心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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心房細動(AF)患者が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた場合、抗凝固薬(DOAC)+抗血小板薬(DAPTではなくデュアルセラピー)による治療が推奨されています。ここで問題となるのが「抗血小板薬はアスピリンか?クロピドグレルか…
オレキシン作動薬の新星:ナルコレプシー1型に対するオベポレキストンの効果は?(RCT; TAK-861試験; N Engl J Med. 2025)
ナルコレプシー1型は、脳内のオレキシン(ヒポクレチン)ニューロンの喪失により生じる中枢性過眠症です。従来の治療は、症状を抑える対症療法(モダフィニル、メチルフェニデートなど)が中心でしたが、病態の根本であるオレキシン欠損に直接アプローチす…
高齢者の抗菌薬投与期間は「短くても問題ない」?(人口ベースコホート研究; Clin Infect Dis. 2025)
抗菌薬の過剰使用は、耐性菌の出現やC. difficile感染症の増加といった重大な問題につながります。こうした中で近年、抗菌薬投与期間の短縮が推奨されつつあります。一方で、実臨床では「本当に短くて大丈夫なのか?」という懸念が根強く、高齢…
軽症喘息にも配慮を|頓用アルブテロール+ブデソニド併用の有効性を検証(DB-RCT; BATURA試験; N Engl J Med. 2025)
喘息患者の中でも、「軽症」とされる群においては、発作時に短時間作用型β₂刺激薬(SABA)を頓用するだけの治療が一般的でした。しかし、SABA単独使用では重篤な増悪のリスクが残ることが、近年の研究からも明らかになりつつあります。アルブテロ…
断続的断食(4:3 IMF)は毎日のカロリー制限より効果的?(RCT; Ann Intern Med. 2025)
「断続的断食(Intermittent Fasting:IMF)」は、一定期間に食事制限を行い、その他の日は制限しないという摂取パターンで、近年注目を集める減量法です。その中でも「4:3 IMF(週3日の断食+4日の自由摂取)」は、比較的…
スピロノラクトンの代替となるか?アミロライドの非劣性を検証したRCT(PROBE法; JAMA. 2025)
抵抗性高血圧とは、適切な生活習慣の改善と3剤(ARBまたはACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、サイアザイド系利尿薬)による治療を行っても血圧がコントロールされない状態を指します。この領域では、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)であるス…
チルゼパチドへ切り替えると糖尿病管理が改善?(Open-RCT; SURPASS-SWITCH試験; Ann Intern Med. 2025)
2型糖尿病患者における血糖管理には、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)が広く用いられています。中でもデュラグルチド(週1回投与)は、血糖コントロール改善や体重減少効果が期待される薬剤として普及しています。一方、チルゼパチドは、GL…
急性虚血性脳卒中患者におけるロスバスタチンとアトルバスタチンの有効性比較(韓国の後向きコホート研究; J Am Heart Assoc. 2025)
急性虚血性脳卒中後には、再発予防や心血管イベントリスク低減を目的にスタチン療法が推奨されています。中でもロスバスタチンとアトルバスタチンは、強力なLDLコレステロール低下作用を有する代表的なスタチンですが、どちらがより効果的かに関しては、…
スタチン使用で白内障リスクは増加するのか?(日本の後向きコホート研究; Sci Rep. 2025)
スタチンは、高コレステロール血症や心血管疾患予防のために広く使用されているHMG-CoA還元酵素阻害薬です。しかし、スタチン使用に伴う白内障リスクの増加が指摘されており、その関連性は長らく議論の的となってきました。今回ご紹介する研究は、日…
インフルエンザとCOVID-19を同時予防?mRNA-1083ワクチンの効果を検証(Open-RCT; JAMA. 2025)
季節性インフルエンザワクチンとCOVID-19ワクチンは、高齢者にとって感染予防の要です。しかし、ワクチン接種率は依然として低調であり、感染リスク軽減のためには同時接種が望ましい状況です。mRNA-1083ワクチンは、インフルエンザウイル…
降圧薬の服用は朝か夜か? — 就寝時服用の心血管リスク低減効果を検証(PROBE法; BedMed-RCT; JAMA. 2025)
高血圧治療の一環として、血圧降下薬を朝に服用するか、夜に服用するかは議論の的となってきました。特に、夜間服用(就寝前服用)が心血管リスクを低減させるとの仮説が注目されましたが、大規模臨床試験では結果が一貫していないため、その有効性には疑問…
肥満治療におけるチルゼパチド vs. セマグルチド — より効果が高いのはどちら?(Open-RCT; SURMOUNT-5試験; New Engl J Med. 2025)
肥満治療薬として、チルゼパチドとセマグルチドは高い注目を集めています。両薬剤は、GLP-1受容体作動薬としての作用を持ちながらも、テルゼパチドはGIP受容体作動薬としての機能も併せ持つため、より強力な体重減少効果が期待されています。しかし…
膝変形性関節症にメトホルミンは有効か?(DB-RCT; JAMA. 2025)
メトホルミンは、2型糖尿病治療の第一選択薬として広く使われていますが、近年、抗炎症作用や軟骨保護作用が報告され、膝変形性関節症(膝OA)に対する有効性が注目されています。これまでの基礎研究や予備的な臨床データでは、メトホルミンが膝痛を緩和…
心不全患者におけるカルベジロールの安全性—COPDや喘息を合併する場合の検討(観察研究; Am Heart J. 2002)
心不全患者にβ遮断薬を使う難しさ慢性心不全(CHF)の治療において、β遮断薬(カルベジロールなど)の使用は必須ですが、気道病変を有する患者では慎重な投与が求められます。特に、COPDや喘息を合併する患者では、β遮断薬が気管支収縮を引き起こす...
胸痛で救急外来を受診したとき、どの症状が心筋梗塞を示唆するか?(前向き研究; Ann Emerg Med. 2010)
救急外来(ED)での胸痛は頻度が高く、急性心筋梗塞(AMI)を迅速に見分けることが求められます。従来、胸痛の部位や放散先、随伴症状を総合的に評価して診断が進められてきましたが、個々の症状の信頼性には限界があり、実臨床での診断精度を確立する…
手術後の嘔気・嘔吐(PONV)対策に新たな選択肢?—経皮電気鍼刺激ブレスレット(EmeTerm)の有効性を検証(DB-RCT; J Bone Joint Surg Am. 2025)
術後悪心・嘔吐(Postoperative Nausea and Vomiting, PONV)は、全身麻酔後の一般的な副作用であり、整形外科手術後にも高頻度で発生します。特に、腰椎麻酔下で実施される股関節全置換術(THA)や膝関節全置換…
メポリズマブは好酸球性COPDの増悪抑制に有効か?(DB-RCT; MATINEE試験; New Engl J Med. 2025)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気道の炎症と閉塞を特徴とする疾患であり、特に好酸球性炎症が20~40%の患者で見られます。好酸球が増加したCOPDでは、気道炎症が増悪を引き起こしやすいとされています。メポリズマブは、インターロイキン-5(I…
薬局での「おもてなし」手法が外国人患者の理解を深める?(RCT; Int J Clin Pharm. 2024)
グローバル化が進む中で、外国人患者や観光客が薬局を訪れる機会が増加しています。その一方で、言語の壁が薬剤師の服薬指導を困難にするケースが多発しており、適切な情報提供ができないことが患者の安全を脅かす要因となっています。本研究では、外国人患…
チルゼパチドの使用が急増?米国における処方パターンの変化を探る(人口ベースコホート研究; Ann Intern Med. 2024)
チルゼパチド(Tirzepatide)は、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)とGIP受容体作動薬(GIP RA)の二重作用を持つ新しい糖尿病治療薬です。2型糖尿病治療のみならず、体重減少効果が高いことから、肥満治療薬(WLM)とし…
心血管疾患の二次予防にコルヒチンは有効か?(RCTのメタ解析; Atherosclerosis. 2024)
近年、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の再発予防において、「炎症の制御」が注目されており、その代表的薬剤のひとつが「コルヒチン(Colchicine)」です。コルヒチンは本来、痛風やベーチェット病の治療に用いられる抗炎症薬ですが、心筋梗…
心拍数を下げる治療は心血管予後に有効か?(RCTのメタ解析; Eur Heart J. 2024)
心拍数(Heart Rate, HR)の上昇は、心筋虚血、心不全、突然死のリスクと関連することから、HR低下を目指す治療戦略が広く用いられています。しかし、高血圧や心血管疾患(CVD)患者におけるHR低下治療の本当のベネフィットは明確では…
長期のNSAIDs使用は認知症リスクを低下させる?― 約30年の追跡結果から(ロッテルダム研究; Alzheimers Dement. 2024)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、抗炎症作用に加えて、アミロイドβの蓄積を抑える可能性も指摘されており、認知症の予防に効果があるのではないかと長年考えられてきました。しかし、これまでの観察研究や短期介入試験では結果が一貫せず、N…
RAAS阻害薬による高カリウム血症をSGLT2阻害薬が抑える?(大規模コホート研究; JAMA Intern Med. 2024)
ACE阻害薬やARBなどのRAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)阻害薬は、糖尿病性腎症、心不全、慢性腎臓病(CKD)の進行抑制において中心的な役割を果たします。しかしその一方で、高カリウム血症(hyperkalemia)の…
酸化マグネシウムとロスバスタチンの相互作用に注意?(処方提案でスタチンを適切に選択した一例; 京都薬科大学紀要 2022)
脳梗塞の既往を有する患者に対し、二次予防目的でHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が処方されることは一般的です。今回ご紹介する症例では、ロスバスタチンを継続していたにもかかわらず、効果が不十分と判断され、新たにエゼチミブが追加されてい…
帯状疱疹ワクチン接種で認知症リスクが低下?(回帰不連続デザイン; Nature. 2024)
神経親和性をもつヘルペスウイルス(とくに単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルス)は、近年、認知症の発症リスクに関与する可能性が示唆されています。一方で、ワクチンには本来の感染症予防以外にも、免疫系に対する“オフターゲット効果(副次的免疫効…
セマグルチド関連の救急受診はどれくらい起きている?(横断研究; Ann Intern Med. 2025)
セマグルチド(商品名:オゼンピック、ウゴービなど)は、2型糖尿病や肥満治療薬として急速に普及しています。承認申請時の臨床試験では、主に消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢など)が副作用として報告されていましたが、実臨床での安全性データは限られて…
アベラシマブは心房細動患者において出血リスクを低下させるか?(RCT; AZALEA-TIMI 71試験; N Engl J Med. 2024)
心房細動患者では、血栓症予防のために抗凝固療法が必要ですが、出血リスクが治療上の重要な課題となっています。アベラシマブは、非活性型第XI因子(FXI)に結合し、その活性化を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体であり、新たな抗凝固戦略として…
非合併性尿道・性器淋菌感染症に対するゲポチダシンの効果は?(Open-RCT; EAGLE-1試験; Lancet. 2024)
近年、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)感染症に対して標準治療として用いられるセフトリアキソンとアジスロマイシンに対し、耐性菌出現の懸念が高まっています。ゲポチダシンは、細菌DNA複製を阻害する新規作用機序を有するトリアザ…
透析患者の心房細動、抗凝固療法はどう選ぶ?|FXa阻害薬 vs. ワルファリン(メタ解析; Int J Cardiol. 2024)
心房細動(AF)は、透析依存患者で特に高頻度にみられます。しかし、これらの患者では血栓塞栓症(脳卒中など)リスクと出血リスクが同時に高いため、抗凝固療法の選択が非常に難しいとされています。現在、ビタミンK拮抗薬(VKAs、例:ワルファリン…
PPIの使用量・期間が増えるとCDIのリスクが上昇する?(観察研究のメタ解析; Lancet Reg Health Eur. 2025)
クロストリジオイデス・ディフィシル感染症(CDI)は、世界的に見ても医療関連感染症の主要な原因の一つであり、PPI使用は重要な修正可能なリスク因子として知られています。しかし、PPI使用量や使用期間とCDIリスクの「量反応関係」はこれま…
【T2DM患者のCABG術前管理】エンパグリフロジンは術後急性腎障害を減らす?(PROBE法; POST-CABGDM試験; Diabetes Care. 2025)
2型糖尿病(T2DM)患者は、冠動脈バイパス手術(CABG)後に急性腎障害(AKI)を発症するリスクが高いことが知られています。AKIは術後転帰を悪化させ、予後に重大な影響を与えるため、リスク低減策の確立が課題となっています。今回紹介する…
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心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
これまで高コレステロール血症の治療といえば「スタチン」が中心でした。しかし、近年注目されているのが、Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9(PCSK9)を標的としたRNA干渉療法「インク…
ベンゾジアゼピン系薬(BZ系)や類似の睡眠薬(Z薬など)は、不眠症の治療薬として長年使用されてきました。しかし、依存や転倒リスク、認知機能低下といった副作用から、長期使用のリスクが懸念されています。そこで今回は、BZ系・関連睡眠薬(BSH…
2型糖尿病を抱える方の多くが、同時に高血圧を発症しています。これは心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管イベントのリスクを大きく高めるため、血圧管理が極めて重要です。しかし、体重減少を伴わない純粋な食事介入のみでの血圧改善効果については、こ…
◆ はじめに肺炎は入院治療が必要となる代表的な感染症であり、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者においては重篤化することも少なくありません。その治療の中心に位置するのが、第3世代セフェム系抗菌薬「セフトリアキソン(Ceftriaxone)」です。...
喘息治療の根幹は「吸入薬の継続的な使用」です。しかし、日常診療では服薬アドヒアランス(服薬遵守)の低さが問題視されています。そこで近年注目されているのが「デジタル吸入器(スマートインヘラー)」です。今回ご紹介するのは、デジタル吸入器の1年…
近年、SNS・スマートフォン・ビデオゲームの利用が低年齢層にまで広がる中、その「依存的な使い方」が子どものメンタルヘルスや自殺リスクに与える影響が注目されています。これまでの研究では「総画面時間」の影響に焦点が当てられていましたが、実際に…
変形性膝関節症(knee osteoarthritis:OA)は、中高年に多く見られる関節疾患で、慢性的な痛みや運動制限の原因となります。近年では、関節液貯留や滑膜炎(effusion-synovitis)を伴う炎症性OAの存在が注目され…
関節リウマチ(RA)は関節の炎症や破壊を引き起こす疾患として知られていますが、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった心血管疾患(CVD)のリスクが高まることも近年注目されています。しかし、アジア人集団での具体的なリスクや、薬物治療がCVDに与…
直接経口抗凝固薬(DOAC)は、静脈血栓塞栓症(VTE)や心房細動(AF)の治療に広く使用されており、その利便性や安全性から臨床現場での使用が急速に拡大しています。しかしながら、消化管出血(GI bleeding)という重篤な出血イベント‥
心房細動を背景に脳梗塞を発症した患者では、脳卒中再発の予防として抗凝固療法の導入が必須です。しかし、脳出血リスクを踏まえた際、抗凝固薬であるDOAC(直接経口抗凝固薬)の開始タイミングは依然として議論の余地があります。特に、慢性腎臓病(C‥
高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
心房細動(AF)や心房粗動(AFL)は、心血管・腎疾患や代謝異常(いわゆるCKMスペクトラム)における重篤な合併症のひとつです。こうした不整脈の発症は、心不全や腎機能悪化の予兆となりうるため、予防的介入が重要視されています。今回ご紹介する…
成人においては、β遮断薬(βブロッカー)が心不全の治療に有効であることが確立しています。中でもカルベジロール(商品名:アーチスト®)は、症状の改善や生命予後の延長に寄与する薬剤として知られています。しかし、小児や思春期の患者における有効性…
新生児の細菌性敗血症は、早期の診断と適切な抗菌薬治療が生存率に直結する疾患です。しかし、「何日間抗菌薬を投与すべきか」については、明確なエビデンスに乏しいのが実情でした。今回ご紹介する研究は、血液培養で細菌陽性となった新生児敗血症に対し、…
仕事のための通勤——多くの人が毎日繰り返すこの行為が、実は健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたらどうでしょうか?都市化が進む現代、経済活動を支える日常的な移動は避けがたいものです。この日常的な移動の影響について、充分に検証されてい…
β遮断薬は、成人のうっ血性心不全(CHF)治療の柱とされており、死亡率低下や入院率減少などの有効性が確立しています。しかし、小児における心不全は、原因や病態、生理的特性が異なるため、成人のエビデンスをそのまま適用することはできません。そこ…
心房細動(AF)は虚血性脳卒中の主な原因とされており、抗凝固薬(OAC)による予防が推奨されています。しかし、近年の研究や臨床現場からは「抗凝固薬を服用していても再発する」というケースが一定数報告されています。そこで今回は、AFに起因する…
持続性高血圧には、朝晩の日内変動や飲み忘れによる達成度の低下が課題です。Zilebesiran(ジルべシラン、ジレべシラン)は、肝臓のアンジオテンシノーゲン産生を標的とするRNA干渉(RNAi)薬剤であり、半減期が長く、3~6か月に1回の…
米国の成人の3人に1人がマルチビタミン(MV)を使用しており、その主な動機は疾病予防であることが報告されています。しかし、MVがヒトの予後に及ぼす影響については充分に検証されていません。2022年に米国の予防サービス専門委員会は、ランダム…
心血管アウトカム試験の結果から、フェノフィブラート療法が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性が示唆されています。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。そこで今回は、糖尿病網膜症の進行に対するフェノフィブラートの効果を検証したラ…
血漿中のエイコサペンタエン酸(EPA, イコサペント酸エチル)濃度が低いことは心血管イベントと関連していますが、イコサペント酸エチルの補充により心血管イベントのリスクが低減するか否かについて充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈疾…
時間依存性的な抗菌薬であるβ-ラクタム系抗生物質は、最小発育阻止濃度(MIC)以上の血中濃度を維持できている時間が長ければ長いほど効果を発揮することが報告されています。したがって、持続投与が求められますが、β-ラクタム系抗生物質はMIC未…
コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患の血管再発を予防することが示されました。冠動脈疾患の典型的な原因が動脈硬化であるのとは異なり、虚血性脳卒中は動脈硬化や小血管疾患など多様な機序によって引き起こされるか、原因不明であることが多いことが…
冠動脈バイパス術後の臨床転帰に対するさまざまな抗血小板戦略について、いずれかの効果が優れているのかについては充分に評価されていません。そこで今回は、冠動脈バイパス術後の異なる抗血小板療法戦略(DACAB)試験を対象に、5年間の追跡調査の結…
便失禁の主原因として、経膣分娩に伴う肛門括約筋裂傷が重要視されています。1993年の報告では、産後6週間時点での便失禁は、初産婦の場合10%、経産婦の場合23%であることが明らかとなっています。肛門括約筋裂傷がある場合、分娩直後から肛門失…
現在または過去に妊娠糖尿病(GDM)を発症した女性において、産後に高血糖や2型糖尿病(T2DM)を予防または遅延させるための介入の有効性をよりよく理解するために、利用可能なエビデンスを統合することが求められています。そこで今回は、GDM後…
急性心筋梗塞後には心血管イベントの再発しやすさが報告されており、高比重リポ蛋白の主要蛋白であるアポリポ蛋白A1を介するコレステロール排出能の低下は、心血管イベントのリスク上昇と関連していることも報告されています。CSL112は血漿由来のヒ…
ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害薬は2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病患者の転帰を改善しますが、臓器不全を有する重症患者の転帰に対する効果は不明です。そこで今回は、SGLT-2阻害薬であるダパグリフロジンを標準的な集中治療…
DOAC使用は認知症の発症リスクの低減と関連しているのか? 認知症の危険因子である心房細動(AF)の発生率および有病率は長期的に増加しています。経口抗凝固療法は、心房細動による脳卒中やその他の悪い転帰のリスクを減少させ、認知症の健康格差を縮
SARS-CoV-2ワクチン接種をためらう理由としては、副反応への懸念が一般的です。ワクチン接種後に発現する副反応は、免疫反応の一部として理解されており、中和抗体反応との関連性が示唆されています。発熱、疲労、筋肉痛、関節痛などの全身反応は…
観察的抗血栓療法の比較評価を行ったSTOP-CAD(Stroke Prevention in Cervical Artery Dissection:頸部動脈解離における脳卒中予防)試験では、世界16ヵ国63施設から得られたデータ(n=3,…
手袋着用時の手指衛生のゴールドスタンダードでは、手袋を外して手指衛生を行い、新しい手袋を着用する必要があるとされています(WHO:Five moments for hand hygiene)。アルコールをベースとした手指消毒剤(ABHR)…
ナトリウム-グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)は心不全および腎臓関連の転帰を一貫して改善しますが、さまざまな患者集団における主要有害心血管イベント(MACE)に対する効果はあまり明らかとなっていません。そこで今回は、3つの患者集…
アンギオポエチン様3(ANGPTL3)は、リポ蛋白および内皮リパーゼを阻害し、トリグリセリドに富むリポ蛋白残渣の肝への取り込みを阻害します。ANGPTL3欠損機能保有者は、非保有者に比べて、トリグリセリド、低比重リポ蛋白(LDL)コレステ…
アテローム性動脈硬化症による急性軽症虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者における二次的脳卒中予防および神経保護に対する即時集中スタチン療法と遅延集中スタチン療法の比較は限られています。脳梗塞急性期のスタチン投与は、インターロイ…
高齢者の経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)後の二重抗血小板療法(dual antiplatelet therapy, DAPT)の至適期間は不明です。そこで今回…
メトホルミンは広く用いられており、特に海外では妊娠糖尿病に使用可能であり、母体の体重増加や妊娠高血圧症候群、児の新生児低血糖のリスクを低減することが報告されています(注意:日本の添付文書においては妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投…
肥満は世界的な公衆衛生の問題になっており、中国は世界で最も多くの罹患者を抱えていることが知られています。持続性GIP/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチドは、副作用として紹介症状や体重減少をもたらしますが、肥満患者における有効性・安全…