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日々の便り https://blog.goo.ne.jp/hansyoodll84

男女を問わず中高年者で、暇つぶしに、居住地の四季の移り変わりや、趣味等を語りあえたら・・と。

老若男女を問わず、人夫々に出逢いの縁が絆の始まりとなり、可愛く幼い”蒼い”恋・情熱的な”青い恋”・円熟した”緑の”恋を辿って、人生観を形成してゆくものと思慮する そんな我が人生を回顧しながら、つれずれなるままに、出合った人々の懐かしい想い出を私小説風にブログに記してみた

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2015/11/08

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  • (続) 山と河にて 10

    姉妹編「河のほとりで」・「雪の華」・「山と河にて」に続くあらすじ}地方の医院で裕福に育った美代子は、所謂、英系のハーフなるがゆえに中学・高校時代、厳しい批判や差別に悩みながらも、抜群の運動神経を発揮して水泳では常に県大会で入賞するほど逞しく、培われた忍耐力で数々の苦難を凌いできた。そんな彼女も中学2年生の夏に、街を縦断する河で水泳中に起きた偶然の出来事から、東京から知り合いに遊びに来ていた、城大助の陽気で優しい思いやりのある態度に、何時しか自然と心を惹かれて恋に落ち、高校時代を通じて華やかな青春を満喫して過ごし、逢う瀬を重ねる毎に二人の淡い恋を深めていった。高校卒業直後の春。家庭の事情とはいえ街を離れて、母親のキャサリンの故郷であるロンドンに移住したが、初秋に帰国後、地元の医療福祉関係の大学に進学して日...(続)山と河にて10

  • (続) 山と河にて 9

    老医師は、玄関口で挨拶もそこそこに済ました大助を、満面の笑顔で手を引いて居間に連れて行ってしまった。やがて、お茶では物足りなくなったのか、老医師が大声でキャサリンに愛飲のウイスキキーと氷を持って来る様に催促し,機嫌のよい声にキャサリンも心が和らいだ。何を話しあっているのか二人の愉快そうな明るい笑い声が、病院の入り口にいる美代子と朋子にも廊下の空気を揺るがすように聞こえて来た。気が抜けた様に入り口の廊下に座り込んでいた美代子は、看護師の朋子さんから「美代ちゃん。恋人が訪ねて来たとゆうのに、なによ、そんな青ざめた顔でしゃがみ込んで・・」と、声をかけられ受付の部屋に連れて行かれた。親しい朋子の説得に少し落ち着きを取り戻した美代子は朋子に対し、今日の出来事を涙混じりに愚痴を零していたところ、今度は老医師が大助を連...(続)山と河にて9

  • (続) 山と河にて 8

    美代子が、何も語らず腕組みしている大助を、兎に角、いったん飯豊町に連れて帰るべく、懸命に促していたところ、正雄とともに部屋に戻って来た静子が「美代子さん、貴女のお悩みと、これからのことについての考えをお聞きしましたゎ」「私も、そのお考えに賛成で是非協力させていただきますが、私のマンションでは何かと精神的に抵抗感があると思いますので、あくまでもお父様の所有するマンションと理解してくださいね」と、思いやりのある言葉をかけてくれ、続いて正雄が「順序を踏んで冷静に話を進め、普段通りに勉強するんだよ」「転居することについては、お爺さんやキャサリンの考えもあり、又、相談しましょう」と口添えしてくれ「皆で、レストランで夕食を食べようか」と誘ってくれた。寅太と三郎は、昼をカップラーメンで過ごし物凄く空腹を覚えていたが、立...(続)山と河にて8

  • (続) 山と河にて 7

    美代子達は、新潟駅近くにある高級ホテルに入ると、広い座敷の中央に置かれた大きいテイブルを挟んで座った美代子に、養父の正雄はにこやかな顔をして「やぁ~暫く見ないうちに、大学生らしく立派な女性に成長したねぇ」「急な電話で驚いたが、さぁ~ここに来て、どんなこでもよいから遠慮せずに話してごらん」「美代子も判る通り、今の私には出来ることは限られているが、それでも私に出来ることなら精一杯のことをしてあげるから」と、優しい言葉を掛けられ、彼女が心の落ち着く間もなく、医師らしく「少し顔色が冴えないが・・」と言葉を繋いだ。彼女は、久し振りに対面した父に、懐かしさと憎さが入り混じった複雑な思いを抱いたが、高ぶった気持ちを抑えられず、養父である正雄に対し、青ざめた顔で、いきなり「わたし、本当に生きる力を失ってしまったゎ」と返事...(続)山と河にて7

  • (続) 山と河にて 6

    秋の夕暮れは早く、美代子達が屋外に出ると夕闇で薄暗かった。寅太が運転する車は、家並みが関散な町を通り抜けて、ビルの乱立する市内の中心部に入ると、街灯とビルから漏れる明かり、それに彩りの綺麗な店舗のネオンやイルミネーションに街頭が華やかに照らされ、人々が群れて華やいでいた。寅太は、後部座席に乗った大助と美代子の様子に気配りしていたが、助手席の三郎が「明るいところに出ると少しは気も晴れるなぁ」「オイ寅っ。これからどうなるんだ」と声をかけると、彼は憮然として「そんなこと、俺にも判らんよ」と答えたので、三郎は「話が段々と悪い方に進んで行くみたいで・・、昨日は高いカツ弁を食ってしまったわ」と悔やんで、溜め息混じりに呟いた。美代子は、無言で正面を見ている大助の左腕に両手を絡ませ、縋りつくように身を寄せて顔を近ずけ、小...(続)山と河にて6

  • (続) 山と河にて 5

    寅太が、美代子を連れて突然訪れたことで、異様な雰囲気に包まれた薄暗い部屋の空気を破る様に、大助がポツリと小声で「寅太君、階下でお湯を沸かしてきてくれないか。お茶でも飲もうや」と口火を切ると、寅太は予想外の大助の言葉に緊張感がほぐれ一瞬の安堵感から反射的に「ヨシキタ!。ヤカンはどれを使ってもいいんだな」「急須と茶碗はあるんかい」と返事して、勢いよく立ち上がり、三郎を連れて部屋を出て階下の共同炊事場に行った。階下の流し場に行くと、三郎が寅太の顔をジロジロと眺めまわして「なんだ、殴られたアザや傷跡がないが・・」と呟くと、彼が「これからだよ、コレカラダッ!」「俺一人より二人の方が、間隔があいて、少しは大助君の力もやわらぐので痛くないだろうしな」と答え、薬缶をレンジにかけると、三郎にむかい「さぁ勇気を出して、お湯が...(続)山と河にて5

  • (続) 山と河にて 4

    中秋の飯豊山麓の街は、秋雨がシトシトと降っていて少し肌寒い日であった。土曜日の昼頃。美代子と三郎の二人が、約束通り山崎商店の入り口脇の軒先で、一つの傘の中で身を寄せる様にして話し合うこともなく、なにか怯えるようにして佇んで寅太の車が現れるのを待っていた。すると、山崎社長が突然店から出てきて二人を見つけ「いやぁ、二人揃って珍しいねぇ、店の中に入ればいいさ。何か特別の買い物かね?」と声をかけたので、三郎は正直に「これから新潟に行くので、寅太の車に乗せて行ってもらうんだ」と返事をしているところに、寅太が空のダンボール箱を抱えて出てきてワゴン車に積み込んだ。彼は社長に平然とした顔つきで「大学に定期配達に行ってきます」と作業予定を話すと、社長は美代子達の顔をキョロキョロ見ながら、寅太に「診療所のお嬢さんを乗せ、お喋...(続)山と河にて4

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