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  • 芥川龍之介「歯車」

    ★春期講座前半戦終了。春期講座はまだ受講者が少ないので負担は小さい。★朝日新聞の「文芸時評」で古川日出夫さんが芥川龍之介の「歯車」を紹介していたので読んでみた。35歳でこの世を去った芥川の遺作だという。★古典にテーマを求めた作品とは違って、私小説、心境小説といったところか。主人公は神経が過敏になり、十分に睡眠がとれず、底なし沼に落ちたようにもがけばもがくほどに苦しみが増幅される。★彼は時々目に歯車を見るという。その後頭痛を発症するというから、今でいう片頭痛か。★私も高校3年生から予備校生時代にかけて、ストレスからか片頭痛を発症した。最初は目の病気かと思い、町医者の眼科医の紹介で日赤で検査をするも原因がわからず、次いで府立医大で問診の結果、片頭痛ということになった。私の片頭痛の特徴は閃光暗点というもので、ま...芥川龍之介「歯車」

  • 三浦しをん「天国旅行」から

    ★昨日から一転して今日は麗らかな晴天。日照りは気持ち良いが花粉が飛んでいるのか、顔面が腫れぼったい気がする。★huluで「十角館の殺人」を観始めた。NETFLIXで「三体」を観たせいか見劣りがする。キャストの演技もいまいちだ。資本の差だろうか。改めて原作、綾辻行人さんの「十角館の殺人」(講談社文庫)を読み始めた。★三浦しをんさんの「天国旅行」(新潮文庫)から「星くずドライブ」を読んだ。バイト帰りの彼女がやって来た。半分同棲しているから、帰ってきたというべきか。ところがどうも様子がおかしい。食欲もないようだし、以前、バイト先の店長に言い寄られたと言っていたから、何かあったのか。★そんな不信感を抱きながらも数日が経過した。彼女と連れ立って大学に通学したとき、あることが判明する。どうやら横にいる彼女はもはやかつ...三浦しをん「天国旅行」から

  • 青山七恵「欅の部屋」

    ★朝からの本降りがやっと上がった。近所のおいしいパン屋さんで卵サンドを買い、おいしいコーヒーと共に頂く。束の間の至福だ。★NETFLIX版「三体」を観終わった。先端科学者たちの連続自殺。科学者たちの目から離れないカウントダウン。それらは何を意味しているのか。物語は文化大革命期の中国に飛び、その秘密基地で行われた異星人とのコンタクト計画が描かれる。地球からのメッセージを受け取った高度に発達した異星人は400年後に地球を襲撃するという。彼らにとっては虫同前の人類。果たして人類は駆逐されてしまうのか。それとも生き残れるのか。★400年の猶予というのが面白い。このまま環境破壊が進めば。異星人の来襲を待たずとも人類は滅んでしまうかも知れない。★宇宙を舞台とした広大な物語があるかと思えば、どうでもよいような(本人たち...青山七恵「欅の部屋」

  • 篠田節子「秋の花火」

    ★指揮者を取り巻く人間模様は、しばしば映画やドラマで取り上げられる。★篠田節子さんの「秋の花火」(文春文庫)から表題作を読んだ。著名な指揮者。彼が指揮棒を振ると演奏家一人一人の個性が光り、それが合わさりあって美しいハーモニーを奏でる。彼は天才的な指揮者であり、音楽の神は彼に微笑んだに違いない。★しかし、そんな彼も指揮台をおりると、酒癖、女癖の悪さが周囲の者を困らせた。指揮台のキリっとした姿とは全く対照的なだらしなさ。そんな彼が病に倒れた。★彼は家族を離れ愛人と暮らしていた。その愛人に先立たれた後は酒浸りの日々。当然のように病が襲ったのだ。★病んだと言って今さら彼の妻子は30年の空白を埋められない。本宅の傍で彼は一人暮らすことになった。そして、彼の教え子たちが母屋の顔色をうかがいながら彼の世話をしていた。し...篠田節子「秋の花火」

  • コヴィー「(まんがでわかる)7つの習慣」

    ★久しぶりに、フランクリン・コヴィー・ジャパン監修「(まんがでわかる)7つの習慣」(宝島社)を読み返した。心に響き、とても感動した。★この作品は、スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」をわかりやすいようにマンガで解説している。主人公は亡くなった父親のバーを引き継ぐため、バーテンダーの修業を始めた女性。彼女は見習いをしながら、バーテンダーとしての技術、経営の心構え、そして何よりもより良く生きるための指針のようなものを学んでいく。★7つの習慣とは、「主体的であること」「終わりを思い描くこと」「最優先事項を優先すること」「win-winを考えること」「まず理解に徹し、そして理解されること」「シナジーを創り出すこと」そして「刃を研ぐこと」★要するに、困難に出会ったとき環境のせいにするのではなく、見方を変えて、...コヴィー「(まんがでわかる)7つの習慣」

  • 宇山佳佑「桜のような僕の恋人」

    ★今日は1日中雨。訪れる人もなく静かな1日だった。新聞折込用のチラシが届く。新学期の新しいテキストも届きだした。★NETFLIXで「三体」を観始めた。事の起こりが中国というのが興味深い。まだエピソード1を観終わっただけだが、それにしても「文化大革命」はひどい。共産主義(全体主義)は道を踏み外すと恐ろしい。唯物論を唱えながら、宗教的なドグマと官僚制が幅を利かす体制だ。★宇山佳祐さんの「桜のような僕の恋人」(集英社文庫)を読んだ。この作品は泣ける。★写真家を志すも途中で挫折した青年。そんな彼が美容師の女性に一目惚れする。笑顔の美しい桜のような女性だという。不器用ながらも交際を始める二人。幸せな前途があるかに思えたが、彼女がある病に冒されていることがわかる。★「美丘」や「四月は君の嘘」を思い起こした。最後の手紙...宇山佳佑「桜のような僕の恋人」

  • 吉本ばなな「体は全部知っている」から

    ★高校の合格発表が終わった。大学及び専門学校を受験した塾生10名、高校を受験した塾生18名。みんな決まるべきところに決まった。彼らの前途を祈りたい。★中学3年生のほとんどが卒塾したので、今週の授業はゆとりがある。ただ新年度に向けての雑用は後を絶たない。そして来週からは春期講座が始まる。★映画「海と毒薬」を観た。1986年に制作された白黒映画。人体実験、医療者の倫理、倫理観と自らの立場に葛藤する若い医師、能天気な軍人たちが印象的に残った。同じく遠藤周作さんの作品「沈黙」にも通じるテーマを感じた。★吉本ばななさんの「体が全部知っている」(文藝春秋)から「小さな魚」を読んだ。主人公の女性の胸には脂肪腫があり、時々痛んで彼女を悩ませた。思い切って切ることにしたのだが、切ってしまえばそれはそれで喪失感を感じたという...吉本ばなな「体は全部知っている」から

  • 遠藤周作「海と毒薬」より

    ★小説には時代を超えて読み継がれる作品がある。遠藤周作の「海と毒薬」もその1つであろう。★遠藤周作さんの「海と毒薬」(角川文庫)から第1章を読んだ。時代は戦時中。街では空襲で人が死に、病院では肺を病んで死を待つ人が大勢いた。命が軽視されていた時代。★物語は戦後、郊外に越してきた男性が、ある無口な医師と出会うことから始まる。この医師、腕は確かなのだが不愛想。そして男性は偶然、医師の過去を知る。★そのあと医師の物語が始まる。医師は九州の大学病院で外科に所属していた。彼はそこで人体実験に加担してしまい、戦後裁かれる。★戦場で敵を殺せば英雄と呼ばれる時代。捕虜を人体実験に利用することに医者の倫理観は対抗できなかったのか。★手術の生々しさは泉鏡花の「外科室」。外科部長の選挙をめぐる派閥争いは山崎豊子さんの「白い巨塔...遠藤周作「海と毒薬」より

  • 絲山秋子「ニート」から

    ★中学校の卒業式。晴天に恵まれて良かった。小学校は短縮授業とかで、午後早くから小学生たちがやってくる。彼らは元気だね。日本の未来は明るい。★さて今日は、絲山秋子さんの「ニート」(角川文庫)から「愛なんかいらねー」を読んだ。スカトロ満載で、食事時には読めない。★登場人物が自ら「変態」と言っているから、ノーマルではないのだろう。しかし、何でもオッケーのご時世だ。ある意味先祖返りということか。★フロイトさんも想像できないような時代になってきた。★金曜日と言えば「不適切にもほどがある」。今日はミュージカル抑え目だったような。最後はキョンキョン登場で驚いた。さてこのドラマ、どのようなエンディングを迎えるのやら。絲山秋子「ニート」から

  • 吉田修一「犯罪小説集」から

    ★受験が終わって急に暇になったせいか、ちょっぴり燃え尽き症候群だ。25日からは春期講座が始まる。それまでにまた英気を養わねば。★吉田修一さんの「犯罪小説集」(角川文庫)から「青田Y字路」を読んだ。この小説集、実際の事件がモチーフになっているようで、「青田Y字路」は2005年の栃木小1女児の事件が土台になっているのか。★犯行現場や犯人像で実際の事件が脚色されている。☆外は良い天気。何もする気が起こらないが、部屋のかたずけでもしましょうか。吉田修一「犯罪小説集」から

  • 堂場瞬一「メビウス」

    ★7日に入試が終わり、18日に合格発表。この10日間は何ともいやな期間だ。結果発表を前に、中学校では15日に卒業式が行われる。★さて今日は、堂場瞬一さんの「メビウス」(河出文庫)を読み終えた。学園紛争末期。先鋭化した一部のグループは企業をターゲットに爆弾テロを実行していた。★1974年、テロ集団のシンパとして彼らをサポートしていた学生グループのメンバーが主人公。爆破事件の現場に居合わせた彼は、仲間を裏切り逃亡。それから40余年、警察からも逃れ、不動産事業で成功していた。★かつてのグループメンバーからの依頼を受け、彼は久々に東京を訪れる。もはや彼らも60代。すでに事件は時効になっているのだが、一部のメンバーは彼の裏切りを未だ許してはいない様子。意図されたものか、結末は後味が悪い。★独善的、自己批判を強要する...堂場瞬一「メビウス」

  • 馳星周「少年と犬」から

    ★確定申告提出。締め切り間近ということで、列に並んでの受付。天気は良かったが、少々底冷えがした。次回から控えの受付印がなくなるという。デジタル化に進みそうだ。★帰り道、近隣の中学校で弔旗が掲げられていた。そう今日は、東日本大震災から13年目。★馳星周さんの「少年と犬」(文藝春秋)から「男と犬」を読んだ。震災で生活基盤を失った男性。裏の仕事で食いつないでいる。実家では姉が一人、認知症の母を介護している。危ない仕事でも稼がないわけにはいかない。★そんな彼がふと立ち寄ったコンビニで1匹の痩せた犬と出会う。見捨てておくわけにもいかず飼うことに。首輪から犬の名は多聞というらしいが、飼い主はどこにいるのやら。★男は犬を守り神としてかわいがるのだが・・・。★確定申告書を書いていると復興税の項目があった。私などわずかな金...馳星周「少年と犬」から

  • 篠田節子「永久保存」

    ★確定申告の書類が完成した!明日提出すれば一仕事終わりだ。★役所仕事はとにかく書類が煩雑。それに書き方の解説も役所用語が多いから、素人にはチンプンカンプン。前例を踏襲するのがやっとこさだ。★個人の税務だけでも書類の整理に困るのだから、その他のことも含めれば役所仕事は大変だろうなぁと思う。この分野、一番デジタル化が遅れているような気がする。★役所ということで、今日は篠田節子さんの「コミュニティ」(集英社文庫)から「永久保存」を読んだ。★役所で出世コースを歩んでいた男性。助役の贈収賄事件に巻き込まれ出先に左遷。彼から見れば本庁とはかけ離れた生ぬるい職場。このまま定年まで過ごすわけにはいかない。議会での捲土重来にかけるのだが、思わぬ結果に。★役所に蓄積する書類は、化石になるまで、どこかで眠り続けているのか。☆最...篠田節子「永久保存」

  • 篠田節子「聖域」

    ★明治の「チェルシー」が終売するという。シモンズが歌うCMソングが懐かしい。★マンガ家の鳥山明さんが亡くなったという。「ドラゴンボール」「Dr.スランプ」は良かったなぁ。★さて今日は、篠田節子さんの「聖域」(講談社文庫)を読み終えた。文芸誌の編集者、実藤(さねとう)は、前任者の荷物を整理す途中、失踪した作家、水名川泉の「聖域」という未完の作品を偶然見つける。★作品に入り込んだ実藤は、作品を完成してもらうべく、水名川泉を探す。そして遂に、彼女を発見するのだが。★構成自体は難しくないが、作品で語られる内容は幻想的、哲学的で、実藤同様、泥沼にはまりそうになる。小説とは何か。そもそも人が生きるとはどういうことなのか。深く考えれば、底なし沼だ。★作品の完成を依頼する実藤の言動は途中から編集者の域を逸脱している。脅迫...篠田節子「聖域」

  • 村田沙耶香「余命」

    ★京都府公立高校の中期入試がいよいよ明日に迫った。この1年間、いや中学生活3年間の総決算だ。最近は受験前に学校を休む生徒が増え、とはいえ不安なのか入れ替わり塾で最後の仕上げを行っている。いまさらジタバタしてもなのだが、彼らにとっては一つの通過儀礼だ。★「通過儀礼」といえば、少し前、篠田節子さんの「仮想儀礼」がドラマ化されていた。原作は読んだが、ドラマはまだ観ていない。篠田節子さんといえば、今「聖域」(講談社文庫)を読んでいる。★偶然「聖域」と題する未完成作品を目にした文芸誌の編集者が、失踪した作家を探すというもの。「仮想儀礼」同様、宗教が絡んでいて面白い。★時代物では垣根亮介さんの「室町無頼」(新潮文庫)を読み始めた。こちらも面白い。天秤棒1つで乱世を生きた男の話。★万城目学さんの「鹿男あをによし」(幻冬...村田沙耶香「余命」

  • 川﨑秋子「ともぐい」

    ★半年にわたる土日特訓が終了。ほっと一息。あとは塾生の健闘を祈るのみ。★さて今日は、川﨑秋子さんの「ともぐい」(新潮社)を読み終えた。直木賞受賞作。「さすが」と思える読み応えだった。★北海道の山奥で猟を生業としている熊爪という男が主人公。自分がどのような生い立ちなのかは知らず、気がついた時には養父に従って猟の腕を磨いていた。熊爪の成長を見届けると養父は彼のもとを去り、その後、熊爪は孤独に鹿や熊を撃って生きていた。★見どころは、自らに瀕死のけがを負わせた赤毛の熊との死闘シーンだ。★動物と人間との死闘は「大造じいさんとガン」(椋鳩十)や「海の命」(立松和平)を思い起こさせる。★死闘シーンまでが第1部、その後が第2部という感じか。「あしたのジョー」流に言うと、燃え尽きて真っ白になってしまった熊爪。町から子を孕ん...川﨑秋子「ともぐい」

  • 中島京子「夢見る帝国図書館」

    ★今年度最後の土日特訓。京都府公立高校中期入試まであと4日。近年、公立高校の競争率は1倍を切り、どこでもよければ、誰もが公立高校に進学できる時代になった。この背景には、少子化あり、私学に進学する生徒への授業料の助成あり、そして私学志向の高まりありと言ったところか。★私の塾のある山城通学圏は、宇治市に3校、城陽市に2校、京田辺市に1校、久御山町に1校、木津川市に1校、八幡市に1校(分校も1校)の高校がある。このうち、木津川市の高校と八幡市の高校は何年にも渡り定員割れで、市場原理で言えば統廃合やむなしだが、存続し続けるのは、政治力学の故か。それならそれで、生徒が集まる工夫をすれば良いのだが。★さて、中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)を読み終えた。作家を志す女性が上野公園である婦人から声をかけられる...中島京子「夢見る帝国図書館」

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