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リエミブログ https://riemiblog.blog.fc2.com/

不思議な展開をみせる、オリジナル小説、 ほんのり奇妙な短編・ショートショートや、 中編小説を書いています。

◆小説一覧リスト https://riemiblog.blog.fc2.com/blog-entry-2.html  読んで感じたこと、思ったことなど、  ひとことでもいいので、  作品へのご感想をお待ちしています。

リエミ
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2017/10/28

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  • アパルトマンで見る夢は 15 メガネ

    らせん階段の壁画の前で、かけるは自分の入れた、Kakeru T.というサインを見ていた。 透き通った、コバルトブルーの絵の前で、一人無言で立ち尽くす。 メガネの奥で、目を閉じた。 麦色のカンカン帽をかぶった頭を、帽子ごと壁に押し当てる。 斜めになった体から、重力でネクタイだけが垂直に下がった。色鮮やかな、ネクタイの裏地が揺れている。「カケルクン」 と、すぐ後ろから声が聞こえた。かけるは、壁に手をついて...

  • アパルトマンで見る夢は 14 プレゼント

    舞花は広い部屋に、そっと足を踏み入れた。 裸足で中央まで進み、立ち止まる。青いスカートの端を両手で摘み、お辞儀をする。「少し痩せたか」 と、監督は言った。舞花は頷く。「自炊をしていたので、体も絞れたみたいです。いい役作りになりました」「では確かめよう」 監督は座っていたパイプ椅子の背に、深くもたれかかった。椅子は、短く唸るような音を上げた。年季の入ったその椅子の音は、舞花の胸に、懐かしさを思わ...

  • アパルトマンで見る夢は 13 窓

    舞花はオフホワイトの、クローゼットの扉を手で閉めた。 中に吊っていた青いワンピースは、すべて、ダンボールの一つに収めることができた。 鏡台の上から、並べていた化粧品の数々を、黄色いスーツケースの中にしまった。ほとんどが、中身を使い切ったあとの、空の瓶になっていたので、来た時とは違い、スーツケースは軽かった。 舞花は、ボタニカル柄の長いスカートを翻しながら、寝室を出た。 キッチンの棚を、一つずつ...

  • アパルトマンで見る夢は 12 鏡

    鳥の声で目が覚めた。 舞花はベッドから起き上がると、窓のカーテンを開け、空を仰いだ。 三日間降り続いていた雨は上がり、雲一つない晴天が広がっている。二羽の鳥が、大空を自由に遊んでいた。 舞花はクローゼットの扉を開けた。何着もの、同じ青いワンピースが、ハンガーにかけられ、整列している。 舞花はその一つに身を包んだ。 鏡の前で、手ぐしで髪をときながら、映った自分に、心の中で呼びかける。 今までどこ...

  • アパルトマンで見る夢は 11 傘

    曇り空。丘の上に、湿気た空気が充満していた。 かけるは木箱に座ったまま、街並みの絵を描いていた。 冷たい風が、坂の下から吹いてくる。上の部分がへこんだ、茶色い中折れハットを、かけるは飛ばされないよう、手で押さえた。 チェック柄のワイシャツが、風を受けて膨らんだ。晴れた日には、そのシャツの鮮やかさが、際立ったことだろう。しかし今は、空と同じように色褪せて見える。 白いシャツを着た男性が、黒い傘を...

  • アパルトマンで見る夢は 10 グラス

    キッチンの台の上に、透明な細いグラスを二つ、並べた。 赤いワインを、同じ量だけ注ぎ込む。「出逢えた記念に、乾杯しよう。二人の愛に、赤い、血潮のようなこのワイン」 言いながら、舞花はグラスを一つ持ち上げると、隣のグラスに軽く打ち付けた。 それから一口、のどに流し込んでから、言った。「いつまでも一緒にいておくれ、キミカ。きみは僕の生きる希望。永遠の夢」 舞花はグラスを台に置き、少し横に移動して、立...

  • アパルトマンで見る夢は 9 手紙

    ステンレス製のドアポストに、一通の手紙が差し込まれているのが、内側から見えた。 いつからあったんだろう……。このところ、舞花は外出していなかった。買い物もまとめ買いをしていたし、手紙が届いていることなんて、まったく気づいていなかった。 今日は、薄くなってきた財布に紙幣を補充するために、郵便局へ行くと決めて、部屋を出ようとしたところだった。 ポストから手紙を取って、部屋へと戻る。封筒は、赤、青、白...

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