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新イタリアの誘惑
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2016/06/03

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  • 階段紀行・日本 東京編㊳ 神保町の老舗レストラン「ランチョン」の 渋い木製螺旋階段

    神田神保町にあるビアレストラン「ランチョン」。ここは1909年創業という地域でも指折りの老舗レストランだ。建物も創業時そのままとまではいかないもののクラシカルな雰囲気をそのまま残す落ち着いた風情を保っている。正面のドアを開けるとすぐ、木製の螺旋階段に出会う。客席は全て2階にあるため、すべての客はこの階段を経験することになる。幅はさほど広くはないが、決して狭すぎもしない。数段上がると螺旋状の折り返しとなり、踊り場の棚には人形や創業時の写真などが飾られていた。グリーンの手すりに触れながら2階に到着する。初めは、この階段ならさぞかしギシギシと音がするのかと思ったが、メンテナンスもしっかりとされているのかミシリともせずに上階に辿りついた。客席は意外に広く、私が訪れた夕方5時過ぎでも8分以上の席が埋まっており、それ...階段紀行・日本東京編㊳神保町の老舗レストラン「ランチョン」の渋い木製螺旋階段

  • 階段紀行・日本 東京㊲ 建物を突き抜けて空へと続きそうな 日本科学未来館の階段

    お台場にある日本未来科学館は、科学技術の理解を深めるための拠点として2001年にオープンした施設だ。玄関ホールに入って最初に驚くのが、広い空間の上に大きな地球(ジオ・コスモス)が浮いていること。その表面には人工衛星が映し出す宇宙の雲の模様が、くっきりと投影されている。最初からワクワクさせる驚きに出会うという仕組みだ。階段は直線で上階に繋がる。すぐ横に並行してエスカレーターが設置されているが、階段マニアとしてはやはり階段を上って行こう。格段毎にブルーのカラーが付けられていて、入口で見上げると、その青いライトが上へ上へ奥へ奥へとどこまでも続き、ひょっとしてこの階段は建物を突き抜けて空へと昇って行くんじゃないかと錯覚を起こさせる雰囲気を持っている。それは宇宙科学の粋を集めたビルだから、という思い込みのせいかもし...階段紀行・日本東京㊲建物を突き抜けて空へと続きそうな日本科学未来館の階段

  • 階段紀行・日本 東京編㊱ お台場の夜に目を惹くフジテレビの照明大階段

    お台場のフジテレビビルは、建物の中央に球形の空間があることでも有名だが、その他ビル側面に大階段が設置されていることも、大きな特徴となっている。大階段は夜になると、七色の照明でライトアップされることは意外に知られていない。師走の夜、別の用事で出かけた時、その大階段が明るく光っているのに気づき、近づいてみた。階段は百段近くはありそうで、幅もかなり広い設計になっているが、その格段毎に違ったライトで彩色されているのが目についた、しかも数十秒ごとに配色が変化してゆく。初めは下の階の暗い紫から徐々に明るくだいだい色へと変わっていく。しばし眺めていると、次の時間帯は一番下が赤。そこから緑を経て最上階は白に近い明るさへと変化していった。そんなバラエティに富んだ照明の仕掛けは、とても楽しめる内容だった。“中居問題”でスポン...階段紀行・日本東京編㊱お台場の夜に目を惹くフジテレビの照明大階段

  • 階段紀行・日本 東京編㉟ 東京駅前の大都会 新しい戸田ビルの1階で、奔放な階段アートが空間を飛んでいた

    2025年11月に東京都京橋に、戸田建設の超高層ビルがオープンした。その1階にあるアートスペースに、階段アートとも言うべき作品が展示された。地上から発生した階段状の曲線が、巨大な吹き抜け空間に躍り上がり、くねくねと曲がり、交じり合い、天井付近で突然途切れる。いや、目に見えないどこかで、別次元の空間を飛び回っているのかもしれない。流れを追っている者の心の中に、新鮮なリズムを奏でているようにも見える。上階に昇って見下ろしてみると、透き通る階段の上を突然透明人間が走り降りてくるかも、とさえ思わせる軽快なカーブが地上にまで続いている。作者は東京芸大卒の芸術家持田敦子。タイトルは「steps」広い空間が提供されていることから、そのスペースを最大限に活用して伸び伸びと展開した階段アートはいつまで見ていても飽きない楽し...階段紀行・日本東京編㉟東京駅前の大都会新しい戸田ビルの1階で、奔放な階段アートが空間を飛んでいた

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編⑨ パッラーディオの別荘で 出会った可愛い少女が実は !!!

    ヴィチェンツァの郊外にあるアンドレア・パッラーディオのもう一つの傑作建築を見に出かけたバスで約15分目的の「ラ・ロトンダ」は1567年に完成した別荘だ施主の名前を取ってヴィラ・アルメリコ・カプラとも呼ばれるロトンダとは円形のことを指す言葉なので丸い建物かと思っていたが見ると形は四角形ただ上方のドームの円さが目についた四辺はいずれも大階段に囲まれ6本のイオニア式列柱が並ぶ装飾は少ないが統一性と調和という点では他のパッラーディオ建築と共通する感じだ日差しの強い外から少し薄暗い内部空間に身を置くとすぐあれ!と驚くことがあった奥の部屋からドアを開いておしゃれな服を着た少女が顔を出し「こんにちは」と挨拶している目まいのような一瞬だったもう一度見直すとその少女は壁に描かれただまし絵だった少女だけではない半分開かれたド...心ふるえる風景北中部イタリア編⑨パッラーディオの別荘で出会った可愛い少女が実は!!!

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編⑧ ヴィチェンツァの劇的構成の劇場で 素晴らしい音楽に包み込まれた

    ヴィチェンツァはイタリア北部パドヴァとヴェローナとの中間に位置する人口12万人の街ルネサンスの天才建築家アンドレア・パッラーディオの建築が街中に展開されておりこの街は「パッラーディオの街」として有名だその彼の最期の作品であるオリンピコ劇場を見に出かけた駅からパッラーディオ大通りを歩いて突き当りにその建物が見えてくる中に入って驚かされるのがその舞台だ正面に横に広がる大きな門が存在する門と言っても単なる仕切りではなく王宮の城壁を連想させる造りで各所に彫像が配置されるなど壮大な広がりを持っているさらに入口の奥には壮麗な建築群に挟まれた大通りが見通せ上空には空がのぞいているこの情景は古代エジプトに栄えたテーベの街が再現されたものだという観客席は階段座席になっており後方の柱の上には28体の彫像が並ぶ演劇が始まらなく...心ふるえる風景北中部イタリア編⑧ヴィチェンツァの劇的構成の劇場で素晴らしい音楽に包み込まれた

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編⑦ トリエステの夜 季節風の前兆にコートが翻った

    夕刻レストランを探して街を歩くうち大運河に突き当たった周辺はハプスブルク帝国女王マリア・テレジアの都市計画で整備された新古典主義の堂々とした建築が華麗に並んでいる通りを1つ裏に入ってよさげな店を見つけた注文したのはエビのフリット海辺の街だけあってエビはプリプリで最高白ワインもすっきりとした味で大満足だった店を出るともう街はすっかり夜の装い8時を過ぎたばかりなのに街を歩く人は少ない風が出てきた急に勢いを増してボタンをはずしていたコートが引きずられるよう気の早いクリスマスイルミネーションがバタバタと揺れ急速な気温の低下を感じるそういえば須賀敦子のエッセイにトリエステの季節風「ボーラ」のことが書いてあったっけ大運河のさざ波が一層激しさを加え係留してあるボートを左右に揺らし始めた突き当りにあるサンジョヴァンニ教会...心ふるえる風景北中部イタリア編⑦トリエステの夜季節風の前兆にコートが翻った

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編⑥ トリエステは 悲しみを意味するイタリア語を思い起こさせる

    明るい陽光の降り注ぐ海岸から山側の通りに入った少し喉が渇いていたのでカフェに入って一休みすることにする確かここはラザレット・ヴェッキオ通り通りのどこかにウンベルト・サバの詩があるはずマスターに尋ねるとすぐに教えてくれた「隣の建物の壁だよ」「トリエステには閉ざされた悲しみの長い日々に自分を映してみる道があるラザレット・ヴェッキオという名の」ラザレット・ヴェッキオ「古い伝染病院通り」と名付けられた道だ以前の回にも触れたようにトリエステはローマ、ヴェネツィア、そしてオーストリアと様々な国の支配を受け続け決して主役にはなりえないままに歴史の変遷を重ねてきたそんな環境の中で生きてきた人々の思いを映し出すかのような道路名ここから海は見えないまた展望の拓ける高台も急な坂道の先にある少ない人通りの空間を一陣の風が吹き過ぎ...心ふるえる風景北中部イタリア編⑥トリエステは悲しみを意味するイタリア語を思い起こさせる

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編⑤ トリエステ中央広場の夜は 独特な異世界の光景が展開される

    トリエステの街の中心はウニタ・デ・イタリア広場(イタリア統一広場)だアドリア海を背にして広場を見ると向かって左側に政庁舎とヴェルディ劇場右側に旧ロイドトリエステ館ロイド商会は世界的な海運会社の名称だそして中央にネオクラシック様式の市庁舎がドンと構えるただイタリアを歩いてきて他の都市と異なることに気づいたミラノヴェネツィアフィレンツェどの都市に行っても最大の広場は教会を中心に造られていたなのにトリエステ最大の広場には教会がなく代わりに海運会社ビルがある港湾都市として発達した歴史を物語る何よりの証拠のように思われるこの広場が異彩を放つのは夜だ市庁舎を中心に設置された照明装置が一斉に点火されると周囲は異世界の光景に変容する建物に放たれる光は下から上に向かって照射され浮遊感に溢れる姿が浮かび上がり手前側の車止め石...心ふるえる風景北中部イタリア編⑤トリエステ中央広場の夜は独特な異世界の光景が展開される

  • 心ふるえる風景 北中部編④ トリエステの街ではあちこちで 散歩する偉人たちに出会う

    トリエステにはゆかりのある偉人の像が何気なく道路上に置かれている大運河に架かる赤い橋(ポンテロッソ)の途中にはジェームス・ジョイスが立っているぼうしを斜めにかぶったちょっと粋な姿の彼は長編小説「ユリシーズ」で世界的に知られる彼はアイルランド出身だが1904年から1915年までトリエステに英語教師として滞在していたこの地をこよなく愛しており像の下の碑文には「わが魂はトリエステに在り」と刻まれていた運河近くダンテ通りの路上にステッキをついて散歩中の紳士像があるイタリア現代の代表的詩人であるウンベルト・サバ彼は1919年トリエステで中古書店「古今書店」を購入しこの地で晩年を過ごした碑文には「岩の多い山ときらめく海に挟まれた美しい街があった」とトリエステを表現した文章が残されているサバを敬愛しイタリアに関する多く...心ふるえる風景北中部編④トリエステの街ではあちこちで散歩する偉人たちに出会う

  • 階段紀行・日本 東京編㉞ 大リーグ開幕試合に特別仕様が施された東京ドーム「王・長嶋ゲート」の階段

    現在イタリア北中部の風景を連載中ですが、期間限定の階段を見つけたので一回だけ「階段紀行」を挟みます。今週、ⅯⅬBの開幕戦ドジャーズ対カブスの試合が東京ドームで開催された。チケットは取れなかったが雰囲気だけでも、とドームに行ってみた。東京ドームにはジャイアンツの偉大な選手の功績を顕彰する2つの階段がある。対象はもちろん王、長嶋の2選手だ。場所は22番ゲート。その一塁側階段が「王ゲート」、三塁側階段が「長嶋ゲート」と命名され、階段上方に月桂樹が施され、壁面にはそれぞれの全身像があしらわれている。その階段が3月18,19の両日、特別な変身を見せた。大リーグ仕様に変化したのだ。「王ゲート」の階段にはシカゴカブスの文字が入り、球団ロゴも加えられた。一方「長嶋ゲート」はドジャーズの文字と球団ロゴ。どちらもチームカラー...階段紀行・日本東京編㉞大リーグ開幕試合に特別仕様が施された東京ドーム「王・長嶋ゲート」の階段

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編③ アドリア海の夕陽の中で 髪の長い女性のシルエットが時を止めた

    見上げると陽が傾き始めていたアドリア海に沈みゆく太陽に埠頭に集う人たちも次第に会話を止め沈黙の中でじっとその行方をみつめ続けている次第に夕陽が世界を赤く染めて行く空を海を街を潮騒のリズムに合わせてきらめく光の粒が明るいオレンジから暗赤色へと変化を続けているまばゆさというより吸い込まれてしまいそうな深みを伴う朱色そんな光を埠頭で見つめていた髪の長い女性がふと立ち上がったすらりと伸びた体が濃く彩られた光の中でシルエットとなり時が止まったこれまで見たこともなかった劇的な一瞬哀しいまでに美しい光の変化を見続けて育つ人は心に何を宿すのだろうか日没後埠頭から人影が消え闇の世界に閉ざされて行く様子をポツンと一人見つめ続けている自分に気づいた時世界はすっかり冬の寒さに支配されてしまっていた心ふるえる風景北中部イタリア編③アドリア海の夕陽の中で髪の長い女性のシルエットが時を止めた

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編② トリエステの埠頭で旅の女性が尋ねた「海の向こうは何処?」

    アドリア海の広がる埠頭に向かった海に突き出るように設定された埠頭はモーロ・アウダージェ(勇者の埠頭)と名付けられているその突端で釣り糸を垂れていた老人に旅の途中と思しき若い女性が話しかけた「この海の向こうに見えるのはどこですか?」「向こうかい向こうもイタリアさ」そうトリエステはイタリア海を挟んだ向こう側もイタリアトリエステはイタリア最東部イタリア半島ではなくヨーロッパ大陸に位置しているイタリア半島をアドリア海を挟んで向こう側に眺めることの出来るイタリア唯一の都市なのだこうした地理的特徴は歴史を振り返るとトリエステの独自性につながるハプスブルク帝国時代栄華を誇った同帝国の弱点は内陸国で海への拠点を持たないことだったそれが帝国への帰属によってトリエステは軍事的経済的な発展を担う重要港湾都市の役割が与えられただ...心ふるえる風景北中部イタリア編②トリエステの埠頭で旅の女性が尋ねた「海の向こうは何処?」

  • 心ふるえる風景 北中部イタリア編 「イタリアじゃないイタリア」の北の街 トリエステ

    今回からはイタリアに戻って「トリエステ」を訪ねますヴェネツィアから電車に乗ってトリエステに到着したここはスロベニアやクロアチアと接した国境の街11月の末という季節なのに珍しく気候に恵まれコートを脱いで駅舎から通りに歩き出した駅前のリベルタ広場で最初に出会ったのは多くの従者に囲まれて立つ女性の像だった正面に廻ってみると何と彼女はエリザベートオーストリア・ハプスブルク帝国の王女だったそこで思い出したここトリエステがイタリアに復帰したのは第二次世界大戦の後の20世紀従ってオーストリアの文化風習が未だに色濃く残っているのかもしれないそんな目で見てみるとイタリアにしてはちょっと異質な面が浮かび上がる街歩きの準備のため最初に入ったカフェはアールヌーヴォー風な内装が施されコーヒーもカプチーノだけではなくちゃんとウインナ...心ふるえる風景北中部イタリア編「イタリアじゃないイタリア」の北の街トリエステ

  • 心ふるえる風景 パリ編㊽ 名作の現場を訪ねて別の名作の場面に遭遇 二十歳の興奮が蘇った

    滞在していたホテルの近場にモネの代表作「サンラザール駅」を橋の上から見下ろせる場所があると聞いて出かけたクリシー広場からペテルスブルク通りを南下して行くとトゥリン通りクラペロン通りモスクワ通りという3つの通りが一か所で交差する大きな交差点に差し掛かった台形状の2つの大きなビルの先端がこちらに向いてその2つのビルによって道路が放射状に分かれた形になった風景が目の前に現れた「あれそうだこの風景はカイユボットが描いた絵にそっくりじゃないか」慌ててスマホでその絵を呼び出すとまさに絵とほぼ同じ構図の作品がそこにあった正式タイトルは「パリの通り雨」(ヨーロッパ橋)カイユボットは19世紀印象派グループの画家上流階級の子息で自らも作品を世に出すとともにドガルノワールモネらと交流し彼等の作品を買い上げて資金援助も惜しまなか...心ふるえる風景パリ編㊽名作の現場を訪ねて別の名作の場面に遭遇二十歳の興奮が蘇った

  • 心ふるえる風景 パリ編㊼ パリの重要な2つの教会がドッキングする 奇蹟的な場所を見つけた

    サクレクール聖堂を見学した後マネの遺作ともいうべき作品の舞台となったフォリー・ベルジェール劇場に向かった初めてのルートだったので何度も地図を見ながら進む9区に入って北東から南西に伸びるラファイエット通りを歩き東西に続くオスマン大通りとの交差点に達した少し行き過ぎたかもと後ろを振り向いた時意外な光景が目に入った手前にある教会に後方にそびえるサクレクール聖堂がすっぽりと乗っかったように重なっている言ってみれば奇跡的な2つの教会のドッキングが実現していたのだ手前の教会はノートルダム・ド・ロレット教会ここは印象派の画家たちにとって忘れがたい教会だドガの両親が結婚式を挙げた場所でありモネが洗礼を受けたところでもあるさらにカイユボットの葬儀もここで行われドラクロワもすぐ近くに住んでいたサクレクール聖堂はパリ北部を見上...心ふるえる風景パリ編㊼パリの重要な2つの教会がドッキングする奇蹟的な場所を見つけた

  • 心ふるえる風景 パリ編㊻ モンマルトルに住んだゴッホもロートレックも なぜあのサクレクール聖堂を描かなかったのか

    サクレクール聖堂モンマルトルの丘にそびえる高さ83mの教会は青空を背景にパリの市街を睥睨するかのように純白の雄姿を誇っているエッフェル塔やオペラ座などパリ中心部にある建築物とは一味違って3本の円形尖塔を持つビザンチン様式の建物は温かい雰囲気で人を迎え入れてくれる気がするそれはモンマルトルという地区が高き志を抱いてパリを目指した異国からの若者たちが修業し語り合い花開いて世界に飛び出した場所であるという事実と重ね合わせてしまうからかもしれない実際イタリアからモディリアニロシアからシャガールオランダからゴッホなど多くの若者がこの地で青春の血を燃やしたまた地元フランスでもルノワールロートレックユトリロらもここから羽ばたいた近世パリの芸術文化の大きな基点となったモンマルトルその地のシンボル的な建築がサクレクール聖堂...心ふるえる風景パリ編㊻モンマルトルに住んだゴッホもロートレックもなぜあのサクレクール聖堂を描かなかったのか

  • 心ふるえる風景 パリ編㊺ サンルイ島に 激情の女流彫刻家カミーユ・クローデルの足跡をたどる

    大聖堂のあるシテ島は紀元前200年ころにケルト民族パリシイ人が集落を築いたパリ発祥の地として今も多くの観光客が集う場所となっているだが隣に位置するサンルイ島についてはあまり語られることが少ないそのサンルイ島に一つの悲しい物語を訪ねて訪れた繊細で印象深い作品を残した女流彫刻家カミーユ・クローデルの物語だカミーユは若くしてその才能を当時の彫刻界第一人者ロダンに認められ彼に師事したまもなく二人は相思相愛の仲となり同棲生活をスタートさせたしかしロダンには既に実質的な妻(ローズ・ブーレ)が存在していた劇場型のカミーユにとって自分一人だけを愛してくれない優柔不断のロダンは許せないものに映った次第に心を病みロダンの元を去って引きこもったのがサンルイ島のアパルトマンだった彼女の心は張り裂けたままアパート内で作品を制作して...心ふるえる風景パリ編㊺サンルイ島に激情の女流彫刻家カミーユ・クローデルの足跡をたどる

  • 心ふるえる風景 パリ編㊹ 男女の右手と左手 「祈り」に通ずるロダンの作品に出会った

    右手と左手がそっと組み合わされている離れもせずきつくもなく肌のぬくもりがかすかに伝わるかもといったほんのわずかな接触だけで留まっているこの手は一人の手ではないよく見ると大きさが異なっているたぶん一人の男の右手と一人の女の左手二人がお互いの一方の手を差し出して出来上がった形だその形は何を意味するのだろうか彫刻の作者はオーギュスト・ロダン彼が名付けたタイトルは「カテドラル」(=大聖堂)そうこの二つの手が一つになって出来上がったテーマは「祈り」だ大聖堂(カテドラル)の存在は人が為そうとしても成し遂げえない目的望み思いもかけずに陥ってしまった過ちや苦悩そんな人生の節々にたたずむ場所としてあるのかもしれないなら自分にとって祈りとは何なのだろうかロダンが具象化したこの作品が意味するものを見出せないままにロダン美術館の...心ふるえる風景パリ編㊹男女の右手と左手「祈り」に通ずるロダンの作品に出会った

  • 心ふるえる風景 パリ編㊸ パリの記憶 時間 歴史をそのまま留めたコルメス・サンタンドレ小路に迷い込む

    パリ左岸サンジェルマンデプレ地区を歩いているとこんなでこぼこ道に入った石畳があちこち擦り切れており穴が開いた個所までここはコルメス・サンタンドレ小路18世紀に建設されたパリでも最も古い通りの1つだパッサージュ(アーケードのある通り)として計画されたようだが現在アーケードはごく一部だけしかなくでこぼこ道は昔の日本の田舎道をも思い出させるだがこの通りには様々な歴史があったパリ最古のカフェと言われる「プロコープ」が今も営業中だ当初は文学サロンとしてヴォルテールやベンジャミン・フランクリンらが集い革命期一方小路9番地の作業場では18世紀後半に人間の処刑装置であるギロチンが制作されたあの王妃マリーアントワネットもこの装置で命を絶たれたことで有名だまた画家バルティスはここで「サンタンドレ小路」というタイトルの絵を残し...心ふるえる風景パリ編㊸パリの記憶時間歴史をそのまま留めたコルメス・サンタンドレ小路に迷い込む

  • 心ふるえる風景 パリ編㊷ サンジェルマンデプレ教会で出会った 慈しみに満ちた聖母の表情

    セーヌ川左岸にあるサンジェルマンデプレ教会はパリに現存する最古の教会だパリでは数少ないロマネスク様式で建造されているゴシック建築のノートルダム大聖堂などと違って観光客は少ない境内に入るとひんやりした空気に包まれる感覚だステンドグラスから差し込む光を浴びながらほぼ一周し終えようとした頃一体の像に出会った13世紀中ごろと推定される聖母子像20世紀後半に教会近くの壁の土台から発見されたとのことで像全体のうち右半身は失われた形だった顔も鼻の一部は欠けた状態だが衣をかぶって抱きかかえる我が子を見つめる表情は慈しみに満ち優しさの極地とでも言えそうな微笑みを湛えて居る人が心から湧き上がる愛の気持ちを表現する時これ以上はないだろうと思える目元口元ほほの温かさ・・・以来私はこの像の表情を自らの心に大切に刻み続けている心ふるえる風景パリ編㊷サンジェルマンデプレ教会で出会った慈しみに満ちた聖母の表情

  • 心ふるえる風景 パリ編㊶ 師走の夜 街角に浮かび上がったサンジェルマン・デプレのショーウインドウ

    12月の夜サンジェルマン・デプレ地区を歩いていてあるショーウインドウを見かけたここは靴店冬場だけに落ち着いた色のシューズが陳列されているただ日本でいつもみかける陳列法とは全く違った形が目を惹くまず一足ずつ並べているのではなく片方の靴だけが並ぶそれも互い違いに上下に並べられているうえ一つとして平行にはなっていないまるで木の実のようにあるいは大きな葉に止まった蝶のようにゆらりゆらりと空中に浮かんでいる照明も斜めからの光線で商品には微妙な陰影までつけられている「どうぞこれらの靴を自由気ままに履きこなしてください」そんなメッセージが込められているのかもしれない眺めているうちにふと気が付いた今は12月そうこれは「クリスマスツリー」今年一年を締めくくるとともにキリスト誕生を祝う月に「心尽くしの感謝を込めたプレゼントに...心ふるえる風景パリ編㊶師走の夜街角に浮かび上がったサンジェルマン・デプレのショーウインドウ

  • 心ふるえる風景 パリ編㊵ パリで 日本のアニメ人気のすごさを改めて認識させられた一日

    何年か前のパリ滞在中ちょうど「ジャパンエキスポ」がパリで開催中だった日本の様々な文化をパリっ子に紹介しようという企画だが一番の目玉であり人気は「日本のアニメ」だった会場に入る前のチケットを買う広場からもう大混雑日本発のアニメキャラの扮装をした若者たちでごった返していたなかでも特に人気が集中していたのが「ワンピース」ある舞台上ではすっかりキャラクターになり切った若者がさっそうと演技の最中だったその他にも会場のあちこちで催されたイベントでフランス人によって再現されたアニメのシーンがたっぷりと展開されていた私はアニメについてはほとんど知識がなかったのでそれぞれのキャラクターがどんなアニメを基にしているのか理解できなかったがどれほど外国で日本のアニメが人気でどれほど浸透しているのかしっかりと認識させてもらった一日...心ふるえる風景パリ編㊵パリで日本のアニメ人気のすごさを改めて認識させられた一日

  • 心ふるえる風景 パリ編㊴ ロバート・キャパとゲルダ・タロー 二人の出会いの原点はモンパルナスのカフェだった

    スペイン戦争や第二次世界大戦で数々の決定的写真を残した報道写真家ロバート・キャパ彼が故郷ブダペストからパリに出た翌年の1934年その人生を大きく変える出会いがパリの街角で起こったセーヌ左岸モンパルナス大通りにある「カフェ・クーポール」当時は本名のアンドレ・フリードマンとして活動していたが売れない無名のカメラマンに過ぎなかった素敵なモデルを探そうと通りを歩いていると「クーポール」のテラスにいる一人の女性が目に止まった声をかけると本人は辞退したものの彼女の友人を紹介してくれたその女性がゲルダ・タローだった二人は急速に親しさを増した彼女は写真家であるだけでなくプロモーション能力にも長けておりまずアンドレの名前を「ロバート・キャパ」と改名させ写真のタイトルやキャプションも担当したそうした巧みな作戦によってキャパは...心ふるえる風景パリ編㊴ロバート・キャパとゲルダ・タロー二人の出会いの原点はモンパルナスのカフェだった

  • 心ふるえる風景 パリ編㊳ モンパルナスのカフェで モディリアニの若き妻ジャンヌの視線を感じた

    モンパルナスの地下鉄ヴァヴァン駅前にカフェ「ラ・ロトンド」があるこのカフェは1903年開業以来多くの文化人や芸術家たちの集まる店となり毎夜芸術論を論じる空間となった無名の画家だったモディリアニはここにきては店のナプキンに客の似顔絵を描きそれを売っては食事と酒代を工面していた日本からやってきた藤田嗣治はカウンターにモデルを上げてダンスに興じることもあった他にもエコール・ド・パリの画家たちが常に席を占めていたパスキンローランサンシャガールなど・・・少し前の時代には北部のモンマルトルが若き芸術家たちの拠点だったが家賃の高騰や地下鉄南北線開通によって来やすくなったモンパルナスが新しい拠点となったセーヌ川左岸に宿を取った時朝食は予約せず毎朝散歩がてらサンジェルマン地区を通って「ロトンド」でクロック・ムッシューの朝食...心ふるえる風景パリ編㊳モンパルナスのカフェでモディリアニの若き妻ジャンヌの視線を感じた

  • 心ふるえる風景 パリ編㊲ セルジュ・ゲンズブール 伝説の歌手の家が改装され 一般公開された

    セーヌ川左岸カルーゼル橋からほんの少し南に行ったところにこの家はあったフランスのカリスマ的歌手で俳優でもあったセルジュ・ゲンズブールの自宅彼はヒット曲を世に出すとともにセンセーショナルな言動で何度も人々の話題となった伝説的な人物だその彼がジェーン・バーキンと親密になった翌年1969年から二人で暮らし始め死去する1991年まで過ごしたのがこの建物彼を慕うファンたちが壁面に二人の似顔絵を描いたり「愛しています」などのメッセージを書き込んだりその内容は数日見ないうちに新しく変更されていたりするほどだある年私はこの家から数百メートルという場所のホテルに滞在したため一日に何度もこの家の前を通り壁に見入るファンたちの姿を見つける毎日だったつい最近知ったことだがこの家が2023年に「ゲンズブールの家」として広く一般公開...心ふるえる風景パリ編㊲セルジュ・ゲンズブール伝説の歌手の家が改装され一般公開された

  • 心ふるえる風景 パリ編㊱ パリの墓地 小雨模様の中 ショパンは花束に囲まれて永遠の眠りについていた

    しばらく中断していた「心ふるえる風景」を再開します。ピアノの詩人フレデリック・ショパンは1831年、21歳でパリに移り39歳で病死するまでの18年間のほとんどをパリで過ごした従って彼の遺骸はパリの墓地に埋葬されているペール・ラシェーズ墓地彼の墓は墓地の中央入口からほど近い場所にあった墓石の上部にはうつむく少女の像があり石碑の中央にショパンの横顔と名前が刻まれている墓前には花束が絶えず私が訪れた時も何人もの参拝者の姿があったパリ中心部のマドレーヌ聖堂で行われた葬儀には3千人もが集まったといわれるその際彼の心臓は故国ポーランドに戻されたがこちらの墓の遺体の上には故国の土が撒かれたという墓の前にたたずんでいるとどこからともなく彼の遺作「ノクターン20番」の調べが地面から湧き上がってくるような幻想にとらわれる気が...心ふるえる風景パリ編㊱パリの墓地小雨模様の中ショパンは花束に囲まれて永遠の眠りについていた

  • よさこい讃歌2024㉔ 「死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子供」 柳葉魚のざわめき 駿河リゾート TOKYO PHANTOM ORCHESTRA

    「柳葉魚のざわめき」(東京都新宿区)死んだ男の残したものはひとりの妻とひとりの子供他には何も残さなかった墓石一つ残さなかった死んだ女の残したものはしおれた花とひとりの子供他には何も残さなかった着物一枚残さなかった死んだ子供の残したものはねじれた脚と乾いた涙他には何も残さなかった思い出一つ残さなかった死んだ兵士の残したものはこわれた銃とゆがんだ地球他には何も残せなかった平和一つ残せなかった死んだかれらの残したものは生きてるわたし生きてるあなた他には誰も残っていない他には誰も残っていない死んだ歴史の残したものは輝く今日とまた来る明日他には何も残っていない他には何も残っていない(谷川俊太郎)「駿河リゾート」(静岡県沼津市)[TOKYOPHANTOMORCHESTRA」(東京都)「よさこい讃歌2024」は今回で終...よさこい讃歌2024㉔「死んだ女の残したものはしおれた花とひとりの子供」柳葉魚のざわめき駿河リゾートTOKYOPHANTOMORCHESTRA

  • よさこい讃歌2024㉓ 「僕を包んで抱きしめたまま 歩いてくれるものをください」TACYON さぬき舞人 燦

    「TACYON」(高知県)時間をください力をください気持ちをください終わりのない歌をください僕を包んで抱きしめたまま歩いてくれるものをください何にも惑わされないように強く思いつめたまま生きて行けるように僕の胸は苦しくてこんこんと咳みたいに悲しさが零れ落ちるぼくの心は自由だからふわふわと煙のように淋しさがさまよい歩く(銀色夏生)「さぬき舞人」(香川県さぬき市)「燦-SUN」(東京都)よさこい讃歌2024㉓「僕を包んで抱きしめたまま歩いてくれるものをください」TACYONさぬき舞人燦

  • よさこい讃歌2024㉒ 「もはやいかなる権威にも 倚りかかりたくない」 旅鳥

    「旅鳥」(東京都、山口県)もはや出来合いの思想には倚りかかりたくないもはや出来合いの宗教には倚りかかりたくないもはや出来合いの学問には倚りかかりたくないもはやいかなる権威にも倚りかかりたくない永く生きて心底学んだのはそれぐらい自分の耳目自分の二本足のみで立っていて何不自由のことやある倚りかかるとすればそれは椅子の背もたれだけ(茨木のり子)よさこい讃歌2024㉒「もはやいかなる権威にも倚りかかりたくない」旅鳥

  • よさこい讃歌2024㉑ 「きみの心を彗星に乗せて 宇宙の果てに連れて行ってあげる」 百物語 七福よさこい連祝禧

    「万屋千家百物語」(東京都豊島区)きみの心を彗星に乗せてさみしさなど追いつけないスピードで宇宙の果てに連れて行ってあげる美しい星々そこに誰もいなくてもきみはさみしくなくてまるで叶えたい夢を見つけに来たようなときめきだ恋など追いつかない炎になってさみしさは世界がきみのものになるその予感きみを微塵も奪わない私の手をどうか取って(最果タヒ)「七福よさこい連祝禧」(東京都)よさこい讃歌2024㉑「きみの心を彗星に乗せて宇宙の果てに連れて行ってあげる」百物語七福よさこい連祝禧

  • よさこい讃歌2024⑳ 「思いが募ってしようがなかった時 呼吸することさえも苦しかった」朝霞なるこ遊和会 朝霞鳴子一族め組

    「朝霞なるこ遊和会」(埼玉県朝霞市)いちばん思いが募ってしようがなかった時私は呼吸することさえも苦しかったどうしても考えてしまうあの人のことを理性では抑えられるのに感情が動くこれは何の試練だろうこれはどんな意味があるのか静かな夜のしじまの中の苦しいほどの自問自答に答えなんてないそれって悲しくないですかとあの人は言った何の話か忘れてしまったけど私は答えをうやむやにした言葉は流れ合い心に注ぎ込み新たな関係を生み出すどんな関係をあの人と私は築けるだろうその答えはいつかわかる振り返った時の景色の中にいつかはっきりと浮かび上がるそれが私を支えるものとなるように私はあの人をどこまでも信じよう(銀色夏生)「朝霞鳴子一族め組」(埼玉県朝霞市)よさこい讃歌2024⑳「思いが募ってしようがなかった時呼吸することさえも苦しかった」朝霞なるこ遊和会朝霞鳴子一族め組

  • よさこい讃歌2024⑲ 「きみを月のように光らせる 愛になりたかった」 踊り侍

    「早稲田大学踊り侍」(東京都)きみがぼくを好きならいいのにと思うとき僕は愛されたいのではなくきみを月のように光らせる愛になりたかったその光で月はお昼間春穏やかな時間幸せでいてほしいぼくはそこにいなくてもいいと本当は言えるのにぼくはきみの前で散る花だ今すぐ抱きしめてくれないと何もきみのためにできないまま消える花束だった(最果タヒ)よさこい讃歌2024⑲「きみを月のように光らせる愛になりたかった」踊り侍

  • 東京探訪 久しぶりのお台場 冬の花火に遭遇した。巨大ガンダム像のライトアップも

    先日久しぶりにお台場に行ってきました。当初の目的は日本科学未来館で行われている「パリ・ノートルダム大聖堂展」をみること。2019年に火災で焼失した大聖堂の復活の模様を展示するという企画。私は火災の数か月前にパリに滞在していたこともあって、あの記憶は生々しく残っていました。出かけてみると、展示は工事中模様や大聖堂の歴史などを専用タブレットで見るという内容。中には崩壊してしまった尖塔部分を空中から捉えた写真などもあり、興味をひかれたが、やっぱり本物を見ないと実感はわかないものだなあ、といった感想を持ちました。それと、12月は毎週土曜日の夜に花火を開催しているとの告知があったので、花火も見ようと浜沿いに出かけました。しかしこの日は強風注意報も出そうな強い風が吹き荒れていました。花火撮影には不可欠な三脚を立てたの...東京探訪久しぶりのお台場冬の花火に遭遇した。巨大ガンダム像のライトアップも

  • よさこい讃歌2024⑱ 「誰も君に未来を贈る事は出来ない 何故なら君が未来だから」 彪芽天翔

    「彪芽天翔」(富山県富山市)道端のこのスミレが今日咲くまでにどれだけの時が必要だったことだろうこの形この色この香りは計り知れぬ過去から来た遠く地平へと続くこの道が出来るまでにどれだけの獣が人々が通ったことだろう足元の土に無数の生と死が埋もれてる照りつけるこの太陽がいつか冷え切るまでに目に見えないどんな力が働くのだろう私たちもまたその力によって生まれてきた人は限りないものを知る事は出来ないだが人はそれを生きることが出来る限りある日々の彼方を見つめて未だ来ないものを人は待ちながら創っていく誰も君に未来を贈ることはできない何故なら君が未来だから(谷川俊太郎)よさこい讃歌2024⑱「誰も君に未来を贈る事は出来ない何故なら君が未来だから」彪芽天翔

  • よさこい讃歌2024⑰ 「あなたの存在を もっと強くはっきりと感じられたら」 夏舞徒 妃龍

    「夏舞徒」(埼玉県朝霞市)私たちが今までのように時々会うのではなくて願った時にはいつでもすぐに出会えたらいいのに私が悲しい時心細い時あなたの存在をもっと強くはっきりと感じられたらと思う例え私が一人ぼっちでこの先も生きようとこの手のひらに包んで握ることの出来るあなたの確かな一片がほしい倒れた時はその一片をつかんで起き上がる胸が痛む時はそっと胸に押し当てるわそれがあなたである限り私には限りないものの入口だから(銀色夏生)「妃龍」(埼玉県鶴ヶ島市)よさこい讃歌2024⑰「あなたの存在をもっと強くはっきりと感じられたら」夏舞徒妃龍

  • よさこい讃歌2024⑯ 「こっつんこっつん 打たれる土は」天嵩 藍なり

    「天嵩」(北海道千歳市)こっつんこっつん打たれる土はよい畠になってよい麦生むよ朝から晩まで踏まれる土はよい路になって車を通すよ打たれぬ土は踏まれぬ土は要らない土かいえいえそれは名のない草のお宿をするよ(金子みすず)「藍なり」(東京都)よさこい讃歌2024⑯「こっつんこっつん打たれる土は」天嵩藍なり

  • よさこい讃歌2024⑮ 「愛されていると思えたら 心が光をまとう」 艶星 華舞鬼蜂 よんでんグループ

    「艶星~eboshi」(千葉県千葉市)「華舞鬼蜂」(岡山県)誰もが一瞬でぼくらを忘れていく気がしていた君がぼくを好きな間はぼくは全ての人に一瞬で忘れられていくそんな冷たくて心地いい川の流れに足を浸しているようだった愛されていると思えたら心が光をまとう誰もいらないと思えるどんなさみしさも美しく見えてそうしてきみはぼくの体温そのものだった(最果タヒ)「よんでんグループ」(高知県)よさこい讃歌2024⑮「愛されていると思えたら心が光をまとう」艶星華舞鬼蜂よんでんグループ

  • よさこい讃歌2024⑭ 「人は 偽りの常識に 惑わされてしまうから」ほにや 国士無双

    「ほにや」(高知県高知市)どんなに心細くても人に聴いてはいけないわ偽りの常識に惑わされてしまうから人は私とあなたのことどんなふうな二人なのかいきさつも成り行きも知る由もないもの私でなくあなたでなく誰が二人を知っているというの今までのすべてのときめきを人の言うことを信じてはいけないわ私たちだけを信じましょう(銀色夏生)「国士無双」(高知・東京)よさこい讃歌2024⑭「人は偽りの常識に惑わされてしまうから」ほにや国士無双

  • よさこい讃歌2024 ⑬ 「今あふれようとする この気持ちはなんだろう」CHIよREN北天魁 ちるらむ

    「CHIよREN北天魁」(千葉県千葉市)この気持ちはなんだろう目に見えないエネルギーの流れが大地から足の裏を伝わって僕の腹へ胸へそうしてのどへ声にならない叫びとなってこみ上げるこの気持ちはなんだろう枝の先の膨らんだ新芽が心をつつく喜びだしかし悲しみでもあるいらだちだしかも安らぎがあるあこがれだそして怒りが隠れている心のダムにせき止められ淀み渦巻きせめぎあい今あふれようとするこの気持ちはなんだろうあの空あの青に手を浸したいまだ会ったことのないすべての人と会ってみたい話してみたい明日と明後日が一度に来るといい僕はもどかしい地平線のかなたへと歩き続けたいそのくせこの草の上でじっとしていたい大声でだれかを呼びたいそのくせ一人黙っていたいこの気持ちはなんだろう(谷川俊太郎)「ちるらむ」(東京都)よさこい讃歌2024⑬「今あふれようとするこの気持ちはなんだろう」CHIよREN北天魁ちるらむ

  • よさこい讃歌2024⑫ 「君が一番幸福な時に 贈る花束になる・・・」法政大学鳳遙恋 おどりんちゅ 北里三陸湧昇龍

    「法政大学鳳遙恋」(東京都)「おどりんちゅ」(東京都)愛してくれた人全員を大好きになれていたころ私の心の奥にまで日差しは届いていたけれどでももう届かなくてもいいそこに色褪せやすい押し花を飾って私は夜にそこで眠るから誰にも愛されなくても君を愛し続けるだろう私の唯一の日差し君が一番幸福な時に贈る花束になるためだけに君が好きだ(最果タヒ)「北里大学北里三陸湧昇龍」(神奈川県相模原市)よさこい讃歌2024⑫「君が一番幸福な時に贈る花束になる・・・」法政大学鳳遙恋おどりんちゅ北里三陸湧昇龍

  • よさこい讃歌2024⑪ 「遠い未来は素晴らしいはずと 海風を胸に吸い込んでゆく」 SA:GA

    「SA:GA~彩雅」(東京都千代田区)遠いとことろへ旅に出て夏の終わりに立ち向かう目の前にいっぱいに広がる空と雲岸の上に立つ私今年も季節は過ぎて行く過ぎて行くものを思う時切ないような希望の甘さそしてまだ何かになれるような気がしていて近い未来は相変わらずでも遠い未来は素晴らしいはずと海風を胸に吸い込んでゆく(銀色夏生)よさこい讃歌2024⑪「遠い未来は素晴らしいはずと海風を胸に吸い込んでゆく」SA:GA

  • よさこい讃歌2024⑩ 「心柔らかくなり 傷つきやすいまま」早稲田大東京花火 千葉工大風神部 霞童

    「早稲田大学よさこいチーム東京花火」(東京都)きみは優しい子だと言われた回数だけ心は柔らかくなり傷つきやすいまま大人になった悲しみを知っている分だけ優しくなれるなんて間違いで悲しみがある分だけ昔の私が優しかった証明だった今はすっかり変わりましたとすべての傷口が泣いている冷たい私君を抱きしめたい泣くきみにだけ優しい私(最果タヒ)「千葉工大よさこいソーラン風神部」(千葉県習志野市)「霞童」(埼玉県朝霞市)よさこい讃歌2024⑩「心柔らかくなり傷つきやすいまま」早稲田大東京花火千葉工大風神部霞童

  • よさこい讃歌2024⑨ 「あなたのことを 絶えず考えているのに」 GARAN43/35 れとろっく 翔笑伝

    「GARAN43/35」(東京都)あなたのことを絶えず考えているのにあなたの顔がどうしても思い出せない気がついてみるとふと耳にした音楽の一節をくり返しくり返し口ずさんでいるのだあなたに会いたいと思うのだがそれは情熱というよりむしろ好奇心で自分がいったいどうなっているのかもう一度あなたの前で確かめたいのだそれから先のことは思い浮かばないあなたを抱くことも想像できないただあなた以外の世界がひどくけだるく僕は高速度撮影の映画の中の俳優のようにゆっくり煙草に火をつけるのだするとあなたなしで生きていることが一つの快楽のようにも思えてくるあなたはもしかするといつか僕が他国で見た時を経た美しい彫像の一つかもしれないそのかたわらで噴水は高く陽に輝いていた(谷川俊太郎)「れとろっく」(東京都新宿区)「翔笑伝」(埼玉県和光市...よさこい讃歌2024⑨「あなたのことを絶えず考えているのに」GARAN43/35れとろっく翔笑伝

  • よさこい讃歌2024⑧ 「風に吹かれて渚にいれば みんな綺麗に見えてくる」 百華夢想 舞芽桃季

    「百華夢想」(愛知県一宮市)涙色した貝は私の心あなたの指から零れ落ちた波のしずくさよならは砂の色私の手を離れキラキラキラと光の中で輝いているわ風に吹かれて渚にいればみんな綺麗に見えてくる悲しいはずの想い出も優しい出来事に見えてくる風とたわむれながらカモメが一羽波なら波のしぶきを越えて低く飛んで行くサヨナラの物語やさし歌に変えてあまい調べをささやきながら漂ってゆくわ風に吹かれて渚にいればみんな綺麗に見えてくる悲しいはずの想い出も優しい出来事に見えてくる(中島みゆき)「舞芽桃季」(富山県射水市)よさこい讃歌2024⑧「風に吹かれて渚にいればみんな綺麗に見えてくる」百華夢想舞芽桃季

  • よさこい讃歌2024⑦ 「身じろぐあなたから 立ち昇るつぶやき」 百華夢想 東京支部

    「百華夢想東京支部」(東京都)流砂に埋もれ幾千年を眠っていてふいに寝姿をあらわにされた楼蘭の少女花開かぬ間にまなこ閉じ金髪小さなフェルト帽ラシャと革とのしゃれた服しなやかな足には靴を履きミイラになってまで恥じらいの可憐さを残し身じろぐあなたから立ち昇るつぶやきああまだこんななのたくさんの風たくさんの星座巡りたくさんの哀しみが流れていたのに(茨木のり子)よさこい讃歌2024⑦「身じろぐあなたから立ち昇るつぶやき」百華夢想東京支部

  • よさこい讃歌2024⑥ 「きみがぼくのことを 遠くの星のように思うなら」輪紅 ソフトバンク REIKA組

    「輪紅」(高知県)「ソフトバンクよさこい部」(東京都)きみがぼくのことを遠くの星のように思うならぼくだってきみのことを遠くの星のように思うでもそれはとてもさみしいことででもそれはとても美しいことでぼくは見惚れながらさみしさで泣いている孤独がなければこれは永遠なのかもしれない雨が降りぼくの涙が洗い流されぼくの眼は熱く永遠よりずっと続く恋の心臓だった(最果タヒ)「dancecompanyREIKA組」(東京都北区)よさこい讃歌2024⑥「きみがぼくのことを遠くの星のように思うなら」輪紅ソフトバンクREIKA組

  • よさこい讃歌2024⑤ 「今ここにいることが ただ嬉しいと思う」 鴉

    「鴉」(千葉県千葉市)私たちがここにこうしていることを疑わず驚かず怯えずにいよう星が光ったりすることをいちいち驚かないように例えもし消えてしまってもそれも驚かずに今ここにいることをただ喜んで私たちがいつかどこかにいたことをためらわず悲しまず驚かずにいよう雨が降ったりすることをいちいち驚かないように例えもし別れてしまってもそれも驚かずに今ここにいることがただ嬉しいとあなたに出会えて良かった静かな気持ちでそう言えるあなたに出会えて良かったこんなに深く愛せるなんて今ここにいることがただうれしいとただ思う(銀色夏生)よさこい讃歌2024⑤「今ここにいることがただ嬉しいと思う」鴉

  • よさこい讃歌2024④ 「たくさんの寂しさよ サフランとなって咲きなさい」 輝翔連 summer zipper ぬまず熱風舞人

    「輝翔連」(千葉県一宮町)寂しい人から寂しさを引いた数だけサフランは開きます木に咲く花のように高い梢を知りません小鳥が飛んできて止まる手ごろな枝も持ちません束ねてリボンを掛けようにも程よい茎さえありませんでも地に低く咲くゆえに空の深みにおいでのお方を瞬きもせず見つめることが出来るのですあの方は一輪一輪に光のまなざしを注いでくださいますたくさんのさびしさよサフランとなって咲きなさいサフランと咲いて癒えなさい(新川和江)「SUMMERZIPPER」(東京都豊島区)「ぬまず熱風舞人」(静岡県沼津市)よさこい讃歌2024④「たくさんの寂しさよサフランとなって咲きなさい」輝翔連summerzipperぬまず熱風舞人

  • よさこい讃歌2024③ 「君は優しいねと子供のころ」 AND AS 下

    「ANDAS」(東京都)恋をしたら綺麗になる恋をしなくても綺麗になる世界の醜さが滅んだら私が私を愛したら私を傷つけたい人がいるのって薔薇に棘があるようなこと君は優しいねと子供のころ言われた言葉が宝石になって体の奥に眠っている私のことを嫌いな人を嫌いにならなくてもいいくらい私は綺麗な赤い薔薇(最果タヒ)よさこい讃歌2024③「君は優しいねと子供のころ」ANDAS下

  • よさこい讃歌2024② 「恋をしているあなたは 可愛い人になった」 AND AS 上

    「ANDAS」(東京都)恋をしているあなたは可愛い人になったあちこちに星を見つけて水をまく人になったつぶつぶの光が遠くまで飛んで行く恋をしているあなたは透明な人になる形さえ今はなくただ甘い香りのみ切れ切れの笑顔が花開くたそがれあなたのようになった人だけが持つ不思議な力がこの世にはあってその時にだけそびえたつ不思議な壁もこの世にはある(銀色夏生)よさこい讃歌2024②「恋をしているあなたは可愛い人になった」ANDAS上

  • よさこい讃歌2024① 「永遠の約束ができる気がする」 KAGURA

    今年ももう11月に入りました。例年続けている年末の「よさこい讃歌」シリーズを、今年も始めることにします。第一回目は「KAGURA」(愛知県名古屋市)一年が終わるときだけ永遠の約束ができる気がする朝が来てまだ諦めていないことがあったと光に照らされそれを反射する鏡のようにとっさに前向きになったその反射した光の先にきみがいるといいな僕の希望が誤解でも美しい光が誰かに届くならぼくとその誰かは遠くから見たら眩しい一つの星なんだ(最果タヒ)よさこい讃歌2024①「永遠の約束ができる気がする」KAGURA

  • 心ふるえる風景 パリ編㉟ 大都会の建築群のかなた 荘厳に沈みゆくパリの夕陽

    ある日の夕刻モンパルナスタワーに上った1972年に完成したこの超高層ビルは高さ210mとパリでは飛び抜けて高いここで大都会の夕陽を見てみたいと思いついたためだ海に沈む夕陽は旅先で何度も目にしてきたしかし都市の建築群のかなたに沈んでゆく夕陽の姿を何の障害物もなしに見続けることはなかなかないそれがこのタワーからは可能だと思ったからだ展望台に上るとパリの街が一望できるモンパルナスの丘の上に立つサクレクール聖堂も普段は見上げてきたがここだと見下ろす角度に眺められてしまうそのうちすき間なく建て込んだビル群が次第に夕闇の中に沈んでゆき眩しく輝いていた太陽が刻々と朱色の球となって地平線に近づくさっきまであれほど強い光を発していた球体がもうまるでとろけるかのように暗色の色彩に変化し周囲の空を焦がしながら静寂の中に没して行...心ふるえる風景パリ編㉟大都会の建築群のかなた荘厳に沈みゆくパリの夕陽

  • 心ふるえる風景 パリ編㉞ セーヌ河岸で「呼吸するビル」に出会った

    セーヌ河岸シュリー橋近くに全面ガラス張りの近代的ビルが建っているアラブ世界研究所で10階建てのスマートな建物だこのビルには他では見られない特別な装置がある名付けて「呼吸するビル」広い壁面全体に張られたガラス窓が差し込む陽の光に合わせて自動的に開いたり閉じたりするというシステムが組み込まれているのだ仕組みを説明すると窓の裏側に光電管が設置されていて日光が当たる場所はカメラの絞りのように窓が閉じられ影の部分は窓が開くというものだこれによって室内の光量は一定に保たれ中の人たちは快適なオフィス生活ができるわけだ建物内に入って窓の裏側(室内側)からみるとこんな具合だただ単に丸い穴があるだけでなく他にもひし形六角形八角形などさらに風車のような形もあり大小さまざまに変化しているそれが日光の当たり具合でまるで自由自在に変...心ふるえる風景パリ編㉞セーヌ河岸で「呼吸するビル」に出会った

  • 心ふるえる風景 パリ編㉝ パリが飲み込んだ 異次元のアールヌーヴォー建築

    エッフェル塔の東側にあるラップ通りに何とも奇妙な装飾の建築がある名前はラヴィット邸建築家ジュール・ラヴィットと陶芸家アレクサンドル・ビゴのコンビが完成させたものだ正面入口の扉に周りは明らかに過剰と思える装飾で埋め尽くされている中央上部に据えられた女性像は見るからに憂鬱そうその上方には左にイヴ右にアダムと人類の創世を象徴する二人ファザードは石材鉄木材ガラスなど様々な素材を組み合わせた模様が広がり扉にはクジャクやトカゲなどが奇妙に徘徊しているこの20世紀初頭のアール・ヌーヴォー建築はただ独特という表現では捉え切れない異彩を放つ1905年のパリ市ファザードコンクールで入賞し現在は歴史的建造物に指定されているパリはこれまでも他国の無名芸術家の卵を多数受け入れてきたそして彼らにエッフェル塔建築を許しルーブルの庭にピ...心ふるえる風景パリ編㉝パリが飲み込んだ異次元のアールヌーヴォー建築

  • 心ふるえる風景 パリ編㉜ 夜11時過ぎにようやく捉えた「ヴェルサイユの花火」

    歌のショーが終わった午後9時庭園に出たフランスは夏時間を採用していることもあってまだまだ太陽は沈まない庭から見る宮殿はフランス絶対王政時代の栄華を象徴するように堂々としている装飾模様があしらわれた花壇が点在し各所に彫像群も配置されている午後10時過ぎようやく日没が始まりそれに合わせて噴水ショーが始まった11時いよいよ花火の時間が来たがまだ始まらないヴェルサイユからパリ市内へのRER最終電車は11時20分とにかく少しでも花火を見なければせっかくのヴェルサイユ訪問も不完全燃焼になってしまう焦り始めた時ようやく夜空に火柱が上がった一発目の花火だそれから数発続いた後少しの間隔が空くもうやばいとにかく最初の花火がフィルムに映っていますようにと願いながら急ぎ足でRERの駅に直行したパリ13区のホテルにたどり着いたのは...心ふるえる風景パリ編㉜夜11時過ぎにようやく捉えた「ヴェルサイユの花火」

  • 心ふるえる風景 パリ編㉛ ヴェルサイユ宮殿の広間で ルイ王朝時代の歌曲に酔う

    よく晴れた7月パリの中心部からRER線に乗ってヴェルサイユに向かった実はヴェルサイユ宮殿で歌と花火の催しがあることを知り予約したためだRER線のリヴゴーシュ駅から歩くこと約15分で宮殿に着いたまず最初はネットで予約していたセレナーデ会場へ宮殿の広間では中世の衣装を着た女性と古楽器奏者が控えていた短い挨拶の後歌唱が始まった女性歌手の澄み切った声が朗々と広間一杯に響き渡る多分この歌はヴェルサイユ最盛期時代17世紀の歌曲なのだろうこの宮殿は太陽王ルイ14世の掛け声で建設が始まった豪華絢爛の館最も有名な鏡の回廊は幅10m奥行き73mの大ギャラリーできわめて高価だった大型鏡が17枚も使用された空間マリーアントワネットとルイ16世の結婚式が行われた礼拝堂やオペラ劇場まで実在した贅の限りを尽くした場所だそんな建築の一角...心ふるえる風景パリ編㉛ヴェルサイユ宮殿の広間でルイ王朝時代の歌曲に酔う

  • 心ふるえる風景 パリ編㉚ 夜でこそ浮かび上がる パリの歴史が凝縮したルーブル美術館の庭

    カルーゼル橋近くのホテルに滞在したパリ旅行の時夜ルーブル美術館の前を通った昼にはそれほど注目していないものが照明の下で見ると改めて目に入る状況に気づいた美術館の入口となるガラスのピラミッドが光を放っているイオン・ミン・ペイの設計による現代のピラミッドだ1989年の完成時は賛否両論が巻き起こったものだが今はすっかり定着して何の違和感もない構造物になているその背後に照明を受けてそびえるのが美術館ドゥノン翼ファザードに刻まれた女性像(カリアティード)が夜空にすっくと立ちあがるのが見渡せる手前には騎馬像誰の像なのかわからなかったので昨夜夕食を摂ったレストランでウエイトレスさんに聴いてみたら「ルイ14世よ」と即答してくれたパリの人たちならだれでも知っていることなのかと妙に感心したルイ14世は17世紀後半から18世紀...心ふるえる風景パリ編㉚夜でこそ浮かび上がるパリの歴史が凝縮したルーブル美術館の庭

  • 心ふるえる風景 パリ編㉙ セーヌ河畔近くで 宙に舞うスタイリッシュダンサーを発見!

    セーヌ川左岸の国立美術学校を過ぎて少し細い道を歩いていると頭上に見事なシルエットが浮かんでいるのを見つけた若い女性が長い髪をなびかせながら優雅にダンスをしている抜群のスタイル!多分何かの看板でダンススクールでもここにあるのかもちょうど雲一つない晴天の午後だったのでそのシルエットが一層黒く印象的に際立っていた各地を旅していると店の看板がバラエティに富んでいてつい立ち止まって見入ってしまうことがしばしばある例えばモーツアルトの生まれ故郷ザルツブルクの通り「ゲトライデガッセ」精肉店は豚洋服屋は裁ちバサミワインセラーはブドウなどそれぞれの職業を表す看板が街路にせり出すようにたくさん設置されていたいまでもとても楽しかった思い出が残っているパリの看板は職業を直接というよりはいかにスタイリッシュに見せようかという一ひね...心ふるえる風景パリ編㉙セーヌ河畔近くで宙に舞うスタイリッシュダンサーを発見!

  • 心ふるえる風景 パリ編㉘ 空の青 街のオレンジ 澄み切ったモンマルトルの夜

    モンマルトル巡りのホテルは地下鉄ブランシェ駅近くの通りに決めた部屋は5階だが小さなバルコニーが付いていた夜シャワーを浴びた後そのバルコニーから通りを眺めた通りのビルはすべて7階建てで高さが統一されスカイラインが一直線に伸びるこの日は晴天陽が沈んでも澄み切った空の青が広がり透き通る清涼感が夜の街を包み込んでいる窓から見下ろす通りは見事にオレンジに満たされ走り過ぎる車のライトが幾筋もの光線を描いているなのに不思議なほど騒音は聞こえてこないパリの中心街から少し離れた地区とはいえこれほど落ち着いた黄昏の時間が訪れるとは想像もしていなかった帰りがけにスーパーで買った白ワインを傾けながらしばし更け行くモンマルトルの夜をほろ酔いと共に楽しんだ時間だった心ふるえる風景パリ編㉘空の青街のオレンジ澄み切ったモンマルトルの夜

  • 心ふるえる風景 パリ編㉗ 愛の言葉に埋め尽くされた モンマルトルの壁

    モンマルトル・アベス駅前にあるジャン・リクチュス小公園小さな広場だがそこに大きな青い壁が設置されている遠くからではなにやら落書きがたくさんといった雰囲気だったが近づいて見ると全く違った風景が現れた「ジュテームの壁」落書きと思われたのは実はすべて愛のメッセージだったジュテーム(愛しています)を表現する世界中の言葉が記され合計311の愛の言語が40㎡の溶岩タイルの壁一杯に展開する見ると大部分は横に展開する文字なので日本語はすぐに見つかる「愛しています」はいいけれど「君が好だ」はちょっと送り仮名が変日本人じゃない人が書いたんだろうかといっても誰でもそこに書き込んだり消したりは出来ないすでに完成品として陳列されているものだ2000年にアーティストのフレデリック・バロンが構想した作品だとか2000年と言えばロシア大...心ふるえる風景パリ編㉗愛の言葉に埋め尽くされたモンマルトルの壁

  • 心ふるえる風景 パリ編㉖ テルトル広場周辺は どちらを向いても絵画の匂いに満ち溢れている

    朝早く出発したのでモンマルトルの丘に到着してもまだ開店前の店が多いその中で観光客を目当てに早々に店を開けたのが絵画のポスターなどの土産物店だった若い女店員がさっそうと店の前に土台となる木枠を据えてそこに絵画作品を次々と並べていく作品はロートレックモネルノワールなどまさにモンマルトルで成長していった作家の作品を中心に幅広い陽光を浴びたその場所がカラフルでまるで花畑のように眩しいそういえばこの店のすぐ後方にあるカフェ「LECONSOLATE」にはロートレックらが集まって芸術論議を闘わせた場所だし少し西に行けばピカソマティスモディリアーニらが暮らしたスタジオ「洗濯船」があった所に行き当たる「洗濯船」と呼ばれた古いビルは灯かりも暖房もなく強風の夜には古びた梁や板がギーギーときしんだそれはまるでセーヌ川に浮かぶ洗濯...心ふるえる風景パリ編㉖テルトル広場周辺はどちらを向いても絵画の匂いに満ち溢れている

  • 心ふるえる風景 パリ編㉕ モンマルトルの急階段で 少女と一瞬の会話!?

    「長い坂道と急な石の階段」モンマルトルを地形から言い表せばこの表現が一番ふさわしい気がするどこに向かうにも角度のつかない道はほとんどなく階段を上下せずに目的地につくことは相当難しい朝元気一杯で出発したのだが頂上のサクレクール聖堂に到着する前にもう少し足がだるくなってしまったくねくね曲がる細い道もあちこちに点在し地図を確認しないとすぐに迷いそうになってしまうそれで1つの長い階段を上り切るとついそこで一息ついて上ってきた階段の下を眺めながら小休止することになるそんなある時いつものように下を向くと地元の小学生らしい少女が階段の途中で手を上げて話しかけてきた多分「ジャポネーゼ?」と言っているようだフランス語の知識はゼロなので「シーシー」と答えると「フジサン(富士山)!」と大きな声と笑顔で返してくれた学校で習ったの...心ふるえる風景パリ編㉕モンマルトルの急階段で少女と一瞬の会話!?

  • 心ふるえる風景 パリ編㉔ 風車が思い出させる パリ大改造とモンマルトルの歴史

    モンマルトルの丘の西側にムーラン・ド・ギャレトの風車があるここは19世紀後半にオープンしたダンスホールのついた酒場だこの場で思い出されるのは印象派の画家ルノアールの代表作「ムーラン・ド・ギャレットの舞踏会」柔らかな日差しの降り注ぐ広場に集う庶民たちが楽し気にダンスに興じる幸せの風景だルノワールはこの酒場の姿に魅せられ近くにアトリエを借りて毎日ここに通った外光の明るい昼下がりと透き通る陰影との対比を意識しながら酒とダンスに心も弾む人たちの表情を見事に描き切ったモンマルトルはパリの中心部から離れた田舎の地だったなのにこんな豊かな集いがなぜ出現したのだろうかそれには時代の背景が大きくかかわっている当時ナポレオン3世によるパリ大改造計画が進んでいたパリ中心部を再開発して全く新しいパリを造ろうというもの最も影響を受...心ふるえる風景パリ編㉔風車が思い出させるパリ大改造とモンマルトルの歴史

  • 心ふるえる風景 パリ編㉓ モンマルトルの入口に 女流画家の名前を冠した広場があった

    サクレクール聖堂へ行こうと地下鉄アベス駅に着いたここからはケーブルカーが出ており一気にモンマルトルの坂の上に行ける駅からケーブルカー乗り場まではほんの数分の距離だ朝早くだったので通路に出ると通学途中の小学生たちに出会った彼らは思い思いに話しかけたり中には歌を口ずさんだりと楽し気に歩いて行く目的の学校はすぐ先の広場に面した場所にあった広場に掲げられた標識を何気なく見たところこんな文字が書かれていた「シュザンヌバラドン広場」この名前どこかで聞いたことがあるそう19世紀に活躍した女流画家の名前だ彼女はまだほぼ男性独占の時代だったフランスパリ画壇の中でルノワールらのモデルを務めながら独学で絵を習得し始めたくましく女性画家の道を切り開いた先駆者だそれにモンマルトル風景を描いて名作を残したユトリロの母でもあった決して...心ふるえる風景パリ編㉓モンマルトルの入口に女流画家の名前を冠した広場があった

  • 心ふるえる風景 パリ編㉒ モンマルトルの旅のスタートを「赤い風車」が出迎えてくれた でもあの風車の羽根が落下!!!

    何度目かのパリ訪問の際モンマルトルを中心に歩こうと決めていたそれで丘の登り口に当たるブランシェ駅近くのホテルをネット予約したドゴール空港から高速バスでオペラ座前まで行きそこから地下鉄でブランシェ駅に到着地下道から階段を上って地上に出た時最初に目に入ったのが赤い風車だった日没を過ぎ暗い夜空にくっきりと浮かび上がる「ムーランルージュ」19世紀末に誕生し華やかなパリの夜の象徴的な存在として人気を博した劇場そこを舞台に描いたポスターで世界に名を知られた画家ロートレック彼の絵を通じてもなじみ深い姿が目の前にドンと立ち上がったまさにモンマルトルへの旅がおあつらえ向きの光景と共に始まったそれにしても4本の風車の羽根が鮮やか過ぎて夜の街なのにまるで陽が差すかのような明るさ旅の心をワクワクさせずにはおかないシーンだったとこ...心ふるえる風景パリ編㉒モンマルトルの旅のスタートを「赤い風車」が出迎えてくれたでもあの風車の羽根が落下!!!

  • 心ふるえる風景 パリ編㉑ パッサージュ巡りで 古き良きパリに出会った

    パリにはパッサージュという独特の通路がある今で言うアーケードだがそれが1800年から市内各所に誕生したパッサージュの3要件は①歩行者専用通路②屋根付き③ガラス屋根それまでは買い物に行くにも天気雨風に左右されていたがパッサージュの誕生によって自由に買い物ができる上に店が集中しているためにウインドウショッピングという新しい形態も生まれパリっ子のファッションにもなって行った写真の「パッサージュパノラマ」は1800年誕生の第1号パッサージュ洗練されたにぎやかな看板が下がる道を車に煩わされることもなくガラス屋根を通じて降り注ぐ陽の光とともに散歩がてらの買い物が楽しめるガス灯もこのパッサージュが始まりだった全盛期には市内全域にパッサージュが広がったが大規模なデパートの出現やネット販売の普及もあって今では市内10数か所...心ふるえる風景パリ編㉑パッサージュ巡りで古き良きパリに出会った

  • 心ふるえる風景 パリ編⑳ 中世から現代まで ルーブル宮の夜景には歴史の象徴が浮かび上がる

    夜ルーブル美術館の前を通った昼とは違った雰囲気の風景が広がっていたまず美術館の入口となるガラスのピラミッドが光を放っているイオ・ミン・ペイの設計による現代のピラミッドだ1989年の完成時には賛否両論が巻き起こったものだが今はすっかり定着して何の違和感もない構造物になっているその背後に照明を受けてそびえるのは美術館ドゥノン翼ファザードに刻まれた女性像の群れ(カリアティード)が夜空にすっくと立ちあがる手前には雄々しく嘶く騎馬に跨った勇者の像誰の像なのかわからず昨夜夕食を摂ったレストランでアルバイトと思しきウエイトレスさんに聴いてみたら「ルイ14世よ」と即答してくれたパリの人たちなら誰でも知っていることなのかと妙に感心してしまったルイ14世は17世紀後半から18世紀にかけてフランス絶対王政期に君臨した国王で「太...心ふるえる風景パリ編⑳中世から現代までルーブル宮の夜景には歴史の象徴が浮かび上がる

  • 心ふるえる風景 パリ編⑲ シャガールの天井画は 2つのテーマを基に描かれた

    オペラ座の舞台中央豪華なシャンデリアの上に描かれた天井画これは巨匠シャガールの晩年の作品だもともとこの天井には歴史画が掲げられていたしかし時の文化相アンドレ・マルローはもっと軽快なオペラ座にふさわしい画をと友人のシャガールに直接依頼シャガールも快諾したその時のシャガールの年齢は77歳と高齢だったしかし作品は全く年齢を感じさせない爽快で明朗なものだったこの絵は2つのテーマを基に描かれている1つはパリの街を彩る代表的な風景エッフェル塔があり凱旋門やコンコルド広場も配置されそしてオペラガルニエももちろん描かれたもう1つのテーマはバレエ作品の要素が盛り込まれたこと青色部分では鳥が笛を吹いている風景が見えるモーツアルトの「魔笛」の部分だ緑色の凱旋門のある場所には抱き合うロミオとジュリエットがいる黄色部分では白鳥の湖...心ふるえる風景パリ編⑲シャガールの天井画は2つのテーマを基に描かれた

  • 心ふるえる風景 パリ編⑱ オペラ座の一角に バレエシューズのピラミッドを見つけた

    オペラ座の大階段を上っていると踊り場の空間に何かピラミッド形の装飾物が置かれているのに気付いた近づいて見るとあらこれはバレエシューズそうだこの建物はオペラ座と呼ばれているが今は姿を変えているのを思い出した1989年にバスティーユ広場にオペラバスティーユが建設されそちらがオペラ公演の主劇場となったためこの劇場はバレエ公演がメインの場所となっている百足以上のシューズが見事に組み合わされて長い円錐柱となって積み上げられ独特の輝きをさえ放っているシューズの山オブジェと一言で片づけられないような神々しささえ感じる世界でもトップクラスのこの劇場でのバレエ公演でトップに上り詰めるには大変な試練が待っているというまずオペラ座バレエ学校への入学が必要だ卒業しても研修生になれるのはは5~20%さらに年1回の昇進試験にパスしな...心ふるえる風景パリ編⑱オペラ座の一角にバレエシューズのピラミッドを見つけた

  • 心ふるえる風景 パリ編⑰ パリオペラ座で まばゆい空間にため息をついた

    パリオペラ座=オペラガルニエは19世紀半ば不衛生で混とんとしていたパリ中心部を一変させたナポレオン3世の都市改造計画でそのランドマークとして建設された建物だルーブル美術館を背にオペラ大通りに立つとその正面にオペラ座がすっくと立ちあがる花の都・新生パリの象徴ともいえる雄姿を前にして「パリに来た」との実感が沸き上がったことを今も忘れない入館して大階段を踏みしめるワクワク感華麗なる舞台と2千人を収容する観客席中心部を一通り見終わって次に足を踏み入れたホワイエではまた別の驚きに見舞われた眩しすぎる!ここは王宮じゃないよね思わず友人に問いかけてしまった天井は33ものモザイク絵画で埋めつくされシャンデリアが列をなして吊り下げられるピカピカの床面にその光が反射しまばゆさも極地そんな空間が54mの奥まで広がる「黄金の間」...心ふるえる風景パリ編⑰パリオペラ座でまばゆい空間にため息をついた

  • 心ふるえる風景 パリ編⑯ サントシャペルは「豪華絢爛な空箱 !?」

    「サントシャペル」に入った教会の狭い階段を上って上部の礼拝堂に入った途端まぶしく青い光の照射に体全体が包み込まれてしまった15ある大窓がすべてステンドグラスによって装飾されそれも7mの高さまで大きく広がるそこにはアダムとイヴの物語など創世期からキリスト復活まで実に1134の聖書の物語がきめ細かに描かれている今はまさにステンドグラスの教会として有名だが元々は全く違った目的で建造された教会だったルイ14世によってこの教会が完成したのは1248年コンスタンティノープルの皇帝から購入した茨の十字架などキリストの聖遺物22点を大事に収めるための場所だったキリスト教社会ではキリストの聖遺物を収めた教会ほど高い位となって信仰を集めることになるただ教会にとっての大きな災難が起きてしまったフランス革命大事な聖遺物の多くは焼...心ふるえる風景パリ編⑯サントシャペルは「豪華絢爛な空箱!?」

  • 心ふるえる風景 パリ編⑮ ショーウインドーには まるでパリの街を象徴したような光景が

    パレロワイヤルの一角ににぎやかな雰囲気のショーウインドーを見つけたよく見ると人形たちが特に意図せずに並べられているように見える右下方ではいろんな楽器を持った人たちが音楽を奏でているそこからはとても軽快なリズムが響いてくるようだ中央では紳士と淑女たちが親し気に語らい合う姿があるその隣では何と手術中の医師と患者が!上段右側では旅行客と思われる帽子をかぶった女性の一行が少し前にパリに到着したところなのかな中央にはピアノが置かれこちらはクラシックの演者がこれから演奏を始めるのかもしれないそして左端ではカウンター越しに来客を待つカフェの女主人らしき姿もちらりと見える多種多様な人たちが一つ場所に集まって多種多様な行動を準備したりするさまは世界のあらゆる人たちをすっぽりと受け止めてそれぞれの才能を育て上げるパリという街...心ふるえる風景パリ編⑮ショーウインドーにはまるでパリの街を象徴したような光景が

  • 心ふるえる風景 パリ編⑭ パレロワイヤルで サプライズファッションショーに出会った

    パレロワイヤルの中庭に人が集まっているのが見えた音楽も聞こえる近づいてみよう何とモデルさんが木立に囲まれたランウエイを颯爽と歩いている野外ファッションショーが展開されていたちょうどこの季節はパリでファッションウイークが開催中フォーマルなショー以外に街中でのサプライズショーも行われるのだというそのイベントの1つがこのパレロワイヤルショーだったわけだ急造のランウエイの両側に座る観客の中を華麗なファッションに身を包んだモデルたちが颯爽と通り抜ける間近で見るとモデルの女性たちはいずれもほっそりとした体形の上に長身どう見ても全員が180cmは楽にオーバーしていてそのうえヒールを履いているため見上げてしまう約30分ほどのショーがあっという間に過ぎ終了後はモデルたちと関係者の懇談の場に早変わりおすまし顔だったモデルたち...心ふるえる風景パリ編⑭パレロワイヤルでサプライズファッションショーに出会った

  • 心ふるえる風景 パリ編⑬ 「ビュランの柱」で遊ぶ少女たちに出会った

    パリ中心部長い行列で賑わうルーブル美術館のすぐ近くにぽっかりと空いた広い庭があるパレロワイヤル=王宮と称されるスペースだ17世紀に建設された建物にルイ14世が居住していたことから名称が付けられたコの字型の中庭の広場には上の写真のように白黒のストライプ模様の柱が並ぶ足元程度の低いものから2mを超えるほどの高いものまでその数260本作者はダニエル・ビュランピレネー山脈の大理石を加工した柱の列は「ビュランの柱」と呼ばれてパリっ子に親しまれている私が訪れた時には2mの高い柱に少女たちが飛び乗ってはしゃいでいた中世の伝統的な建築と現代の空間芸術が組み合わさった広場(こうした組み合わせはルーブル美術館とガラスのピラミッドも同様だ)こんな場所で子供たちの歓声がこだまするという不思議な光景を目にすることが出来たのはルーブ...心ふるえる風景パリ編⑬「ビュランの柱」で遊ぶ少女たちに出会った

  • 心ふるえる風景 パリ編⑫ コンコルド広場が 新たな歴史を創り出すのかも

    コンコルド広場はパリの中心地に位置するシャンゼリゼ通りのスタート地点にありそこから凱旋門まで一直線に通りが繋がっている反対側はまっすぐルーブル美術館に通じていてパリ観光には必須の場所だこの広場は1755年ルイ15世の命で造営された当時の名前は「ルイ15世広場」絶対王政の栄華を象徴するような形だったそれが大きく変わったのは1789年のフランス革命王政は崩壊し広場は「革命広場」と変更された前回触れたようにルイ16世とマリーアントワネットがこの広場で処刑される処刑場に変わってしまった後年新しく命名された名前が「コンコルド広場」「調和」を意味する言葉だ血塗られた歴史を払しょくしようとの意図がこめられたもので1836年にはエジプトから寄贈されたオベリスクが建てられイメージチェンジを図ってきたそんな歴史を背負ったこの...心ふるえる風景パリ編⑫コンコルド広場が新たな歴史を創り出すのかも

  • 心ふるえる風景 パリ編⑪ コンシェルジェリーに上る朝日を見て フランス革命の歴史の一端を思い出した

    寒さがジンと染み透る早朝目覚めたついでに散歩に出かけたセーヌ川の橋を渡るとかすかに夜明けを告げる空が茜色に染まり天に向かって針のように尖った屋根を突き出した建物のシルエットが目に入ったコンシェルジェリーここはフランス革命でルイ16世と共に捕らえられたマリーアントワネットが死刑になる直前の2か月最後の日々を過ごした建物だウイーンハプスブルク王朝の王妃マリアテレジアの娘として生まれ14歳でフランスに嫁ぎ王妃としての半生を謳歌したものの最後はコンコルド広場で断頭台の露と消えた突然思い出したのは彼女の彫像だちょうど前日に訪れたサンドニ聖堂にある墓の前に彼女の像が供えられていた胸に手を合わせ何かを祈るかのようにうつむいて物思う姿が背後のステンドグラスからの光に包まれて実に印象的だったフランス革命時彼女の遺体は集団墓...心ふるえる風景パリ編⑪コンシェルジェリーに上る朝日を見てフランス革命の歴史の一端を思い出した

  • 心ふるえる風景 パリ編⑩ カラフルな照明に彩られていたのは 実は意外な建物だった

    12月の夕ノートルダム大聖堂を訪れての帰り道こんな建物を見つけた大聖堂正面を背にして2,3分歩いたくらいの場所カラフルな照明が目に止まって何の店なのかと近づいた建物全体を左から青中央が黄右が赤と色分けされた照明だ大聖堂のライトアップは特に色はなくシンプルだったのにこちらはいかにもクリスマスに合わせたかのような特別感のあるライトアップになっているただ入口は閉まっていて店のような雰囲気はない近くにいたパリ市民に聴いてみた「この建物は何のビル?」思ってもいない意外な答えが返ってきた「PrefecturedePolice」え!確かポリスって言ったよねということは警察?スマホで確認してみるとなんとこの建物はパリの警視庁だった警視庁がこんな粋な演出をするんだ!いかにもパリらしい試みに感心してしまったそれと同時にひらめ...心ふるえる風景パリ編⑩カラフルな照明に彩られていたのは実は意外な建物だった

  • 心ふるえる風景 パリ編⑨ 雨に煙る大聖堂の前で 高村光太郎の詩が蘇った

    2018年12月雨に見舞われたパリの夕暮れノートルダム大聖堂を訪れた時空を雲が覆って雨が降り出した大聖堂へはこれまで何度も足を運んだが雨に見舞われたのは初めて周囲も暗くなって建物がかすむようになりホテルに引き返そうとしたちょうどそのとき照明が点灯したああこれなら大丈夫正面にある聖アンナの門審判の門聖マリアの門3つの門の像を改めて観察することが可能になったところが今度は急に雨足が激しくなった叩きつける雨音を聴きながらふと昔読んだ文章が浮かんだ吹き募る雨風外套の襟を立てて横しぶきのこの雨に濡れながらあなたを見上げているのはわたくしですノオトルダムドパリのカテドラルあなたを見上げたいばかりに濡れて来ましたあなたにさはりたいばかりにあなたの石に肌に人知れず接吻したいばかりにあなたはただ黙って立つ吹きあてる嵐の力を...心ふるえる風景パリ編⑨雨に煙る大聖堂の前で高村光太郎の詩が蘇った

  • 心ふるえる風景 パリ編⑧ ノートルダム大聖堂火災から5年 ようやく今年末に修復が完了する

    14世紀に完成したフランス中世建築の究極ともいうべきノートルダム大聖堂はパリ発祥の地とされるシテ島に燦然と輝いていたそれが約800年後の2019年4月突然の出火によって多くの部分が焼失するという惨事に見舞われた私はその4か月前にクリスマスで賑わうパリを旅した直後だったため一層のショックを受けたことを今更のように思い出す今回は失われた尖塔を最もよく眺められる聖堂後方からの写真と共に回顧してみたい初めて大聖堂を訪れたのはもう4半世紀前のことだった方角を間違えて後方からシテ島に入ったので建物の第一印象は「妙に荒々しい造作だな」というものだった後方中央の建物から何本もの斜めの柱が突き出している見方によってはまるで宇宙船のようにも思えたその柱群が中世のゴシック建築の最大の特徴だ高さから来る重圧を横に逃がすことで高層...心ふるえる風景パリ編⑧ノートルダム大聖堂火災から5年ようやく今年末に修復が完了する

  • 心ふるえる風景 パリ編⑦ セーヌ河岸の古本屋街が今年 一時は撤去の危機に

    セーヌ川の両岸に緑色をした屋台がずらりと並んでいるこれはブキニストと呼ばれる古本などを売る露店街だセーヌ左岸沿いのホテルに宿泊した時ちょうど真下にそのブキニストが軒を並べていて朝な夕なにその様子を眺めながら時間を過ごしていた古本だけでなくてポスター絵葉書キーホルダーさらにはエッフェル塔の模型まであって毎日賑わっていたそもそもはグーテンベルクの活版印刷術が発明され大量の書籍が出版されるようになると次第に需要を上回る本が出回りこれらを二次利用する古本屋が誕生したパリでは17世紀初頭セーヌ川に架かる最初の橋ポンヌフの橋の上に移動式の屋台が出たのが始まりというそれが19世紀には川沿いに固定式の屋台が並ぶようになり現在に至っている今年このブキニストが議論の対象となった事があったパリ五輪が全市内に展開する開催方式とな...心ふるえる風景パリ編⑦セーヌ河岸の古本屋街が今年一時は撤去の危機に

  • 心ふるえる風景 パリ編⑥ セーヌ河岸に 大空に向かって両手を広げる女神がいた

    翼を持つ馬ペガサスと共に茜に染まる曙の空に向かって女神が今セーヌ河岸で大きく両手を広げているロダン美術館に向かう前に近くのブーランジェリーでクロワッサンの朝食を済ませておこうとまだ暗い師走の朝ホテルを出発したセーヌ右岸をぶらぶら歩いて行くと前方にアレクサンドル3世橋が見えてきたセーヌ川に架かる橋の中でも最も美しいとして知られる橋だようやく空がほんのりと明るくなってきた橋に施された彫刻を眺めながら何気なく視線を上に向けると中空に女神の像がすっくと立ちあがっている冬特有のほのかな朝もやを全身に纏いながら差し込む朝日のきらめきを改めてパリの街並みに発散するかのような女神の姿は今日もまた花の都の平安を守ろうと祈る守護の化身のように見えたパリ五輪開幕まであとちょうど一週間久しぶりにこの写真を眺めているうちに女神が右...心ふるえる風景パリ編⑥セーヌ河岸に大空に向かって両手を広げる女神がいた

  • 心ふるえる風景 パリ編⑤ 真下から見上げるエッフェル塔の柔と剛

    エッフェル塔を真下から眺める遠くからではうかがい知れなかった構造の美が迫力を持って迫ってくる300mの高さを支える脚の部分はX状の鉄骨が幾重にも重なってそれぞれの柱をなし4つの柱は半円状の鉄骨が優雅に繋いでいる鉄柱を繋ぐリペットを250万本使用するという当時の革新的な技術と材料によって初めて実現した構造だ仰ぎ見るエッフェル塔の姿はまた格別の思いを湧きあがらせる見事に弧を描く支えと軽快に組み合わさる直線とによって出来上がったレース模様の上方に塔の先端が伸びやかにに浮かび上がるすっくと立ちあがる全体像があれだけの高さを誇りながら柔らかな曲線を伴う優雅さを見せるのは部分部分にも剛と柔との絶妙な配置がなされていることの証なのかもしれない改めて135年前にこの塔を完成させた設計者エッフェルの巧みな計算と持ち合わせた...心ふるえる風景パリ編⑤真下から見上げるエッフェル塔の柔と剛

  • 心ふるえる風景 パリ編④ 「景観破壊のゲテ物」から「唯一無二の象徴」へ エッフェル塔の観賞スポットは!

    エッフェル塔が完成した時歓迎の声とともに批判も起きた当時はまだ19世紀パリは都市改造を終えたばかりだった街並みは石造り7階建てのビルが整然と並ぶ姿に整備された対して突如立ち上がったのは330mと桁違いに高くそびえる鉄骨の塔「パリの景観を破壊するゲテ物」「鐘楼の骸骨」「巨大な黒い煙突」そんな反対の声は特に文学者芸術家などの識者から上っただがやがて塔の持つ美しさや機能性街との相性などが理解され始め民衆からも親しみの眼でとらえられるようになった反対派の1人だった文学者モーパッサンはある時エッフェル塔の中にあるレストランで食事をしているところを目撃された「あんなに反対していたのにどうして?」と尋ねられると「だってパリの街でエッフェル塔を見ずに済む場所はここしかないから」と話したという実はモーパッサン自身しばしば塔...心ふるえる風景パリ編④「景観破壊のゲテ物」から「唯一無二の象徴」へエッフェル塔の観賞スポットは!

  • 心ふるえる風景 パリ編③ 革命から100年目に完成したエッフェル塔 100年ぶり開催のパリ五輪

    初めてエッフェル塔を目にしたのはパリ到着日の夜だったセーヌ川越しにオレンジの光をまとった夜空に浮かび上がる構築物は芸術的とも呼べるほどの輝きを放っていたエッフェル塔が完成したのは1889年当時世界一を誇る自立式塔としてその年開催されたパリ万博の象徴ともなったまた1889年という年はある意味メモリアルな年だったそれはフランス革命が起きた1789年からちょうど100年の節目の年でもあった今年開催されるパリ五輪これも100年という数字に縁がある前回開催されたパリ五輪は1924年今年がまさに100年ぶりの開催となるわけだパリという花の都で行われるスポーツの祭典で選ばれしアスリートたちはほぼどの会場からでも目に出来るエッフェル塔に匹敵する「高み」を目指して熱戦を展開することだろう歴史に残る名場面の実現を期待して開幕...心ふるえる風景パリ編③革命から100年目に完成したエッフェル塔100年ぶり開催のパリ五輪

  • 心ふるえる風景 パリ編② 外光が優しく降り注ぐ ドゴール空港の快適空間

    初めてパリを訪れた時まず空港の壮大さにびっくりしたイタリアからの帰国途中フランスに立ち寄った利用便はJAL機だったのでドゴール空港到着後ターミナル2に向かったそこで目にしたのが上方に広がる明るい空間だったもちろん大きな屋根がついていたがそれは翼を広げたようなイメージそこから外光が優しく降り注いでいる空と室内を隔てているのはガラスの天井全面的に日差しが入るのではなく程よい明るさに保たれるような日除けも施されている柔らかいカーブを描く屋根ゲートの案内板も角のない楕円形全体的に硬直した直線を極力少なくした設計だ設計者はポール・アンドリュー1998年の開港だ敷地も32平方キロメートル羽田空港(15平方キロ)のほぼ2倍の広さだでも光の温かさに包まれるように過ごすホールの快適さはお気に入りのカフェで読書している気分を...心ふるえる風景パリ編②外光が優しく降り注ぐドゴール空港の快適空間

  • 心ふるえる風景 パリ編① いよいよ始まるパリ五輪とともに パリの印象を辿ろう

    7月に入った今月はいよいよパリ・オリンピックが始まるそこで今回からはパリの旅で心に残った風景や出来事の思い出をたどってみることにしたいまずはセーヌ川からパリ五輪は夏季五輪史上初のスタジアム外開会式が予定されている会場はセーヌ川パリ五輪の公式ホームページにはこんな想定写真が掲載されていたサンルイ島の東側オステルリッツ橋をスタートエッフェル塔のあるイエナ橋までの6キロを約90隻の船を使って行進するというこの地域は世界遺産に登録されている「セーヌ河岸地域」とほぼ同じエリアになるセーヌ川にかかるパリ市内の34の橋のうち歴史や景観を誇る主要な橋はほとんど観光できるルートだ私にとっても橋の思い出はいくつも残っている1606年完成市内最古の橋であるポンヌフは初めて娘を連れて出かけた旅行で記念写真を撮ったメモリアルな場所...心ふるえる風景パリ編①いよいよ始まるパリ五輪とともにパリの印象を辿ろう

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑱ 突然目の前に出現した ブルーモメント

    陽は沈んだもう帰る準備を・・・と思いながら横にある教会を見るとそれまで夕陽のシルエットとなっていた建物が次第に青く染まって行くところだった日没の次に来るブルーモメントその時刻が訪れようとしていた教会は夕陽の沈む方向とは反対側を向いており最近修復されたのか外壁は見事に真っ白白い壁が黄昏を支配するブルーを吸い込むように青く変身しつつある全身に青を湛え夜の装いを急ぐ空の青をも反映して岬の教会周辺は他の色彩を寄せ付けない完全なブルーモメントに変容していたそれもわずかな瞬間街の明かりが灯り始め照明の光が届くとまた周辺はいつもの暖色の風景に戻った突然に見せる貴重な自然のドラマを2つも続けて見ることが出来たことに感謝しながら帰りのバスに乗った心ふるえる風景南イタリア編⑱突然目の前に出現したブルーモメント

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑰ 地中海に沈む夕陽 ぎりぎりで間に合った

    夕刻イスキア島の西端に向かったホテルのコンシェルジュから耳寄りな情報をもらった「フォーリオの夕陽がとても美しいですよ特に岬にある教会からの眺めが絶景です」フォーリオに着いて地元のおじさんに聞いた「サンタマリア教会はどこですか?」「え、なんだって?」「サンタマリア教会です」「だからサンタマリア何教会なんだい?サンタマリアという名前の教会はこの町内に3つもあるんだ」この言葉で気がついたサンタマリアというのは単に「聖母」の意味どの教会にもサンタマリア+〇〇の名前が付いていた例えばフィレンツェの大聖堂はサンタマリアデルフィオーレ教会ヴェネツィアではサンタマリアフォルモーザ教会などなど急いでメモ帳をひっくり返して正式の名前を探した「サンタマリアソッコルソ教会」ようやくおじさんもにっこり所在地を指さしてくれたそんなこ...心ふるえる風景南イタリア編⑰地中海に沈む夕陽ぎりぎりで間に合った

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑯ イタリアの「モンサンミッシェル」 イスキア島のアラゴン城に登る

    イスキア島に着いてすぐに島の東端にあるアラゴン城へ遠くから見ると中央付近に尖った城がありすっぽりと海に囲まれたその姿はまるでモンサンミッシエルみたいというのが第一印象だった近づいてみると長い橋が付いていた上陸して城まで登ることを覚悟したがなんとエレベーターがあるスイスイと城まで到着してしまったてっぺんからの眺めは素晴らしかったナポリ湾を望む地中海の海原さっきまでいたプロチダ島やカプリ島も指呼の間それにも増して壮観だったのは橋と市街地の街並み本島と結ぶ長さ300mの橋とそれにつながるイスキアポルトの様子だ橋は単調な一直線ではなく微妙に曲がってつながり市街地は小島の街とは思えない華やかな装いに感じられる温泉が湧き保養地としても有名らしくしゃれたホテルや保養施設がそろっているせいかもしれない街の後方にはエポメオ...心ふるえる風景南イタリア編⑯イタリアの「モンサンミッシェル」イスキア島のアラゴン城に登る

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑮ プロチダ島から隣のイスキア島へ ナポリ湾を南下する

    プロチダ島から隣のイスキア島へと向かったこの島はナポリ湾に浮かぶ一番大きな島だ歴史は古く古代ローマ時代は皇帝アウグストゥスが所有していた船内はほとんど地元の人たちばかり一人ポツンと座っていたら隣のおばさんが声をかけてきた「どこからきたの?」「ニッポンです」「ああ細長い島だよね」「ええ」「じゃあイスキアの私たちと同じ島国の人ってことね」そんな会話でちょっと和やかな時間を過ごすことが出来た改めて外を見る少しずつ近づいてきたイスキア島右側に見える最高峰エポメオ山は標高788m円錐形の優雅な姿が印象的だかすかに煙った島の上方にはポッカリと白い綿雲が浮かびまるで二人カップルのダンスをしているようだ底抜けに開放的な雰囲気が満ち満ちているこの島は予備知識ほぼゼロの東洋人にどんなサプライズを提供してくれるのだろうか心ふるえる風景南イタリア編⑮プロチダ島から隣のイスキア島へナポリ湾を南下する

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑭ プロチダ島での滞在は 美しい光景と温かい心に満たされた日々だった

    プロチダ島3日間の滞在を終えて4日目の朝次の目的地に向かった船に乗って島全体を眺めるとまた違った風情が感じられる向かって右側の小高い岩山部分はテッラ・ムラータ地区昔の城壁跡があり何度もその高台に昇って街を見下ろしたこの島への旅を思い立ったのも偶然開いた雑誌のその光景だった中央部分が市街地コリチェッラ地区ピンクやレモンイエローのカラフルな建物が林立している遠くからだと色合いが少しわかりにくいでも中央部分に密集して住宅が建つ様は鮮明だ浜では子供たちや猫たちとの時間が持てたし漁網の繕いをする漁師のおじいさんらから島の話も聞けた都会ではありえないほど地元の人たちと親しくなれた気がする帰りがけ港は岩山の裏側にあるためバスを利用しようとしたがバス停には時間表がない店の人に聞くと「時間表なんてもともとないよ。待っていれ...心ふるえる風景南イタリア編⑭プロチダ島での滞在は美しい光景と温かい心に満たされた日々だった

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑬ 訪れる夜 地中海の島は静寂の中で眠りに就く

    プロチダ島のホテルはコリチェッラ港に面した場所海と海岸が見下ろせる高台のロケーションだ夜ホテルに戻って小さなベランダに出ると海岸の様子が一望できる日中はあれほどキラキラ輝いていた海はもうすっかりブルーの水面に漆黒の墨を飲み込んだかのような闇を抱えて沈み込みそのあちこちに停泊した小舟は浜の灯かりを受け止めてぽっかりと浮かび上がる一方街の家々は柔らかな灯かりに照らされて華やかとさえ言えるほどの明度を誇って輝くその中にはさっき絶品のパスタを提供してくれたトラットリアからの香りもかすかに混じるさっきまで響いていたボートのエンジン音カモメの鳴き声子供たちの歓声潮騒のざわめきそんなすべての音が夜の訪れとともに鳴りを潜め地中海に浮かぶ小さな島は今ひとときの眠りに就こうとしている心ふるえる風景南イタリア編⑬訪れる夜地中海の島は静寂の中で眠りに就く

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑫ 海辺で走る姉妹を見ながら 自らの子供時代を思い返した

    島のあちらこちらに海水浴に適した砂浜があるそんな海辺でサンドイッチをほおばりながら押し寄せる波を見ていたら地元の子供たちが現れた青いスカーフに白い短パンのお姉ちゃん黄色いスカーフにピンクの短パンの妹君子供なのに何とセンスたっぷりの子供たちだ砂に穴を掘ったりの砂遊びをしていると思ったらお姉ちゃんが走り出し妹もそれに追いつこうとダッシュを始めた逃げるお姉ちゃん追いかける妹君近づきそうになったらお姉ちゃんがスピードを増すそんな天真爛漫な追いかけっこを見ているうちに自分の子供のころを思い出してしまった私のふるさとは山国だったので海を初めて見たのは中学生になってからだった未知の海を前にしてまず海水を口に含んだ思い切りのしょっぱさにびっくりした後ちょっと後方の高台に上がって海を眺めた本当に水平線は丸くなっているのか・...心ふるえる風景南イタリア編⑫海辺で走る姉妹を見ながら自らの子供時代を思い返した

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑪ 日没時に展開する光のグラデーションに見入った

    島の高台で一休みしながらこれからの行動予定を考えていると海の色にポッと赤味がさしていることに気づいたああもう夕方か立ち上がり西の空を見るとどんどん太陽が沈み始めあっという間に山陰に消えていっただが夕焼けはある意味日没からが本番だ空の色彩は上空から青紫橙赤といくつものグラデーションを伴って変化しそこにアクセントをつけるかのように綿雲がぽっかりと浮かぶ中央にくっきりと雄姿を見せるのは隣の島イスキア島の山並み海岸の街並みはまだ明かりがちらほらと灯るだけ昼と夜との境い目のこの瞬間だけに展開する光のショーをまるで独占したような貴重な体験の喜びが湧きあがった時だった心ふるえる風景南イタリア編⑪日没時に展開する光のグラデーションに見入った

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑩ 「赤ちゃん誕生!」の大きなリボンが玄関に

    街を歩いているとこんなものが民家の玄関に下がっていた「eccomi!sononato」直訳すると「私はここにうまれた」つまり「誕生したよ!」この家に赤ちゃんが生まれたことを知らせる”告知リボン”だイタリアを旅していると各地で似たようなリボンが家の玄関などに飾られているのを見かけた中には屋根の上に旗とリボンを立ててお祝いしている家もあったイタリア人と話すと家族に対する愛情の深さを精一杯の表現で表して感心させられることがあるそれは自分の住む地域に対しても同様だある時フィレンツェで「イタリアのどこが気に入ったか?」と尋ねられうっかり「ヴェネツィア」と答えたらムッとされたことがある同じイタリアでも統一されて1つのイタリアになったのは1861年フィレンツェとヴェネツィアとはそれまで別の国だったそんな歴史から同じイタ...心ふるえる風景南イタリア編⑩「赤ちゃん誕生!」の大きなリボンが玄関に

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑨ 島で見かけたサッカー少年の 温かい後ろ姿

    島歩きの遅い午後ホテルに帰る途中前を歩く少年を見つけたユニフォーム姿大きな荷物を背負ってでも軽快に歩いて行く1時間ほど前グラウンドで見かけたサッカー少年団の1人だろうかかなり激しいトレーニングの最中でみんな真剣にボールを追いかける姿が印象的だったが今見掛ける少年は打って変わって全身から開放感が漂っているやり終えた練習をクリアーして近づく試合でのシュートシーンをシミュレーションしているのだろうか家ではマンマ自慢のパスタが湯気を立てながら少年の帰りを待っているのに違いないそんな空想をしながら歩いて行くと周囲の台所からトマトソースの温かい香りが漂ってきた心ふるえる風景南イタリア編⑨島で見かけたサッカー少年の温かい後ろ姿

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑧ プロチダ島は 猫たちの天国だった

    プロチダ島は猫たちの天国だ浜を歩くとどちらからともなく猫たちが現れじゃれ合って遊んだりあるいは寝そべって日向ぼっこそんな光景が日常的に見られる猫たちは珍しくも姿を見せた東洋人を興味深そうに観察していて逃げる様子など全くなかったこの島は漁業の島だけに彼らにとってエサの心配は皆無朝漁から引き上げてきた漁民たちは普通にこの猫たちに小魚などを与えているし彼らを呼ぶときも「nostrogatto」(私たちの猫)と呼んでいた島民みんなで慈しんでいることが自然に伝わってきたつまりこの猫たちは野良猫でもなければ「Aさんの」とか「Bさんの」とかではなくて「島民みんなの」共通の猫たちなんだということを日々の生活の中で学ばせてもらった心ふるえる風景南イタリア編⑧プロチダ島は猫たちの天国だった

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑦ 地中海の島で見た夕暮れ時は 静寂が支配していた

    プロチダ島の北端に立つとイタリア半島・ナポリの街が見えるさらにヴェスヴィオ火山の雄大な姿が浮かび上がるこの火山は起源79年に未曽有のの大噴火を起こしポンペイの街を火山灰で地中に埋め尽くしたそんな山の頂上付近に太陽が沈んで行く空に広がる薄い雲で全体がヴェールに包まれたような風景だ手前を航行する船の姿を眺めながら街で買ったサンドイッチをかじっていると徐々に山を含む景色が一層霞の中に隠れはじめ夕陽は濃いオレンジの球となって存在感を高めだした「この瞬間は私の時間」主役となった太陽がそう宣言するかのように輝き数分後には悠然と山頂に姿を没していったそれは世界が静寂という言葉に支配された時間だった心ふるえる風景南イタリア編⑦地中海の島で見た夕暮れ時は静寂が支配していた

  • 心ふるえる風景 南イタリア編⑥ 島では おちゃめな天使たちに出会った

    この小さな島に連泊しているといつしか島の子供たちとも顔見知りになる初めはそっと遠くから見ていたのが2日目にはもう話しかけてきた「どこから来たの?」「何してるの?」「ニッポンてどんなとこ?」カメラを担いで歩いているとリクエストが始まった「私たちも撮ってよ」そしてシャッターを切る瞬間さっとポーズをとってくれた明るく元気で限りなくおちゃめな天使たち彼女たちのおかげで絶品のパスタを出す店を知ることが出来たし小さく美しいマリア像のある教会を見つけることも出来たあれからもうだいぶ歳月が過ぎた彼女たちはすっかり健やかに成長し今頃は元気いっぱいの青春を謳歌していることだろう心ふるえる風景南イタリア編⑥島ではおちゃめな天使たちに出会った

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