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ittiのBL創作小部屋 http://itti57.blog.fc2.com/

R18有。切ないけど楽しい物語。同級生、リーマン、日常系のお話です。

オリジナル小説・イラスト・漫画など 何でも思うまま創作中

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2016/01/12

  • お礼イラスト 「勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる」

    応援、拍手コメントしてくださった皆様、本当にありがとうございました。ふたりと1匹の休日はこんな感じで過ごしております。日向ぼっこって最高! お日様の有難みをひしひしと感じる今日この頃です。みなさまも風邪に気をつけてお過ごしください。...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (54)最終話

    * * * リキとの生活にも少し慣れて、いよいよ明日から仕事に復帰する事になった俺。心なしか緊張してしまい、布団に入ってからも中々眠れずにいた。 リキは、相変わらず布団の上に乗っかると、俺とマナトの間にすっぽりと埋まって眠る。寒いから仕方ないが、少々重くて寝返りもうち辛いし何より寝息が気になってしまう。時折鼻の奥からぶぶぶ、という音が聞こえてきて、おもわず笑ってしまいそう。早く寝ないといけないのに....

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (53)

    夕飯は近くのコンビニで買ってきた弁当で済ませると、俺とマナトはリキがやって来るのを待つ。新居は2LDKでリビングダイニングが思ったより広く、前のテーブルがオモチャの様に見えて笑ってしまう程。リキのゲージを置くスペースもあると思う。が、マナトはゲージに入れるという提案にはいい顔をしなかった。トイレ以外は自由にさせたいらしい。「やっぱりテーブルが必要だな。これじゃ客が来てもお茶を出すスペースしかない。」...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (52)

    マナトとの生活は本当に楽しくて。仕事に復帰するまでの間、マナトの仕事の日は俺が夕飯を準備して休日になればマナトが料理を作ってくれるという生活。出来る限りの節約をしながらも楽しく暮らせていた。 二月になるとマンションへの引っ越し準備に入る。中頃になりそうだと云っていたのが思ったよりも早まって、引っ越し業者の手配や荷造りに追われる。小嶋さんにも連絡を入れると、リキを預かってくれていた人が引き渡しの日...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (51)

    待ち望んでいた感触。俺の手が触れたマナトの肌は温かくて、心臓の鼓動が伝わってくると互いに生きているという喜びが溢れ出す。二度と抱きしめる事は出来ないだろうと悲観した日。あの日からずっともう一度マナトを抱きしめたいと願っていた。それが漸くかなって涙が溢れそうになる。「ずっと、こうしたかった。」「.....オレだって」 くちびるを重ねながら背中に手を伸ばすと、骨の隆起の一本一本を確かめるように撫でた。「...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (50)

    久々の蕎麦を堪能してアパートに戻る途中だった。 マナトのアパートが見えてきたところで、向こうから歩いてくる人物に見覚えがあり、一瞬俺の目は釘付けとなった。「あ、小嶋さん」「やあ、...........久しぶりだね」 男は小嶋という獣医だった。もちろん向こうは俺の顔なんて見た事もないし、会釈をするとマナトの前に来て嬉しそうに話しだす。「リキは元気みたいだよ。保護猫を預かってる友人が大事に世話してくれてるから...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (49)

    取り敢えず俺の衣類を押し入れに置き、邪魔にならない程度に片づけをすると辺りは薄暗くなっていた。「お腹空いたね。晩ご飯は何が食べたい?」 マナトに訊かれて、うーん、と頭を捻った。病院に居る間、出されたものを食べていたから正直何でも良かった。「俺は特に食べたい物とかないんだけど。マナトと一緒なら何でも美味く思えるだろうし。近くの店に食べに行く?」「..........じゃあ、蕎麦屋に行こうか。年越し蕎麦は食べ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (48)

    翌朝、バッグに詰めた取り敢えずの身の回り品を車の後部座席に置き、段ボール箱をトランクに押し込むと少々危なげな母親の運転でマナトの待つアパートへと向かう。平日なので道も混んではいない。スマホで連絡を入れつつ、近付いてくると気持ちも高ぶった。もうじきマナトと一緒に暮らせるんだ。「母さんの運転、前よりは怖くなくなったな。俺の方がペーパードライバーだからヤバイかも。」「まあね、運転は慣れないと。たまには...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (47)

    * * * 意識が戻ってから、あんなに落ちていた筋力もリハビリと筋トレのお蔭で前の様に戻り、いよいよ退院の日を迎える事が出来た。 流石にその日の晩は実家で過ごす事にして、荷造りもあるし翌日母親の車でマナトのアパートに送ってもらう事にする。実家の前に立ち、久しぶりに帰って来た事を実感すると、生きていて本当に良かったと思った。一瞬だが、あの時自分の身体に戻れなかったらと、そんな事を考えたら怖くなる。「...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (46)

    母親が来るまでの間、少しだけ緊張していた俺たちだったが、覚悟を決めると気持ちを入れ替えた。 病室の扉が開いて母親の顔が見える。俺たちの顔を見ると一応ニコリと笑みを浮かべてくれた。「こんにちは、先日は料理を頂いてありがとうございました。とっても美味しくいただきました。あ、タッパーもお返しします。」 マナトは立ち上がって挨拶をすると、バッグからタッパーの入った袋を取り出す。それを母さんに渡すと、今度...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (45)

    真紀が帰った後で、もう一度じっくりと考えてみる。俺とマナトのこれからの事。真紀が云ったように、10年後も一緒にいるかどうかわからない。それは、俺たちの様に同性の恋愛関係を続けるには互いの信頼と愛情を保つ以外に継続の道がないからで。 男と女なら、結婚して子供が生まれれば家族になれて、そういう中で何十年も一緒に暮らしていける場所を作れる。でも、俺たちはどちらかの愛情が薄れてしまえば、その時は形式にと...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (44)

    翌日からのリハビリを頑張ると、体力も回復してきたのかスムーズに身体を動かせるようになってきた。漸く眼の前が開けてきた感じもしたが、ただ、あの日から母親が顔を見せない事が心配ではある。やはり怒っているのだろうか。真紀に訊ねても知らないというし、仕事が忙しいんじゃないかというだけ。うちは両親が共働きで、父親は普通のサラリーマン。母親は趣味で始めたアクセサリー作りが本格的に売れるようになって、今はワー...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (43)

    取り残された俺とマナトだったが、入れ違いに病室に戻って来た患者がいて一瞬で空気は変わった。「こんにちは」と挨拶をしているマナト。患者も挨拶を返してくれて、自分のベッドに戻るとカーテンを閉めた。 俺は立ち上がると、「なにか飲みに行こうか」と云ってマナトを連れ出す。気持ちを入れ替えたかったし、話しもしたかった。俺が勝手に告白した事で、マナトが傷付いたかもしれないと思いそれを謝りたかったからだ。「ごめ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (42)

    狭い空間に佇む3人。マナトは顔を伏せたまま動かないし、母さんは何処を見たらいいのか探るような視線で左右に頭を振っている。「.............急にこんな話してごめん。でも、嘘をつくのは嫌だから。」 俺は出来るだけ冷静な口調で云ったが、マナトは小さな声で「力哉、.......やめようよ。」と呟いた。マナトの気持ちは分かる。でもこんな所を見られてしまって、今更何でもないなんていう方が不自然だと思う。それに、これは...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (41)

    病室の朝は早くて、6時には目が覚める生活にも慣れてきた。洗面や身の回りの事も不自由なく出来る様になると、逆にリハビリ以外にする事もなく時間がもったいないと思ってしまう。が、今日はマナトが見舞いに来てくれる日。 午前中のリハビリをしっかりとこなし、昼食を平らげるとマナトが来るのを心待ちにする。 すっかり伸び切った髪を綺麗に整えると、着ていた服も取り替えてベッドの上で音楽を聴いていた。「お邪魔します...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (40)

    食事が摂れるようになると、俺は実家に近いリハビリ専門の病院へと移って行った。マナトとの暫しの別れが辛かったが、笑顔で見送ってくれた気持ちを考えると俺がくよくよしている訳にはいかなかった。一刻も早く元通りにならなければ。「お兄ちゃんさぁ、..........学人さんと会えなくなって辛いでしょ?」「...........は?」 妹の真紀は俺のベッドに腰を下ろし、椅子に足を乗っけながらニヤついて云った。一応看病という名目...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (39)

    リハビリが進む中、新たな年明けを迎えたが実感はなく。固形物は少しづつ摂れるようになったが、人間の身体って本当に神秘的だと思った。医療で生命の維持は出来るが、機能回復は自力でしなくちゃならない。それは意外と辛くもあり..............猫の身体に入っていた頃はあんなに軽く走れたのに、この脚は身体を支えるのがやっとだ。俺がイラつきながら歩行器に体重をかけて歩く姿を見て、マナトは背中を支えながらため息をつい...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (38)

    精密検査の結果、不思議な事に俺の身体は頭に裂傷を負ったくらいで、打撲の痕も寝ている間に消えていた。頭の傷はかろうじて髪の毛で隠せる部分で、手術のために短くされたが伸びてくれば問題ないだろう。知らない間に抜糸も済んでいたし、少し動かしても問題なさそうだった。 少しづつリハビリも始まって、最初はベッドの上で足や手を動かしていたが、自分で上体を起こせるまでになった。筋肉は見事に細くなってしまって、まだ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (37)

    猫のリキの事が気になる俺だったが、まだうまく喋れなくて聞けないまま。夜遅くに父親が病院にやってきて感動の再会を果たした後、家族は近くのホテルに泊まると云って帰って行った。取り敢えず俺の身体は安定しているらしく、家族もホッとした様子で病室を後にしたが、マナトだけは残ってくれた。医者には大丈夫だといわれても、やはり心配らしい。それに、2ヶ月半も死んだように眠る顔ばかりを見ていたから、俺が目を開けてい...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (36)

    俺の意識が戻ってからというもの、医者や看護士が入れ替わりたち替わりやって来ては「奇跡です」と云って驚きの表情をする。もちろん俺も奇跡だと思わずにはいられない。だって、さっきまで猫の身体に入っていたんだから。 母親や妹、マナトに囲まれて、俺は上手く表情が作れないけれど笑って見せた。どの位眠ったままだったのか、顔の表情筋もだけど手足の筋肉も自分で歯痒いくらいにまどろっこしい。言葉を話そうとしても舌が...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (35)

    暗闇に堕ちてからどのくらい経っただろう。 遠くの方でまたマナトの声がした。俺の願望が幻聴を聞かせているのか.............。 マナトの声に混じって真紀の声も聞こえる様な...................... 誰かに腕を掴まれている感覚さえしてくると、静かに瞼を開けてみる。うすぼんやりとした世界の中に、二つの光る球が見えた。前に見た掌の中にあった光の粒が段々ハッキリしてくると、ゆっくり瞬きをしてみる。「...............

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (34)

    真っ暗闇の世界の中で、遥か先に一筋の光だけが薄く見え隠れする。俺の目はちゃんと機能しているのか?いったい何が起こったのか分からないまま、うすぼんやりと瞼を開いているが、気を抜くと閉じてしまいそう。このまま意識がなくなれば俺は本当に死んでしまうのだろうか。分からない..............。 一瞬のカウンターパンチの痛みは今はなくて、ただ沼に引きずり込まれる身体の重みを感じるだけ。何処に落ちていくんだろう.....

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (33)

    外気に晒されると、思っていたより体力が奪われる。朝に少し食べただけで何も腹に入れていないし、水も飲んでいなかった俺は塀の上をよろよろとしながら駅の方へと向かう。マナトも小嶋さんもどうにか追っては来るが、追いつく事は出来ないでいた。それに今の時間帯は人も多いし車も通っている。それを気にしながら追ってくるのは大変だ。なんとか駅の手前までやって来ると、少し車の多い通りに差し掛かった。塀から飛び降りると...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (32)

    夕方になり陽が沈むと、部屋の中は真っ暗になってしまった。カーテンの隙間から街灯の明かりが入ると余計に寂しさを感じてしまうが、俺は息をひそめるように布団の中でくるまったまま横たわるだけ。小嶋さんのくれた寝床にはフカフカの毛布が敷かれているが、今の俺にはマナトの香りだけが心を落ち着かせた。 フードも水も口に入れる気にはならず、朝食べたきりで身体の力も無くなってきたように感じる。マナトが戻って来るのを...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (31)

    中々眠れない夜を過ごし、朝になるとマナトが仕事へ出かける準備を始めるが、いつもならキッチンの電気は点けたままにしてくれるのに、今朝は全部の電気を消している。そればかりか、ドアも閉められてフードと水の入れ物とトイレを寝室に運ぶと俺を閉じ込めた。まあ、昨日の今日で俺が暴れたりして、隣の人に怒られる事のないように気を使っているのだろう。少しの猶予はもらったが、いつ気が変わって不動産屋に報告されるか分か...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (30)

    「とにかく、いい方法を考えよう。カレの事は医者に任せるしかないけど、リキの事はマナトくんがどうにかしないと。」 小嶋さんはマナトの肩をポンポンと打つとゆっくり椅子に腰かけた。向かいで涙を拭ったマナトは「はい」と声を出して顔をあげる。「リキって名前、.........彼からとったんだね。」「............はい、力哉の代りって云ったら変ですけど、カレが守ってくれたこの猫はオレがちゃんと育てないとって、そう思って...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (29)

    マナトの言葉を訊いて、その場から動けなくなってしまった俺。聞き間違えなんかじゃない、確かに意識不明だって云った。いやいや、俺の身体はまだあるって事?意識は此処にあるんだけど、どうしてこっちに移ったんだよ。元の身体に戻れないのか? 頭の中が追い付いていかなくて。小嶋さんの顔を見てみれば、驚きと共に悲哀に満ちた瞳がマナトを映している。なんと声を掛ければいいのか分からないんだろうな。「........すみませ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (28)

    暫く考えていたマナトだったが、膝に置いた手をグッと握り締めると小嶋さんの顔を見た。提案を受け入れる気になったのだろうか。それとも.................、保護団体に俺を預ける事にするのか。じっと二人を見上げながら、俺の心臓はドキドキと鼓動を早める。「........お話してなかったんですが、.............オレ、実は恋人がいて。」「えっ、そうなの?」 マナトの言葉に驚く小嶋さんは、目をまあるく広げている。「だった...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (27)

    夜になるまで俺を撫でながら考え事をしていたマナトだったが、急に立ち上がるとスマホを手にしてキッチンの方に行った。俺は、ベッドの傍で聞き耳をたてながらマナトの声がするのを待つ。暫くすると電話を掛けた相手が出たのか、小さな声で自分の名前を云った。「すみません、忙しいのに電話して。お時間ありますか?」 そう話す相手は誰なんだろう。恐縮しながら話す声を聞いていると、友達じゃないなと思う。目上の人...........

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (26)

    少し柔らかめなフードを口に運びながら、マナトの姿を目で追う。渇いた洗濯物をカゴに入れて、ベランダから運んでくると俺の隣に腰を下ろした。一瞬、外の冷たく乾いた空気が俺の鼻先を掠めると、外に出た時の事を思い出す。あの時はマナトの後をこっそり追うのに必死で解放感を味わうどころじゃなかったが、こうして猫になってみると一日中家の中にいるのも飽きるな。たまには散歩もしたくなってくる。あの日以来、マナトは俺が...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (25)

    その晩は、眠るマナトの布団に上ると、顔の方に近付いてじっと寝顔を眺めた。暗くても俺にはよく見えるから、マナトの頬にそっとくちづけをして頭を擦りつける。「ん、............リキ?寒いのか?.........中においで。」 気付いたマナトが、俺の為に布団を少し持ち上げると中に入れてくれる。あったかくてマナトの匂いがして、凄く幸せな気持ちになった俺は横になるとピタリと身体を寄せた。「リキの毛並み気持ちいい。........

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (24)

    俺が思うに、小嶋さんがマナトの事を気に入っているのは性格が優しいからで、弟の様にカワイイって気持ちもあるんだと思う。が、それにしても部屋に来過ぎじゃねぇか?彼女でもないんだから、仕事終わりに部屋に寄らなくてもいいと思うんだよな。ララと俺を仲良くさせたいのかも、だけど食事して喋って、ララと俺の事より自分がマナトと話している時間の方が長いよ。じっと様子を見ている俺の事が気になったのか、小嶋さんは近寄...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (23)

    風呂から出て、しばらくはテーブルの上に並べたスノードームを眺めていたマナトだったが、それをまた引き出しに仕舞うとベッドに入って布団を頭から被った。その姿をじっと眺める俺は、なんとなくマナトの傍に居たくて、ベッドに飛び乗ると背中のあたりに身体を横たえる。布団越しのマナトの身体が、微かに震えているのが分かって泣いているのだと気付いた。 俺のスノードームをどうやって持ち出したのかは分からないが、あんな...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (22)

    小嶋さんと話しをしながら食事をするマナトは楽しそうだった。店に行けば仲のいい同僚や優しい店長もいて、それなりにうまくやっていたと思うが、仕事を離れても交流のある人は少なかったマナト。俺は、自分が忙しい時はマナトの事を放っておいたくせに、暇になれば俺に合わせてもらっていた。大学の時の友人は、それぞれ就職したら出会う機会も少なくなった。俺たちの仕事は平日休みだし、日曜日に休めるサラリーマンとは時間も...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (21)

    朝起きると、マナトはまだ布団の中に潜り込んで眠っている。冬は朝陽が昇るのも遅くて、部屋の空気も冷たい。俺はベッドに乗ると、布団の隙間に頭を突っ込んでマナトの隣に身体を押し込んだ。温かくて気持ちがいい。マナトのいい匂いがして、人間の身体ならこのまま後ろから抱きしめるのに、と悔やんだ。マナトに触れる事も出来なくて、せいぜい鼻先でマナトの頬を撫でるくらい。「ん、........リキ?........寒いのか?」 そう...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (20)

    マナトが簡単な夕食を済ませる間、俺は部屋の隅に置かれたマナトのバッグを覗いていた。病院に行ってきたなら薬を貰っているはず。俺は猫だけど文字が読める。元は人間だったし。だから処方箋とか見たらどこが悪いのか分かるかもしれないと思った。 ガサガサと探っていると、「こーら、イタズラするなよー。お前の事が心配で直ぐに帰って来たから、缶詰は買えなかったんだ。だから探っても美味しいものは出てこないよ。」と云っ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (19)

    駅まではなんとか辿り着いた。さて、ここからが問題。どっち方面の電車に乗るのか、背を低くして線路脇から眺めていると、マナトが階段を登って行くのが見える。俺は線路脇から飛びだすと反対方面のホームに近寄った。幸い人も少なくて、俺に気付く人はいないみたい。もちろんマナトにみつからないように慎重に椅子の下に潜り込んだ。 暫くして電車がやって来ると、マナトが乗り込んだのを確認して隣の車両に乗り込んだが、中に...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (18)

    夕飯を食べ終わると、小嶋さんは片付けまでしてくれてマナトを気遣いながら帰って行った。食欲も出て、少し元気になったみたいでホッとする俺は、自分のフードを完食すると小嶋さんがくれた寝床に身体を横たえた。なかなか気持ちのいいもんだ。丸まって眠る時にも身体が安定してしっくりくる。「リキ、気に入ったみたいで良かったね。そういうの買うと結構高いんだけど、........小嶋さん、本当に自分ちの猫が大好きなんだな。」...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (17)

    シチューが出来上がるまで、マナトは小嶋さんにいわれてベッドで横になっていた。俺はマナトの足元に横たわりなんともいえない心境でおとなしくしている。俺もシチュー食べたいなー、とか思いながらマナトと二人で料理をした時の事を思い出していた。マナトの隣では、いずれ他の誰かが肩を並べてくれるのだろう。ひとりにさせるのは可哀想だけど、出来ればもう少しだけ俺の居場所にしておいて。いつか完全に自我が消えた時、その...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (16)

    夜7時ごろ、小嶋さんが大きな紙袋を手に抱えてマナトの部屋にやって来た。「どうしたんですか、その荷物は。」 マナトは小嶋さんを招き入れると袋をまじまじと眺める。「ああ、これは猫のベッドだよ。気に入るかどうか分かんないけど、一応猫にも指定席があった方が落ち着くと思ってさ。うちの子は割と気に入ってくれて、この中で寝てくれるから。」 袋から取り出したソレは、丸い円形のフカフカした布団が底の方に敷いてある...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (15)

    マナトは小嶋さんが持ってきてくれたレトルトのお粥を温めると、それをフーフーッと冷ましながら口にしている。そんな姿をじっと見つめる俺に気付いたのか、少し伸びた髪を耳に掛けながら「これはオレのだから。その内リキにもご馳走を買ってきてやるよ。缶詰の美味そうなのがあるからさ。ちょっと高いんだけど、まあ、おとなしくしてくれたご褒美。」と云って微笑む。猫の俺の事まで気にかけてくれるマナトが愛おしい。今夜もお...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (14)

    名前を付けてくれたのは嬉しかったが、その名前は...............。 リキって、俺の名前の力哉から取ったのかな?死んだ俺の代わりに猫を傍に置くってこと?なんだか複雑な心境。嬉しい様な、それでいて俺の存在が消えていくような気もする。「じゃあ、そろそろ帰るね。もし明日も熱が引かない様なら電話して。」「あ、はい。本当にありがとうございました。」「うん、それじゃあ」 小嶋さんはそう云うと俺の額を撫でて立ち上...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (13)

    翌朝目が覚めると、マナトはまだ眠ったままで起きる気配がない。いつもなら休日の次の日は早めに店に行くのに。それともシフトが変わって時間が短くなったのか?俺は気になってマナトの頭の方へ移動した。「にゃ~」 ひと鳴きしてみるがこちらを向く素振りも無くて、ちょっと不安になる。反対側に回り込んで顔を覗き込むと、なんとなくいつもより顔が赤い気がした。昨夜もそんな気がしたが、額に近寄って手で触れてみたが猫の俺...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (12)

    ドアを開けるなり俺に気付いて「ただいま」と声を掛けてくれたマナト。ほんの少しだけど、顔が赤い様な気がする。外が寒かったから鼻の先が赤くなる事はあるだろう。でも、それ以外にも何か........。「あー、お腹空いた。なに作ろっかなー。」 鞄を部屋の隅に置くと、そう云ってコートを脱ぎながら洗面所へ行った。今まで何も食べていなかったんだろうか。こんな時間なのに。と思いつつ、俺もマナトに付いて行くと洗面ボールの...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (11)

    一人分の夕食を作ると、静かに食べるマナトは時折ため息をつく。俺の事を手に負えないと思ってしまったのかな。ちょっと心配になった。 その夜、結局俺はいじけてベッドの下にもぐったまま眠ってしまったが、次に目を覚ました時にはマナトの布団でぬくぬくと横たわっていた。マナトはベランダに出て洗濯物を干している。起きた瞬間ハッとなった。また記憶が飛んでいたみたいで、部屋にマナトがいるという事は休日なんだ。 焦っ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (10)

    部屋に着くと、男はジャケットにくるんだ俺を解放した。マナトが椅子を勧めてそこに腰掛けると、小さなバッグからチューブを取り出しテーブルの上に置く。さっき云ってた塗り薬だろう。俺は慌てて部屋の隅に逃げようとするが、マナトにしっかり取り押さえられた。「なにかタオルでもいいんで、水で濡らしてくれるかな?」「あ、はい。」 男にいわれて洗面所に行くと、マナトは俺のシャンプーの時に使ったタオルを濡らして持って...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (09)

    不安な夜を過ごし、それでもいつの間にか猫の俺は眠ってしまうと朝を迎えた。マナトはいつも通り出掛ける準備をしている。俺はマナトの足元にすり寄って「にゃ~」と鳴くだけ。「じゃあ、行って来るね。今日は帰りが早いからいっぱい遊べるよ。」 そう云って微笑んでくれると少し不安も解消される。マナトの笑顔が俺にとっては有難い。こんな姿になったけど、マナトも猫の俺に話しかける事で気が紛れるのかもしれないと思った。...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (08)

    シャンプーして乾かされた後、散々マナトに撫でられて腹やお尻や肉球の匂い迄嗅がれてしまった俺は、ちょっと興奮してしまう。猫の俺も雄なんだけど、そこは人間の様に反応する事はないみたい。気持ち的にはイケそうな程感じているのに...........。 おとなしく布団の足元に置かれると、布団を被ったマナトは枕に頭を乗せた。暫くして俺が丸くなってうとうとしかけた頃、微妙に布団の中の脚がもぞもぞと動いて気になった。俺は...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (07)

    キッチンで料理を始めたのか、野菜を切る音がして俺は近寄っていくとシンクに飛び乗った。「こらこら、包丁持ってるから危ないよ。そこから降りて。」片手で俺を払う様な仕草をする。でも俺はしつこく居座ってじっとマナトの顔を見つめた。「なんだよー、どうした?お前も食べたいの?.......猫って野菜食べるのかな........」そう云うとキュウリを摘んで俺の口元に持ってくる。 俺は戸惑ってしまうが、匂いを嗅いでからパクリ...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (06)

    食べ終わった食器を片付けると、マナトは出掛けるのか着替えをして洗面所で髪の毛を整え始めた。少し伸びた髪を気にしつつ、ワックスで形を作ると右左と顔を鏡に向けてチェックしている。俺が前にカットしてやったままになっていて、美容室にも行っていないと思うとちょっと複雑だ。俺以外の誰かにマナトの髪を触らせたくない。でも、...........。いずれはカットしてもらわなきゃ、折角の可愛い顔が台無し。ボサボサ頭のマナト...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (05)

    ベッドに横たわるマナトの顔に近付くと、そっと匂いを嗅いでみる。が、酒の匂いはしなかった。余程疲れているのか、風呂にも入らずに布団に潜り込んでしまい、そんなマナトが心配になる俺だったが仕事の事は分からないし。俺も、店が終わった後にスタイリストの試験があったりすると遅くなる事もある。新しいスタイルを覚えるためにカットモデルを使っての勉強もあるし、正直マナトの事を考えない日も幾度とあった。マナトが俺の...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (04)

    これといって変化のない毎日を過ごしていたが、いつもは夜の8時頃に帰宅していたマナトが遅くなる事があった。平日、俺と出会えないマナトの行動は知らなかったけれど、猫になってここに住みついてからは珍しい。まあ、店を閉めた後でスタッフと飲みに行くこともあるだろう。俺だってマナトに一々報告しないでスタッフと飲みに行くこともあるし。俺がいなくなった現実を受け止めて、徐々に自分の生活を取り戻してきたのだろうか...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (03)

    風呂から出たマナトは、髪を乾かした後でベッドを背にして凭れかかると、スマホを手にしてじっと見つめる事が多い。フォルダーに入っている俺と自分の映った写真を見ては寂し気な顔をする。先にベッドに横たわった俺は、それを見ながら悲しくなるが、マナトに伝える事は出来なくて「にゃ~」と鳴くだけ。「どうした?......お前も淋しいのか?」 俺の方を振り返ると、背中や額を優しく撫でる。「にゃ~」 一応返事のつもりで声...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (02)

    24年間生きてきたけれど、犬や猫を飼った事は一度もなかった。親が共働きだったし、妹の真紀は猫の毛がアレルギーらしくて近寄れなかったから。俺もペットの世話をするよりは自分の事で手一杯。サッカーや野球や、いろんなクラブに入って忙しい子供時代を送っていた。 こうやって猫になってみると、一日は長すぎる。俺がリアルで過ごしていた何十倍の時間を使っても余る位だと思う。だから寝るしかなくて.......。 俺が猫に...

  • 勇者にも賢者にもなれない俺はときどき猫になる (01)

    「行って来るね」 そう云って玄関のドアが閉まると、ひやりと乾いた空気に混じっていいしれない寂しさが込み上げてくる。本当なら、今頃はバス停で待ち合わせの為に俺も靴を履いて玄関から出るところ。大学で知り合って、社会人になってからも交際は続きもう4年が過ぎた。俺、高杉力哉(タカスギ リキヤ)と柏木学人(カシワギ マナト)は、徒歩10分くらい離れたアパートでそれぞれ暮らしている。社会人になって、一緒に暮ら...

  • あの日の僕らに (直&光輝の日常イラスト)

    急に寒くなってきましたねー。外に出てみてビックリするほどです。家の中で半袖のTシャツ着ているのに、ベランダに出たら寒い寒い!!これは絶対風邪をひきそう・・・・・慌てて毛布とかトレーナーとか冬の準備を始めています。さてさて、直と光輝のふたりも相変わらずの仲良しですが、やはり料理を作るのは直の様ですね。お料理好きの男子、ものすごく好みです。私もこんな風に「何が食べたい?」なんて聞いてほしい!・・・・と...

  • あの日の僕らに No,No,No,No 秋ですね

    大変ご無沙汰しております暑い日もありますが、暦の上では秋ですね相変わらず仲良しのふたりです。最近、食欲旺盛になった直は、夕飯前にコンビニで買ったアメリカンドッグを食べる事が多くて光輝には注意されていますwwケチャップとマスタードをたっぷりかけすぎてしまい、焦るふたり服を汚さないといいけどね。。。にほんブログ村BLランキング...

  • あの日の僕らに No,No,No,No イラスト

    応援ありがとうございました。あれから直と光輝は、まったりとした時間を過ごしております。休日はソファーで庭を眺めながら、相変わらずくっついている二人。何を話しているのでしょうかね?次のお話まで今しばらくお待ちください。現在は下記のサイトで別の小説を更新中です。宜しければお立ち寄りください。↓ 「胸に宿るは蜘蛛の糸」 ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (257)

    * * * * 風鈴の形をしたピンク色の花が、夏の風にそよそよと揺れながら咲いている。それを眺めながら、首にタオルをかけた光輝は水やりのホースを握ると高く掲げて花壇に水を撒いた。 水しぶきが掛かり、花は音をたてる様に左右へと首を振る。今年、花壇に植えたカンパニュラの花は見事に咲き誇り、光輝の心を癒してくれた。そして、そんな様子を庭に置いたチェアに座って眺める直。肘掛けアームについているドリンクホルダ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (256)

    仕事を終えて帰途についた光輝だったが、昼間の直の発言が気になって仕方なかった。冷静に考えたら、菅沼に云ったように住む人間を募集しているみたいな言い方で。自分が寮を出て直の家に行きやすい様にしてくれたのだろうか。直はどこまでも自分の先を行っている気がする。というか、直の敷いたレールに乗せられている様な気もしてくる。____ 素直に乗ってしまえばいいのか? 部屋に戻ると、簡単な料理を作ってひとりで食...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (255)

    仕事が始まれば毎日が忙しくて。 直が寮を出て一軒家に住んでいるという話は、自然と知られるところとなる。昼休みになると、一緒に食事をする時にはその話が出て、光輝も周りの皆に合わせて話を聞く格好をする。「一回お邪魔してもいいですか?パーティーとかやりましょうよ」 菅沼は直にそう云うが、「パーティーとか、オレを何歳だと思ってるんだよ。それに、まだ部屋の片付けも終わってないから」と云って返事をにごした。...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (254)

    直が居た部屋をひと通り掃除して、ゴミもまとめると二人は光輝の部屋に戻って行く。「意外と汚れているもんだな。オレ結構マメに掃除とかしてたつもりなんだけどさ」 直は、光輝に借りた掃除機を仕舞いながら呟く。「そりゃあ、普段目にするところはキレイだと思うけど、家具のあった裏側とかさ、そんなの普段は掃除しないから。俺のとこなんてもっと凄いと思うんだよね」 光輝も少し疲れた表情をすると云う。キレイ好きの直の...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (253)

    真新しいシーツに身を投げて、二人で微睡む様に抱き合えば風景の変わった事など気にならなくて。 直に触れられるとそれだけで幸せな気持ちになる。それに、他に気にするものもない空間は、解放感を増すだけでなく快感も増す様だった。漏れる声も気にしなくていいのは有難い。 いつの間にか寝落ちしてしまった二人は、差し込んだ陽射しに反射して光る窓辺の時計が鳴り響いて目を覚ました。気だるげに起き上がると、直がシャワ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (252)

    その夜は、トラックを返しに行った帰りにお弁当を買い込んで戻ってきた。 円形のダイニングテーブルに並べて、この日の為に用意したワインも開ける。「明日は寮に行って最後の掃除をしたら終わりだな。鍵は月曜日に返すから」 直はワインを注ぎながら光輝に話す。グラスに注がれるワインを眺めながら、あの部屋の中がガランとしていた事を思い出すと胸がチクリとした。本当に直は寮から出て行ったのだと、当たり前の事を確認す...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (251)

    簡単な昼ご飯を挟んで、荷解きが終わったのは夕方近くだった。「ふぅ~~っ、なんとかなったかな。」 光輝が額の汗を拭きながら云う。「箱に詰めるより出して仕舞う方が時間かかるな。調理用具も結構あった」 直も立ったまま部屋の中を眺めるといった。リビングからキッチンも見えて、なんとなく見栄えも考えながら設置していたら時間がかかってしまった。それでも部屋の感じが変わって、実感も湧く。「あとは俺の部屋の分だな...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (250)

    夕飯をしっかりと食べた直は、光輝の部屋から出て自分の部屋に戻って行った。後ろ姿を眺めながら、ちゃんと休んでくれたらいいが、と思う光輝は、そっとドアにカギを掛ける。 いよいよ引っ越しの日が近づき、土日には光輝も手伝って荷物をまとめ、部屋の中には沢山の段ボール箱が。「こんなに荷物があったなんて.............。」と、半ば呆れ顔の光輝に、「これでも服とかは減らした方だよ。ジョギング用のシューズはつい買っ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (249)

    残暑の名残りは九月に入ってからも続き、連日の暑さと引っ越しの準備に追われる直は少々まいっていた。「とにかく、平日は仕事に集中してそれ以外は身体を休める事!引っ越しの準備は土日に俺も手伝うから」 そう云って、光輝は直の車から降りた。仕事終わりにスーパーへ行くため一緒に出掛けていたのだが、直の顔色が優れなくて心配した光輝は強い口調で云ってしまう。 後部座席から食料品の入ったエコバッグを取ると、直の分...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (248)

    * * * 夏季休暇の間、直と光輝は家と寮を行ったり来たりして過ごした。 浴室のリフォームも終わって、庭の雑草も綺麗に処理すると、少しばかりの花壇を造って花の種を植える。「カンパニュラ、ってどこかで聞いた様な名前だけど、花の名前だったんだ?」 直は土の付いた軍手を外すと、腰の辺りで軽くはたいて水やりをする光輝に訊ねた。「俺も知らなかったんだけどさ、5月から9月迄に種まきしていいらしくて。耐寒性も強...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (247)

    無事にテーブルとチェアを購入し、配達の手配も済ますと二人は新居へ向かった。一緒に買ったカーテンをリビングに取り付けると、更に実感も沸いてくる。「ここにあのテーブルや椅子を置くと、雰囲気もガラリと変わりそう。オレのソファーをこっちに置いて、ここにテレビ。飾り棚はここで」 直は部屋の中を歩きながら、頭の中でインテリアの配置を考えている様だ。光輝はそれを見ながら笑みを浮べる。「忘れないように図面を描い...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (246)

    直が寮を離れる事を寮母の澄江に伝えると、眉根を下げて淋しそうに笑い「残念だけど、家を持たれるのは素晴らしい事よねぇ。青山さんには色々助けてもらって、本当に感謝しています」と云われた。 狭い管理人室で向かい合うと、直も今までの思い出が蘇り淋しさを覚えた。「それで、いつ引っ越しされるの?」「引っ越しは来月末頃です。家の方もまだ手を入れたい所があって。それ迄はお世話になりますから、よろしくお願いします...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (245)

    部屋の様子は特に変わってはいない。なのに、やはりこの家に住むのだと思ったら感慨深かった。「オレと光輝の部屋はどうしようか。........あ、でも寝るのは一緒がいいな」 そう云った直の表情が嬉しそう。一緒に寝るならどの部屋でもいいだろうと思う光輝だが、すべての物を共有する訳にもいかないし、別々の部屋は必要だ。「じゃあ狭い方を俺の部屋にして。直のベッドはダブルだし場所をとるだろうから」「ここにベッドと荷物...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (244)

    直と夕飯を一緒に食べた翌週だった。予定通り家の契約をする為に、有給をとった直を気遣いながら光輝は事務所で仕事をこなしていた。「珍しいですよね、課長が有給とるのって。こんな時に旅行なんかしないだろうし」 いつもは直と外回りをしている菅沼が不思議そうに話す。直からは、予定があるから休むとだけ伝えられたそうだ。「課長もずっと忙しかったし、のんびりしたいんですよ。それに、今まで有給をとらない方が不思議で...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (243)

    光輝は寮に戻ると、シャワーを浴びた後でキッチンに立つが、開けた缶ビールを飲みながら何を作ろうかと悩む。暫く冷蔵庫を漁り、結局はいつもの簡単なチャーハンを作るところに落ち着いた。スープは玉子とわかめの中華スープ。鶏ガラの素があれば簡単に出来るので気に入っている。 本当は直も誘ってやりたかったが、暫く忙しかったし今日はみんな早く帰るという日だったので、そのまま帰って来てしまった。 チャーハンを皿に盛...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (242)

    先の見通しがついたところで、直は自分の契約の準備に取り掛かる。不動産会社からの連絡はなく、今のところ他にあの家を購入したいという人はいない様だった。仕事の合間にそれとなく物件情報は確認していて、あの家がまだ売却予定とはなっていない事にホッとする。 直が、仕事を終えて光輝の後から事務所を出ようとした時だ。「青山くん」という声で後ろを振り返る。「.......本田部長」 廊下でにこやかな笑みを浮べている本...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (241)

    事務所に戻った直は、今後の仕事の流れを皆に伝えて、一課に任せた案件も手伝える様にと声を掛けた。「分かりました」と口々に返事をするみんなの顔には、少しだけ安堵の表情が滲み出ていた。これで残業からも解放されるという気持ちがそうさせる。 光輝もホッとした表情になると、直の方を見て静かに微笑んだ。 お昼を挟んで、それぞれが自分の仕事を進めようと外回りに出る。光輝も河本と一緒にNK商事へ訪問する為に外へ出た...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (240)

    直の率いる営業二課では、一課にまわした新規商品の販売を進める為に集めた資料をまとめていた。 立林に訪問してもらった会社での感触もよく、後は商品の販売価格設定をどの辺にするかという話になると、直と立林と部長の本田は小会議室で打ち合わせに入る。 先に席に着いていた直は、立林が部屋に入って来ると、先ず「この度はありがとうございました」と礼を云う。「........いや、こっちこそ、色々な資料をまとめてもらって...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (239)

    額の汗を拭いながら会社のビルに入って行く光輝。夏場はバスでの通勤が厳しいと思いつつ、東京での通勤を考えたらマシな方だと感じる。電車やバスに乗り換えての通勤に加えて、ビルやアスファルトの反射熱で更に蒸し風呂状態だった。オフィスに入れば冷房で冷やされて、体調を管理するのも大変だ。ここは、会社の近くにバス停があって良かったと思う。「おはようございます」「おはようございます」 朝から事務所の中では活気あ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (238)

    直から白いTシャツを借りたが、体格の差なのか光輝の腰が隠れる丈で、ハーフパンツに至っては膝まで隠れてしまう。「..........なんか、可愛いな、その恰好」と、直は口角を上げると弁当のご飯を口に運んだ。「身長差だな」と、小声でつぶやく光輝は直の前に腰掛けると温め直した弁当の蓋を開ける。「一緒に住んだら色々共有できると思ったけど、服はダメそうだな」 直がそう云うので、光輝は少し考えて頷いた。前にパーカーを...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (237)

    _____ んんっ、_____ 熱を帯びた吐息はシーツのヒダに籠り、直の額から流れた汗が光輝の背中に落ちると、その度に湿った破裂音が部屋中に響く。 声を我慢しても漏れ聞こえる啼き声。光輝は枕に顔を埋めて堪えたが、直の手が強引に光輝の顔を斜めに向けさせるとその唇を覆った。舌を絡め合い歯列を弄ると、重なる唇の隙間を縫うように淫靡な滴は顎を伝う。 直の硬芯が深く打ち込まれると、「ひっ........」という...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (236)

    直からの甘いくちづけに、光輝の身体は震えてしまった。 食事モードになっていたはずの頭もすっかり蕩けてしまうと、呼吸を合わせる様に互いの瞳を見つめてはくちづけを交わす。 椅子に腰掛けた光輝の脚元に跪くと、直は今度は下から光輝の頬を挟んでくちづけた。その手が首にまわり、シャツのボタンを外し、少し汗ばんだ素肌に長い指先を伸ばす。「............ぁ、.......」という小さな吐息。それを吐きながら光輝の背中が...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (235)

    その日、帰りは直と一緒に車で戻って来た光輝。コンビニで買った弁当の袋を下げると車を降りて二階へと向かう。「晩飯、一緒に食おうよ。疲れてたらいいけど」 階段の途中で直に誘われて、光輝は「いいよ」と微笑んだ。疲れているのは直の方で、自分の心配をすればいいのに、と思う。 部屋のカギを開けて中へ入って行くと、先ずはエアコンのスイッチを入れる。それからジャケットを脱いで背もたれに掛けるとネクタイを緩めた。...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (234)

    終業時間ギリギリに事務所に戻って来た直。菅沼も一緒だったが、二人の表情は冴えなかった。飛び込みで入った会社の反応はいずれも薄くて、二社は内容を聞いてくれたようだが、他は社名を告げただけで門前払い。流石の直もガックリと肩を落としていた。「仕方ないですよ、本来なら製品開発の段階で販売ルートのアタリは付けておくんですから。今回は逆ですもんね。モノが出来たから販売先を探してこいったって、そう簡単に見つか...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (233)

    光輝は、河本と一緒にピックアップした会社を数社分記入すると、それを一課の栗原に見せた。一課の取引先に、新商品と関連付け出来る会社があったからで、そこへのコンタクトをとってほしいと打診する。週の半分を費やして、新規の取引先を探す直と菅沼だったが、未だ反応は薄く、谷原も他の社員も自分の抱えている仕事が遅れてしまうのは避けたいと、光輝に願い出たのだった。「宮本係長、ここは立林課長が以前担当した会社で、...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (232)

    栗原の了承を得て、資料室へと戻る途中で直と廊下で出くわした光輝。おもわず一課の資料を借りる事を告げた。「さすが光輝。オレが頼む前に気付いてくれるとは。やっぱりベストパートナーだな」「ちょ、........っと。こんな所で.....外回り行くんだろ?行ってらっしゃい」「じゃあ、な。」 直と別れた後で、自分の頬が赤くなっているのに気付いた。直が掛けてくれる言葉に、ついつい気持ちが昂ってしまう。こんな所を誰かに見...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (231)

    直が資料室を出て行った後で、光輝はいくつかのファイルを抱えると事務所へと戻った。 以前取り引きした事のある会社で、今回の商品の販売先になりそうなところがないかと、机の上に並べてはページをめくった。「河本さん、この会社って今も取り引きあったかな?」 一社の資料を取り出すと、それを河本に見せて訪ねた。「何処ですか?.........ああ、ここは今はないですね。私が入ってすぐの頃にはありましたけど、今は取り扱...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (230)

    菅沼と共に事務所へ戻った直は、そこに居た社員に先ほどの話を伝える。 話を聞いて、菅沼同様に渋い顔をしたのは河本だった。光輝は、直の性格から、受けた仕事はきっとやり遂げないと気が済まないだろうと思っていたし、その為に出来る事はするつもりでいた。「一課め.........」と、頬を膨らませる河本が、小さな声で呟く。それを横目に見ながら、谷原はがっくりと肩を落とした。残業があっても程々の時間で、家庭を持つ身と...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (229)

    * * * 月曜日。土日の疲れが少し残っているが、週の初めは営業にとっては忙しく、朝から会議が入っている直は営業部長の本田と顔を合わせた。 小会議室の中には、直と菅沼と、営業一課の課長の立林、その部下の栗原が呼ばれていて、部長の本田はテーブルに肘をつくと四人の顔を眺める。目の前に置かれたペットボトルの水を右に避けて、資料を広げるとひとつ咳ばらいをした。 直たちの顔が少し引き締まる。お小言でなければ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (228)

    翌朝、買っていた朝食を口にしてホテルを後にする二人。空は晴れ渡り、ドライブにはうってつけの天候だった。これから静岡の寮まで帰るが、二人の心は来た時とは正反対に晴れやかだ。日曜日という事で多少の混雑はあったが、無事に帰途につくと寮の部屋に入るなり全身の力が抜けた。「こんな所でも、やっぱり帰って来るとホッとするなー」 荷物を部屋に置いてソファーに身体を投げ出した直は、肘掛けからはみ出した足を思い切り...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (227)

    光輝がバスルームから出てくると、直はベッドの上でスマホを見ていた。 髪の毛をタオルで拭きながらやって来た光輝に気付くと、「あ、見てみて」とスマホの画面を向けてくる。「なに見てたの?」 そういって覗き込んだ光輝の腕を掴んだ直がベッドの上に引き寄せる。「あの家のダイニングに置くテーブル。このぐらいの大きさのがいいと思うんだよな」 見てみれば、画面に映っていたのは6人掛けぐらいのテーブルで。直の好き...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (226)

    「直、.........」 耳元で名前を呼ばれて、フッと意識が戻ると直は瞼を開いた。寝落ちしてしまった様で、光輝が顔を近付けると微笑んでいる。「あ~、寝ちゃってたな。今何時だ?」「........8時前だよ。そろそろお腹空いたから、何か食べに行かないか?」「うー、そうだな。行くか」 ベッドから起き上がり、頭をぐるりとまわしながら、直は洗面所に向かうと顔を洗った。少し寝たおかげで頭はスッキリしたようだ。髪の毛を整え...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (225)

    暫く居間で話しをすると、君枝は光輝と直に夕食を勧めた。だが、朝からの緊張で食欲のないふたり。出来ればホテルでゆっくりとしたい。「せっかくだけど、今日のところは帰るよ。ホテルも予約しているし、直も運転で疲れているだろうし。それに、.........アキラくんにも悪いしね」 部屋を出たきり顔を出さないアキラの事を思うと、光輝たちは申し訳ないと思った。気分を害されても仕方がない。「..........アキラくんも、きっ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (224)

    ピリピリとした空気が、畳に手を付いて謝る直と光輝の身体を包み込んだ。 アキラが云う事はもっともで、今更後悔しても遅かったが、今は謝る事しか出来ない。「お兄ちゃん、......青山さんも、頭をあげてください。私なら大丈夫だから」 未央は二人にそう云うが、隣のアキラは口を一文字にしている。とても許して貰えなさそうだった。「未央ごめん、俺が悪い。アキラくんの云う通りだ、妊婦のお前にこんな話、精神的にいい訳が...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (223)

    シン、と静まりかえった部屋に、「ただいまーっ」という声がドアを開ける音と共に聞こえてきて、皆は声のする方を見つめた。「あれ、いらっしゃい。どうしたんですか、やけに静かだな」 首にタオルを巻き付けて、額から汗を滴らせたアキラが居間を覗くと云った。日に焼けた顔が健康的で、その場の空気を一瞬で変えてしまう程。野球のユニフォームは泥で汚れ、それを見た未央が慌てて立ち上がる。「ちょっと、先にお風呂。泥は外...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (222)*

    寿司を口に運んでいる光輝だったが、緊張の糸が完全に解けた訳ではなかった。自分たちの関係を否定されなかった事は救いだ。でも、誰ひとり理解や厚意を示してくれてはいない。納得、してくれた、という事に過ぎないのだ。もちろん、こんな話を突然聞かされる家族の身になれば当然の事。そして、それは自分の家族にもいえる。この後で向かう実家の事を考えると、やはり食は進まない。「光輝、大丈夫か?」と、小声で直が気遣って...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (221)

    法子の頬を伝う涙を見たら、直も光輝も辛くなった。こんな風に泣かせてしまって、悪い事をしている気分になるし、自分たちの幸せばかりを考えて、家族を不幸にしてしまう事は何処かで考えないようにしていたんだと思った。「母さん泣かしちゃったよ........」という正の声が、二人に重くのしかかる。「悪いと思ってる。こんな報告をする事は、父さんや母さん、兄貴にも迷惑なんだって。だけど、こうしないとオレたちは前に進めな...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (220)

    健治と法子と正の三人から見つめられて、直も光輝も固唾を飲んだ。が、「ひょっとして、お前、会社でなんかやらかしたのか?」と訊いてくる正の言葉に力が抜ける。せっかくの覚悟が、兄の言葉によってへし折られてしまい、直はおもわず肩をガクリと下げた。「...........違うって、会社の事じゃなくて」と、直は正の顔を見上げると云い直した。「オレ、静岡で家を買おうと思ってて」「..........へ、ぇ、...............なんだ、...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (219)

    前回、この道を通った時も緊張はあった。しかし、今回は更に上を行く緊張マックスといった所。車内でも、話をしようと思うと不安ばかりが先だってしまい、覚悟して車に乗り込んだのに情けない。光輝は助手席で、只々前方をゆく車を見つめていた。「あと30分くらいか。..........取り敢えず、挨拶をしたら後はオレに任せて。親に何か云われても、オレが答えるから」 直はそう云うが、受け答えできる気がしない光輝は、初めから...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (218)

    ベッドに入っても、中々寝つけなくて、直は光輝の手をそっと握る。「手が冷たいな。緊張してるのか」「...........そりゃあ、緊張するよ。.........高校の時に見た、直のお母さんの顔が目の前に浮かんできて」「バカだな、...........オフクロだって別人みたいになってるよ。光輝のお母さんの方が変わってなかった気がする」「えっ、そんな事...................。そうか、じゃあ、今俺の頭に浮かぶお母さんは別人なのか。そう訊...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (217)

    実家に行くと決めてからの一週間はアッという間で。金曜日の夜を迎えると、二人とも落ち着かなくて、とにかく一緒に居ようと決めて光輝は直の部屋に泊る事にした。明日出発する準備をして、バッグを片手にやって来た光輝。その顔は少し血の気が引いている様にも見える。「大丈夫か?顔色、悪いけど....」と、直は招き入れた光輝を見て云った。そういう自分も多分顔色は優れないだろうと思う。職場でも、今日はなんだか口数が少な...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (216)

    仕事が終わると、直は光輝を誘って寮に戻った。車の中でも家の話になり、リビングには大きめのソファーが欲しいとか、冷蔵庫を見に行こうとか、そんな具体的な内容になってくる。 部屋に戻り、夕食を一緒にとると、更に具体的な話になって、光輝が車を購入すると言い出した。通勤にはやはり車が必要で、とにかく中古車でもいいから用意しなければいけないと思った。直と一緒に通勤するとしても、必ず一緒の時間に戻れるわけじゃ...

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