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2016/10/28

  • 『メルヘン課長とノンケ後輩くん』ミナモトカズキ RYU COMICS 全4巻 感想

    あらすじ・概要 ゲイであることをオープンにしている犬飼課長は、実はメルヘンな恋愛観の持ち主である。それを見抜いた後輩の高木は、課長に好意を持つ。後輩にアプローチを受ける課長だったが、ゲイであること、過去のこと、自尊心のことから素直になれない。 ド直球のラブロマンスをやりながら、マイノリティゆえの恋の悩みを描く どうしてBLレーベルではない作品でBLを?となっていたのですが、一般レーベルでやる意味のある作品でした。 まずド直球のラブロマンスが展開されたことに驚きました。 自分に向けられたものではないのに高木の物言いに照れまくってときめいてしまいました。 相手のことが好きだけれど素直になれない、と…

  • 『ビジネスパーソンのためのセルフメディケーション読本 技術の泉シリーズ』片山陸 インプレス 感想

    あらすじ・概要 ドラッグストアに売っているたくさんの薬・サプリメント・栄養ドリンクなどなど……それらは化学的にどういうもので、どんな効果があるのか。薬剤師の資格を持つ著者が、「医師の処方がいらない薬」について、有効な利用方法や注意点を述べる。 薬剤師が語るドラッグストアの有効活用方法 技術書ってこういう内容もアリなのか……?という疑問はありつつとても面白かったです。 ドラッグストアに売っている薬について薬剤師の視点で解説していく本です。 セルフメディケーションとは、医師の処方箋をもらわずに、病気になった人自ら薬をもらうこと。よいセルフメディケーションとは何か? 消費者はどのような知識を得ればい…

  • 『世界を旅する母ちゃん 駒込で子育て』織田博子 KDP 感想

    あらすじ・概要 旅行が趣味な著者は、駒込で子育てをしている。子どもについての悲喜こもごも、駒込での日常、住んでいるに関する思い。そして子どもが生死をさまよった話をコミックエッセイにまとめた。 著者個人が作品をまとめたものなのですが、だらだら読む分には面白かったです。 あっさりした内容なので、著者の漫画がもともと好きで、日常も知りたい人向けかもしれないです。いつもは結構特殊な旅行の漫画ばかりを描いている方ですからね。 特に子どもがRSウイルスに感染し、生死の間をさ迷った話が怖かったです。 病院に行くのが嫌になるほどの不安、病院の人たちの優しさ、そして子どもの回復。 体験した人にしか描けない怖さと…

  • 『私がダメ母だったわけ』武嶌波 コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 著者は、愛しているはずの子どもにつらく当たってしまう。その原因は、親との関係にあるようで……。虐待の連鎖を起こさないために、著者の模索が始まった。毒親にならないために、親ができることは何なのか考える。 毒がなくならずとも薄まればいいという希望がいい 著者は子育てをきっかけにして、自分の生育歴を振り返っていきます。 子どもに過干渉な母親と、子どもを溺愛しているが、妻に暴言を吐き、いざというときは頼りにならない父。不安な状況で過ごした著者は、大人になっても他人との距離感に悩みます。 毒のない母親になれなくても、とりあえず親より毒が薄れればいいという著者の結論には救われました。 大人…

  • 『しんどい母から逃げる!! いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった』田房永子 小学館 感想

    あらすじ・概要 過保護で過干渉な母親の元で育った著者は、両親への怒りの感情と向き合うことになる。自分が弱いからできなかったことは、実は親のせいかもしれない。「自分のせいではない」と考えることで、親への怒りを消化していくコミックエッセイ。 怒りを表明し付き合うことを学ぶエッセイ この本では怒りと付き合うこと、怒りを素直に認めることがテーマになっています。 抑圧的に育った著者は怒りをうまく処理することができず、怒りを押さえつけては爆発するを繰り返していました。著者は「まず親のせいにする」ということで自分のなかに親への怒りがあることを認め、それとどう付き合うか考えていきます。 自分の悩みを解体し、ど…

  • 『モノがなくても、大丈夫!』麻生夕貴 ナンバーナイン 感想

    あらすじ・概要 無駄なものばかり買って捨ててを繰り返していることに気づいた著者は、ものを最小限にして暮らすことにした。ものを捨てることで生まれる、思い出との別れの物語。捨てることで自分と向き合うコミックエッセイ。 捨てることで自分の過去を振り返る 自分がこういう生活をしたいわけではないですが、話のネタとしては面白かったです。 断捨離する人も、ただ漫然とものを捨てているわけではなくて、ものとの別れをするときにドラマが生まれます。 過去のわだかまりを解消するために捨てたり、執着心から逃れるために捨てたり。思い出の品やプレゼントを捨てるたびに、著者は過去の自分と向き合うこととなります。 正直に書いて…

  • 『王様のプロポーズ』橘公司 ファンタジア文庫 感想

    あらすじ・概要 世界最強の魔術師・彩禍と同化している無色は、彩禍の姿で滅亡因子と戦っていたことにより落第しそうになる。エルルカと共に補習と言われて向かったのは南の島。一行はそこで採集をしながら補習を行うが、そこにも滅亡因子の危険が迫る。 話は楽しいけどひとりかわいそうなやつがいる ゲーミフィケーションのような描写があったり、それぞれの水着姿の設定が違ったりと面白いですね。 仮面とかニッチ性癖も回収してるのがすごいです。 新キャラはギャンブル依存症の美少女のような美少年とムキムキ筋肉巨女という組み合わせ。ちゃんと挿し絵もあります。 設定的に今後も出てきてくれそうなので、活躍を期待しています。 今…

  • 『フラワー・オブ・ライフ』よしながふみ 感想

    あらすじ・概要 白血病で入院していて一年遅れでクラスにやってきた春太郎。正直すぎる彼にクラスメイトは困惑するが、少しずつ仲良くなっていく。文化祭で盛り上がったり、漫画の投稿に夢中になったり、恋をするクラスメイトがいたり……青春ストーリー。 創作を愛する人の話 創作ストーリーとして面白かったです。 入院中、暇でよく絵を描いていた春太郎は、漫画研究会の三国(上画像左)と組んで漫画を描くようになります。 相手に勝手に作品を変えられて怒ったり、持ち込みに挑戦して打ちのめされたり、徹夜をして漫画を完成させたり。 ふたりで創作をするをする面倒くささが出ていて共感できました。 ふたりともいい子であるこそのト…

  • 『1984』ジョージ・オーウェル 角川文庫 感想

    あらすじ・概要 党のため文書の改竄を繰り返しているウィンストンは、同時に党の支配に強い嫌悪感を覚えている。彼は反体制行為であるはずの日記をつけはじめる。また、逢い引きをして危険視されている性の快楽を謳歌する。ウィンストンはさらに反体制組織に接触してみたいと思うが、党の監視はウィンストンを見逃さなかった。 政府による国民の分断と戦争 舞台はアメリカと大英帝国が一体化した国オセアニア。この国は常に戦争状態にあります。 オセアニアでは、テレスクリーンという機械で党員たちはみな監視されています。さらに「ニュースピーク」と呼ばれる言葉の単純化が進み、複雑で曖昧な概念は言葉で表せなくなりつつあります。 街…

  • 『女子高サバイバル』須賀しのぶ コバルト文庫 全2巻 感想

    あらすじ・概要 女子高に通うキリコは友人・スイの誘いでグラウンドホッケーをやることになる。体育会系のノリが苦手なキリコは、なるべくすぐにグラウンドホッケーを辞めたかったのだが、そうもいかず……スイの姉要、関西出身のミステリアスな女子八重垣も加わり、グラウンドホッケー愛好会は賑やかになる。 倫理のないギャグとそれでも面白いスポ根描写 「1998年のギャグって倫理がないなあ」という気持ちと「それでも面白いと感じさせる須賀しのぶの筆力がすごいなあ」という気持ちが同時に来ました。 グラウンドホッケーとは、スティックでボールを打ち合い、キーパーのいるゴールへシュートして得点するスポーツです。人数は11人…

  • 『スソアソコのひとり古墳部』スソアキコ コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 古代をテーマにした漫画から古墳に興味を持った著者は、趣味で古墳を回るように。群馬県の古墳や、古墳の聖地奈良県の古墳を巡る。そこで出会った古墳の姿、遺跡や埴輪たちをイラストと文章で解説する。 独特なテーマでのんびしりててよかった 1ページに2コマという独特のレイアウトですが、読みやすかったです。 古代日本という地味なテーマに対して、真摯に調べて古墳をめぐって……という行為を繰り返している著者が新鮮でした。どんなジャンルにもそれを愛好するマニアが入るのだなと思います。 登場する土地は群馬や奈良。古墳の復元や古墳にまつわる展示に対して、工夫をしている自治体が多いのも面白かったです。 …

  • 『愛がなくても喰ってゆけます』よしながふみ 太田出版 感想

    あらすじ・概要 漫画家のYながは食べることが大好き。おいしい店を探して外食しては、その時間を楽しんでいる。Yながの友人たちも加わって、素敵な食べ物とそれをめぐる人間関係が描かれる。 外食とともに描かれる友人関係が面白い Yながという漫画家が主人公。明らかに作者が自分を投影して描いていますが、どこまで本当なのかはわかりません。だってこんな美男美女が都合よく友達にいる? となりますし。 Yながと同居人や友人が外食に行き、そこでおいしいと言うだけの漫画です。作中の会話で人間関係がわかります。 異性の友人と同居しながら他の異性と付き合おうとするYながを初め、Yながの同居人でアシスタント、そして自由を愛…

  • 『田んぼはじめました』とびやあい コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 食育に興味を持った著者は、自ら農業を実践するために稲作を学ぶ。長期滞在で稲作の一年間を体験するが、そこでは大変なことばかりで……。農業の大変さと、そこで生まれる楽しさを描いたコミックエッセイ。 農業って重労働だなあ 農業って重労働だなあ~と思う作品です。 農業を便利にする機械はたくさん生み出されましたが、機械があっても人間がやらなくてはいけないことも多く、大変そうでした。 私は都会育ちなので農業には詳しくありません。なので知らないことばかりで面白かったです。 稲作における一年のカレンダーは調べれば出てくるんですが、「実感」はなかなか読めません。そういう意味でこういう理屈より実感…

  • 『この闇と光』服部まゆみ 角川文庫 感想

    あらすじ・概要 盲目のレイア姫は、父とともに暮らしている。レイアを溺愛する父との関係は、レイアが成長するにつれて不穏なものになっていく。レイアをいじめるダフネの存在や、外の世界のこと。やがて父とレイア姫の決定的な別れがやってくる。 自分は高尚だと思っていたい気持ちと不安な気持ちと 耽美小説というよりも、何だか身につまされる話でした。 小説は盲目のレイア姫とその父親のやりとりから始まります。最初は童話のように美しいふたりの関係ですが、だんだん不穏な要素が増えていきます。レイアを虐待する侍女ダフネ、そして私たちが生きる世界との共通性。 物語には文学作品や絵画など、いくつもの実在する作品が登場します…

  • 『ギルド最強VSクールな受付嬢 あなたを攻略できるクエストはありますか?』木の芽 ファンタジア文庫 感想

    あらすじ・概要 ギルド最強の冒険者、レイジは受付嬢のアリサに恋をしている。高難易度クエストを受けてはアリサを口説き、振られることを繰り返している。エルフのアリサとレイジはかつての師弟であり、アリサが冒険者をやめた理由が明らかになっていく。 ほほえましいエルフと最強冒険者のラブコメディ ほほえましいラノベで安心して読めました。キャラクターみんなの幸せを願いたくなります。 ギルドの受付嬢にガチ恋しているレイジは、彼女のために高難易度クエストをこなし、何度も口説きます。そのアプローチをけんもほろろに断る受付嬢アリサ。 ストーリーが進むうちに、アリサの過去が示唆されると共に、関係が進展していきます。 …

  • 『ブルーもしくはブルー』山本文緒 角川文庫 感想

    あらすじ・概要 夫と冷え切った関係で、お互いに愛人がいる佐々木蒼子。彼女は自分にそっくりな女性、河見蒼子と出会う。彼女と話をするうちに、彼女は自分が選ばなかった相手と結婚したことがわかって……。お互いの立場を羨んだふたりの蒼子は、の立場を交換してみることにする。 結婚について考えさせられるサスペンス 恋愛小説というよりサスペンスでした。恐ろしい描写が多かったです。 河見は愛情深い一方短気なDV男です。それを知らずに河見の元に行った佐々木蒼子は衝撃を受けます。慌てて元の立場に戻ろうとしますが、河見蒼子は佐々木蒼子の立場を奪おうとしていました。 自分が乗っ取られるかもしれないという恐怖がありありと…

  • 狂気を感じる漫画おすすめ20選 世界観・執着・自己の同一性

    今日のまとめは、 狂気を感じる小説のまとめが今でも安定したPVを稼いでいるので、その姉妹編として書きました。 異様な世界観 『有害無罪玩具』詩野うら 『かんかん橋をわたって』草野誼 『死んだ彼氏の脳味噌の話』Ququ 人間の執着 『砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない』桜庭一樹・杉基イクラ 『日出処の天子』山岸凉子 『泥の女通信』にくまん子 『禍話 SNSで伝播する令和怪談』大家・かぁなっき KADOKAWA 何かに打ち込む人間 『ハイパーインフレーション』住吉九 『さよなら絵梨』藤本タツキ 『夢使い』植芝理一 『ハンサムマストダイ』アストラ芦魔 『世界の終わりのオタクたち』羽流木はない 『レベルE』…

  • 『ヨーロッパたびごはん』ながらりょうこ コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 ドイツ、ベルリン在住の著者夫婦は、ヨーロッパを旅しながらその土地のおいしいものを食べる。パンやお菓子、屋台グルメ、豪華な朝食など、食事からその国の文かが見えてくる。かわいくて美麗な食べ物エッセイ。 絵柄がかわいくてかっこいい おいしそう とにかく絵柄がかわいくてかっこいいです。ずっと眺めたくなるコミックエッセイです。 作品のメインテーマであるヨーロッパの風景と食べ物はしっかり描き込まれており、それでいて描写がくどくなりすぎない抜け感があります。 自分もおしゃれになった気分になります。 テーマもヨーロッパの日常食なのがいいですね。屋台で買い食いしたり、パン屋に入ったり。ポテトフラ…

  • 西洋風ファンタジー小説おすすめまとめ20選 政争・恋愛・特殊設定・転生など

    政争系 『おこぼれ姫と円卓の騎士』石田リンネ 『エリスの聖杯』常磐くじら 『聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語』春間タツキ 『帝国の娘』須賀しのぶ 恋愛系 『最強同士がお見合いした結果』菱川さかく 『フィンスタニス統治記』くりたかのこ 『森の魔獣に花束を』小木君人 『重装令嬢モアネット』さき 異世界トリップ・転生 『ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを』古戸マチコ 『コララインとボタンの魔女』ニール・ゲイマン 『不思議の国のハートの女王』長月遥 『公爵令嬢ティアレシアの復讐』奏舞音 魔法系 『霧の日にはラノンが視える』縞田理理 『シンデレラ伯爵家の靴箱館』仲村つばき 『バーティミアス』ジョ…

  • ノベルゲームコレクションの『機械仕掛けの嘘と夢』 感想 登場人物紹介と感じたこと

    あらすじ・概要 主人公はブリキの国にやってきた人間。わけのわからないままにブリキうさぎの世話を任され、ブリキの国の人々と交流する。交流から浮かび上がってきたのは、ブリキの国のいびつさだった。主人公は自分の過去も知ることになる。 うさぎを育てながら絡繰のキャラクターと交流するノベルゲーム すごく面白かった! 以下、核心的なネタバレは避けていますが、雰囲気の感想は言っているのでまっさらな気持ちでプレイしたい人はブラウザバックしてください。 主人公ニナはブリキの国にやってきた人間。仕事としてブリキうさぎの飼育を任されます。 ちなみにこの世界では人間にも絡繰にも番号が振られており、ニナと言う名前も番号…

  • 『オルフェウスの窓』池田理代子 集英社文庫 全9巻 感想

    あらすじ・概要 フォン・アーレンスマイヤ家の庶子であったユリウスは、母親の意向で男の子として育っていた。男の姿のまま男子校である音楽学校に通うが、そこで「オルフェウスの窓」から姿を見られてしまう。オルフェウスの窓から誰かを見たものは、その誰かと熱烈な恋をし、悲劇的な別れを経験するという。 ドロドロ恋愛模様とロシア革命の運命が面白い 恋愛模様がドロドロ! 登場人物ほぼ全員が人に言えない恋をしているんじゃないかというレベルでこじれます。ここまでこじれると逆に冷静になってきますね。昼ドラなんかでも恋愛がドロドロになるほどリアリティを失ってギャグのように見られるのと近いです。 愛憎に関してはひたすら複…

  • 『Markdownライティング入門』藤原惟 技術の泉シリーズ

    あらすじ・概要 簡単な記号やスペースで見出しやリストを指示するMarkdown。初めてMarkdownを使う人のために、その始め方を解説する。Markdownの成り立ちや、Markdown特有の方言の派生についても触れる。Markdownがどんなものかわかる本。 Markdownとは何か、どう使うものかを解説する HTMLで見出しやリストの設定をするのが煩雑だったことから生まれたMarkdown。プレーンテキストの状態で記号で書式を指定し、対応するツールで表示することもできます。 「ブックワームのひとりごと」ではてなブログもそのツールのひとつです。 Markdownのメリットは、キーボードだけ…

  • Kindle端末を買ってみた雑感4つ コスパは? サイズ感は? 漫画を読むのは?

    Kindle端末を買ったのでその感想です。 機種はこちら。6インチのモデルです。 最近はKindleUnlimitedの本を読むのに使っています。 コスパはよい とにかくコスパは良いです。 ○○ができなくてイライラする、ということが少ないです。さすが電子書籍専用端末と言ったところです。 普通のタブレットより動作が遅いのは否めません。が、自宅で本をダウンロードし、外で読むという用途であればそれほど気にならないです。 壊れた電子書籍端末が、微妙にかゆいところに手がとどかなかったことを思うと、1万4000円は安いです。 便利なのは画面の明るさが選べること。かなり明るい状態から暗い状態まで、明るさの幅…

  • 『ごきげんわんこの平休日』くにのいあいこ コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 著者は実家で犬を飼っていた。ももという雑種犬は、大家族に囲まれ、田舎の自然を謳歌し、たくましく暮らしていた。著者もまた、ももの存在に支えられていた。ノスタルジックで愉快な動物コミックエッセイ。 犬ってかわいいという気持ちと昔の犬の飼い方の雑さと 犬ってかわいいよね、というテーマと共に時代の変化を感じさせる作品です。 印象的だったのは犬と子どもとの関係です。この作品では、犬はよき相談相手として描かれています。 両親が忙しく、構ってくれない子どもたちにとっては、犬が相談相手でした。人間の言葉を完全に理解しないからこそ、気軽に相談できます。そしてある程度人の心を察するのが興味深いです…

  • 『よなきごや』かねもと 電書バト 全2巻 感想

    あらすじ・概要 夜鳴きする赤ちゃんを抱えて、子育てに悩む女性たち。そんな人の前によなきごやは現れる。セルフサービスの飲み物をもらい、粉ミルクをお湯に溶かし、同じくよなきごやに来た人たちと話す。人々はよなきごやから勇気をもらい、日常生活へ帰っていく。 つながりたい、孤独を癒したい女性たちの願望を描く ご都合主義の話ではありますが、面白かったです。むしろ今まで母親たちのこういう「つながりたい」「助けてもらいたい」という願望を扱う作品が少なかったことが意外でした。 子どもを愛しているのにうまくいかず、好きなはずの子どもすら憎んでしまいます。そんな子育て世代の女性たちが安らげる場所を作りたいという意気…

  • 『くうのむところにたべるとこ』ヤマシタトモコ マーガレットコミックスDIGITAL 感想

    あらすじ・概要 生ハムの原木を見ながら妄想にふけるコックの男。その妄想は想像を越えた内容になって……。ぬかどこをこねる女、食事をする女性同士のカップル、意味深な会話をする高齢夫婦など、食べ物と恋愛をテーマにした連作短編漫画。 ギャグの強い連作短編でサクッと読める 食べ物に関する連作短編。ギャグ色が濃いめです。 生ハムの原木を見ながら妄想にふける青年が面白かったです。ぼんやりしているときに妄想があっちこっち行くことってありますよね。荒唐無稽だけど共感します。 外面がよくておしゃれなお年寄りカップルを装っていますが、実際普通のおじいさんおばあさんでしかないふたりも笑いました。勝手に勘違いする周囲の…

  • 『禍話 SNSで伝播する令和怪談』大家・かぁなっき KADOKAWA 感想

    あらすじ・概要 YouTubeで公開されている著作権フリーの怪談シリーズ「禍話」。それらの怪談をコミカライズ。肝試しをしたことで見た不気味なもの、理不尽な死を迎えた友人の呪い、奇妙なバイトでの恐怖など、さまざまな怪談を収録。 丁寧で怖いコミカライズ コミカライズだからどうなのだろう、と思っていましたが、装丁よりも面白かったです。 禍話とは、YouTubeチャンネル上で語られているフリー素材の怪談のこと。ホラー好きな人の中で有名なので名前は知っていましたが、触れるのは初めてです。 作画担当の絵や語り口がうまく、ぐいぐい引き込まれる内容でした。絵柄はさらっとしていますが、その分恐ろしいシーンの生々…

  • 女主人公がゴリゴリに活躍する漫画おすすめ10選 歴史・ファンタジー・SF

    女主人公がゴリゴリに活躍する作品シリーズ、今回は漫画編です。過去にはこんなまとめを書いています。 『百万畳ラビリンス』たかみち 『ブレーメンⅡ』川原泉 『逃げるは恥だが役に立つ』海野つなみ 『かんかん橋をわたって』草野誼 『魔女ヶ丘通信』唐草ミチル 『笑う大天使』川原泉 『メイプル戦記』川原泉 『オモテナシ生徒会』ドリヤス工場 『大阪環状結界都市』白井弓子 『春日局』池田理代子 honkuimusi.hatenablog.com honkuimusi.hatenablog.com honkuimusi.hatenablog.com honkuimusi.hatenablog.com 『百万畳ラ…

  • 『プロジェクト思考で行こう!技術同人誌を作る技術』稲山文孝 技術の泉シリーズ

    あらすじ・概要 きみも技術同人誌を作ってみないか? 同人誌製作をひとつのプロジェクトとしてとらえ、締め切りの問題、お金の問題、さまざまな雑務や事務手続きの問題をこなしていく。目標の立て方から、会場での頒布まで、同人誌製作の流れがわかる本。 お金のことに正直で誠実なのが好き あくまで技術同人誌の話なので創作同人誌にはそのまま流用できないところもありますが、ぶっちゃけた内容で面白かったです。 特にお金回りの文章について納得できるものが多く、同人活動とお金の問題に悩んでいる人は読んでほしいです。 えてして同人慣れしている人はたくさん刷った方がいい、とアドバイスしがちなのですが、作者は保守的、要するに…

  • 『豆腐百珍 百番勝負』花福こざる コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 江戸時代の豆腐レシピ本、豆腐百珍。そこに書かれているレシピを全て作ってみるという著者の挑戦が始まった。おいしいまずいに一喜一憂したり、手間のかかるレシピに苦戦したり、江戸時代と現代の違いを実感したり。体当たりの実録コミックエッセイ。 生活に役に立たないことをやるのが文化を感じる 江戸時代の豆腐料理を再現してまずいとかおいしいとか言うことに深い意味はないです。しかし生活に役に立たないことをわざわざやるところに文化を感じます。 著者が数合わせに料理を出していたり、実際のおいしさを考慮してなかったり。だからこそまずい豆腐料理もたくさん登場します。その正直さに笑いました。 そしてレシピ…

  • 『なんて楽しい節約生活』森川弘子 コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 SF作家とイラストレーターという夫婦そろって不安定な収入の家族は、節約生活をしながら楽しく生きている。懸賞でいろいろなものを当てたり、フリマアプリにハマったり、子どもの部活を応援したり……お金がなくても楽しめるアイデアいっぱいの 経済的な生産性以外での人生の楽しさ お金がない家族がお金がないなりに人生を楽しみ、あれこれやるコミックエッセイです。 農家の手伝いで青いトマトをもらってフライドトマトを作るのは、楽しそうでよかったです。 青いトマトを揚げるフライドトマトは、名前を知ってはいますが食べたことはないです。地元では青いトマトが売っていないから真似して作ることもできないでしょう…

  • 『恋衣花草紙』小田菜摘 全2巻 ビーズログ文庫 感想

    あらすじ・概要 事情により大きく年の離れた帝に嫁いだ真子(さなこ)。息子である東宮とは幼なじみとして仲が良かった。帝が崩御し、真子は未亡人となる。大人になった東宮と惹かれあうが、帝の妻が他人と恋愛するのははしたないとされる時代で……平安時代の女性の立場の悪さとそれでも恋をするたくましさを描くラブロマンス。 一夫一妻の貞操を批判する意欲的ラブロマンスが良い あまり少女小説には見かけないシチュエーションで面白かったです。 女性に求められる貞節をテーマにしつつ、ラブロマンスとしても手堅い出来です。テーマと恋愛を絡めるのが上手いです。 シリーズ2巻ですが、それぞれ違うカップルの違う話なので、好きな方か…

  • 『ピンポン』松本大洋 ビッグコミックス 感想

    あらすじ・概要 卓球部に所属するペコとスマイルは古くからの友人。しかし、スマイルが卓球の才能を見出され、ペコが慢心により選手としての能力を失ったことから、ふたりの間には距離ができる。一念発起してふたたび卓球に向き合うペコを、スマイルは頂点で待ち受ける。 スマイルの不器用さや愛情深さにグッとくる アニメを見たので久しぶりに読み返したくなりました。何度もメディアミックスしたくなるのもわかる面白さです。 メディアミックスに関する感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com honkuimusi.hatenablog.com ペコは才能ある選手でしたが、傲りにより堕落し、二流の選…

  • 『ラジオ福島の300日』片瀬京子とラジオ福島 毎日新聞社 感想

    あらすじ・概要 東日本大震災下の日本。ラジオ福島は、危機的状況でラジオ配信を続けることとなる。災害状況や被災者に役立つ情報を発信しながら、CMが流せないという経営の瀬戸際にも立たされる。災害時のラジオの役割、そして情報インフラを維持する人々の戦いを描く。 災害発信と存続の危機の間で戦う人々に勇気づけられる ローカルラジオ局であるラジオ福島は、不眠不休で災害について情報発信することになります。 どこにどんな支援物資があるか、開いている店はどこか、視聴者からの情報をひたすら流し続けます。CMはないので広告料を得られず存続の危機にも立たされます。 同時に、CMなしでもいつもと同額の広告料を支払ってく…

  • 宗教にまつわるコミックエッセイおすすめ15選 聖職者・宗教二世・巡礼・参拝

    宗教にまつわるコミックエッセイのおすすめをまとめてみました。 私は、信心が薄く、初詣ですら面倒がって行かないことがあります。それでも他人の信仰には興味があります。 おそらく宗教の、理屈だけでは理解できない、人間の本能と繋がっているところに惹かれるのでしょう。 否定的であれ肯定的であれ、宗教を語る作品が好きです。今回はそのまとめです。 聖職者の仕事 『ミャンマーで尼になりました』天野和公 『ウチのダンナはサラリーマン山伏』はじめ 『坊主Days』杜康潤 『神主さんの日常』瀬上あきら 宗教二世 『カルト宗教信じてました』たもさん 『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』いしいさや 『「神様」の…

  • 『OLですが、キャバ嬢はじめました』鏡なな子 コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 著者は将来の不安から、お金をためるためにキャバ嬢の仕事を始める。面接を受けてキャバクラに出勤したら、そこは想像を越える職場だった。キャバクラのシステムから、キャバ嬢たちのテクニック、キャバクラでの悲喜こもごもなどを描くコミックエッセイ。 文化の面白さを感じつつも、搾取を当然とするのはどうかと思う やっぱりお仕事エッセイは楽しいですね。それは仕事が違うと全く文化が違うからです。 人間関係のドロドロも、自分が巻き込まれたくはないですが、人の話として読むのは面白いです。 コミュニケーションにまつわる仕事だからこその悩みがたくさん描いてあって新鮮でした。 客のこと、キャバ嬢同士の嫉妬の…

  • 『中国秘境紀行 大陸の果てまでいっチャイナ!』日野トミー コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 中国で働いたことをきっかけに中国に興味を持つようになった著者。そんな著者は中国人の友人とともに中国人の奥地へ向かう、雄大な自然と、多種多様な少数民族の文化を楽しむ。また、中国のパワフルで面白い人々にも圧倒される。 中国奥地の豊かな観光資源と、中国の少数民族政策の問題 中国人の友人と共に、中国の奥地を観光する漫画です。中国の自然はスケールが大きいです。山も谷も川も日本のものより大きいです。日本の自然ってよくも悪くもこじんまりしているので、これは中国でしか見れないものですね。 町を歩くと民族衣装を着た人々が歩いているのは面白いです。観光客のためもあるのかもしれないですが。 何気なく…

  • 『宿坊さんぽ』上大岡トメ+ふくもの隊 KADOKAWA 感想

    あらすじ・概要 寺院に付随している宿泊施設、宿坊。そこでは一般の人向けに修行の体験が行われている。著者は日本のいろいろな宿坊をめぐり、そこでしか味わえない経験をする。精進料理を食べたり、修行したり、座禅を組んだり……日本の仏教文化を学べる宿坊を語る漫画。 日本の仏教文化を知るための宿泊旅 宿坊とは、寺院に付随している宿泊施設のこと。 行ったことがないところばかりなので面白かったです。 俗世間を離れ、聖なる場所で心を癒す。旅行とやることも異なります。掃除をしたり、瞑想をしたり、写経をしたり。 独特ですが、それゆえに一度やってみたいと思います。こうして静かな場所で自分を振り返るのは良さそうです。 …

  • 『ハンチバック』市川沙央 文春e-BOOKS 感想

    あらすじ・概要 遺伝子性の難病を持つ主人公の女性は、背骨が歪み、自由に歩くことができない。お風呂にも介助が必要だ。大量に本を読み、40代になっても大学生として勉強をしレポートとして提出する。こたつライターをして小金を稼ぐ。そんな中、いくつもあるインターネット上のSNSアカウントに「中絶したい」と書いてしまう。 主人公の性格の悪さに嫌な気持ちになる 面白かったですが、嫌な気持ちになる作品でもありました。 主人公は穏やかな障害者として振る舞っているようですが、内面は悪い意味で批評的であり、偏見にまみれています。 障害があろうとなかろうと、こんな人間とは付き合いたくはないです。 一方で、自由に部屋を…

  • 『神主さんの日常』瀬上あきら マッグガーデンコミックスEDENシリーズ 全2巻 感想

    あらすじ・概要 埼玉県に存在する三峯神社。漫画家である著者はその神社の神職を取材する。そこからわかったのは、神主という仕事の大変さだった。力仕事が多かったり、祭祀に使うものを手作りしたり、賽銭泥棒への対応だったり……意外と知らない神主の日常を知るコミックエッセイ。 結構大変で面白い神主の日常 山を登ったり重たいものを持ったり、体力仕事が多いのが印象的でした。結局フィジカル……。大雪で雪かきをしながら祭祀をやっているくだりも面白がっていいのか哀れめばいいのかわからなかったですね。 適度に休んでくれとは思いますけど。 女性神職の話も面白かったです。 男性とは衣服が違ったり、女性ゆえの悩みがあったり…

  • 『なりゆき斎王の入内』小田菜摘 ビーズログ文庫 全9巻 感想

    あらすじ・概要 天皇の孫で一時的に斎王として暮らしていた塔子は、次期天皇である東宮の妃候補となる。熊野に帰りたい塔子は入内したくなかった……。政治と皇族をめぐる平安ラブロマンス。 固めの和風世界観が面白い この作者の和風世界観ライトノベルはいくつか読んでいますが、このシリーズが一番がっちり和風でした。めちゃくちゃ漢字多いし、ちょっと見ただけではわからない単語が多いです。それでも話の筋がわかるのはすごいです。 実際日本史が専門の人が見たらまたツッコミどころあるのでしょうが、なかなかない世界観の再現度でした。読みごたえがあります。 キャラクターは実在しませんが、世界観は現実の平安時代を踏襲していま…

  • AmazonPrimeで人外シェアハウス物語『万聖街』を見た

    あらすじ・概要 悪魔のニールは人間界で暮らしたいと思い、万聖街の1031号室にやってくる。そこは人外たちが暮らすシェアハウスだった。天使の大家、ゲーム実況者の吸血鬼、無口だが不思議な力を持っているミイラ男、不運な狼男など、個性豊かな人外たちと生活することになった。 あるあるもギャップ萌えも盛りだくさんなアニメ シェアハウスネタが好きなオタクが脚本を書いているのか?と思うくらい盛りだくさんでした。 人外キャラクターが集まるシェアハウスというところは誰でも思いつくアイデアではありますが、あるある設定もあるある展開もちゃんと面白いものに仕上げているのがすごいです。 ともかくキャラクターの性格や関係性…

  • 『動物農場』ジョージ・オーウェル 高畠文夫 角川文庫 感想

    あらすじ・概要 「荘園農場」の動物たちは豚のメージャー爺さんの唱えた「動物主義」に基づき農場から人間を追い出す。メージャー爺さん亡き後ナポレオンとスノーボールという豚が農場のリーダーとなるが、豚たちは徐々に権力に呑まれていく。やがてナポレオンがスノーボールを追い出して……。 おかしくも悲しい権力と支配の物語 あらすじはほぼソビエト連邦の成立を動物に置き換えただけです。しかし動物たちの描写がうまくただの風刺以上の物語を作り出しています。 権力に呑まれておかしくなっていく豚たち、それに不安を抱きつつも知恵がないからうまく反抗できない動物たち、豚の狂気を理解していながら沈黙する知恵ある動物……。 動…

  • 『NOと言えなかった私』武嶌波 コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 著者はNOと言うのが苦手。わがままを言う子どもについ流されたり、夫に「してほしい」「してほしくない」を言えなかったり、そんな自分に嫌気がさしている。著者がNOと言えなくなったのは成育歴に問題があった。著者は少しずつ、NOと言える練習を積んでいく。 NOと言えない女性の自立が面白い NOと言えずに、回避的、事なかれ主義的に生きてきた女性がNOを言えるようになるまでを描きます。 NOを言う練習として、スタンプカードが出て来ます。著者はセールスを断ると、自分のスタンプカードにスタンプを押していきます。スタンプがたまると、ご褒美をもらえるシステムです。 スタンプカードのやり方が上手くい…

  • 『こんな私がマンガ家に!?』青沼貴子 イースト・プレス 感想

    あらすじ・概要 コミックエッセイ作家の青沼貴子は、かつて少女漫画家としてデビューしていた。幸運にもはじめて応募した漫画でデビューするが、漫画家の仕事は大変だった。アシスタントのこと、アニメのこと、担当のこと……デビュー当時のことを回想する漫画。 確かに運がいいけど才能の片鱗を感じる 確かに運がいい展開ですが、初心者が漫画家になる話としてはこれはこれで面白かったです。 真面目な漫画家志望が見ると不真面目に思うかもしれないですが、はじめて描いた漫画を完成させたり人間を描く能力が評価されたり、柔軟にものを考えたり……ものづくりをする人間の才能は持ち合わせていたように見えます。 修正前のネームと修正後…

  • AmazonPrimeで『ハズビン・ホテルへようこそ』を見た感想

    あらすじ・概要 ルシファーの娘で地獄のプリンセス、チャーリーは地獄の人々を天子の裁きから救うためにホテルを開いた。ホテルで悪人を構成させ、救済を与えようとする。しかし地獄の人々は悪人だけあって曲者ぞろい。チャーリーの計画はなかなかうまくいかない。 キリスト教では救えない人々を描くガッツが良い 日本のアニメにはなかなかないノリで楽しかったですね。 「キリスト教的な天使と悪魔の話を書こう」というのと、「マイノリティの話をしよう」というのがどちらが先にあったのかは知りませんが、このふたつを組み合わせるのは納得がいきます。 マイノリティを苦しめているのは宗教的タブーであり、宗教の話をするのはある意味で…

  • 『北欧! 自由気ままに子連れ旅』織田博子 コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 旅行好きの著者は、子どもを連れて北欧へ行く計画を立てる。旅のしおりを作って計画を立て、子どもを連れてホステルに泊まる。北欧で友人に会い、おしゃべりをしたり出かけたり。北欧旅コミックエッセイ。 海外の友人に会うのコミュ力強い 北欧関連の作品は何度も読んでいるから新しい発見ないかもしれないな……と思っていましたが、面白かったです。 やっぱり似たようなテーマでも描き方が違うと楽しいですね。 ムーミンのテーマパークの話が楽しそうで行きたかったです。 著者は貧乏旅行なので、家族でホステルに止まってキッチンで料理をしているのが面白かったです。旅先で料理って素敵。 私もお金がないころはホステ…

  • 『自分の顔が大キライ』長谷川ケイ コミックエッセイの森 感想

    あらすじ・概要 かわいい女の子に憧れていた著者は、ずっと自分の顔に劣等感を持っていた。そんな彼女は整形外科のキャンペーンに当選し、無料で整形手術を受けることになった。なりたい自分になった後、著者は自分の劣等感に向き合うこととなる。 なかなかない整形体験記で面白かった 整形体験記? どうせお金かかったんだろうな~と思って読み始めたんですが、「整形病院のキャンペーンに当選して無料で整形を受ける」という内容だったので驚きました。そんなキャンペーンあるんですね。 キャンペーンに応募するための面接など、なかなかない体験談で面白かったです。 実際のところ他の人がばらさない、内緒にしていることを書くからこそ…

  • 『ぴっぴら帳』こうの史代 全2巻 感想

    あらすじ・概要 キミ子は迷子のインコを「ぴっぴらさん」と名付けて飼い始める。自由奔放なぴっぴらさんに振り回されつつも、キミ子は動物のいる生活を送る。主人公の勤め先の食堂や、家族、友人を交えてインコと暮らす日常を描く。 インコかわいいキミ子かわいい 細かいことを考えずにぼんやり読む作品でした。キミ子がかわいい。ぴっぴらさんもかわいい。 インコのことには詳しくないのですが、描写が生き生きとしていて、インコや小鳥たちが楽しそうで、心温まります。 小鳥店で働く青年との淡い恋物語もよかったです。じ、じれったい……本来展開が遅い恋愛ものは好きではないのですが、この作品の中心はあくまでインコであり、恋愛はお…

  • AmazonPrime『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見た感想

    あらすじ・概要 戦後の日本。モーレツサラリーマンである水木は、出世のために製薬で栄えた富豪、龍賀家が暮らす鬼哭村に向かう。その途中で謎の男と出会い、彼をゲゲ郎と名付けた。水木は、徐々に龍賀家のおぞましい真実を知っていく。 悪い親に対して怒ってくれてよかった 地獄地獄と脅されていたけれど、そこまで地獄だとは思わなかったです。見捨てられた子どもたちの悲哀と、子どもたちのために起こってくれる男の話でした。 水木は、権力を望み、龍賀の家にやって来ます。しかし、龍賀の子どもたちである沙代や時哉が虐げられていることを知り、そのあり得ないほどの搾取に嫌悪感を抱いて吐いてしまいます。 ついには水木は世界に危険…

  • 『青沼さん、BL漫画家をこっそりめざす』青沼貴子 イースト・プレス 感想

    あらすじ・概要 コミックエッセイで活躍した著者は、実はBL漫画家に憧れがあった。子どもたちが大きくなった今、改めてBLというジャンルに挑戦する。複数の出版社に自分が書いたBL漫画を持ち込むが、けんもほろろな対応で……。 こういう作品をギャグとして出せるのは度胸がある せきららすぎて笑うコミックエッセイでした。こういう作品を出せるのは度胸がありますね。 プロ作家にとって、持ち込みを断られるというのは屈辱的であると思います。そこをギャグとして昇華できるのは尊敬できます。 体を張ってエッセイを描くという覚悟が面白かったです。 でもこの漫画が落とされるのは納得がいくんですよね。 絵柄も雰囲気もジェンダ…

  • やる気のあるアイドル幽霊がやる気のないアイドルに憑依『神クズ☆アイドル』を見た

    あらすじ・概要 全てが面倒くさい男、仁淀は、楽して稼げると思ってアイドルになったもののその多忙さにやる気をなくしていた。そんな彼に、人気絶頂で命を落とした女子アイドル、アサヒの幽霊が取り憑く。アサヒの憑依によって、仁淀は元気なアイドルとして振る舞えるようになるが……。 クズなのに人を元気にしていくアイドルに笑った アイドルものってどうしても精神論的、スポ根的に偏りがちなんですが、全てが面倒くさい仁淀を主人公に据えることでその辺が柔らかくなっています。 前向きで明るいアサヒと、全てが面倒くさいクズである仁淀のかけあいが楽しいです。クズなのに偶然周囲によい影響をもたらしていく仁淀に笑いました。 ギ…

  • 『御嶽山噴火 生還者の証言』小川さゆり ヤマケイ新書

    あらすじ・概要 多数の死傷者を出した御嶽山噴火。たまたま現地にいた登山ガイドが、当時のことを振り返る。どのようにして噴火を生き延びたのか、そして生死を分けたのは何なのか……。亡くなった人を思いつつ、生き延びた人間が何をすべきかを考えるノンフィクション。 御嶽山噴火を経験したガイドの手記にやるせなさと希望を感じる 重い話で面白いとは言いづらい話です。それでも面白かったです。 御嶽山で登山ガイドをしていた人がたまたま御嶽山噴火に巻き込まれ、生還するまでを描きます。 読んでみると、本当に紙一重のところで生還したことがわかります。 作品の半ばからは、事故のその後について書かれています。 心ないマスコミ…

  • 岩波ブックレットの災害関連書おすすめ10選 関東大震災・阪神淡路大震災・東日本大震災

    まず、能登半島での地震被害に遭われた方に、お悔やみを申し上げます。 寄付はできる範囲でするとして、読書ブロガーとしてできることを考えたとき、災害関連の本を紹介するのがいいのではないかと思いました。 SNSでの発信は、拡散力が高い一方で、あまりにも感情的な意見がバズってしまいます。そういう情報だけでは、災害に関する発信を見るだけで嫌になってしまう人もいると思います。 本がいつでも正しいとは限りませんが、自分のペースで読めるので異なる価値観に触れられるので、その辺は楽なのではないでしょうか。そう思って書きました。 災害下の体験記 『三宅島島民たちの一年』三谷彰 『関東大震災と流言 水島爾保布 発禁…

  • 『強迫症を治す 不安とこだわりからの解放』松永寿人・亀井士郎 幻冬舎新書 感想

    あらすじ・概要 精神科医でありながら強迫症になった著者は、主治医との共著で強迫症のことを本に書く。強迫症がどんな病気か、主な治療方法は、家族は強迫症の家族にどうすればいいのか……。患者としての自分の経験も交え、強迫症の人のための文章を書く。 強迫症になった精神科医が強迫症について語る 面白かったです。メンタルヘルスの問題だけではなく、人の心に興味がある人は興味深く読めるのではないでしょうか。 この手の本は患者の側からしたらどうしようもない部分が強調されていることも多いです。例えば遺伝や生育環境の問題ですね。この本では患者の努力ではどうしようもない部分の話題はそこそこにして、患者や家族が何ができ…

  • 「ブックワームのひとりごと」Instagram開設しました

    オタク系のInstagramアカウントを作ってみたら結構楽しかったので、このブログに紐づいてるInstagramアカウントも作ってみました。 リンクは下です www.instagram.com Instagramアカウントを作った経緯 Instagramのアカウントは元々閲覧用のものを持っていたのですが、本格稼働し始めたのはTwitter(X)の度重なる改悪のせいです。 Twitter、妄言をだらだら書くのにはまだ使っていますが、コンテンツを展示したり告知したりするにはどんどん利便性が下がっています。 しかもイーロン・マスクがイキリの中学生みたいな行動をしてるし……経営者の思想がおかしくてもひ…

  • 『くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密』見た感想

    あらすじ・概要 フリント・ロックウッドは自らが開発した水を食料に変える機械を停止させた。喜びもつかの間、フリントと島の住民たちは跡処理のために島を離れることとなる。しかし、意志ある動物たちフード・アニマルたちが出現。フリントたちは世界を救うためにふたたび島に戻ってくる。 ギャグではあるけどところどころ怖い物語 ギャグではあるんですが、ところどころ怖いシーンもあり、やっぱりパニック映画風味の作品だなあとなりました。 フード・アニマルが襲い掛かってくるところは怖いんですが、人間が動物の恐怖を煽っているところもあります。 見た目がかわいい動物には甘くなりがちで、恐ろしい動物には害意があると決めつける…

  • 『宝石の国』市川春子 アフタヌーンコミックス 感想

    あらすじ・概要 意思を持ち動く宝石たちが暮らす世界。落ちこぼれのフォスフォフィライトは博物誌をまとめる仕事を任される。しかしいい加減なフォスは仕事に身が入らず……宝石をさらう月人たちとの戦いを重ねるうちに、フォスは体も心も変容し続けていく。 壮大なスケールで承認欲求とメサイア・コンプレックスに囚われるキャラクターを描く お、終わった……。何を言うのもやぼになりそうな作品でした。 スケールが大きな作品でありながらミクロな視点でも楽しめました。それはフォスフォフィライトが人間味のある愚かさを持ち合わせたキャラクターだったからではないでしょうか。 フォスフォフィライトは常に誰かを助けたがっていますが…

  • エゴとエゴがぶつかる名作卓球漫画『ピンポン』を見た

    あらすじ・概要 卓球部に所属するペコとスマイルは小さい頃からの友達。しかしスマイルが卓球の才能を開花させたことにより、ふたりの関係は変わり始める。スマイルが自分より強いことを知ったペコは卓球を離れ自堕落な生活を送る。スマイルはずっとペコのことを待っていた……。 アスリートはこのくらいわがままであってほしい アニメのオリジナル脚本が多いので漫画とは別物ですが、これはこれで面白かったです。 1クールアニメとしては原作が短いのを、キャラクターを深掘りすることで補完しています。こういうキャラクターの深掘りは賛否両論あるでしょうが、選手たちの日常が見られて面白かったです。 感情を表に出すのが苦手で誤解さ…

  • 『環と周』よしながふみ マーガレットコミックスDIGITAL 感想

    あらすじ・概要 夫婦である周と環は、娘が同性の女の子とキスをしていたことを知る。娘が同性が好きと言うことに戸惑うふたりだったが、夫は同性を好きになったことがあって……。周と環、輪廻をしながら何度も関係を結ぶ人間を描く。 最終話まで読むと印象が変わる ちょっといい話系の短編集かと思いきや、最終話まで読むと、印象の変わる作品でした。 環と周は、話によって夫婦だったり、友人だったり、はたまた近所のおばちゃんと近所の子どもの関係であったり、さまざまなアプローチから人間の関係性が描かれます。 個人的に好きだったのは、戦後すぐの闇市を舞台にした回ですね。大嘘つきなのですが、なんだか憎めない人が出てきます。…

  • 『少年メイド』乙橘 全10巻 B’s-LOG COMICS 感想

    あらすじ・概要 母親を亡くした少年、千尋は母の弟、円に引き取られる。お金持ちだが生活力のない円のために、千尋は家事をするようになる。友達と交流したり、他の親戚と出会ったり、家族との関係を考えたり……。メイド姿の少年が生活するヒューマンドラマ。 大人と子どもの関係を考える人間ドラマ ショタコン系の漫画……かと思ったら結構真面目な家族ものでした。 身寄りのない子どもが親戚の大人に引き取られ、そこで家事をするわけですが、大人の立場からしたら一貫して「無理して家事をやらなくていい」という意見なのが安心できます。 主人公の千尋も、義理堅く真面目、そして家事好きな性格から家事をやっており、いやいややってい…

  • 『タコピーの原罪』タイザン5 ジャンプコミックスDIGITAL 感想

    あらすじ・概要 異星からやってきたタコピーは、人間の少女しずかちゃんと出会う。しかし彼女は自死をする運命にあった。タコピーは時間を巻き戻して、しずかちゃんを救うため奔走する。タコピーは、次第にしずかちゃんや周囲の問題を知っていく。 面白いけどテーマの部分に突っ込みどころが多い 面白かったですが、作中人物たちに与えられた救いには突っ込みどころがあるという感じでした。 リアリティのある毒親描写は面白かったです。 子どもは否応なく大人の問題に巻き込まれている、ということを描写するのがとても上手かったです。 子どもが自分のせいではない部分で傷つき、世界を呪い、また誰かに加害をしてしまう。共感を呼ぶのも…

  • 『てくてく巡礼~秩父札所三十四ヶ所観音霊場&三峯神社~』蛸山めがね 白夜書房 感想

    あらすじ・概要 秘仏が公開されることをきっかけに秩父に興味を持った著者。彼女は秩父の寺院をめぐって巡礼をする。山と山を歩きながら、秩父における信仰や文化に触れていく。巡礼をする中での交流にも心癒されていく。 秩父の巡礼文化に触れる 関東のことは詳しくないので、埼玉秩父の巡礼文化について興味深く読みました。 巡礼の文化がある土地は、地元の人が巡礼者に親切にすることがあります。ごく普通の旅行ではあまりない距離感です。そこが面白かったです。 巡礼者同士も助け合ったり声をかけ合ったりするのが印象的でした。同じ道を誘い合って一緒に歩いたり、この先の道について教えてくれたり。 巡礼を通して、人間とのコミュ…

  • 『震災トラウマと復興ストレス』宮地尚子 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 東日本大震災によって、被災者は多くのトラウマを受けた。そして、被災者だけではなく、医療従事者や自衛隊、被災者を助ける慈善団体、直接被害を受けなかった人たちも……。災害のトラウマを大きな枠組みで見直し、社会が災害のトラウマと付き合っていく方法を模索する。 災害はさまざまなトラウマを社会に発生させるんだなあ 被災者にとってのトラウマだけではなく、支援者、慈善団体の職員、被災者を見るよその地域の人など、包括的な視点で災害トラウマを語ろうとした本です。 本の中に登場する、トラウマはどれも苦しいものです。 大災害と言うショッキングなできごとに対して、社会は否応なく反応せずにはいられません…

  • 『五時間目の戦争』優 角川コミックス・エース 感想

    あらすじ・概要 愛媛のとある島で暮らしている中学生たち。ある日彼らは「戦争」に行くことを命じられる。しかし、クラス一の俊足の双海朔と、その幼馴染の安居島都は不適格として出征させられなかった。クラスメイトが大けがしたり死んだりする中で、ふたりは自分の無力さに打ちのめされる。 いたいけな子どもの戦争と青春が愛しい いたいけな子どもが戦争に行くやつ、としてはよくある話なんですが、面白かったです。 絵が抜群に上手く、中学生の心の機微を描くのも上手いです。ストーリー自体はベタですが、ぐいぐい読んでしまう作品でした。 徐々に物資が減っていき、人もいなくなっていく島で、必死に生きていく中学生たちがかわいかっ…

  • 『日本一の「婚活スポット」を拝み倒す! 出雲縁結び散歩』まのとのま 徳間書店 感想

    あらすじ・概要 二人組の漫画家であるまのとのまが、今度は出雲に旅行に出かける。縁結びにまつわるパワースポットをめぐり、周囲のグルメや文化に触れる。出雲にある神々の伝説、言い伝えも紹介。盛りだくさんな旅行コミックエッセイ。 神秘的と言うより俗っぽいけどそれでいいのかもしれない 文字が多くて読むのが大変ですが、その分ボリュームがあって面白いです。出雲の神社のいろいろなエピソードから、著者ふたりの体験談、神話関連の話など盛りだくさんでした。 神社については、神秘的……というより俗っぽい部分も多いです。多分これ最近発生した信仰ではないかな、というのが散見されます。 神社の中でよくわからない行動を取って…

  • 『泥の女通信』にくまん子 WeComix 感想

    あらすじ・概要 男と女が恋に落ち、そこに面倒な物語が生まれる。妬みや嫉み、不倫や浮気、遊び相手としてキープされていること……。物語に出てくる女性キャラクターは、悩み惑い、それでもこのろくでもない世界で生きていく。 面白いけどこんな恋愛したくない 男と女、女と女の面倒くさい関係。こんな恋愛したくねえ~!! 不倫や不特定多数との性交渉、ほぼ付き合っているのになぜか付き合ってない男女、良い未来を感じさせない恋愛……などなど。あの手この手でだめな恋愛が展開されました。 性的なシーンが多いですが、性的に興奮するというよりストーリーを生々しくするタイプのエロさです。性の気持ち悪いところ、不穏なところを露骨…

  • 『ルックバック』藤本タツキ を読んでこれは創作讃歌じゃないと思った話

    あ、あまりに主人公が自分本位すぎる……と思いましたが、実のところそれこそが作者の描きたかったところかもしれない、と思いました。 後半完全に自分語りになってしまったので有料に畳んだんですけど、ざっくり有料部分の要約をすると ・主人公より京本に同情してしまうのは私が立場的には京本に近いせい。 ・私がそういう売り方をしてないのに私の人生を物語として解釈するのはやめろ、本当にやめろ。 ・自分の都合のいい物語を持っている人を求めても幸せにはなれない。 こんな感じです! まず京本が理不尽な理由で殺害されたことを「自分のせいだ」と思う主人公がおかしいです。一瞬そう思うことがあったとしても、冷静に考えるとおか…

  • 距離感バグったヤクザと思春期の合唱少年の映画『カラオケ行こ!』を見た

    あらすじ・概要 聡実はヤクザの男、狂児にカラオケに誘われる。彼は組長が主催するカラオケ大会で最下位になりたくないために、聡実に協力を依頼する。聡美は嫌々ながらも、狂児に歌を教えるが…… 反社の男の解像度が高くて怖すぎる 反社の男の解像度が高くてびっくりしました。これはもはやギャグ漫画ではなく、未成年が反社の男にろう絡されて洗脳されるサスペンスですね。 実際に狂児が聡美くんを好きかどうかはあまり関係がありません。この態度で近づくという行為自体が相手のことを対等に思っていないのです。こういう人間に夢を見るべきではないですね。 あまりにも反社の描写がリアル過ぎるので、BLという要素を削ってサスペンス…

  • 動物たちの裁判ノベルアドベンチャー『鳥類弁護士の事件簿』をプレイした感想

    あらすじ・概要 弁護士、ファルコンと助手のスパロウソンは動物たちの弁護を頼まれ、事件を調べていくことになる。時はフランス革命の時代、第二共和政を目指す団体の暗躍もある。ファルコンとスパロウソンはパリの闇を暴くことができるのか。 フランス革命をテーマにしたミステリゲーム ダジャレが飛び交うトンチキコメディミステリかと思ったら、だんだんシリアスになってハラハラする作品でした。 話がシリアスになるにつれ、スパロウソンの軽いノリがありがたく感じます。作品の清涼剤。 システムは証拠を集めて謎を解くというよくあるもの。しかし独特の世界観やビジュアルで個性が出ているのがいいですね。 動物キャラクターの外見は…

  • 『ぼおるぺん古事記』こうの史代 平凡社 全3巻 感想

    あらすじ・概要 古代より遠い昔、イザナギとイザナミという神様が日本の土地と神々を産み、国を作り出した。日本神話をつづった「古事記」をこうの史代が解釈し、コミカライズした。ボールペンという限られた画材を使った漫画。 ボールペンで描かれる幻想的で自由な日本神話の世界にうっとりする ボールペンのみで描かれた古事記のコミカライズです。一見黒ベタに見えるところもカケアミを繰り返してボールペンで描かれています。 ときおり、作中に出てくる古い歌がカラーボールペンで描かれます。これがとても幻想的で美しいです。印刷で色調調整するの大変なのではないでしょうか。 絵が上手いってすごいことなのだなあ……と改めて感じま…

  • 『SFのSは、ステキのS』池澤春菜 早川書房 感想

    あらすじ・概要 SF好きの池澤春菜。彼女が日常にSFを見出したり、SFをテーマにしたゲームをやったり、SF関連のコンテストの審査をやったり……。SFの楽しさを伝えながらも、SFが持つ課題点についても語る。SFを読む楽しさと、フィクションをめぐる問題提起があるエッセイ集。 SFの楽しさとSFというコンテンツが抱えている問題点と 序盤はオタクでポジティブな話が多いですが、徐々にマイノリティやジェンダーの問題に言及せざるを得なくなっていく。その過程が面白かったです。 もちろん、著者がSFが大好きなのは一貫して変わりません。世界のいろいろなものにSFを見出して、考えもします。 著者の素晴らしいところは…

  • 『公爵令嬢ティアレシアの復讐』奏舞音 ビーズログ文庫 全2巻 感想

    あらすじ・概要 姉に陥れられて処刑されたクリスティアンは公爵令嬢ティアレシアとして転生する。悪魔ルディとともに、姉に復讐するため奔走する。意地悪な姉は、ティアレシアも攻撃してきて……。転生政争ファンタジー。 テンポの速い転生ファンタジーでモラルも高い 普段あまり転生ものは読んでいないのですが、これは読んでみたらすらすら読めました。テンポが良く、描写がわかりやすいです。 ティアレシアというヒロインが積極的なので、展開も早いです。 ヒーローがちょっと強引なシーンもありますが、ティアレシアがはっきり意見を言えるキャラクターなのであまり不快感がないです。嫌だったら嫌って言うだろうしな……。 モラルも非…

  • 『蒼穹のカルマ』橘公司 富士見ファンタジア文庫 全8巻 感想

    あらすじ・概要 空飛ぶモンスター空獣を狩る駆真(かるま)は、姪にはデロデロになるほど甘い。駆真が愛する在紗を巡って、異世界を冒険したり学園に潜入したり、ドタバタ劇を繰り広げるトンチキコメディ。 愛が重いけど愛が深い百合SF 姪にはポンコツになる最強系ヒロイン。ポンコツっぷりがすごいですが、格が下がらないのがまたすごいです。思考回路はおかしいけど社会人としては有能で、ちゃんと仕事しているんですよね……。 部下の能力を適切に理解したり、アドバイスしたりするので、ただ性格のおかしい女性ではありません。主人公として納得のいく活躍をしています。 世界観は学園ものになったり、異世界勇者と魔王のファンタジー…

  • 変身アニメ『ニモーナ』を見た感想 Netfix配信

    あらすじ・概要 中性のヨーロッパのような騎士が人々を守る世界。ぬれぎぬを着せられた騎士はニモーナという子どもに出会う。奔放でガラが悪く、女の子らしさを拒むニモーナに、騎士は振り回される。やがて、ニモーナの秘密が明らかになる。 女らしさの押し付けに苦しむ不思議な力を持つ子ども ニモーナかわいい。 ニモーナは、外見こそ女の子っぽいですが、「女の子はこうあるべき」という規範を押し付けられることを嫌います。また、サメやゴリラ、サイなど一般的に「かわいくない」外見に変身します。 ニモーナの性自認が何であるかは物語で明かされませんが、本人が「女の子」として扱われることに苦しみを感じているならそう扱わないほ…

  • 『ライティング管理がはかどる本』Tiana 技術の泉シリーズ 感想

    あらすじ・概要 文章系同人誌を作るのに必須なライティングの技術。どうやってネタ出しをし、文章の構成を考え、進捗を管理するか……。技術同人誌を出して来た著者が、書きたいものを書き切る技術を語る。 初心者におすすめのまとまった内容がいい 3万字程度の短い電子書籍ですが、興味深かったです。文章を書く上でどんな計画を立てるかについて書かれています。 アイデア出しの仕方から、実際の執筆、進捗管理、同人誌の表紙についてなど、ひととおりの情報があります。同人誌を出してみたい人にはおすすめです。 ベタなことしか書いておらず尖った情報はないですが、逆に言うと初心者はこのくらいベタな書き方から始めた方がいいと思い…

  • 『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』を見た感想 Netfix配信

    あらすじ・概要 主人公エドガンは、娘を預けた友人が領主となり、悪逆を尽くしていることを知る。娘を取り返し、妻をよみがえらせるため仲間と共にアイテムを探すが、一筋縄ではいかない。RPGのような世界を舞台にしたファンタジーコメディ映画。 楽しいファンタジーギャグ映画 「アウトローの誇り」というからアウトローが正義のために戦うのかと思いました。実際には本当にアウトローがアウトローのまま戦っていました。 敵役が同じアウトローなので、アウトローたちがあまり反省していなくても視聴者として嫌な気分になりません。上手いバランスをしています。 ギャグ映画ですが、現実に直すとシャレにならないタイプの笑いはないです…

  • 『コロナ禍妊娠日記』おおがきなこ 幻冬舎単行本 感想

    あらすじ・概要 不妊治療を経て、ふたりで暮らすことを決意していた著者夫婦。社会がコロナ禍にさしかかり、疫病の不安の中、妊娠が発覚する。自分のこと、コロナ禍の社会のことを思い悩みながら、出産までたどり着いた奇跡を描く。 コロナ禍の妊娠エッセイでコロナ禍のことを思い出す もうコロナ禍というのが昔のことのように思えて愕然としますが、それも含めて面白かったです。 まだ終わったわけではないんですけどね、コロナ禍。勘違いしそうになります。 不妊治療を経て、子どものいない暮らしをしようと決意した後の妊娠。戸惑いながらも、出産を決意します。 相手がどんな反応をするか不安になる描写が心に来ました。 コロナ禍の中…

  • うさぎと鬼と神社をめぐるロードムービー『神在月のこども』見た感想 Netfix配信

    あらすじ・概要 主人公カンナは走るのが大好きな少女。しかし母を病気で亡くしてから、思うように走れなくなってしまう。カンナはうさぎに乗り移った神から、自分が俊足の神、韋駄天の末裔だと聞かされる。全国の神が出雲に集う神在月のために、カンナは馳走を集めることになる。 いい子だって自分のために生きていいんだよ! 全体的に派手さがなくあっさりしたアニメですが、最後まで見るとこれはあっさりした話でよかった、と思いました。 主人公カンナはスポーティで走るのが好きな少女。髪の毛はぼさぼさで、いつも動きやすい服を着ています。外見はいわゆる「普通の女の子」ではありません。 しかし作中ではそのことにツッコまれないま…

  • 白泉社文庫の漫画おすすめ10選 手ごろな値段で読む少女漫画まとめ

    白泉社文庫の漫画を読んでいました。今回はその中から面白かったものをまとめました。 『ガートルードのレシピ』草川為 『綿の国星』大島弓子 『赤ちゃんと僕』羅川真里茂 『ニューヨーク・ニューヨーク』羅川真里茂 『メイプル戦記』川原泉 『笑う大天使』川原泉 『日出処の天子』山岸凉子 『ざ・ちぇんじ!』山内直実・氷室冴子 『ブレーメンⅡ』川原泉 『22XX 』清水玲子 『ガートルードのレシピ』草川為 少女サハラはつぎはぎの悪魔、ガートルードと出会う。彼は自分の設計図「ガートルードのレシピ」を探していた。体の一部を返してほしい悪魔や、ガートルードのレシピを狙う者たちと戦いながら、サハラとガートルードは恋…

  • アニメ『スキップとローファー』を見て自分らしくいてほしいという大人のエゴについて考えた

    『スキップとローファー』の感想を書こうとしたんですが、自分語りと、大人が考える「自分らしくいきる子ども」像の罪についての話になってまいました。そういう記事だと思って読んでください。 面白いし、面白くなければ最後まで見ないんですが、作中で描かれる価値観については一言言いたくなるようなアニメでした。 まず構成やストーリーには穴がなく、最後まで違和感なく見られました。 主人公、みつみもかわいいキャラクターで見ていて和みましたね。 しかし、そこに描かれる子ども像はかなり偏っています。 よくも悪くも、描かれるのは「大人から見た理想の高校生活」です。実際に起こる高校生のトラブルに則していないのでは、という…

  • グラレコの本2冊読んだよ グラフィックレコーディングの重要性と課題

    文章を書く上で図解を描く必要があったので、グラレコの本を2冊読みました。 自分で感想を見返すときもまとめて見るだろうので、感想を2冊同時に書きます。 『その場で「聞く・まとめる・描く」 グラレコの基本』本園大介 表情についての記述が多く、面白かったです。表情を誇張するコツや、目や眉、口で感情を表現します。限られた絵柄でも、組合せ次第でいろいろできるんだなあとなりました。 後半は会議中にグラレコを描く方法になるので、単に図解を書きたいだけの私は流し読みしました。しかし会議中にリアルタイムで絵を描くのって緊張して大変な気がします。 『Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィック…

  • 『イスラームからヨーロッパをみる 社会の深層で何が起きているのか』内藤正典 岩波新書 感想

    あらすじ・概要 今、ヨーロッパでイスラーム教徒排斥の渦が巻き起こっている。ヨーロッパはなぜイスラームとの共生に失敗したか、イスラーム教徒の出身国では何が起こっているのか。ヨーロッパに偏った報道を批判しつつ、ヨーロッパとの軋轢を目の前にしたイスラーム教徒の苦悩を描く。 平和を奪われた人々はどこへ行くのか、それが問題 イスラーム諸国と西洋の国々との関係は難解で、一読してもわからなかったです。しかし中東で起こっている戦争が、先進国を含む国々の駆け引きや権力闘争によって起こっていることはわかります。 そして、戦争の悪い影響を受けるのは貧しい人たちや国を持たない民族です。イスラーム教徒の倫理から言っても…

  • 『少女漫画』松田奈緒子 クイーンズコミックス 感想

    あらすじ・概要 少女漫画が好きな女性たち。彼女たちが困難に直面するとき、あのころ読んだ少女漫画のことを思い出して……。同時に、売れない少女漫画家は、自分の作品が理解されないことに悩んでいた。実在する少女漫画をテーマに、女性たちの人生を描く連作短編。 読んだことのある少女漫画に救われる女性たちに心が温かくなる 『ベルサイユのばら』など読んだことのある少女漫画も多く、懐かしい気持ちになりました。 登場人物たちは、何かしらの困難を抱えていますが、少女漫画が与えてくれた視点で、もう一度現実をとらえ直していきます。 物語を読むことは趣味で、それが直接お金になるわけではありません。それでも人は物語に支えら…

  • 『終わりなきアスベスト災害 地震大国日本への警告』宮本憲一・森永謙二・石原一彦編集 感想

    あらすじ・概要 強い健康被害をもたらす鉱物、アスベスト。しかしその便利さから、危険性が判明した後も使用され続けてきた。神戸における阪神・淡路大震災にともなうアスベスト被害を中心に、アスベスト災害への反省とこれからすべきことを考える。 アスベストをめぐる労働者への軽視 阪神・淡路大震災の神戸におけるアスベスト被害について書かれています。なんとなく体に悪い物質ということはわかっていましたが、対応が後手後手に回っているのが何とも言えないですね。 アスベストの危険性を知りながら、その説明や防塵対策をせずに現場へ送り込む側のずさんさ。 神戸だけではなく、世界同時多発テロで崩れたビルの下でもアスベスト被害…

  • 『気候崩壊 次世代とともに考える』宇佐美誠 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 危機的状況にある気候崩壊。その原因である地球温暖化についての解説と、これから社会が何をすべきかを語っていく。高校生たちからの質問も交え、世代を超えた環境問題についての議論を試みる。 先進国が輩出した温室効果ガスの影響を発展途上国が負うという矛盾 読んでいて思ったのは、メディアで扱われている地球温暖化の問題は表面的であるということです。 温室効果ガスで温暖化しているということはわかっていても、現代において、温暖化がどんな危機的状況を生み出しているかは報道が足りないと感じました。 そして、メディアが伝える温暖化の問題はかなりふわっとしています。 そして、温室効果ガス削減を個人の努力…

  • 『やわいボンド』菊池真理子 A.L.C.DX 感想

    あらすじ・概要 最近犬を飼い始めた鈴音は、同じく犬を飼っている近所の人と仲良くなる。同時に、鈴音は友人の冴との関係に悩んでいた。意地悪で辛辣なことを言うようになった冴、さらに冴は、少年院を出所した殺人犯と交流を持っているらしく……。鈴音は友情と不信の間で揺れ動く。 ゆるやかなつながりが子どもたちを救ってほしい 宗教二世や毒親のインタビュー漫画で有名な著者。フィクションのほうはどうかなあと思っていましたが、面白かったです。 主人公、鈴音は最近友人の冴が変わってしまったことが気になっています。辛辣な物言いを繰り返し、前科持ちらしき人と交流を持とうとします。 鈴音はそんな冴に不快感や不信を覚えながら…

  • 『キャッシュ・フォー・ワーク 震災復興の新しいしくみ』永松慎吾 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 災害のとき、どのようにして被災者を助けるべきか……。著者が紹介するのはキャッシュ・フォー・ワークと呼ばれる概念だ。被災者に復興のための作業をしてもらい、給料を発生させることによって被災者を支える。その歴史や東日本大震災での実践についても述べる。 震災復興のために被災者が働き、それにお金を払う キャッシュ・フォー・ワークとは、「被災者に復興のための仕事をしてもらい、それにお金を払う」ということ。がれきの撤去や土木作業、復興のための小物づくり、遺品の創作など、本の中ではさまざまなキャッシュ・フォー・ワークが紹介されます。 賃金によって被災者を支えるとともに、「自分の手で復興した」と…

  • 『ONE PIECE(Netfix実写版ドラマ版)』を見たよ! 感想

    あらすじ・概要 海賊に憧れる青年ルフィは、海賊王の残した財宝、ワンピースを探して旅に出る。剣士のゾロ、航海士でスリのナミと出会い、さらにその土地を牛耳る権力者を倒していく。仲間を増やしてグランドラインを目指そうとするも、ナミには秘密があった。 実写なので実写でしかできないことをやるのは正解だよね ワンピース自体は大分前に原作を途中まで読んだきりなんですが、それでも面白かったです。 アクションドラマですが、個人的に印象的だったのは人間ドラマとしての側面です。人と人の関係性が全体的に大人びていて、心に染み入るような生々しさがあります。 ナミとゾロがお酒を酌み交わしながらお互いを知っていくところや、…

  • 無印良品週間で買ったものまとめ8つ(2024年3月)

    無印良品週間! セールを言い訳に無印で散財しても許される季節です。 というわけで今回の無印良品週間に買ったものをまとめました。 前回の記事は下記です。 honkuimusi.hatenablog.com バウムクーヘン ケーキ 麺にかける 味噌煮込みうどんスープ 靴下 なめらかブラタンクトップ 洗えるミラノリブ編みスキッパーポロセーター 七分丈レギンス PPクローゼットケース引出式・大 バウムクーヘン いつも買ってるやつ。今回ははちみつ味ときなこ味を買いました。 www.muji.com www.muji.com ケーキ こちらも食べたことのないものを選んでみました。おいしかったです。 www…

  • 『すみません 素人でも仕事の写真を上手に撮影する方法ってないですか? できればスマホで』矢島直美 インプレス 感想

    あらすじ・概要 スマートフォンで会社の商品やハンドメイド作品を撮影したい。そんな需要に答えて、商品の撮影方法について解説。ちょっとした工夫から、本格的な照明技術まで、照明撮影のコツを語っていく。 小さな工夫から書いてくれているので試しやすい Instagramをやっているので読んでみました。まとまった内容で、面白かったです。 紙や布を背景に使った写真の撮り方が興味深かったです。今までなんとなくで撮影していたため、背景選びにもコツがあることを考えていませんでした。 背景に使う紙を長持ちさせる方法も、そのことについては解決策があること自体予想していなかったです。 改めてハウツーを読むことの重要性を…

  • 『はじめて学ぶ生命倫理 「いのち」は誰が決めるのか』小林亜津子 ちくまプリマ―新書

    あらすじ・概要 安楽死は許されるか、子どもの自己決定権はどこまで存在するのか、精子バンクから生まれた人たちが親を知る権利は……。テクノロジーの進歩によって、多様性によって生命倫理の問題に直面する医療従事者たち。現代の医療が抱える生命倫理の問題を紹介する。 技術の発展につれて問われる人間のモラル 安楽死の話題がよく語られるので、気になって読んでみた本です。 生命倫理の問題は、人間の自由意思をどこまで認めるべきか、という話に行き着きます。例えば親にカルト宗教で洗脳された子どもには自由意思があるのか、死の恐怖におびえる人に自由意思はあるのか? 人間は、常にやりたいことを選びとれるとは限りません。 精…

  • ジョジョの奇妙な冒険のアニメを見た感想 ダイヤモンドは砕けない/黄金の風

    『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメを見た記録、ダイヤモンドは砕けない&黄金の風編です。 前回の記事はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com ストーンオーシャンも見ようかと思っていたのですが、まだアニメで完結までやっていないようなので、五部までにしました。 第四部 ダイヤモンドは砕けない 東方仗助のもとに、年上の甥を名乗る男が現れる。彼の名は空条承太郎。祖父であるジョセフ・ジョースターの不貞による息子に会いに来たという。 孫が祖父の隠し子に会うところから始まる物語。ジョセフはもうちょっと自分のやったことに責任を持ってほしいです。 浮気、ジョナサンや承太郎はやらないと思うんです…

  • 『運動ざせつ女子が行きついた 1分スロージョギング』たかツキなほり KADOKAWA 感想

    あらすじ・概要 運動が苦手な著者は、スロージョギングという方法に行き着く。歩くぐらいの早さでゆっくり走り、疲れたら休んでもいい。運動が苦手でも、三日坊主でも続けられる、無理をしない運動方法とは。 やってみたいと思わせる語り口がよい スロージョギングについて興味があったので読んでみました。コンパクトにまとまった内容でよかったです。「私もやってみたい」と思える情報量と語り口です。 スロージョギングとは、歩くぐらいの早さでゆっくり走ることです。普段着で走ってもいいし、仕事の行き帰りに最寄駅まで走ってもいい。疲れたら歩いてもいい。そんな気楽なジョギングです。 運動のハードルを低くしてくれる内容が多く、…

  • 【笑える・面白い】コメディライトノベルのおすすめ15選

    コメディジャンルについての記事は人気があるので、他の媒体もまとめることにしました。 今回はライトノベル編です。ライトノベルかどうかは、基本的にレーベルで判断しています。 書影をクリックするとAmazonに飛べます。 ビーズログ文庫 『神抱く凪の姫』響野夏菜 『となりの魔王』雪乃下ナチ 『家電彼氏』雪乃下ナチ 角川ビーンズ文庫 『重装令嬢モアネット』さき ルルル文庫 『人形姫と身代わり王子』みどうちん 電撃文庫 『ロミオの災難』来楽零 『ラノベ作家になりたくて震える』嵯峨伊緒 ガガガ文庫 『人類は衰退しました』田中ロミオ 『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』田中ロミオ 『ほま高登山部ダイアリー』…

  • 『三宅島島民たちの一年』三谷彰 岩波ブックレット 感想

    あらすじ・概要 2000年6月に噴火した三宅島。住民たちは、どのようにして全島避難に至ったのか。噴火直後の混乱や、行政の不手際、住民同士の反発、そして避難後の生活をコンパクトにまとめる。ケアワーカーの人が三宅島噴火の姿を描く。 近いようで遠い、東京の離島での噴火記録が生々しい 三宅島噴火についてよく知らなかったので、新鮮な内容で面白かったです。 東京都に属する離島のひとつ、三宅島での噴火について、現地にいたケアワーカーの人の視点で説明してくれます。 印象的だったのが行政の対応が後手後手に回り、住民に先んじた判断ができなかったことです。防災訓練はやっていたのに、いざとなったら頼りになりません。全…

  • 『王様のプロポーズ4 黄金の巫女』橘公司 富士見ファンタジア文庫 感想

    あらすじ・概要 <庭園>の教師、アンヴィエットの前に娘を名乗る謎の女の子、ニーリヤが現れる。アンヴィエットは隠し子の疑惑を否定するが、何だかんだニーリヤの面倒を見てしまうようだ。やがてニーリヤは、アンヴィエットの妻の死に関わっていると判明する。 ラブロマンス好きにおいしい回 今まで脇役だったイケメンが100年前に妻を亡くした男やもめだったことが判明し、そのイケメンが娘を名乗る謎の女児に振り回され、回想では亡くなった妻のラブラブシーンが描かれます。男女カプ好きの見た都合のいい夢夢かと思いましたよ。 一見チャラくて悪そうですが、作中で一番の常識人というアンヴィエットのキャラクターがよかったです。正…

  • 『砂糖の世界史』川北稔 岩波ジュニア新書 感想

    あらすじ・概要 お菓子にやコーヒー、紅茶に甘味を加えるために使われている砂糖。その歴史は、植民地支配と深く関わっていた。砂糖をめぐる欧州の国々と植民地の関係、そして、コーヒー、紅茶、チョコレートという他の商品作物との関係を説明する。 砂糖がどのように社会を変えていったかが面白い 岩波ジュニア新書の名著として何度も紹介されている本です。有名なだけあり、面白くわかりやすかったです。 砂糖の栽培は、植民地支配に強くかかわっています。欧州の国々は奴隷労働によって多くの富を得ました。それは、現地の経済や文化を破壊することでもありました。 砂糖の大規模栽培の前にも格差はありました。しかし砂糖によって、格差…

  • 『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』田房永子 バンブーコミックス エッセイセレクション 感想

    あらすじ・概要 夫にキレる衝動を抑えられない著者。ちょっとしたことで怒鳴り散らしてしまい、自己嫌悪に陥る日々だ。これではいけないとキレない方法を試しても、上手くいかない。そんな中、ゲシュタルトセラピーというものに出会い、著者の価値観は変わっていく。 良い人ってわけではないけどこういう漫画も必要 コミックエッセイの問題作としてよく名前が上がるので、一度読んでみなければと思っていました。読んでみると思ったよりもまともでちゃんとした内容でした。 著者は普段は内気すぎるぐらいなのに、恋人や夫など距離感の近い相手にはキレてしまいます。言葉だけならまだしも、暴力が出てしまうことも。著者は何度もそんな自分に…

  • 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』竜田一人 モーニングコミックス 感想

    あらすじ・概要 福島第一原子力発電所での廃炉作業に興味を持った著者は、原発の作業員として働き始める。過酷な原発における労働と、作業員同士の友情、放射能をめぐるあれこれ。廃炉作業の最前線を描き出す。 原子力発電所の廃炉作業に行ってみたらすごかった 分厚い防護服を身にまとい、熱中症の危険と戦いながら、廃炉作業に従事する人々。リアルでひりつくような状況に、心を奪われます。 廃炉作業と聞いても、具体的にどういうことをしているのか想像がつかない人がほとんどだと思います。壊すためにさらなる工事をするという不思議な状況に、他の建築物とは違うものを感じました。 被ばくを防ぐため何重にも服を着こむため、漫画の中…

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