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2018/09/20

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  • ポラリス

    例年より早く桜が開花したと世間が賑やかになったのを嘲笑うかのように、週末に吹雪く。強風に煽られ散る花びらは雪とともに儚く消えていく。まるで、昨日咲き誇ったのが幻だったかのように。顔に触れる冷たさが、雪なのか花びらなのか、目を閉じて立ち尽くすつくしには分からない。いや、季節外れの北風の中長時間外にいるため、あまりの寒さのため感覚も麻痺し、頬に感じるものが冷たいのか温かいのかさえわからなくなっている。...

  • Sparkling 蛇足

    Sparkling、長らくお付き合いいただきましてありがとうございます。以前呟いたのですが、前半部分の設定はある作品をモチーフにしています。分かるかたにはタイトルから分かっていただいたようですが、江國香織さんの「きらきらひかる」という小説です。(のちに同名のドラマが放送されましたが、そちらは解剖医のサスペンスでこちらはこちらで大変大好きでしたが、全くの別の作品です)この小説を読んだのは中学生の時、まだネッ...

  • Sparkling 45

    「パーパー!」「ほら、パパって言ったぞ!」嬉しそうに司が笑うので、本当はパンのことをパパといっていることは教えないでおいた。「そうだぞ、俺がお前のパパだぞ。」菫(すみれ)を抱き上げると、べたべたと手で司の顔を触るのを止めずに受け入れている。「あの司が、涎まみれの手で触れらることを嫌がらないなんて、やっぱり愛って偉大ね」そう感想を漏らす椿とともに、いちゃいちゃとする父と娘を見つめる。「この間朝すごく...

  • Sparkling 43

    親族の葬儀の後、親しい人を招いての告別式(それでも優に千人は超えていた)、その後は会社関係者を招いた社葬、そしてお別れの会と目まぐるしい日々を送っていった。葬儀は忙しさで悲しみを忘れさせるためにある、いつか耳にした言葉に心から納得した。あの晩、楓が亡くなった晩に3人だけで過ごした夜が、唯一純粋に楓のことを思っていた時かもしれない。告別式には、司とかつて結婚していたあかねも参列していた。「色々ありま...

  • Sparkling 42

    「犬がしっぽをまいて逃げていくみたいに出て行ったわね」道明寺家の血を色濃く受け継いでいる椿が退出した伯父を鼻で笑う。「あとでぎゃんぎゃん吼えないようにあえて同席させたんだろ」そういうと司は弁護士を見る。日本語を理解しているのかどうかわからないが、弁護士は涼しい顔でたたずんでいる。「それにしても、お母様には最後まで驚かされるわね。つくしちゃんを養子にしていたなんて」「どうせ相続税のことを考えてだろう...

  • Sparkling 41

    弁護士が厳かに口を開く。『全員お揃いになりましたので、遺言状を開封したいと思います。』楓の形をしたシーリングスタンプが付いている封筒を、アシスタントがペーパーナイフで開いていく。これは、楓が私文書に用いていたスタンプだったはずだ。中から取り出されたのはわずか2枚の紙。『それでは読み上げていきます。まず、NY、東京、ロンドンにある邸宅は司様に、ロサンゼルス、カナダ、モルディブにある別荘は椿様に、京都に...

  • Sparkling 40

    「〇月×日司が初めて歩いたと連絡があった。側で見られたかったのが悲しい〇月×日椿のピアノの発表会に間に合わなかった。謝る時間もなくNYへと行かなくてはならない。〇月×日司に久しぶりに会うと泣かれた。私の顔を忘れてしまったようだ」日にちと、その日の出来事が淡々と記されている。会えない子供の成長を記す様に、口にできない感情を表す様に、毎日のように日記は続いていく。次第にその内容は懺悔に近くなる。子供の側に...

  • Sparkling 39

    楓の部屋のドアはすでに開いており、様々な人が楓の部屋へ慌ただしく出入りしている。司は秘書に葬儀の指示を出しているようで、部屋の出口からすこし離れたところに立っていた。さっと楓の部屋へと入ると、ベッドルームの横にある執務室へと入る。長らく部屋の主が入っていなかった場所は、ひんやりとした空気が漂っていた。楓の手紙に会った通り、サイドデスクの2段目を開けると裏側を確認する。そこには楓が指示した通り、鍵が...

  • Sparkling 38

    「つくしさんへまずは、あなたに謝らせて頂戴。かつて私があなたにしたことは、言い訳の余地がないほど酷いことだと分かっています。ずっと苦しめてごめんなさい。そして、司の側にいてくれてありがとう。司があなたと出会ってなかったら、そう思うと心からぞっとするわ。母親らしいことが全くできなかった私が、最後に息子とこんな穏やかな時間が過ごせるなんて考えてもいなかった。これからも司をよろしくお願いします」そこまで...

  • Sparkling 37

    当初言われていた余命より、はるかに長く楓は生きた。「最初はもって数カ月って言われたとは思えねーな」そう呟く司の手を、つくしはぎゅっと握る。「ババアが死んでもせいせいするだけだ、ずっとそう思ってたんだけどな」司の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。つくしは、司が楓と最後の時間を過ごせるよう、そっと部屋を出た。「奥様、これを」外で待っていた使用人に手紙を渡される。つくしはあふれ出てくる涙をふくこともせず...

  • Sparkling 36

    司は仕事があるため、一旦ジェットに乗ってNYに戻った。そして入れ替わりにやや小型のジェットがテキサスに到着した。病院から空港まではドクターヘリで、そしてその先はジェットでJFK空港まで飛び、そこからお邸までもドクターヘリで移動する。万が一の事態に備え、移動には常に医師と数名の看護師が付きそう。なるべく楓の負担を減らすため、薬の影響で眠っている間にNYへと移動した。つくしも移動には付き添う。楓が目を覚まし...

  • Sparkling 35

    目が覚められたようです、そう声をかけられたのは待合室に入って1時間弱経ってからだった。看護師の指導の下、手を洗いマスクをしっかり身に着けてから司の母がいる病室をノックする。「お入りになって」依然と変わらない、闊達とした声が聞こえる。そっとドアを開けつくしが部屋に入ると、ベッドの上で背筋を伸ばし、凛としたたたずまいで座る楓がいた。その姿は、最後につくしがNYで会ったときと何ら変わらないように見える。だ...

  • Sparkling 34

    すでに話が伝わっていたのだろう、司の母が入院している病院へ行くと、病院長という見るからに偉そうな男性が出迎えてくれた。『これはこれは、道明寺社長遠いところをわざわざお越しいただきありがとうございます。まずはご連絡いただいた通り、お母さまの症状についてお話させていただきたいので、こちらへいらしてください』必要以上に丁寧に接する様子は、日本でもよく見る光景だ。歩きながら司が、「この病院、ババアが口封じ...

  • Sparkling 33

    「今日も邸に行ってたのか?」日が変わる頃に帰ってきた司が尋ねる。「うん。久しぶりにタマ先輩と会って、話が積もっちゃって」「せっかくこっち来たんだから、暇な年寄りの相手しねーで観光でもすりゃーいーのに」「あたしも話したいことがたくさんあったから。それに観光して迷子になっても困るしね」「お、方向音痴だって自覚がようやく出てきたか」「うっさいなー、もー」風呂上がりの司の背中をバシバシ叩くと、急に振り向き...

  • Sparkling 32

    司の仕事の都合もあり、司の母に会いに行くのは最短で一週間後だ。「お前、仕事は大丈夫なのかよ?」「うん。有給たくさん余っていたから消化しろって上から言われてたの。まとまった休みを取らなきゃいけなかったからちょうどよかった」日中は適当にぶらぶらしてるから大丈夫だよ、そう言い張るつくしに気付かれないようにSPを配置した。司は分かっていた、トラブルを呼び込む体質のつくしが言うは信用できないと。慌ててNYに来た...

  • Sparkling 31

    それから一週間後、司は秘書から「今日の夜は予定がありませんのでお帰り頂いて大丈夫です」と告げられ、自分の耳を疑った。今まで仕事を詰められることは数え切れないほどあったが、早く帰宅するよう促されたのは初めてだ。「お前、熱でもあるのか?」つい聞いてしまった。通勤に便利なミッドタウンの最上階が司の部屋だ。いつも通りペントハウス専用のエレベーターに乗って部屋に入ると、愛おしい恋人の後姿が見えた。「おまっ、...

  • Sparkling 30

    「今日はね、つくしちゃんにお願いがあってきたの。久しぶりに会ってこんなお願い事をする失礼を許してちょうだい」「いえ、そんな、、、」「母のこと、司から何か聞いてるかしら?」「いえ、、、あまり。もう一線を退かれたとしか。。。」司が追い出したという言葉を使うことがためらわれ、曖昧に答える。「そうなの。結婚してからすぐに司は動いてたんでしょうね、離婚までの間に水面下で動いて実権を握って、実質母を名ばかりの...

  • Sparkling 29

    噂は音よりも早く伝わる。とりわけ悪いニュースは広まるのが早い。司がNYに戻っている間、院長に睦月とつくしがパートナーを解消したと報告したのが2日前(病院の上のほうには、二人が事実婚であることは伝えていたため、離婚という言葉を使わなかった)、そしてその翌日には全スタッフの知るところとなり、今日はすでに10人の医師とナースから事実関係を確認された。独身でイケメンの医者は天然記念物よりも少ない。職場の独身女...

  • Sparkling 28

    「あたしね、あかねさんはあんたの事故に絡んでないと思うんだけど」久し振りに時間が合い、家で夕食を食べながら話をする。不規則な勤務体系のつくしの負担にならないよう、なるべく食事はメープルかお邸から調理済みの料理を運び、温めるだけにしていた。先ほどまで医者の離婚率の高さについて話をしていたはずなのに、急に変わった話題に司は一体何の話をしているのか理解するのに数秒を要した。「事故って俺の事故のことか」「...

  • Sparkling 27

    朝目覚めると、いつのまにかベッドで寝ていることに驚いた。「嘘っ、今何時?」普段の習慣から急いで時計を見ようとするつくしを再びベッドに戻そうと、腕が伸びてくる。腕?振り向くと、満面の笑みの司がいた。「よぉ、起きたか」そう言いながらつくしを胸に抱こうとする。「ちょっとやめてよ、っていうかなんであんたがここにいるの?そしてなんで上半身が裸なのよ!?」「お前、覚えてないのか。昨日俺に抱き着いてきて一緒に寝...

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