙われる。彼らはもともと刺客として送り込まれていたのだ。 が、腕はまだ北畠の方が上だった。弟子たちを一掃…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その7

    ネタバレしますのでご注意を。 さて覚悟をせねばならない。 かつて読んだ時どれほどショックだったか。あまりにも酷い。 織田信長軍は長島一揆に苦しむ。 そして四度目で最後の決戦。 一揆軍のゲリラ戦は各所において幾度も信長軍を危機に陥れる。 が、信長水軍は長島城と外部の通路を遮断しゲリラ戦が活動しやすい森林地帯を焼き払った。 戦況は次第に一揆軍にとって不利となっていく。 逃れた一揆軍は妻子を連れて長島城へたてこもった。 だが信長軍はこれを攻めず遠巻きに包囲。二か月後城内の兵糧はことごとく食い尽くされ餓死者が続いた。 ついに長島一揆軍は降伏を決意。 かくて夕刊成る長島一揆もここに終わり二万の老若男女は…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その6

    五巻はまるまる「影一族」について語る一巻となっています。 最初読んだ時は気の毒な人々、という感じがしたのですがよく考えてみたらこれはアベンジャーズというのか昨今の少年マンガいやもろもろのコンテンツの大元、というか大元は『ホラ男爵の冒険』なんだろうけど様々な能力を持つキャラが集まって大活躍する作品となっているのだと気づきました。 これをもとに「少年マンガの基本となっているといわれる横山光輝『伊賀の影丸』」が描かれたと言えそうですが、読めば『伊賀の影丸』の方がよりリアル路線で白土三平の方が奇抜なのがわかります。 ネタバレしますのでご注意を。 「しびれ」 人に才能を認められぬことも惨めだが、己が自身…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その5

    カッコいい絵だなあ。 ネタバレしますのでご注意を。 謎の僧侶はやはり無風道人だった。 無風は飢えた百姓たちに金を渡していった。 そして林崎甚助に出会う。甚助から仇討ちの旅をしていると聞き「そういうことはやめにすることですな」と答える。怒る甚助に「じゃが仇討ちなんてこの世で一番くだらんことじゃよ」と重ねて言った。 ひとしきり話した後無風は鞭打たれる百姓たちを指さす。「どう見るね」 「無意味な反抗をするからあのようなことになるのだ」 甚助は武士と百姓は違うもので人には天から与えられたさだめというものがあるはず、と答える。 目の前で次々と殺されていく百姓たち。「ひとりでもすくいたいとは思わんかね」 …

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その4

    「ちゃん」付けがかわいいの。 ネタバレしますのでご注意を。 「化性」 足に銃弾を受け倒れた重太郎を担いで運んだ明美は傷口を切開し溜まった膿を吸い出した。 そこへ現れたのが鬼吉と太郎だった。太郎は重太郎を見て「おとう!おいらを助けてくれたあんちゃんだ」と叫ぶ。 鬼吉はその足を見て「ガス壊疽を起こしてしまっている。足を切り取らねば」と言う。驚く明美に「足を切らずにやる方法は石の塩をたくさん必要とする」と四里半先の山を指さした。 明美は鬼吉から登山用ロープを受け取ると一目散に駆けていく。 鬼吉は重太郎の脚をさらに切開した。ほとんどくさって酷い臭いがする。太郎に炭を作らせる。ガスがもっとふえ中に入って…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その3

    馬借というのを知る。 ネタバレしますのでご注意を。 無風道人さえも会うのを躊躇う人物がいた。その名は上泉信綱。高弟の疋田文五郎を共にして柳生道場に到着した。 そこにいたのは柳生宗厳が抱えて帰った重太郎である。 重太郎がかつて水を飲ませた礼に与えられた疾風の剣を見て上泉は問う。そしてあの落ち武者が上泉の子であったと伝えられた。 上泉信綱は重太郎の腕を見込んで神陰流猿飛の部を授けた。そして無風道人が上泉と同門であったこと、無風の弟子が影丸であることを知らされる。 そして上泉は無風を邪法と言い「剣は敵を斬るものではなく己の心の非を斬るためにある」と語る。 しかし重太郎が仇討を志しているのを知り上泉は…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その2

    この「蛍火」キャラ、白土マンガによく出てくる気がするけど印象強いです。 なぜ主膳の妹なのに忍者なのでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 永禄年間の大飢饉に加え最上伏影の領内において年貢の取り立てはさらに厳しくなりついに土一揆が勃興する。 明美と仲良くなり吹毛剣を編み出した重太郎に百舌兵衛からの手紙を届けてくれた子供がいた。子供は手紙を重太郎に渡すと力尽きて死んでしまった。 百舌兵衛の危機を知った重太郎は最上へ戻ることを決意しとめる無風道人と明美を残しひとり故郷へと向かった。 百舌兵衛はやはり殺されており重太郎はさらなる仇討ちを誓う。 その日から伏影城の周辺に辻斬りが現れる。辻斬りに問われ…

  • 『忍者武芸帳 影丸伝』白土三平 その1

    思い返すと高校生の頃最も夢中になって読んだマンガはこれなんじゃないかと。 立ち読みするためにかなり距離のある本屋に通い詰めてました。 とはいえどれほど読んだのか記憶も薄れており今回新たな気持ちで読んでいきます。 ネタバレしますのでご注意を。 時代は永禄(1558~1570) 最上平野に野分が荒れめぐる季節。一人の老人が思いつめた表情で歩き城主の後継者であり地下牢に閉じ込められていた若を救う場面から始まる。 若と呼ばれたのは結城重太郎。爺と呼ばれたのはその家臣である百舌兵衛。 重太郎は長い土牢生活で足が動けなくなっていたのを爺は背負ってその場を離れた。 永禄三年、伏影城城主・結城隼人光春は家老坂…

  • 『死神主水』横山光輝

    なかなか読むことができなかったこの短編。やっと購入できました。 ネタバレしますのでご注意を。 『闇の土鬼』より1年前1972年短編作品。 土鬼の真逆のような男というべきか女を抱いてはいても誰も愛さず愛されもしない人を斬ることだけに喜びを感じている狂気が描かれる。 が、ここでも「普通のマンガとは違うなあ」と思うのは「女を殺さない」ことなのだ。 殺人が描かれるマンガ作品という枠内でだが、横山マンガでも女性が殺されるのは幾つもあるだろうけど他マンガ家作品に比べれば極端に少ないのではないだろうか。 江戸時代舞台。主人公は「死神主水」とあだ名される不気味な浪人。 とある藩の二番家老は一番家老を殺して実権…

  • 『闇の土鬼』横山光輝 再読 その4 完結

    『闇の土鬼』とはいったい何なのだろうか。 ネタバレしますのでご注意を。 雪山で柳生十兵衛と対決することになるも触れ合う前に十兵衛自身が土鬼との戦いを想像し勝負の難しさを予感して取り止めてしまう。 十兵衛は策略を講じて血風党四天王のひとり鉄牛の一派を潰したものの鉄牛との戦いは土鬼によって成される。土鬼は無明斎に言われた通り四天王を倒していく。 四天王最後のひとり才蔵との戦いも土鬼は十兵衛からもぎ取るようにして打倒してしまった。 十兵衛は土鬼の敵ではない。 無明斎と血風党を倒すという同じ目的を持った者同士ではあるが馴れ合うことなく進み続けてきた。 エッチすぎるぞ十兵衛。 十兵衛の周りのモヤモヤは何…

  • 『闇の土鬼』横山光輝 再読 その3

    なんだろうこの土鬼のリアルなかっこよさ。 ちょっととんでもない領域。 ネタバレしますのでご注意を。 土鬼は生きていた。 が、見回り役人の到来でまたも危機に陥るが和尚の機転で再び土中に埋められ逃れることができた。 一方霧兵衛は味方によって火鬼水鬼を失い自分自身も殺されるかの危険を脱した。 土鬼は悪夢にうなされそのまま和尚の寺から夢遊病のように迷い出てしまう。 力なく彷徨う状態を小役人に見とがめられるが無意識のまま逃げおおせる。 そしてまたも霧兵衛に救われたのだった。 回復した土鬼は霧兵衛に自分は無明斎を追う、と伝える。 土鬼と霧兵衛の関係が好きだ。対等のようでいてどこか霧兵衛のほうが慕っているの…

  • 『闇の土鬼』横山光輝 再読 その2

    横山先生は何故土鬼に七節棍を用いさせたのでしょうか。気になります。 ネタバレしますのでご注意を。 絵馬を飾ることで血風党を呼び出した土鬼だったが四人を相手にすることになってしまう。それでもふたりを倒すがあと二人、となったところで大勢の侍姿に囲まれた一人の老人が現れる。 その男こそが血風党の長・無明斎だった。 編み笠をかぶった侍たちが大勢いるのがおかしくて。 横山マンガはロボットがずらりと並ぶという演出もありその侍版なのだけど大勢で動くのって奇妙な笑いが生まれるのだ。 そしてここで土鬼は霧兵衛に助けられる。 いったい彼は何者なのか。しかし「ともかく梅庵先生のところへつれていこう」という言葉を残し…

  • 『闇の土鬼』横山光輝 再読 その1

    『闇の土鬼』を読める幸せ。 ネタバレしますのでご注意を。 『暗殺道場』でも書いたのだけど横山光輝が生みだした氏独自のマンガの魅力というのは文章で説明できるものではない。 読んで味わって初めて体感できるものなのだ。 横山光輝忍者マンガが白土三平忍者マンガから影響を受けてはいるのだろうけど(土鬼のビジュアルもカムイの影響は否めない)マンガのスタイルや演出は横山光輝独自のものだ。 作品からにじみ出てくるカッコよさとおかしさ、男らしさと人間味は比類なきものだ。 しかも横山氏が作り出したスタイルは少年マンガのフォーマットとして今も受け継がれている。 なのにこちらの方はあまり認知されていないように思えてな…

  • 『暗殺道場』横山光輝

    『闇の土鬼』を読む前の予行練習です。 ネタバレしますのでご注意を。(『闇の土鬼』についてもネタバレあり) 本作『暗殺道場』(1969年)は後に描かれた『闇の土鬼』(1973年から)のモチーフになった、と記されている。 『闇の土鬼』は読了しているが再読のためまず本作を読んでいく。 表紙からしてはっとしてしまうのは同じ容貌なのに主人公が片目ではないことだ。 そして同じ容貌と書いたけど土鬼よりも明るく可愛らしい表情をしている。逆に言えば土鬼になると陰りのある寂しげな主人公になっているといえる。 ここで話しておくと『闇の土鬼』そして本作を読み始めたのも白土三平忍者作品と横山忍者作品との違いを感じたかっ…

  • 『時の行者』横山光輝 再読 その4

    最終巻になってしまいました。 時の行者による歴史解説をもっと見ていきたいです。 今現在の解説もしてほしい。 ネタバレしますのでご注意を。 「吉宗と宗春」 倹約家の吉宗に反対していたのが徳川御三家のひとつ尾張の徳川宗春であった。 祭礼を派手にし芝居小屋や遊び場所を許した。 そのため火の消えたような日本で名古屋だけが異様な賑わいを見せたのである。各地から商人が集まり町に活気がみなぎったのだ。 この様子を苦々しく思ったのが吉宗だった。 このまま宗春の行状が続き名古屋が発展していけば吉宗の方が間違っていたことになるのだ。 そしてこの対立に忍者たちの命を懸けた活躍が必要となっていくのである。 ここにくノ…

  • 『時の行者』横山光輝 再読 その3

    ネタバレしますのでご注意を。 「生類憐れみの令」 かつては最も愚かな法令という嘲笑の的として描かれてきた。横山氏の手による本作もその例に倣っているが今現在の作家であればもう少し違った切り口になるのではないだろうか。 蚊はさすがに別としても犬猫は現代人にとって非常に大切な友人であり家族でもある。現代人なら徳川綱吉に賛同してしまう人も多いだろう。 犬公方の呼び名は今だったら誉め言葉にしか思えない。 しかも「生類憐れみの令」は動物だけでなく人間の中の弱者(年寄子供病人といった)に対する憐れみの令でもあったという。 この作品を読んでもう一度「生類憐れみの令」について考えるのもいいかもしれない。 狂犬病…

  • 『時の行者』横山光輝 再読 その2

    3巻に入ります。 ネタバレしますのでご注意を。 薔薇柄のおふとん。横山マンガの人物は男も綺麗に寝てるのがデフォルト。 このキャラで言う言葉ではないかもしれないがこの時期の横山光輝キャラ造形がたまらなく好きになってしまってこれなしには生きていけない気がする。 なんなんだろう、この魅力は。 などと書いてる場合ではない。この佐倉藩江戸屋敷に暮らしている堀田正信は悪霊にとりつかれ苦しんでいた。 父である前領主は徳川家光に寵愛され佐倉藩の初代領主となったがその息子・堀田正信は幕府から目をかけられることがなかった。その焦りから軍備を整えることに注目し年貢を重くしたため餓死者が続出したのだ。 その重い年貢に…

  • 『時の行者』横山光輝 再読 その1

    横山光輝に戻ってまいりました。 その第一回目が『時の行者』なのはなんとなくこれも『カムイ外伝』とのつながりを感じたからです。 常人とは違う高い能力を持つ人物が人々を見つめる、という点においてですね。 ネタバレしますのでご注意を。 と言っても市井の人々を見る白土氏と違い歴史的トピックを追いかけていく横山マンガという違いがある。 第一話目が織田信長と豊臣秀吉という華やかさだ。 この歴史上有名人物に狂言回し的主人公「時の行者」を遭遇させ会話をさせ行動を見ていく、という手法は誰が始めたのだろうか。 歴史学習にもってこいの手法であり教育テレビでやりそうな演出だけど横山光輝氏の手にかかるとこれがめちゃくち…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/伊児奈/上意異変/吸血

    ついに『カムイ外伝』最終回となりました。 ネタバレしますのでご注意を。 「伊児奈」 イコナ。 ここでもカムイは偶然母子が心中しようとする場面に出会ってしまい咄嗟に救け金を渡して去っていく。 『カムイ外伝』一部でのカムイは「疑心暗鬼」がタイトルになるほど他人を信じることができず出会う人間が絶えず追手ではないかと怯え緊張し殺気を発していたが第二部の後に行くほど彼は出会う人間を救けていく。 前回の稲葉屋編などは出会った人間しかもカムイを襲って来た人間こそを救け善人へと導く。その姿はここで形容された「風」というより「神」に近い。仏のようとも天使ともいえる。 がそれでもカムイは去ってしまう。 カムイが去…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/仕掛け崩れ/飛天の酉蔵

    これは一気に書かねばならない。 ネタバレしますのでご注意を。 「仕掛け崩れ」 前回でカムイに負けてしまった橘左近はチンピラから前金の二十五両を盗まれてしまう。 しかしこれもカムイが奪い返してしまうのだ。 韋駄天と自負する吉次は追いかけてきたカムイをまいてやれと逃げ出したがどこへ行ってもカムイの方はすぐそばに立っている。 完敗した吉次は金を渡しカムイの手下になると言い出す。 カムイはすっかり口入屋の若頭に収まり部下を引き連れて歩く身分となっていた。吉次をその配下においたのだ。 白土氏はリアルなタッチで描写していくが若頭になったカムイが忍びの時のままのポニーテールなのはあり得ないんだろうけどこれは…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/遠州/言霊

    実はこの巻だけ買っていないのに気づかないままだったと慌てて購入しました。 そのせいもあるのかちょっと不思議な印象を受けました。 ネタバレしますのでご注意を。 ここまで老人がもしくは子供がカムイに好意を持ち父子のような関係性が築かれる話はあったけど同じ年齢ほどの男との友情を感じさせる出会いは初めてなのいではないだろうか。 むろんこの時点ではあまりに好意的で「追忍では」とこちらが身構えてしまうけど。 カムイはウツセに対しても仲間になろう、という気持ちを見せたのにもかかわらず拒まれてしまった。 今回は逆。 カムイから助けられたとかいうのでもなく「一緒に組まないか」と言ってにっこり笑う。カムイよりも背…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/掛け捕り/妖怪/黒

    今回の『カムイ外伝』読書は横山光輝氏の作品を読むなかで白土三平氏からの影響を感じて再読しているのですがそもそも両者は同時期の作家であり(白土氏が2歳年上)逆に白土氏が横山氏の影響を受けたことはないのかな、とも考えました。 ふたりのプロフィールを比べると作家活動開始時期は逆に横山氏の方が先である。白土氏は紙芝居製作や劇団の背景などの仕事を経て漫画家になっているので漫画家としてはむしろ横山氏の方が先輩でもあるのだ、となれば白土氏が横山氏の影響を受けていることもあるのかもしれません。 ネタバレしますのでご注意を。 「掛け捕り」 年老いた川漁師の物語だ。が、心臓の発作も時々起こり以前のように思うように…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/盗人宿

    これが本当にほんとうの『カムイ外伝』で一番心に残った作品です。 いやほんとうにい。 ネタバレしまうのでご注意を。 カムイを詰めた追忍は熊の三本指によって逆襲されカムイに仕留められる。 三本指もまた追忍に瀕死の状態にされカムイも頽れた。 だが雪の中三本指は再び立ち上がってカムイを探しその体を抱きしめたのだった。 再びカムイが目を覚ました時彼は竜神の安兵衛とその仲間たちによって介抱されていたと知る。 そして安兵衛から「クマが子供を抱くようにあなたを抱えておりました」と聞き泣き崩れた。三本指は体を爆破されながら自分を守ってくれたのだ。しかもそれはもしかしたらカムイの忍術・獣遁による死だったかもしれな…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/心旅/乱心法獣遁

    この表紙は非常にカムイらしくていいなあ。 脚の描き方よ。 ネタバレしますのでご注意を。 「心旅」 ご禁制の品を秘して運ぶ裏街道があった。 普通の旅人が通ることのない山道には飢えた狼が現れる。 その狼たちの怒りを鎮めるために生贄となる者が必要だった。 旅を続けるカムイは人前で半裸になって見世物になっている少女が男たちに襲われるのを助ける。 何故と問うカムイに少女は「自分が誰かわからない。それを探している」という。自分でつけた名前は「アキ」だという。 自分の明日を得る為に昔をたずねる心旅か、とカムイは考える。いわゆる自分探しの旅なのだろう。 カムイはアキの目印になるものを凧に描いてあげれば誰かの目…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/剣風

    印象的なこの場面がいつまでも残る。 ネタバレしますのでご注意を。 「草薙」 前回の戦い後カムイは舞様に再会するが一方のウツセは小平太という男児と出会う。 この小平太の物語というか小平太の仕草が忘れられないものだった。 という台詞は本作について何度も書いている気がするが。 小平太は家を出た父を探して旅をしていた。 生まれてすぐ父と別れたため顔も覚えてはいない。 母はせめて父の太刀筋をと教え一年前に死んでしまったのだ。小平太は父ではないかと思う武士に出会うと母から教わった太刀筋を再現して問いかけるのだった。 ウツセはカムイに勝ったと自負しながらもとどめをさせなかった己に思い悩む。 ともに落ちればカ…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/変身の色

    『カムイ外伝』の面白さはここから先にあるのではないでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 この『カムイ外伝』記録は横山光輝『バビル2世』および『その名は101』を読んでいるとどうしても『カムイ外伝』が下敷きになっている気がして本作を読まずにおれなくなったことから始まった。 なのでどうしても比較批判をしたくなる。 確かに『カムイ外伝』第一部は戦闘アクションが主体でよく似ていると言えるが『カムイ外伝』の面白さは第二部から社会の中で働きながら旅をしていくカムイの姿にある。 『101』は『バビル2世』と同じようにアクションを続けていく物語なので意外性が足りなかったのではと思う。 『101』で浩一が…

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