つくしは側にあったタオルを身体に巻き付けた。違和感を感じる身体を気遣いながら、タンスから服を取り出し身につける。彼女が初めてだと気付いた司はすぐに辞めようとしたが彼女がそれを許さなかった。温めてあげたいと思った。いつも強気で俺様な男の弱った姿に連絡がつかなかった時間が不安だった。雨に濡れて、自分を頼る彼を可愛いと思った真っ先に会いに来てくれた?苦しい、辛いと感じた時に彼が選んだのが自分だったことが...
元々積極的に連絡をとっていた訳でもなければ会う約束をするような仲でもなかった。自分から彼を拒んだのだから当然だけど「つくし、お茶だよ」「あ、すいません」タマが淹れてくれたお茶を呑みながらテレビの報道番組を見る椿さんと世界的ホテルチェーンの副社長の婚約に関する話題で持ちきりだ。「本当なら、19の時に嫁ぐはずだったんだよ」「……え?19歳って早くないですか?」「あんたらの感覚ではそうかもしれないがあたしが亡...
「思ってたのと違う」つくしは荷物を詰めたリュックを背負って首が痛くなるほど高いマンションを見上げる「そりゃそうさ。道明寺に勤める人間はいつどこで狙われるか解らないからねセキュリティがキチンとしたとこに住んでいて貰わないとこっちが困るんだよ」部屋の案内と管理する部屋についての説明の為にタマが一緒に来てくれていた。「ほら、行くよ」「あ、待って!!」まるでホテルのロビーみたいなエントランスを抜けてエレベ...
「手強いな」笑いながら言う総二郎を司が睨んだ「頭堅い女、俺はごめんだね。」おどけて言う幼なじみに「お前とは違う」と司が返した。そんな二人を見てあきらが「俺は司の行動のがあり得ねぇ」と身体を震わせた。遊び人の二人今まで関係を結んだ女の一覧など作ろうもんならどれだけ時間が掛かるのか。今なお更新されているというのに。今日だって、カウンターに女の子を待たせている司がこういう場所で女を引っ掛けるときは酷くイ...
司がつくしを付き人として雇ったのは11月半ばの事1ヶ月経ったこの時期、皆浮き足たっていた。予期せぬハプニングで彼女の胸を見た司は、あれから少し可笑しくなっていた。「おい!!あぶねーだろ!ぶつかったらどうする?!」「ヒイイイッす、すいません!!!」床に這いつくばって額を擦り付ける男子生徒司は鋭く睨むと「次はねぇぞ」と言って解放した。「…………あの」「どうした?どっか痛いか?」「いえ、離してください。後少々...
「無いわけないか。F4だもんね」司の返答を待たずにつくしが答えを出した。「何だよそれ」「まんま。あんたら女を大事に扱うイメージない」これがまたイメージ通り大切にしてこなかったのだから何も言えない。「何でそんなこと聞くんだよ」訊かれても答えようがなかった。司は相手している女が処女かどうかなど気にしたことが無いからだ。相手が望むものを与えてやる代わりに対価として性欲の処理に利用する程度当然、顔も覚えてい...
「坊っちゃん何かされたのかい?」つくしは頭を左右に動かして否定するされたというよりは
優斗がヴィクトリアを見捨てた時、水元の研究への支援を全て断ち切った。研究員は買収済だ。あの父親、よほど人望が無かったらしい。息子は女から人気があったみたいだがあちらはあちらで、息子が居なくなりその妻が壊れてしまい、夫も家に帰って居ない。そして、自分には道明寺からの契約の打ち切り「………」自分の娘が傷ついて、我を見失った。だが、最初から娘に心がない人間を奪ったのも自分自分を捨てた男の幸せを願う少女の瞳...
つくしはスリッパでペッタンペッタンと間抜けな音を鳴らして司の後ろを歩く「……お前、うわばみどうした」「上履きですか?無くしました。」「はぁ?!あんなもんどうやって無くすんだよ!」「さぁ。無くなったんだから仕方ありません」司の付き人になってからこういう地味な嫌がらせが絶えない。そして、地味だが財布への打撃はデカイ。こういうのって経費に入らないのかな……「悩んでるなら言ってみろ」「え」眉根をよせて難しい顔...
結局、タマに相談してそこから司の秘書へ連絡が入った。司の母、楓も明和物産の令嬢と深い仲にさせる気は無かったのかあっさり承諾した。「司様。そちらのお嬢様は」「間に合わせだ。連れていかねーよりましだろ」「失礼ですが、お名前お伺いしてもよろしいでしょうか?」散々生きたくないとゴネたのに………「牧野……です。」俯いたままのつくしの背中を司が軽く叩く「イッ!!……牧野つくしです!!」こうなりゃやけくそだ!!「俺の従...
人間って面白い。とつくしは病院の待ち合い室で考える。3才の長女みかんは予防接種を始めた時から3本同時に打っていたが、最初の一本では泣かず、2本目で泣いていた。病院に連れてきても自分が注射される等と考えないのか、のほほんとしていたのに………「牧野さん、どうぞ」看護士呼ばれたつくしが次女のりんご一歳を連れて立ち上がった。問題は………そう。「いやああああああああっっっ!!!!ぎゃあああああああああっっ!!!」「...
司の傍らに立つ女を総二郎とあきら、類が不思議そうに見つめる「お前飯は?」「司様が食べ終えたら休憩を」てか、昼にアタシはいらんだろ!!と思うがこれも仕事だ。メニューを渡し、注文を聞くと下に降りてそれを伝える。ニヤニヤと笑って足を引っ掻けようとする奴の足を逆に思い切り踏みながら司の元へ食事を運んだ。「あんた強いね」「ありがとうございます。花沢様」「足踏みまくってもぐら叩きみたい」見られていたこともだが...
「竜宮城みたい………」目の前の建物を見て思わず漏れた呟き陣夫妻の邸に案内されたつくしは その美しい建物に見惚れた「
天帝というそりゃもうえらーい人が国を支配していた頃天帝には一人の息子がおったそうな与えられた仕事を淡々とこなして睡眠は必要最低限、食事もしなけりゃ、趣味もない天女をあてがったら、あろうことか国から追放してしまった。最初は息子の働きを喜んでいたこの男の母親楓さまも、あれ?うちの息子、なんかおかしくね?って疑い始めた、さぁ!!大変!!どっかの国の可愛くて扱いやすそうな姫様いやしねぇかと花嫁を探し始めた...
1日のほどんどを司と過ごすことになった翌日、きちんと契約書を交わそうと言われて屋敷に連れていかれた彼女はその土地と建物にあいた口が塞がらなかった。に、逃げ出したい……30万、やっぱり返そうかな……通された部屋で、着替えてくると言った司を待つ今までに味わった事がない場所の雰囲気に心細くなっていく。あいつしか頼れる人間が居ないなんて…………扉がノックされて、「は、はい!!」と返事して立ち上がると腰の曲がった老婆...
受付の女達は色めき立った男性なのに美しいという表現が似合う3人の男が現れたからだ。その内の二人が近付いてきて「今、専務いる?アポは秘書がとってると思うんだけど」と後ろで髪を1つに束ねた男性が言う「…………」あまりにも現実離れしたその男性二人を前に彼女達はぽーっとしてしまう「おーい」「あっ!すみません!!只今確認いたします!!」焦る自分達に対しても男性二人は静かに笑って大丈夫だよ。と優しく、そして「可愛...
「あれ?ママは…あの母は?」夕方バイトが終わり帰宅したつくしは母親の荷物が無いことに気付いた「あんたの元気そうな顔見たら安心したとかでお昼にはここを出発されたよ」突然来て突然帰っていった母親につくしははぁ……とため息を吐く。「全く。騒ぐだけ騒いで人の気も知らないで」ぶつぶつ文句を言うつくしにタマが冷蔵庫からあるものを取り出した。「あんたの好物なんだろ?いいお母様じゃないか」ふたを開けて渡されたタッパ...
これは、私の完全なるおふざけである。━━━━━━━━━━━━━━━━━「青春したい」「……熱さでやられたか」花沢類の言葉に西門総二郎が呟いた。するとどこからかおかっぱの少女が現れた。「今、青春したいって言いましたね!!」「…誰だ」「うん、したい。すっごいしたい」「正気か?!」「二人、入部……と」「は?!俺入んねえよっ!!」「一人は保護者……どっちが保護者ですか?」「俺」「どう考えても俺だろ!!おい書くな!!あきら!あきら...
「光栄だろ」「頭狂ってんのか……」話を聞いたつくしは真顔で言うと次にこう言った「お断りします」「却下」「却下?!」「当たり前だろ!何様だテメェは!!道明寺(うち)に就職出来るとか有り難すぎて涙が出るだろうが」「いや、全然。だって、あなたの代で会社が潰れる可能性もありますよね」「…俺が無能だって言いてえのか」「能力の問題じゃない。あなたの意識の問題です。」解ったような口を聞く女に司はイラついた「考えてよ...
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