昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022.4月号から執筆者無記名のコラムに執筆しています。2023.6月号掲載文です。世のなか安穏なれ「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」(浄土真宗聖典『註釈版』784項)、親鸞聖人のご消息にある言葉だ。手前味噌に聞こえるかも知れないが、安穏な世とは、だれもが安心してお念仏を称えられる世の中になることだ。ではなぜ、それほどに念仏に称えるに意味があるのかと言えば、仏法、すなわち浄土真宗のみ教えに出遇うことができるからだ。み教えに出遇うことが、なぜそれほど重要なのか。それは私の人生のすべてを肯定していけるはたらきや、考え方に恵まれるからだ。確かに苦難な状況にあってもお念仏を相続してきた歴史がある。しかしそれ以上に苦難ゆえに念仏を相続できなかった人も幾倍もいたに違いない。昭和の時...世のなか安穏なれ
『宗報』(2023.8月号)「真宗文化の評価と記憶―インターネット百科事典ウイキペディアの活用を通して」が掲載されていました。最後の部分のみ転載します。ウィキベディア活用による利点最後に、先述の作成作業を行ったうえで考えられるウィキベディア活用の利点を挙げたいと思います。第一に、地域の協力により把握できた正確な寺院の歴史が誰にも閲覧しやすい形で「正しく記録」できているということです。この点は、書籍などの紙媒体とは異なる大きな利点であると考えられます。また、開成寺において、マイクロバスを活用したご縁づくりが行われるに至った背景には、ダム建設に伴う門信徒の離郷という問題があったことなど、今回の活動を通して、「固成寺」という寺院がどのような方がたの想いによって護持され、歴史のなかでどのような役割を袒っていたのか...百科事典ウイキペディアの活用
『毎日新聞』(夕刊2023.8.28)に京都大准教授熊谷誠慈(本願寺派住職)さんーブッダの言葉で「原点回帰」―というインタビュー記事が掲載されていました。以下転載。仏教を開いた「ブッダ」に会って、相談してみたい。そんな願いを人工知能(AI)でかなえようとしているのは、京都大「人と社会の未来研究院」の熊谷誠慈准教授(43)らの研究グループだ。2021年にはチャットポット(自動会話システム)、その名も「ブッダボット」を発表。この夏には生成AIを組み込んだ進化版を発表した。仏教とAIの掛け合わせで何か生まれるのか。熊谷さんに尋ねた。研究の出発点は、仏教界の未来への危惧だったという。「20年後には今あるお寺の4割が消滅するという指摘もある」。僧侶である熊谷さんが別の僧侶らと話し合って出した答えは人々の悩みや社会課...ブッダの言葉で「原点回帰」
毎年8月25日は、銚子市にある寳満寺での法話会出向。利根川に沿ってたゞひたすら100キロ、2時間10分、途中に美味しいカレーそばの店があるのですが、坊守におにぎりとサンドイッチをもたされたので断念。この時期のカレーそばの昼食は汗が噴き出すので、気替えを持って行きましたが使用しませんでした。折角なので、法話会の最初、お断りをして来月18日に千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要で10分間法話をすることになっているのでなので、実演してみました。時間が13分、3分のオーバーだったので、実演が参考になりました。千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要で10分間法話
『進化的人間考』(2023/2/21・長谷川眞理子著)からの転載です。共感の脳内基盤ヒトが他者に対して協力的に振る舞うことの基本に、共感という感情がある。他者の思いを自分のものとして感じる能力である。共感の脳神経基盤について、近年、多くの研究がなされた結果、興味深いことがわかってきた。他個体が痛みを感じているのを見ると、自分も同じように痛みを感じる。れを情動伝染と呼ぶ。これはネズミでも見られる。社会生活を送る動物にとって、他者の感情状態は貴重な情報なのだ。身近にいる他個体が恐怖や痛みを感じているのであれば、自分もそのような状態になる確率は高い。そこで、他個体の感情状態を自らに挿入することができれば、よりすばやく事態に対応することができるだろう。情動伝染は、そのような適応度上の利点があるので進化したと考えら...共感②
『進化的人間考』(2023/2/21・長谷川眞理子著)からの転載です。実際、ヒトには、他者に協力的であるようにする本質的なものが備っているようだ。実験室に二歳の幼児とに親を連れてきて、座っていてもらう。そこに、両手一杯に荷物を抱えた人物が入ってきて、戸棚の扉を問けようとするのだが、うまく行かない。そうすると幼児は、頼まれたわけでもないのに、すたすたと歩いていって扉を開けてあげるのである。つまり幼児は、他者の動作や表情から他者の意図を理解しており、その意図を達成するには何か必要かを理解した時には、それを自ら行うのである。別に他者を助けようとしているのではなく、そうすることが「楽しい」のだ。乳幼児の社会性の発達に関する最近の研究によると、生後六ヵ月の赤ん坊でも、困っている他人を助ける個体を意地悪な個体よりも好...共感①
『終末電話相談集事例集こんな相談がありました。』(消費者生活相談協会)、おもにクリーング・オフについて、相談事例を紹介していますが、加持祈祷にもクリーング・オフが適用されることを知りました。その部分だけ紹介します。このままでは不幸になる…高額な祈とうサービスを勧められた新聞の折り込み広告で、3日間限定で無料開催される運勢鑑定を知り予約をした。当日、ホテルの一室に行き、家族関係の悩みを相談し鑑定をしてもらった。鑑定後に「家相がよくない。これから365日間、毎日あなた達家族のために祈祷をする。そうすれば運気も上かってもっと幸せになれる。数珠も身につけるように」と言われた。当初祈祷料と数珠で300万円と言われ、迷っていると200万円に値引きされたので申し込んだ。次回、代金と家族全員の写真を持ってくるよう言われ、...不安をあおる霊感商法
『コロナ時代の哲学』(2020/8/7・大澤真幸・國分功一郎著)からの転載です。チンパンジーは、鏡像を自己自身の像を同定することができる。三~四歳のチンパンジーに、等身大の姿が映る鏡を見せる。これは、チンパンジーにとって、生まれて初めての鏡体験である。チンパンジーは、最初、他の動物たちと同様に、鏡像を、他者―他のチンパンジー個体―と見なす。歯をむき出して威嚇したり、手を差し伸べて宥和を求めたりするのだ。実は、人間の赤ちゃんも、最初は、鏡に映っている自分自身を他の赤ちゃんと見なし、微笑みかけたりする。鏡に接してから三日ほど経過すると、チンパンジーの行動が劇的に変化する。社会的な反応が消失し、明らかに鏡像を自分自身の身体像と見なしているとわかる行動をとるようになるのだ。マークテストに合格するのは当然だが、鏡の...コロナ時代の哲学
『読売新聞』(2023.8.22)に「臨床宗教師静かな広がり」という記事が掲載されていました。医療現場や被災地などで心のケアをする臨床宗教師の養成を最初に始めた東北大の寄付講座が今年3月に終わり、現在は2年間かけて学ぶ新たな養成プログラムが実施されている。これまで全国の大学に広がって資格認定制度もできたが、臨床宗教師を受け入れる施設が少ない現状もある。多死社会を迎える中で宗教と心のケアの意義を伝えていくことも課題だ。東北大が臨床宗教師を養成する講座を始めたのは、東日本大震災後の2012年だった。宗教者が布教を目的とせずに被災地を巡ったり、病院などの医療現場で傾聴活動をしたりし、苦しみや悲しみを抱える人の、医療や科学では答えが出せない生と死に関する問いを受け止めていた。当初、実習を3か月ほど行う研修がメイン...臨床宗教師静かな広がり
『読売新聞』(夕刊2023.8.21)にー「火葬待ち」高齢化で深刻―という記事が掲載されていました。高齢化に伴う死者数の増加で、遺体を長期間火葬できない「火葬待ち」が問題になっている。業界団体が今年6月に発表した初の全国調査では、6―8日間の火葬待ちが全国で生じている実態が浮き彫りとなった。火葬を待つ間に、遺族には心理的・金銭的な負担がのしかかっている。ここ数年、人口が集中する都市部を中心に火葬待ちが起きている。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の死者数は過去最多の156万8961人で、前年から12万9105増えた。12年の死者数は125万6359人で、この10年で死者数はI・25倍と「多死社会」を迎えていることが背景にある。死者数の増加に伴う問題を調べるため、公益社団法人「全日本墓園協会」(東...「火葬待ち」高齢化で深刻
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022.4月号から執筆者無記名のコラムに執筆しています。2023.5月号フォーカス仏教ライフ「念仏者のパーソナリテイー」『利己的な遺伝子』「自身は現にこれ罪悪生死の凡夫、曠劫よりこのかたつねに没し、つねに流転して、出離の縁あることなしと信ず」(浄土真宗聖典註釈版218)。浄土真宗のご門徒ならば何度か耳にしたことのある言葉だろう。親鸞聖人がご引用された信心の核心を示した言葉だ。動物行動学者リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』(1976)が出版されて半世紀になる。この本に初めて接したとき、この「広劫より已来常に没(もつ)し流転して出離の縁あることなし」という人間の自分本位の閉ざされた生き方は、始めのない過去から営み続けてきたという理解が、科学の分野でも明らかになったと...念仏者のパーソナリテイー
昨日紹介した珍獣が、金香炉の蓋だけではなく、宣德(漆を焼き付け仕上げた花瓶)花瓶の両脇についている飾りや燭台(ローソク立て)の足など、多用されていました。ネットで調べても不明のままです。昨日、お寺でご祥月の法要があったので、そのことを話題にして、前卓の共命の鳥の話をしました。共命の鳥とは阿弥陀経に出てくる頭が二つある浄土の鳥のことです。共命の鳥
過日、寺での法事勤行を終え、しばらくすると施主が「息子は、あれは何ですか。と聞かれたのですが」との質問でした。「あれ」とは、前卓の金香炉の蓋に乗っている珍獣のことです。私も30数年、触れてきましたが、疑問に持つ事が無かった事へ驚きを覚えました。写真の珍獣は、尻尾は麒麟ビールのキリンで背中に亀の甲羅を載せ足は馬、口はカバのようの大きく、頭にはライオンのたてがみを水牛の角らしきものがあります。まさに珍獣です。何か因縁があるのかも知れません。今日は調べる時間がないので、写真をアップするの留めます。珍獣
『悲しみの処方箋』(2018/2/28・主婦の友社編集)は、色々な人が執筆しています。第一章/「あきらめきれない悲しみ」伴侶・親との別れ寺田理恵子、イルカ、小山明子、木内みどり、落合恵子、髙木慶子、羽成幸、ひろさちや第二章/「やりきれない悲しみ」がんと向き合う鳥越俊太郎、寺内タケシ、鎌田實、内富庸介第三章/「終わりがない孤独」それでも生きてゆく永六輔、樋口恵子、山折哲雄、帯津良一ほか自治医科歯科大学教授宮林幸江さんが、悲嘆には手紙を書くことを勧めています。その部分だけ転載します。そして、営林さんは亡き人に思いを綴った手紙を書くことをすすめる。「思いを綴ることは、心の整理に大きく役立ちます。書くことで自分を客観視でき、死別のショックによってよじれたり、絡まってしまったりした心の糸を一本一本ほぐすことができま...悲しみの処方箋
『「自己中」の正体~自分の"エゴ"と折り合いをつける生き方とは!?~』(2019/11/12・齋藤孝著)からの転載です。「自己実現」ではなく「他者実現」を感じるしかも、社会はだんだん激しくなりつつあり、その動きを変えることは難しい。その中で自分か生き残っていくために必要な能力は、他者のリクエストをちゃんと感じ取る能力です。空気を読むのではなく、他者のリクエストをちゃんと感じ取ること。「自己実現」ではなく、「他者実現」というのがポイントです。他者の要望を実現させ続けている人は、どんどん仕事が来ます。私の友人のコピーライターやデザイナーの人たちは、クライアントの要望を的確に形にします。ですから、「自己実現」を考えて仕事をしている人など、ほとんどいません。依頼者の要求を実現させていくのです。自分はこういうデザイ...「自己中」の正体③
『産経新聞』(2023.8.15)「『産経新聞』(2023.8.15)「令和社会学―承認」に掲載されていました。人は誰でも承認されたい。承認はほめられたい、評価されたい、という意味だけではない。そこにいていい、という意味もある。社会の一員として、存在していいと受け止められなければ、その人はいないことと同じである。昨今、世の中で事件や騒動が起きると、背景として「承認欲求」があると指摘される。先ごろ調停が成立した、回転ずし店で少年がしょうゆ差しをなめた動画が拡散した騒動でも、そのような議論があった。「自分を見て」「自分を認めて」という承認欲求を満たすために事件や騒動を起こすという構図だ。承認欲求が強いことは、トラブルにつながりかねないといえる。どうも承認のイメージが悪く繰り返すが、誰でも承認されたい。承認欲求...令和社会学―承認
『ハヤブサ消防団』(第4話)をお寺の寄付額のことが出ていました。あらすじは下記の通りです。『ハヤブサ消防団』のあらすじネタバレを最終回まで!原作小説から犯人を考察 ciatr[シアター]太郎(中村倫也)は父の七回忌のため、随明寺にやってきます。すると太郎は、放火被害者たちが随明寺に多額の寄進をしていることに気づきました。太郎はこのことを江西江西(麿赤兒)に伝えると、江西は協力することを申し出ます。その後太郎は中山田(山本耕史)から、町おこしドラマ企画が町長の村岡(金田明夫)によって、中止になったと聞かされます。彩(川口春奈)を問いただした太郎は、彩から謝罪を受けますが……。2人は微妙な雰囲気になってしまいました。村岡はドラマ企画ではなく、ツチノコツアーを計画。ハヤブサ消防団も参加することになり、太郎は村岡...ハヤブサ消防団
『「自己中」の正体~自分の"エゴ"と折り合いをつける生き方とは!?~』(2019/11/12・齋藤孝著)からの転載です。ある心理学者が、就学前の幼児にこんな実験をしました。背後の一定距離から離れた位置にある的に向かって、利き腕でない腕で後ろ向きにボールを投げ、的に当てるゲームをさせるのです。このとき、床に描かれたラインの内側に入ってはいけないという決まりにします。すると、難しくて、なかなか当たりません。その様子を、子どもたちに気づかれないようにビデオ撮影すると、子どもたちは見られていないと思っているので、多くの子がラインの内側に入ってしまったり、利き腕で投げてしまったりしています。なかには的のそばまで行ってボールを当てるという大胆なルール破りをする子も出てきます。このように、小さな子どもにとって、ルールを...「自己中」の正体②
『「自己中」の正体~自分の"エゴ"と折り合いをつける生き方とは!?~』(2019/11/12・齋藤孝著)からの転載です。■縄文時代の三内丸山遺跡から武器が出土していないたとえば、青森県にある三内丸山遺跡(注1)は、縄文時代(注2)における日本最大級の遺跡ですが、およそ1500年間にわたって500人ほどが定住していたと推定されています。そこからは武器が出土していないので、内部で争いを起こしていないということがわかります。栗の木などが植えられているので、それを育て、収穫して食べていたと考えられます。この集落の存続が長かったことから、そこに激しい富の奪い合いがあったとは考えづらいのです。それなりに平等に分配していたからこそ、集落の人びとの不満はかく、存続したに違いありません。もっとも、そうした縄文時代の社会が理...「自己中」の正体①
『18歳で学ぶ哲学的リアル:「常識」の解剖学』(2019/3/28・大橋基著)、哲学を学という事は、こういうことかと思わせる本です。南アフリカの報道写真家ケビン・カーターは,内戦下にあったスーダンの難民キャンプで1枚の写真を撮影した。そこには,飢餓状態でやせ細り,身動きがとれないほど衰弱して見える幼い黒人少女と,彼女を襲おうとしているのか。その死を待ち構えているのか,乾いた大地に降り立ったハゲワシが,同じ1つのフレームのなかにおさめられている。この作品は,発表直後から世界中で話題となり,1994年のピュリッツァー賞(報道企画部門)を受賞した。ところが,受賞後,カーターは「なぜ少女を助けなかったのか」,「少女を危険にさらしてまで有名になりたかったのか」といった非難を各方面から浴びせられ,それが理由かどうか不...アイデンティティ・ロスト
『理想的な利他:仏教から考える』(2023/2/2・平岡聡著)からの転載です。宗教の本質ここでは宗教の本質について考える。宗教の定義は多種多様だが、ここでは西谷[1961]の宗教論を取り上げよう。西谷は冒頭で「宗教は我々にとって、何のためにあるか」という問いは、宗教の本質からいって、問いとして間違っているという。問題なさそうな表現だが、ここにこそ宗教の本質が隠されている。この間違った問いを破るには、「我々自身が何のためにあるか」という問いを立てなければならないと西谷は言う。これは「我々自身が絶対なるもの(人間を超越したもの)に対いし、いかにあるべきか」といい換えてもよい。宗教は基本的に、“人間(相対者)”と、“人間を越えた存在(絶対者)”との関係を基軸にする。そして人間を越えた存在との関わりの中で、現実の...宗教の本質
『友だちは永遠じゃない:社会学でつながりを考える』(ちくまプリマー新書・2014/11/5・森新一著)無縁社会という言葉が、クローズアップしたのは下記の通りです。テレビ番組「無縁社会」の反響無縁社会ということばの普及に大きく貢献したのは、二〇一〇年一月三一目放映のNHKスペシャル「無縁社会」でしちゃ。この番組は、孤独死・孤立死する人が年間約3万2000人いること、そのうちの1000人ほどは、警察の捜査によっても身元が確認できない人たちで、「行旅死亡人」と呼ばれること、などの事実を伝えていました。この一回目の「無縁社会」を放送している最中からNHKには続々と反響が寄せられたようです。しかも、その多くが二〇~五〇代の、働き盛りの世代からだったといいます。ツイッターやネット掲示板などでも、「孤独で寂しい」とか「...無縁社会という言葉
『無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来』(2022/7/23・山田慎也・土井浩編集)の紹介の続きです。問芝志保氏が「ポスト家墓時代の墓制の再構築に向けて」と本を総括されている。その部分を転載します。関東大震災からの復興期において、東京市内の寺院特設墓地、および郊外の霊園等で、一冢で一墓を継承し、焼骨を骨壷に入れてカロートに収蔵するという、我々のよく知る「日本の墓制」の復旧が始まった。分墓問題を解決するため、省スペース・耐震・衛生・美観といった特長を特つカロート式家墓は、一九二五年(大正14)当時の、東京市の技術官僚によって案出された墓制であった。そして、カロード式家墓は、同規格での大量製造、大量販売に適していたことから、戦後の高度成長期の霊園開発とともに全国に普及した。特設墓地も戦後さらに増え、登...無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来②
『無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来』(2022/7/23・山田慎也・土井浩編集)の紹介です。まずは目次。目次I無縁化がすすむ現代--新たな死の共同性…小谷みどり--デジタル時代の弔い方…瓜生大輔--引き取り手のない故人の葬送と助葬制度…山田慎也--人口移動と葬儀互助システムの形成-山形県最上町の契約講を事例に…大場あやII歴史的経過--位牌・墓標と葬送…谷川章雄--両墓制の終焉と伝統の護持…朽木量--改葬制度の史的展開-「墓じまい」に至るまで…森謙二III近代の墓地--近代公共墓地の成立と変遷-大阪の都市史としての墓地…槇村久子--昭和初期の「永代供養墓」構想-田中智学と細野雲外…鈴木岩弓--希望は、納骨堂-昭和戦前期における墓の将来構想…土居浩--家墓と家墓批判の歴史社会学-カロートの普及を...無縁社会の葬儀と墓:死者との過去・現在・未来①
『共感の正体:つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか』(2022/3/26・山竹伸二著)からの転載です。著者は、現象学的な観点から共感の本質を9つに整理して考察している。共感が生じる経験は、「情動的共感」と「認知的共感」の2つに分けられる。②共感の質は心の発達、特に自己の確立と認知の発達にともなって変化する。③他者の共感によって得られる自己了解と「存在の承認」。④心理的距離、空間的距離の近い人間ほど共感が生じやすい。⑤共感力には個人差がある。⑥共感は感情の共有であり、自己了解と同時に他者了解が生じている。⑦共感は他者理解をとおして他者のためになる行動(利他的行為)を生む。⑧共感は喜びだけでなく、苦しみを生む場合もある(共感的苦悩)。⑨共感はお互いを理解し、協力し合う基盤となり、文化・社会を形成する。共感...共感の正体②
『共感の正体:つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか』(2022/3/26・山竹伸二著)からの転載です。近代以前の社会では、共通の価値観を誰もが信じることができたため、私たちは自分の行為をその価値基準で判断することができた。社会で共有された価値観に洽って行動すれば、周囲の人々から認められ、自分の行為の価値を確認できたのだ。しかし、現在では価値観が多様化し、自分の行為や趣味を測る価値基準が見えないため、どのように行動すれば認められるのか、きわめて不透明になっている。他者に認められるための判断基準が見えない時、私たちは相手の出方を慎重に見ようとするだろう。場の空気を読み、そのふるまい、微妙な言動に注意し、相手の意図を理解しようとする。周囲の人間に忖度し、同調する人たちが増えているのは、こうした社会状況ゆえな...共感の正体①
『お寺の行動経済学』(2023/4/7・中島隆信著)、2005年に『お寺の経済学』に出版しているが、第二段です。宗教法人の改革について、書いているのでその部分だけ転載します。宗教法人改革の私案を以下、提示したい。参考にしたのは。2008年12月に施行された「公益法人制度改革」で、その内容は、全ての財団法人と社団法人に対して、行っている事業の公益性を担保するための条件を提示し、それがクリアできたところを公益法人とし、できないところは一般法人になるというものであった。この原則を宗教法人にあてはめるならば、⑴収益事業の割合、⑵檀信徒数、⑶外部評議員という3つの条件が適当と考えられる。そして、これらの全てのよう条件をクリアした法人のみを公益宗教法人とし、それ以外を。一般宗教法人とするという考え方だ。収益事業の割合...お寺の行動経済学
『心理療法の精神史』(2023/5/10・山竹伸二著)のつづきです。歴史的な流れで言えば、一九世紀から二〇世紀前半までは、近代の心理療法も社会への復帰、社会適応を重視するものが多かった。近代以前の心理療法のように、神話や宗教的価値観から解釈することはなくなり、不合理なものは排除されるようになったが、科学的な理性の許す範囲で、一般的な社会の価値観、人間観から解釈されてきたのである。しかし、やがて心理療法の役割にも変化が見られるようになった。それは、社会の価値観が多様化し、自由に生きる可能性が拡がるにつれて、自由に生きたい、自分の力を発揮したい、自分の感性や個性を大事にして生きたい、自分らしくありたい、という欲望が人々の中にめばえてきたからだ。自由に生きたい、行動したいと思っても、親の承認や身近な人々の承認を...『心理療法の精神史』5
『毎日新聞』夕刊(2023.8.1)に「無縁社会の処方箋」で小谷みどりさんに聞くーが掲載されていました。データーの部分だけ転載します。単身世帯は急増している。厚生労働省が7月に発表した国民生活基礎調査によると、22年の全国の単身世帯は過去最高の約1785万世帯で、全世帯の32・9%を占める。実に3分の1の世帯は1人暮らしなのだ。単身に限らないが、高齢者世帯も約1693万世帯と全世帯の31・2%に及ぶ。国立社会保障・人口問題研究会の「生活と支え合いに関する調査」(17年)によると、1人暮らしの高齢男性で毎日会話をするという人は49・5%。半数を超える人が、一日誰とも話さないのだ。そして、7人に1人は会話の頻度が2週間に1回以下でしかない。男性よりも女性の方が社交的とされるが、1人暮らしの高齢女性をみても毎日...無縁社会の処方箋
『心理療法の精神史』(2023/5/10・山竹伸二著)のつづきです。近年、多くの心理療法で治療者と患者の関係性が重視されるようになったのは、人間が自己の存在価値に対する承認を求めていることと無関係ではない。治療者の共感、受容的態度は、患者にとっては「承認」として感じられる。ありのままの自分か受け容れられ、認められている、という安心感が、自由に生きようとする心を勇気づける。自分の感じていること、したいことを大事にしてよいのだと、そう感じることができるのだ。これに対して、現代の心理的治療者における共感、受容的な態度は、特定の価値観に基づく行為への承認ではなく、存在そのものへの無条件の承認である。この違いは、他者の要求に従うことでほめられる場合と、他者に従わなくとも、あるがままの存在が受け容れられる場合を考えれ...『心理療法の精神史』4
「ブログリーダー」を活用して、仏教を楽しむさんをフォローしませんか?
昨26日から29日迄、築地本願寺において「親鸞聖人誕生850年、立教開宗850年記念慶讃法要」です。昨日、10人で団体参拝、庭儀があり荘厳さな法要でした。満堂で700人といった参会者でした。記念冊子が無料で配られましたが、その冊子の中に、当日、ライブ配信されているE映像を参拝しながら見られるようにQRコードでも印刷してあれば、ラジオを聴きながら野球観戦するように楽しめたと思いました。築地の慶讃法要
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。アメリカの教科書の209篇、日本の教科書の211篇を分析の対象としているが、「強い個人」というテーマはアメリカでは53篇もあるのに対して、日本ではわずか7篇にすぎなかった。細かく見ていくと、「自己主張」というテーマはアメリカの7篇に対して日本では皆無、「自立心・独立心」というテーマもアメリカの7篇に対して日本では皆無、「強い意志」というテーマはアメリカの15篇に対して日本ではわずか1扁であった。アメリカの教科書で多く取り上げられている「自己主張」というテーマが、日本の教科書ではまったく取り上げられていない。このように、「自己主張」をよしとするアメリカ文化と「自己主張は慎むべし」:とする日本...思考停止という病理②
『思考停止という病理:もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』(平凡社新書・023/5/17・榎本博明著)からの転載です。相手を信頼すぺきで疑うのは失礼だ、と思う心理日本で生まれ育つと、当たり前のようになっており、とくに意識しなしことも、海外の人と接すると強烈に意識せざるを得なくなるということがある。その一つが、人を疑ざず信頼しようとする心理傾向だ。私たちは、生まれ落ちた社会の文化にふさわしい人間につくら行く。これを社会化と言うが、日本に生まれれば日本人らしく自己主張を慎み、謙虚さを身につけ、相手を尊重し、思いやりをもって相手の気持ちを汲み取ろうとするようになるとともに、信頼すれば相手ば必ずこちらの気持ちに応えてくれるはずと信じ、人を疑うのは失礼だといった感覚を身につけてしく。アメリカに生まれれば、アメリカ人...思考停止という病理①
『パラサイト難婚社会』(朝日新書・2024/2/13・山田昌弘著)からの転載です。古くを振り返れば、平安時代の貴族階級は紫式部の『源氏物語』に見られるように、女性は親元に住み続け、そこに夫が通ってくる「妻問」、いわゆる「通い婚」が一般的でした。男性が3日問続けて女性のもとに通い続けると、4日口に女性の両親も含めて会食をし、それで「結婚が成立した」とみなされる時代だったのです。実際に、『源氏物証』のストーリーの核ともなる男女の恋愛模様は、(主に貴族階級に限ってですが)1人の夫に複数の妻という「一夫多妻」の慣習があったればこそ。あの時代に現代的一夫一婦制が確立されていれば、日本文学の革たる名作もこの世には生まれなかったはずです。光源氏は、葵の上という正妻がいながら父の後妻と関係を持ち、のちに正妻格となる紫の上...パラサイト難婚社会
本日、午前11時から西方寺本堂・庫裏建設の起工式です。設計は長野県の中村建築研究所、施工は松井建設です。設計に3年かけて、本日に至りました。表白(起工式)敬(うやま)って光(ひか)りといのちきわみなき、阿弥陀(あみだ)如来(にょらい)のご尊前(そんぜん)に申(もう)し上(あ)げます。如来(にょらい)は、われら凡夫(ぼんぶ)を、無量(むりょう)の智慧(ちえ)と慈悲(じひ)とをもって育(はぐく)み、金剛(こんごう)不壊(ふえ)の信(しん)を恵(めぐ)んで無明(むみょう)の長夜(ちょうや)に、無碍(むげ)の一道(いちどう)をお示(しめ)しくださいました。いまここ柏市(かしわし)布施(ふせ)の地(ち)に、諸(しょ)縁(えん)ととのい、法(ほっ)照山(しょうざん)西方寺(さいほうじ)、本堂(ほんどう)建設(けんせつ...西方寺本堂・庫裏建設の起工式
この3月まで「本願寺派仏教婦人会総連盟講師」でしたが、定年です。この2年間は、各教区への研修会出講が、コロナのため少なく、西方寺にとってが、助かりましたが、個人的には、燃焼不足でした。この4月からは「本願寺監事」に就任しています。本日が、初会合で京都出張です。本願寺派の監事は、「宗派監事2名」「本願寺監事2名」「築地本願寺監事2名」おり、指名されて初めて、そのような事後とがあることを知りました。本願寺監事
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。鎌倉での一切経校合に参加する関東時代の親鸞の行実としては、鎌介での一切経校合もしばしば注目される。覚如撰述の『囗伝鈔』によると、北条時氏が鎌倉で政治を執っていた頃、北条氏が願主となって一切経(大賊経)の書写が行われた。このときテキストの校合のために学僧を招請することになったが、そこで親鸞が尋ね出されて推挙され、親鸞は招請に応じて一切経の校合を行ったのだという。『親鸞正明伝』には、親鸞は六十余歳のとき相模国江津(神奈川県小川原市出府津)にしばらく滞在したが、ちょうどこのとき北条泰時(時氏の父)が鎌介で一切経書写の校合慶讚の怯要を催していて、優れた利者ということで親鸞はその法要に招かれ、校合の責任者(京匠)になった、と書かれている。『親鸞伝絵』...鎌倉での一切経校合
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。坊守のモデルとされた玉日姫親鸞と玉日姫の結婚については、あくまで伝説とみて、そもそも玉日姫の実在を疑う研究者も多い。たしかに、法然が親燃の六角堂夢告のことをあらかじめ知っていたというくだりなどは、できすぎた話であるように思える。また、下級貴族出身の遁世僧と摂関家の娘では身分が違いすぎて結婚することなどありえない、という見方もある。江戸時代には、玉日姫の法名が恵信尼だとされて、両者が同一人物と考えられたこともあった。だが、親鸞と玉日姫の結婚譚は、関東門徒系の親鴬伝である『親鸞因縁』にも、『親鸞正明伝』とほぼ同じような内容をもって書かれている。しかし結局、『親鸞正明伝』が語る親鸞とに玉姫の結婚譚がなによりも興味深いのは、親鸞がなぜ妻帯に踏み切っ...坊守のモデルとされた玉日姫
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。『親鸞正明伝』が記す九条兼実の娘玉日姫との結婚譚現代では親鸞の妻というと忠信尼のイメージが根強いだろうが、「親鸞は恵信尼と一緒になる前に別の女性と結婚していた」とする伝承も真宗教団では古くからみられた。その女性というのが、第1章でも言及した、関白九条兼実の娘とされる玉日姫だ。親鸞と玉日姫の結婚について詳述するのはり「親鸞正明伝」である。親鸞は法然の門下に入っておよそ半年後の建仁元年(1201)十月、すなわち二十九歳のとき、法然の指示によって玉日姫と結婚したのだという。同書のそのくだりを、要約して記してみよう。〈建仁元年十月上旬、九条兼実が法然の吉水の禅房を訪ね、仏法談義をかわした。そのとき、兼実が「出家の念仏と、私のような在家の念仏とでは、...玉日姫との結婚譚
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。親鸞の師、慈円次は親鸞出家の師となった天台憎慈円である。慈円は摂政・関白を務めた藤原忠通の子で、久寿二年(1155)の生まれ。源平合戦期に政界の中枢に身を置いて摂政(1186~91)・関白(1191~96)を歴任し、かつ政界引退後は法然に深く帰依した九条兼実は、同母兄である。慈円は永万元年(1165)、十一歳のときに比叡山延暦寺に入り(入室)、覚快法親王(鳥羽天皇皇子)の弟子となる。仁安二年1167)に出家し、当初は道快と袮して密教を学んだ。養和元年(1181)に慈円と改名。建久三年(1192)、三十八歳のときに天台座主(延暦寺のトップ)に就任し、後鳥羽都連の優の護持僧となった。関白兼実の後押しもあったのだろう。この後にも、慈円は三度、天台...親鸞の師、慈円
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)からの転載です。日野範綱は親鸞の父有範の兄、つまり親鸞の伯父であった。後白河法皇の近臣であったので、平清盛が後白河を制して覇権を握っていた時期は苫渋をなめたとみられるが、治承五年閏二月、つまりちょうど親鸞が出家した「春」(旧暦で1~3月)に含まれる時期に清盛が没し、後白河の院政が再開されている。この時期の範綱の眼前には久々に光がさしていたのではないだろうか。その範綱が親鸞の養父となっていたのはなぜか。かつては、「親鸞の実父有範が早世したため、範綱が父親代わりとなっていたのだ」と考えられていて、『親鸞正明伝』は有範だけでなく親鸞の母親も早世したと記している。しかし、近年ではこの見方は支持されていない。昭和戦後に、親鸞の弟で、僧侶になっていた兼有が有範の中陰の...有範の中陰の供養
『親鸞に秘められた古寺・生涯の謎』(山折哲雄編者)執筆者は古川順弘氏、小本ながら内容のある本です。からの転載です。たとえば、西本願寺が所蔵する親鷺自筆の六字名に、「康元元年十月二十八日」という揮毫した年月日と、「八十四歳」という当時の年齢(数え年)が明記されたものがある。六字名号とは「南無阿弥陀仏」と書かれた掛軸のことで、真宗教団ではこれが本尊となる。康元元年は西暦一一五六年にあたるので、ここから逆算すると、承安三年(一一七三)という生誕年が導かかる。誕生日を四月一目とする伝承があり、現在の西本願寺はこの日を新暦に換算した五月二十一日に親鷺降誕会を行っているが、四月一口生誕は江戸時代に広まったものであり、確たる根拠があるわけではない。(以上)(つづく)親鸞聖人の誤誕生日は、歴史的には定かではありません。親鸞聖人の誕生日
本願寺出版社刊『大乗』に、この4月号から「なるほど仏教ライフ」を、署名入れで連載することとなりました。2024.4月号連載原稿です。能登半島地震から三か月が経過した。「今日、交通事故で死ぬかもしれない命」。法座で良く聞く言葉だが、聴衆に、災害で肉親を失った方がおられたら、その言葉は重すぎて説くことができないだろう。本来、諸行無常は、自分を安全な場所におきて語ることできないみ教でもある。元本願寺派総長で故豊原大成氏(2022.1.23亡)は、阪神・淡路大震災(H7.1.17)で三人の肉親を失われる体験をされた。その豊原氏がNHKテレビ『宗教の時間』(「この命を未来につないで。阪神・淡路大震災から22年」)に出演され、次のように語っておられた。「諸行無常はいわば建前、涙こそ本音。私は今もこの建前の無常と本音の...なるほど仏教ライフ①
本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』に2022年4月号から毎月、執筆者無記名のコラムに執筆しています。出版社から三か月は掲載しないでとのことで、期限切れから掲載しています。24年12月号掲載文です。現状維持バイアス言葉には、人間の性質や情念、社会のあり様などを可視化するはたらきがある。三十数年前、幼稚園の講演会に児童精神科医の佐々木正美(1935~2017)先生をお招きしてお話を伺ったことがある。講演の中で、文化人類学者の我妻洋氏(1985年没)の話を引用しておられた。それは「他罰化」のことで、地球上、どのような民族であっても、経済的、物理的に豊かな地域や文化圏に住んでいる人間ほど、外罰性とか他罰性という感情を強くもつ。豊かさと外罰性、他罰性、貧しさと内罰、自己罰という感情は結びつきやすい。これは、人類として...現状維持バイアス
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。ウォーミングアップのためにまず、紀元後第二千年紀にヨーロッパで確立された公式制度に多大な影響を及ぼした可能性の高い、WEIKD心理の四つの側面について考えよう。①分析的思考密接な社会的つながりを欠いた個々人からなる世界をうまく渡っていくために、人々はしだいに、関係性を重視して包括的に考えるのではなく、もっと分析的に世界を捉えるようになっていった。分析的にものを考える人は、個人と個人、あるいは事例と事例などの関連性に焦点を当てるのではなく、個人、事例、状況、あるいは物体をそれぞれ別個のカテゴリー(たいてい独特の性質をもっている)に割り振ること...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源④
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。これは、次のような三要素をもつ宗教団体の出現をほのめかすものだ。①互助を提供する相互依存ネットワーク、➁聖なる規範への献身の共有、そして③実存的不安や人生の無常に対処しやすくしてくれる儀式や超自然的信念。戦争やその他の災難が絶えない世界では、集団間競争の作用を受けて、この三要素を備えた宗教パッケージが普及していく。なぜなら、こうした宗教こそが、この重要な特質を欠く宗教との競争に勝利するからである(こうした宗教が「真実」だからではない。実際に、自然災害や戦争はいずれも、人々の宗教的信仰心を深め、儀式への参加を促すことを示す多数の証拠が得られて...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』③
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)からの転載です。一例を挙げよう。ネパール内戦が終結してから10年後に実施された調査では、多くの戦争関連の暴力にさらされた共同体ほど、(共同体の成員同士で行なう)公共財ゲームで協力行動が多く認められた。また、選挙で投票する人達、地域団体に加入している人の割合も高かっか。実際のところ、戦争の被害を受けていない共同体には、任意団体が全くなかったのに対し、戦争の被害を受けた共同体の七〇%に、農業協同組合、婦人会、青年団のような組織が設立されていた。ここでもやはり、戦争が、任意・体に加入しようとする人々の動賺づけを高めていた。戦争がなぜ、ヒトの心理にこのような効果を...『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』➁
『WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源』(2023/12/20・ジョセフ。ヘンリック著),今西康子翻訳)、英語タイトルの『WEIRD』は、「奇妙な」という意味であるとともに、W:Western(西洋の)/E:Educated(教育水準の高い)/I:Industrialized(工業化された)/R:Rich(裕福な)/D:Democratic(民主主義の)次の言葉の頭文字を取ったものとあります。世界16ヵ国で刊行されているそうです。以下転載です。翻訳者のあとがきからの転載です。ヒトにはもともと、他の霊長類と同様に、子どもを養い、配偶者と絆を形成し、近親個体を助けようとする本能が備わっており、人類社会の最も基本的な諸制度は、はるか昔からずっと、血縁関係やその拡大...WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ところで、集団規模を拡大することは、危険な敵からの防御や食物獲得の観点では有利だが、集団内の緊張を増加させるという点ではマイナスに作用する。そのことは、うまく対処できなかったなら集団の分裂につながる危険かあるだけに重大な課題といえる。ヒトの先祖とおなじように集団で生きる類人猿はそれに対処する手段を講じており、チニパンジーの場合には、緊張緩和の手段は複数の個体が接触しておこなう毛づくろいであり、これによって脳内に「脳内麻薬」と呼ばれるエンドルフィンが分泌され、幸福感が増大ことが確認されている。しかし、ヒトの先祖のように集団規模がさらに拡大されたケースでは、これだけでは緊張緩和の手段と...ホモ・サピエンスの宗教史③
『ホモ・サピエンスの宗教史-宗教は人類になにをもたらしたのか』(中公選書・2023/10/10・竹沢尚一郞著)からの転載です。ヒトのつかい、つまり婚姻関係の形成についてのモリスの解釈が妥当か否かは不明だが、チンパンジーは雑婚をするのに対し、すべての人間社会は婚姻制度をもつことが確認されているので、社会が生物学的な適応の過程で生じたことは確実だろう。つがいの形成の問いは別にして、ここで確認しておきたいことは、ヒトの固有の特徴である乳幼児期の引き延ばしと母親や周囲の人間に対する依存関係の延長が、ヒトが進化する過程で生じた生物学的適応にほかならないということだ。私たちは先に、二足歩行を始めたヒトの先祖が、ぶざまで、脆弱で、無防備な身体をもっていたことを見てきた。そして、ヒトがそれほど脆弱で無防備な身体をもつ存在...ホモ・サピエンスの宗教史➁
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。内的動機の持続性人間の内的動機に訴えかけて、節電のような、社会的行動を促進させることが、行動経済学の分野ではよく知られています。しかし、どの程度、その効果が長続きするものか、完全には分かっていません。そこで、私と共同研究者は、1012年夏、東日本大震災後の京都府南部で、経済産業省プロジェクトの一環として、一般家庭に、節電をお願いする介入と電気料金を1㌗あたり25円から最大100円程度まで時間帯別に変動させる介入の2種類を導入して、その持続効果を比較検討しました。その結果は、とても興味深いものでした。平均的な節電効果は、節電要求が3%、変動型電気料金が20%と大きく開きましたが、最初の数日に限れば、節電要求も8%とそれな...内的動機の持続性
『「ココロ」の経済学:行動経済学から読み解く人間のふしぎ』(依田高典著)からの転載です。幸福度研究の可能性経済的富と幸福の直接的関係に対する興味関心が高まったからでしょう。幸福調査で観察される定型的事実があります。国のなかでは所得と幸福の間で相関関係が見られますが、異なる国の間の比較では所得と幸福の間に相関関係がみられません。これを発見者の名をとって、「イースタリン・パラドックス」と呼びます。イースタリン・パラドックスを考えてみると、2つの説明が可能です。第一に、人間が気にするのは自分の絶対所得ではなく、他人との相対所得である。第二に、所得が上がれば、一時的に幸福度は増すが、すぐに慣れて幸福は元に戻る。そのように考えると、パラドックスをうまく説明できます。幸福調査で得られたデータをつぶさに検討することで、...イースタリン・パラドックス
『中外日報』(2023.4.19日号)新しい「領解文」の続報です。新しい「頷解文」本願寺派新しい「領解文」の問題点下新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関する多岐にわたる問題点について、今回は拝読・唱和の問題と背景にある組織的課題について取り上げる。(渡部梨里)総局は2023年度宗務の基本方針にのっとり、新しい「領解文」の拝読・唱和を進めている。第321回定期宗会で「理解か深まるまで拝読・唱和を待ってほしい」との請願書が提出されたり、これまで関係諸会議で出席者から現場の拝読・唱和に対する違和感や再検討を求める声が幾度も直接総局に伝えられたりしてきたが、施策に反映されていない。新年度を待たず早急に拝読・唱和を進めた背景には3月29日から始まった親鷺聖入御誕生850年・立教開宗800年慶讚法要での全体唱和を...新しい「領解文」の問題点下
『格差という虚構』(ちくま新書・2021/11/10・小坂井敏晶著)、一点だけ転載します。労働による収入を資本収益が上回り、金持ちがどんどんと富む。一方で庶民はますます貧しくなる。だから累進課税・富裕税・相続税などを通して富を財配分する必要があると論じる。だがメリトクラシーは正しいのか。米田の政治哲学者マイケル・サンデルが指摘する。メリトクラシーの思想は社会移動に関するのであり、平等ではない。それにます気づくべきだ。富者と貧者の深い溝が悪いとは言わない。金持ちの子も貧乏人の子も時問の経過とともに、能力に応じて地位が変わる、つまり彼らの努力と才能の結果て上昇下降も可能でなければならない。偏見や特権により底辺に折り付けられたり、頂上に安住できたりしてはならないと主張するだけだ。[……]メリトクラシーの究極の目...格差という虚構
21日、未明、深夜便「明日へのことば」を聴きながら、「やっぱりそうか」と思ったことがあります。ゲストは脚本家・東京芸術大学大学院映像研究科客員教授の大石みちこさん、「マダム・バタフライの「声」に耳をすませて」というテーマでのインタビュー形式のお話でした。大石さんは、映画が好きなこともあって39歳で受験、合格して映像研究科脚本構成一期生となり、2010年の映画「ゲゲゲの女房」の脚本を手掛けるなど、理論と実践を同時に学びながら後進に育成れている方のようです。お話の中で、次のような話がありました。大学に新しい映像研究科が設立されるという事を知って、入ることを決意しました。監督コース、脚本コース、プロデュースコース、技術パートがあり、撮影、照明、サウンドデザイン、美術、編集など7つのコース、7つの領域があって、監...結論から始まる物語
昨21日は京都、本願寺、前日から入りました。仏教婦人会総連盟の総会でしたが、私の仕事は、2時間、ひな壇の上で座っているだけでした。あたらめて「こんな仕事もあるよなー」と思いました。連盟講師は7名ですが5人参加で、一緒にひな壇の上に坐っていて、連盟講師○○さんと紹介されたとき、立って頭を下げる。それが唯一の役割でした。ネット配信での総会なので、現地参加者はほとんどが役員の人だけです。仕事としては、講師がひな壇にすらることによって「総会の権威付け」と、何か突発的な質問があったときに受け答えることです。無駄なようにも思えますが、考えてみると、自分の人生は大方、無駄なことに喜びを感じたり生き甲斐を感じたりしているので、これも良いかなと思った一日でした。無駄なこと?
『ポジティブ病の国、アメリカ』(バーバラ・エーレンライク著)、「ポジティブシンキングについては、アメリカ独特の無邪気な考え方だと思われがちだが、アメリカ独特とはいえないし、無邪気などという可愛らしいものでもない。アメリカとは大きく異なる環境でも、ポジティブシンキングはさまざまな国で政治的抑圧の道具になっている。」(本文より)本書は、19世紀からキリスト教の一別派として生まれ、20世紀にじょじょに浸透し、大衆化し、今やアメリカ合衆国の国民的強迫観念になり、現在の経済恐慌の要因のひとつでもあるpositivethinkingの弊害を論じています。ポジティブシンキングという心的態度が、人々に期待され押し付けられる「規範」となると、それは抑圧となり、現実把握の失敗、現実遊離、現実逃避へと導かれていく。本書の最初に...ポジティブ病の国、アメリカ
『中外日報』(2023.4.14日号)に「新しい領解文」問題をまとめています。その「上」です以下転載。本願寺派新しい「領解文」の問題点を探る上浄土真京本願寺派で1月16囗に発布された「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)についての消息」に対し、これまで勧学や司教、宗会議員や布教使、一般寺院僧侶、門信徒らから様々な声が上げられてきた。それらの声から、教学面、制定の経緯・手続き、拝読・唱和の推進など多岐にわたる問題点と、背景にある組織的な課題が浮かび上がってきた。上下2回の連載で今回は教学面と制定経緯について取り上げる。(渡部梨陽)法義大きく誤る懸念石上総長は発布経緯を説明新しい「領解文」は、2021年4月に大谷光淳門主が示した親教「浄土真宗のみ教え」に師徳の内容を加えた形で発布された。当初から教学面で疑問視...新しい「領解文」の問題点を探る上
「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)過日、勧学・司教有志の会は、このたび「ご消息」として発布された「新しい領解文(浄土真宗のみ教え)」(以下、「新しい領解文」)について、その文言全般を通じて、宗祖親鸞聖人のご法義に重大な誤解を生じかねないものであることを「声明(一)」において指摘した。この「新しい領解文」の文章表現について、石上智康総長の著書のなかに酷似する表現が多数見出されることは、すでに宗会等で指摘されているように周知の事実であるが、制定の経緯についても、宗会の質疑その他を聞く限り、極めて透明性を欠いている。そして総局の強引な方針によって、全国の僧侶・門信徒は困惑し、混乱は広がり続けている。ことに三月二九日から始まった親鸞聖人御誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年慶讃法要では、「新しい領解...「新しい領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する声明(二)
『中外日報』(2023.4.12日号)に「本願寺派聖教に基づく伝道をー新しい領解文勧学.司教ら声明第2弾」という記事が掲載されていました。以下転載します。浄土真宗本願寺派の学階最高位の勧学とそれに次ぐ司教ら19人が8日、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に対する第2の声明を発表した。総局が、伝統的に定められた「聖教」ではない新しい「領解文」に基づく法話や唱和を要請していることや、現代版「領解文」制定方法検討委員会の答申と反する名称を定めたことなどに対して「宗門の根幹を突き崩すもの」と強く批判し、新しい「領解文」の取り下げと、聖教に基づく伝道に立ち戻るよう求めた。声明は「勧学・司教有志の会」から出され、深川宣暢勧学を代表に、森田眞円氏、普賢保之氏、宇野恵教氏の4人の勧学と15人の司教か名を連ねる。(勧学と...勧学.司教ら声明第2弾
金の価格が高騰しているという。金Ⅰグラム9,406円とあり、1970年代以前における金の価格は、現在価格の7分の1程度とある。先般、たまに線香を購入する京都のお香の老舗から、「特価販売」というカタログが届いたので、拙寺報恩講導師用、また正月に供える線香を頼みました。30年前に伽羅を購入したときは、1グラム何千円だったかと思います。この度、購入したら品は伽羅1グラム30.000円、2グラム届きました。伽羅の線香は10本27.000円、線香は1本で充分、本堂を香りで満たします。沈香でもピンキリで、最近は法事に行った折、そのお宅にある抹香ではなく、自分で持参した沈香を使っていただいています。伽羅が高くなった
『アニミズム時代』(法蔵館文庫・岩田慶治著)、は、ほとんど読んでいませんが、ふとアニミズムと一切草木悉皆成仏は似ていると思いました。一切悉有仏性でもそうですが、「仏」という理想的世界によって統一されているが、アニミズムは、いのちのありようがバラバラになっているので、そのいのちに接する人の情念によって、悪になった善になったりするのかも知れません。以下、少しですが本から転載します。朝、庭におりたって木々にあいさつする。「今口は、木蓮さん」、「今日は、泰山木さん」。もちろん、木は返事をしない。しかし、泰山木の枝にぶらさがり、木蓮の肌に触れていると、ゴツゴツした、ザラザラした肌ざわりをとおして、木々の返事がかえってくる。自然のなかの応答、感覚のやりとり、そこにアニミズムの出発点があるのではなかろうか。あの枝にカミ...アニミズム時代
宗派から『新時代の浄土真宗』(浄土真宗本願寺派総合研究所編集、浄土真宗本願寺派情報メディアセンター本部編集)が送られてきました。PHPからの発刊です。ざっと目を通しましたが、みな宗報に掲載されていたことで、そう目新しいものがありませんでした。目新しいと言えば、読者「この商品をレビュー」つ次のようにありました。言い得ています。有難い指摘です。本願寺派は歴史と信用のある組織。ゆえに、親鸞の説く教義をもとに、時代に合う理念や行動が語られる本だと想像して、購入。しかし、読んでみると、社会経験が少ない教団のトップが、時代に合うわけでもない、仏教でもない事を語っている内容だと感じました。教団としては、行動理念を大谷光淳門主説かれる各言葉とし、念仏者の社会活動を模索したいようです。社会活動の内容として、地球温暖化、孤独...新時代の浄土真宗
土門拳の埋葬されている八柱霊園のお墓にご縁を頂いている。墓碑に「昭和22年8月土門真菜」とあり、それから浄土真宗とのご縁が出来たのではないかという話を書いた。土門拳は滅多にわが子のことを記していない。そのような興味から図書館から『土門拳のこどもたち』という写真集を借りてきた。以下、二つのことが記されていた。土門拳と「こども」の写真岸哲男(写真評論家、二松学舎大学名誉教授)の最後に、次の様にある。終戦直後の昭和21年-もう遠いむかしのことになったから、書いてもよかろう。当時6歳のかわいいさかりだった上門拳の次女の真菜ちゃんが、築地明石町の自宅近くの防火川水池で、あやまっておぼれ死んだ。その忘れようにも忘れられない不幸な思い出が、こどもにカメラを向けずにはいられない土門拳の深層意識下にきっとあるにちがいない。...土門拳のこどもたち
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。子どもの攻撃性を肯定的行動につなげるそれでは、子どもの攻撃性を肯定的行動につなげていくためには、親や教師の関わりとして何か求められるのでしょうか。子どもの攻撃性の肯定的側面をもっとも強調したストー「『人間の攻撃心』は、親は子どもが外界の危険や内部の攻撃的感情を適切に処理することができるという確信を持って養育すべしと述べています。つまり、子どもを「信じている」かどうかということです。これらの学説を一言でくくれば、家裁調査官と非行少年との関わりをテーマにしたNHKドラマ『少年たち3』(2002年8月放送)で上川隆也演じる家裁調査官が語った、゛”信じること、希望を持つこと、人間はつながっている”という台詞に集約...悪さをしない子は悪人になります④
4月9日(日)、中仏通信の講義で築地本願寺へ行くと「今日は花まつりで駐車できません」とのこと。何とか入れて貰いましたが、境内は1000位の人がいて、出店も「広島お好み焼き」など、屋台の出店と違って、本格的な店が20店舗くらい出店していました。大型の消防車も2台来ていて、お子さんを運転席に乗せて写真を撮るコーナーが人気でした。30年前の築地本願寺の「花まつり」は、銀座三越から築地本願寺まで、作り物の像を引いてのパレードと、子ども向けイベントをしていましたが、人を集めるのには、今の様な飲食を提供することが一番効果的なようです。「やっぱり人は、飲食など煩悩を満たしてくれるものが流行る」と思いながら境内をウロウロしてきました。築地本願寺の花まつり
引き続き『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。「悪」と攻撃性子どもの「悪」は、やんちゃ、いたずら、わるさ、反発、反抗などの攻撃性として表れます。ここで、「悪」と攻撃性について説明します。「攻撃」は意図的になされる危害行為で観察可能であり、「攻撃性」はその行動が生じる心理的な過程であると説明されることがあります。このように定義する限り、攻撃性は「悪い行為を生じさせる心的過程または心的エネルギー」となります。値かに、凶悪事件、粗暴事件などの反社会的非行は他者に危害を及ぼす攻撃行動であり、自傷、薬物乱用、援助交際などの非社会的非行は自分を傷つける攻撃行動です。非行、犯罪やいじめなどの問題行動のほとんどは、攻撃性の歪んだ発動によるものです。そして、それぞれの...悪さをしない子は悪人になります③
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)からの転載です。悪理学「悪」について説明します。動物行動学、生態学をもとにしながらさまざまな観点から「善」と「悪」について考察したL・ワトソン(『ダーク・ネイチャー悪の博物誌』は、善良なものが腐敗して邪悪なものに転じる契機を「悪理学の三原理」として次のように提示しています。第1原理一よいものは、場所を移されたり、周囲の文脈からはずされたり、本来の生息環境からはずされりすると悪いものになりやすい。どのようなことであれ、もっともよく生きられる場所から移動させられたり切り離されたり遠ざけられたりすると、よいものの安定性が乱され悪くなりやすいのです。そし、元の場所にも移された場所にも問題が生じてきます。ものにはそれぞれに応じた「居場所」...悪さをしない子は悪人になります②
『中外日報』(2023.3.31日号)に本願寺前執行長の武田昭英しが「新しい領解文」について、問題点を投稿していた。新しい「領解文」が全の僧侶・門信徒の間で念が沸き起こっています。宗会でも議論になったようですが、将来の本願寺教団の法義相続に大きな禍根を残すことに気いていたのは、一部の議員のみだったようです。いや、気付いていても、人事権を持った総長の気配りがあったのでないかと思われます。しかし、宗祖親鸞聖人のみ教えが捻じ曲げられることこそが一大事であり、浄土真宗にとって致命的なことです。宗会がこれを座視したことは今後の宗門の衰退に拍車をかけることになる可能性を危惧します。新しい「領解文」の問題点を簡潔に指摘してみます。「後生の一大事」という響きがない。「後生の一大事」は浄土真宗の要です。る。②機の深信が欠如...「新しい領解文」について、問題点
『悪さをしない子は悪人になります』(新潮新書・2023/1/18・廣井亮一著)、興味深いタイトルの本です。図書案内に次の様にあります。「悪」は排除するべきものではない。悪と善は相対的なものに過ぎない。大事なのは、総体としての生身の人間の中に「悪」を正しく位置づけることだ。罪を犯し、非行に走った少年であっても、「悪」を正しくその子の中に位置づけてやれば、それは人生をプラスの方向に導くためのエネルギーともなるのだ以前、このブログで〝ハトの喧嘩〟について紹介したことがあります。http://satukirou.hatenablog.jp/entry/2013/10/03/202215転載。鳩を籠に入れて喧嘩させると、際限なく殺し合う。相手が無様に倒れ伏してもその皮を剥ぎ続け、容赦のない追撃を加える。これが平和の...悪さをしない子は悪人になります①