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ittiのBL創作小部屋 http://itti57.blog.fc2.com/

R18有。切ないけど楽しい物語。同級生、リーマン、日常系のお話です。

オリジナル小説・イラスト・漫画など 何でも思うまま創作中

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2016/01/12

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  • ほどける指先 218 (黒田×岸)編

    藤城正美がバスケ部に入ったと聞いて、黒田は少し気になった。 自分がバスケ部を辞めなかったら今頃は一緒にバスケをしていたのだろう。ちょっと生意気そうな奴かと思ったが、主将の横川に訊けば、いたって真面目な奴だという。素質はあるので、もう少し身体つきが大きくなればメンバーにも入れるだろうと言った。帰りに体育館の横を通ると、バスケをしている姿が目に入る。黒田は、好きなスポーツを辞めてしまった事を少しだけ...

  • ほどける指先 217 (黒田×岸)編

    在り来たりな日々を過ごしながら、岸も黒田も高校3年生へと進級していた。 春の日の事、校舎裏の桜は入学式前に吹いた春一番で枝葉ばかりとなった。卒業式には清々しいほどの花を咲かせていたのに、今年の新入生はちょっと可哀想だと思いながら、体育館に集まった新入生を眺める。「あ」と溜め息の様な声をあげた黒田。視線の先に居た新入生の中に見覚えのある顔をみつけた。 普段、あまり人には興味を持たないが、カレだけは...

  • ほどける指先 216 (黒田×岸)編

    * * *「最近、聡は友達の家に入り浸りねぇ。明日から学校なのに勉強は大丈夫なの?」 夕飯時、いつもは自室で食事をする母親の美幸が、今夜は食卓テーブルに着いていて訊ねる。 お手伝いさんの作ったポークソテーを切りながら、ふと母親の方に顔を向けた岸。たまに親らしい事を云うと思えば、勉強の事だと、内心呆れた岸だったが、平静を装えば「勉強はちゃんとしてるから。友達も勉強熱心な奴だし」とうそぶいた。黒田が...

  • ほどける指先 215 (黒田×岸)編

    一瞬だけ千晶と云う少年と目が合ったが、すぐに逸らされて、岸と話す様子を窺っていたが、気になったのは千晶の横に居る背の高い少年。こちらも整った顔立ちをしている。何故か冷ややかな目をして岸を見ているのが気になると、どうやら千晶の兄らしいという事だった。不思議と違和感を覚える。どこにも血の繋がる要素が見受けられなかった。 自分と岸は異母兄弟になるが、黒田からしてみれば何処かに父親の遺伝子的な要素はある...

  • ほどける指先 214 (黒田×岸)編

    ゲームセンターの一件以来、岸は毎日の様に”チアキ”という中ボーの事を黒田に話してくる。「もう聞き飽きた」と素っ気なく返す黒田に、「歩いても帰れるって云ってたからさ、そんなに遠くには住んでないと思うんだよな。中学校でその辺りの距離にあるとこって何処だろ」と、質問をしてきた。「沢山あり過ぎて分かんないよ。それに、補導されたんなら暫くは外出禁止になるだろ?もう会えないかもな」 面倒になってそう云う黒田は...

  • ほどける指先 213 (黒田×岸)編

    千晶の事が気になりつつも、岸は西岡たちの居るカラオケボックスまでやって来た。 店内に入り案内されると、西岡たちに混じって黒田の顔が見える。バイトが終わって呼び出されたのかと、賑やかな音量の中黒田の横に座れば、目配せをされ部屋の外に出た。「黒田バイトは?」と訊ねる岸に、通路の壁に身体を預けた黒田は「終わってから来たよ。沢口が煩くてな。岸は何してたんだよ、遅かったじゃないか」と云った。既に来ている事...

  • ほどける指先 212 (黒田×岸)編

    千晶の取りたい景品は中々難しくて。岸は何度か挑戦するが、既に2000円を投入している。「あの、.....もう諦めますから、申し訳ないし、......お金払います」 岸が、あーーーっ、と残念そうに声をあげる中、千晶は申し訳なさそうに岸のジャケットの袖を引く。 振り向いた岸は、ニッコリと笑みを浮かべると「ごめーん、もう一回だけやらせて。これはオレの挑戦だから、お金の心配はしなくていいからさ。待ってて」と云う。 仕...

  • ほどける指先 211 (黒田×岸)編

    黒田がファミレスでバイトを始め、自分が居なくても来ていいと、鍵を渡された岸だったが、勝手には行き辛くて。 かといって、自宅に戻れば病弱でほとんどを自室で過ごす母の美幸の顔を見る事になる。そこは声掛けをして、自分も部屋に籠ればいいだけなのだが、問題はお手伝いの女性。何かと気を使ってくれて、おやつ、とか、夕飯のメニューなどの好みを聞きたがり、ウンザリするのだ。最近では、学校の事や友人の事も聞いてく...

  • ほどける指先 210 (黒田×岸)編

    ナポリタンを食べ終えて、ふたりで食器を洗い、片づけをしながら他愛ない会話をする。遠慮も何もない関係になるまでには、二年前の出来事は大き過ぎて、少しギクシャクした時期もあった。 あの日以来、岸は黒田の家に来る事が増え、それは父親の訪問を邪魔しているとしか思えないが、黒田も薄々感じ取っていた。岸の父親が自分の実父であると知らされても、今更愛情も何も感じない。逆に嫌悪感しかなかった。だから、岸が歯止め...

  • ほどける指先 209 (黒田×岸)編

    自分の部屋に行き、事の残骸を眺めながら、黒田は腹の中で「ちっ!」と舌打ちをした。 岸が云う様に、ラブホ代わりに使われた部屋の窓を全開にすると、ムッとした湿気を含んだ風が入って来る。 ベッドのシーツと枕カバーを引き剥がして、くしゃくしゃっと丸めれば、それを脇に抱えて洗面所に向かった。リビングからは岸たちの賑やかな声が聞こえてきて、それを無視しながら洗濯機にシーツを放り込めば、洗剤を投入してスイッチ...

  • ほどける指先 208 (黒田×岸)編

    * * * 二階へと続く階段を軽快な足取りで上がって行くと、岸聡は黒田康介の自宅の玄関ドアを開けた。 夏休みが始まってすぐの午後だった。急いでシューズを脱ぎ捨てると、着ているTシャツの裾をたくし挙げて、顔の汗を拭きながらリビングに向かう。まるで自分の家に戻って来たかの様な自然な動きのままドアを開けると「オッス」と声を掛けた。 その声に、関心を示さない様な声色で「おぅ」と返す黒田は、ソフ...

  • ほどける指先 207 (黒田×岸)編

    勢いよく階段を駆け下りて行ったが、道路に出るとゆっくり歩き出した黒田は、後ろから岸が追いかけて来ているのを感じて振り向いた。なんともバツの悪そうな表情で、黒田を上目遣いに見上げる姿に、おもわず深いため息を漏らす。「付いてくるなよ。........」 前に向き直り岸に云ったが、聞こえなかったのか、隣に来ると黒田の背中をパンッと叩いた。「イってぇなー。叩くなよ」 岸に向かって睨みつけると、「ごめんごめん、で...

  • ほどける指先 206 (黒田×岸)編

    うな垂れたまま、膝に乗せた手をギュッと握りしめる父親を睨む岸。 目に掛かりそうな前髪をかきあげると、「爺さんに知られたからって何?!さっさと離婚すりゃよかっただろ!」と声を荒げた。 その言葉に、良治は顔を上げると岸の顔を見つめる。何か云いたそうな表情に、今度は岸が目を逸らした。「離婚出来なかったんだ、..........お前がお腹にいる事が分かって」「..........」 岸は言葉に詰まった。 自分の父親ながら、...

  • ほどける指先 205 (黒田×岸)編

    短い人生の中で、一番の衝撃を受けたこの日、黒田康介(クロダコウスケ)と岸聡(キシサトル)はいつもの様にゲームを楽しむため黒田の家にやって来ていた。「なにしてるの?」 最初に口に出した言葉は岸からのものだった。 いつもの様にリビングのドアを開け、レースのカーテン越しに灯りが差し込んだ部屋は、8帖ほどの広さでテーブルとソファーとテレビが置いてあるだけ。薄いグリーンの布製のソファーに身体を預けて座る自...

  • ほどける指先 204

    窓から入る光がレースのカーテン越しに優しく差し込んでくると、主を失くした部屋は伽藍洞の様に白い壁紙だけを浮き上がらせていた。その中で寄り添うように立ったまま抱き合う二人。背中に感じる千晶の熱を握り締めた手の中に受け止める正美は、振り向いて顔を見たかったが、ギュッと力を込めた千晶に阻止される。 千晶がどんな表情をしているのかは想像するに容易だった。だから、そのままの体制でじっとしていた。 言葉が無...

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