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その部屋は僕の部屋からよく見えた。 向かい側のアパートの 一階の角部屋だった。 床まである大きな掃き出し窓には、いつもレースの白いカーテンがかかっていた。 レースのカーテンはけっこう厚地なのか、 昼間はこのレースのカーテンが閉まっていると、 部屋の中までは見えなかった。 カ...
二人はお互いの存在が かけがえのないものになっていった。 二人きりで過ごす時間が増え、 会えば夢中になって身体を重ねた。 「なぁ……ユノ…… このまま二人でどこかに逃げようか……」 「いいね…… とこがいいかなぁ……」 「どこか遠くがいいなぁ…… 周りに誰もいない山ん中とか...
チャンミンが抵抗していたのは最初だけだった。 ユノの年期の入った手練手管にチャンミンはあっけなく陥落した。 一度落ちてしまうと、 チャンミンはユノとの行為に夢中になった。 ユノと二人きりになると、 ユノに甘え、 深いスキンシップを求めた。 ユノはこの手の男の事情をよく知って...
最初……チャンミンはユノのことも警戒していたが…… 同じような年齢ということもあり、 二人はすぐに打ち解けた。 親交が深まるにつれ、 ユノの複雑な事情をチャンミンは知ることになる。 「男に……妾になれだなんて……」 チャンミンは呟いたが、 「この世界にはよくあることさ…… ...
side Y 幼い頃……親の借金のカタにヤクザに売られた。 顔立ちが綺麗だからと、直ぐ様幼児を好む変態の巣窟に沈められた。 何人もの仲間がプレイの最中に亡くなり消えていった。 あこで生き延びれたのは奇跡だった。 年を重ね十代後半になると、金持ち相手の娼館に移動させられた。 ...
「おはようございます。」 「あら、ユノちゃん。 おはよう。」 「これお願いします。 いい天気ですね。」 「ほんとにね~ あ、ユノちゃん、夕べ杏を煮たのよ。 持ってって。」 「うわ、うまそう。 ありがとうございます。」 光州市郊外の山の中…… 秘境のような山あいの小さな村の、...
「お話中すみません。 課長……ちょっといいですか?」 ユノさんの部屋の中で捜査をしていた若い刑事らしき人が、 話している俺達に声をかけてきた。 「バスルームから血痕が出ました。 かなりの量です。 鑑識の結果待ちですが、おそらく袋詰めのほうはあそこで解体したと思われます。」 ...
「大丈夫か?」 刑事がカップに入ったコーヒーをくれた。 近くのコンビニで売っているやつだ。 「ありがとうございます。」 俺はコーヒーを受け取ると一口飲んだ。 ユノさんがいれてくれたものとは比べ物にはならないが、 温かくてうまかった。 ショックで固まっていた俺の身体に、コーヒ...
「こちらの捜査によりますと、 ほぼ間違いなく同一人物です。 チョン・ユンホ。 指定暴力団東方組の若頭です。」 刑事は写真をしまいながら俺にそう言った。 「暴力団の若頭? ユノさんが? まさか……」 俺は刑事に聞き返した。 「今……指紋を確認ていますが、まず本人で間違いないで...
「あれ……! あんた……」 カフェの中にいた男が俺に声をかけてきた。 警察関係者だろうか…… 男は床に散乱しているガラスの欠片を避けながら、 俺に近寄ってきた。 男が歩く度に、靴の裏に踏みつけられたガラスの破片が、バリバリと渇いた音をたてた。 「あんた、夕べここで撃たれた人...
次に意識が戻った時は病院のベッドの上だった。 多分、銃のようなモノで肩を撃たれてはいたが、 弾は肩をかすっただけで軽症だと医者に言われた。 撃たれたショックと出血で、 意識を失ったらしい。 傷を綺麗に縫合してもらい、痛み止めや化膿止めの薬をいくつかもらって、 翌日にはもう退...
「ミノ!! 大丈夫か!? ミノ!!」 「ユノ……さ……ん…… うっ………」 俺は起き上がろうとして、 肩の痛みに断念し、 床に仰臥した。 「動くな。 肩を撃たれてる。」 撃たれ……て……? 周りは真っ暗だ。 電気がついていない。 ユノさんが俺の肩にタオルを押し当ててくれた。...
次の日も俺は大残業だった。 コロナ禍でうちの課もほんとにやることが多い。 ヘトヘトになりながら帰宅の途につき、 ユノさんのカフェの前に着いた時には、 もう22時45分を過ぎていた。 カフェは23時までだ。 もう、ダメかな……… こんな閉店間際に行ったら迷惑かな……… ああ…...
「すみませ~ん。 お待たせしました~」 すぐにユノさんは出てきた。 服装はキチンとしていたが、 髪はまだ濡れていて、肩にタオルをかけている。 待っていたお客さんは常連さんだったので、 何度も謝るユノさんに、 「いいよ、いいよ」と笑ってる。 「こんな時間にどうしてシャワーなん...
俺は好奇心に負け、 ユノさんのプライベートな部屋の扉を開いた。 「ユノさん?」 電気は点いていた。 部屋の中は広いワンフロアーだった。 パッと見……… 家具の無い部屋だった。 手前に小さなキッチンがあり、 奥にベッドがある。 ベッドといっても、 マットレスと毛布が置いてある...
次の日、 俺は残業で、 何時もより少し遅れてカフェに着いた。 21時を少し過ぎた頃だった。 「こんばんは~」 店のドアを開けても、いつものユノさんの『いらっしゃい。』の声がなかった。 店の中には誰もいなかった。 電気は全部点いている。 店の扉の鍵も開いていた。 トイレに行っ...
「あ、ミノいらっしゃ~い。 おかえり~」 カフェに入るとユノさんの綺麗な笑顔が迎えてくれた。 それだけで癒される。 俺専用のスツールに座ると、 ユノさんがオーダーを聞いてくれる。 「いつものでいい?」 「はい、お願いします。」 この“いつもの”ってのが大事だ。 いかにも常連...
俺は仕事の帰りに毎日ユノさんのカフェに通うようになった。 小さなカフェなので、 平日でも、 客席は女の子で埋まっているのことが多い。 俺は邪魔にならないようにカウンターのスツールに座った。 カウンターには、本来スツールは無かったのだが、 俺が行った時、 たまたま満席で座ると...
その夜は、他に客もいなかったので、 俺は店員さんとずっと話をしながら、 台風が過ぎ去るのを待った。 話しながらお互いに簡単な自己紹介した。 「チェ・ミノです。 市役所に勤めています。 この裏のアパートに住んでいるんです。」 俺は店員さんに名刺を差し出した。 「高齢者福祉課で...
「いらっしゃいませ。 好きな席におかけください。」 ふりふりエプロンのイケメンは、 俺を席に案内してくれた。 「雨が酷いですね。 どうぞお使いください。」 ふりふりエプロンのイケメンはそう言うと、 俺に乾いたタオルを差し出した。 差し出されたタオルはピンク色で端にレースが施...
家のそばに小さなカフェがオープンした。 コーヒーがメインで、 ケーキや焼菓子を置いているらしい。 店の前を通る度にコーヒーの良い匂いに癒され、入ってみたいと思うのだが、 いかんせん店構えがファンシー過ぎて、 男の俺にはちょっと敷居が高かった。 営業時間は23時までとけっこう...
石になってしまった魔女の頭部は、 粉々に砕かれ砂にされた。 砕かれた砂は8つに分けられ、 国内の主要な教会に納められ管理された。 砂は各教会の主司教に託された。 各主司教は砂の入った器を、 教会の敷地内に隠し、 その場所は生涯誰にも語らぬことを宣誓した。 こうして‥‥ 黒い...
キィ‥‥と軽い音をさせ、 小屋の扉が開いた。 小屋の中はカーテンが引かれ、 昼間だというのに薄暗い。 「チャンミン? 他の人達は?」 小屋の中から、 竪琴のような声が響いた。 「安心しろ、ユノ。 皆、目をつぶっている。」 チャンミンが、呼んだ貴人の名前に、 その場にいた者達...
「魔女よ‥‥ 久しいの‥‥」 チャンミンはニヤリと笑った。 だが、その視線は定まらず、 魔女ではなく、 空を見ているかのようだった。 魔女はチャンミンの異変にすぐに気がついた。 トパーズのように美しかったチャンミンの瞳は、 今は白く濁っている。 「チャンミン王よ‥‥ その目...
「魔女の頭が入った箱を、 ここに持ってまいれ。」 チャンミンは新王に告げた。 新王は「え‥‥?」とビックリした。 「しかし‥‥ そんなことをしたら‥‥」 「大丈夫だ。 元は、私とユノが蒔いた種だ。 我々が責任をもって対処しよう。」 チャンミンは力強く頷いた。 それでも心配し...
チャンミンは新王の話を黙って最後まで聞いていた。 「そうか‥‥」 新王の話が終わると、 チャンミンは新王の声をたよりに手を伸ばし、 新王の肩に触れた。 チャンミンにとって新王はかわいい甥だ。 疲れきっている声の新王の肩を慰め撫でようとした。 「皇太子‥‥いや‥‥王よ‥‥ そ...
そこはまるで、 お伽噺の絵本の一ページのようだった。 庭は、 よく手入れされた緑の草におおわれ、 色とりどりの花が咲き、 兎、ヤギ、鹿、馬など大小様々な動物達が、 のんびりと草を食んでいる。 庭を囲むように、生い茂った木々は、 鮮やかな色の果実を実らせている。 木々の梢の間...
兵士達は傷ついた新王を馬に乗せ、 恐る恐る慎重に箱を持ち、 急ぎ城に帰った。 新王達の一行が城に到着すると、 すぐさま呪術師や賢者が集められたが、 もはや主だった者達は、 すでに病に倒れ他界しており、 残った者達では、箱を開けることすら叶わなかった。 城に帰った新王は、 切...
国中に蔓延した疫病と害草の問題を解決するべく、 新王は奔走した。 国の内外から賢者や医師を集め、 治療や除草に取り組んだが、 事態はいっこうに改善されなかった。 民は飢え、 病に倒れ、 次々と死んでいった。 呪いの元を断ちたくとも、 呪いの元凶である黒い魔女は、 前王である...
森の動物達に助けられ、 森の自然の恵みに助けれ、 または、 こっそりと差し入れに来た城の人々の好意に助けられ、 二人は森の古い家で、 二人だけの蜜月を過ごした。 「ん‥‥あ‥‥」 ユノは優しい愛撫に声をあげた。 二人は陽が沈むと、 1日の労働を癒しあい、 愛し合った。 チャ...
ユノはすぐには、 現状を受け入れることはできなかった。 しかし、 見えない目で、 火を起こそうとしたり、 湯を沸かそとしたりするチャンミン王を見て、 いてもたってもいられなくなった。 動物達は、すんなりチャンミン王を受け入れたようで、 チャンミン王が水を汲んだり、 薪を持っ...
「ユノ。 私には、もはや‥‥お前の姿は見えない。 だから‥‥大丈夫だ。」 「え?」 ユノはチャンミン王の言葉に驚いた。 「ユノ? どこだ? すまない。 私には‥‥お前がどこにいるか解らないんだ。」 解らない? ユノはベットの影から、 そろそろと目の当たりまで顔を出し、 チャ...
「ユノ‥‥」 チャンミン王は、 愛しい人の声がした方に向かって、 一歩踏み出そうとした。 「だ、だめです!! チャンミン様!!」 ユノの悲鳴のような声が聞こえた。 バタバタと走る足音と、 ドアを勢いよくバタンと閉める音がした。 だが、チャンミン王には、 ドアがどこにあり、 ...
ブランは、背中にチャンミン王を乗せて、 森の中をゆっくりと歩いた。 森の中は薄暗かったが、 やがて太陽の陽が降り注ぐ、 明るい場所に出た。 チャンミン王は、自ら傷つけた傷により、 物を識別する視力は奪われたが、 光を感じることは出来た。 明るい場所に出ると、 視界も明るくな...
「チャンミン様!!」 最初に、気がついたのは、 チャンミン王の部屋に、 朝の風を通そうと入室してきた女官で‥‥ 彼女の悲鳴が城中に響き渡った。 すぐさま医者が呼ばれ、 チャンミン王の手当てをしたが‥‥ チャンミン王の美しいブラウンの瞳は、 無惨に切り裂かれ、 嘆き悲しむ人々...
チャンミン王は、 魔女の亡骸の処理を賢者達に命じた。 賢者達は魔女の遺体を、 頭部、 右腕、左腕、 右足、左足、 上半身、下半身と、 7つに分断し、 それぞれが灰になるまで火にくべた。 丸々7日間、 火で燃やし続け、 ようやく骨まで灰になったが、 頭部だけは、 どうしても燃...
兵士らと、チャンミン王は、 魔女を捕らえるため、 魔女を拘束しようとした。 しかし、 魔女は、呪いの言葉と、 眼力の魔力を使い、 チャンミン王らを攻撃してきた。 チャンミン王達は、 魔除けの盾を使い、魔女の魔力をはね除けたが、 途中、兵士の一人が魔女の呪いを避けきれず、 絶...
「そなたに‥‥ 頼みたいことがあって来た。」 チャンミン王の言葉に、 魔女は、「おや‥‥」と、 片眉を上げた。 「高貴なお方が、 私などに何の頼み事でしょうか?」 「ユノの呪いを解いて欲しい。 さすれば、そなたの望みを何なりと叶えよう。」 魔女は、チャンミン王の言葉に、 キ...
王は、魔道師や占い師達に、 魔女の居場所を特定するよう命じた。 魔道師達も占い師達も、 持てる力の総力をあげ、 魔女の居場所をピンポイントで、 探そうとしたが、 全てを事前に察知した魔女が、 妨害を図ったため、 詳しい場所は解らなかった。 特定できたのは、方角だけだった。 ...
国中から、 学者や医者、 各地区の長老などからなる賢者達、 それから、 呪術師、 魔術師、 霊媒師からなる魔道師達が集められた。 チャンミン王も交え、 賢者達と魔道師達は、 ユノにかかった呪いを解く方法を、 三日三晩、 ほとんど寝ずに協議したが、 誰も、 森の魔女の呪いを解...
俺は急いでユノに電話した。 『はい?』 「ユノ? 俺‥‥」 『ああ、チャンミン? 元気か?』 「ユノ‥‥ あの‥‥ えっと‥‥」 勢いで電話してしまったが、 なんて言えばいいんだ。 『チャンミン?』 「ユノ‥‥ ジェジュンが来たんだ。」 『え、ジェジュン? いつ?』 「今、...
※閲覧注意 病み小説です。 元メンが登場します。 「よう、チャンミン。 久しぶりだな。」 「っ!!」 できれば‥‥もう‥‥一生会いたくなかったヤツが、 俺に声をかけてきた。 俺はその時、 カフェで彼女を待っていたので、 それなりに変装をしていたが、 彼は、たいして変装してい...
「石になる? 私がか?」 チャンミン王は、 近衛隊長に聞き返した。 「はい、そうです。 ユノ様を一目見た者は、 何人たりとも、 石になる呪いだと、書いてあります。 ならば、 ならば、 チャンミン様とて、 ユノ様を一目見たとたん、 石になってしまわれます。」 「まさか! 私は...
ユノの愛馬ブランは、 チャンミン王の命令で、 すぐに城に連れて来られた。 ブランの背中の鞍には、 皮の袋がしっかりと、 くくりつけられていた。 チャンミン王は、その袋に見覚えがあった。 ユノが愛用していた袋だ。 チャンミン王は、 ブランの背中から、急いで袋を外し、中を見た。...
チャンミン王は、 いらついていた。 愛しいユノが、 帰国するはずだった予定日を、 何日も過ぎても帰ってこない。 それどころか、 城下の民達は、 ユノが化け物になったと噂している。 ユノは、一旦は帰ってきたらしいが、 その美しい姿を見たものは、 みな石になってしまったというの...
森での生活が、落ち着いてくると、 ユノは、だんだんとチャンミン王のことが気になってしかたなくなってきた。 ユノが帰還したことは、 民の噂で、チャンミン王の耳にも入っているだろう。 そして、 ユノを見た人々が石になってしまったことも、聞いただろう。 チャンミン王は、石になって...
ユノは穴を掘るのをやめた。 動物達の暖かさに癒され、 当面、 自害するのはやめようと、 思いとどまった。 幸いここは森の奥深くだ。 こんな森の奥まで、 人が来る気配はないし、 魔女が住んでいたのとも反対側で、かなり距離がある。 ユノは、改めて小屋の中を見回した。 以前は誰が...
小屋の中に、 朝陽が差し込んできた。 また、朝が来た。 ユノの胸元には、 真っ白な兎と、 オレンジ色の兎が丸まっていた。 「暖かい‥‥」 ユノは、兎の毛玉に頬ずりをした。 「起きなきゃ‥‥」 起きて、穴の続きを掘らなくては‥‥ そして、 誰かにこの身を見られる前に、 早く自...
動物達の温かい体温のおかげか、 ユノは、ぐっすりと眠ってしまい、 翌朝、 小鹿に頬を舐められ、 起こされた。 「ん‥‥う‥んん‥‥ チャンミン様?」 ユノは、愛しいチャンミン王の頬に触れようとしたが、 手に触れたのは、 小鹿の柔らかな毛皮だった。 「うぁっ‥‥‥」 びっくり...
ユノは、小屋のドアを開けると、 恐る恐る、 中へと足を踏み入れた。 小屋の中には、 誰もいなかった。 中は真っ暗で、 窓からは月明かりが、 差し込んでいた。 以外に、広い。 奥に暖炉と、 ベッドが置いてある。 昔は、誰かが、住んでいたようだ。 ユノのあとから、 動物達もワラ...
「ディンディン‥‥ 俺‥‥これから‥‥ どうしたらいいんだろうか‥‥」 ユノは、ディンディンの背中を撫でながら、 つぶやいた。 魔女は、 『ユノを見た人間は、 全て石になる。』 と言った。 それは、文字どおり、 ほんとに人間だけで、 どうやら、 鳥や動物達は平気らしい。 だ...
ユノは、愛馬を駆り、 森の中に逃げ込んだ。 魔女に、遭遇した方向とは、 逆へ逆へと向かった。 薄暗い森の奥深くに入り、 ようやくブランの手綱を引き、 足を止めた。 辺りには、もちろん、 誰もいない。 ユノは、ブランから降りると、 地面にドサリと腰を下ろした。 落ちついて、 ...
突然、石になってしまった門兵に、 ユノは、驚愕した。 愛馬の手綱を引き、 止まろうとしたが、 ユノの逸る気持ちが愛馬に伝わり勢いが出ていたため、 急には止まれず、 愛馬が完全に足を止めたのは、 門の内側に入ってからだった。 「ユノ様、おかえりなさい!」 「ユノ様、ご無事で何...
突然、石になってしまった門兵に、 ユノは、驚愕した。 愛馬の手綱を引き、 止まろうとしたが、 ユノの逸る気持ちが愛馬に伝わり勢いが出ていたため、 急には止まれず、 愛馬が完全に足を止めたのは、 門の内側に入ってからだった。 ユノ様、おかえりなさい! ユノ様、ご無事で何より‥...
草の朝露が、 ポトリと頰に落ち、 ユノは、目が覚めた。 一瞬‥‥ 自分がどこにいるのか、 わからなかった。 ユノは身体をおこし、 辺りを見回した。 まだ、早朝だ。 辺りは朝靄に包まれている。 ブルルルル‥‥と、声のした方を見ると、 ユノの馬が草を食んでいた。 「‥‥‥‥ブラ...
やがて、3人は少し開けた場所に出た。 そこには、 古い丸太小屋が建っていた。 丸太小屋は、 全体がすすけたように真っ黒で、 所々コケが生え、 壁には、何匹もの蛇や百足が這っていた。 煙突からはモクモクと黒い煙が出ていて、 何かの肉が焼ける、異様な臭いが漂っていた。 「うっ‥...
ユノとディンディンは、 朝早くに、 ユノの実家を出た。 前の晩は、 雨が酷く降っていたが、 朝には、青空が広がり、 爽やかな晴天になっていた。 ただ、夜に降った豪雨のために、 街道の一部に土砂崩れがおこっていて、 通過できない場所があった。 ユノとディンディンはしかたなく、...
ユノは、その日の夕刻には実家に付き、 母親と対面した。 ユノの母は、床に伏していたが、 ユノの姿を見ると 涙を流して喜んだ。 幸い母の病状は、 心配したほど悪くはなく、 ユノが来たことにより、 気持ちに張りが出たのか、 目に見えて、回復していった。 「王様からお話をいただい...
翌朝早く、 ユノはチャンミン王のベッドを抜け出すと、 実家に向かって旅立った。 早朝ではあったが、 チャンミン王も一緒に起き出してきて、 遠慮するユノをなだめ、 城門まで送っていった。 いざ、城門についても、 チャンミン王は、 ユノを抱きしめたまま、 なかなか離してやること...
朝食が終わり、 チャンミン王は午前中の執務を行うため、 私室を出て、 謁見の間に向かった。 私室から出る際は、 侍従長を抱き締め、 『ごちそうさま。』と、 キスすることを忘れなかった。 午前中は、北の国からの使者と、 謁見の予定があった。 ユノも王の侍従長として、 謁見の間...
ユノは王の私室に入ると、 窓を開けた。 ついさっきまで、 この部屋で、 このベッドで、 チャンミン王の熱い剣に貫かれていた。 部屋の中の空気が、 まだ、どこか青臭いような気がする。 ユノは、部屋の中の空気を入れ換えると、 チャンミン王の着替えを手伝った。 花を浮かべた暖かい...
「あ‥‥ああ‥‥ 陛下‥‥ もう、堪忍してください‥‥」 「まだ‥‥ まだだ‥‥ もう少し付き合え‥‥」 「う‥‥ あ‥‥や‥‥」 朝‥‥ 鳥のさえずりがきこえる爽やかな朝‥‥ チャンミン王は、 広くなったベッドの白いシーツを撫でた。 まだ、仄かに暖かい。 夕べ、あんなに攻...
その日は、 ユノは夜のステージがあるからと、 昼前には、帰っていった。 チャンミンは、 あとで必ず観に行くからと約束し、 帰るユノに、キスをした。 チャンミンとテミンは、 ユノの車を二人で見送った。 「ユノヒョン、かわいい。 チャンミニヒョンがキスしたら、 うっとりしちゃっ...
ユノは、また、 ふっと目が覚めた。 ユノに‥‥と与えられた部屋にいて、 きちんと布団に寝かされている。 なぜ、自分がここで寝ているのか、 一瞬‥‥解らなかった 確か‥‥夕べ、窯に行って‥‥ チャンミンがいて‥‥ そうだ‥‥ 窯の前で、チャンミンと話をした。 チャンミ...
二人の足元で、 チャリンと音がした。 何かを踏んだ。 「あれ‥‥?」 ユノは、足元を見た。 何かある‥‥ ユノは、チャンミンの手を離し、 地面に屈むと、 それを拾った。 「あ‥‥」 ユノは、それに、 見覚えがあった。 ペンダントへッドが陶器で出来た、 ネックレスだった。 陶...
ユノは、灯りにつられるように、 フラフラと窯の方に向かった。 身体が重い‥‥ 足もガクガクする。 ほんとは、横になっていたい。 だが、ユノは窯に向かって歩いた。 あそこにチャンミンがいる? チャンミン‥‥ 窯の灯りが、 チャンミンが、 ユノを呼んでいる気がした。 チャンミン...
ユノは、ふっ‥‥と、目が覚めた。 辺りは真っ暗だ。 今が、何日で、 何時なのか‥‥解らない。 虫の鳴き声がするから、 きっと夜中なんだろう。 「チャンミン‥‥?」 ユノは、部屋の中を見回した。 チャンミンはいない。 「チャンミン? どこ? あっ‥‥」 立ち上がると、 チャン...
幸い、 チャンミンがいれてくれたカフェオレは、 普通のマグカップに入っていた。 どうみても、動物の骨入りのカップじゃない。 よかった‥‥ ユノは、安心して甘いカフェオレを、 飲んだ。 だが、胃が重かったせいか、 いつもはおかしいカフェオレが、 おいしく感じなかった。 だが、...
朝になり、 窯の火を消したチャンミンが、 戻ってきた。 チャンミンは、 シャワーを浴びると、 朝食も食べずに、 ユノにのしかかってきた。 「チャン‥‥ミン? あ‥‥ どう‥したんだ?」 穿たれるたびに、 チャンミンの髪から、 拭ききれなかった水滴か、 ポタポタと、 ユノの...
「テ、テミン!!」 「んふふ~ チャンミニヒョンでなくて、 がっかりした?」 テミンは、いきなり、 ユノの腹の上で、 腰を上下させ始めた。 「う‥‥ テミン‥‥」 「チャンミニヒョンは、 今晩は、寝ずの番だろ? 今夜は、俺と楽しもうよ。」 「ああ‥‥ テミン‥‥」 ユノは、...
その夜、 ユノは、チャンミンと一緒に夕食を取った。 夕食前に、チャンミンがシャワーを浴びに行った時、 ユノも一緒にバスルームに入り、 軽く抱き合った。 夕食後、 窯が心配だからと、 チャンミンは、 早々に窯の所へ戻った。 「一人にさせてしまって、 すみません。 今夜は、ゆっ...
骨の事が、 少しひっかかった以外は、 何事もなく、 チャンミンとの関係は順調に続いていた。 相変わらず、 チャンミンは、 優しく、 羽振りがよく、 SEXがうまく、 ユノに夢中で、 ユノにとっては、申し分ないスパダリだった。 やがて、 次の本格的な窯の火入れの時期になった。...
「チャンミン それ‥‥何?」 ユノは、チャンミンが、 窯からかき出した物を見て、 凍りついた。 「ああ‥‥ 犬の骨ですよ。」 「犬の骨?」 「はい。」 と、チャンミンは頷いた。 「近くの保健所から、 犬の死骸をもらい受けて、 燃やしているんです。」 チャンミンは、 火かき棒...
それからも、 二人は逢瀬を重ねた。 大抵は、チャンミンが、 ユノの店にステージを見に来て、 そのまま、 ホテルに直行した。 ごくたまに、 ユノが、まとまった休みが取れると、 ユノの方から会いに行ったりもした。 その日も、 珍しく5日間の休みがもらえたので、 ユノは、チャンミ...
窯が開いた次の日、 ユノは、再びチャンミンの工房を訪ねた。 ユノが着いた時、 ちょうど、窯から、 作品を出しているところだった。 大小様々な形、色の作品が、 次々と出されていく。 作品の作家達なのだろうか、 たくさんの職人達が、 作品を手に取り、 何やら話し合っている。 と...
チャンミンとのSEXは、 ユノに、 深い快感と、 癒しを与えた。 チャンミンは、 ユノの嫌がるやり方を、 一切、しなかった。 何も言わなくても、 ユノの触れて欲しいところに、 触れてくれるし、 ユノのして欲しいことを、 してくれる。 ユノに合わせて、 ユノの好きなリズムで、...
チャンミンがとっていたホテルは、 街で最高級のホテルだった。 部屋は、最上階のスウィートだった。 「すごいな……」 ユノは、 窓辺により、 窓から見える夜景に、 感嘆の溜め息をついた。 「気にいりましたか?」 「ああ……」 チャンミンは、 後ろからユノを抱きしめた。 「腹減...
ユノのステージが全て終わると、 チャンミンは席を立ち、 裏口に車をまわした。 舞台化粧を落とし、 学生のような身なりのユノが、 助手席に滑り込んできた。 すかさず、 チャンミンは、ユノの頭を抱え、 熱烈にキスをした。 唇が離れると、 ユノは、 はぁ……と、 熱い息を吐いた。...
その日は、 ユノは帰り、 夜には何事も無く、 ステージを勤めた。 次の日、 驚いたことに、 チャンミンが店にやって来た。 ユノは、 ステージ上から、 客席にチャンミンを見つけて、 びっくりした。 ステージが終わると、 ユノは、チャンミンの席まで出向いた。 突然、 客席に現れ...
部屋を出て、 居間の方に行くと、 ちょうど、 チャンミンが戻ってきたところだった。 「あ、ユノ。 おはようございます。 汗だくなんで、 ちょっと、シャワーしてきますね。」 あれから、 一晩中、 窯の前にいたのだろうか。 チャンミンは、 全身汗びっしょりだった。 チャンミンは...
「テミン…… も…… よせ……」 何度、 抱き合っただうか…… テミンは、 まだ、ユノのモノを、 口に含もうとした。 すでに、 明け方近くなり、 カーテンの外が、 白み初めている。 「テミン。 朝だ。 チャンミンが帰ってくる。 もう、よせ。」 テミンは、顔を上げた。 「チャ...
薄明かりの中、 テミンの白い裸体が、 浮かび上がった。 テミンは、全裸だった。 「テ、テミン? 何してるんだ?」 テミンは、 妖艶に笑った。 「ユノヒョンが素敵だったから、 我慢できなくて、 来ちゃった。」 テミンは、 再び、 ユノの股間に顔を埋めた。 「うっ…… や、やめ...
絵付けが終わると、 約束どおり、 二人で、 少し早めの夕食を食べた。 「これから徹夜だから……」 と、チャンミンは、 その夜は、 酒は飲まなかったので、 ユノも、それに付き合った。 代わりに、 食後にコーン茶を飲んでいると、 「やっぱり…… 少しだけ……」 と、 チャンミン...
二人は、飽きることく抱き合い、 やがて空が白み始めた頃、 互いの身体から、 やっと手を離し、 浅い眠りについた。 次の日は、 一緒に遅い朝食を食べ、 午後からは、 チャンミンが絵付けをするのを、 見学した。 まだ、焼く前の無地の皿に、 チャンミンが絵筆一本で、 美しい紋様を...
窯から戻ると、 チャンミンは、 「特別な部屋です。」と、 工房の奥の部屋に案内してくれた。 「どうぞ……」 ユノは、チャンミンに促され、 中に入った。 「うわ……」 そこはさながら、 陶器の美術館のようだった。 白い生地に、 極彩色の絵が施された陶器の芸術品が、 並んでいた...
工房の外に出ると、 建物の裏手は、 低い山になっていた。 チャンミンに促され、 山の方に向かって歩いていくと、 大きな窯が、 三台あった。 火が点いているらしい。 少し離れた所から見ていても、 熱い。 窯の前でも、 何人もの職人が作業していた。 「テミン!」 チャンミンは、...
チャンミンの工房は、 ソウル郊外の、 人里離れた寂しい場所にあった。 barで飲みながら、 チャンミンに説明された。 「何も無い田舎なんですよ。」 「俺の実家も田舎だよ。」 「よければ2、3日泊まっていってください。 古い家だけど、 部屋だけは、たくさんあるんですよ。 旅行...
その晩は…… 二人は話がはずみ、 楽しく飲み、 遅くまで語らった。 チャンミンは、 あたまの回転も早いらしく、 会話はウィットに富み、 面白く、 始終、 ユノを感心させたり、 笑わせたりした。 何より、 チャンミンの美しい顔を眺めながら飲む酒は、 とても旨かった。 ようす...
僕がくだらないことを、 鬱々と考えていると、 ユノが、 「う~ん……」と寝返りをうった。 顔が青白い。 さすがに、 やり過ぎたかな…… 日本では、 コンサートの前だったり、 後だったりで、 さすがに加減していたから、 こんなに思いきりやったのは、 久しぶりだ。 ユノは…… ...
ユノは、 女と…… できるんだろうか…… 女を……抱けるのかな…… 僕は、問題ない。 いずれ…… 年をとり、 人気が陰ってきたら、 胸の大きい、 若い綺麗な女と、 結婚すればいい。 頭のいい女がいいな。 子供も持てるだろう。 でも……ユノは? ユノは、そうなった時、 女を、...
Twitterを検索していると、 ユノが膝に、 小さな子供を抱え、 笑っている写真を見つけた。 たぶん…… ユノのストレスの原因は……これだ。 同級生の結婚式だ。 おおかた結婚式で、 『次は、あなたの番よ。』 とか、 『いい人は、いるの?』 とか、 周りに、いろいろ言われた...
何時間経っただろうか…… もう、お互い空っぽだ。 さすがに僕も、 もう、出すものが無い。 僕は、バスルームに行くと、 バスタブに湯を溜めた。 「ユノ 起きれる?」 「無理……」 「そのまま寝たら、 腹壊すよ。 ほら、立って……」 僕は、 ユノに手を貸し、 バスルームに連れて...
ユノの腰の動きが、 激しくなった。 フィニッシュが近いのかな…… 「あ…あ……達く チャンミン…… もう…達く……」 「達けよ……」 「う……ふ……」 ユノは、 前に触らなくても、 後ろだけで達ける。 「ああ……」 身体を小刻みに震わせながら、 ユノが達った。 白濁の液が、...
僕達は、昔からずっと、 過剰なストレスに、 さらされ続けてきた。 満足に、 外も歩けないほどの拘束。 寝る間も無いほどの、 過剰な仕事。 裏切り、妬み、嫉妬。 金銭問題。 それら全てのストレスを、 僕らは、性欲を発散する事で、 なんとかやり過ごしていた。 僕の初体験の相手は...
ユノは迷わず、 僕の股間に股がった。 男とのSEXに馴れたユノの身体は、 僕のモノを難なく飲み込んでいく。 「ん…んん……」 ズルズルと、 僕のモノは、 ユノの身体に包まれた。 「ふっ……」 僕も思わず、 快感のため息をもらした。 相変わらず、 凄い締め付けと快感だ。 腹...
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