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2018/07/29

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  • 世のなか安穏なれ

    本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022.4月号から執筆者無記名のコラムに執筆しています。2023.6月号掲載文です。世のなか安穏なれ「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」(浄土真宗聖典『註釈版』784項)、親鸞聖人のご消息にある言葉だ。手前味噌に聞こえるかも知れないが、安穏な世とは、だれもが安心してお念仏を称えられる世の中になることだ。ではなぜ、それほどに念仏に称えるに意味があるのかと言えば、仏法、すなわち浄土真宗のみ教えに出遇うことができるからだ。み教えに出遇うことが、なぜそれほど重要なのか。それは私の人生のすべてを肯定していけるはたらきや、考え方に恵まれるからだ。確かに苦難な状況にあってもお念仏を相続してきた歴史がある。しかしそれ以上に苦難ゆえに念仏を相続できなかった人も幾倍もいたに違いない。昭和の時...世のなか安穏なれ

  • 百科事典ウイキペディア の活用

    『宗報』(2023.8月号)「真宗文化の評価と記憶―インターネット百科事典ウイキペディアの活用を通して」が掲載されていました。最後の部分のみ転載します。ウィキベディア活用による利点最後に、先述の作成作業を行ったうえで考えられるウィキベディア活用の利点を挙げたいと思います。第一に、地域の協力により把握できた正確な寺院の歴史が誰にも閲覧しやすい形で「正しく記録」できているということです。この点は、書籍などの紙媒体とは異なる大きな利点であると考えられます。また、開成寺において、マイクロバスを活用したご縁づくりが行われるに至った背景には、ダム建設に伴う門信徒の離郷という問題があったことなど、今回の活動を通して、「固成寺」という寺院がどのような方がたの想いによって護持され、歴史のなかでどのような役割を袒っていたのか...百科事典ウイキペディアの活用

  • ブッダの言葉で「原点回帰」

    『毎日新聞』(夕刊2023.8.28)に京都大准教授熊谷誠慈(本願寺派住職)さんーブッダの言葉で「原点回帰」―というインタビュー記事が掲載されていました。以下転載。仏教を開いた「ブッダ」に会って、相談してみたい。そんな願いを人工知能(AI)でかなえようとしているのは、京都大「人と社会の未来研究院」の熊谷誠慈准教授(43)らの研究グループだ。2021年にはチャットポット(自動会話システム)、その名も「ブッダボット」を発表。この夏には生成AIを組み込んだ進化版を発表した。仏教とAIの掛け合わせで何か生まれるのか。熊谷さんに尋ねた。研究の出発点は、仏教界の未来への危惧だったという。「20年後には今あるお寺の4割が消滅するという指摘もある」。僧侶である熊谷さんが別の僧侶らと話し合って出した答えは人々の悩みや社会課...ブッダの言葉で「原点回帰」

  • 千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要で10分間法話

    毎年8月25日は、銚子市にある寳満寺での法話会出向。利根川に沿ってたゞひたすら100キロ、2時間10分、途中に美味しいカレーそばの店があるのですが、坊守におにぎりとサンドイッチをもたされたので断念。この時期のカレーそばの昼食は汗が噴き出すので、気替えを持って行きましたが使用しませんでした。折角なので、法話会の最初、お断りをして来月18日に千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要で10分間法話をすることになっているのでなので、実演してみました。時間が13分、3分のオーバーだったので、実演が参考になりました。千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要で10分間法話

  • 共感②

    『進化的人間考』(2023/2/21・長谷川眞理子著)からの転載です。共感の脳内基盤ヒトが他者に対して協力的に振る舞うことの基本に、共感という感情がある。他者の思いを自分のものとして感じる能力である。共感の脳神経基盤について、近年、多くの研究がなされた結果、興味深いことがわかってきた。他個体が痛みを感じているのを見ると、自分も同じように痛みを感じる。れを情動伝染と呼ぶ。これはネズミでも見られる。社会生活を送る動物にとって、他者の感情状態は貴重な情報なのだ。身近にいる他個体が恐怖や痛みを感じているのであれば、自分もそのような状態になる確率は高い。そこで、他個体の感情状態を自らに挿入することができれば、よりすばやく事態に対応することができるだろう。情動伝染は、そのような適応度上の利点があるので進化したと考えら...共感②

  • 共感①

    『進化的人間考』(2023/2/21・長谷川眞理子著)からの転載です。実際、ヒトには、他者に協力的であるようにする本質的なものが備っているようだ。実験室に二歳の幼児とに親を連れてきて、座っていてもらう。そこに、両手一杯に荷物を抱えた人物が入ってきて、戸棚の扉を問けようとするのだが、うまく行かない。そうすると幼児は、頼まれたわけでもないのに、すたすたと歩いていって扉を開けてあげるのである。つまり幼児は、他者の動作や表情から他者の意図を理解しており、その意図を達成するには何か必要かを理解した時には、それを自ら行うのである。別に他者を助けようとしているのではなく、そうすることが「楽しい」のだ。乳幼児の社会性の発達に関する最近の研究によると、生後六ヵ月の赤ん坊でも、困っている他人を助ける個体を意地悪な個体よりも好...共感①

  • 不安をあおる霊感商法

    『終末電話相談集事例集こんな相談がありました。』(消費者生活相談協会)、おもにクリーング・オフについて、相談事例を紹介していますが、加持祈祷にもクリーング・オフが適用されることを知りました。その部分だけ紹介します。このままでは不幸になる…高額な祈とうサービスを勧められた新聞の折り込み広告で、3日間限定で無料開催される運勢鑑定を知り予約をした。当日、ホテルの一室に行き、家族関係の悩みを相談し鑑定をしてもらった。鑑定後に「家相がよくない。これから365日間、毎日あなた達家族のために祈祷をする。そうすれば運気も上かってもっと幸せになれる。数珠も身につけるように」と言われた。当初祈祷料と数珠で300万円と言われ、迷っていると200万円に値引きされたので申し込んだ。次回、代金と家族全員の写真を持ってくるよう言われ、...不安をあおる霊感商法

  • コロナ時代の哲学

    『コロナ時代の哲学』(2020/8/7・大澤真幸・國分功一郎著)からの転載です。チンパンジーは、鏡像を自己自身の像を同定することができる。三~四歳のチンパンジーに、等身大の姿が映る鏡を見せる。これは、チンパンジーにとって、生まれて初めての鏡体験である。チンパンジーは、最初、他の動物たちと同様に、鏡像を、他者―他のチンパンジー個体―と見なす。歯をむき出して威嚇したり、手を差し伸べて宥和を求めたりするのだ。実は、人間の赤ちゃんも、最初は、鏡に映っている自分自身を他の赤ちゃんと見なし、微笑みかけたりする。鏡に接してから三日ほど経過すると、チンパンジーの行動が劇的に変化する。社会的な反応が消失し、明らかに鏡像を自分自身の身体像と見なしているとわかる行動をとるようになるのだ。マークテストに合格するのは当然だが、鏡の...コロナ時代の哲学

  • 臨床宗教師静かな広がり

    『読売新聞』(2023.8.22)に「臨床宗教師静かな広がり」という記事が掲載されていました。医療現場や被災地などで心のケアをする臨床宗教師の養成を最初に始めた東北大の寄付講座が今年3月に終わり、現在は2年間かけて学ぶ新たな養成プログラムが実施されている。これまで全国の大学に広がって資格認定制度もできたが、臨床宗教師を受け入れる施設が少ない現状もある。多死社会を迎える中で宗教と心のケアの意義を伝えていくことも課題だ。東北大が臨床宗教師を養成する講座を始めたのは、東日本大震災後の2012年だった。宗教者が布教を目的とせずに被災地を巡ったり、病院などの医療現場で傾聴活動をしたりし、苦しみや悲しみを抱える人の、医療や科学では答えが出せない生と死に関する問いを受け止めていた。当初、実習を3か月ほど行う研修がメイン...臨床宗教師静かな広がり

  • 「火葬待ち」高齢化で深刻

    『読売新聞』(夕刊2023.8.21)にー「火葬待ち」高齢化で深刻―という記事が掲載されていました。高齢化に伴う死者数の増加で、遺体を長期間火葬できない「火葬待ち」が問題になっている。業界団体が今年6月に発表した初の全国調査では、6―8日間の火葬待ちが全国で生じている実態が浮き彫りとなった。火葬を待つ間に、遺族には心理的・金銭的な負担がのしかかっている。ここ数年、人口が集中する都市部を中心に火葬待ちが起きている。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の死者数は過去最多の156万8961人で、前年から12万9105増えた。12年の死者数は125万6359人で、この10年で死者数はI・25倍と「多死社会」を迎えていることが背景にある。死者数の増加に伴う問題を調べるため、公益社団法人「全日本墓園協会」(東...「火葬待ち」高齢化で深刻

  • 念仏者のパーソナリテイー

    本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022.4月号から執筆者無記名のコラムに執筆しています。2023.5月号フォーカス仏教ライフ「念仏者のパーソナリテイー」『利己的な遺伝子』「自身は現にこれ罪悪生死の凡夫、曠劫よりこのかたつねに没し、つねに流転して、出離の縁あることなしと信ず」(浄土真宗聖典註釈版218)。浄土真宗のご門徒ならば何度か耳にしたことのある言葉だろう。親鸞聖人がご引用された信心の核心を示した言葉だ。動物行動学者リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』(1976)が出版されて半世紀になる。この本に初めて接したとき、この「広劫より已来常に没(もつ)し流転して出離の縁あることなし」という人間の自分本位の閉ざされた生き方は、始めのない過去から営み続けてきたという理解が、科学の分野でも明らかになったと...念仏者のパーソナリテイー

  • 共命の鳥

    昨日紹介した珍獣が、金香炉の蓋だけではなく、宣德(漆を焼き付け仕上げた花瓶)花瓶の両脇についている飾りや燭台(ローソク立て)の足など、多用されていました。ネットで調べても不明のままです。昨日、お寺でご祥月の法要があったので、そのことを話題にして、前卓の共命の鳥の話をしました。共命の鳥とは阿弥陀経に出てくる頭が二つある浄土の鳥のことです。共命の鳥

  • 珍獣

    過日、寺での法事勤行を終え、しばらくすると施主が「息子は、あれは何ですか。と聞かれたのですが」との質問でした。「あれ」とは、前卓の金香炉の蓋に乗っている珍獣のことです。私も30数年、触れてきましたが、疑問に持つ事が無かった事へ驚きを覚えました。写真の珍獣は、尻尾は麒麟ビールのキリンで背中に亀の甲羅を載せ足は馬、口はカバのようの大きく、頭にはライオンのたてがみを水牛の角らしきものがあります。まさに珍獣です。何か因縁があるのかも知れません。今日は調べる時間がないので、写真をアップするの留めます。珍獣

  • 悲しみの処方箋

    『悲しみの処方箋』(2018/2/28・主婦の友社編集)は、色々な人が執筆しています。第一章/「あきらめきれない悲しみ」伴侶・親との別れ寺田理恵子、イルカ、小山明子、木内みどり、落合恵子、髙木慶子、羽成幸、ひろさちや第二章/「やりきれない悲しみ」がんと向き合う鳥越俊太郎、寺内タケシ、鎌田實、内富庸介第三章/「終わりがない孤独」それでも生きてゆく永六輔、樋口恵子、山折哲雄、帯津良一ほか自治医科歯科大学教授宮林幸江さんが、悲嘆には手紙を書くことを勧めています。その部分だけ転載します。そして、営林さんは亡き人に思いを綴った手紙を書くことをすすめる。「思いを綴ることは、心の整理に大きく役立ちます。書くことで自分を客観視でき、死別のショックによってよじれたり、絡まってしまったりした心の糸を一本一本ほぐすことができま...悲しみの処方箋

  • 「自己中」の正体③

    『「自己中」の正体~自分の"エゴ"と折り合いをつける生き方とは!?~』(2019/11/12・齋藤孝著)からの転載です。「自己実現」ではなく「他者実現」を感じるしかも、社会はだんだん激しくなりつつあり、その動きを変えることは難しい。その中で自分か生き残っていくために必要な能力は、他者のリクエストをちゃんと感じ取る能力です。空気を読むのではなく、他者のリクエストをちゃんと感じ取ること。「自己実現」ではなく、「他者実現」というのがポイントです。他者の要望を実現させ続けている人は、どんどん仕事が来ます。私の友人のコピーライターやデザイナーの人たちは、クライアントの要望を的確に形にします。ですから、「自己実現」を考えて仕事をしている人など、ほとんどいません。依頼者の要求を実現させていくのです。自分はこういうデザイ...「自己中」の正体③

  • 令和社会学―承認

    『産経新聞』(2023.8.15)「『産経新聞』(2023.8.15)「令和社会学―承認」に掲載されていました。人は誰でも承認されたい。承認はほめられたい、評価されたい、という意味だけではない。そこにいていい、という意味もある。社会の一員として、存在していいと受け止められなければ、その人はいないことと同じである。昨今、世の中で事件や騒動が起きると、背景として「承認欲求」があると指摘される。先ごろ調停が成立した、回転ずし店で少年がしょうゆ差しをなめた動画が拡散した騒動でも、そのような議論があった。「自分を見て」「自分を認めて」という承認欲求を満たすために事件や騒動を起こすという構図だ。承認欲求が強いことは、トラブルにつながりかねないといえる。どうも承認のイメージが悪く繰り返すが、誰でも承認されたい。承認欲求...令和社会学―承認

  • ハヤブサ消防団

    『ハヤブサ消防団』(第4話)をお寺の寄付額のことが出ていました。あらすじは下記の通りです。『ハヤブサ消防団』のあらすじネタバレを最終回まで!原作小説から犯人を考察 ciatr[シアター]太郎(中村倫也)は父の七回忌のため、随明寺にやってきます。すると太郎は、放火被害者たちが随明寺に多額の寄進をしていることに気づきました。太郎はこのことを江西江西(麿赤兒)に伝えると、江西は協力することを申し出ます。その後太郎は中山田(山本耕史)から、町おこしドラマ企画が町長の村岡(金田明夫)によって、中止になったと聞かされます。彩(川口春奈)を問いただした太郎は、彩から謝罪を受けますが……。2人は微妙な雰囲気になってしまいました。村岡はドラマ企画ではなく、ツチノコツアーを計画。ハヤブサ消防団も参加することになり、太郎は村岡...ハヤブサ消防団

  • 「自己中」の正体②

    『「自己中」の正体~自分の"エゴ"と折り合いをつける生き方とは!?~』(2019/11/12・齋藤孝著)からの転載です。ある心理学者が、就学前の幼児にこんな実験をしました。背後の一定距離から離れた位置にある的に向かって、利き腕でない腕で後ろ向きにボールを投げ、的に当てるゲームをさせるのです。このとき、床に描かれたラインの内側に入ってはいけないという決まりにします。すると、難しくて、なかなか当たりません。その様子を、子どもたちに気づかれないようにビデオ撮影すると、子どもたちは見られていないと思っているので、多くの子がラインの内側に入ってしまったり、利き腕で投げてしまったりしています。なかには的のそばまで行ってボールを当てるという大胆なルール破りをする子も出てきます。このように、小さな子どもにとって、ルールを...「自己中」の正体②

  • 「自己中」の正体①

    『「自己中」の正体~自分の"エゴ"と折り合いをつける生き方とは!?~』(2019/11/12・齋藤孝著)からの転載です。■縄文時代の三内丸山遺跡から武器が出土していないたとえば、青森県にある三内丸山遺跡(注1)は、縄文時代(注2)における日本最大級の遺跡ですが、およそ1500年間にわたって500人ほどが定住していたと推定されています。そこからは武器が出土していないので、内部で争いを起こしていないということがわかります。栗の木などが植えられているので、それを育て、収穫して食べていたと考えられます。この集落の存続が長かったことから、そこに激しい富の奪い合いがあったとは考えづらいのです。それなりに平等に分配していたからこそ、集落の人びとの不満はかく、存続したに違いありません。もっとも、そうした縄文時代の社会が理...「自己中」の正体①

  • アイデンティティ・ロスト

    『18歳で学ぶ哲学的リアル:「常識」の解剖学』(2019/3/28・大橋基著)、哲学を学という事は、こういうことかと思わせる本です。南アフリカの報道写真家ケビン・カーターは,内戦下にあったスーダンの難民キャンプで1枚の写真を撮影した。そこには,飢餓状態でやせ細り,身動きがとれないほど衰弱して見える幼い黒人少女と,彼女を襲おうとしているのか。その死を待ち構えているのか,乾いた大地に降り立ったハゲワシが,同じ1つのフレームのなかにおさめられている。この作品は,発表直後から世界中で話題となり,1994年のピュリッツァー賞(報道企画部門)を受賞した。ところが,受賞後,カーターは「なぜ少女を助けなかったのか」,「少女を危険にさらしてまで有名になりたかったのか」といった非難を各方面から浴びせられ,それが理由かどうか不...アイデンティティ・ロスト

  • 宗教の本質

    『理想的な利他:仏教から考える』(2023/2/2・平岡聡著)からの転載です。宗教の本質ここでは宗教の本質について考える。宗教の定義は多種多様だが、ここでは西谷[1961]の宗教論を取り上げよう。西谷は冒頭で「宗教は我々にとって、何のためにあるか」という問いは、宗教の本質からいって、問いとして間違っているという。問題なさそうな表現だが、ここにこそ宗教の本質が隠されている。この間違った問いを破るには、「我々自身が何のためにあるか」という問いを立てなければならないと西谷は言う。これは「我々自身が絶対なるもの(人間を超越したもの)に対いし、いかにあるべきか」といい換えてもよい。宗教は基本的に、“人間(相対者)”と、“人間を越えた存在(絶対者)”との関係を基軸にする。そして人間を越えた存在との関わりの中で、現実の...宗教の本質

  • 無縁社会という言葉

    『友だちは永遠じゃない:社会学でつながりを考える』(ちくまプリマー新書・2014/11/5・森新一著)無縁社会という言葉が、クローズアップしたのは下記の通りです。テレビ番組「無縁社会」の反響無縁社会ということばの普及に大きく貢献したのは、二〇一〇年一月三一目放映のNHKスペシャル「無縁社会」でしちゃ。この番組は、孤独死・孤立死する人が年間約3万2000人いること、そのうちの1000人ほどは、警察の捜査によっても身元が確認できない人たちで、「行旅死亡人」と呼ばれること、などの事実を伝えていました。この一回目の「無縁社会」を放送している最中からNHKには続々と反響が寄せられたようです。しかも、その多くが二〇~五〇代の、働き盛りの世代からだったといいます。ツイッターやネット掲示板などでも、「孤独で寂しい」とか「...無縁社会という言葉

  • 無縁社会の葬儀と墓: 死者との過去・現在・未来②

    『無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来』(2022/7/23・山田慎也・土井浩編集)の紹介の続きです。問芝志保氏が「ポスト家墓時代の墓制の再構築に向けて」と本を総括されている。その部分を転載します。関東大震災からの復興期において、東京市内の寺院特設墓地、および郊外の霊園等で、一冢で一墓を継承し、焼骨を骨壷に入れてカロートに収蔵するという、我々のよく知る「日本の墓制」の復旧が始まった。分墓問題を解決するため、省スペース・耐震・衛生・美観といった特長を特つカロート式家墓は、一九二五年(大正14)当時の、東京市の技術官僚によって案出された墓制であった。そして、カロード式家墓は、同規格での大量製造、大量販売に適していたことから、戦後の高度成長期の霊園開発とともに全国に普及した。特設墓地も戦後さらに増え、登...無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来②

  • 無縁社会の葬儀と墓: 死者との過去・現在・未来①

    『無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来』(2022/7/23・山田慎也・土井浩編集)の紹介です。まずは目次。目次I無縁化がすすむ現代--新たな死の共同性…小谷みどり--デジタル時代の弔い方…瓜生大輔--引き取り手のない故人の葬送と助葬制度…山田慎也--人口移動と葬儀互助システムの形成-山形県最上町の契約講を事例に…大場あやII歴史的経過--位牌・墓標と葬送…谷川章雄--両墓制の終焉と伝統の護持…朽木量--改葬制度の史的展開-「墓じまい」に至るまで…森謙二III近代の墓地--近代公共墓地の成立と変遷-大阪の都市史としての墓地…槇村久子--昭和初期の「永代供養墓」構想-田中智学と細野雲外…鈴木岩弓--希望は、納骨堂-昭和戦前期における墓の将来構想…土居浩--家墓と家墓批判の歴史社会学-カロートの普及を...無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来①

  • 共感の正体②

    『共感の正体:つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか』(2022/3/26・山竹伸二著)からの転載です。著者は、現象学的な観点から共感の本質を9つに整理して考察している。共感が生じる経験は、「情動的共感」と「認知的共感」の2つに分けられる。②共感の質は心の発達、特に自己の確立と認知の発達にともなって変化する。③他者の共感によって得られる自己了解と「存在の承認」。④心理的距離、空間的距離の近い人間ほど共感が生じやすい。⑤共感力には個人差がある。⑥共感は感情の共有であり、自己了解と同時に他者了解が生じている。⑦共感は他者理解をとおして他者のためになる行動(利他的行為)を生む。⑧共感は喜びだけでなく、苦しみを生む場合もある(共感的苦悩)。⑨共感はお互いを理解し、協力し合う基盤となり、文化・社会を形成する。共感...共感の正体②

  • 共感の正体①

    『共感の正体:つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか』(2022/3/26・山竹伸二著)からの転載です。近代以前の社会では、共通の価値観を誰もが信じることができたため、私たちは自分の行為をその価値基準で判断することができた。社会で共有された価値観に洽って行動すれば、周囲の人々から認められ、自分の行為の価値を確認できたのだ。しかし、現在では価値観が多様化し、自分の行為や趣味を測る価値基準が見えないため、どのように行動すれば認められるのか、きわめて不透明になっている。他者に認められるための判断基準が見えない時、私たちは相手の出方を慎重に見ようとするだろう。場の空気を読み、そのふるまい、微妙な言動に注意し、相手の意図を理解しようとする。周囲の人間に忖度し、同調する人たちが増えているのは、こうした社会状況ゆえな...共感の正体①

  • お寺の行動経済学

    『お寺の行動経済学』(2023/4/7・中島隆信著)、2005年に『お寺の経済学』に出版しているが、第二段です。宗教法人の改革について、書いているのでその部分だけ転載します。宗教法人改革の私案を以下、提示したい。参考にしたのは。2008年12月に施行された「公益法人制度改革」で、その内容は、全ての財団法人と社団法人に対して、行っている事業の公益性を担保するための条件を提示し、それがクリアできたところを公益法人とし、できないところは一般法人になるというものであった。この原則を宗教法人にあてはめるならば、⑴収益事業の割合、⑵檀信徒数、⑶外部評議員という3つの条件が適当と考えられる。そして、これらの全てのよう条件をクリアした法人のみを公益宗教法人とし、それ以外を。一般宗教法人とするという考え方だ。収益事業の割合...お寺の行動経済学

  • 『心理療法の精神史』5

    『心理療法の精神史』(2023/5/10・山竹伸二著)のつづきです。歴史的な流れで言えば、一九世紀から二〇世紀前半までは、近代の心理療法も社会への復帰、社会適応を重視するものが多かった。近代以前の心理療法のように、神話や宗教的価値観から解釈することはなくなり、不合理なものは排除されるようになったが、科学的な理性の許す範囲で、一般的な社会の価値観、人間観から解釈されてきたのである。しかし、やがて心理療法の役割にも変化が見られるようになった。それは、社会の価値観が多様化し、自由に生きる可能性が拡がるにつれて、自由に生きたい、自分の力を発揮したい、自分の感性や個性を大事にして生きたい、自分らしくありたい、という欲望が人々の中にめばえてきたからだ。自由に生きたい、行動したいと思っても、親の承認や身近な人々の承認を...『心理療法の精神史』5

  • 無縁社会の処方箋

    『毎日新聞』夕刊(2023.8.1)に「無縁社会の処方箋」で小谷みどりさんに聞くーが掲載されていました。データーの部分だけ転載します。単身世帯は急増している。厚生労働省が7月に発表した国民生活基礎調査によると、22年の全国の単身世帯は過去最高の約1785万世帯で、全世帯の32・9%を占める。実に3分の1の世帯は1人暮らしなのだ。単身に限らないが、高齢者世帯も約1693万世帯と全世帯の31・2%に及ぶ。国立社会保障・人口問題研究会の「生活と支え合いに関する調査」(17年)によると、1人暮らしの高齢男性で毎日会話をするという人は49・5%。半数を超える人が、一日誰とも話さないのだ。そして、7人に1人は会話の頻度が2週間に1回以下でしかない。男性よりも女性の方が社交的とされるが、1人暮らしの高齢女性をみても毎日...無縁社会の処方箋

  • 『心理療法の精神史』4

    『心理療法の精神史』(2023/5/10・山竹伸二著)のつづきです。近年、多くの心理療法で治療者と患者の関係性が重視されるようになったのは、人間が自己の存在価値に対する承認を求めていることと無関係ではない。治療者の共感、受容的態度は、患者にとっては「承認」として感じられる。ありのままの自分か受け容れられ、認められている、という安心感が、自由に生きようとする心を勇気づける。自分の感じていること、したいことを大事にしてよいのだと、そう感じることができるのだ。これに対して、現代の心理的治療者における共感、受容的な態度は、特定の価値観に基づく行為への承認ではなく、存在そのものへの無条件の承認である。この違いは、他者の要求に従うことでほめられる場合と、他者に従わなくとも、あるがままの存在が受け容れられる場合を考えれ...『心理療法の精神史』4

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