GOOblogでは約10年前からお世話になりましたが、サービス終了ということで新しいブログに引っ越すことになりました。永い間本当にお世話になりました。新しいブログは「はてなブログ」というところです。タイトルは「新イタリアの誘惑」で、現在と変わりません。まだ使用法も完全に理解しているわけではありませんが、とりあえず1回目をアップしました。アドレスは以下の通りです。glori69059osa.hatenablog.com今後ともよろしくお願いいたします。当ブログから新しいブログに移行しました
心ふるえる風景 南イタリア編⑨ 島で見かけたサッカー少年の 温かい後ろ姿
島歩きの遅い午後ホテルに帰る途中前を歩く少年を見つけたユニフォーム姿大きな荷物を背負ってでも軽快に歩いて行く1時間ほど前グラウンドで見かけたサッカー少年団の1人だろうかかなり激しいトレーニングの最中でみんな真剣にボールを追いかける姿が印象的だったが今見掛ける少年は打って変わって全身から開放感が漂っているやり終えた練習をクリアーして近づく試合でのシュートシーンをシミュレーションしているのだろうか家ではマンマ自慢のパスタが湯気を立てながら少年の帰りを待っているのに違いないそんな空想をしながら歩いて行くと周囲の台所からトマトソースの温かい香りが漂ってきた心ふるえる風景南イタリア編⑨島で見かけたサッカー少年の温かい後ろ姿
心ふるえる風景 南イタリア編⑧ プロチダ島は 猫たちの天国だった
プロチダ島は猫たちの天国だ浜を歩くとどちらからともなく猫たちが現れじゃれ合って遊んだりあるいは寝そべって日向ぼっこそんな光景が日常的に見られる猫たちは珍しくも姿を見せた東洋人を興味深そうに観察していて逃げる様子など全くなかったこの島は漁業の島だけに彼らにとってエサの心配は皆無朝漁から引き上げてきた漁民たちは普通にこの猫たちに小魚などを与えているし彼らを呼ぶときも「nostrogatto」(私たちの猫)と呼んでいた島民みんなで慈しんでいることが自然に伝わってきたつまりこの猫たちは野良猫でもなければ「Aさんの」とか「Bさんの」とかではなくて「島民みんなの」共通の猫たちなんだということを日々の生活の中で学ばせてもらった心ふるえる風景南イタリア編⑧プロチダ島は猫たちの天国だった
心ふるえる風景 南イタリア編⑦ 地中海の島で見た夕暮れ時は 静寂が支配していた
プロチダ島の北端に立つとイタリア半島・ナポリの街が見えるさらにヴェスヴィオ火山の雄大な姿が浮かび上がるこの火山は起源79年に未曽有のの大噴火を起こしポンペイの街を火山灰で地中に埋め尽くしたそんな山の頂上付近に太陽が沈んで行く空に広がる薄い雲で全体がヴェールに包まれたような風景だ手前を航行する船の姿を眺めながら街で買ったサンドイッチをかじっていると徐々に山を含む景色が一層霞の中に隠れはじめ夕陽は濃いオレンジの球となって存在感を高めだした「この瞬間は私の時間」主役となった太陽がそう宣言するかのように輝き数分後には悠然と山頂に姿を没していったそれは世界が静寂という言葉に支配された時間だった心ふるえる風景南イタリア編⑦地中海の島で見た夕暮れ時は静寂が支配していた
心ふるえる風景 南イタリア編⑥ 島では おちゃめな天使たちに出会った
この小さな島に連泊しているといつしか島の子供たちとも顔見知りになる初めはそっと遠くから見ていたのが2日目にはもう話しかけてきた「どこから来たの?」「何してるの?」「ニッポンてどんなとこ?」カメラを担いで歩いているとリクエストが始まった「私たちも撮ってよ」そしてシャッターを切る瞬間さっとポーズをとってくれた明るく元気で限りなくおちゃめな天使たち彼女たちのおかげで絶品のパスタを出す店を知ることが出来たし小さく美しいマリア像のある教会を見つけることも出来たあれからもうだいぶ歳月が過ぎた彼女たちはすっかり健やかに成長し今頃は元気いっぱいの青春を謳歌していることだろう心ふるえる風景南イタリア編⑥島ではおちゃめな天使たちに出会った
心ふるえる風景 南イタリア編⑤ 「イル・ポスティーノ」のロケは ここプロチダ島で行われた
パブロという名前の付いた世界的に著名な3人がいる独創の世界を創造した天才芸術家パブロ・ピカソ鳥の歌が心に染みるチェロ奏者パブロ・カザルスそしてノーベル文学賞の詩人パブロ・ネルーダネルーダは故国チリでの政治的迫害を受けてイタリアに亡命したがその時代をテーマにした映画が製作されている「イル・ポスティーノ」(郵便配達夫)のロケはこのプロチダ島で行われたネルーダの滞在先として選ばれたのが画面中央の黄色い家だった地元の青年が郵便局に就職し配達夫になったが小さな村だけに郵便の届け先はほぼ亡命中のネルーダ宛ばかり毎日ここに通ううちに詩人との交流が芽生え次第に文学に目覚めて行くというストーリーだった温暖な気候涼やかな海風の浜辺で交わされる会話と交流の様はまさにプロチダ島ならではの心温まる情景だった主役の配達夫を務めたマッ...心ふるえる風景南イタリア編⑤「イル・ポスティーノ」のロケはここプロチダ島で行われた
心ふるえる風景 南イタリア編④ プロチダ島で 「巡礼者の聖母」に出会う
プロチダ島の街を歩いていて通りに聖母像がかかっているのを見かけた交差点の建物の壁で少し影になっている場所哀しみを湛えた聖母の表情はとても印象的だった思い起こすと街角の聖母像はあちこちで見つけたフィレンツェでもヴェネツィアでも「マドンナ・デッラ・ストラーダ」街角の聖母と呼ばれるほとんどは赤児のキリストを抱く聖母の姿とても柔和な表情の聖母像が多かったただこの島の絵に描かれたのは十字架に架けられて昇天した後のキリストの遺体を抱える聖母像だルネサンス芸術の主役として脚光を浴びたフィレンツェやアドリア海の女王として君臨したヴェネツィアではなく歴史の表舞台に登場したこともない小さな孤島そんな場所だかろこそ街頭の像も陰影を含んだ構図の絵が掲げられているのだろうか余計な推量を巡らせていた未熟な異邦人に地元の古老が笑顔で話...心ふるえる風景南イタリア編④プロチダ島で「巡礼者の聖母」に出会う
心ふるえる風景 南イタリア編③ 中学生たちの演奏を OGたちは笑顔と拍手で見守った
島歩きの途中ナポリ便の発着地・コリチェッラ港近くの広場から軽快な音楽が聞こえてきた近づいてみると島の中学生たちが村祭りの一環として演奏を始めるところだった白い制服に身を包んで明るく演奏する姿はとても楽しい光景ですごく上手とは言えないまでも聴く側をもわくわくさせる聞き入りながら聴衆の列を見回すとちょうど私の向かい側に若い女性たちの姿が見えた満面の笑顔それも心からの親しみを込めた涼やかで一点の曇りもない表情聞くとこの中学のOGなんだという後輩たちの元気いっぱいの演奏を慈しみの気持ちを含みながら見守る様子がまるで午前中に訪れた教会で祭壇に飾ってあった天使の絵のように素敵な輝きを放っているように思えたひと時だった心ふるえる風景南イタリア編③中学生たちの演奏をOGたちは笑顔と拍手で見守った
心ふるえる風景 南イタリア編② 地中海の海が 華やかに「青」のダンスを繰り広げる
プロチダ島のホテルは眼下に海の広がる高台の部屋だ朝から外を見ていると地中海の海は”青い”とうなってしまう特に晴れた日の午後は何艘ものボートが浮かび陽光に照らされた船体が白く輝くのを見るとその対照として周囲に広がる水面はどこまでも透き通るかのような明るさで際立つボートが速力を上げて波しぶきを立てると跳ね上げて形成した航跡を鮮やかに示して見せた後ほんの数十秒後には一層の青さをもって水面を鮮烈なブルーに変貌させてしまうそれも平穏を保っていた先ほどまでのブルーではなく「アズール」とでも表現されるような濃厚の色合いを演出してみせる時に優しく時に激しく何者にも制限されない自由奔放さで海は「青のダンス」を展開していく心ふるえる風景南イタリア編②地中海の海が華やかに「青」のダンスを繰り広げる
心ふるえる風景 南イタリア編① プロチダ島 ゴールデンウイークに憧れの島に到着した
ある日書店の店頭で旅行雑誌を立ち読みしていたら目の覚めるような風景に出会った地中海に浮かぶ小さな島その全景が高い視点から捉えられた写真だった「ああこんな島があるなんて一度自らの眼でみてみたい」それからこの未知の島を調べ始めた島の名前は「プロチダ島」でも一般の観光雑誌やガイドブックには名前さえ掲載されていないそれで図書館や大型書店の検索などを巡ってようく場所を確定することが出来た島へのアプローチはナポリからそこまでいけば定期便があるらしいこれだけの情報を手掛かりにゴールデンウイークにナポリへ飛んだナポリから船で1時間抜けるような陽光に迎えられて到着したプロチダ高台のホテルから眼下に地中海が広がる濃いブルーの蛍光塗料をぶちまけたようなきらめく輝きに満たされているさてあの雑誌で見かけた航空写真のような景色はどこ...心ふるえる風景南イタリア編①プロチダ島ゴールデンウイークに憧れの島に到着した
心ふるえる風景 イタリア編㊺ ミラノ大聖堂の正面に残る 聖書と戦争の意外な遭遇
ミラノを離れる前もう一度大聖堂に来た正面には5つの扉口があるがその中央扉にある見事な彫刻をもう1度見たくなったせいだここにはキリストの母つまり聖母マリアの生涯が作品となって残されている最も印象的だったのが「聖母被昇天」の彫刻中央に立つ聖母は上空を仰ぎ天国で待つ息子の元へと向かう決断をキリリとした表情に示しているその聖母を囲むのは天使たち集団でマリアを支え天空への旅立ちの準備を整えているこれは聖母の生涯の最終盤に当たるシーンだ一方スタートとなるのは「受胎告知」大天使ガブリエルが聖母の前に現れ聖なる子(キリスト)を身ごもったことを告げる場面だ立ち尽くすマリアは思いもかけない宣告に戸惑う波乱万丈の生涯が正面の大扉に描かれているのはこの大聖堂が聖母マリアに捧げられていることを象徴しているところでこの彫刻群の中に1...心ふるえる風景イタリア編㊺ミラノ大聖堂の正面に残る聖書と戦争の意外な遭遇
心ふるえる風景 イタリア編㊹ ミラノの中心街に 突如現れる「哲学する巨人」の群れ
腕を組み顎に手を当てそれぞれに厳しい表情のまま何かを思っている衣をまといあるいは半裸の姿でいずれも深い思索の溝にはまり込んでいるかのようだスカラ座のあるスカラ広場から東に延びる小道人通りの途切れる場所に不思議な像の建物がある巨人の像がずらりと並びあたかも通行人をにらんでいるかのような光景が目に飛び込む「オメノーニの家」と呼ばれている像は全部で八体この場所だけは異様な雰囲気で満たされる建物は16世紀の彫刻家レオーネ・レオーニの住宅だったところレオーネは当時ミラノを統治していたスペイン王フェリペ2世の宮廷彫刻家だったなのでこの像もレオーネ作だと思ったら実はアントニオ・アボンディオの作品だという像はどれも実在した哲学者らしいがなぜこのように建物の前面に据えられたのか今では華やかなミラノの街の中心部にどうしてこの...心ふるえる風景イタリア編㊹ミラノの中心街に突如現れる「哲学する巨人」の群れ
心ふるえる風景 イタリア編㊸ ミラノ中央駅で 人々は出会い、また別れる
ミラノ中央駅はここに到着する電車すべてが終点となる終着駅の形式をとっているローマやヴェネツィアなどイタリア国内の主要駅も同様だ24番線までありホームは大きなドーム型の屋根で終われるリバティ様式とアールデコ様式の混合した鋼鉄のドームはムッソリーニ時代に完成したものだ半円形の空間には毎日人々がこの地に到着しまたこの地から旅立ってゆくそれが日常の人だけではない人生の大きな分岐点となる人も含まれる駅はドラマの出発点でありまた終着点でもある全長341m66000㎡の駅構内で出会いと別れの感慨が日々繰り返されそんな悲喜こもごもの思いを飲み込みながらミラノ中央駅はいつしか歴史を紡ぎ続けて行く心ふるえる風景イタリア編㊸ミラノ中央駅で人々は出会い、また別れる
心ふるえる風景 イタリア編㊷ ルネサンスから現代へ ミラノの街は常に驚きを提供する
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアを通りすぎるとスカラ座のあるスカラ広場に出るここにはレオナルド・ダ・ヴィンチの像が建っている言うまでもなく15世紀ルネサンスを代表する天才だ彼は1482年から1499年までミラノに滞在しあの壁画「最後の晩餐」を完成させた芸術はもちろん科学技術にも才能を発揮した人らしくピエトロ・マグニ作の肖像は深い思索にいる哲学的な表情に表現されているやっぱりなあ・・・うなずきながら回廊の別の側に出たとたん全く異次元の像にぶつかった巨大でふくよかな女性像がドーンと現れた重量感あふれる肢体を誇るように微笑むのは「マドンナ像」南米コロンビアの代表的な芸術家フェルナンド・ボテロの作品だ短期間の特別展示だったが思索にふけるルネサンスの偉人像から19世紀の華やかでスマートなガレリアを通り抜けて現...心ふるえる風景イタリア編㊷ルネサンスから現代へミラノの街は常に驚きを提供する
心ふるえる風景 イタリア編㊶ ミラノの中心 黄金の回廊に「モナ・リザ」が出現した
ミラノ大聖堂の横にひときわ目立つ屋根付き回廊があるヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアイタリアの初代統一国王の名を冠した回廊は19世紀後半に完成した産業革命がもたらした当時の最新技術ガラスのアーチと鉄の屋根を持つアーケードだ中央十字路部分直径38mのガラス製ドームから外光が注ぎ込むスマートな回廊天井にはフレスコ画床にはモザイク画も施されているさらに夜照明が灯されると内部は黄金色に彩られ宝石箱の中にいるような気分を味わえる通りにはプラダ本店を始めとして一流ブランドの店がその美を競うようにして並ぶがブランド店の看板はすべて金と黒だけを使った装飾で統一されており一層黄金のきらめきが際立つそんな通りの中でルイ・ヴィトンのショウウインドウで実に意外な女性像が目に止まった中央に飾られたバッグには何とレオナルドの代表...心ふるえる風景イタリア編㊶ミラノの中心黄金の回廊に「モナ・リザ」が出現した
心ふるえる風景 イタリア編㊵ 大聖堂の屋上では 136の聖人が街を見守り続けている
ミラノ大聖堂の天井まで昇った高さ100mを越す高さだけに見晴らしは満点だローマ・サンピエトロ大聖堂に次ぐ世界的な大聖堂をというミラノ領主ビスコンティ家の壮大な夢で始められた建築屋根の中央に通路がありそこを歩きながら左右を見渡す南側にはモード・ファッションの街であるとともに先進的な建築物が並ぶ現代イタリアの姿が広がる一方北側には緑豊かな湖水地方の自然に加えてスイスから北方ヨーロッパに続く雄大なアルプスの山並みを見渡せるそんな風景を見つめるのは我々人間だけではないのに気付いた屋根の両側にずらりと尖塔が並びそのすべての塔の先にキリスト教の歴史を紡いできた幾多の聖人像が取り付けられていたのだその数実に136体聖人たちはこうしてミラノ市民イタリア国民の安寧と繁栄のために常に眼下の人々の暮らしを見守り支えるという役割...心ふるえる風景イタリア編㊵大聖堂の屋上では136の聖人が街を見守り続けている
心ふるえる風景 イタリア編㊴ あの豪快なミラノ大聖堂は 実は繊細な装飾細工で覆われていた
あの壮大な建築物のてっぺんに昇ってみたい!初めてミラノのドゥオモの前に立った時胸の内にふつふつと沸き上がるものを感じたとにかく大きい全長158m高さ108mのゴシック大聖堂穏やかな木造建築の中で育った者にとっては異次元の構造物だった聴いてみると屋上に昇ることが出来るしかもエレベーターまでついているというなら昇らない手はない早速エレベーターの列に並んだエレベーターの終点から屋上までまだもう少しいくつかの階段を上る途中想像外の光景が目に飛び込んだ建築構造の各所に立ち並ぶ石細工の群れがすごい階段壁面の至る所に丁寧な装飾が隅々まで施されている立ち止まって眺めているうちにある意味突飛な連想に取りつかれた「これはまるで絹織物のようだ」「それとも剛と柔の綾なすタペストリー」14世紀に始まり幾度もの中断を経て19世紀にや...心ふるえる風景イタリア編㊴あの豪快なミラノ大聖堂は実は繊細な装飾細工で覆われていた
階段紀行・西日本 神戸編 ”宇宙基地”(?)につながるスペイン大階段
六甲アイランドセンター駅から、まるで宇宙基地かのような半円の建物が目に飛び込む。神戸ファッション美術館だ。ファッションをテーマとした公立では日本初の美術館となっている。そこへの大階段が、スペイン階段と呼ばれる正面階段だ。中央には太い柱が並んでいて、周囲にはウッドデッキが取り付けられている。通称の由来は、ローマのスペイン階段に似ているからなのか、バルセロナのグエル公園にある階段風のせいなのかどちらかだろう。中段を見ると、段の部分にカラータイルのでデザインされたものがある。向かって右側には、赤い縁の中に青のギザギザが配色され、その四角タイルが集まって大きくひし形を構成する。左側には、黄と青によって同様にひし形が形成されてコントラストをつけている。階段全体の長さはちょうど普通の建物の3階くらいの高さまで達してい...階段紀行・西日本神戸編”宇宙基地”(?)につながるスペイン大階段
階段紀行・西日本 神戸編 マリンパーク駅の階段は、硬質ですっきりと白い螺旋階段
神戸市の六甲ライナーで埋め立て地の終点マリンパーク駅に着いた。駅は高架の上にあるので、階段で街に降りることになるが、その階段が見事に大きな螺旋を描いたものになっていた。駅の先はもう海。さわやかな海風を感じながら階段を降りる。螺旋状になっているので、自然と街をぐるりと眺めながらの歩行となる。その螺旋も単純な円ではなく楕円状になっており、ゆっくりと周囲を見回す時間が与えられるという感じだ。白い側面、手すりの鉄とハードな色使いで構成されている。空の青と絶妙なコントラストを見せていた。この駅は神戸国際大や高校もあって、学生たちの姿が目立つ若者の街といった場所。それだけにこんな硬質な階段も違和感なく存在しているように見える。帰りがけ、ちょうど大学の授業終了時間とぶつかってしまい、学生がどっと駅に押し寄せ超満員となっ...階段紀行・西日本神戸編マリンパーク駅の階段は、硬質ですっきりと白い螺旋階段
階段紀行・西日本 神戸編 階段を「滞在する場所」に変えてしまったファッションストア
正面入り口が大階段になっているという画期的な構成でびっくり。ここは神戸市の中心部・旧居留地にある子供向けファッションストア「ファミリア神戸本店」。ゆったりとした階段では、子熊(?)のようなファミちゃんがお出迎え。それも、よく見ると壇の上になるほど少しずつ成長した姿になっているのに気づく。また、あちこちにファッショナブルな子供服が樹木に生えているように吊り下げられている。階段の色は淡いベージュ、柱や脇の手すり白で統一されているだけに、服のカラフルさが際立つ。買い物客たちはこの階段を上がりながら洋服を選んだり、またちょっと腰を掛けて一休みする母子もいるようだ。階段というものを、移動する場所ではなく「滞在する場所」に変えてしまったアイデアに感心した。階段紀行・西日本神戸編階段を「滞在する場所」に変えてしまったファッションストア
東京探訪 都庁舎のプロジェクションマッピングに感じた物足りなさ。
都庁舎のプロジェクションマッピングは、4月末までは午後7時から30分ごとに5回、午後9時まで行われている。各回の上映時間は15分程度で、次回の開始まで15分の休止時間が設けられている。確かに色彩的には華やかで、スクリーンの大きさが桁違いなので迫力も感じられる。ただ、個人的な感想は「・・・・」。映像に何の一貫性も、全体を貫くテーマというものも感じられなかった。私はフランスでいくつもの大聖堂をスクリーンにしたプロジェクションマッピングを見てきたが、それらにはしっかりしたテーマがあった。象徴的なものはルーアン大聖堂のプロジェクションマッピング。この地は、印象派の巨匠モネが住み、睡蓮の大作を残したジベルニーの近くにあり、大聖堂そのものも何作も作品に残している。そんな背景を生かして、映像はモネの作品をテーマに制作し...東京探訪都庁舎のプロジェクションマッピングに感じた物足りなさ。
東京探訪 ギネス記録に認定された都庁舎のプロジェクションマッピングに行ってきた
東京都庁舎の壁面を使ってのプロジェクションマッピングが2月末から始まり、見に行ってきた。その様子を紹介しよう。都庁舎は48階建て、高さ240mという超高層ビルだが、その壁面のうち4階から32階部分をスクリーンにして映像を映す試みだ。それも毎夜欠かさずに上映するため、いつでも観覧可能になっている。縦127m、横110mで、その面積は14000㎡。「最大の建築物へのプロジェクションマッピング常設展示」としてギネス世界記録に登録された。さすがにその大きさは格段で、迫力は十分。小池都知事は「新たな観光施設としての存在感を発揮するようになった。ナイトタイム観光の充実に向けた道筋をしっかり作り上げていく」とコメントしている。ただ、新年度費用は9億5千万円とのこと。「かけ過ぎ」との批判もあるようだ。東京探訪ギネス記録に認定された都庁舎のプロジェクションマッピングに行ってきた
神戸市長田区大正筋商店街を歩いていると、こんな愛らしい少女の絵を見つけた。この商店街は、1995年1月阪神淡路大震災の地震と火事で、店舗の90%が焼失してしまうという、壊滅的な被害に見舞われた場所だ。その後の再開発事業で復興の形は見えたが、近年の新型コロナ等によって撤収する店も出ているという。そんな中で商店街では、店舗の前面に絵を描くことによって賑わいを取り戻そうという試みを始めている。そうしたアート通りを歩いた。冒頭の女の子の絵には、足元のアップも添えられていた。ゾウと男の子とワニによるメルヘンチックな作品。地元ゆかりのアーティストの作品という。この通りの作品は、壁アートというよりは「シャッターアート」。キノコのお祭りかな。大胆なスケッチで仕上げたようなすっきりとした作品。これこそ満開の花びらが思い切り...神戸旅⑮
神戸旅⑭ 海沿いの塀にはモザイクアートがいろいろ。子供たちも作品も。
メリケンパークの海沿いには、石造りの塀にモザイク風の壁アートが並んでいる。その中でもやっぱり目立つのはこの風景。ポートタワーと海洋博物館の典型的な景色は、この場所を象徴するものだ。カモメと船舶との組み合わせも、現実の風景を再現したものだろう。隣のポートアイランドには神戸空港があり、飛行機も身近かだ。ただ、この空港へはJALやANAが定期就航していないようで、今回の旅行も大阪の伊丹空港を使う形だった。帆船の絵。やはり他の船より華やかなイメージだ。イルカのモザイク画に大型船の写真を組み合わせた図もあった。こちらは地元の子供たちの作品を基に制作されたもののようだ。にぎやかで色彩感覚がすばらしい。こちらも子供の絵。わくわくするような底抜けに楽しい雰囲気がいいなあ。神戸旅⑭海沿いの塀にはモザイクアートがいろいろ。子供たちも作品も。
神戸旅⑬ 六甲アイランドでも、広大な空間の各所に壁アートを見つけた
晴れ上がった昼、六甲アイランドまで出かけた。ここは1972年に着工された埋め立て地。現在は六甲ライナーという路線が通って広々とした空間が広がる。その六甲ライナー終着駅のマリンパーク駅で降りて、少し歩いた場所でこんな壁アートを見つけた。青空を背景に男女の顔が大きく描かれているが、目が隠れている男性よりじっと前を見つめる少女が印象的。その横に大きく書かれた「絆」が強いインパクトを感じる。このアイランドも阪神淡路大震災ではかなりの被害を受けた場所のようで、その歴史がこの文字にも反映されているのだろう。1つ駅を戻ってアイランドセンターで、メインストリートの横の建築側に入ると、大きな十字の中に四つ葉の葉のような形が出現した。あまり目立たない場所なので、その空間に入り込んで突然発見すると、一瞬ドキリとする。メインスト...神戸旅⑬六甲アイランドでも、広大な空間の各所に壁アートを見つけた
南京町の通りにこんな壁アートを発見した。パンダたちが調理し、おいしく食べている風景。西安門が後方を飾っている。いかにも中華街らしい光景で、ほっこりさせる。少しアップしてみると、その楽し気な表情がよくわかる。その南京町最寄りの地下鉄海岸線のみなと元町駅近くの地下通路にあった風景画。たくさんの風船がなびいて左端では子供がそれを見上げている。あったかい光景。一番大きな風船に近づいてみると、それはすべて赤ちゃんの手形で出来ていた。解説板には「この地下鉄開通20周年を迎えたのを記念して、沿線でその年に生まれた赤ちゃんの手形を集めて図案化した」とのこと。なかなか楽しい企画だ。赤ちゃんたちが大きくなって「ああ、これが私の手」なんて微笑む時が来るんだろうなあ。駅から数分の住宅街の一角に大きな絵がある。スプレー缶を持って押...神戸旅⑫パンダに風船に笑顔。元町周辺はバラエティ豊か
神戸旅⑪ 神戸のベイエリア入口付近には 相当個性的な壁アートが展開する
何やら妖しい女が潜んでいる。神戸のメリケンポート入口付近で見つけた壁アート。全体像はこんな形で、女性は右隅にちょっと顔を出しているだけ。でも角度を変えてみると、階段に沿って雲が沸き上がるように広がっていて、なかなかの迫力だ。通りに面しているので、多くの通行人の眼を引き付ける壁アートだ。阪神高速神戸線道路沿いにある壁アート。大きくワンちゃんが描かれている。ちょっとくたびれた風の犬が、こっちを向いて座っている。アメリカンな店の前に座ってジュースでも飲んでいる風情。左横には猫の姿も。「動物カフェ」とでも名付けたい風景だ。同じ地域にもう1つ見つけた。2つの建物に挟まれた狭い空間の壁に描かれているので、全体を見ることが困難な状態。かなりアバンギャルドな絵だ。奥に入ると、あれ、こんなに愛嬌のある少年がいた。さすがにこ...神戸旅⑪神戸のベイエリア入口付近には相当個性的な壁アートが展開する
神戸旅⑩ 市役所フェンスには神戸の全体図と「海」「山」「街」の風景が展開されていた
神戸市役所本庁舎前のフェンスの4面にそれぞれの作品が描かれていた。東側のフェンスには、市中心街をイラストで表現したものがあった。前日に訪れたメリケンポートの広場やポートタワー、南京町、三宮の繁華街などが細密画のように記されている。よく見ると、子供たちの姿も各所に配置されているなど、いろいろ発見があった。北側の絵のテーマは「海」。かなり大胆にデフォルメされた海の一場面が展開されている。その左下には舌を出して今にも襲い掛かろうとするサメの姿も。豪快な海の様子を表現しているのかな。西側に回ると、こちらには「山」のテーマが。壁全体に緑が広がって爽やかさをイメージさせる。左端には野鳥が飛び、右下には青いアジサイなどの花が満開。さらにもう1つの面には「街」のテーマが展開される。風船を掲げて走る少女の、懸命で颯爽とした...神戸旅⑩市役所フェンスには神戸の全体図と「海」「山」「街」の風景が展開されていた
神戸の表玄関、三宮駅近くの通りを歩いていると、こんな壁アートに遭遇した。商店街の壁で、女性が風を受けながら緑の野を飛んでいる。それも横にかなり長く、全体を収めようとしても難しいほどの幅。大きく開いた手で風を受け止めながら、長い髪をなびかせて心地よさそう。「女神の飛翔」とでも名付けられそうな姿だ。横にずれて行くと、何ともう一人の女神が逆の方向を目指して飛んでいる。ほぼ同じ女性のようにも見えるが、それとも別人なのか・・・。こちらは周りの沢山の泡から連想して、海を泳いでいるような雰囲気を漂わせている。神戸の表玄関といっても、この通りは高層ビルの並ぶ中心街とはちょっと外れた場所で、突然の女神出現には結構なサプライズ感が満載だった。神戸旅⑨三宮駅近くでは女性像が緑の野を飛んでいた
神戸旅⑧ 街のあちこちに描かれた壁アートを訪ねる時間を設けてみた。まずはメリケンポート付近
神戸では、あちこちに建物の壁面を利用した絵が描かれている。それを「ミューラルアート」と呼ぶらしい。そんなアートを探して歩いてみた。まず最初に見つけたのが、メリケンポートにあったこの絵。女性の視線が鋭く、こっちを見つめているよう。ついつい引き込まれてしまう。全体を見ると、左に「LESSLIKES」右に「MORELOVE」。「いいね」より「愛」を!と言っているように見える。そんな絵の前を家族連れが通った。そうだよね。これこそ愛だよね。その絵の隣にはこの壁アート。中央にニコニコ顔の張りぼてがいて、左右に三角帽とおむすび型がそれぞれにらめっこ。ほっこりする絵だ。パーク入口付近の工事現場の壁を利用して、神戸の街並みが描かれていた。細かく見ると、ポートタワーや海洋博物館、それに海に浮かぶ船など街の模様がかなり詳しく紹...神戸旅⑧街のあちこちに描かれた壁アートを訪ねる時間を設けてみた。まずはメリケンポート付近
南京町には竜があふれている。中国人にとっては龍は吉祥の印で、民族のシンボルでもあるようなので、当然ともいえる。今年の干支はは辰年だし、この町で龍を探してみた。まず目についたのが、像になった龍。見事に上方を向いて上り龍になって行こうかという感じの姿だ。柱に巻き付いて吠えている、勇壮な龍。お互いに向き合っお見合い中。一見ユーモラスだが、舌のベロベロがちょっと不気味。こちらも店名を挟んで向き合う白龍。ムーンドラゴンは、愛嬌たっぷりでとってもユーモラス。シャッターにも立派な龍が描かれていた。こちらはちょっとペラペラ風であまり強そうじゃないかなあ。一方、立体的に構成されたこの龍は、いかにも強そうだ。これをかぶって遊ぶ、子供向けの龍なのかな。長安門の柱にもちゃんと龍様がにらみを利かせていた。ほんの十数分間気をつけて見...神戸旅⑦今年の干支は龍。南京町で龍探しをして見た。
神戸旅⑥ 南京町はワクワクランド。楽しさと美味しさがたっぷり。
南京町は、横浜、長崎とともに日本三大中華街の1つ。神戸開港直後の明治初期に誕生したが、今は神戸観光の目玉となっている。町へは西側の西安門から入った。中国北宋時代の門がモデルになっているという。門の中央に「復光」という文字が書かれていた。これは大震災以前のものなので、震災からの復興を意味するものではなかっただろうが、妙に符合する気がする。後で調べてみると、中国語で失ったものを取り戻すという意味の「光復」という字があった。通りの両側にはランタンが下がって、華やかな雰囲気だ。東西270m、南北110m、この空間に100以上の店がひしめき合ってにぎやかだ。中央付近は東屋のある広場になっている。来来ちゃんと財財君が並んでお出迎え。ほっとする。店頭には、ちまきや肉まんなど食欲をそそる食べ物が並び、湯気を立てながら観光...神戸旅⑥南京町はワクワクランド。楽しさと美味しさがたっぷり。
神戸旅⑤ 東遊園地には、慰霊と復興の思いを込めたモニュメントが並ぶ
神戸市役所庁舎の南に東遊園地がある。ここは明治維新直後の1875年、居留外国人専用の運動公園として開放されたのが始まりだ。現在では、市民の憩いの場であるとともに、阪神淡路大震災の記憶を風化させず、いつまでもとどめるための場所にもなっている。今年も、大震災発生時の1月17日、ここで鎮魂の祈りをささげる集会が行われた。今年は能登半島の大地震発生直後だったため、「ともに」という言葉が添えられていた。広場の中ほどに「慰霊と復興のモニュメント」と題された区画がある。一見ただの噴水に見える。近づいてみると、こうした銘板が貼られている。地下に入る階段を降りると、円形の空間になっていて、周囲の壁面にびっしりと人の名前が刻まれている。これは大震災後の2000年1月、いつまでも記憶を留めおこうと建設された。犠牲者と建設の際の...神戸旅⑤東遊園地には、慰霊と復興の思いを込めたモニュメントが並ぶ
神戸旅④ ポートタワーと博物館屋根のライトアップは夜空を切り裂いて輝いていた
メリケンパーク夜の最大のハイライトは、ポートタワーと神戸海洋博物館(カワサキワールド)とが組み合わさったライトアップ光景だ。丸みを帯びた,高く持ち上がるタワーの縦軸と、博物館屋根の横に広がる伸びやかな曲線との、清々しい美しさは絶品だ。角度を変えて、博物館だけをクローズアップしてみると。また全然違った光景に変身する。もう少し夜空が暗くなってくると、ライトアップの建築物が一層鮮やかに映る。港側では「BEKOBE」も赤と緑の2色に輝いていた。博物館側に接近してみた。タワーとのコンビネーションが面白い。ぐるりと歩いて振り返ると、博物館屋根の緑と赤のライティング中心から、タワーがニョキリと立ち上がっている姿に変身していた。同じ建物同士なのに、こんなに歩きながら変化する夜景を見られるのも、メリケンパークならではの面白...神戸旅④ポートタワーと博物館屋根のライトアップは夜空を切り裂いて輝いていた
神戸旅③ メリケンパークには、神戸の歴史を思い出させる様々な記念碑があった
神戸メリケンパークを歩いた。一番突端には「BEKOBE」のオブジェがある開港150年記念で造られたもの。観光客の多くはここが記念写真の定番プレイス。入れ替わり立ち代わりの撮影が続いていた。そのすぐ横に、ちょっと地味な記念碑があった。「メリケンシアター」。神戸は1896年に日本で初めて外国映画が上映された場所ということで、設置されたもの。四角に穴の開いた岩石をスクリーンに見立て、手前の石が観客という設定らしい。ただ、設置は1987年。チャップリンがこの地を訪れたことがきっかけだったという。こちらは1989年開催の神戸ファッションフェスティバル記念のオブジェ「オルタンシアの鐘」。オルタンシアとはアジサイのことで形はオカリナのイメージだという。イースター島の像に似た彫刻は、神戸海援隊。勝海舟発案の海軍操練所の若...神戸旅③メリケンパークには、神戸の歴史を思い出させる様々な記念碑があった
神戸旅② ルミナリエ下 1月の神戸の夜は、市中心部も光の輝きで温かく彩られた
メリケンパークの第一会場の後、第二会場の東遊園地に向かう。遠くに光の工作物が見えてきた。神戸市役所のすぐ南に位置する広場の中央に着くと、光の壁掛け(スパッリエーラ)が広がった。その横には、奥行きを感じさせる門がある。近づくと、大ひし形や半円形などの模様が、きらびやかに輝いている。さらに中央部分を拡大。こちらは青い円を囲む八角形が、黄金色に縁どられていて印象的だ。対して、何やら人間の目玉のような形。こちらをにらんでいるようにも感じる。旧居留地方面に移動した。ここには長円形の光看板作品が、空を隠すかのように空間を占拠している。高さ7m、幅15mほどの大型だ。この作品の光で、広場は結構明るく、スマホに収めようという人たちがあちこちに。また、塔のような作品も単独で立っているので、それだけ独立感が際立つ。もう1度光...神戸旅②ルミナリエ下1月の神戸の夜は、市中心部も光の輝きで温かく彩られた
神戸旅① ルミナリエ上 阪神淡路大震災の年に始められた鎮魂と復興のイベントに行ってきた
神戸ルミナリエに行ってきました。この催しは、阪神淡路大震災の起きた1995年12月に、鎮魂と復興を合言葉に始められたもの。近年は、新型コロナによって中止となっていたが、今年4年ぶりに復活した。場所は神戸市のベイエリアに第一会場が造られ、三宮、元町など市街地がもう一つの会場となったまずメリケンパークのメイン会場へ。日没とともにライティングが開始されたが、まだ空の明るさが残っていて、照明効果はいまいち。少し待ってから入場口へと足を運んだ。入場して脇から見ると、相当に幅があることがわかる。フロントーネと呼ばれる玄関作品の幅は40mだという。真正面に来た。中央の通りはひと際光が強い。群衆は満員状態だが、闇の中なので気にならない。いよいよ光の回廊に入る。ガレリア部分だ。天井から光が降り注ぐ。高さは15Ⅿ、奥行きは7...神戸旅①ルミナリエ上阪神淡路大震災の年に始められた鎮魂と復興のイベントに行ってきた
心ふるえる風景 イタリア編㊳ ポスターと陽光がコラボして もう1つのメッセージが浮かび上がる
イタリアの夏陽光は予想以上に強烈だ街を歩いているとしばしば家の壁の壁面にポスターや広告が張り付けてあるのに出会うオペラやコンサートの告知商品のPRなどただなぜかそれらのポスターは時々緩めに貼られていることがあるある日街歩きの最中そんなポスターを見かけたちょうど真昼の直射日光が差し込みそれが少しの角度の違いに対しても光と影のコントラストを浮き上がらせ朝方には気づかなかった凸凹をも鮮烈に眼前に提示してくれた特に意図もなく貼られたポスターで見事に明と暗とがコラボレートしているよく見るとイラストの描かれたポスターにこんな文字が記されていた「AVANTIUNALTRO」「もう一つ前へ!」だイタリアの陽気でポジティヴな性格がこんなところにまで反映していたそれこそイタリアならではのセンスじゃないかとの楽しい錯覚を味合わ...心ふるえる風景イタリア編㊳ポスターと陽光がコラボしてもう1つのメッセージが浮かび上がる
夕刻ヴェネツィア・サンマルコ広場に立つ広場には通常メリチェリエ通りから時計塔のある大聖堂横に到着するがこの日はフェリーチェ劇場に寄ってきたのでコッレール博物館側から広場に着いた少し前まで大聖堂は夕陽を正面から受けてほんのりと壁面を赤く染めていたもう日は沈み周囲を黄昏が包み始めるそして満月いや鐘楼の横に突然輝きだしたのは月ではなく博物館の横に吊るされたまん丸い電球だ日没とともに点灯され例え曇りや雨だったとしても立派に月の代わりを果たしてくれる貴重な灯かりだこんな気の利いた演出をしてくれるのはヴェネツィア中心広場ならではのことかもと一人ほくそ笑む私だった心ふるえる風景イタリア編㊲
心ふるえる風景 イタリア編㊱ 新しい人生はゴンドラで! まぶしい結婚式に出会った
ヴェネツィアへの2度目の旅の時だった教会巡りを始めて本島中心部にあるフラーリ教会の前に差し掛かった時歓声が聞こえた着飾った人たちの群れが待ち構える中教会正面から一組のカップルが満面の笑顔で姿を現した結婚式を終えたばかりの新郎新婦まるで映画のワンシーンを見ているかのような美男美女の組み合わせだ大きな祝福「アウグーリ!」に応える二人バージンロードを歩いた先にはゴンドラが用意されている小運河に浮かんだ漆黒のゴンドラに純白のウエディングドレスがあざやかに映えるこれからの新しい人生をゴンドラに乗ってスタートするというまさにヴェネツィアならではのまぶしい光景は今でも忘れられないシーンとして心にしっかりと刻まれている心ふるえる風景イタリア編㊱新しい人生はゴンドラで!まぶしい結婚式に出会った
心ふるえる風景 イタリア編㉟ ヴェネツィアに巨大な富をもたらした 華やかな色彩の結晶
ショウウインドウに飾られたヴェネツィアングラスを見てその色彩の華やかさに眼を奪われたブルーレッドイエロー照明の強弱光の角度影との対比様々な瞬間瞬間に新しい変化を紡ぎだし新鮮な驚きを与えてくれるもちろんレースのような繊細な模様だけでなくシャンデリアに至るダイナミックな造形それらをも生み出す幅広さをも兼ね備える古代ローマ時代に源流を持ち13世紀にはヴェネツィア共和国の主要産業として巨大な富をもたらしたヴェネツィアングラスが21世紀の今も燦然と輝き続けるそのはるかな歴史のもたらす重みとともに奇跡の造形の放つ光にしばし見とれてしまった心ふるえる風景イタリア編㉟ヴェネツィアに巨大な富をもたらした華やかな色彩の結晶
心ふるえる風景 イタリア編㉞ 突然現れた自然の造形の美に 我を忘れて空を見上げた
夜明けだった少し寒いとさえ感じる風が吹き過ぎる中また広場に来た空は青いもののかすかに薄墨を流したかのような暗さを伴っているしばし空の変化を楽しもうと石段の端に腰を下ろしたホテルから歩いてきて暖気を含んだ体にひんやりする石の湿度が心地よく染みる今日はどの教会を訪れようかこのところヴェネツィアの教会巡りを続けていてそれぞれの内部にある絵画彫刻天井画などに魅了されている主祭壇に堂々と飾られたティツィアーノの聖母子像に感動したり入り口横の壁にそっと置かれた無名作家による素朴な像を発見なぜか幸せな心地を感じたりの毎日だそんな思いを抱えながら何気なく見上げた空に不思議な形が描かれたのに気付いた何だ!よく見ると鳥たちの形成する造形だその姿は一瞬で形を変え数十秒には遠くの空を目指して飛び去って行った渡り鳥たちが新しい場所...心ふるえる風景イタリア編㉞突然現れた自然の造形の美に我を忘れて空を見上げた
ある年の6月2日ヴェネツィアのサンマルコ広場に行くと3本の旗が翻っていた一番手前はヴェネツィア共和国国旗真ん中は現イタリアの国旗奥はEU加盟国を意味する欧州旗だヴェネツィア共和国とは7世紀末に誕生し1797年にナポレオンによるフランス軍の侵攻で消滅したが1000年以上至上最も長期にわたって続いた共和国だったその国旗は中央に守護聖人サンマルコの象徴翼を持った獅子像が描かれている中央の現イタリア旗は国土と自由を意味する緑雪と平等の白情熱と博愛の赤の3色旗だまたEU旗は青地に12個の金色の星が円を描く団結と調和を意味する円で統一も表現されている広場では第二次世界大戦後の1946年6月2日王政を廃して共和制に戻った記念の祝典が開かれていた3本の旗はそれぞれがヴェネツィアの長い歴史を裏付ける象徴として欠かすことの出...心ふるえる風景イタリア編㉝
心ふるえる風景 イタリア編㉜ 紅の波動を越えて ゴンドラは孤高の旅を始める
昼はあれほどにぎわったリアルト橋にも初冬の寒さが忍び寄る夕刻には本来の静けさが蘇る橋から見下ろすカナルグランデ夕陽のなごりがもたらす光で水面は燃えるような朱に染まり周囲に波動の揺らめきを広げて行く音もなく進む一隻のゴンドラ昼でも黒い船体は夕暮れにはなお一層その色を濃くし闇という衣をまとって浮かぶまもなく夜が襲い来るほんの少し前運河に浮かぶ孤高のゴンドラは静寂の紅に満たされた運河を越えてはるか彼方への旅を始めるのだろうか心ふるえる風景イタリア編㉜紅の波動を越えてゴンドラは孤高の旅を始める
心ふるえる風景 イタリア編㉛ ヴェネツィア・レデントーレの祭りの夜 花火に照らされた広場で連帯の握手の輪が広がった
ヴェネツィアの島の1つにジュデッカ島という島があるサンマルコ聖堂のある本島とカナルグランデ(大運河)を挟んで隣り合った島だその島で年に1度もっとも賑わう日がある11月の第3日曜日レデントーレ教会の祭礼だ起源は約500年前に遡る当時ヴェネツィア全土がペストの病魔に侵されていたそのパンデミックの退散を神に祈りようやく収まった時感謝の表現として建築されたのがこの教会だ祭りの日だけに渡される仮設橋を渡って人々は参拝に訪れるそして夜鎮魂と感謝の気持ちが花火によって表現される私も夜サンマルコ広場に足を運んだ広場は続々と集まる市民たちですっかり超満員身動きも出来ないほどの状態になっていた夜11時ドーンという爆音とともに花火が上がった続けて何発もの花火が夜空に上がる満開となった光の中に浮かび上がったのはヴェネツィアの守護...心ふるえる風景イタリア編㉛ヴェネツィア・レデントーレの祭りの夜花火に照らされた広場で連帯の握手の輪が広がった
よさこい讃歌2023⑱ 「日差しが 君のためだけに注がれているものだと」 百華夢想 飛鳥 舞士道&朔空 さぬき舞人
「百華夢想東京支部」(東京都)「リゾン鳴子会飛鳥」(埼玉県朝霞市)君が見ている日差しが夕陽であろうが朝日であろうがそれが君のためだけに注がれているものだと信じていいよって言える人になりたかった自分がただの人間だって思い知らなくちゃいけないなんて誰が決めたの?宇宙になったつもりですべてを信じて私のこと好きでも嫌いでもない埃を見る目で見てくれてよかった君に優しくない人を君が無視するそれだけで春が来たらいいのにね(最果タヒ)「舞士道&朔空」(石川県志賀町、七尾市)「さぬき舞人」(香川県さぬき市)よさこい讃歌2023⑱「日差しが君のためだけに注がれているものだと」百華夢想飛鳥舞士道&朔空さぬき舞人
よさこい讃歌2023⑰ 「人はもっと率直に 生きていいのだ」 りぐる
「りぐる」(静岡県沼津市)何かが違ってくる風が集まってくる日差しが集まってきて柔らかな影がそこに集まる見えないものが集まってくるふと騒がしさが遠のいてそれから音もなく明るい塵が集まってくるすべてがそこに集まってくる花の周りに集まってくる不思議だ花はすべてを花の周りに集める匂いのように時間が蜜のように沈黙が集まってくる言葉を持たない真実がある空の色季節の息が集まってくる花がそこにあるそれだけで違ってくる人はもっと率直に生きていいのだ(長田弘)よさこい讃歌2023⑰「人はもっと率直に生きていいのだ」りぐる
よさこい讃歌2023⑯ 「なぜに僕たち二人 生まれてきたの」 利ゑ蔵 Summer zipper
「利ゑ蔵」(千葉県千葉市)なぜに僕たち二人生まれてきたの誰も答えてくれず海が青いだけなぜにこうして二人愛しているの誰も答えてくれず波が寄せるだけだけど二人いつの日も若い体寄せて生きて行くの風の中も支え合って生きるなぜに二人はここにこうしているの誰も答えてくれず空が青いだけだけど指もくちびるも肩も腕も胸も若い枝が絡むように求めあって生きるなぜに二人はここにこうしているの誰も答えてくれず空が青いだけ(山上路夫)「Summerzipper」(東京都豊島区)よさこい讃歌2023⑯「なぜに僕たち二人生まれてきたの」利ゑ蔵Summerzipper
よさこい讃歌2023⑮ 『さよならするたびに 大人になってゆく」 百華夢想
「百華夢想」(愛知県一宮市)Say,doyouknowwhatlonelinessis?Ibelieveitisoneofgirl'shappiness.秋の風が吹いて舟をたたむころあんな幸せにも別れがくるのねあやまちなんて誰にもあるわあなたのことも思い出そして知らん顔で時は過ぎて行くさよならするたびに大人になってゆく恋人たち燃えたあの口づけ楽しいおしゃべり二人のアルバムはめくれてゆくのねあやまちなんて誰にもあるわ悔みはしない出来事みんな女の子は哀しみが好きよさよならするたびにきれいな花びらに変わるのね(有馬三恵子)よさこい讃歌2023⑮『さよならするたびに大人になってゆく」百華夢想
よさこい讃歌2023⑭ 「今年も生きて 桜を見ています」 GARAN43/35 夏舞徒
「GARAN43/35」(東京都)今年も生きて桜を見ています人は生涯に何回くらい桜をみるのかしら物心つくのが10歳くらいならどんなに多くても70回くらい30回40回の人もざら何という少なさだろうもっともっと多く見るような気がするのは祖先の視覚も紛れ込み重なり合い霞立つせいでしょうあでやかとも妖しとも不気味とも捉えかねる花の色桜吹雪の下をふららと歩けば一瞬名僧のごとくにわかるのです死こそ常態生は愛しき蜃気楼と(茨木のり子)「夏舞徒」(埼玉県朝霞市)よさこい讃歌2023⑭「今年も生きて桜を見ています」GARAN43/35夏舞徒
よさこい讃歌2023⑬ 「君は 明日まで飛びたいのか」 武州武蔵 REIKA組
「武州武蔵」(埼玉県朝霞市)白い紙飛行機広い空をゆらりゆらりどこへ行くのだろうどこに落ちるのだろう今日は青空がかくれている風が吹いてきたよ風に乗れようまくだけどあまり強い風は命取りになるよ君はプロペラを知らないのか雨が降ったら弱い翼は濡れてしまう強い雨も風も笑いながら受けて楽しく飛ぶことも悪いことじゃないよだけど地面に落ちるまで短い命だね君は明日まで飛びたいのか白い紙飛行機どこへ行くのだろう白い紙飛行機どこに落ちるのだろう(井上陽水)「DANCECOMPANYREIKA組」(東京都北区)よさこい讃歌2023⑬「君は明日まで飛びたいのか」武州武蔵REIKA組
よさこい讃歌2023⑫ 「昨日にはなかったもの 見せてあげたい」 SAGA~彩雅
[SA:GA彩雅」(東京都千代田区)「さよなら」その口癖は誰譲りなの?会うたびに寂しくなるのよ少し手を振るだけで消えてしまうようで私が描き過ぎてる明るい明日に君も居るガラスの鳥の背中にまたがる私笑う君と天使昨日にはなかったもの見せてあげたい会いたい寝癖のある君の方が何だか生きているって感じるまだ幼い顔つきで怒るその口の形も愛おしい孤独を映す影や歩幅スピード取り戻してあげたい潰れそうな何かがあるなら後ろから抱きしめる許されるまで強く(あいみょん)よさこい讃歌2023⑫「昨日にはなかったもの見せてあげたい」SAGA~彩雅
よさこい讃歌2023⑪ 「降る雪は こんなに白く」 七福よさこい連祝禧 TACYON
「七福よさこい連祝禧」(東京都)冬枯れた公園で生まれたばかりの四葉のクローバーを見つけました溢れそうなとっておきの私の愛を加え木漏れ日の封印をして今送りますあなたの胸に降る雪はこんなに白く舞い散るに君が去る道は暗く心待ちにしていた雪も君の背を見つつ思うは事故なきように・・・(須川さとみ)「TACYON」(高知県)よさこい讃歌2023⑪「降る雪はこんなに白く」七福よさこい連祝禧TACYON
よさこい讃歌2023⑩ 「この腕を差し伸べて その肩を抱きしめて」 燦-SUN-
「燦ーSUNー」(東京都)真っ白な陶磁器を眺めては飽きもせずかといって触れもせずそんな風に君の周りで僕の一日が過ぎて行くあるひ目の前の紙くずは古くさい手紙だし自分でもおかしいし破り捨てて寝転がれば僕の一日が過ぎて行くある日踏切の向こうに君がいて通りすぎる汽車を待つ遮断機が上がり振り向いた君はもう大人の顔をしているだろうこの腕を差し伸べてその肩を抱きしめてありふれた幸せに落ち込めればいいのだけれど今日も一日が過ぎて行く(小椋佳)よさこい讃歌2023⑩「この腕を差し伸べてその肩を抱きしめて」燦-SUN-
よさこい讃歌2023⑨ 「一滴の涙から 言葉が育った」 立教大学百合文殊 おどりんちゅ
「立教大学よさこい連百合文殊」(東京都豊島区)星があった光があった空があり深い闇があった終わりなきものがあった水そして岩があり見えないもの大気があった雲の下に緑の樹があった樹の下に息するものがあった息するものは心を持ち生きるものは死ぬことを知った一滴の涙から言葉が育ったこうして我々の物語が育った土とともに微生物とともに人間とは何だろうかという問いとともに沈黙があった宇宙のすみっこに(長田弘)「学生よさこいチームおどりんちゅ」(東京都渋谷区)いってよさこい讃歌2023⑨「一滴の涙から言葉が育った」立教大学百合文殊おどりんちゅ
「鴉」(千葉県千葉市)あなたに逢えたまぶしい夏が眼に浮かぶ夕焼け日に焼けた優しい顔が「元気出せ」って叱ってくれる泣いてはいけませんか一人であなたがとっても好きだから青い波はしゃいだ手にもう一度ふれたいの真夏が過ぎた海辺の駅で別れたのあなたと結んでた指も離れて汽車は秋へと走り出したの泣き虫そうよ私あれから逢いたい逢えないあなたなの街角でよく似た人逢えば心さわぐの泣き虫そうよ私あれから素肌の夏さえうすれてもこの胸に消えないのよあなたの愛の炎(松本隆)あよさこい讃歌2023⑧「あなたに逢えたまぶしい夏」鴉
よさこい讃歌2023⑦ 「みんな 一ばんや」横浜百姫隊 アンバサダー絆 朝霞溝連
「横浜百姫隊」(神奈川県横浜市)だいくさんおとうちゃん一ばんやりょうりおばあちゃん一ばんやごはんたきおかあちゃん一ばんやおひゃくしょうおじいちゃん一ばんやぬいもんおねえちゃん一ばんやとりのえさやりおにいちゃん一ばんやおかねためんのんわたし一ばんやおとうとといもうとはあそぶんが一ばんや(前田鈴代)「高知県よさこいアンバサダー絆国際チーム」(海外)「溝沼連合町内会朝霞溝連」(埼玉県朝霞市)よさこい讃歌2023⑦「みんな一ばんや」横浜百姫隊アンバサダー絆朝霞溝連
よさこい讃歌2023⑥ 「何気ない毎日が 風のように過ぎて行く」法政大学鳳遙恋 早稲田大学東京花火 早稲田大学踊り侍
「法政大学YOSAKOIソーランサークル鳳遙恋」(東京都千代田区)何気ない毎日が風のように過ぎて行くこの街で君と出会いこの街で君と過ごすこの街で君と別れたことも僕はきっと忘れるだろうそれでもいつかどこかの街で会ったなら肩をたたいて微笑んでおくれさりげない優しさが僕の胸をしめつけたこの街で僕を愛しこの街で僕を憎みこの街で夢を壊したことも君はきっと忘れるだろうそれでもいつかどこかの街で会ったなら肩をたたいて微笑み合おう(喜多条忠)「早稲田大学よさこいチーム東京花火」(東京都新宿区)「早稲田大学踊り侍」(東京都新宿区)よさこい讃歌2023⑥「何気ない毎日が風のように過ぎて行く」法政大学鳳遙恋早稲田大学東京花火早稲田大学踊り侍
よさこい讃歌2023⑤ 「一本のロウソクのように 熾烈に燃えろ」and As
「andAs」(東京都)心の底に強い圧力をかけてしまってある言葉声に出せば文字に記せばたちまちに色褪せるだろうそれによって私が立つところのものそれによって私が生かしめられているところの思念人に伝えようとすればあまりにも平凡すぎて決して伝わっては行かないだろうその人の気圧のなかでしか生きられぬ言葉もある一本のロウソクのように熾烈に燃えろ燃え尽きろ自分勝手に誰の眼にも触れずに(茨木のり子)よさこい讃歌2023⑤「一本のロウソクのように熾烈に燃えろ」andAs
よさこい讃歌2023④ 「季節の指先で 風車」北里大学北里三陸湧昇龍 千葉工業大学風神部
「北里大学よさこいチーム北里三陸湧昇龍」(神奈川県相模原市)心をさみしさ色に染めて吹きぬく夕風に廻ります風車言い出せない聞き出せない愛はすれ違いくるくる廻る花びら越しに二人のためらいが絡み合う夕暮れどきよ白い花の命が散り行く前に好きなら好きだと聞かせてほしい夕陽に赤々と照らされて悲しみ知らぬ気に風車廻り続けますこんなに胸は焦がれていても寄り添うきっかけがつかめない一人と一人白い花の命が散り行く前に好きなら好きだと聞かせてほしいこの手を差し伸べるすべもなく季節の指先で風車廻り続けます(麻生香太郎)「千葉工業大学よさこいソーラン風神部」(千葉県習志野市)よさこい讃歌2023④「季節の指先で風車」北里大学北里三陸湧昇龍千葉工業大学風神部
よさこい讃歌2023③ 「夕立のあとの 街は」 KAGURA
KAGURA(愛知県名古屋市)夕立のあとの街はきれいに洗われたようで緑の匂いがよみがえります忘れようとつとめて少しは忘れかけてたあなたの思い出が急に鮮やかに戻ってきました夕立の多い夏に愛して別れた人です風さえあの日と同じようです通りすぎる小さな軒先風に揺られて小さな風鈴が遠い夢を呼びかすかに鳴りました夕立のあとの街はなぜか優し気なすがた心に悲しく響いてきます生きていれば季節は巡って夏があなたの思い出呼び覚まし過ぎたあの頃に戻ってゆきます(山上路夫)よさこい讃歌2023③「夕立のあとの街は」KAGURA
よさこい讃歌2023② 「吹き寄せられた 落ち葉の上で」 朝霞なるこ遊和会
朝霞なるこ遊和会(埼玉県朝霞市)木々はいまひっきりなしに葉を散らしている私たちもあのように払い落とすことができたら・・・悲しい思い出やときに胸をさす悔いを吹き寄せられた落ち葉の上では子供たちが明るく笑いそこだけは風も落ち葉も陽気に騒いでいる(高田敏子)よさこい讃歌2023②「吹き寄せられた落ち葉の上で」朝霞なるこ遊和会
よさこい讃歌2023① 「生まれてきて よかった」 天嵩~Amata~
今年はコロナ禍の鎮静に伴って「よさこい」も全面的に再開され、多くの場所でイベントが行われました。それで、今回は前年より多めにチーム紹介を行いたいと思ってます。「天嵩~amata~」(北海道千歳市)ぼくの価値きみにはきっと関係ないものぼくの価値きみが例えいようといなかろうと確定されているものきみが生きていることぼくには本当は関係がないことだこの時間を愛という言葉でごまかしてしまってはいけないわずかな嫌悪わずかな死んでしまうという気持ちそれを打ち消し合う視線きみがひとつの尊い命であるということをぼくは人間だから理解できたんだ生まれてきてよかった(最果タヒ)よさこい讃歌2023①「生まれてきてよかった」天嵩~Amata~
心ふるえる風景 イタリア編㉚ コロッセオの外壁からオレンジの光がこぼれ出す
「コロッセオが崩れる時ローマは滅びるローマが滅びるとき世界は滅亡する」起源80年に完成した円形闘技場はローマ帝国を代表する建築として2000年にわたってその雄大な姿で人々を魅了し続けてきたある晴れた日の夕刻コロッセオに向かうと雲一つない空を背景にライトアップが始まろうとしていた照明は建物の内側に設置されているためアーチの続く外壁から光が漏れ出してくる暗い青一色の世界にポツリポツリと暖かい灯があふれ出し堅牢な円から柔らかな微笑みが生まれ出るようなほのぼのとした空間が演出された2000年余の歳月を経た夜の入口巨大な建造物にもホッと一息をつく時が訪れるのかと思わせるオレンジ色の光だった心ふるえる風景イタリア編㉚コロッセオの外壁からオレンジの光がこぼれ出す
心ふるえる風景 イタリア編㉙ バロックの天才ベルニーニが造り出した 神秘体験の現場
天使が女性の胸を突き刺す何と凄惨な場面だでもこれは殺人事件ではない聖テレジアが夢に見たという聖書に記載された神秘体験をバロックの天才ベルニーニが彫刻で表現したものだ苦悩よりも喜びが勝るという奇跡の出来事を天才はこんな形で華麗に具体化してしまった颯爽と金の槍を振り下ろす天使まるで待っていたかのように受け止めて喜びに震える聖テレジア大理石から彫りだされた二人のきらめく姿はまぶしいほどの光を放ってそこに存在する凡人には理解不可能な出来事がベルニーニの手にかかれば至上の芸術に仕上がっててしまうそうした魔法のような出来事を目の前に体験出来るそれが悠久の歴史を重ねたローマという唯一無二の都が持つ底知れぬ魅力なのだろう心ふるえる風景イタリア編㉙バロックの天才ベルニーニが造り出した神秘体験の現場
心ふるえる風景 イタリア編㉘ ローマの大階段は 人が集い、語り合い、旅立つ基点になっている
ローマ中心部に高く広く大きな階段があるその空間にしばしば人は集う中段まで上って腰を下ろし歓談し合う若者たちザックを背中から降ろして一休みする旅行者のグループ落ち着いた雰囲気を漂わせて階段を踏みしめるカップルどこか優雅な目的地に向かうのか紳士らの乗った馬車がしゃんしゃんと鈴を鳴らしながら通り過ぎて行く様々な人たちがここに集い思い思いの印象を心に刻んでまた新たな場所へと旅立つ悠久の歴史を重ねたローマという場所ならではの大らかに開かれた空間の持つ魔力があらゆる世代を引き寄せるオーラとなってそこに漂っているからなのだろうか心ふるえる風景イタリア編㉘ローマの大階段は人が集い、語り合い、旅立つ基点になっている
心ふるえる風景 イタリア編㉗ 大聖堂屋上での聖人たちのおしゃべりが 聞こえてきたような・・・
サンピエトロ大聖堂の広場から上を見上げるともう夕焼け空が始まっていたわずかに残った青空を背景に雲たちはピンクに染まり夜の始まりを知らせているでもまだまだ活動を終えようとしない集団を見つけた大聖堂の屋根にたたずむ聖人たちだ「今日はイエス様の貴重なお話が聞けた良い一日だったなあ」「いやいやあんたは説教の最中に居眠りしてたじゃないか」「そんなことないよ目をつぶって瞑想していたんだよ」「でもこっくりしてたよ」「深くうなずいてただけだよそれよりあんたこそ聖書の下にアニメ本を隠して読んでたよね」「またまたあ・・・」シルエットになった聖人たちの体がリラックスしたポーズをとっている一日の終わりどんな聖人たちでもたわいのないおしゃべりをしながら過ごすひと時があると思わせる楽し気なボディアクションが屋上で展開されていた心ふるえる風景イタリア編㉗大聖堂屋上での聖人たちのおしゃべりが聞こえてきたような・・・
心ふるえる風景 イタリア編㉖ ローマの華麗な夕焼けを 勝利の女神が行く
永遠の都ローマそのもっとも重要な日キリスト誕生の当日燃えるような夕焼けが上空に広がった紅の空間を女神が行く二頭立ての馬車を率い大きく翼を広げて前方を見据えるのは勝利の女神ニケさえぎるものは何もない空は淡いイエローから次第に熱を帯びたオレンジに変わりさらに濃く炎の色彩を変化させながら馬車を包み込んで燃え上がる熱気の只中をひたすら前を向いて無心に走り抜けて行くその先で栄光の勝利の到着を待つ人は果たして誰なのだろうか心ふるえる風景イタリア編㉖ローマの華麗な夕焼けを勝利の女神が行く
心ふるえる風景 イタリア編㉕ サンピエトロ大聖堂前広場で 法王のクリスマスミサを聴いた
クリスマス当日サンピエトロ大聖堂に向かったこの日はローマ法王の特別ミサが大聖堂前の広場で行われる朝広場に着いたときはそれほどでもなかったがミサ開始30分前ころから続々と信者たちが集まってきたこの広場には最大40万人もが集合できる広さを持つというがそれに近い人々が続々と集まり身動きも出来ないくらいの超満員騎兵隊の行進などがスタートしいよいよ法王の登場だベネディクト16世が大聖堂のバルコニーに姿を見せると一斉に拍手が巻き起こった法王による世界各国の言葉でのクリスマスのメッセージが始まった最初はイタリア語の「BUONNATALE」ここから英語フランス語と続き日本語は40番目「クリスマスと正月おめでとうございます」とわかりやすい発音で日本語が広場に響いたまた法王は世界の情勢にも触れた「救い主の生まれた地に平和がも...心ふるえる風景イタリア編㉕サンピエトロ大聖堂前広場で法王のクリスマスミサを聴いた
心ふるえる風景 イタリア編㉔ イタリア中の教会の主祭壇に 赤ちゃんキリストが登場した特別な日
かつてはローマの玄関口だったポポロ門その入口にあるのがポポロ教会だカラヴァッジョの出世作となった作品を見に前日もここに足を運んだただもう1度見直したいと翌日の午前中に再度訪れたすると昨日と違ったことが起きていた聖母子の絵が飾られた教会の主祭壇その前方に置かれた椅子の上でゆりかごに入った赤ちゃんがにっこりと微笑んでいる祝福するように体をねじる2体の天使たち昨日はただポツンと椅子があるだけでその上は空っぽの状態だったそうこの日は12月25日キリストの誕生日だ両手を広げこの日を待ち焦がれたようにのびのびと新しい世界のスタートを全身で表現する赤子のキリストこの日はローマのいやイタリア中の教会で祭壇に用意された椅子やキリスト誕生の物語を模した工作物プレゼビオに赤ちゃんキリストが供えられた日だった何か貴重な贈り物をも...心ふるえる風景イタリア編㉔イタリア中の教会の主祭壇に赤ちゃんキリストが登場した特別な日
心ふるえる風景 イタリア編㉓ バチカン大聖堂の中央には バロックの天才が造り上げた驚異の造形物がそびえる
サンピエトロ大聖堂の中に入ったとにかくその大きさに圧倒される世界最大級の教会建築だ入口から最奥までの距離211m100m走のコースが2つも取れてしまう長さだもちろん高さも半端じゃないクーポラの高さは120m中央奥まで進んで上を見上げるそこに「バルダッキーニ」がそびえているねじねじの柱を持つ部屋のようなスペースは教皇の説教壇バロックの天才ベルニーニの造り上げたブロンズ天蓋が載っており天井には精霊のハトが飛んでいるのがわかるさらにその上方にあるのがミケランジェロ設計のクーポラだただならぬ緊張をも漂わせる躍動感見上げれば見上げるほどバロックの渦に飲み込まれそうになる少し首を下げて休息しなければならないほどのパンチを食らった日だった心ふるえる風景イタリア編㉓バチカン大聖堂の中央にはバロックの天才が造り上げた驚異の造形物がそびえる
心ふるえる風景 イタリア編㉒ 夕刻 バチカン大聖堂のクーポラに祈りの時が訪れる
バチカン市国・サンピエトロ大聖堂キリスト教の総本山である大聖堂が燃えているサンタンジェロ城の屋上に上った時時刻は午後6時を過ぎたころだった太陽は地平に隠れ残り香のような紅の灯かりが中空を一色に染めているその中心に悠然と存在する大聖堂のクーポラミケランジェロが設計した巨大な半円の姿が濃く深い赤の炎にすっぽりと包まれて今にも溶けて崩れ落ちそうにも見えるただただ息を殺して眺め続けた数分間その炎は次第に勢いを失って闇へと変化していった昼の大聖堂はその威光を誇るかのようにクーポラの突端を空に向けて突き出しているしかし一日の終わり近く失われて行く明るさに耐え切れずに祈りの姿をとる瞬間があることをさえぎるもののない間近の空間で見つめて初めて感じた晩秋の夕闇だった心ふるえる風景イタリア編㉒夕刻バチカン大聖堂のクーポラに祈りの時が訪れる
燃えるような日差しの下サンタンジェロ城に向かった城へ行くにはローマの歴史を見つめ続ける母なる川テヴェレ川を渡る架かる橋はサンタンジェロ橋だこの橋の手前までがイタリア・ローマ市橋を渡り切ればキリスト教の総本山サンピエトロ大聖堂のあるバチカン市国になる大聖堂が建設されて以来イタリアだけでなくキリスト教世界の無数の信者たちがその場所を目指して巡礼を続けてきた巡礼の最後がこの橋そこである洗礼の儀式が待っている橋には10体の天使が立ち並ぶただ並んでいるだけではなく彼らはそれぞれに特別なものを持っている茨の王冠ムチ聖衣槍そして十字架そのものキリストが十字架に架けられて刑死した時かかわった受難の品々だ信者たちはバチカンに入国するその場所で改めてキリストの受難を心に刻んでサンピエトロに向かうのだ澄み切った青空の下十字架を...心ふるえる風景イタリア編㉑
心ふるえる風景 イタリア編⑳ フィレンツェ中心部の広場に 絶世の美女が出現した
フィレンツェの市庁舎ヴェッキオ宮はかつて共和国の政庁だった当時のフィレンツェはミケランジェロやダ・ヴィンチなど名だたる天才たちが競って腕を振るいルネサンスの花を開花させた場所だその広場に夜出かけると大きなポスターが立てかけてあったよく見るとそれはシモネッタの肖像画彼女は当時を代表する美人として知られる1475年共和国の大イベントだった馬上槍試合が開催されメディチ家の当主の弟ジュリアーノが優勝すると彼にスミレの花冠を贈る役を担ってシモネッタが壇上に上がった当代随一の美男美女のカップルが晴れの舞台で実現国中の人々から永遠の恋人として賛美されたシモネッタはその翌年23歳の若さで病死したがボッティチェリは彼女の肖像画を何枚も描きその誇り高き美貌が後世まで語り伝えられることとなったたまたまある企画のために彼女の大き...心ふるえる風景イタリア編⑳フィレンツェ中心部の広場に絶世の美女が出現した
心ふるえる風景 イタリア編⑲ 若い女性の手元から 「ラファエロの聖母」が浮かび上がった
ウフィツィ美術館近くの道を歩いていると若い女性が路上に絵を描いていた手前に画集を開いて全く通行人の目も気にせず一心に手を動かし続ける見る見るうちに路上に聖母子の顔が浮かび上がったそうこの構図はラファエロの作品「大公の聖母」だ伏し目がちに物思いに沈む表情が思慮深さと慈愛を感じさせる見事ラファエロらしさの特徴も上手に捉えて素晴らしい思わずつたないイタリア語で女性に聴いてみた「絵の勉強をしているんですか?」「ええ美術学校に通っていますラファエロが好きなんですよ」外国からフィレンツェに留学して1年ようやく生活にも慣れてきてちょっとした腕試しで今日初めて路上絵に挑戦したのだという初々しい表情で語る彼女の顔が路上絵の聖母の口元とどこか似ていることに気づいた瞬間だった「心ふるえる風景イタリア編⑲若い女性の手元から「ラファエロの聖母」が浮かび上がった
心ふるえる風景 イタリア編⑱ フィレンツェ中心部の 静寂に包まれたトワイライトタイム
パラティーノ美術館見学を終えた後ヴェッキオ橋を渡って共和国広場に通じるサンタマリア通りに出た時はもう夜の佇まいになっていた前方に紺碧の空が広がり両側に建つ建築は照明に照らされて金色の衣をまとっているくっきりと色分けされた陸と空とのコントラストがヨーロッパの古都らしい悠然とした輝きとゆとりを感じさせる手前にはルネサンスの彫像愁いを秘めたかのような影に包まれて今にも闇に溶けかかるようだ時に若者たちの歓声が響くのを除けば夜のしじまは静けさが支配している今さっきまで眺めてきたラファエロの聖母子がこの空間にポッと現れて微笑んでもおかしくないくらいと思えるようなそれが秋も深まるフィレンツェ・チェントロの宵だ心ふるえる風景イタリア編⑱フィレンツェ中心部の静寂に包まれたトワイライトタイム
心ふるえる風景 イタリア編⑰ 美術館の真ん前で展開された 大道芸人パフォーマンス
フィレンツェのウフィツィ美術館はルネサンス美術の粋を一堂に会した殿堂だその前の広場ではしばしば大道芸のパフォーマンスが展開されるたまたま私が訪れた時はピエロに扮した芸人がショーを始めるところだった「さあ私と一緒にダンスをしてくれませんか?」中年のおじさんが進み出た「私でもいいかい?」「どうぞどうぞでも普段着のままじゃあ盛り上がりませんねえ」「ちょっと上着をめくって見て」おじさんがシャツをめくると芸人は持参していた絵具であっという間におじさんの腹に顔を描いてしまった「さあこれで我々は仲間コンビです一緒に踊りましょう!」おじさんもノリノリ即席のハチャメチャダンスが始まったこんな思いがけないバラエティショーが繰り広げられるのも底抜けに陽気なイタリアならではのことなんだろうなあ・・・心ふるえる風景イタリア編⑰美術館の真ん前で展開された大道芸人パフォーマンス
心ふるえる風景 イタリア編⑯ ジョットの鐘楼が路上に! スコールが創った奇跡の絵画
初秋のフィレンツェの午後突然の雨に見舞われたまるでスコールのように激しく地面をたたき周囲を濡らし尽くして1時間もしないうちにさっと止み後には真っ青な空が戻ってきた急きょカフェに飛び込んで雨上がりを待って外に出た中心街の石畳はすっかり濡れ切ってくぼみには水たまりも出来ているドゥオモ近くに来てふと足元を見るとそこにくっきりと塔が立っているジョットの鐘楼だ雨が創った水たまりが即席の鏡に変わり強い光を浴びた鐘楼をすっぽりとそこに映し込んでいる14世紀に完成した塔が21世紀の水面に突然よみがえった下部は鐘楼より長い年月を経た石畳に隠れた形だが頂上部とそれを取り巻く青空がくっきりと浮かんでいるさすがルネサンスの都ならではの自然が造り上げた奇跡の絵画だった心ふるえる風景イタリア編⑯ジョットの鐘楼が路上に!スコールが創った奇跡の絵画
心ふるえる風景 イタリア編⑮ フィレンツェ大聖堂の夜景を 独り占めした屋上テラス
11年前の春フィレンツェのドゥオモに最も近い場所にネット予約で宿をとった大聖堂からわずか約200m歩いて数分のロケーションだった勇んでホテルに到着部屋に入ると相当に古くて狭い4畳分あるかどうかのスペースにベッドが1つあるだけトイレ兼シャワー室はシャワーヘッドが固定されていて湯を出すと便器に直接落ちる角度でトイレがびしょびしょただ1つだけ利点があった6階建て屋上のテラスがドゥオモの正面にあり壮麗な大聖堂のクーポラジョットの鐘楼が何の障害もなく目の前に展開されていた夜ライトアップの時間屋上には大パノラマがあった106mのクーポラが雄大に半円を描き84mの鐘楼がすっきりと天に伸びる三色の大理石によって形成された大建築が微妙に変化しながら輝きを増しそれを晴れ渡った真っ青な夜空が包み込む何にも邪魔されず余計な雑音も...心ふるえる風景イタリア編⑮フィレンツェ大聖堂の夜景を独り占めした屋上テラス
心ふるえる風景 イタリア編⑭ 「ザクロの聖母」に描かれた登場人物に惚れ惚れする
ウフィツィ美術館に展示されている名画「ザクロの聖母」フィレンツェで人生の大半を過ごしたボッティチェリが残した何点もの聖母子像の中でも個人的に一番好きな作品だ天から降り注ぐ光を浴びて中央にたたずむ聖母マリアその表情はどこか愁いを帯びており抱く我が子キリストの悲劇的な未来の運命を暗示しているかのようにも思える物語の背景もさることながらそれよりもこの絵画の前に立って瞬間的に最初に感じたのが聖母子と天使たち登場人物みなの「超」のつく美形ぶりだった聖母マリアの隙のない美し顔立ち一点非の打ちどころのない美人顔だ赤子のキリストの目元パッチリぶり多くのキリスト像を見る機会があったがこれほどくっきりと立派に整ったハンサムキリストはお目にかかったことがない同時にマリアを取り囲む天使たちもすべてジャニーズ顔負けの美形揃い宗教画...心ふるえる風景イタリア編⑭「ザクロの聖母」に描かれた登場人物に惚れ惚れする
心ふるえる風景 イタリア編⑬ ボッティチェリの教会には 壮麗な輝きの主祭壇があった
フィレンツェ中心部からアルノ川に沿って600mほど下流に進むと右側にオンニサンティ教会が現れるふらりと中に入って圧倒されたのが鮮やかな主祭壇だ暗い堂内の祭壇部分だけに照明が当てられているそこにあるのはキリストが吊るされた十字架両側の天使に守られて中央に輝きクーポラには華やかな天井画が描かれている手前の大きな半円の仕切りが暗いままなので仕切り越しに見える鮮明に光を浴びた祭壇は巨大な絵画を見るような錯覚に襲われるこれまでいくつもの教会を見てきたがこの祭壇の美しさは特別なきらめきを放っていたここには歴史的にも重要なもう一つの「特別」があるフィレンツェルネサンスの重要人物天才画家ボッティチェリの墓が実はここにあるのだ彼が生まれ育ったのはこの教会のすぐ近く「ヴィーナスの誕生」を始めルネッサンス美術の宝といえる数々の...心ふるえる風景イタリア編⑬ボッティチェリの教会には壮麗な輝きの主祭壇があった
心ふるえる風景 イタリア編⑫ ミケランジェロ広場の夕 茜色に染まるダビデの姿があった
前回紹介したミケランジェロ広場だが実はある1つのサプライズに遭遇したことがここが好きになった大きな要因だったその日は冬には珍しく夕方にすっきりと晴れ上がったため喜んで広場行きのバスに乗ったいつもカメラを向ける広場展望台の角の場所で何枚か風景を撮った後一休みしようかと後ろを振り向いたとき目の前に夢のような情景が出現していたミケランジェロの最高傑作とされるダビデ像レプリカが広場に置かれているがその像が茜色に染まった地平近くの空間から浮かび上がり次第にグラデーションを経て清涼感あふれるブルーの空間に染みて行く姿がそこにあった旧約聖書に登場するダビデは大敵ゴリアテとの戦いに向かうため全身に闘志をみなぎらせている顔面の緊張はくっきりとしたシルエットの輪郭で強調されまさに英雄の姿そのものだ前方を見つめ微動だにしない若...心ふるえる風景イタリア編⑫ミケランジェロ広場の夕茜色に染まるダビデの姿があった
心ふるえる風景 イタリア編⑪ フィレンツェのスタートはミケランジェロ広場
フィレンツェを訪れるとほぼ毎回ミケランジェロ広場に上る街並みを見下ろす高台になっていて一目でルネサンス都市の全景が展望できるからだ朝霧の晴れた時間帯アルノ川からの清新な風が広場にいる私たちにまで涼を届けてくれる川を横断して架かるのがヴェッキオ橋ローマ時代から存在するというフィレンツェ最古の橋だ「ヴェッキオ」とはイタリア語で「古い」の意味でそのまま名は体を表している現在の橋は1345年の建造屋根付橋の両側には貴金属店が並びメディチ家の特別通路が存在しそれは今美術品の展示場所になっているという他に例のない稀有の橋が存在を誇示しているそんな橋を含めていくつもの橋が連なるパノラマの風景背後にはドゥオモを始めとしたルネサンス建築が並び天才たちの残した美術品が各所にあふれているダ・ヴィンチがラファエロがミケランジェロ...心ふるえる風景イタリア編⑪フィレンツェのスタートはミケランジェロ広場
心ふるえる風景 イタリア編⑩ 病魔克服の象徴として建立された 感謝の教会
サルーテ教会の主祭壇には迫力に満ちた彫像が置かれている中央に聖母子がすっくと立ち両脇には擬人法によって表現された2つの像向かって左聖母を尊敬のまなざしで見つめ祈りの姿をとるのはヴェネツィアそのものだそして右側厳しい追及に遭って必死で逃げ出そうとする老婆の姿これこそ当時ヴェネツィア全土に猛威を振るった病魔ペストの最期を生々しく表している17世紀半ばヴェネツィアではペストの蔓延のため当時の人口の3分の1が死亡したというそんな悪夢のような時期が過ぎようやくペストが収まった時感謝の印として建立されたのがサルーテ教会だった従ってこの教会はまさにペスト克服の象徴として存在している現在世界もここ数年新型コロナによって大変な苦しみを味わったが4世紀前の人類の病魔との闘いの印としてのこの教会が持つ意味を改めて考え直すきっか...心ふるえる風景イタリア編⑩病魔克服の象徴として建立された感謝の教会
心ふるえる風景 イタリア編⑨ サルーテ教会の背後で展開される 夕刻のドラマ
初めてヴェネツィアを訪れた時刻みつけられた強烈な印象はこの夕陽の風景だった海洋国家としての歴史と繁栄を重ね今や世界でも唯一無二の景観が知られるヴェネツィアそのランドマークの1つサルーテ教会の中空に突き出るバロックのクーポラを燃えたぎる炎の夕陽が包み込むそれも吹き過ぎる風が空の雲を絶妙に移動させて色彩も朱オレンジ赤茜様々に色調を変えながら変化し見るものに驚きの連鎖を提供し続けるそんな夕景に見とれているうちに気まぐれな太陽は彼方に沈み気が付くと周囲を夜のとばりが支配している何度も見つめ何度も堪能したはずなのにまたこの夕陽を見にヴェネツィアに来てしまう自分がいる心ふるえる風景イタリア編⑨サルーテ教会の背後で展開される夕刻のドラマ
心ふるえる風景 イタリア編⑧ 青い光に包まれた聖人像が、ヴェネツィアの通りに浮かび上がる
12月のヴェネツィア広場に通じる道路の中央にイルミネーションが吊り下げられた1つ1つが小さな地球のような球状でその球の外側を囲むように沢山の豆電球が取り付けられている点灯されると青い光を発した球が通りを華やかに彩ってくれるただ最近の日本のような派手なものではなくしみじみと通りを飾る・・・といったものだそんなクリスマス風景をカメラに収めようと撮影を始めた何枚か撮っているうちに通りの脇にある教会も含めて絵にしようと教会のファザードを飾る小さな聖人像にピントを合わせた思い切りズームしてシャッターを切る確かめてみるとイルミネーションはちりばめられた青い雪の粒のように聖人像をふんわりと包んでくれたまるで像がこれから天に昇ってゆく瞬間に出会えたと見間違うほどの清浄な雰囲気を感じられた時間だった心ふるえる風景イタリア編⑧青い光に包まれた聖人像が、ヴェネツィアの通りに浮かび上がる
心ふるえる風景 イタリア編⑦ こんなにも高く積み重なったカフェの椅子、人々の思い出
ある朝サンマルコ広場前の岸壁にこんなに高く椅子が積み上がっているのをみつけた椅子は広場にあるカフェ・フローリアンのものフローリアンの創業は1720年東方世界からもたらされた琥珀の飲み物コーヒーを提供し人々が憩い交流する場としてのカフェが誕生した以来300年にわたって集う人々に知識情報そして時には愛をもたらす場として機能してきた作曲家ワーグナー小説家スタンダール哲学者ニーチェ詩人ゲーテさらに私たち一般人もまたこの場所でこの椅子に座って貴重な時を紡いできたそして無数の人々の記憶の積み重ねは今や対岸にある教会の鐘楼のてっぺんをはるかに超える高さにまで達してしまった心ふるえる風景イタリア編⑦こんなにも高く積み重なったカフェの椅子、人々の思い出
心ふるえる風景 イタリア編⑥ 花々が咲き乱れる「楽園」の島サン・ミケーレ島 でも・・・
島に上陸して最初に目に入ったのは”お花畑”だった。緑の芝生を覆いつくすかのように花々が咲き乱れている何と晴れ晴れとした楽園の風景でも、少し近づくにつれその第一印象が全くの外れだったことに気づいた並んでいるのは墓そして咲いている花はすべて造花ここはヴェネツィアにある墓の島サン・ミケーレ島後に調べてみると19世紀に本島各地に散在していた墓を一斉にこの無人島に移住させて狭い土地の有効利用と疫病蔓延防止を図ったものだという主として住民の墓だがヴェネツィア好きでわざわざ遺言でこの地を選んだ大作曲家ストラヴィンスキーの墓もあった住民はゼロ造花なのでこの島は一年中花に埋もれている私が訪れたのは7月快晴の昼頭の中でこのあまりにも晴れやかな景色と墓の集合体という現実とがどうしても融合せずにしばし呆然としながら帰途に就いたこ...心ふるえる風景イタリア編⑥花々が咲き乱れる「楽園」の島サン・ミケーレ島でも・・・
心ふるえる風景 イタリア編⑤ 「旅情」に登場する運河に、芸術的絵画が描き出された
ヴェネツィアには至る所に運河があるカナルグランデのような大きな運河から路地裏を流れる名も無いような小さなものまで従って折に触れて運河を観察する時間が多くなるサンバルナバ広場に面した運河キャサリン・ヘップバーン主演の名作映画「旅情」にも登場した場所キャサリンが撮影に夢中になって落下し水浸しになった運河そこで出会ったのがこの震える家並みだちょうど太陽が運河沿いの家々を照らし運河の水が影になる時間帯は水面が即席の鏡に変身するそれも少しだけ風が渡って水面がわずかに揺れ動いたとき水に映った家々は鮮明な色彩のうえに微妙な震えが加わりその時限りの自在な変貌を遂げてしまう水が揺れすぎても全く動かなくても奇跡は起きない得も言われぬ絶妙な揺れこそがヴェネツィアの水面に自然のルネッサンス芸術を描き出してくれる心ふるえる風景イタリア編⑤「旅情」に登場する運河に、芸術的絵画が描き出された
心ふるえる風景 番外編 ブログのアクセス数が200万回を突破しました !
「心ふるえる風景」の連載中ですが、今回は番外編を挟ませてください。これまで続けてきた私のブログ「イタリアの誘惑」と「新イタリアの誘惑」の合計アクセス数が8月3日時点で200万回を突破しました。「イタリアの誘惑」が714767回、「新イタリアの誘惑」が1285879回で合計2000646回となりました。個人的な記録としてスタートしたブログなので、テーマも様々、読んでもらうための工夫も何もない内容ですが、少しは興味を持っていただけることもあったのか、と感謝する次第です。これからも色々なテーマで続けて行く予定ですので、よろしくお願いします。心ふるえる風景番外編ブログのアクセス数が200万回を突破しました!
心ふるえる風景 イタリア編④ 満月が 女神の姿を包み込む瞬間
早めの夕食を終えて軽いワインの酔いを醒まそうと散歩出かけたすると夜空がいつもより明るく輝いている見上げると月そうこの日は満月だったっけ急いでカメラを取り出し対岸のサンジョルジョ・マッジョーレ教会の鐘楼の手前に上ってきている月を狙うただ、いくら明るくとも夜は夜しかも教会までは結構な距離がある思い切って望遠レンズに付け替えたするとシャッターを切ればかなりのブレが生じる桟橋の杭に腕を巻き付けて極力動かないようにと注意してのシャッター何枚か撮っているうちに月はちょうど鐘楼てっぺんの女神像と重なる瞬間が来たとにかく1枚くらいは・・・悪戦苦闘の末どうにかあまりブレの目立たない1枚だけは確保できた今年亡くなった音楽家坂本龍一はガンで余命宣告を受けた後「ぼくはあと何回満月を見るだろう」と、つぶやいたという満月が生きること...心ふるえる風景イタリア編④満月が女神の姿を包み込む瞬間
心ふるえる風景 イタリア編③ ヴェネツィアの建築群の後方に白い連山が現れた
12月リド島のホテルに泊まった日の翌朝だったブリオッシュとブラッドオレンジの簡単な朝食を終えて本島に渡るためヴァポレットに乗り込んだ冬場には珍しいほどの快晴甲板に出て見え始めたサンマルコ広場の建築群に目を向けたと、その建築群の後方に何か白い塊が続いている何?一度瞬きしてから再度見直した確かにある蜃気楼でもなんでもないあれは遠くアルプス山脈につながる山々の雪に覆われた姿だ本島内ではビル群が邪魔をするリド島からの程よい距離から冬場の澄んだ空気の中で晴れた朝方の時間帯だけで見ることの出来るレアな雪山の風景ヴェネツィアの誇るルネサンス様式の建築群とヨーロッパの屋根であるアルプスにつながる白い自然の造形とが一体化して目の前に展開しているヴェネツィアには何度も訪れたがこのような光景に出会ったのはこの冬が初めてだった心ふるえる風景イタリア編③ヴェネツィアの建築群の後方に白い連山が現れた
宿から約20分広場に着いたとき深い青に支配されていたラグーナが金色に染まりはじめたああこの朝待っていた朝だ岸壁に腰を下ろして視点をリド島の遠景からすぐ手前のゴンドラに移す高く低く揺れ動く黒いゴンドラの舳先が朝日によって何層にも染め分けられたオレンジの空にくっきりと浮かび上がるそして弧のカーブに沿うように陽の円が見事にシンクロした瞬間があった何という鮮やかな色彩の妙アールの連鎖この光景に出会っただけでもうヴェネツィアの旅はかけがいのない宝物になった心ふるえる風景イタリア編②ゴンドラと寄り添う朝日
昼になるとあふれるほどの人で賑わうサンマルコ広場その空間を独り占めしたいとまだ夜明けの訪れを告げないしじまの中宿を抜け出して歩いてきた広場からドゥカーレ宮殿を通過してラグーナを見渡せる岸壁へ冬のヴェネツィアは津々と足元から寒さが忍び寄ってくるああ上空には三日月まもなく目覚めの時が来るリド島の方角東の空が白み始めた目の前のすべての空間を支配していた濃く深いブルーが少しずつ少しずつ柔らかい光に押し戻されて白とピンクの帯が支配域を広げ始めるマッジョーレ島の鐘楼がくっきりと明るいシルエットに彩られてヴェネツィアの朝が明けた*今回から新しいシリーズを始めます。これまで訪れてきた各地で、心に残る風景や場面に出会いました。そんな美しい瞬間を1枚の写真に凝縮し、そのときの思いを短めの文章でお伝えしようと企画したものです。...心ふるえる風景イタリア編①ヴェネツィアの夜明け
階段紀行・日本 会津若松・さざえ堂 江戸時代に完成した二重螺旋の階段。
会津若松・飯森山に不思議な堂がある。円通三匝堂(さんそうどう)=通称「さざえ堂」。国の重要文化財だ。高さ16mの堂は、見上げると斜めに傾いているようにも見える。入口に僧の像がある。1796年に当時の住職郁堂禅師が考案したそうだ。堂内は時計回りに上り1と4分の3周で最上階に着き、下りも1と4分の3周して入口に戻る。上るごとに棚のような厨子があるが、創建当時各所に設置された厨子の中に西国三十三観音像が祀られていた。つまり、この堂をお参りすることで三十三観音参りを済ませることが出来たわけだ。明治に入って神仏分離令が出されて、今像は除かれている。最上階まで到着する。無数の札が貼られている。ここが信仰の対象だったことがよくわかる。特に天井部分の札はおびただしい。下りに入る。階段は二重螺旋になっていて、上る人とすれ違...階段紀行・日本会津若松・さざえ堂江戸時代に完成した二重螺旋の階段。
階段紀行・日本 会津若松 白虎隊の墓がある飯森山の長い階段、鶴ヶ城の夜景
白虎隊の墓がある飯森山は、会津若松市の郊外にある。墓参りを思い立ち訪ねると、長い階段が待ち受けていた。数えなかったが100段は越えているだろう。ただ、隣にはエスカレーターがあるので、一安心。でも、エスカレーターの終点から、さらにまた階段。ちょうど訪れたのが桜の季節だったので、疲れも幾分か癒されることになった。このほか、次回に紹介するさざえ堂への近道階段も見つけた。飯森山から会津若松城、通称鶴ヶ城へも回った。この城内にあった階段は、江戸時代を思い起こさせるようないかにも歴史を積み重ねてきたという石段だった。ここでは夜、ライトアップされた城とさくらの競演を見ることが出来た。また、堀に映り込んだ桜の並木も印象深いものがあった。階段紀行・日本会津若松白虎隊の墓がある飯森山の長い階段、鶴ヶ城の夜景
階段紀行・日本 鬼怒川温泉の階段では、巨大な鬼が腕組みをしてにらんでいる
日光に行く手前の鬼怒川温泉駅から歩いて10分ほどの所に、鬼の像が描かれた階段アートがある。ここは、鬼怒川を渡る「ふれあい橋」に通じる階段で、鬼の像は実に50mもの巨大なものだ。少し近づいてみると、鬼は腕組みをして周囲をにらみつけるような形相をしている。この鬼は「鬼怒太」と名付けられていて、温泉のマスコットになっているようだ。駅前にも立ち姿の像が建っている。こうして見ると、ちょとユーモラスな感じもする。ただ、階段の縦の部分に描かれているので、真上から見ると何が描かれているのかはわからなくなってしまう。階段横の壁には、たくさんの壁画アートがある。大正ロマン風の着物姿の人たちが、思い思いの格好をしていて、傘や犬とたわむれる風景もみえる。ロマンチックといかめしさ、両方を兼ね備えたこの場所は、祭りなどイベントの会場...階段紀行・日本鬼怒川温泉の階段では、巨大な鬼が腕組みをしてにらんでいる
階段紀行・日本 日光東照宮 下 陽明門から坂下門を過ぎると、奥院に続く長い長い石段が待っている
陽明門は近年全面修理を終えて、金ピカに生まれ変わった。使われた金箔は24万枚。門全体に霊獣、聖人、子供たちなど508体の彫刻で埋め尽くされているという非常に珍しい門だ。これをつぶさに観察しようと思ったら一日かけても見終わらずに日が暮れてしまうということで「日暮しの門」と呼ばれている。陽明門を過ぎると、坂下門が見つかる。ここには左甚五郎作とされる「眠り猫」があることで有名だ。とても小さいので見逃さないようにご注意。そこをくぐるとすぐに直線の階段、奥宮への参道が始まる。これからは道も階段もすべて石だけで造られており、一枚一大きな石で構成されている。少し歩くと上り階段が見えてくる。これもかなり長い上りだ。奥院までずっと続く「石づくしの道」。ここの階段は合わせて207段あるらしい。一つ一つの段がそれぞれ1枚の岩を...階段紀行・日本日光東照宮下陽明門から坂下門を過ぎると、奥院に続く長い長い石段が待っている
階段紀行・日本 日光東照宮 上 苔むした歴史を刻む石段を踏みしめて世界遺産を歩く
東武日光駅前からバスで世界遺産日光東照宮の入口までやってきた。朱色の映える神橋の前から世界遺産のエリアに入る。石段を上り始める。普通の階段の横にいかにも古い石段がある。そちらを歩きだした。一段一段が石で出来ているのはもちろん、その段の両端にはゴロゴロした大きな自然石が並んでいる。いかにも歴史を刻んできた階段という風情だ。後で調べてみると、この階段は二荒山神社別宮の本宮神社の続く参道であることがわかった。一口に東照宮というが、この地域は輪王寺、二荒山の二社一寺で構成されていて、本宮神社はそのうちの二荒山神社の一部ということになるようだ。途中、本宮カフェという趣のあるカフェがあったが、歩き始めたばかりなので休憩はパス。上ってゆくと勝道上人像のある広場に到着した。ここから二社一寺の中心部になる。大きな鳥居への道...階段紀行・日本日光東照宮上苔むした歴史を刻む石段を踏みしめて世界遺産を歩く
川崎市宮前区にある市の給水塔に取り付けられた螺旋階段。結構高さがあり、作業時に使うためのもののようで、日常的に人の姿を見ることはない。ちょうど夕日になりかかる時間帯に通りかかると、タンクの反射光も合わせて拡大した形で光輝く様子が見て取れた。アップしてみると、うねるように曲がりながらカーブスする階段の変化が、芸術的とさえ思える。円筒に映る影によって、カーブする階段が2倍になったようにも見えて楽しさも倍増だ。給水塔のある場所はちょっと高台になっていて、遠くを眺めれば何と新宿の高層ビル街がはっきりと見通すことが出来る。隠れたビュースポットと言っても良い気がする。こちらのマンションに取り付けられた階段は、完全な円形螺旋。高さはないが、銀の手すりカバーが華やかささえ感じられる。下から仰ぎ見ると、円が大きく膨らんで迫...階段紀行・日本川崎の一風変わった螺旋階段2つ。
階段紀行・日本 川崎市・春待坂にあるイチョウ階段、住宅街のブーメラン階段
川崎市宮前区の鷺沼駅近くにある商店街の坂は春待坂と名付けられている。冬が過ぎて春が来ると、街路に植えられた桜が一斉に咲き誇り、住民に幸せを運んでくる。そんなところから名付けられたものと思われる。その坂を下ってゆくと、左側のビルに螺旋階段が見えてくる。建物の外側に付けられた階段。外階段には覆いがかけられて見えないことがよくあるが、ここはオフホワイトの鉄枠だけで囲まれているので、階段がよく見える。回転する部分がイチョウの葉のような形になり、光を浴びると白い色が映えて美しい。逆光になると、イチョウ部分のコントラストがさらに強調されて見えた。一方こちらは階段部分がそっくり丸見えになった形。ブーメランがいくつも縦に並んだような階段だ。夜の照明に照らされると、とても軽快な姿に見える。宮前区の住宅街にひっそりとたたずむ...階段紀行・日本川崎市・春待坂にあるイチョウ階段、住宅街のブーメラン階段
「ブログリーダー」を活用して、新イタリアの誘惑さんをフォローしませんか?
GOOblogでは約10年前からお世話になりましたが、サービス終了ということで新しいブログに引っ越すことになりました。永い間本当にお世話になりました。新しいブログは「はてなブログ」というところです。タイトルは「新イタリアの誘惑」で、現在と変わりません。まだ使用法も完全に理解しているわけではありませんが、とりあえず1回目をアップしました。アドレスは以下の通りです。glori69059osa.hatenablog.com今後ともよろしくお願いいたします。当ブログから新しいブログに移行しました
神田神保町にあるビアレストラン「ランチョン」。ここは1909年創業という地域でも指折りの老舗レストランだ。建物も創業時そのままとまではいかないもののクラシカルな雰囲気をそのまま残す落ち着いた風情を保っている。正面のドアを開けるとすぐ、木製の螺旋階段に出会う。客席は全て2階にあるため、すべての客はこの階段を経験することになる。幅はさほど広くはないが、決して狭すぎもしない。数段上がると螺旋状の折り返しとなり、踊り場の棚には人形や創業時の写真などが飾られていた。グリーンの手すりに触れながら2階に到着する。初めは、この階段ならさぞかしギシギシと音がするのかと思ったが、メンテナンスもしっかりとされているのかミシリともせずに上階に辿りついた。客席は意外に広く、私が訪れた夕方5時過ぎでも8分以上の席が埋まっており、それ...階段紀行・日本東京編㊳神保町の老舗レストラン「ランチョン」の渋い木製螺旋階段
お台場にある日本未来科学館は、科学技術の理解を深めるための拠点として2001年にオープンした施設だ。玄関ホールに入って最初に驚くのが、広い空間の上に大きな地球(ジオ・コスモス)が浮いていること。その表面には人工衛星が映し出す宇宙の雲の模様が、くっきりと投影されている。最初からワクワクさせる驚きに出会うという仕組みだ。階段は直線で上階に繋がる。すぐ横に並行してエスカレーターが設置されているが、階段マニアとしてはやはり階段を上って行こう。格段毎にブルーのカラーが付けられていて、入口で見上げると、その青いライトが上へ上へ奥へ奥へとどこまでも続き、ひょっとしてこの階段は建物を突き抜けて空へと昇って行くんじゃないかと錯覚を起こさせる雰囲気を持っている。それは宇宙科学の粋を集めたビルだから、という思い込みのせいかもし...階段紀行・日本東京㊲建物を突き抜けて空へと続きそうな日本科学未来館の階段
お台場のフジテレビビルは、建物の中央に球形の空間があることでも有名だが、その他ビル側面に大階段が設置されていることも、大きな特徴となっている。大階段は夜になると、七色の照明でライトアップされることは意外に知られていない。師走の夜、別の用事で出かけた時、その大階段が明るく光っているのに気づき、近づいてみた。階段は百段近くはありそうで、幅もかなり広い設計になっているが、その格段毎に違ったライトで彩色されているのが目についた、しかも数十秒ごとに配色が変化してゆく。初めは下の階の暗い紫から徐々に明るくだいだい色へと変わっていく。しばし眺めていると、次の時間帯は一番下が赤。そこから緑を経て最上階は白に近い明るさへと変化していった。そんなバラエティに富んだ照明の仕掛けは、とても楽しめる内容だった。“中居問題”でスポン...階段紀行・日本東京編㊱お台場の夜に目を惹くフジテレビの照明大階段
2025年11月に東京都京橋に、戸田建設の超高層ビルがオープンした。その1階にあるアートスペースに、階段アートとも言うべき作品が展示された。地上から発生した階段状の曲線が、巨大な吹き抜け空間に躍り上がり、くねくねと曲がり、交じり合い、天井付近で突然途切れる。いや、目に見えないどこかで、別次元の空間を飛び回っているのかもしれない。流れを追っている者の心の中に、新鮮なリズムを奏でているようにも見える。上階に昇って見下ろしてみると、透き通る階段の上を突然透明人間が走り降りてくるかも、とさえ思わせる軽快なカーブが地上にまで続いている。作者は東京芸大卒の芸術家持田敦子。タイトルは「steps」広い空間が提供されていることから、そのスペースを最大限に活用して伸び伸びと展開した階段アートはいつまで見ていても飽きない楽し...階段紀行・日本東京編㉟東京駅前の大都会新しい戸田ビルの1階で、奔放な階段アートが空間を飛んでいた
ヴィチェンツァの郊外にあるアンドレア・パッラーディオのもう一つの傑作建築を見に出かけたバスで約15分目的の「ラ・ロトンダ」は1567年に完成した別荘だ施主の名前を取ってヴィラ・アルメリコ・カプラとも呼ばれるロトンダとは円形のことを指す言葉なので丸い建物かと思っていたが見ると形は四角形ただ上方のドームの円さが目についた四辺はいずれも大階段に囲まれ6本のイオニア式列柱が並ぶ装飾は少ないが統一性と調和という点では他のパッラーディオ建築と共通する感じだ日差しの強い外から少し薄暗い内部空間に身を置くとすぐあれ!と驚くことがあった奥の部屋からドアを開いておしゃれな服を着た少女が顔を出し「こんにちは」と挨拶している目まいのような一瞬だったもう一度見直すとその少女は壁に描かれただまし絵だった少女だけではない半分開かれたド...心ふるえる風景北中部イタリア編⑨パッラーディオの別荘で出会った可愛い少女が実は!!!
ヴィチェンツァはイタリア北部パドヴァとヴェローナとの中間に位置する人口12万人の街ルネサンスの天才建築家アンドレア・パッラーディオの建築が街中に展開されておりこの街は「パッラーディオの街」として有名だその彼の最期の作品であるオリンピコ劇場を見に出かけた駅からパッラーディオ大通りを歩いて突き当りにその建物が見えてくる中に入って驚かされるのがその舞台だ正面に横に広がる大きな門が存在する門と言っても単なる仕切りではなく王宮の城壁を連想させる造りで各所に彫像が配置されるなど壮大な広がりを持っているさらに入口の奥には壮麗な建築群に挟まれた大通りが見通せ上空には空がのぞいているこの情景は古代エジプトに栄えたテーベの街が再現されたものだという観客席は階段座席になっており後方の柱の上には28体の彫像が並ぶ演劇が始まらなく...心ふるえる風景北中部イタリア編⑧ヴィチェンツァの劇的構成の劇場で素晴らしい音楽に包み込まれた
夕刻レストランを探して街を歩くうち大運河に突き当たった周辺はハプスブルク帝国女王マリア・テレジアの都市計画で整備された新古典主義の堂々とした建築が華麗に並んでいる通りを1つ裏に入ってよさげな店を見つけた注文したのはエビのフリット海辺の街だけあってエビはプリプリで最高白ワインもすっきりとした味で大満足だった店を出るともう街はすっかり夜の装い8時を過ぎたばかりなのに街を歩く人は少ない風が出てきた急に勢いを増してボタンをはずしていたコートが引きずられるよう気の早いクリスマスイルミネーションがバタバタと揺れ急速な気温の低下を感じるそういえば須賀敦子のエッセイにトリエステの季節風「ボーラ」のことが書いてあったっけ大運河のさざ波が一層激しさを加え係留してあるボートを左右に揺らし始めた突き当りにあるサンジョヴァンニ教会...心ふるえる風景北中部イタリア編⑦トリエステの夜季節風の前兆にコートが翻った
明るい陽光の降り注ぐ海岸から山側の通りに入った少し喉が渇いていたのでカフェに入って一休みすることにする確かここはラザレット・ヴェッキオ通り通りのどこかにウンベルト・サバの詩があるはずマスターに尋ねるとすぐに教えてくれた「隣の建物の壁だよ」「トリエステには閉ざされた悲しみの長い日々に自分を映してみる道があるラザレット・ヴェッキオという名の」ラザレット・ヴェッキオ「古い伝染病院通り」と名付けられた道だ以前の回にも触れたようにトリエステはローマ、ヴェネツィア、そしてオーストリアと様々な国の支配を受け続け決して主役にはなりえないままに歴史の変遷を重ねてきたそんな環境の中で生きてきた人々の思いを映し出すかのような道路名ここから海は見えないまた展望の拓ける高台も急な坂道の先にある少ない人通りの空間を一陣の風が吹き過ぎ...心ふるえる風景北中部イタリア編⑥トリエステは悲しみを意味するイタリア語を思い起こさせる
トリエステの街の中心はウニタ・デ・イタリア広場(イタリア統一広場)だアドリア海を背にして広場を見ると向かって左側に政庁舎とヴェルディ劇場右側に旧ロイドトリエステ館ロイド商会は世界的な海運会社の名称だそして中央にネオクラシック様式の市庁舎がドンと構えるただイタリアを歩いてきて他の都市と異なることに気づいたミラノヴェネツィアフィレンツェどの都市に行っても最大の広場は教会を中心に造られていたなのにトリエステ最大の広場には教会がなく代わりに海運会社ビルがある港湾都市として発達した歴史を物語る何よりの証拠のように思われるこの広場が異彩を放つのは夜だ市庁舎を中心に設置された照明装置が一斉に点火されると周囲は異世界の光景に変容する建物に放たれる光は下から上に向かって照射され浮遊感に溢れる姿が浮かび上がり手前側の車止め石...心ふるえる風景北中部イタリア編⑤トリエステ中央広場の夜は独特な異世界の光景が展開される
トリエステにはゆかりのある偉人の像が何気なく道路上に置かれている大運河に架かる赤い橋(ポンテロッソ)の途中にはジェームス・ジョイスが立っているぼうしを斜めにかぶったちょっと粋な姿の彼は長編小説「ユリシーズ」で世界的に知られる彼はアイルランド出身だが1904年から1915年までトリエステに英語教師として滞在していたこの地をこよなく愛しており像の下の碑文には「わが魂はトリエステに在り」と刻まれていた運河近くダンテ通りの路上にステッキをついて散歩中の紳士像があるイタリア現代の代表的詩人であるウンベルト・サバ彼は1919年トリエステで中古書店「古今書店」を購入しこの地で晩年を過ごした碑文には「岩の多い山ときらめく海に挟まれた美しい街があった」とトリエステを表現した文章が残されているサバを敬愛しイタリアに関する多く...心ふるえる風景北中部編④トリエステの街ではあちこちで散歩する偉人たちに出会う
現在イタリア北中部の風景を連載中ですが、期間限定の階段を見つけたので一回だけ「階段紀行」を挟みます。今週、ⅯⅬBの開幕戦ドジャーズ対カブスの試合が東京ドームで開催された。チケットは取れなかったが雰囲気だけでも、とドームに行ってみた。東京ドームにはジャイアンツの偉大な選手の功績を顕彰する2つの階段がある。対象はもちろん王、長嶋の2選手だ。場所は22番ゲート。その一塁側階段が「王ゲート」、三塁側階段が「長嶋ゲート」と命名され、階段上方に月桂樹が施され、壁面にはそれぞれの全身像があしらわれている。その階段が3月18,19の両日、特別な変身を見せた。大リーグ仕様に変化したのだ。「王ゲート」の階段にはシカゴカブスの文字が入り、球団ロゴも加えられた。一方「長嶋ゲート」はドジャーズの文字と球団ロゴ。どちらもチームカラー...階段紀行・日本東京編㉞大リーグ開幕試合に特別仕様が施された東京ドーム「王・長嶋ゲート」の階段
見上げると陽が傾き始めていたアドリア海に沈みゆく太陽に埠頭に集う人たちも次第に会話を止め沈黙の中でじっとその行方をみつめ続けている次第に夕陽が世界を赤く染めて行く空を海を街を潮騒のリズムに合わせてきらめく光の粒が明るいオレンジから暗赤色へと変化を続けているまばゆさというより吸い込まれてしまいそうな深みを伴う朱色そんな光を埠頭で見つめていた髪の長い女性がふと立ち上がったすらりと伸びた体が濃く彩られた光の中でシルエットとなり時が止まったこれまで見たこともなかった劇的な一瞬哀しいまでに美しい光の変化を見続けて育つ人は心に何を宿すのだろうか日没後埠頭から人影が消え闇の世界に閉ざされて行く様子をポツンと一人見つめ続けている自分に気づいた時世界はすっかり冬の寒さに支配されてしまっていた心ふるえる風景北中部イタリア編③アドリア海の夕陽の中で髪の長い女性のシルエットが時を止めた
アドリア海の広がる埠頭に向かった海に突き出るように設定された埠頭はモーロ・アウダージェ(勇者の埠頭)と名付けられているその突端で釣り糸を垂れていた老人に旅の途中と思しき若い女性が話しかけた「この海の向こうに見えるのはどこですか?」「向こうかい向こうもイタリアさ」そうトリエステはイタリア海を挟んだ向こう側もイタリアトリエステはイタリア最東部イタリア半島ではなくヨーロッパ大陸に位置しているイタリア半島をアドリア海を挟んで向こう側に眺めることの出来るイタリア唯一の都市なのだこうした地理的特徴は歴史を振り返るとトリエステの独自性につながるハプスブルク帝国時代栄華を誇った同帝国の弱点は内陸国で海への拠点を持たないことだったそれが帝国への帰属によってトリエステは軍事的経済的な発展を担う重要港湾都市の役割が与えられただ...心ふるえる風景北中部イタリア編②トリエステの埠頭で旅の女性が尋ねた「海の向こうは何処?」
今回からはイタリアに戻って「トリエステ」を訪ねますヴェネツィアから電車に乗ってトリエステに到着したここはスロベニアやクロアチアと接した国境の街11月の末という季節なのに珍しく気候に恵まれコートを脱いで駅舎から通りに歩き出した駅前のリベルタ広場で最初に出会ったのは多くの従者に囲まれて立つ女性の像だった正面に廻ってみると何と彼女はエリザベートオーストリア・ハプスブルク帝国の王女だったそこで思い出したここトリエステがイタリアに復帰したのは第二次世界大戦の後の20世紀従ってオーストリアの文化風習が未だに色濃く残っているのかもしれないそんな目で見てみるとイタリアにしてはちょっと異質な面が浮かび上がる街歩きの準備のため最初に入ったカフェはアールヌーヴォー風な内装が施されコーヒーもカプチーノだけではなくちゃんとウインナ...心ふるえる風景北中部イタリア編「イタリアじゃないイタリア」の北の街トリエステ
滞在していたホテルの近場にモネの代表作「サンラザール駅」を橋の上から見下ろせる場所があると聞いて出かけたクリシー広場からペテルスブルク通りを南下して行くとトゥリン通りクラペロン通りモスクワ通りという3つの通りが一か所で交差する大きな交差点に差し掛かった台形状の2つの大きなビルの先端がこちらに向いてその2つのビルによって道路が放射状に分かれた形になった風景が目の前に現れた「あれそうだこの風景はカイユボットが描いた絵にそっくりじゃないか」慌ててスマホでその絵を呼び出すとまさに絵とほぼ同じ構図の作品がそこにあった正式タイトルは「パリの通り雨」(ヨーロッパ橋)カイユボットは19世紀印象派グループの画家上流階級の子息で自らも作品を世に出すとともにドガルノワールモネらと交流し彼等の作品を買い上げて資金援助も惜しまなか...心ふるえる風景パリ編㊽名作の現場を訪ねて別の名作の場面に遭遇二十歳の興奮が蘇った
サクレクール聖堂を見学した後マネの遺作ともいうべき作品の舞台となったフォリー・ベルジェール劇場に向かった初めてのルートだったので何度も地図を見ながら進む9区に入って北東から南西に伸びるラファイエット通りを歩き東西に続くオスマン大通りとの交差点に達した少し行き過ぎたかもと後ろを振り向いた時意外な光景が目に入った手前にある教会に後方にそびえるサクレクール聖堂がすっぽりと乗っかったように重なっている言ってみれば奇跡的な2つの教会のドッキングが実現していたのだ手前の教会はノートルダム・ド・ロレット教会ここは印象派の画家たちにとって忘れがたい教会だドガの両親が結婚式を挙げた場所でありモネが洗礼を受けたところでもあるさらにカイユボットの葬儀もここで行われドラクロワもすぐ近くに住んでいたサクレクール聖堂はパリ北部を見上...心ふるえる風景パリ編㊼パリの重要な2つの教会がドッキングする奇蹟的な場所を見つけた
サクレクール聖堂モンマルトルの丘にそびえる高さ83mの教会は青空を背景にパリの市街を睥睨するかのように純白の雄姿を誇っているエッフェル塔やオペラ座などパリ中心部にある建築物とは一味違って3本の円形尖塔を持つビザンチン様式の建物は温かい雰囲気で人を迎え入れてくれる気がするそれはモンマルトルという地区が高き志を抱いてパリを目指した異国からの若者たちが修業し語り合い花開いて世界に飛び出した場所であるという事実と重ね合わせてしまうからかもしれない実際イタリアからモディリアニロシアからシャガールオランダからゴッホなど多くの若者がこの地で青春の血を燃やしたまた地元フランスでもルノワールロートレックユトリロらもここから羽ばたいた近世パリの芸術文化の大きな基点となったモンマルトルその地のシンボル的な建築がサクレクール聖堂...心ふるえる風景パリ編㊻モンマルトルに住んだゴッホもロートレックもなぜあのサクレクール聖堂を描かなかったのか
大聖堂のあるシテ島は紀元前200年ころにケルト民族パリシイ人が集落を築いたパリ発祥の地として今も多くの観光客が集う場所となっているだが隣に位置するサンルイ島についてはあまり語られることが少ないそのサンルイ島に一つの悲しい物語を訪ねて訪れた繊細で印象深い作品を残した女流彫刻家カミーユ・クローデルの物語だカミーユは若くしてその才能を当時の彫刻界第一人者ロダンに認められ彼に師事したまもなく二人は相思相愛の仲となり同棲生活をスタートさせたしかしロダンには既に実質的な妻(ローズ・ブーレ)が存在していた劇場型のカミーユにとって自分一人だけを愛してくれない優柔不断のロダンは許せないものに映った次第に心を病みロダンの元を去って引きこもったのがサンルイ島のアパルトマンだった彼女の心は張り裂けたままアパート内で作品を制作して...心ふるえる風景パリ編㊺サンルイ島に激情の女流彫刻家カミーユ・クローデルの足跡をたどる
右手と左手がそっと組み合わされている離れもせずきつくもなく肌のぬくもりがかすかに伝わるかもといったほんのわずかな接触だけで留まっているこの手は一人の手ではないよく見ると大きさが異なっているたぶん一人の男の右手と一人の女の左手二人がお互いの一方の手を差し出して出来上がった形だその形は何を意味するのだろうか彫刻の作者はオーギュスト・ロダン彼が名付けたタイトルは「カテドラル」(=大聖堂)そうこの二つの手が一つになって出来上がったテーマは「祈り」だ大聖堂(カテドラル)の存在は人が為そうとしても成し遂げえない目的望み思いもかけずに陥ってしまった過ちや苦悩そんな人生の節々にたたずむ場所としてあるのかもしれないなら自分にとって祈りとは何なのだろうかロダンが具象化したこの作品が意味するものを見出せないままにロダン美術館の...心ふるえる風景パリ編㊹男女の右手と左手「祈り」に通ずるロダンの作品に出会った
島歩きの遅い午後ホテルに帰る途中前を歩く少年を見つけたユニフォーム姿大きな荷物を背負ってでも軽快に歩いて行く1時間ほど前グラウンドで見かけたサッカー少年団の1人だろうかかなり激しいトレーニングの最中でみんな真剣にボールを追いかける姿が印象的だったが今見掛ける少年は打って変わって全身から開放感が漂っているやり終えた練習をクリアーして近づく試合でのシュートシーンをシミュレーションしているのだろうか家ではマンマ自慢のパスタが湯気を立てながら少年の帰りを待っているのに違いないそんな空想をしながら歩いて行くと周囲の台所からトマトソースの温かい香りが漂ってきた心ふるえる風景南イタリア編⑨島で見かけたサッカー少年の温かい後ろ姿
プロチダ島は猫たちの天国だ浜を歩くとどちらからともなく猫たちが現れじゃれ合って遊んだりあるいは寝そべって日向ぼっこそんな光景が日常的に見られる猫たちは珍しくも姿を見せた東洋人を興味深そうに観察していて逃げる様子など全くなかったこの島は漁業の島だけに彼らにとってエサの心配は皆無朝漁から引き上げてきた漁民たちは普通にこの猫たちに小魚などを与えているし彼らを呼ぶときも「nostrogatto」(私たちの猫)と呼んでいた島民みんなで慈しんでいることが自然に伝わってきたつまりこの猫たちは野良猫でもなければ「Aさんの」とか「Bさんの」とかではなくて「島民みんなの」共通の猫たちなんだということを日々の生活の中で学ばせてもらった心ふるえる風景南イタリア編⑧プロチダ島は猫たちの天国だった
プロチダ島の北端に立つとイタリア半島・ナポリの街が見えるさらにヴェスヴィオ火山の雄大な姿が浮かび上がるこの火山は起源79年に未曽有のの大噴火を起こしポンペイの街を火山灰で地中に埋め尽くしたそんな山の頂上付近に太陽が沈んで行く空に広がる薄い雲で全体がヴェールに包まれたような風景だ手前を航行する船の姿を眺めながら街で買ったサンドイッチをかじっていると徐々に山を含む景色が一層霞の中に隠れはじめ夕陽は濃いオレンジの球となって存在感を高めだした「この瞬間は私の時間」主役となった太陽がそう宣言するかのように輝き数分後には悠然と山頂に姿を没していったそれは世界が静寂という言葉に支配された時間だった心ふるえる風景南イタリア編⑦地中海の島で見た夕暮れ時は静寂が支配していた
この小さな島に連泊しているといつしか島の子供たちとも顔見知りになる初めはそっと遠くから見ていたのが2日目にはもう話しかけてきた「どこから来たの?」「何してるの?」「ニッポンてどんなとこ?」カメラを担いで歩いているとリクエストが始まった「私たちも撮ってよ」そしてシャッターを切る瞬間さっとポーズをとってくれた明るく元気で限りなくおちゃめな天使たち彼女たちのおかげで絶品のパスタを出す店を知ることが出来たし小さく美しいマリア像のある教会を見つけることも出来たあれからもうだいぶ歳月が過ぎた彼女たちはすっかり健やかに成長し今頃は元気いっぱいの青春を謳歌していることだろう心ふるえる風景南イタリア編⑥島ではおちゃめな天使たちに出会った
パブロという名前の付いた世界的に著名な3人がいる独創の世界を創造した天才芸術家パブロ・ピカソ鳥の歌が心に染みるチェロ奏者パブロ・カザルスそしてノーベル文学賞の詩人パブロ・ネルーダネルーダは故国チリでの政治的迫害を受けてイタリアに亡命したがその時代をテーマにした映画が製作されている「イル・ポスティーノ」(郵便配達夫)のロケはこのプロチダ島で行われたネルーダの滞在先として選ばれたのが画面中央の黄色い家だった地元の青年が郵便局に就職し配達夫になったが小さな村だけに郵便の届け先はほぼ亡命中のネルーダ宛ばかり毎日ここに通ううちに詩人との交流が芽生え次第に文学に目覚めて行くというストーリーだった温暖な気候涼やかな海風の浜辺で交わされる会話と交流の様はまさにプロチダ島ならではの心温まる情景だった主役の配達夫を務めたマッ...心ふるえる風景南イタリア編⑤「イル・ポスティーノ」のロケはここプロチダ島で行われた
プロチダ島の街を歩いていて通りに聖母像がかかっているのを見かけた交差点の建物の壁で少し影になっている場所哀しみを湛えた聖母の表情はとても印象的だった思い起こすと街角の聖母像はあちこちで見つけたフィレンツェでもヴェネツィアでも「マドンナ・デッラ・ストラーダ」街角の聖母と呼ばれるほとんどは赤児のキリストを抱く聖母の姿とても柔和な表情の聖母像が多かったただこの島の絵に描かれたのは十字架に架けられて昇天した後のキリストの遺体を抱える聖母像だルネサンス芸術の主役として脚光を浴びたフィレンツェやアドリア海の女王として君臨したヴェネツィアではなく歴史の表舞台に登場したこともない小さな孤島そんな場所だかろこそ街頭の像も陰影を含んだ構図の絵が掲げられているのだろうか余計な推量を巡らせていた未熟な異邦人に地元の古老が笑顔で話...心ふるえる風景南イタリア編④プロチダ島で「巡礼者の聖母」に出会う
島歩きの途中ナポリ便の発着地・コリチェッラ港近くの広場から軽快な音楽が聞こえてきた近づいてみると島の中学生たちが村祭りの一環として演奏を始めるところだった白い制服に身を包んで明るく演奏する姿はとても楽しい光景ですごく上手とは言えないまでも聴く側をもわくわくさせる聞き入りながら聴衆の列を見回すとちょうど私の向かい側に若い女性たちの姿が見えた満面の笑顔それも心からの親しみを込めた涼やかで一点の曇りもない表情聞くとこの中学のOGなんだという後輩たちの元気いっぱいの演奏を慈しみの気持ちを含みながら見守る様子がまるで午前中に訪れた教会で祭壇に飾ってあった天使の絵のように素敵な輝きを放っているように思えたひと時だった心ふるえる風景南イタリア編③中学生たちの演奏をOGたちは笑顔と拍手で見守った
プロチダ島のホテルは眼下に海の広がる高台の部屋だ朝から外を見ていると地中海の海は”青い”とうなってしまう特に晴れた日の午後は何艘ものボートが浮かび陽光に照らされた船体が白く輝くのを見るとその対照として周囲に広がる水面はどこまでも透き通るかのような明るさで際立つボートが速力を上げて波しぶきを立てると跳ね上げて形成した航跡を鮮やかに示して見せた後ほんの数十秒後には一層の青さをもって水面を鮮烈なブルーに変貌させてしまうそれも平穏を保っていた先ほどまでのブルーではなく「アズール」とでも表現されるような濃厚の色合いを演出してみせる時に優しく時に激しく何者にも制限されない自由奔放さで海は「青のダンス」を展開していく心ふるえる風景南イタリア編②地中海の海が華やかに「青」のダンスを繰り広げる
ある日書店の店頭で旅行雑誌を立ち読みしていたら目の覚めるような風景に出会った地中海に浮かぶ小さな島その全景が高い視点から捉えられた写真だった「ああこんな島があるなんて一度自らの眼でみてみたい」それからこの未知の島を調べ始めた島の名前は「プロチダ島」でも一般の観光雑誌やガイドブックには名前さえ掲載されていないそれで図書館や大型書店の検索などを巡ってようく場所を確定することが出来た島へのアプローチはナポリからそこまでいけば定期便があるらしいこれだけの情報を手掛かりにゴールデンウイークにナポリへ飛んだナポリから船で1時間抜けるような陽光に迎えられて到着したプロチダ高台のホテルから眼下に地中海が広がる濃いブルーの蛍光塗料をぶちまけたようなきらめく輝きに満たされているさてあの雑誌で見かけた航空写真のような景色はどこ...心ふるえる風景南イタリア編①プロチダ島ゴールデンウイークに憧れの島に到着した
ミラノを離れる前もう一度大聖堂に来た正面には5つの扉口があるがその中央扉にある見事な彫刻をもう1度見たくなったせいだここにはキリストの母つまり聖母マリアの生涯が作品となって残されている最も印象的だったのが「聖母被昇天」の彫刻中央に立つ聖母は上空を仰ぎ天国で待つ息子の元へと向かう決断をキリリとした表情に示しているその聖母を囲むのは天使たち集団でマリアを支え天空への旅立ちの準備を整えているこれは聖母の生涯の最終盤に当たるシーンだ一方スタートとなるのは「受胎告知」大天使ガブリエルが聖母の前に現れ聖なる子(キリスト)を身ごもったことを告げる場面だ立ち尽くすマリアは思いもかけない宣告に戸惑う波乱万丈の生涯が正面の大扉に描かれているのはこの大聖堂が聖母マリアに捧げられていることを象徴しているところでこの彫刻群の中に1...心ふるえる風景イタリア編㊺ミラノ大聖堂の正面に残る聖書と戦争の意外な遭遇
腕を組み顎に手を当てそれぞれに厳しい表情のまま何かを思っている衣をまといあるいは半裸の姿でいずれも深い思索の溝にはまり込んでいるかのようだスカラ座のあるスカラ広場から東に延びる小道人通りの途切れる場所に不思議な像の建物がある巨人の像がずらりと並びあたかも通行人をにらんでいるかのような光景が目に飛び込む「オメノーニの家」と呼ばれている像は全部で八体この場所だけは異様な雰囲気で満たされる建物は16世紀の彫刻家レオーネ・レオーニの住宅だったところレオーネは当時ミラノを統治していたスペイン王フェリペ2世の宮廷彫刻家だったなのでこの像もレオーネ作だと思ったら実はアントニオ・アボンディオの作品だという像はどれも実在した哲学者らしいがなぜこのように建物の前面に据えられたのか今では華やかなミラノの街の中心部にどうしてこの...心ふるえる風景イタリア編㊹ミラノの中心街に突如現れる「哲学する巨人」の群れ
ミラノ中央駅はここに到着する電車すべてが終点となる終着駅の形式をとっているローマやヴェネツィアなどイタリア国内の主要駅も同様だ24番線までありホームは大きなドーム型の屋根で終われるリバティ様式とアールデコ様式の混合した鋼鉄のドームはムッソリーニ時代に完成したものだ半円形の空間には毎日人々がこの地に到着しまたこの地から旅立ってゆくそれが日常の人だけではない人生の大きな分岐点となる人も含まれる駅はドラマの出発点でありまた終着点でもある全長341m66000㎡の駅構内で出会いと別れの感慨が日々繰り返されそんな悲喜こもごもの思いを飲み込みながらミラノ中央駅はいつしか歴史を紡ぎ続けて行く心ふるえる風景イタリア編㊸ミラノ中央駅で人々は出会い、また別れる
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアを通りすぎるとスカラ座のあるスカラ広場に出るここにはレオナルド・ダ・ヴィンチの像が建っている言うまでもなく15世紀ルネサンスを代表する天才だ彼は1482年から1499年までミラノに滞在しあの壁画「最後の晩餐」を完成させた芸術はもちろん科学技術にも才能を発揮した人らしくピエトロ・マグニ作の肖像は深い思索にいる哲学的な表情に表現されているやっぱりなあ・・・うなずきながら回廊の別の側に出たとたん全く異次元の像にぶつかった巨大でふくよかな女性像がドーンと現れた重量感あふれる肢体を誇るように微笑むのは「マドンナ像」南米コロンビアの代表的な芸術家フェルナンド・ボテロの作品だ短期間の特別展示だったが思索にふけるルネサンスの偉人像から19世紀の華やかでスマートなガレリアを通り抜けて現...心ふるえる風景イタリア編㊷ルネサンスから現代へミラノの街は常に驚きを提供する
ミラノ大聖堂の横にひときわ目立つ屋根付き回廊があるヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアイタリアの初代統一国王の名を冠した回廊は19世紀後半に完成した産業革命がもたらした当時の最新技術ガラスのアーチと鉄の屋根を持つアーケードだ中央十字路部分直径38mのガラス製ドームから外光が注ぎ込むスマートな回廊天井にはフレスコ画床にはモザイク画も施されているさらに夜照明が灯されると内部は黄金色に彩られ宝石箱の中にいるような気分を味わえる通りにはプラダ本店を始めとして一流ブランドの店がその美を競うようにして並ぶがブランド店の看板はすべて金と黒だけを使った装飾で統一されており一層黄金のきらめきが際立つそんな通りの中でルイ・ヴィトンのショウウインドウで実に意外な女性像が目に止まった中央に飾られたバッグには何とレオナルドの代表...心ふるえる風景イタリア編㊶ミラノの中心黄金の回廊に「モナ・リザ」が出現した
ミラノ大聖堂の天井まで昇った高さ100mを越す高さだけに見晴らしは満点だローマ・サンピエトロ大聖堂に次ぐ世界的な大聖堂をというミラノ領主ビスコンティ家の壮大な夢で始められた建築屋根の中央に通路がありそこを歩きながら左右を見渡す南側にはモード・ファッションの街であるとともに先進的な建築物が並ぶ現代イタリアの姿が広がる一方北側には緑豊かな湖水地方の自然に加えてスイスから北方ヨーロッパに続く雄大なアルプスの山並みを見渡せるそんな風景を見つめるのは我々人間だけではないのに気付いた屋根の両側にずらりと尖塔が並びそのすべての塔の先にキリスト教の歴史を紡いできた幾多の聖人像が取り付けられていたのだその数実に136体聖人たちはこうしてミラノ市民イタリア国民の安寧と繁栄のために常に眼下の人々の暮らしを見守り支えるという役割...心ふるえる風景イタリア編㊵大聖堂の屋上では136の聖人が街を見守り続けている
あの壮大な建築物のてっぺんに昇ってみたい!初めてミラノのドゥオモの前に立った時胸の内にふつふつと沸き上がるものを感じたとにかく大きい全長158m高さ108mのゴシック大聖堂穏やかな木造建築の中で育った者にとっては異次元の構造物だった聴いてみると屋上に昇ることが出来るしかもエレベーターまでついているというなら昇らない手はない早速エレベーターの列に並んだエレベーターの終点から屋上までまだもう少しいくつかの階段を上る途中想像外の光景が目に飛び込んだ建築構造の各所に立ち並ぶ石細工の群れがすごい階段壁面の至る所に丁寧な装飾が隅々まで施されている立ち止まって眺めているうちにある意味突飛な連想に取りつかれた「これはまるで絹織物のようだ」「それとも剛と柔の綾なすタペストリー」14世紀に始まり幾度もの中断を経て19世紀にや...心ふるえる風景イタリア編㊴あの豪快なミラノ大聖堂は実は繊細な装飾細工で覆われていた
六甲アイランドセンター駅から、まるで宇宙基地かのような半円の建物が目に飛び込む。神戸ファッション美術館だ。ファッションをテーマとした公立では日本初の美術館となっている。そこへの大階段が、スペイン階段と呼ばれる正面階段だ。中央には太い柱が並んでいて、周囲にはウッドデッキが取り付けられている。通称の由来は、ローマのスペイン階段に似ているからなのか、バルセロナのグエル公園にある階段風のせいなのかどちらかだろう。中段を見ると、段の部分にカラータイルのでデザインされたものがある。向かって右側には、赤い縁の中に青のギザギザが配色され、その四角タイルが集まって大きくひし形を構成する。左側には、黄と青によって同様にひし形が形成されてコントラストをつけている。階段全体の長さはちょうど普通の建物の3階くらいの高さまで達してい...階段紀行・西日本神戸編”宇宙基地”(?)につながるスペイン大階段
神戸市の六甲ライナーで埋め立て地の終点マリンパーク駅に着いた。駅は高架の上にあるので、階段で街に降りることになるが、その階段が見事に大きな螺旋を描いたものになっていた。駅の先はもう海。さわやかな海風を感じながら階段を降りる。螺旋状になっているので、自然と街をぐるりと眺めながらの歩行となる。その螺旋も単純な円ではなく楕円状になっており、ゆっくりと周囲を見回す時間が与えられるという感じだ。白い側面、手すりの鉄とハードな色使いで構成されている。空の青と絶妙なコントラストを見せていた。この駅は神戸国際大や高校もあって、学生たちの姿が目立つ若者の街といった場所。それだけにこんな硬質な階段も違和感なく存在しているように見える。帰りがけ、ちょうど大学の授業終了時間とぶつかってしまい、学生がどっと駅に押し寄せ超満員となっ...階段紀行・西日本神戸編マリンパーク駅の階段は、硬質ですっきりと白い螺旋階段
正面入り口が大階段になっているという画期的な構成でびっくり。ここは神戸市の中心部・旧居留地にある子供向けファッションストア「ファミリア神戸本店」。ゆったりとした階段では、子熊(?)のようなファミちゃんがお出迎え。それも、よく見ると壇の上になるほど少しずつ成長した姿になっているのに気づく。また、あちこちにファッショナブルな子供服が樹木に生えているように吊り下げられている。階段の色は淡いベージュ、柱や脇の手すり白で統一されているだけに、服のカラフルさが際立つ。買い物客たちはこの階段を上がりながら洋服を選んだり、またちょっと腰を掛けて一休みする母子もいるようだ。階段というものを、移動する場所ではなく「滞在する場所」に変えてしまったアイデアに感心した。階段紀行・西日本神戸編階段を「滞在する場所」に変えてしまったファッションストア
都庁舎のプロジェクションマッピングは、4月末までは午後7時から30分ごとに5回、午後9時まで行われている。各回の上映時間は15分程度で、次回の開始まで15分の休止時間が設けられている。確かに色彩的には華やかで、スクリーンの大きさが桁違いなので迫力も感じられる。ただ、個人的な感想は「・・・・」。映像に何の一貫性も、全体を貫くテーマというものも感じられなかった。私はフランスでいくつもの大聖堂をスクリーンにしたプロジェクションマッピングを見てきたが、それらにはしっかりしたテーマがあった。象徴的なものはルーアン大聖堂のプロジェクションマッピング。この地は、印象派の巨匠モネが住み、睡蓮の大作を残したジベルニーの近くにあり、大聖堂そのものも何作も作品に残している。そんな背景を生かして、映像はモネの作品をテーマに制作し...東京探訪都庁舎のプロジェクションマッピングに感じた物足りなさ。