煩悩

煩悩の共鳴してる除夜の鐘風来丸

箱根

行く年や肌すべすべに箱根の湯風来丸

注連飾

これやこのしるもしらぬも注連飾る風来丸

牛鍋

霜降りの国産牛や子晦日風来丸

優しさ

ひと言に籠る気遣ひ冬景色風来丸

ヴェルダン

煤払ひのあとはのんびり仮寝かな風来丸

日向

日向ぼこ青空ばかりの二重窓風来丸

またね

数へ日や来てくださいね明日もまた風来丸

年の暮

これからはどうにかなるさ年の暮風来丸

古日記

日記買ふことしも過去となりにけり風来丸

挑む

左脚つれて右まで師走かな風来丸

ごわさん

ご破算で願いましてはクリスマス風来丸

休憩

鰭酒や昨日より今日かろやかに風来丸

日々

良かつたり悪かつたりで菊枯る風来丸

なるように

復帰する予定は春の冬座敷風来丸

平成

戦無き三十年の天皇誕生日風来丸

湯浴み

柚子五つ浮かべ冬至の朝湯かな風来丸

温もり

鯛焼のぬくもり伝ふ「食べるでしよ」風来丸

柚子湯

意のままにならぬ柚子湯に浸かりけり風来丸

きときと

かわつたねえ考へ方がねえ海鼠風来丸

再起

しのぶれと治りもたつく霜柱風来丸

洗い場

洗い場へ畳敷き詰め山眠る風来丸

爪

靴下を脱げば素足のうつた姫風来丸

鯨

寝たきりへの懸念うすれて飛ぶ鯨風来丸

おこげ

焼芋やお焦げを好む修道女風来丸

古典

流れつぐ六百年の息白し風来丸

白菜

白菜のひと葉ひと葉を剥きにけり風来丸

列

氷川丸錨を上げぬ冬鴎風来丸

はなび

葬送のはなび二発を冬の蝶風来丸

熱燗

熱燗やつい信じちやう愚か者風来丸

「いいね」

他人からの「いいね」気にせず浮寝鳥風来丸

膝小僧

湯豆腐に躙り寄りくる膝小僧風来丸

実感

昨日よりたしかに今日は冬帽子風来丸

蘇生

寒鰤に蘇生の兆しありにけり風来丸

世帯

増えつづく一人世帯の炬燵かな風来丸

大自然

愚痴ばかりの吾の遠景に冬茜風来丸

朱色

舞ふ巫女に神のりうつる里神楽風来丸

光

どん底を抜くるよろこび冬北斗風来丸

ぶるぶる

北風の降る日本ぶるぶるぶるどつぐ風来丸

肉

鋤焼や松阪経由賢島風来丸

きつと

大雪やたいせつにするきつとする風来丸

棚

大根の真つすぐだけが売られけり風来丸

伊東温泉

かけ流し老舗旅館の実南天風来丸

凪

冬の海穏やかな日へ坐薬かな風来丸

言葉

寄せ鍋やいまも伝はる息づかひ風来丸

あの日

侘助や希望うまれたのはあの日風来丸

耐

冬凪やじつと我慢の二週間風来丸

だから

決めたことだから辛いけどブロッコリー風来丸

人生の楽園

「人生の楽園」といふ番組で知る手作りの行灯届きぬ風来丸

芯

むしたちと白菜わかちあふわが家風来丸