昭和生まれ、東北出身の人間にとって、東京とは「上野から始まる大都会」というのが第一印象だった。なぜなら、初めて上京した時も、東京に住み始めた時も、いずれも夜行列車に乗って到着した東京の駅は上野駅だった。眠い目をこすりながら列車を降り、駅構内の売店でサンドイッチとジュースを買って上野公園に入り、西郷像の下でベンチに腰掛けて朝食を食べた時の、期待と不安の入り混じった心を今でも思い出すことが出来る。そんな個人的な思い出も含めて「上野公園を歩く」というこのシリーズは、まず上野駅からスタートすることにした。上野駅は日本初の私鉄・日本鉄道(現JR)が開業した1883年に、仮駅舎としてスタートした。路線は上野=熊谷間。現在の駅舎は関東大震災で焼失したのち1932年に二代目として完成したもの。ホームに到着後、改札口に向か...上野歴史散歩①北の若者たちの期待と不安。そんな心情あふれる上野駅から連載スタート。