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  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/黒塚の風

    『カムイ外伝』一筋縄ではいかない。 様々に心に残る物語が綴られるがこの「黒塚の風」が一番と言われる方も多いはず。 その良さが簡単には表せないがなんとか記してみよう。 ネタバレしますのでご注意を。 本編の主人公は上の画像手前に映る綺麗とはお世辞にもいえない中年の醜女である。 名を「黒塚のお蝶」という。 カムイは言わば狂言回しの役目といったところだろうか。 とはいえこれがもしお蝶だけの物語であればあまりにも教訓めいてしまうだろうものをカムイの存在と物語によってより味わい深いものになっているのだろう。 まずは冒頭お蝶という醜い中年女の底意地の悪いという言葉では生ぬるい悪辣な行動と心情が描かれる。 人…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/スガルの島

    2009年崔洋一監督、松山ケンイチ主演で『カムイ外伝』として映画化された本筋はこのスガル編からきているのもあり翻訳化された単行本もこの編であるので『カムイ外伝』で最も有名なパートかもしれません。 確かに非人として生まれ忍者の修行をして抜け忍となったカムイがもうひとりの女抜け忍と出会い人間社会で生活する道を見る重要なエピソードなのです。 ネタバレしますのでご注意を。 第二部に入った時点で書くべきだったのに忘れていた。 『カムイ外伝』第二部から描写がいわゆるマンガ調から劇画へと変化している。実を言えば私はマンガ調の絵の方が好きなのではあるけれど『カムイ外伝』第一部が抜け忍としてのアクションが主体だ…

  • 『カムイ外伝』白土三平 第二部/七ッ桶の岩/はんざき

    さてここからなんだかよくわからなくなってしまうのだけど手持ちのマンガ単行本では「スガルの島」が順番できてしまう。だけどwikiを見れば発表順は「はんざき」のほうが先なのでこちらに準拠します。 それから何故かこの表紙の文庫本にはカムイが登場しない「七ッ桶の岩」が収録されているのですがこれが物凄い名作なのでとてもスルー出来ない。 なので正確には『カムイ外伝』ではないのかもしれないが(とはいえ『カムイ伝』の登場人物ではあるからして)ここで感想も書いてみます。 ネタバレしますのでご注意を。 ということで先に収録されている 「七ッ桶の岩」(女星シリーズ) 日置藩の元次席家老の嫡子たる草加竜之進は今はお尋…

  • 『カムイ外伝』白土三平 その4

    ずっと横山光輝氏の描く馬を見てきたので白土三平馬はまた独特。 ネタバレしますのでご注意を。 第十三話 天人 /第十四話 移し身 この二話は続けて書こう。 カムイの乱心法獣遁の術によって馬ごと崖から落ちた天人だったが、手下たちは脈を診て介抱した。 天人は奇跡的に起き上がりカムイとコノマの行方を問いただす。 カムイが下忍コノマを抜けさせるために天人を殺して彼に化けコノマは死体に化けた後カムイに化けて追っ手から逃れようとする。(ややこしや) がここでかつてのカムイのように疑心暗鬼となって無為な殺人を繰り返してしまう。 天人に化けたカムイはカムイ自身に化けたコノマの顔に鬼相が現れてるのを見た。 カムイ…

  • 『カムイ外伝』白土三平 その3

    白土三平描く表紙、良い。 ネタバレしますのでご注意を。 第九話 暗鬼 この暗鬼は「疑心暗鬼」のこと。 常に命を狙われているカムイには心休まる時はない。絶えず追手の気配を感じていた。 出会う者は子供でも武士ならなおさら女も百姓も油断はならなかった。 雨で川が増水し足止めとなりカムイはやむなく一つ屋根の下で旅人たちと一夜を過ごす。渡された食事には毒が盛られ口をつけたカラスが死んだ。 そのカラスは死に場所を探して旅する侍の連れだった。 皆が眠りこんでいる夜中、カムイにまとわりついてきた男児がおしっこをしようと川に浮かぶ丸太に乗ったところバランスを失って落ちてしまう。男児は必至にカムイを呼ぶ。カムイは…

  • 『カムイ外伝』白土三平 その2

    現在のマンガは「仲良しわちゃわちゃ」が好まれる傾向にあると思われます。 でもそれは実際の人々が繋がれずにいる孤独な心情を抱えているから生まれたものだと考えられそうです。 『カムイ外伝』の主人公カムイは孤独に戦い続けることで生き延びていきます。現在の人の目で見るとそれはあまりにも自分すぎると感じてしまいそうです。 カムイが鳥や犬などを可愛がるのも現代人と酷似します。 ネタバレしますのでご注意を。 第六話 木耳 冒頭、崖から飛び出した木の枝にびっしりついた木耳を欲しがり足を滑らせ落ちてしまう老いた坊さんが登場。心配した愛らしい孫娘が駆け付ける。どこへ通りかかったカムイは「あんたには無理だよ」と笑っ…

  • 『カムイ外伝』白土三平 その1

    この文庫本表紙は白土三平氏の筆による。 今日から白土三平『カムイ外伝』感想文を書き始めます。 何故外伝から書き始めるのかというととにかく『カムイ外伝』が大好きだからです。最初はアニメでその存在を知り最高にかっこいいと感じ今に至ります。 白土三平を語るとか恐ろしいような敷居が高いような気もしてしまうのですが、別に何の背景知識もなくただただ「かっこいいなあ」というだけの文章を思うままに書いていくだけです。 私が持っている本は文庫本やら単行本やらデジタルやらまちまちですがそれで通していきます。 ネタバレしますのでご注意を。 第一話 雀落とし(1965年4月16日) 白土三平の絵の上手さを書いていたら…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その12 最終回

    最終回のつもりで書きます。 第三部で終わったはずの『バビル2世』が再び戦いの世界に突入します。 テレビアニメ放送の都合で急遽連載再延長という次第だったらしい。 一巻だけで終わる第四部です。 ネタバレしますのでご注意を。 横山氏がインタビューで答えられているように急遽作られた駆け足の感があるかもしれない。特に練られた第三部と比較すれば先生としては納得できなかったのかもしれない。それでも面白いと思うけど。 とはいえ第三部の末でバビル2世がバベルの塔を去っていき搭だけが砂の中に、という悲しみを味わった後に再び局長と仕事しているのは良いとしてもバベルの塔に戻っていくのはいくらコンピューターでもお互い気…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その11

    画像は11巻を出しているが話は9巻まで戻って語ります。 ネタバレしますのでご注意を。 再び9巻「F市のなぞ」から始める。 九死に一生を経て日本へ来たバビル2世は保安局局長に会い「F市で電信電話が何日も途絶えてままだ」という情報を得る。 局長はF市へ向かう腕利き調査員伊賀野氏にバビル2世を同行させた。 最初は「こどものおもり」と軽んじていた伊賀野氏も次第にバビル2世の能力の高さを見ていくこととなり敬意を持つようになっていく。 ほんとこの伊賀野氏✖バビル2世コンビが楽しくて別バージョンで創作してほしいくらいだったのだけど後に書かれた『101』にも登場しないのを思えばやはり横山氏はそういう考えはなか…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その10

    ちょっと自分が書き散らしている「ハードボイルド」という今や死語に近い言葉の説明が足りなかった気がして今回は(というか今回も)その説明に重点を置いてみたいと思います。 ネタバレしますのでご注意を。 前回『バビル2世』は8巻で終わってしまったのではないかという文章を書いてしまったけどやはりそうではないと撤回したい。 読み進めていくうちに一度温かい人の情に触れたバビル2世が結局はその人たちの中に交わることもなくただ一人で去っていくしかないのだ。 今現在コンテンツで描かれる「ヒーロー」は集団のひとりであることがほとんどだと思う。 誰とのかかわりもなくひとりきりで戦っている、というスタイルは今の人の好み…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その9

    張り詰めたテンションを保持していた8巻そして9巻の冒頭からの展開をどう考えるのか。 ネタバレしますのでご注意を。 繰り返すが8巻までの張り詰めた攻防、バビル2世とヨミの丁々発止の戦いから9巻冒頭のバビル2世は死んでしまうのか、という緊張感と不安からの「F市のなぞ」 国家保安局を訪れたバビル2世は何事もなかったかのような様子だ。 リアルタイムで読んでいた読者はどう思ったんだろう。 「背中に無数の破片が突き刺さり倒れたバビル2世」を見てすぐ後に「もうげんきになりました」は余計な想像をさせてしまう。「本当のバビル2世なのか」「なにかしらの特殊な手術がされたのか」 しかし何事もなく物語は進み結局「気を…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その8

    いろいろと細かい解析(あってるかどうかは別として)を続けてきたけど横山作品の面白さは読者はそんな分析を瞬時に読み取ってしまっているということ。その面白さがわからない人にはわからないしわかった人は解説などいらない。読みながらそうした作品に含まれている奥の深さを感じ取ってしまっていることなのだ。 それをなんとか自分なりに言語化できないかと足掻いてみます。(あっているかどうかは別としてあくまでも) ネタバレしますのでご注意を。 今更ながら横山光輝メカデザインの凄さと同時に得も言われぬユーモアにくすぐられる。 wwwww もうマイクの持ち方からして笑ってしまう。そしてなぜマイク? ここ読んでヨミ様のフ…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その7

    さて第3部「宇宙ビールス」編に突入しました。 この編を読みながらまた諸々考えていきましょう。 今回は『バビル2世』はハードボイルドの頂点という視点を書いてみます。 ネタバレしますのでご注意を。 『バビル2世』を読んでいると今現在のマンガ作品とはかなり異質であると感じるのだけどそれは時代の違いではなくやはり横山光輝氏の特色だと思う。 かつてハードボイルドという文芸用語があった。生々しい現実に対面する主人公(男性が多い)が感情を表現せず行動していく姿を簡潔に示していく小説でありそれがそのまま映画にもなり一時期のブームを作った。 だがそんな表現もいつしか緩みだしハードボイルドという言葉がカッコつけた…

  • 6月18日は横山光輝先生のお誕生日ということで

    今記事を確かめたところ、去年の6月17日の記事だったので今日中に書いてしまいます。 何のことかというと去年の6月17日初めて「横山光輝」氏についての記事を書きました。(たぶん) それが下の記事です。 gaerial.hatenablog.com そうです。ちょうど一年前6月17日突然横山光輝作品を読まなければいけない気がして(どういうことなんだ)迷っていた時何の縁か「まどそごみ」さんの「あのマンガ」を読みましてドンと強く背中を押され「これは絶対読まねばならないという天の意志」を感じたのでした。 すばらしいマンガなのでここでもう一度上げさせていただきます。 竜の説明があやふやなまま話が進んでしま…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その6

    ロデムに襲われるバビル2世!?これは如何に????!!!! ネタバレしますのでご注意を。 先日、横山他作品で「主人公が強そうなのに負けてばかりいるのがおかしい」というとあるレビューを見かけて「いや主人公が苦しむ様がエロチックでそれが巧いのが横山光輝なんですよ」と首をひねったわけだがバビル2世を見てれば一目瞭然である。 超能力増幅装置を使ったヨミの能力はバビル2世をはるかに越えるものとなり忠実なしもべたちを使って次々とバビル2世へ加害する。 ちょ、ちょっとやばい色気である。 そのくせバビル2世は 生意気さがかわいいね。 二次創作者が絶対喜ぶ台詞。 で、こうなっちゃうの。ゾクゾクするエロチシズム。…

  • MY Forevermore Vol.2 特集:『バビル2世』&バビル2世扉絵集+α(新版)購入しました。

    MY Forevermore Vol.2 特集:『バビル2世』&バビル2世扉絵集+α(新版)購入しました。 もっと遅く来るのかと思いきや早く届いてくれました。嬉しい。 たっぷり読み応えありそうでこれからゆっくり楽しませていただきます。 こちらで購入できます。 psymage.com

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その5

    三巻末尾から始まる第二部がまたおもしろいのですよ。ヨミ復活。 昨日書いた『バビル2世』=「ギルガメシュ叙事詩」説は自分としてはかなり気に入っています。 普通の作家ならばロマンチックにギルガメシュとエンキドゥの友愛を描くところですがクールに突き放してしまうのが横山光輝物語なのではないかと納得してしまいました。 そして二人(ギルエンならぬヨミバビ)の戦いの箇所をじっくりと書いていくのが醍醐味なのです。 ネタバレしますのでご注意を。 国家保安局局長と副局長が再登場することで物語にリアリティが加わる。 二部最初に登場する霊媒者、冷徹な殺し屋、そして訓練を積む能力者たちも横山マンガに必須の面々だ。 余談…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その4

    さて3巻ですが今のところ色々と思考の小さな断片が舞うばかりで何もまとまってはいません。 なにかにたどり着くことはできるのでしょうか。 できるといいなあ。 ネタバレですのでご注意を。 3巻193ページ、残り後少しで第一部が終わる。というかもともと横山氏の構想ではここで完結するつもりだったと書かれている。 もし本当にそうならばこの長編SFはそこまで複雑に構成されていたわけではないのかもしれない。 だとしてもここでの考察に問題があるわけじゃない。解析しようとしているのは『バビル2世』における横山氏の構想ではなく『バビル2世』において横山氏自身の思考を読み取ってみたいというものだからだ。 この一年横山…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その3

    『バビル2世』の解析をせんとしてじっくり読んでいこうとしているのだけど面白すぎてどんどん読んでしまう。バビル2世自身はシリアスだけどヨミチームがおっかしいんですよ。ひゃっひゃ笑って読んで(だからあんまり分析する気にさせないに違いない)「あー楽しかった」で満足しそうだけど少し自制して書き進めてみましょう。 ネタバレしますのでご注意を。 2巻冒頭。『バビル2世』で唯一といっていい女子が登場する。浩一の同級生である由美子だ。浩一自身「由美ちゃん」と「子」を抜いて親し気に話しかけていることから(芸が細かい)ある程度の親密さがあったのだろうと思われるが「浩一くん」と何度も名を呼んで心配する由美子と違い由…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その2

    今日は『バビル2世』と重ねて考えてみたいマンガ作品について書いていきます。 萩尾望都『スター・レッド』と山岸凉子『日出処の天子』です。 なのでこの二作品のネタバレにもなりますのでご承知ください。 では本作もネタバレしますのでご注意を。 まずは萩尾望都『スター・レッド』(1978年~1979年) こちらは物語そのものではなく超能力を持つ主人公の描き方・表現が明らかに影響を受けている、という点をあげたい。 ヒロインのセイ・ペンタは火星で生まれた5世代目。ペンタというのは5世代目という意味である。 つまりセイ5世という名前なのだ。(ちょっと違うか)この「なん世代目かを必ず名乗る」というのが「バビル2…

  • 『バビル2世』横山光輝 もういちど その1

    えっと、今日から『バビル2世』についての考察を書いていこうと思います。考察となればいいけどただのダダ洩れ感想になってしまう予感もあります。 何故考察するのかというのはネットで探しても「バビル2世考察」というのが少数しかなく「考察」好きの私としてはあまりにも物足りず悔しいからです。 (しかしこれ私が単に検索下手だからだけなのかもなのでもしそうした物件をご存じの方は是非教えてください) この欲望を埋めんとしてYouTubeも探したのですが出てきたのがあの「BSマンガ夜話」リアルタイムで見てた勢ですがやむなく再鑑賞しました。(他にほぼない) が、結局判ったのはファンの方々の熱い応援と語るキャストの『…

  • 『夜光島魔人』横山光輝 その2

    絶対このアカエイデザインが気に入ってる横山先生。かわいいんだもん。 ネタバレしますのでご注意を。 上のアカエイの中には村雨けいじが入ってます。 山形兄弟は夜光島でまだ奮闘中。巨大なミサイルを目撃するが背後には隊長が立っていた。 ふたりはすぐに処刑されることになる。 工場で働く男たちは眠っているのをたたき起こされ兄弟の死刑を見せしめにされる。 が、ここで村雨けいじを逃がしてしまったという報告がはいり処刑は中止となった。 兄弟は牢に入れられ村雨けいじの救助を待つ。村雨けいじはすぐに警備艇に乗って戻ってきた。が、島に近づくのは困難だった。 警備艇と夜光島の砲撃合戦となる。そのため兄弟が入れられた牢に…

  • 『夜光島魔人』横山光輝 その1

    先日読んだ『少年ロケット部隊』全七巻という長さもあってショックはぬぐい切れず。 本作も同じ1960年の作品ということで恐る恐るページを開けましたが杞憂でしたとまず書いておきたい。 表紙に出てるのでネタバレにはならないと思うけど「アカエイ」が飛びます。アカエイが飛ぶというと『鉄人28号』6巻が「空飛ぶアカエイ軍団」(1958年)7巻が「難敵アカエイ & モンスター」(1959年)でした。 そして『夜光島魔人』は1960年で再びアカエイが飛ぶと。 そもそもアカエイは飛ばないのですが、「飛ぶアカエイ」は横山先生にとってお気に入りだったのでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 まず心躍るページ。 …

  • 『少年ロケット部隊』横山光輝 その2

    ところで本作『少年ロケット部隊』の掲載誌が「日の丸」となっていたので右翼雑誌に掲載されていたのかと思ったのだけどなんてことはない普通に集英社の漫画誌であった。本作途中で休刊となり「少年ブック」に移行した模様です。 ネタバレしますのでご注意を。 先日の記事を省みてまず書いておかねばならないのは 作者の横山光輝氏はこれを「単行本化しない」と決められたままで死後デジタル化配信されたものを作者の意志を無視して拝読しているのだからこれを批判するのはそもそも間違っている、 ということだ。 いわば作者が描いてはみたもののボツにして捨てたのを拾い上げて文句を言うのもおかしいはずだ。駄目と思ったから捨てたんだか…

  • 『少年ロケット部隊』横山光輝 その1

    またまた未単行本化だったという幻の少年マンガと銘打っている本作。いったいなぜ? 横山先生未単行本化多すぎる。 まず表紙。いつもながら少年がかっこいい。少年と重なるような飛行機(ロケットというのか?)というデザインも良い。 でもなぜこんなにウエストを細く締め上げているんだろう。 ネタバレしますのでご注意を。 少年ロケット学校の卒業生5人がロケット基地にやってくる、というところから始まる。 主人公は草間完治(名簿に父・草間大・・・となっている。草間大作?好きな名前なのかな) 憧れの目でロケット(なぜロケット?もしかしてこの名のせいで未単行本だったのか???)を見上げる草間たち。上級生たちが彼らをか…

  • 『91衛星(サテライト)SOS!!』横山光輝

    1980年月間少年チャレンジ掲載 昨日に引き続き横山光輝最期のオリジナル作品、と銘打って記事を書こうとしているのですが今年表を見たら1987年『仮面の忍者赤影(新)』というのがあったのでこの説はなくなったw しかしまあ乗りかかった船なので「初出オリジナル作品最期」ということで書き進めましょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 先日ひらさんからも解説のあった「宇宙SF」の一つになる。 SFはそれが映画にしろ小説にしろマンガにしろ物語だけでなく背景をどのくらい詳細に描き込むかにあるのは確かだ。 『宇宙船レッドシャーク』では自身が納得できなかったと言われるものが本作ではかなり充実していると思える。 …

  • 『俺はだれ?』横山光輝

    『俺はだれ?』プレイコミック1980年四月号掲載 表紙が横山光輝としては珍しい女性裸体なのでアップして凍結されたりしたら困るので途中のコマを上げておきます。 私的には『刎頸の友』のほうが刺激的ですけど。 講談社漫画文庫「白髪鬼」に収録 ネタバレしますのでご注意を。 前にも書いたけど横山先生年表を見ると1978年あたりから作品数がぐっと少なくなっていくのがわかる。現代感覚で言えばそれまでが驚異の世界なのだが。 年表で推し量るしかないのだけど本作を描いた1980年がいわゆる「オリジナルマンガ作品」は最期の年になり1982年以降(年表を見るかぎり)作品は歴史もの一辺倒になっている。私としてはこれら歴…

  • 『飛猿斬り』横山光輝 その2

    ここだけ見たら幕末という感じはしない。 ネタバレしますのでご注意を。 繰り返しになるが1964年尊王攘夷をとなえる水戸藩士により天狗党という一党が結成された。 同志に加えるのに身分を問わずやくざ者・前科者まで仲間となったためにその数はあっという間に二千人近くにふくれあがる。 その結果、天狗党はわずか数か月の間に軍資金集めと称し放火・略奪・殺戮を繰り返す一大野盗と変わっていったのである。 ここで登場するのが源蔵という岡っ引きだ。源蔵は天狗党の動向をさぐって各藩に知らせる役目を担ってとある村を歩いていた。 天狗党の残党が襲いにくるという噂を聞いた村にはすでに人影はない。村民は村を空にして身を隠して…

  • 『飛猿斬り』横山光輝 その2

    ここだけ見たら幕末という感じはしない。 ネタバレしますのでご注意を。 繰り返しになるが1964年尊王攘夷をとなえる水戸藩士により天狗党という一党が結成された。 同志に加えるのに身分を問わずやくざ者・前科者まで仲間となったためにその数はあっという間に二千人近くにふくれあがる。 その結果、天狗党はわずか数か月の間に軍資金集めと称し放火・略奪・殺戮を繰り返す一大野盗と変わっていったのである。 ここで登場するのが源蔵という岡っ引きだ。源蔵は天狗党の動向をさぐって各藩に知らせる役目を担ってとある村を歩いていた。 天狗党の残党が襲いにくるという噂を聞いた村にはすでに人影はない。村民は村を空にして身を隠して…

  • 『飛猿斬り』横山光輝 その1

    1972年別冊少年マガジン掲載 今年2月の記事『横山光輝コレクション』の第3話目でも書いた短編マンガ作品です。 読んだその時から忘れられずずっと本作を思っていました。 とにかく残念なのは私が「天狗党」についてまったくの無知だったことです。 これまでも幕末ものなどでその名前を知る機会はあったはずですが本作を読んでも微塵も記憶が出てこないのです。 やむなく急ぎ山田風太郎『魔群の通過』を読んだりしてその背景を少しでも知ろうとしました。 本作短編を読むのに背景知識は必要ないのですがあまりにも主人公・山田一郎に惹かれてしまいその苦悩に共感したかったのです。 今回は付け焼刃ながら僅かのにわか情報を頼りに再…

  • 『宇宙船レッドシャーク』横山光輝 その3

    ここから第二話「ガニメドの巻」 ガニメドって木星の衛星ガニメデの間違いじゃ、と思っていたら小惑星ガニメドというのがあったのか。あっぶなーい。知ったかするとこだったよ。 ネタバレしますのでご注意を。 土星衛星タイタンから帰ってきた一色健二はその能力を認められ新しい宇宙探検隊の隊長に任命される。 その探検隊の目的はB座標で行方不明となった宇宙船を探すことだった。 ところが一色の部下となる隊員たちは指折りの腕利きではあるが若い一色が隊長となることに強い反感を持っていた。 そんな中で宇宙船は出発する。(一色孤立しててよく行けるなあ) まず反抗的大人連は宇宙船の酸素濃度を薄くすることで一色を苦しめる。(…

  • 『宇宙船レッドシャーク』横山光輝 その2

    これが表紙全体だったのか。 ネタバレしますのでご注意を。 「ダイモス」だって?とちょっと驚いてしまった。 横山作品に1973年『ダイモス』があるからだけどそもそも「ダイモス」って火星の衛星フォボスダイモスなんだから慌てる必要はない。 横山作品は「マーズ」といい実際にある星々からイメージを作っているのだろう。そういうところも実直な感じがする。 地球に帰ってきたロケットの着陸に感動していた一色は「疫病神ジャック」と呼ばれている男と出会う。 彼と一緒にロケットに乗ると必ず事故が起きるのだが帰ってくるのは決まって彼だけだという風評があるという。 さて一色の訓練が始まる。 宇宙飛行士の訓練といえば名作映…

  • 『宇宙船レッドシャーク』横山光輝 その1

    1965年少年ブック掲載 第八宇宙学校を一番で卒業した少年一色健二。宇宙空軍一〇一基地に赴いた彼の成長と活躍を描く。 ネタバレしますのでご注意を。 65年作品で表紙の絵柄からしてもあまり期待せずに読もうと思っていたのだけどとんでもなかった。これは凄い作品なのでは。 有能でかつ明るく真面目な一色健二。決して挫けず前向きでたのもしい。今ではギャグでなければほとんど見ることができないキャラではあるけど物語が面白いのでむしろこのキャラが望ましいのだ。 現在の感覚で言えば描写技術は稚拙に見えてしまうかもしれないけど最も欲しいのはアイディアとプロットであり横山光輝氏のそれは何物にも代えがたいものがある。 …

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