心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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心筋梗塞後の長期アスピリン服用と心血管イベントの発生リスクとの関連性は?(データベース研究; Eur Heart J Qual Care Clin Outcomes. 2024)
心筋梗塞(MI)後のアスピリンは必須と考えられています。しかし、その長期的有効性については疑問視されています。そこで今回は、心筋梗塞後の長期的なアスピリンの有効性を検討したデータベース研究の結果をご紹介します。2004年から2017年にM…
日本の有害事象報告データベースを用いたアメナメビル誘発脳症の不均衡性解析(シグナル検出; J Infect Chemother. 2024)
抗ヘルペスウイルス薬による脳症は帯状疱疹治療を複雑にする可能性があります。しかし、最近開発された抗ヘルペスウイルス薬であるアメナメビル(商品名:アメナリーフ)と脳症発症との関連は不明です。アメナメビル誘発脳症の特徴を明らかにすることは、帯…
2型糖尿病患者における厳格な血圧コントロールは有効か?(RCT; BPROAD試験; N Engl J Med. 2024)
2型糖尿病患者における血圧のコントロール目標値は? 高血圧や2型糖尿病は合併しやすく、心血管イベントの発症リスクが高いことから、患者予後を悪化させます。しかし、2型糖尿病患者における収縮期血圧コントロールの有効な目標値は不明です。 そこで今
急性心筋梗塞におけるスピロノラクトンの定期的投与の効果は?(RCT; CLEAR試験; N Engl J Med. 2024)
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は、うっ血性心不全を伴う心筋梗塞後の患者の死亡率を低下させることが示されています。しかし、スピロノラクトンのルーチン使用が心筋梗塞後に有益かどうかは不明です。そこで今回は、2×2要因デザインの多施設共同試験…
駆出率が維持された心不全と肥満に対するチルゼパチドの効果は?(DB-RCT; SUMMIT試験; N Engl J Med. 2024)
肥満は駆出率が維持された心不全のリスクを増加させることが知られています。グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチドおよびグルカゴン様ペプチド-1受容体(GIP/GLP-1)の長時間作用型アゴニストであるチルゼパチドはかなりの体重減少を…
ゾルミトリプタン経口投与は群発頭痛の急性期治療に有効?(DB-RCT; Neurology. 2000)
群発頭痛に対してトリプタン系経口薬は有効なのか? 通常、群発頭痛にはトリプタン系薬の皮下注射あるいは経鼻投与が推奨されますが、安定供給が難しい昨今、経口ゾルミトリプタンが使用されることがあります。しかし、その効果はどのくらいなのでしょうか?
モルヒネ髄腔内投与による帝王切開分娩における悪心、嘔吐、掻痒症に対するパロノセトロン vs. オンダンセトロン(RCT; Anesth Analg. 2024)
帝王切開分娩では脊椎麻酔が望ましい麻酔法です。一方、術後の悪心・嘔吐(PONV)と掻痒症は、オピオイド髄腔内投与による帝王切開分娩後の患者のそれぞれ最大80%と83%にみられます。PONV予防にはオンダンセトロンが推奨されますが、第2世代…
分娩誘発のためのミソプロストール経口液の効果は?(RCT; MISOBEST; BJOG. 2024)
非劣性デザインを用いて、ミソプロストールの適応外内服液が、陣痛誘発(induction of labour, IOL)に承認されたミソプロストールの経口錠剤と比較して、24時間以内に経膣分娩をもたらす効率が同等であるかどうかを評価すること…
アナストロゾールは肺高血圧の歩行距離を延ばせるのか?(DB-RCT; PHANTOM試験; Am J Respir Crit Care Med. 2024)
アナストロゾールは肺高血圧症を抑制できるのか? アナストロゾールによるアロマターゼ阻害は、実験モデルにおいて肺高血圧症を抑制することが報告されています。しかし、ヒトでの検証は充分ではありません。 そこで今回は、アナストロゾールが肺動脈性肺高
非ステロイド性抗炎症薬の使用と脳症発症との関連性はどのくらい?(データベース研究; Pharmazie. 2024)
脳症は、インフルエンザやヘルペスを含む様々な一般的感染症の最も重篤な合併症であり、しばしば死亡または重篤な神経学的障害をもたらします。ウイルス性脳症の危険因子には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が含まれますが、NSAIDs関連…
病院環境におけるフレイル高齢者に対する包括的老年医学的評価の有効性は?(SR&MA; Int J Nurs Stud. 2024)
包括的老年医学的評価(Comprehensive geriatric assessment:CGA)は多職種からなるチームによって行われ、体系的で包括的なチームによる評価と治療が含まれます。包括的老年アセスメントは、フレイルを有する高齢者…
鉄欠乏性貧血に対する最適な経口鉄剤の投与タイミングは?(後向きコホート研究; JAMA Netw Open. 2024)
正常腎機能(NKF)または慢性腎臓病(CKD)を有する鉄欠乏性貧血(IDA)患者における最適な経口鉄補給戦略は不明です。そこで今回は、NKFまたはCKDのいずれかを有する鉄欠乏性貧血患者において、異なる経口鉄補給戦略とヘモグロビンおよび鉄…
プロトンポンプ阻害薬と心血管有害事象との関連性は?(RCTのメタ解析; Am J Gastroenterol. 2024)
いくつかの観察研究ではプロトンポンプ阻害薬(PPI)投与による心血管リスクが示唆されていますが、観察データはバイアスの影響を受ける可能性があります。そこで今回は、PPI治療中の心血管イベントに関するランダム化比較試験データのメタ解析の結果…
TAVI施行中の経口抗凝固療法の継続と中断どちらが良いのか?(Open-RCT; POPular PAUSE TAVI試験; N Engl J Med. 2024)
TAVIを受ける患者における経口抗凝固薬は継続した方が良いのか? 経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)を受ける患者の3分の1は、合併疾患により経口抗凝固療法の適応があります。TAVI施行中の経口抗凝固療法の中断は出血リスクを低下させ
アプレミラストによる早期小関節型乾癬の治療効果は?(DB-RCT; FOREMOST試験; Ann Rheum Dis. 2024)
少関節型乾癬性関節炎(PsA)は、乾癬において頻度が高い疾患ですが、ほとんど研究されていないません。そこで今回は、初期の少関節型PsAにおけるアプレミラスト(商品名:オテズラ)の有効性を評価することを目的に実施されたランダム化比較試験(F…
新規発症胸痛における冠動脈CT血管造影法の効果はどのくらい?(PROMISE試験/SCOT-HEART試験; Eur Heart J. 2024)
冠動脈CT血管造影法(coronary computed tomography angiography, CTA)を用いた指標検査が安定した胸痛の予後を改善するかどうかについては議論があります。危険因子加重臨床尤度(RF-CL)モデルは閉…
急性心不全におけるアンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬の院内投与開始の効果は?(Open-RCT; PREMIER試験; Eur Heart J. 2024)
急性心不全(AHF)後の早期サクビトリル/バルサルタン(Sac/Val)投与開始の有効性と安全性は北米以外では証明されていません。そこで今回は、日本人患者を対象に、AHF発症後の院内Sac/Val療法開始がN末端プロB型ナトリウム利尿ペプ…
2型糖尿病患者の心血管イベントのリスクにおけるSGLT2阻害薬の効果は?(後向きコホート研究; JAMA Netw Open. 2024)
心血管イベントの1次予防・2次予防におけるSGLT2阻害薬の有効性 糖尿病は様々な合併症を引き起こし、大血管障害の一つとして心血管イベントがあげられます。心血管疾患(CVD)は2型糖尿病(T2D)の進行中に再発する可能性がありますが、ナトリ
鉄欠乏性貧血の治療における連日経口投与 vs. 隔日経口投与(DB-RCT; Sci Rep. 2023)
鉄欠乏性貧血の治療は経口鉄剤が主流です。最近の研究では、1日おきに鉄を補給することで、鉄の吸収率が向上することが示されています。しかし、最適な補充戦略は不明です。そこで今回は、鉄欠乏性貧血の治療において、経口鉄を毎日補充する場合と隔日補充…
急性冠症候群を有する患者と有さない患者におけるチカグレロル単剤療法への漸減 vs. 12ヵ月間の二重抗血小板療法(RCTのメタ解析; Sidney-4; Lancet. 2024)
急性冠症候群(ACS)患者における冠動脈ステント留置後12ヵ月間の二重抗血小板療法(DAPT)は標準治療です。しかし、DAPTによる大出血リスクの増加は患者転帰の増悪と関連していることから、DAPT期間を含めたリスクベネフィット評価が求め…
CKD患者におけるNa-グルコース共輸送体-2阻害薬およびグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬の中止の効果は?(データベース研究;
ナトリウム-グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害薬およびグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の投与中止と慢性腎臓病(CKD)患者の転帰との関連についてはほとんど知られていません。そこで今回は、ステージ3~4のCKD…
発熱を有する感染症患者における解熱薬には何が適しているのか?(ブログ管理者によるレビュー)
インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染後に発症する重篤な神経系の合併症で、特に小児で多く見られます。まだまだ不明な点は多いものの、主な原因としては、1) 免疫反応の異常や 2)サイトカインストームによる脳の炎症が挙げられ、急激な…
6~12歳未満の肥満小児に対するリラグルチドの効果は?(RCT; SCALE Kids試験; N Engl J Med. 2024)
2024年10月現在、12歳未満の小児の非単発性、非シンドローム性肥満の治療薬として承認されている薬剤はありません。リラグルチドの使用は成人および青年の肥満症において体重減少を誘導することが示されていますが、小児における安全性と有効性は確…
第一世代抗ヒスタミン薬と幼児における痙攣発作との関連性は?(コホート研究; JAMA Netw Open. 2024)
第一世代抗ヒスタミン薬のリスクは? 感冒症状の治療のために抗ヒスタミン薬が小児に広く使用されており、眠気などの中枢神経系への作用があることから、関連するリスクを認識しておくことの重要性が強調されています。 そこで今回は、包括的かつ全国的なデ
アルツハイマー型認知症における興奮・焦燥に対するブレクスピプラゾールの効果は?(DB-RCT; Alzheimers Dement. 2024)
アルツハイマー型認知症の興奮に対するブレクスピプラゾールの効果は? アルツハイマー型認知症はさまざまな症状を呈します。具体的には、記憶障害として、新しい情報の記憶が難しくなり、見当識障害では時間や場所の認識が困難になります。言語障害により言
心不全に対する心房間シャント治療の効果はどのくらい?(RCT; RELIEVE-HF試験; Circulation. 2024)
心房間シャント(Atrial Septal Defect: ASD)は、左右の心房間に穴が開いている先天性の心疾患で、酸素の多い血液が左心房から右心房へ異常に流れ込みます。この異常な血流は、右心室や肺動脈に過剰な負担をかけ、長期的には肺高…
軽症虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作後72時間までの二重抗血小板療法の有益期間とリスク(RCTの二次解析; INSPIRES試験; Neurology. 2024)
INSPIRES試験(Intensive Statin and Antiplatelet Therapy for Acute High-risk Intracranial or Extracranial Atherosclerosis)に…
心不全、COPD、心筋梗塞、脳卒中の30日再入院は外来フォローアップで減少できますか?(SR&MA; Prev Chronic Dis. 2024)
病院の再入院は公衆衛生上の重要な問題であり、米国の病院はこれを減らす責任を負っています。再入院を予防するための1つの戦略は、退院前に外来フォローアップ受診を予定することですが、フォローアップの効果検証については充分に行われていません。そこ…
夜間咳嗽と風邪症状のある小児に対するヴェポラップ vs. ワセリン vs. 無治療(RCT; Pediatrics. 2010)
上気道感染による夜間の咳、鼻づまり、および睡眠障害に対して、ヴェポラップ(vapor rub, VR)が有効かどうかはエビデンスが限られています。そこで今回は、夜間咳嗽と風邪症状を有する小児に対するヴェポラップまたはワセリンの単回塗布が無…
三叉神経領域の帯状疱疹に対するアメナメビルの効果はどのくらい?(症例報告; 臨床神経学 2021)
帯状疱疹性脳血管炎は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus,以下VZVと略記)の再活性化や初感染によって、自己免疫性に脳梗塞や動脈瘤、動脈解離を来す病態です。1997年から2001年の間に帯状疱疹に罹患した1…
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心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
これまで高コレステロール血症の治療といえば「スタチン」が中心でした。しかし、近年注目されているのが、Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9(PCSK9)を標的としたRNA干渉療法「インク…
ベンゾジアゼピン系薬(BZ系)や類似の睡眠薬(Z薬など)は、不眠症の治療薬として長年使用されてきました。しかし、依存や転倒リスク、認知機能低下といった副作用から、長期使用のリスクが懸念されています。そこで今回は、BZ系・関連睡眠薬(BSH…
2型糖尿病を抱える方の多くが、同時に高血圧を発症しています。これは心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管イベントのリスクを大きく高めるため、血圧管理が極めて重要です。しかし、体重減少を伴わない純粋な食事介入のみでの血圧改善効果については、こ…
◆ はじめに肺炎は入院治療が必要となる代表的な感染症であり、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者においては重篤化することも少なくありません。その治療の中心に位置するのが、第3世代セフェム系抗菌薬「セフトリアキソン(Ceftriaxone)」です。...
喘息治療の根幹は「吸入薬の継続的な使用」です。しかし、日常診療では服薬アドヒアランス(服薬遵守)の低さが問題視されています。そこで近年注目されているのが「デジタル吸入器(スマートインヘラー)」です。今回ご紹介するのは、デジタル吸入器の1年…
近年、SNS・スマートフォン・ビデオゲームの利用が低年齢層にまで広がる中、その「依存的な使い方」が子どものメンタルヘルスや自殺リスクに与える影響が注目されています。これまでの研究では「総画面時間」の影響に焦点が当てられていましたが、実際に…
変形性膝関節症(knee osteoarthritis:OA)は、中高年に多く見られる関節疾患で、慢性的な痛みや運動制限の原因となります。近年では、関節液貯留や滑膜炎(effusion-synovitis)を伴う炎症性OAの存在が注目され…
関節リウマチ(RA)は関節の炎症や破壊を引き起こす疾患として知られていますが、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった心血管疾患(CVD)のリスクが高まることも近年注目されています。しかし、アジア人集団での具体的なリスクや、薬物治療がCVDに与…
直接経口抗凝固薬(DOAC)は、静脈血栓塞栓症(VTE)や心房細動(AF)の治療に広く使用されており、その利便性や安全性から臨床現場での使用が急速に拡大しています。しかしながら、消化管出血(GI bleeding)という重篤な出血イベント‥
心房細動を背景に脳梗塞を発症した患者では、脳卒中再発の予防として抗凝固療法の導入が必須です。しかし、脳出血リスクを踏まえた際、抗凝固薬であるDOAC(直接経口抗凝固薬)の開始タイミングは依然として議論の余地があります。特に、慢性腎臓病(C‥
高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
心房細動(AF)や心房粗動(AFL)は、心血管・腎疾患や代謝異常(いわゆるCKMスペクトラム)における重篤な合併症のひとつです。こうした不整脈の発症は、心不全や腎機能悪化の予兆となりうるため、予防的介入が重要視されています。今回ご紹介する…
成人においては、β遮断薬(βブロッカー)が心不全の治療に有効であることが確立しています。中でもカルベジロール(商品名:アーチスト®)は、症状の改善や生命予後の延長に寄与する薬剤として知られています。しかし、小児や思春期の患者における有効性…
新生児の細菌性敗血症は、早期の診断と適切な抗菌薬治療が生存率に直結する疾患です。しかし、「何日間抗菌薬を投与すべきか」については、明確なエビデンスに乏しいのが実情でした。今回ご紹介する研究は、血液培養で細菌陽性となった新生児敗血症に対し、…
仕事のための通勤——多くの人が毎日繰り返すこの行為が、実は健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたらどうでしょうか?都市化が進む現代、経済活動を支える日常的な移動は避けがたいものです。この日常的な移動の影響について、充分に検証されてい…
β遮断薬は、成人のうっ血性心不全(CHF)治療の柱とされており、死亡率低下や入院率減少などの有効性が確立しています。しかし、小児における心不全は、原因や病態、生理的特性が異なるため、成人のエビデンスをそのまま適用することはできません。そこ…
心房細動(AF)は虚血性脳卒中の主な原因とされており、抗凝固薬(OAC)による予防が推奨されています。しかし、近年の研究や臨床現場からは「抗凝固薬を服用していても再発する」というケースが一定数報告されています。そこで今回は、AFに起因する…
持続性高血圧には、朝晩の日内変動や飲み忘れによる達成度の低下が課題です。Zilebesiran(ジルべシラン、ジレべシラン)は、肝臓のアンジオテンシノーゲン産生を標的とするRNA干渉(RNAi)薬剤であり、半減期が長く、3~6か月に1回の…
米国の成人の3人に1人がマルチビタミン(MV)を使用しており、その主な動機は疾病予防であることが報告されています。しかし、MVがヒトの予後に及ぼす影響については充分に検証されていません。2022年に米国の予防サービス専門委員会は、ランダム…
心血管アウトカム試験の結果から、フェノフィブラート療法が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性が示唆されています。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。そこで今回は、糖尿病網膜症の進行に対するフェノフィブラートの効果を検証したラ…
血漿中のエイコサペンタエン酸(EPA, イコサペント酸エチル)濃度が低いことは心血管イベントと関連していますが、イコサペント酸エチルの補充により心血管イベントのリスクが低減するか否かについて充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈疾…
時間依存性的な抗菌薬であるβ-ラクタム系抗生物質は、最小発育阻止濃度(MIC)以上の血中濃度を維持できている時間が長ければ長いほど効果を発揮することが報告されています。したがって、持続投与が求められますが、β-ラクタム系抗生物質はMIC未…
コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患の血管再発を予防することが示されました。冠動脈疾患の典型的な原因が動脈硬化であるのとは異なり、虚血性脳卒中は動脈硬化や小血管疾患など多様な機序によって引き起こされるか、原因不明であることが多いことが…
冠動脈バイパス術後の臨床転帰に対するさまざまな抗血小板戦略について、いずれかの効果が優れているのかについては充分に評価されていません。そこで今回は、冠動脈バイパス術後の異なる抗血小板療法戦略(DACAB)試験を対象に、5年間の追跡調査の結…
便失禁の主原因として、経膣分娩に伴う肛門括約筋裂傷が重要視されています。1993年の報告では、産後6週間時点での便失禁は、初産婦の場合10%、経産婦の場合23%であることが明らかとなっています。肛門括約筋裂傷がある場合、分娩直後から肛門失…
現在または過去に妊娠糖尿病(GDM)を発症した女性において、産後に高血糖や2型糖尿病(T2DM)を予防または遅延させるための介入の有効性をよりよく理解するために、利用可能なエビデンスを統合することが求められています。そこで今回は、GDM後…
急性心筋梗塞後には心血管イベントの再発しやすさが報告されており、高比重リポ蛋白の主要蛋白であるアポリポ蛋白A1を介するコレステロール排出能の低下は、心血管イベントのリスク上昇と関連していることも報告されています。CSL112は血漿由来のヒ…
ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害薬は2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病患者の転帰を改善しますが、臓器不全を有する重症患者の転帰に対する効果は不明です。そこで今回は、SGLT-2阻害薬であるダパグリフロジンを標準的な集中治療…
DOAC使用は認知症の発症リスクの低減と関連しているのか? 認知症の危険因子である心房細動(AF)の発生率および有病率は長期的に増加しています。経口抗凝固療法は、心房細動による脳卒中やその他の悪い転帰のリスクを減少させ、認知症の健康格差を縮
SARS-CoV-2ワクチン接種をためらう理由としては、副反応への懸念が一般的です。ワクチン接種後に発現する副反応は、免疫反応の一部として理解されており、中和抗体反応との関連性が示唆されています。発熱、疲労、筋肉痛、関節痛などの全身反応は…
観察的抗血栓療法の比較評価を行ったSTOP-CAD(Stroke Prevention in Cervical Artery Dissection:頸部動脈解離における脳卒中予防)試験では、世界16ヵ国63施設から得られたデータ(n=3,…
手袋着用時の手指衛生のゴールドスタンダードでは、手袋を外して手指衛生を行い、新しい手袋を着用する必要があるとされています(WHO:Five moments for hand hygiene)。アルコールをベースとした手指消毒剤(ABHR)…
ナトリウム-グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)は心不全および腎臓関連の転帰を一貫して改善しますが、さまざまな患者集団における主要有害心血管イベント(MACE)に対する効果はあまり明らかとなっていません。そこで今回は、3つの患者集…
アンギオポエチン様3(ANGPTL3)は、リポ蛋白および内皮リパーゼを阻害し、トリグリセリドに富むリポ蛋白残渣の肝への取り込みを阻害します。ANGPTL3欠損機能保有者は、非保有者に比べて、トリグリセリド、低比重リポ蛋白(LDL)コレステ…
アテローム性動脈硬化症による急性軽症虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者における二次的脳卒中予防および神経保護に対する即時集中スタチン療法と遅延集中スタチン療法の比較は限られています。脳梗塞急性期のスタチン投与は、インターロイ…
高齢者の経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)後の二重抗血小板療法(dual antiplatelet therapy, DAPT)の至適期間は不明です。そこで今回…
メトホルミンは広く用いられており、特に海外では妊娠糖尿病に使用可能であり、母体の体重増加や妊娠高血圧症候群、児の新生児低血糖のリスクを低減することが報告されています(注意:日本の添付文書においては妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投…
肥満は世界的な公衆衛生の問題になっており、中国は世界で最も多くの罹患者を抱えていることが知られています。持続性GIP/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチドは、副作用として紹介症状や体重減少をもたらしますが、肥満患者における有効性・安全…