◆お手伝いで仲間づくり休み時間に一人ポツンと本を読んでいるタケシ君。それはそれで良いのですが、自己中心性の強い彼は、もっと学校という社会で、人と関わって揉まれる必要があるし、そこで学ぶ必要があると考えていました。誰かに「一緒に遊ぼう」と言うのは、とても勇気のいることなので、友達作りというのは難しいものだと思います。でも最近は、いつも一緒にいるような仲の良い親友を作る必要はなくて、なんとなく皆と同じ...
小学校の先生をやっています。教育の現場で日々思うことから、子どもが明るく楽しく学校生活を送るためには親として教師としてどう接していったらよいか、深く考えていきたいと思っています。
小学校の先生をやっています。 無駄にキャリアが長いわけですけど、 日々思うことを広く発信できたらな…と思い ブログを立ち上げました。
他者貢献の心・自主的な行動を、どれだけ肯定し伸ばしていけるか
ワンチームの学級運営術⑪自主性を育てるためには、他者貢献がヤル気や楽しさの源泉であるから、クラス内の仕事をどんどん任せみることが肝なのでしょう。仕事をしたらオキシトシンは出るし、ドーパミンも出ますからその楽しさを味わうことができるわけです。「行為を肯定するようにホルモンが分泌される」のですから、他者貢献をしている子は、さらに自主的な行動が増えていきます。また、思い立ったら実行できるという環境を提供...
ワンチームの学級運営術⑩体育の着替えも同様なことがありました。1年生なので、短い休み時間では着替えが授業時間に食い込んでしまう可能性があります。なので、ある日、「今日の体育は3時間目です。 みんな、長い休み時間は外で遊びたいよね。 図書室にも行きたいよね。 授業は、普通の服で受けるのが基本ですが、 いつ着替えるか、自分で考えてごらん」と言ったところ、その日は、みんな1時間目が終わったら自主的に着替...
ワンチームの学級運営術⑨先日、子どもが「連絡帳を書いていいですか?」と言ってきました。連絡帳には、時間割と宿題くらいしか書かないので、子どもは何を書くか、予想がついているのでしょう。内心(え~~!?)という感じでしたが、まっ、毎日同じだからいいかっ、と「いいよ。」と答えました。するとその子は、自分の連絡帳を書いて「これでいい?」と聞いてきました。「いいよ。」と答えると、その子は、連絡帳係の子を呼ん...
ワンチームの学級運営術⑧私のクラスは、子どもたちはヤル気があって行動がとても早いと同僚から褒められたのですが、その実は、ヤル気があるから早いのではなくて、スピードを上げることがヤル気を刺激し、良いサイクルを生み出しているということなんですね。スピードに関して、最近『エメットの法則』というのを知りました。エメットの法則とは、仕事を先延ばしにすると、実際に仕事をこなすよりも多くの時間とエネルギーを消耗...
「ゆっくり」より「速い」方が、 子どもはスッキリするし楽しい
ワンチームの学級運営術⑧まず行動するというスピード感は、ドーパミンを刺激しますが、どうも人は本来、スピードを出すことでスッとしたり、楽しいと感じたりするようです。特にこれは男性に傾向があるようで、速さを競う競争や、遊園地のジェットコースターなど、スピードを感じる遊びが人気なのは、本能によるものなのだそうです。男性は動物を狩り、食料を調達するために競争が必要だったから、スピードに憧れがあるし、速い事...
ワンチームの学級運営術⑦とにかく先に行動したらドーパミンを味方にすることができる。その為には、行動あるのみ。でも実際の図工の場面では、先に・・・といっても構想が無ければ動きようがありません。そこで考えたのは、教科書を真似ることです。大人は、どうしても子どもの創造性に重きを置いてしまって「学ぶ」とは「真似ぶ」であることを忘れてしまいます。学校というのは、日本人の文化の伝承の場であるのだから、教科書を...
ワンチームの学級運営術⑥先に行動したら「悩まない」のだから、まず行動する。そして困ってから考える。そんなことを何度も何度も指導していきました。例えば図工なら、まず描き始めさせることが肝になります。描かずに考えるから悩むわけです。ヤル気は神経伝達物質のドーパミンによってもたらされるそうです。ドーパミンは幸せ物質の一つと言われますが、何か実際に行動を起こしている時に活性化するのだそうです。つまり、行動...
ワンチームの学級運営術⑤オキシトシンは幸せ物質と呼ばれているだけあって、その効果は抜群にあり、私の学級運営の柱のひとつではあるのですが、もう一つ、重要視しているのはスピードです。以前担任した子ですが、何をするにもゆっくりな子がいました。給食を食べるのもゆっくりで、いつも時間に間に合いませんでした。着替えも遅く、いつも次の授業が始まってから一人、更衣室から帰ってきていました。特に遅かったのが図工です...
ワンチームの学級運営術④担任1人ができないことを子どもみんなが一緒に実行したら、不可能が可能になる。この気づきは、とても大きなものに思えました。もちろん、それまでも子ども達に出来るだけ仕事を任せたし、いつも「子ども達ができることは何か?」と考えていました。それは、学級の様々な雑用を私一人で抱えるのではなくて、子ども達に任せてみようという発想からでした。でもある時、オキシトシンという脳内ホルモンを知...
ワンチームの学級運営術③4時間目の体育館体育。1年生にとっては、なかなかの鬼門です。授業は早めに終わらせましたが、時間的に着替えは難しいなぁ…と思いました。体育館での授業で、それほど体操服も汚れていないので、子ども達に「時間が無いから体操服のまま給食準備に取り掛かろう…」と言いかけました。でもこれは一度、子どもにも聞いてみようと思い、「体操服のままの給食準備はよくないけれど、 それほど汚れていないか...
ワンチームの学級運営術②「お気楽先生は、子どもがいる間、もの凄く働いてみえるから 仕事が早く終わるのですね。」同僚にこのように言われたのですが、この言葉は、私には全然ピンときませんでした。余裕をもって仕事をしているからです。以前、この同僚に、私のクラスの給食準備と片づけがとても早い事に驚かれたことがありました。その日は4時間目が体育だったのですが、移動や着替えも考えて体育を早めに終わらせました。と...
ワンチームの学級運営術①先日、ある同僚から仕事を早く終わらせる為にはどうしたら良いか?という相談を受けました。授業後、私がテストやプリント類の丸付けを全然やっていないのを不思議に思ったようです。また、他の同僚からは「お気楽先生は、子どもがいる間、もの凄く働いてみえるから 仕事が早く終わるのですね。」と言われて、逆に驚いてしまいました。残業をしなくても済むように子どもがいる時間にフル稼働で動いている...
自転車で走るのはそりゃぁ苦しいですが、その壁を乗り越えていく感覚が喜びになる。ビワイチ160kmも大変でした。天気の良い日を選んだのですが、最初は順調だったものの、途中で向かい風は強くなるわ、目指す方向には黒い黒い雲が見えるわ。。。琵琶湖の道は基本的に平坦なのですが、一か所、山越えをしなければなりません。ちゃんと自転車から降りずに山越えができるか心配していたのですが、その山の辺りで大雨となりました...
「ダメ」を捨てよう⑬「できる」「できない」の白と黒で判断するのでなく、その間の「できるようになる」というグレー部分を大事にする。実は、そこに人生の喜びというものがあるのかもしれないと最近では思っています。1年前に始めた自転車。始めは5kmを走るのがやっとでした。ヘロヘロになりながら、毎朝8km30分を目標に練習を始めました。2週間たったら距離を伸ばそうと思いましたが8kmでも必死なのに距離を伸ばせ...
「ダメ」を捨てよう⑫ラベリング論というものがあるようで人は、他者によってレッテルを張られることで、行動を制限されてしまうようです。もともとは、黒人は…といったように、特定の人々に対して曖昧だけれどもマイナスなレッテルを張ることで社会的に排除していく過程を言ったそうです。例えば、白人と黒人が同じ罪を犯しても黒人だけが逮捕される、ということが起こるわけです。そのラベリング論の応用で、面白い実験がありまし...
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◆お手伝いで仲間づくり休み時間に一人ポツンと本を読んでいるタケシ君。それはそれで良いのですが、自己中心性の強い彼は、もっと学校という社会で、人と関わって揉まれる必要があるし、そこで学ぶ必要があると考えていました。誰かに「一緒に遊ぼう」と言うのは、とても勇気のいることなので、友達作りというのは難しいものだと思います。でも最近は、いつも一緒にいるような仲の良い親友を作る必要はなくて、なんとなく皆と同じ...
◆お手伝いで仲間づくりこのブログでも何度も書いていますが、もう10年も前に担任した子で、「友達がいない」と泣いた男の子がいました。その子に「じゃぁ、私の言うとおりにやってごらん」と帰りがけに、教室中の机の整頓をさせました。「親切にされて嫌だと思う子はいないから、帰りの時に、みんなのランドセルを配ったら?」と言うと、彼はそれも実行しました。一人で、黙々とそんなことを続けていくうちに、帰りに一緒に掃除...
◆お手伝いで仲間づくり伝記などの本から心の学びを得ていたタケシ君ですが、そうそう簡単には自己中心から脱却はできません。どうしても、自分の正しさを前面に出してしまうことが多く、なかなか自己中心を無くせません。こういうものは、人生をかけて無くしていくものなのでしょう。何はともあれ、強すぎた自己中心性から脱却する道を歩み始めたタケシ君だったのですが、友人関係も徐々によくなっていきました。自分の正しさが強...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性「そういう考え方もある」って念仏のように言い聞かせていたら、自分にはない正しさを学ぶことができるよね。それに、人を許すこともできる。人を許せたら、自分の怒りは簡単に抑えることができるようになるのだから不思議な話です。自分の正しさなんて、何のあてにもならないのだから、自分も悪いところがあったなーって思ったら、相手を許すことができるよね。相手を許すことができたら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「じゃぁ、自分の正しさって何なの?って話です。アル・カポネだって泥棒だって、自分の正しさで生きた。でもその正しさって、本当に正しいの?ってことです。君たちは、たった10年しか生きていないけれど、自分の正しさって、本当に正しいか?って思ったことはありますか? きっと思ったことはないと思います。だから喧嘩して自分の考えを通そうとしたり...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「今から100年くらい前に、アル・カポネというギャングの大ボスがいました。たくさんの犯罪をしてしまった人ですが、そのアル・カポネという人は、自分は世のため人の為に尽くしてきたと言っていたそうです。私たちからみたら、たくさん悪い事をしたのだから極悪人だと思うのですが、本人は、自分を悪人だと思っていなかったのです。これは、アル・カポネ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「自分が正しいって思うことがあって、みんな、その正しさに従って生きています。人って不思議なもので、自分が正しいと思っていることは、世の中の人が自分と同じ考えをしているのだと思ってしまうものです。例えば、何年も前の話になりますが、算数の問題を解いていて、できた人から私のところにもってこさせたことがあります。その時、男の子2人がどちら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性伝記や哲学系の本にのめり込んでいったタケシ君。私も、毎日のように心の在り方について話をするので、だんだんものの考え方も変わっていきました。彼は自己中心性が強く、友達とのトラブルが絶えませんでした。でも、なぜ喧嘩が起るかというと、喧嘩と言うのは、互いに自分の正しさを主張しているのだと思います。タケシ君は、自分が正しいと言う。相手も、自分が正しいと言う。人は、自...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の場合、勉強面は大丈夫だったのですが、友達に教えることで友達と関わることは、まだ難しいと判断しました。でも、いつかできるようになっていけば良いので、できることから人の為になることをさせていこうと考えていました。今まで担任した子ども達は、クラスの為の行動をすることで、どの子もみんな、友達と上手くいくようになっていったのですから。勉強はできる子だったので...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君に話したこと「人に親切にするって難しいよね。君は、ハナさんに算数を教えてくれました。でも、実はハナさんって算数が得意でよくできるんだよ。それって知ってた? 少し取り掛かりが遅いからやれていなかったけど、実は算数ができる。でも君はそんなハナさんのこと知っていたかな?」こんな話をすると、タケシ君はビックリしていました。「そうだよね、知るわけないよね。それ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性(我)です。でも、この自己中心性の強さを減らしていくのも「お手伝い」しかないように思います。大人の世界の言葉で言えば、他者貢献です。自分のやりたいことや自分の利益を我慢して、他者を優先する。我の発動を押さえる訓練をしなければ、自己中心性を直すことはできませんが、「お手伝い」を通してなら、自分中心を減らしていく練習ができる...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性友達に勉強を教えに行くにしても、自分中心が強すぎて、相手や周りの子の事を考えずにトラブルになってしまうタケシ君。我の強い子だなーと思って見ていました。子ども達によく話をするのですが、自分の我を通しても何も良い事はありません。我を通すというのは、結局は自分への利益誘導ということになります。自分が得をするように我を通したいわけですが、得をするということは、誰かが...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性授業で課題が早く終わったら、友達に教えにいく。友達への親切を実行させるのですが、タケシ君は、それにも課題がありました。ある時、女の子に教えているところを見ました。その女の子は見た目はか弱そうに見えるのですが、実際には勉強もできる子でした。でもタケシ君はクラス替えをしたばかりで、その子の実力をよく分かっていなかったのでしょう。相手の子の意思に関係なく、「俺が教...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性以前担任した給食を全て配膳した子とは違って、タケシ君は、授業はちゃんと受けていましたし、成績的には学年の上位にいる子でした。上位にいるからこその問題があって、課題があっという間に終わってしまうので、彼の場合は、時間が余って暇となってしまうという問題がありました。そういう時に限って、友達とのトラブルを起こしてしまうのです。とにかく子どもを暇にしてはいけないとい...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 3誰かの為になる行為。それは、子どもにとっての「お手伝い」ということになるのでしょう。自分のしたいことでなくて、人の為になることをする。そうすることで、子どもの心は救われていくように思います。給食を全て配膳した子は、実際にはほとんどの授業に参加できずに、毎日机にうつ伏せになって何も授業を受けない状態でした。特に算数は、低学年で習う掛け算も全部覚えていない...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 2普段、宿題もロクにやらない子だったのですが、宿題を終え給食室に給食が運び込まれたのを確認すると、驚くようなスピードで全てを盛り付け、クラス全員の机に配りました。4時間目が終わり、クラスの子が帰ってくる前に終わらせたかったのでしょう。ほぼ給食を配り終えた時、クラスの子ども達が教室に帰ってきました。「わ~~すごい! ありがとう!」口々に子ども達は歓声をあげ...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 1身体を動かして気分を変えることが大事だとタケシ君に話をしましたが、話をしてすぐに変わることなど、なかなかできる事ではありません。でも、何か嫌なことがあったときに止まってしまうことが彼の心のケアのために一番良くないので、とにかく体を動かすこと。そのために、一番良いのが「クラスの為になるお手つだい」だと思っていました。たいていのお手伝いは体を動かすことを伴...
◆体を動かせば気分は晴れる 8こじれてしまっている不登校の場合、朝散歩も大変かもしれませんが、初めは難しいくても、心のケアのために短い距離から始めていけばよいと思います。最初は家の周りだけでも良いので、15分間日光に当たるだけでも効果はあるそうです。学校の門をくぐれなくても良いのです。門をタッチする、一歩だけ踏み入れる、そんなゲーム感覚で活動量を増やしていく。学校では、時間の長い休み時間には外に出て...
◆体を動かせば気分は晴れる 7同僚で、登校を渋っている子と毎朝一緒に歩いて登校した人がいます。その子は、同僚のおかげで毎日登校することができ、翌年は渋ることもなかったのです。昨年も登校を渋る子がクラスの中にいたようですが、いつの間にか、その子も登校できるようになっていました。同僚が一緒に登校するところを見ませんでしたが、親御さんが一緒に遠い道のりを歩いていらっしゃるのを度々見ました。体を動かすこと...
◆体を動かせば気分は晴れる 6人は体を動かして行動したら、暗い気分から脱出できる。これは、科学的にも実証されていて、厚生労働省は、身体活動が気分転換やストレス解消につながり、メンタルヘルスの不調を改善するとしていますし、軽い運動でもストレスを解消させるためのホルモンが分泌され、心が安定し、ポジティブになりやすいという研究もあるようです。自分自身も、ネガティブな思考を減らすために自転車や登山に挑戦し...
サトル君の抱えている課題は、注意されると、相手が悪い、僕は悪くないという風な極端な思考に走ってしまうところにあるように思いました。これはかなり短絡的な思考です。ひょっとしたら、敵か味方か、という思考なのかもしれません。良い・悪い、敵・味方、といったように、他人を白か黒かの色分けするなんていうのは、かなりナンセンスな思考です。今回の事件では、サトル君にとって注意した先生が悪いということになりますが、...
新学年の始業式当日。これまでに少し接点のあった私が担任ということで、サトル君は、喜んでくれていました。でも事件は、直後から勃発しました。初めての掃除の時間。女の子が私に訴えてきました。「サトル君が掃除をしない」え~~!? 早々に? と思いながら掃除場所に向かいました。すると、女の子が言うようにサトル君が掃除場所にいません。探すと、トイレにいました。「ちゃんと掃除してくれないって女子が困っているよ」...
4月になり、新しい学級の担任となりました。今年は久しぶりに担任する学年なので、自分自身も勝手が分からない部分があって、慌ただしい日々となりました。普段はあまり残業をしないのですが、この4月は残業続きで、同僚から「大丈夫? 倒れない?」などと心配の声を掛けられる始末で・・・どこに問題点があるのか?と考えてみると、通常なら、私が何も言わなくても子供たちだけで動いて学級は回っていくのですが、4月の頃は、...
まとめテストの一件があって以降、ヨウヘイ君の様子がガラリと変わっていきました。漢字や書写の授業では、完璧を求めて時間をかけるのではなくて、とても早く提出するようになっていきました。「オラ、早くなったでしょ。先生に直してもらうんだ。そうしたら早く終わって遊べる!」と笑って言います。一番ビックリしたのはテストです。高得点を取るようになっていったのです。3学期には、苦手な国語も100点をとっていきました...
ヨウヘイ君に話をした直後、驚くことが起こりました。なんとヨウヘイ君、完璧な解答を書いて再テストを提出したのです。これにはビックリしてしまって「どうしたの?? 突然できるようになって!」と言うと、ヨウヘイ君は「んー-とね、オラ、先生の言ったことを覚えたんだ。そうしたら全部できた」と答えたのです。「そうか、そうか、それで良いんだよ。今は分からなくても、時間を味方にしたらきっと分かるようになる。その前に...
ヨウヘイ君に話したことのつづき「今の君は、わからないから問題に近づかないようにしている。そこが、大きな問題なんだ。君が「わからない」のは、算数の問題が難しいのがダメなんじゃない。先生の教え方が下手だからわからないんじゃない。誰のせいでもない。今、自分はできないんだって自覚しても「わかるようになる」道を歩もうとしない君自身に問題があるってことなんだ。給食をこぼした、絵具を飛ばした。これも同じです。給...
2学期のまとめテストには、少々難しい図形の問題がありました。それを説明するのですが、ヨウヘイ君は分からない。図形に補助線を入れるだけなのですが、それがどうしても分からないのです。最初からシャットダウンという感じです。他にも、少々思考力の要る問題があったのですが、それらも彼の中にはお手上げ状態だったようです。簡単な計算問題も間違えています。ヨウヘイ君の思考の歪み。それは、できないという事実を見たくな...
学習においては、「できる」「できない」よりも、その間にある「できるようになる」事が大事。『自分はできないのだから、できるようになる道を探す。できないのなら謙虚になって自分を伸ばしていくことで人生がより良いものになる。』それは師匠から教わった人生訓でありましたが、子どもの学習においても大事にしたいと思っています。最近では、テストをしたらその単元は終わり、というやり方に疑問を持つようになってきました。...
ヨウヘイ君が陥った「できる」「できない」の二値の問題。二値の価値観に慣れきっている子どもが一旦「できない」と感じてしまえば、あっという間に自分は出来ない子となってしまう危険性がある。子ども達には、「できる」と「できない」の間にある「できるようになる」という価値観がもの凄く大事だと1年を掛けて話をしていきます。学校は素敵な大人になるために新しいことを学ぶ場所で、最初はできないのが当たり前。「できない...
多値論理(たちろんり)。これも師匠から10年掛けて教えられてきたものの一つです。それは、真理は「真」と「偽」の2つだけでなくて、3個以上の多値あるという考え方です。よく『白黒をつける』という言い方をしますが、価値観には白と黒の二択ではなくて、グレーの価値観があるというのが、多値となります。子供たちにはよく「好き」「嫌い」で話をします。ピーマンが好きとか嫌いとか単純に話をするけれど、食べ物の好き嫌い...
絵具と給食の出来事が同時に起こった日を境に、ヨウヘイ君に変化が表れました。それも事態が悪化する方向へ。。。怖れていた、自己肯定感の喪失です。今まで自分を誤魔化して見ないようにしてきた「自分は出来ない」「自分はダメだ」という現実を見るという作業はヨウヘイ君には少し厳しかったようで、何に対しても「わからない」「出来ない」と言うようになってしまったのです。授業中、すぐ「わからない」と言って友達に助けを求...
ヨウヘイ君に話したことのつづき「『原因と結果の法則』という本があるけれど、絵具が飛んだという結果には、筆を振り回したという原因があった。給食がこぼれたという結果には、身体が食器に当たらないよう気を付けなかったという原因があった。」「自分に降りかかってきたほとんどの災難は、自分による原因があるのだから、自分の行動を変えていくしかないんだよ。」「いつも真面目に落ち着いて行動している子に、今日、君に降り...
ある日のこと、1日に2回もヨウヘイ君がミスをしたことがありました。1つ目は、絵具を使っていて筆を振り回してしまい、友達の洋服に絵具が飛んで汚してしまいました。「でも、僕は・・・」と言いかけたので、「どんな理由があったかは知りませんが、友達の服を汚してしまったのは、君の責任です。絵具を使う時は、周りを汚さないように気を付けるものです。」「でも君は、気を付けなかったでしょ? 筆を振り回したら絵具が飛ぶ...
2学期になっても、相変わらず漢字を書くのに時間が掛かり、友達とのトラブル続きのヨウヘイ君でしたが、あるとき、ケイタ君と一緒に悪戯をして叱られたことがありました。2人を前にして私は指導するのですが、この2人の様子が、まるっきり違うのです。ケイタ君は、私に指導されて泣いています。でもヨウヘイ君は、一緒に立っていて聞いてはいるものの、どこか他人事のような感じがしたのです。もちろん、以前のようなブツブツ言...
その日も、ヨウヘイ君は友達と喧嘩をしてしまい、私の注意を受けていました。相変わらず、目を逸らし、口でブツブツ何かを言っています。顔は能面のように無表情です。お母さんとの話で、私との信頼関係や指導の問題というよりヨウヘイ君自身の深刻な問題なのだろうと思いました。剣道のコーチの言葉も素直に受け入れられないのは、自分の欠点を認めたくない、傷つきたくない、そんな心の状態なのだろうと思いました。そして喧嘩を...
自分の”できない”を正視したくない。なんとか自分を保とうと、人の話が聞けずに”でも”、”だって”と、自分以外の処に責任や理由をもっていこうとする。そんな姿じゃないだろうか、と思ってヨウヘイ君を見ていました。いつも同様な喧嘩を繰り返してしまうのです。ヨウヘイ君には私の指導が全然入っていかないので、学んで自分を変えていくことができないのです。ただ、それを指摘する勇気は、その時の自分にありませんでした。私の指...
漢字の学習法についてクラスに話をしましたが、だからといってヨウヘイ君が急によくなるものでもありません。こういうことは心に届くまで時間が掛かるもので、何度も何度も同様な話をしていく必要があります。教員の側にも時間を味方にした指導が必要になってくると、いつも思います。ヨウヘイ君の自分の”出来ない”に向き合えない態度は、学習面だけではありませんでした。ジャンケンで負けたのを怒って友達を叩いてしまったことが...
クラスの子どもに話したこと。2大人ですごく仕事のできる人っていうのは、他人の力を使うことがとても上手です。自分の力だけで頑張るより、友達と一緒に協力してやった方がきっと良いものができる。こういうことは、みんなでも分かるよね。例えば、大事な書類を作るとき、自分ひとりで頑張ってその書類を作るより、ひとまず書類を作って、誰かに見てもらって直して書類を作り直した方が良いものができる。そんなのは当たり前のこ...
クラスの子どもに話したこと。1新しく習った漢字だもの、今まで知らなかった漢字が急に書けるはずがないよね。もちろん、漢字が好きで、今まで練習していた人は別だよ。でも習ったばかりのことが完璧にできるハズがない。これは漢字だけじゃなくて、算数でも、体育でも、図工でも、どんな教科だって同じです。みんなは、何のために学校に来ているかというと、今まで出来なかったことを出来るようにするために学校に来ています。だ...
ヨウヘイ君は、自身の無能感から逃げている。だから、その無能を自覚させて謙虚に学び、有能になっていこうと努力する道を歩むようにする。そうすることで、本物の自己肯定感を得られるようになり、楽しく学校生活を送ることができるようになるだろう。。。これは仮説にしか過ぎませんでしたが、自分の学びの過程で得られたものだったので、何となくではありましたが、確信めいたものがあったのも事実です。学校はとても不思議なと...