化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)は、多くのがん患者が経験するつらい副作用の一つです。とくに、アントラサイクリン+シクロホスファミド(AC療法)のような高催吐性化学療法では、その管理が難しいことも少なくありません。今回ご紹介するのは、抗…
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2025年7月
乳がん化学療法後の吐き気対策に「5mgオランザピン」が有効?(DB-RCT; Lancet Oncol. 2025)
化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)は、多くのがん患者が経験するつらい副作用の一つです。とくに、アントラサイクリン+シクロホスファミド(AC療法)のような高催吐性化学療法では、その管理が難しいことも少なくありません。今回ご紹介するのは、抗…
CagriSema併用療法が肥満治療の新たな選択肢に|セマグルチド+カグリリンタイドの効果とは?(DB-RCT; REDEFINE 1試験; N Engl J Med. 2025)
GLP-1受容体作動薬「セマグルチド」はすでに肥満や心血管疾患リスク低減で高い評価を得ています。一方、アミリン類似体「cagrilintide(カグリリンタイド, カグリリンチド)」も初期段階で有望な体重減少効果を示しています。今回のRE…
日本のプライマリ・ケアにおける“低付加価値医療”の提供実態(日本の横断研究; JAMA Health Forum. 2025)
患者に明確な利益をもたらさない「低付加価値医療(low-value care)」は、医療資源の浪費や不必要な副作用リスクの原因として、国際的に注目されています。これまでの研究は主に米国を対象としており、日本における医師の特性と低付加価値医…
納豆をよく食べる高齢男性は長生き?|発酵大豆食品と死亡リスクの関連(日本の前向きコホート研究; Clin Nutr ESPEN. 2025)
発酵大豆食品として日本で親しまれている納豆。健康食品としてのイメージも強く、骨粗鬆症予防や動脈硬化の改善など、多くの効果が語られてきました。しかし、実際に「納豆を食べる人は長生きするのか?」という点を、長期間にわたって科学的に検証した研究…
週末の「寝だめ」が心臓や代謝の病気を防ぐ?|睡眠不足と多疾患リスクとの関係に注目
◆ はじめに:「寝不足は万病のもと」って本当?現代人の多くが抱える「平日の睡眠不足」。その影響を和らげるため、週末にまとめて眠る「週末の寝だめ(Weekend Catch-Up Sleep: WCS)」をしている方も多いのではないでしょうか...
心筋梗塞後の便秘が心不全による再入院リスクを高める?(後ろ向きコホート研究; BMC Cardiovasc Disord. 2025)
心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
LDLコレステロールを効果的に下げる新選択肢?(DB-RCT; VICTORION-Mono試験; J Am Coll Cardiol. 2025)
これまで高コレステロール血症の治療といえば「スタチン」が中心でした。しかし、近年注目されているのが、Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9(PCSK9)を標的としたRNA干渉療法「インク…
ベンゾジアゼピンの減薬はどのように進めるべきか?(SR&MA; BMJ. 2025)
ベンゾジアゼピン系薬(BZ系)や類似の睡眠薬(Z薬など)は、不眠症の治療薬として長年使用されてきました。しかし、依存や転倒リスク、認知機能低下といった副作用から、長期使用のリスクが懸念されています。そこで今回は、BZ系・関連睡眠薬(BSH…
2025年7月
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化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)は、多くのがん患者が経験するつらい副作用の一つです。とくに、アントラサイクリン+シクロホスファミド(AC療法)のような高催吐性化学療法では、その管理が難しいことも少なくありません。今回ご紹介するのは、抗…
GLP-1受容体作動薬「セマグルチド」はすでに肥満や心血管疾患リスク低減で高い評価を得ています。一方、アミリン類似体「cagrilintide(カグリリンタイド, カグリリンチド)」も初期段階で有望な体重減少効果を示しています。今回のRE…
患者に明確な利益をもたらさない「低付加価値医療(low-value care)」は、医療資源の浪費や不必要な副作用リスクの原因として、国際的に注目されています。これまでの研究は主に米国を対象としており、日本における医師の特性と低付加価値医…
発酵大豆食品として日本で親しまれている納豆。健康食品としてのイメージも強く、骨粗鬆症予防や動脈硬化の改善など、多くの効果が語られてきました。しかし、実際に「納豆を食べる人は長生きするのか?」という点を、長期間にわたって科学的に検証した研究…
◆ はじめに:「寝不足は万病のもと」って本当?現代人の多くが抱える「平日の睡眠不足」。その影響を和らげるため、週末にまとめて眠る「週末の寝だめ(Weekend Catch-Up Sleep: WCS)」をしている方も多いのではないでしょうか...
心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
これまで高コレステロール血症の治療といえば「スタチン」が中心でした。しかし、近年注目されているのが、Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9(PCSK9)を標的としたRNA干渉療法「インク…
ベンゾジアゼピン系薬(BZ系)や類似の睡眠薬(Z薬など)は、不眠症の治療薬として長年使用されてきました。しかし、依存や転倒リスク、認知機能低下といった副作用から、長期使用のリスクが懸念されています。そこで今回は、BZ系・関連睡眠薬(BSH…
2型糖尿病を抱える方の多くが、同時に高血圧を発症しています。これは心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管イベントのリスクを大きく高めるため、血圧管理が極めて重要です。しかし、体重減少を伴わない純粋な食事介入のみでの血圧改善効果については、こ…
◆ はじめに肺炎は入院治療が必要となる代表的な感染症であり、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者においては重篤化することも少なくありません。その治療の中心に位置するのが、第3世代セフェム系抗菌薬「セフトリアキソン(Ceftriaxone)」です。...
喘息治療の根幹は「吸入薬の継続的な使用」です。しかし、日常診療では服薬アドヒアランス(服薬遵守)の低さが問題視されています。そこで近年注目されているのが「デジタル吸入器(スマートインヘラー)」です。今回ご紹介するのは、デジタル吸入器の1年…
近年、SNS・スマートフォン・ビデオゲームの利用が低年齢層にまで広がる中、その「依存的な使い方」が子どものメンタルヘルスや自殺リスクに与える影響が注目されています。これまでの研究では「総画面時間」の影響に焦点が当てられていましたが、実際に…
変形性膝関節症(knee osteoarthritis:OA)は、中高年に多く見られる関節疾患で、慢性的な痛みや運動制限の原因となります。近年では、関節液貯留や滑膜炎(effusion-synovitis)を伴う炎症性OAの存在が注目され…
関節リウマチ(RA)は関節の炎症や破壊を引き起こす疾患として知られていますが、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった心血管疾患(CVD)のリスクが高まることも近年注目されています。しかし、アジア人集団での具体的なリスクや、薬物治療がCVDに与…
直接経口抗凝固薬(DOAC)は、静脈血栓塞栓症(VTE)や心房細動(AF)の治療に広く使用されており、その利便性や安全性から臨床現場での使用が急速に拡大しています。しかしながら、消化管出血(GI bleeding)という重篤な出血イベント‥
心房細動を背景に脳梗塞を発症した患者では、脳卒中再発の予防として抗凝固療法の導入が必須です。しかし、脳出血リスクを踏まえた際、抗凝固薬であるDOAC(直接経口抗凝固薬)の開始タイミングは依然として議論の余地があります。特に、慢性腎臓病(C‥
高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
心房細動(AF)や心房粗動(AFL)は、心血管・腎疾患や代謝異常(いわゆるCKMスペクトラム)における重篤な合併症のひとつです。こうした不整脈の発症は、心不全や腎機能悪化の予兆となりうるため、予防的介入が重要視されています。今回ご紹介する…
成人においては、β遮断薬(βブロッカー)が心不全の治療に有効であることが確立しています。中でもカルベジロール(商品名:アーチスト®)は、症状の改善や生命予後の延長に寄与する薬剤として知られています。しかし、小児や思春期の患者における有効性…
新生児の細菌性敗血症は、早期の診断と適切な抗菌薬治療が生存率に直結する疾患です。しかし、「何日間抗菌薬を投与すべきか」については、明確なエビデンスに乏しいのが実情でした。今回ご紹介する研究は、血液培養で細菌陽性となった新生児敗血症に対し、…
最近の研究では、標準的な抗血小板二重療法(DAPT)と比較して、短期間のDAPT後にP2Y12阻害薬(P2Y12i)単剤療法を行うことの安全性と有効性が同等であることが示されています。しかし、経皮的冠動脈インターベンションを受けた急性冠症…
日本におけるオピオイドによる過量投与による死亡は相対的に少ないですが、増加傾向にあります。近年、医療用オピオイドの使用が増加しており、それに伴うリスクについての懸念が高まっています。一方、アメリカでは、オピオイド関連の過量投与による死亡が…
JN.1亜系統(変異株)に対する最新のCOVID-19ワクチン(BA.4/5 二価, XBB1.5 一価)の予防効果に関するデータはまだ限られています。そこで今回は、2023年11月26日から2024年1月13日まで、JN.1を主因とする…
連続しない2日間の絶食と週5日間の習慣的摂取からなる間欠的絶食プランと食事代替食(5:2 MR)は、2型糖尿病患者にさらなる利益をもたらす可能性がありますが、実臨床における検証は充分ではありません。そこで今回は、初期2型糖尿病患者の血糖コ…
心房細動は2型糖尿病患者で発症しやすいことが報告されています。また、2型糖尿病は認知症を発症しやすいことも報告されています。しかし、2型糖尿病患者における心房細動の新規発症と、認知症の発症リスクとの関連性については充分に検証されていません…
米国の成人の3人に1人がマルチビタミン(MV)を使用しており、その主な動機は疾病予防であることが報告されています。しかし、MVがヒトの予後に及ぼす影響については充分に検証されていません。2022年に米国の予防サービス専門委員会は、ランダム…
心血管アウトカム試験の結果から、フェノフィブラート療法が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性が示唆されています。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。そこで今回は、糖尿病網膜症の進行に対するフェノフィブラートの効果を検証したラ…
血漿中のエイコサペンタエン酸(EPA, イコサペント酸エチル)濃度が低いことは心血管イベントと関連していますが、イコサペント酸エチルの補充により心血管イベントのリスクが低減するか否かについて充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈疾…
時間依存性的な抗菌薬であるβ-ラクタム系抗生物質は、最小発育阻止濃度(MIC)以上の血中濃度を維持できている時間が長ければ長いほど効果を発揮することが報告されています。したがって、持続投与が求められますが、β-ラクタム系抗生物質はMIC未…
コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患の血管再発を予防することが示されました。冠動脈疾患の典型的な原因が動脈硬化であるのとは異なり、虚血性脳卒中は動脈硬化や小血管疾患など多様な機序によって引き起こされるか、原因不明であることが多いことが…
冠動脈バイパス術後の臨床転帰に対するさまざまな抗血小板戦略について、いずれかの効果が優れているのかについては充分に評価されていません。そこで今回は、冠動脈バイパス術後の異なる抗血小板療法戦略(DACAB)試験を対象に、5年間の追跡調査の結…
便失禁の主原因として、経膣分娩に伴う肛門括約筋裂傷が重要視されています。1993年の報告では、産後6週間時点での便失禁は、初産婦の場合10%、経産婦の場合23%であることが明らかとなっています。肛門括約筋裂傷がある場合、分娩直後から肛門失…
現在または過去に妊娠糖尿病(GDM)を発症した女性において、産後に高血糖や2型糖尿病(T2DM)を予防または遅延させるための介入の有効性をよりよく理解するために、利用可能なエビデンスを統合することが求められています。そこで今回は、GDM後…
急性心筋梗塞後には心血管イベントの再発しやすさが報告されており、高比重リポ蛋白の主要蛋白であるアポリポ蛋白A1を介するコレステロール排出能の低下は、心血管イベントのリスク上昇と関連していることも報告されています。CSL112は血漿由来のヒ…
ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害薬は2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病患者の転帰を改善しますが、臓器不全を有する重症患者の転帰に対する効果は不明です。そこで今回は、SGLT-2阻害薬であるダパグリフロジンを標準的な集中治療…
DOAC使用は認知症の発症リスクの低減と関連しているのか? 認知症の危険因子である心房細動(AF)の発生率および有病率は長期的に増加しています。経口抗凝固療法は、心房細動による脳卒中やその他の悪い転帰のリスクを減少させ、認知症の健康格差を縮
SARS-CoV-2ワクチン接種をためらう理由としては、副反応への懸念が一般的です。ワクチン接種後に発現する副反応は、免疫反応の一部として理解されており、中和抗体反応との関連性が示唆されています。発熱、疲労、筋肉痛、関節痛などの全身反応は…
観察的抗血栓療法の比較評価を行ったSTOP-CAD(Stroke Prevention in Cervical Artery Dissection:頸部動脈解離における脳卒中予防)試験では、世界16ヵ国63施設から得られたデータ(n=3,…
手袋着用時の手指衛生のゴールドスタンダードでは、手袋を外して手指衛生を行い、新しい手袋を着用する必要があるとされています(WHO:Five moments for hand hygiene)。アルコールをベースとした手指消毒剤(ABHR)…
ナトリウム-グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)は心不全および腎臓関連の転帰を一貫して改善しますが、さまざまな患者集団における主要有害心血管イベント(MACE)に対する効果はあまり明らかとなっていません。そこで今回は、3つの患者集…