適応障害・心は潰れてしまった

適応障害・心は潰れてしまった

結婚前のまさみさんは長年専門商社で、日本の最先端技術によって作られた工業製品を、東南アジアの国々に輸出する仕事に携わっていました。仕事に生きがいを感じ、30代の後半になっても「結婚しなくても、私は幸せ」と思い、忙しいながらも毎日イキイキと暮らしていました。 そんなまさみさんはQ国に出張した際、 レセプションで夫と初めて出会いました。2歳年上の夫はイギリスの大学に留学した経験のある紳士で、20代の頃に結婚した最初の妻を数年前に病気で亡くしていて、子供はありません。 夫の情熱的なプロポーズを受け入れ、生きがいだった仕事を辞めてその国に移り住む時、しのぶさんは大きな期待と不安が入り混じった気持ちでした。 そして新生活が始まると、夫の一族に伝わる儀礼や習慣、宗教の教え、そして暗黙のルールなど、驚くことの連続でした。また一族や使用人たちの中にまで、まさみさんが本家の長男の嫁になったことを快く思わない人が大勢いて、その生活はとても幸せとは言い難いものだったのです。 唯一心優しい夫だけが頼りでしたが、毎日自分の気持ちが塞ぎ、また将来を悲観する気持ちが強くなると、次第に朝ベッドから起き上がることさえ難