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  • 司馬遼太郎「戦国の忍び」より

    ★中学校の学年末テスト2日目終了。あと1日を残すのみ。公立高校中期テストまでは、あと6日だ。いよいよ大詰め。★NETFLIXドラマ「忍びの家」を観た。世界でも人気らしいが、確かに面白かった。服部vs風間。アクション、殺陣。そして家族愛のドラマだった。続編もありそうな感じで終わった。★忍者(忍者とは言わず「忍び」と言うらしい)と言えば、サスケ、カムイ、ナルトを思い浮かべるが、その特殊能力を生かし、乱世に貢献するも結局は使い捨てられていく。★忍者にちなんで、司馬遼太郎さんの「戦国の忍び」(PHP文芸文庫)から「下請忍者」を読んだ。忍者にもいろいろな家柄、グループがあるが、今でいうプロダクションのようなものか。元締めが武家から仕事を請け負い、それに応じて下忍を派遣する。そこに介在するのはカネだけで、忍者に敵も味...司馬遼太郎「戦国の忍び」より

  • 小池真理子「一炊の夢」

    ★社会の学年末テストに時事問題が出題される。期間は1月1日から2月22日までとのこと。予想問題をつくるため、この2か月を振り返ってみた。★まず、1月1日の能登半島の地震は外せない。能登半島が何県なのか、あるいは地図中で半島の場所を書かす問題が出るかも。★日本の無人月面探査機も出そうだ。「スリム」という名前を覚えること。GDPがドイツに抜かれて世界で4位になったことも押さえておきたい。新たに「指定野菜」となったブロッコリーはどうだろうか。★人物では、ゴールデングローブ賞を受賞した「君はどう生きるか」の宮崎駿監督。先ごろ亡くなった世界的な指揮者、小澤征爾さんあたりかな。★日経株価がバブル後最高値を更新したことも出るかも。バブルと言っても、今の中学生には実感がないだろうけれど。宇治市立の学校ということでNHK大...小池真理子「一炊の夢」

  • 知念実希人「天久鷹央の推理カルテ」より

    ★とにかく忙しい。体を動かく仕事ではないので肉体的には楽だが、次から次と塾生が来るので、ずっと拘束された感じ。試験が終わればこんな日が懐かしくなるのだが。★こんな日は軽い作品。知念実希人さんの「天久鷹央の推理カルテ」(新潮文庫)から「泡」を読んだ。★27歳の診断医。見かけは女子高生のようだが、謎を解く能力は天才的。そんな彼女が、病気の原因と共に事件も解決していく。★「泡」は、小学生の奇怪な体験がきっかけ。少年は暗い沼でカッパを見たというのだ。少年には夜盲症の症状はあるものの、それだけではカッパの正体はわからない。早速、部下の小鳥遊(タカナシと読む)医師と沼に向かう。そこで目撃したのは・・・。★「ドクター・ハウス」というドラマがあったが、病気の治療は、まずは診断から。病気も事件も、データを積み重ね推理してい...知念実希人「天久鷹央の推理カルテ」より

  • 江戸川乱歩「指」

    ★3連休の第1日目。とはいえ、相変わらず高校受験対策と学年末テスト対策で1日が終わる。あと12日で、この生活から解放される。★さて今日は読了本がなかった。今読書中なのは、司馬遼太郎「梟の城」(新潮文庫)なかなか重厚な物語。人物の描写はさすが司馬さんだ。中島京子「夢見る帝国図書館」(文春文庫)帝国図書館をめぐる物語村上龍「半島を出よ」(幻冬舎文庫)近未来、経済危機に陥った日本に北の特殊部隊がやってくる。川上未映子「黄色い家」(中央公論新社)15歳の少女が、母親と同年代の女性と暮らし始める。川﨑秋子「ともぐい」(新潮社)一人、猟をして生きている熊爪。放浪する熊に襲われ腰を痛める。篠田節子「聖域」(講談社文庫)出版社に勤める男が「聖域」という作品を書いた謎の作家を探す。永瀬隼介「閃光」(角川文庫)ある死体。それ...江戸川乱歩「指」

  • 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」

    ★公立高校の前期入試の合格発表があった。全日制普通科定員のうち、およそ30%が決まる。今や高校進学率がほぼ100%で、公立高校の競争率もほぼ1.0倍の時代。前期で受からなくても、ほとんどの生徒が中期で合格する。★ではなぜ前期をするのかというと、世の中の私学志向に対抗するため。将来、国公立等の難関大学に合格しうる生徒を私学に奪われないようにするための公立の防衛策だ。理念というよりは方便。★私の時代、京都府は高校三原則(小学区制、男女共学、総合制だったかな)で、それでも高レベルを維持していたが、いつの間にか私学に抜かれ、府政が革新から保守に変わる中で諸々の改革は行われてきたが、すっかり理念が失われ、後期中等教育の改革は難しそうだ。★中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)、川﨑秋子さんの「ともぐい」が熊...葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」

  • 越谷オサム「陽だまりの彼女」

    ★どんよりした朝。陽光を浴びないのでセロトニンが分泌しない。お天気同様、気持ちは晴れないが、午前中は月に1度の健康診断。血圧等の薬をもらってくる。★仕事柄か、午後から少しずつ意欲が高まってきた。高校入試に中学1・2年生の学年末テスト対策。今まで「ぼーっ」としていた塾生たちも、今回は意欲が湧いてきた様子。★さて今日は、越谷オサムさんの「陽だまりの彼女」(新潮文庫)を読んだ。★広告代理店に勤める奥田くんはクライアント先で、10数年ぶりに初恋の彼女と再会する。彼女の名前は渡会真緒。中学生の時に転校してきて、勉強が苦手なせいか、クラスのやんちゃな女子たちからいじめられていた。それを見かねて彼女を助けた奥田くん。二人は付き合うことに。★ところが、卒業を待たず奥田くんは転校。二人の関係はいったんそれで終わっていた。★...越谷オサム「陽だまりの彼女」

  • 堂場瞬一「蒼の悔恨」

    ★しとしとと雨降り。少しずつ季節が移り変わっていく。★今日は、堂場瞬一さんの「蒼の悔恨」(PHP文庫)を読み終えた。神奈川県警捜査一課のはみだし刑事、真崎薫。連続殺意犯を追い詰めるが不覚にも負傷し取り逃がしてしまう。★傷は徐々に癒されていくが、本部からは休職のお達し。マスコミの手前、体よく追い払われたのか。★真崎は、同じく負傷した赤澤奈津と犯人を追い詰めていく。★オーソドックスな展開だが、ちょっぴり裏の事情があったり、恋バナがあったり、おいしいそうな料理が出てきたり。終盤の格闘シーンは迫力があった。★最近少なくなったが、ワイド劇場を観るような感じだった。堂場瞬一「蒼の悔恨」

  • 高橋弘希「送り火」

    ★ドラマ「不適切にもほどがある」は面白いが、だんだん人間関係が複雑になってきた。それにしてもコンプライアンス(とりわけジェンダーについて)ばかり言っていると、昭和の演歌や歌謡曲はほとんどが不適切になってしまうかも知れないなぁ。★さて今日は、高橋弘希さんの「送り火」(文藝春秋)を読んだ。★都会から地方に転校した中学生が主人公。風習の違いを実感しながらも、友達ができて、それはそれで楽しい生活を過ごしていた。★前半は児童文学のような、長閑ささえ感じる。★ところが100ページを超えたあたり、第4章から空気がガラッと変わる。前半からは想像もつかないような暴力が次から次と描かれる。人間の内奥にある毒々しさが爆発する。★倫理的、道徳的には多くの問題をはらんでいるが、物語としてはこの第4章が迫力があって、一番面白かった。...高橋弘希「送り火」

  • 内田英治「ミッドナイトスワン」

    ★中学3年生の土日特訓もあと3回。今日は公立高校中期試験の過去問をやった。全員合格点に達している。この調子であと19日頑張ってほしい。★さて今日は、内田英治さんの「ミッドナイトスワン」(文春文庫)を読んだ。★凪沙はニューハーフ。男の体ながら心は女。今は歌舞伎町の店で、白鳥のコスチュームを身に着け踊っている。LGBTの時代ながら、まだ「おかま」と物珍しくみられることもたびたび。とはいえ、そんなことを気にしていても仕方がない。手術をして女性の体を得るために必死でお金を稼いでいる。★そんなある日、親戚筋から一人の女の子、一果を預けられる。中学1年生だという女の子は母親の虐待で心を閉ざし、それを見かねた親戚たちが話し合って、凪沙に預けることになったのだ。(親戚の人々は凪沙がニューハーフであることを知らない)★短気...内田英治「ミッドナイトスワン」

  • 芥川龍之介「魔術」

    ★京都府の公立高校、前期入試が終わった。次は3月7日の中期試験。これで今期の受験対策が終わる。★話題のSFベストセラー「三体」が実写化され、来月ネットフリックスで公開されるという。物理学、哲学、それにミステリーが絡んで面白そうだ。★さて今日は、中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)で紹介されている芥川龍之介の「魔術」(青空文庫)を読んだ。★主人公「私」はある友人(谷崎潤一郎だという)から紹介されたインド人、マティラム・ミトラ氏の家を訪れる。彼は、バラモンの秘法を学び、その魔術を「私」に見せてくれるという。★この魔術、一種の催眠術だというが、「私」は不思議な体験をする。この魔術は誰にでも使えるとミトラ氏は言う。但し条件は欲を捨てること。そこで「私」は教えてもらうことにしたのだが、最後は思わぬどんでん...芥川龍之介「魔術」

  • 大沢在昌「無間人形」

    ★京都の私立高校の発表。塾生たちは今のところ順調に合格を積み重ねてくれている。ありがたい。この調子で、15日、16日の公立前期入試も健闘して欲しい。★さて今日は、大沢在昌さんの「無間人形」(光文社文庫)を読み終えた。新宿鮫シリーズの4で直木賞(1994年)受賞作。650ページを超える力作だった。これぞエンタメ小説という感じ。★新宿鮫こと鮫島警部が今回追う事件は、最近若者たちの間で蔓延している「キャンディ」という名の覚せい剤。★売りさばいているのはあるヤクザ組織のようだが、卸元がわからない。キーとなる人物を探っていると、同じく組織を追う麻薬Gメンと衝突することに。★紆余曲折を経ながらも、鮫島たちは政財界で幅を利かすある一族に至る。★筋はシンプルだが、とてもドラマチックに描かれている。納得の650ページだった...大沢在昌「無間人形」

  • 坂東眞砂子「火鳥」

    ★私立高校入試が終わる。今日の夜辺りからその結果が届くだろう。次は公立高校の前期入試。★さて今日は、坂東眞砂子さんの「神祭」(角川文庫)から「火鳥」を読んだ。「火鳥」というと手塚治虫さんの「火の鳥」を思い浮かべるが、それとはまったく関係がない。★時代は物語の中で「肉弾三勇士」の話が出てくるから、昭和10年前後かな。方言から四国のとある村のようだ。★その村には「ミズヨロロ」の伝説があった。全身真っ赤な鳥で、この鳥の霊に祟られると火事になるという。村のある一家が火事に見舞われ、生き残った若い女性が住む粗末な土蔵にその霊が宿っているという。★物語の主人公は竹雄という12歳の男の子。夕暮れ、川の淵で先の若い女性・みきが水浴びしている場面に出くわす。母親と同じくらいの年齢ながら、その裸体に魅せられた竹雄は性に目覚め...坂東眞砂子「火鳥」

  • 宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

    ★今年の「本屋大賞」候補作、川上未映子さんの「黄色い家」にしても宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」にしても、コロナの影がちらつく。コロナの影響は、後年、この時代の特徴としてされるかも。★今日は、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)を読み終えた。川﨑秋子さんの「ともぐい」(新潮社)と交互に読んでいくとその文体の落差が楽しい。★「成瀬は天下を取りにいく」はとても読みやすい青春小説だ。連作短篇のようでもあるが、成瀬あかりというちょっと変わった主人公と閉館される西武大津店が物語をつなぐ。★第1話「ありがとう西武大津店」はいわばプロローグ。慣れ親しんだデパートの閉館を前に、連日、ライオンズのユニフォームを着てローカル番組に映りこむ女子中学生。それが成瀬だ。成瀬は将来、びわ湖にデパートを建てるとい...宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

  • 戌井昭人「ぴんぞろ」

    ★京阪神の私立高校入試第1日目。塾生が受験に行っているので、塾は開店休業。★今日は戌井昭人さんの「ぴんぞろ」(講談社文庫)を読んだ。彗星のごとく現れ、あれよあれよと新人賞、芥川賞までとってしまう作家もいれば、芥川賞候補としてノミネートはされながら、なかなか受賞に至らない作家もいる。★戌井さんは2009年、11年、12年、13年、14年と5回ノミネートされたが受賞には至っていない。「ぴんぞろ」は第145回(2011年)の候補作。★最近の芥川賞は時代性や話題性が重視されているように思う。戌井作品は概して評価は高いものの、強く推す選者に恵まれなかったというところか。★受賞の有無にかかわらず、「ぴんぞろ」はそれなりに面白く楽しめた。確かに前半は「麻雀放浪記」を思い浮かべたり、全体的に川端康成の作品を思い起こしたり...戌井昭人「ぴんぞろ」

  • 絲山秋子「ニート」

    ★京阪神の私立高校入試が明日10日から12日にかけて行われる。あっという間だった。塾生たちの健闘を祈りたい。★ということで、読書をする時間がなかったので、今日は短い作品。絲山秋子さんの「ニート」(角川文庫)から表題作を読んだ。★作家として自立できるようになった主人公が、かつて親しかった男性の窮乏を見かねて、お金を貸す話。★男性は目下、働く意欲を失い自室に引きこもっている。体は健康とあって公的な援助を受けられないことは本人も自覚し、また実家からの援助を受けることも潔しとしない。結果として当然、食事にも事無く生活に陥っている。★かつての縁(男女関係もあるが)で、見捨ててはおけない主人公。とはいえ、資金援助をするというのは気が引ける。相手から求めらえていないのに、カネを貸すというのも成功者の驕りと捉えられないか...絲山秋子「ニート」

  • 芥川龍之介「お富の貞操」

    ★中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)を読んでいる。その中で、芥川龍之介の「お富の貞操」が紹介されていたので、読んでみた。さすがは芥川龍之介。とても余韻の残る作品だった。★舞台は明治元年5月14日。上野に立てこもる彰義隊と官軍との最終決戦が始まろうとしていた。戦を前に、上野界隈の町家には避難する旨お達しがあり、無人の町は静まり返っていた。★その時、ある町家に一人の乞食が入ってきた。彼はそこで懐の短銃を整備し始めた。彼は傍らに置いてきぼりにされた猫を見つける。猫相手に一人語りをしていると、外から一人の若い女性が入ってきた。★この町家に奉公しているお富という娘だ。置き去りにした猫を取りに帰ってきたという。それを聞いた男は、猫に短銃を向け、猫を助けたければ言いなりになれという。そして娘のとった行動は・...芥川龍之介「お富の貞操」

  • 石田衣良「美丘」

    ★連日良い作品に出会える。今日は石田衣良さんの「美丘」(角川文庫)を読み終えた。★以前、テレビのドラマで断片的に観た覚えがある。美丘役は吉高由里子さんだった。★前半は普通の大学生たちの様子。仲良しグループで集まっては恋バナに花を咲かし、誰かしらのバカ話で盛り上がっていた。★そんなとき、グループの一人、太一がちょっと風変わりな女性と出会う。それが美丘。太一は急速に美丘に魅かれていく。太一は自分にないものを美丘の中に見ていたのかも知れない。急速に接近した二人は同棲を始める。★そこまでなら単なる恋愛小説。実は美丘は幼い頃負ったケガが原因でクロイツフェルト・ヤコブ病(いわゆる狂牛病)に感染していた。発症すれば現代の医学では手の施しようがなく、運動機能や記憶を失い、数か月から数年で死んでしまうという。★そして、遂に...石田衣良「美丘」

  • 東野圭吾「流星の絆」

    ★東野圭吾さんの「流星の絆」(講談社文庫)を読み終えた。600ページを超える作品だったが、面白かった。★洋食屋「アリアケ」には2人の息子と1人の娘がいた。彼らが親の目を盗んで流星を見に行っている間に、何者かに両親が殺された。★弟の泰輔が犯人の顔をちらっと見たものの、それ以外に物証が乏しく、間もなく時効が成立しようとしていた。★施設で育った兄弟たちは成人し、詐欺に手を染めながら生き延びてきた。これで最後と決めた仕事。新規にオープンする洋食屋で、妹の静奈が口にしたハヤシライスは、かつて「アリアケ」で味わったものと瓜二つだった。そして、14年間、埋もれていた事件が動き出す。★特に後半、500ページを超えたあたりからが圧巻。あらためて東野さんのすごさを感じた。東野圭吾「流星の絆」

  • 佐藤賢一「日蓮」

    ★内村鑑三は「代表的日本人」(岩波文庫)として5人の人物を上げている。その一人が日蓮である。★「代表的日本人」は1894年に書かれ、1908年に再版されている。急速な近代化が進む中で、日本人とは何かを外国人にも示すために英語で書かれた。★内村は日本の仏教史を簡潔にまとめたあと、真の信仰を目指し、不惜身命で行動した人物として日蓮を上げている。彼は、法華経を唯一最高の法とし、他宗に法論を挑み、国家諌暁を行い、その行いによってさまざまな迫害を受け、迫害を受ければ受けるほど自らの使命を自覚した。★生誕800年という時期的な動機があったかどうか、2021年に発行された佐藤賢一さんの「日蓮」を読んだ。その生涯の概略は、萬屋錦之助さんが主役を演じた映画「日蓮」(1979年)などで知っていたが、それを思い出しながら読んだ...佐藤賢一「日蓮」

  • 川村元気「億男」

    ★京都の私立高校入試は2月10日から12日の間なので、今週は私学対策の最後の土日特訓だった。ほとんどの塾生は合格ラインに達しているが、油断は禁物。当日の体調を整え、実力を発揮し、ミスをせずに勝利を勝ち取って欲しい。★さて今日は、川村元気さんの「億男」(文春文庫)を読んだ。3000万円の借金を残して失踪した弟、主人公はこの返済のため、昼夜2つの仕事をかけ持っている。彼には妻と一人娘がいるが、それも行き詰まり別居を始める。★そんな時、ふと宝くじが当たり、彼は3億円を手に入れる。これで元の生活、家族一緒の生活に戻れると思ったのだが、巨万の資産を持つ親友がそのカネと共に姿を消してしまう。★彼は必死で友人を探し、次々と億男、億女と会う。その過程で「お金と幸せの関係」を考えていく。★「金は神に似ている」。「どちらも実...川村元気「億男」

  • 新井満「尋ね人の時間」

    ★ドラマ「不適切にもほどがある」が面白い。昭和(1986年)に生きる教師が令和(2024年)にタイムスリップするコミカルなドラマ。40年前は当たり前だったことが、今ではありえない。コンプライアンス違反、セクハラ、パワハラなど、皮肉を込めて面白く対比している。★それで思い出した。彼なりの受け狙いだったのだろうか、軽口をたたいただけなのか。外務大臣の容姿をからかった有力政治家が非難を浴び、発言を取り消す騒ぎとなった。★この政治家も昭和の時代ならこれほどまでに騒がれなかったかも知れない。時代は急速に変化している。時代についていけず「老害」(これも差別用語か)などと揶揄されないように心がけたいものだ。★さて読書。真藤順丈さんの「地図男」(MF文庫)は途中で挫折。地図男と出会うまでは良かったのだが、あとはついていけ...新井満「尋ね人の時間」

  • 町屋良平「しき」

    ★アニメ「薬屋のひとりごと」がなかなか面白い。コミック版を読もうと思うが、2種類出ているのでどちらを購入するか迷う。★ユーチューブでは斉藤紳士さんの「斉藤紳士の笑いと文学」がとても参考になる。★本屋大賞、候補作が発表された。どれも読んでいない。川上未映子さんの「黄色い家」と宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」が面白そうなので、早速アマゾンで注文した。★さて今日は、町屋良平さんの「しき」(河出文庫)を読み終えた。高校生が主人公。高校生には高校生なりの悩みがある。★スクールカーストあり、恋愛あり、家庭問題あり、友人関係あり。主人公が河原でダンスを楽しんでいるのが変わったところか。★途中に春夏秋冬の3行詩があるので、「しき」は四季のことか。同世代ならもっと感情移入できるかも。私にとっては少々冗長だった。ひら...町屋良平「しき」

  • 田中慎弥「切れた鎖」

    ★近隣の小中学校でインフルエンザが大流行。学級閉鎖が相次いでいる。過敏なほどのコロナ禍が去って、マスクなし生活の結果か。インフルエンザにせよ、コロナにせよ、数年前のヒステリックな大騒ぎが嘘のようだ。★学級閉鎖とはいえ、感染していない子は家にじっとしているはずもなく、共働きで両親が家にいない子どもたちは、家ですることもなく何人か近所の子がつるんで塾に来る。うちの塾は昔の駄菓子屋のような賑わいだ。★さて、子どもたちの喧騒の合間を縫って、今日は田中慎弥さんの「切れた鎖」(新潮文庫)から表題作を読んだ。★本州の西端。セメントで財を成したある一族。形ばかりの役職に就き、生活に不自由はないもの、没落の道を歩んでいる。今は祖母、娘、孫娘の3人で暮らしている。★日常を描いているのに、時代が後先行き来し、3人の人物像がつか...田中慎弥「切れた鎖」

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