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2015/10/07

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  • 「邪香草」 柴田よしき他アンソロジー

    邪香草:恋愛ホラ-・アンソロジ-(祥伝社文庫)2024.4.9読了。柴田よしき(著)他願い,ゆりあ,あおいちゃん,虞美人草,コワス,真珠の価値,銀の鋏他いじらし系の恋愛ホラーで、わりと好み。柴田さん目あてで読んだけどほかの作品も面白かった。最後の「ぬるい水」だけはわからんかった。6点。「邪香草」柴田よしき他アンソロジー

  • 「早期退職」 荒木源

    早期退職(角川文庫)20204.4.4読了。荒木源(著)辻本壮平、52歳。菓子メーカー営業課長。妻子あり、住宅ローンはほぼ完済ずみ。ある日突然、早期退職募集が開始される。辞めるべきか、会社にとどまるか、どちらが得かで悩む辻本課長の選択は――。主人公がどうも好きになれない。最後、ちょっとうまく行きすぎ。5点。「早期退職」荒木源

  • 「黒豹の鎮魂歌(上・下)」 大藪春彦

    黒豹の鎮魂歌(上・下)(光文社文庫)2024.4.1読了。大藪春彦(著)京葉工業地帯開発の利権に群がった元首相と結託する男たちの非道な仕打ちで、両親と妹二人を失った新城彰。日本を追われヨーロッパへと渡った新城は、フランス軍秘密部隊を除隊後、日本人観光客の夜のガイドに身をやつしていた。心の奥底に復讐の念を燃やし続ける彼の前に、ついに仇敵の一人が現れた!圧倒的な戦闘力と頭脳を武器に、いま孤独な戦いの火蓋が切られる!元首相・沖がヨーロッパに貯めこんだ厖大な隠し金を壊滅へと追い込んだ新城は、復讐のシナリオを胸に帰国。一人、また一人と仇敵らを確実に仕留めてゆく。政治家お抱えの暴力団同士の抗争を巧みに煽り、巨大な権力の本丸へと迫ってゆく新城。鉄壁の要塞に守られた醜悪な権力者たちを斃すことができるのか!?時代を超えて読...「黒豹の鎮魂歌(上・下)」大藪春彦

  • 「疾き雲のごとく」 伊東潤

    疾き雲のごとく(角川文庫)2024.3伊東潤(著)坂東の獅子・北条早雲の猛き生き様ここにあり!時代は血なまぐさい戦乱の世に突入した。将軍家に連なる名門・今川家は、家督争いによって二つに分裂する。一方、この内紛に目をつけた隣国の上杉定正は、名将・太田道灌を送り込むことで介入を目論んだ。道中、道灌は宿泊した寺院で、「宗瑞」を名乗る眼光鋭い青年僧と邂逅する。二人の運命的な出会いが、歴史を動かそうとしていた……。周囲の人々の眼を通して戦国の風雲児・北条早雲の生涯を描いた、疾風怒濤の歴史小説。早雲のかかわった人物と事象を短編で描き、早雲の人となりを描いた短編集。長編の方が好き。6点。「疾き雲のごとく」伊東潤

  • 「僕のなかの壊れていない部分」 白石一文

    僕のなかの壊れていない部分文春文庫2024.3白石一文(著)美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。それは、昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを結ぼうとしない。その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、絶望なのか渇望なのか。彼の特異な過去を知った枝里子は。「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」きっと、読む人を選ぶ。でも傑作。8点。「僕のなかの壊れていない部分」白石一文

  • 「黎明に起つ」 伊東 潤

    黎明に起つ(講談社文庫)2024.3.9読了。伊東潤(著)11年ものあいだ、京を荒廃させた応仁の乱。関東の地に新天地を求めた伊勢新九郎は、伊豆での激戦に身を投じることとなった。民を生かす世を希求する新九郎は守旧勢力を駆逐できるのか。若き日の挫折から覇権を打ち立てるまでの東国の雄・北条早雲を描く疾風怒濤の戦国小説。6点。「黎明に起つ」伊東潤

  • 「いくつになっても 江戸の粋」 アンソロジー/細谷正充・編

    いくつになっても江戸の粋(光文社文庫)2024.3.6読了。細谷正充(編)現代よりだいぶ早くに隠居し、余生を生きた江戸の人々。悠々と生きる者、ひと癖ある知恵者、嫌われ者、虐げられた者。己の場で、江戸のお年寄りたちが魅せる命と心の輝き。そして次の世代に伝えてゆく、自らの意気と生き様とは。名手たちによる短編3編と、書下ろし短編3編を収録。笑えて、泣けて。年を取るのも悪くないと思えてくる、傑作ばかりの時代小説アンソロジー。【収録作品一覧】三筋界隈青山文平つはものの女永井紗耶子いくばくも泉ゆたか(書下ろし)ひと夏志川節子(書下ろし)ほおずき長屋のお豪坂井希久子(書下ろし)五郎治殿御始末浅田次郎編・解説細谷正充浅田さんお目当てで読みましたが、まあ、期待したほどでは。5点。「いくつになっても江戸の粋」アンソロジー/細谷正充・編

  • 「憑神」 浅田次郎

    憑神(新潮文庫)2024.2.28読了浅田次郎(著)時は幕末、処は江戸。貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となった彦四郎。だが、跡継ぎを授かったとたん離縁され、実家に出戻るはめに。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、なんと神様があらわれた。だが、この神様、神は神でも、貧乏神!果たして、貧乏侍vs.貧乏神の行方は……!?とことんツイてない男が最後に選んだ真実の生きる道とは――。抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。最近ツイてない、ツキが欲しいと思っている人、必読。面白おかしく話は進み、感動のラストへ。7点。「憑神」浅田次郎

  • 「神よ憐れみたまえ」 小池真理子

    神よ憐れみたまえ(新潮文庫)2024.2.25読了。小池真理子(著)昭和史に傷跡を遺す「魔の土曜日」。その同日、少女の両親は惨殺された――。拭えぬ悪夢を抱えた一人の女性の生涯を紡ぐ、魂の叙事詩。昭和38年11月、三井三池炭鉱の大爆発と国鉄の多重衝突という二つの事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその同じ夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。何不自由ない家庭に生まれ育ち、母ゆずりの美貌と音楽の才能を併せ持つ、未来を約束された少女を襲った悲劇。事件は拭いされない悪夢として胸のうちに巣食い、不運の連鎖が彼女の運命を揺るがしていく――。10年の歳月を費やし、一人の女性の数奇な生涯を描破した、著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)たぶん、最後の書下ろし長編になるんだろうか?ひしひしとその覚悟が垣間見...「神よ憐れみたまえ」小池真理子

  • 「センセイの鞄」 川上弘美

    センセイの鞄(新潮文庫)2024.02.16読了。川上弘美(著)ひとり通いの居酒屋で37歳のツキコさんがたまさか隣あったご老体は、学生時代の国語の恩師だった。カウンターでぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、露店めぐりやお花見、ときにささいな喧嘩もはさみながら、ゆたかに四季をめぐる。年齢のはなれた男女の、飄々として、やがて切々と慈しみあう恋情を描き、あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。おとぎ話だけど(普通に考えたら気持ち悪いとか)。あらゆる世代をとりこにした谷崎賞受賞の名作。とか解説に書いてあるけど、とりこになったのは老人(男)だけなんじゃないのか。選考委員もそのあたりが多くてとか。まあ、読んでみて良かったからなんでもいいけど。8点。「センセイの鞄」川上弘美

  • 「沈黙のひと」 小池真理子

    沈黙のひと(文春文庫)2024.1読了小池真理子(著)亡き父が遺した日記には娘への愛、家族との不仲、そして恋人との心の交流が記されていた。生と死、家族を問い直す魂を揺さぶる傑作!吉川英治文学賞受賞、小池文学の最高峰!沈黙の中にどんな思いが秘められていたのか、人の心の中は覗いてみなければわからない。8点。「沈黙のひと」小池真理子

  • 「無花果の森」 小池真理子

    無花果の森(新潮文庫)2024.1読了小池真理子(著)小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う……。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。いいんだよ、老齢の女性画家も、おかまも、、、8点。「無花果の森」小池真理子

  • 「東京アクアリウム」 小池真理子

    東京アクアリウム(角川文庫)2024.1読了小池真理子(著)夜景が美しいカフェで親友が語る不思議な再会に震撼する表題作、施設に入居する母が実家で過ごす最後の温かい夜を描く「猫別れ」など8篇。人の出会いと別れ、そして交錯する思いを描く、珠玉の短編集。そう、短編もうまい。7点。「東京アクアリウム」小池真理子

  • 「ポトスライムの舟」 津村記久子

    ポトスライムの舟(講談社文庫)2023.12.22読了。津村記久子(著)29歳、工場勤務のナガセは、食い扶持のために、「時間を金で売る」虚しさをやり過ごす日々。ある日、自分の年収と世界一周旅行の費用が同じ一六三万円で、一年分の勤務時間を「世界一周という行為にも換金できる」と気付くが――。ユーモラスで抑制された文章が胸に迫り、働くことを肯定したくなる芥川賞受賞作。現代の勤労者小説、さすがの芥川賞受賞作。8点。「ポトスライムの舟」津村記久子

  • 「池上彰と考える、仏教って何ですか?」 池上彰

    池上彰と考える、仏教って何ですか?電書2023.10.19読了。池上彰(著)仏教の誕生、日本への伝来から、葬式や戒名の意味、新興宗教までーー。仏教にまつわる疑問、基礎知識について池上彰がわかりやすく解説。さらに、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ法王とインド・ダラムサラで対談、仏教の原点について聞く。それらを通して仏教とはどういう教えなのか考える。私たち日本人は、現実に仏教的な世界観の中で生きて、死んでいくのです。その世界観を知ることは、自らのアイデンティティを再確認し、心穏やかに生きるための大きな力になるのではないでしょうか?仏教を知ることは己を知ること。そして、日本を知ることです。(池上彰)仏教とは何か、池上氏がわかりやすく解説してくれる。ほんとに入門書。ものたりなかった。5点「池上彰と考える、仏教って何ですか?」池上彰

  • 「教団X」 中村文則

    教団X(集英社文庫)2023.10.16読了。中村文則(著)突然自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人を中心とした宗教団体、そして彼らと敵対する、性の解放を謳う謎のカルト教団だった。二人のカリスマの間で蠢く、悦楽と革命への誘惑。四人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国の根幹を揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、そして光とは何か。宗教、セックス、テロ、貧困。今の世界を丸ごと詰め込んだ極限の人間ドラマ!この小説には、今の私たちをとりまく全ての“不穏"と“希望"がある。2つの教団と、アフリカの原始宗教過激派、公安警察。それと主な登場人物たち。これがバラバラにまとまりなく進行していくお話し。読んでいて非常にまとまりを感じない。小説としての一体感がた...「教団X」中村文則

  • 「野良犬の値段(上)(下)」 百田尚樹

    野良犬の値段(上)(下)幻冬舎文庫2023.9.18読了。百田尚樹(著)突如ネット上に現れた謎の「誘拐サイト」。誘拐されたのは、身寄りのない六人のみすぼらしいホームレスだった。果たしてこれは事件なのか、イタズラなのか。半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に「誘拐サイト」はなんと、被害者たちとは何の関係もない、大手メディアに身代金を要求する。前代未聞の「劇場型」誘拐事件が幕を開ける!これは一気読み。途中止まらない。この設定考えつくのがスゴイと思います。途中から完全犯罪の完成が見えてくるが、色々と細かいところも考えてあって、これなら納得できる。一つの矛盾点も矛盾点として挙げており、こうして押し切った(言い逃れた)とまで書いてある。7点。「野良犬の値段(上)(下)」百田尚樹

  • 「禁断の中国史」 百田尚樹

    禁断の中国史飛鳥新社単行本2023.9.6読了。百田尚樹(著)「本書を読めば、読者の皆さんは「中国」と「中国人」の本質を知ることになるでしょう。あなたの中の誤った中国像が音を立てて崩れていくかもしれません。しかしこれが中国の真の姿なのです」(まえがきより)ベストセラー作家・百田尚樹、初のR15指定本!中国4000年のタブーを全て暴く!久々に単行本を持ち歩いて読んでみました。面白かったです。ホントに自分の認識とだいぶ違ってました。三国志など好きだったんですが、嫌いになりました。もう読みたくもない。7点。「禁断の中国史」百田尚樹

  • 「百年法(上・下)」 山田宗樹

    百年法上・下(角川文庫)電書版2023.8.28読了。山田宗樹(著)不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?SF小説ではあるが、なんか近未来の日本のシミュレーションの様でもある。身につまされた。ほんとにこんな世の中になるのじゃないだろうかと思わされる真実味がそこにはあった。国を興し、国を作り、繫栄させていく。こんなに楽しい仕事はないだろうな。なんか読んでいてストーリーとは別にそんなことをふと考えた。もう一度読みたいな。8点。「百年法(上・下)」山田宗樹

  • 「ののはな通信」 三浦しをん

    ののはな通信2023.8.20読了。三浦しをん(著)電子書籍横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ…。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。女子校で出会い、運命の恋を得た少女たちの20年超を、全編書簡形式で紡いだ、女子大河小説の最高峰。特に後半、読むのが止まらなくなる。一人の人間として...「ののはな通信」三浦しをん

  • 「変な家」 雨穴

    変な家単行本2023.8.16読了。雨穴(著)YouTubeで1400万回以上再生のバズ動画あの「【不動産ミステリー】変な家」にはさらなる続きがあった!!謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋——間取りの謎をたどった先に見た、「事実」とは!?知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。間取りの謎をたどった先に見たものとは……。不可解な間取りの真相は!?突如消えた「元住人」は一体何者!?本書で全ての謎が解き明かされる!<目次>第一章変な家第二章いびつな間取り図第三章記憶の中の間取り第四章縛られた家電子で読みました。ちょっと、読ん...「変な家」雨穴

  • 「JR上野駅公園口」 柳美里

    JR上野駅公園口(河出文庫)2023.4.17読了。柳美里(著)一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ描かれる、日本の光と闇……居場所を失くしたすべての人へ贈る物語。解説=原武史、全米図書賞・翻訳文学部門受賞作どんな仕事にも慣れることはできたが、人生にだけは慣れることができなかった。人生の苦しみにも、悲しみにも、喜びにも。という一文が出てくる。大変心に残った。東北の貧しい農家ゆえの長き出稼ぎ。家庭や家族関係などはまともに構築できなかっただろう。特に子供とはどんな関係性だったのだろう。子供が生まれてから20年間も出稼ぎに出っぱなしなのだ、想像に絶する。そんな人生に慣れることなどたぶん誰もできないだろう。上野駅周辺のホームレスに...「JR上野駅公園口」柳美里

  • 「ミヤマ物語」1~3 あさのあつこ

    ミヤマ物語第一部二つの世界二人の少年(角川文庫)ミヤマ物語第二部結界の森へ(角川文庫)ミヤマ物語第三部偽りの支配者(角川文庫)全三冊2023.4.13読了。あさのあつこ(著)階層が厳しく分けられたウンヌに暮らす少年ハギは、母親のトモと二人暮らし。彼らは最下層である「クサジ」だった。その村を統治するのは、「ミドさま」と呼ばれる存在で、その姿を見ることは決して許されなかった。ウンヌで恐れられる存在がもう一つあった。それは「マノモノ」と呼ばれるもの。その名を声に出すと口が腐り落ちると言われた。ある日、トモに死罪が言い渡される。トモはミドさまのための水を絶壁の泉から汲みあげる水汲み女だったが、そこで粗相があったというのだ。――別次元の世界、現代に生きる小学校6年の透流(とおる)はマスコミで活躍する母親のことで学校...「ミヤマ物語」1~3あさのあつこ

  • 「人恋しい雨の夜に せつない小説アンソロジー」 浅田次郎 編

    人恋しい雨の夜にせつない小説アンソロジー(光文社文庫)2023.2.27読了。日本ペンクラブ(編集),浅田次郎(編集)T・カポーティに魯迅、「平家物語」から井上ひさし、宮部みゆきまで―。“感涙の小説家”浅田次郎が、広汎な読書体験のなかから、今なお強く胸に残る名作を精選した珠玉のアンソロジー。しみじみ心が洗われます。「あくる朝の蝉」井上ひさし、「ひなまつり」浅田次郎はたしかに良かった。せつない。そのほかは果たして何だったんだろう?4点。「人恋しい雨の夜にせつない小説アンソロジー」浅田次郎編

  • 「レイクサイド」 東野圭吾

    レイクサイド(文春文庫)2023.2.2読了。東野圭吾(著)中学受験の合宿の夜、その事件は起きた……妻は言った。「あたしが殺したのよ」。湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。事件の解明のために推理を展開するのが、隠蔽工作グループの中の一人、というところが面白い。表向きの事件の裏にまた裏がある。7点。「レイクサイド」東野圭吾

  • 「夜明けの街で」 東野圭吾

    夜明けの街で(角川文庫)2023.1.25読了。東野圭吾(著)不倫する奴なんてバカだと思っていた。でもどうしようもない時もある――。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の秋葉と不倫の恋に墜ちる。しかし、秋葉は誰にも明かせない事情を抱えていた……。不倫恋愛系のメインストーリーと、時効間近の殺人事件の謎。並行して描かれていて、どっちも面白いが、やはり最後は薄いエンディング。いいんだけど、深みが欲しい。5点。「夜明けの街で」東野圭吾

  • 「コゴロシムラ」 木原音瀬

    コゴロシムラ(講談社文庫)2023.1.23読了。木原音瀬(著)カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、篠突く雨が降る夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の厚意で泊めてもらうことになったが…。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。木原音瀬が挑んだ、ホラー&ミステリーの傑作。流麗な中村明日美子のイラストや、文庫オリジナルショートストーリーにも注目!ホラーではない。怖くもない。しっかりストーリーは練られていて退屈しない。事件の裏に隠されていた事実とは?てな感じ。また違った意味でちょっと驚かされる小説。6点。「コゴロシムラ」木原音瀬

  • 「粘膜戦士」 飴村行

    粘膜戦士(角川ホラー文庫)2023.1.18読了。飴村行(著)占領下の東南アジアの小国ナムールで、大佐から究極の命令を下された軍曹。抗日ゲリラ、ルミン・シルタと交戦中、重傷を負い人体改造された帰還兵。複雑な家庭事情を抱え想像を絶する悲劇に見舞われる爬虫人好きの無垢な少年。陸軍省の機密書類を盗み出そうとして捕らわれた2人の抗日分子。そして安住の地を求めて山奥に辿り着いた脱走兵…。戦時下で起こる不可思議な事件。目眩く謎と恐怖が迫る、奇跡のミステリ・ホラー。なんか粘膜シリーズは読む前からワクワクする。そして読み始めてその独特の世界観にやっぱこれこれとなる。これはグロいのか、はたまたエロいのか、確かなことはミステリーホラーではないような気がする。7点。「粘膜戦士」飴村行

  • 「猿島館の殺人」 折原 一

    猿島館の殺人新装版:黒星警部シリーズ2(光文社文庫)2023.1.14読了。折原一(著)フリーライターの葉山虹子は東京湾に浮かぶ孤島「猿島」へ上陸する。帰りそびれた虹子が迷いこんだのは島で暮らす猿谷家の館。ところが、主人の藤吉郎が密室で殺され、その後も怪事件が続発する。犯人を示す鍵は「猿」。脱獄犯を追って島へきた黒星光警部と虹子は真相に辿り着けるのか。猿づくしの異色長編ミステリーが著者の大幅加筆修正のうえ新装版で新たに登場。どうもこの二人の主人公が好きになれないし。なんか全体的に浅いし。シリーズであと何冊か持っていたけど、読まないで手放そう。5点。「猿島館の殺人」折原一

  • 「ゲームの名は誘拐」 東野圭吾

    ゲームの名は誘拐(光文社文庫)2023.1.10読了。東野圭吾(著)敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー。最後まで面白く読めただけという感じ。東野さんの作品としては何か足りない。主人公が自信過剰気味なんだけど、結局仕掛けた相手は一枚も二枚も上手だったというオチ。6点。「ゲームの名は誘拐」東野圭吾

  • 「ブルータスの心臓」 東野圭吾

    ブルータスの心臓(光文社文庫)2022.12.22読了。東野圭吾(著)産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也。将来を嘱望される彼は、オーナーの末娘・星子の婿養子候補になるが、恋人・康子の妊娠を知り、困惑する。そんな矢先、星子の腹違いの兄・直樹から、同僚の橋本とともに、共同で康子を殺害する計画を打ち明けられ…。大阪・名古屋・東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーがスタートした。傑作長編推理。完璧な計画がいきなり破綻しスタート。だれが犯人なのかわからないまま終盤まで一気に読まされる。刑事たちの地道な捜査などもあってだんだん事件は真相にというところで、先にこいつ(誰か)が犯人を突き止める。そこには思わぬ動機が!人はそれぞれ欲を抱えて生きている。6.5点。「ブルータスの心臓」東野圭吾

  • 「ダイイング・アイ」 東野圭吾

    ダイイング・アイ(光文社文庫)2022.12.14読了。東野圭吾(著)雨村慎介は何者かに襲われ、頭に重傷を負う。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。怪我の影響で記憶を失った慎介が事故について調べ始めると、周囲の人間たちは不穏な動きを見せ始める。誰が嘘をつき、誰を陥れようとしているのか。やがて慎介の前に妖しい魅力に満ちた謎の女が現れる。女の正体は、人形職人が甦らせた最愛の妻なのか?謎が謎を呼び、ページをめくる手が止まらない。まさに一気読み。東野さんは面白いけど、こんなに面白かったっけ?再認識させられた一冊。7.5点。「ダイイング・アイ」東野圭吾

  • 「犯人のいない殺人の夜」新装版 東野圭吾

    犯人のいない殺人の夜新装版(光文社文庫)2022.12.13読了。東野圭吾(著)親友が屋上から落ちて、死んだ。自殺と思えない「俺」は当時の様子を探り始めるが…。(「小さな故意の物語」)直美は死ぬ直前にビデオメッセージを残した。その理由とは…。(「さよならコーチ」)岸田家の中で殺人が起きた。しかしそこには、死体もなければ犯人もいない…?(表題作)渦巻く人間の欲望を描いた全七編を収録。エンタメの頂点を極めた著者が贈る、珠玉の短編集「小さな故意の物語」「闇の中の二人」「踊り子」「エンドレス・ナイト」「白い凶器」「さよならコーチ」「犯人のいない殺人の夜」の7つの短編で構成されている。どれも初期の作品らしいが読んでみるとやはり東野さんだとわかる。ストーリーのその奥にもう一つの深みがある。このころから変わっていない。...「犯人のいない殺人の夜」新装版東野圭吾

  • 「優しい死神の飼い方」 知念実希人

    優しい死神の飼い方(光文社文庫)文庫2022.12.7読了。知念実希人(著)犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。まず、タイトルがいい。タイトルだけで読み始めちゃう。死神が犬の中に入ってバラバラの肉体と精神とにバランスをつけ、そして、興味のなかった人間に犬ならではの親近感で好感を抱いていく様は滑稽であり、そして楽しい。ミステリーとしては中途半端かもしれないが、ハートフルファンタジーとして十分面白いんじゃないか。6点...「優しい死神の飼い方」知念実希人

  • 「花のあと」 藤沢周平

    花のあと(文春文庫)2022.12.6読了。藤沢周平(著)娘盛りを剣の道に生きた武家の娘、お以登にも、心中ひそかに想う相手がいた。部屋住みながら道場随一の遣い手・江口孫四郎である。女剣士の昔語りとして端正に描かれる異色の表題作のほか佳品七篇(「鬼ごっこ」「雪間草」「寒い灯」「疑惑」「旅の誘い」「冬の日」「悪癖」)。どの短編もいい。味わいがある文章、ほっとするラストが多くて良かった。6点。「花のあと」藤沢周平

  • 「奇想博物館」 日本推理作家協会 (編集)

    奇想博物館:日本ベストミステリー選集(光文社文庫)2022.11.24読了。日本推理作家協会(編集)予想を裏切る『至宝』の数々!驚きのトリックに、思いがけぬ結末。ミステリーの醍醐味を詰め込んだ豪華アンソロジー!いろんな作家さん(15人)の短編が一冊で読めるアンソロジー。新たな作家さんとの出会いを求めて読んでみるが良かったのは宮部みゆきさんの「野槌の墓」、湊かなえさんの「長井優介へ」であった。(ミステリーだけじゃなく、いろんなジャンルが詰まっています)5点。「奇想博物館」日本推理作家協会(編集)

  • 「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野晶午

    葉桜の季節に君を想うということ(文春文庫)2022.11.14読了。歌野晶午(著)SMAP×SMAPで中居くんが「最後の1ページまで目が離せない恋愛活劇ミステリー」とおススメ!究極の驚愕、ミステリーの奇蹟がここにある素人探偵のもとに持ち込まれた霊感商法事件の意外な顛末、そして…。あなたは最後の一文まで、ただひたすら驚き続けることになる。「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして——。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本。第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞受賞。叙述トリックと言える...「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午

  • 「ブレイン・ドレイン」 関俊介

    ブレイン・ドレイン(光文社文庫)2022.11.9読了。関俊介(著)舞台は“邪悪”な“欠落者”と判定された人間を隔離する人工島。特異な能力を持つBDことセイもその一人だ。だが彼は自分が欠落者ではないことを知っている。なんとしても島を出たいセイに、密命が持ち込まれた。報酬は破格、恩赦で島を出られる可能性もある――。セイは自身が欠落者でないことを証すため、命がけのミッションに挑む。怒濤のエンタメ巨編!!設定だけで、ひねりも、どんでん返しもなく、あらすじのまますすむ。そして予想通りのラストへ。あらすじを見て最初に期待したほど盛り上がらなかった。4点。「ブレイン・ドレイン」関俊介

  • 「奇譚を売る店」 芦辺拓

    奇譚を売る店(光文社文庫)2022.10.25読了。芦辺拓(著)「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく……。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全6編の悪魔的連作短編集!古書収集家がまたもや買ってしまった古書に没入し、在らぬ妄想の世界に埋まって出てこれなくなるお話し。全体の雰囲気もいいし、挿絵もいい!5点。「奇譚を売る店」芦辺拓

  • 「さあ、地獄へ堕ちよう」 菅原和也

    さあ、地獄へ堕ちよう(角川文庫)2022.10.12読了。菅原和也(著)SMバーでM嬢として働くミチは薬とアルコール漬けの日々を送っていた。だが、幼馴染のタミーとの再会からミチの日常が変容していく。タミーが関わっているという残虐な死体写真が集められた“地獄へ堕ちよう”という裏サイトの存在。さらに自らにおぞましいほどの身体改造を求める、店の同僚リスト。出口のない欲望が絡み合い、凄惨な事件が起こる―。最年少で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞した衝撃の暗黒青春ミステリ。主人公が住んでいるアパートがありえない。何があっても通報しない、苦情も出ない。だれも住んでいないという想定なのか?そんなわけないだろ。他にもありえないこと多々。警察も無能すぎるし。このグロい小説のラストシーンが爽やかでなんだかなぁという感じ。5...「さあ、地獄へ堕ちよう」菅原和也

  • 「苦役列車」 西村賢太

    苦役列車(新潮文庫)2022.10.1読了。西村賢太(著)私小説の逆襲。芥川賞受賞作!劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)卑屈なんだけど、最終的には必ず相手を罵倒する。感情移入なんていらないんだ純文学なんだからの芥川賞!5点「苦役列車」西村賢太

  • 「柔らかな頬」上・下 桐野夏生

    柔らかな頬(上・下)(文春文庫)2022.9.30読了。桐野夏生(著)私は子供を捨ててもいいと思ったことがある――。衝撃のラストが議論を呼んだ直木賞受賞作。カスミには、家出して故郷の北海道を捨てた過去がある。だが、皮肉にも北海道で幼い娘が失踪を遂げる。じつは夫の友人・石山に招かれた別荘で、カスミと石山は家族の目を盗み、逢引きを重ねていたのだ。罪悪感に苦しむカスミは一人、娘を探し続ける。四年後、元刑事の内海が再捜査を申し出るまでは――。私は子供を捨ててもいいと思ったことがある――。衝撃のラストが議論を呼んだ直木賞受賞作。野心家の元刑事・内海も、苦しみの渦中にあった。ガンで余命半年と宣告されたのだ。内海とカスミは、事件の関係者を訪ね歩く。残された時間のない内海は、真相とも妄想とも夢を見始める。そして二人は、カ...「柔らかな頬」上・下桐野夏生

  • 「ダーク」上・下 桐野夏生

    ダーク(上・下)(講談社文庫)2022.9.16読了。桐野夏生(著)「私の中の何かが死んだ」出所を心待ちにしていた男が四年前に獄中自殺していた。何も知らされなかった村野ミロは探偵を辞め、事実を秘匿していた義父を殺しにいく。隣人のホモセクシャルの親友。義父の盲目の内妻。幼い頃から知っている老ヤクザ。周囲に災厄をまき散らすミロを誰もが命懸けで追い始めた。「朴美愛(パクミエ)」偽造パスポートを手に入れたミロは海峡を越え韓国に渡る。偽ブランド品を手がける現地の男と即座に愛人契約を結ぶが、彼は自分の身代わりとなって撃たれ下半身の自由を失ってしまう。深い愛情で結びついた二人は復讐を決意した。覚醒剤、レイプ、殺人。善悪を超えて世界を圧倒する壮絶な魂の遍歴。たしか、初めて読んだときはミロやその他の登場人物の変わりように嫌...「ダーク」上・下桐野夏生

  • 「ローズガーデン」 桐野夏生

    新装版ローズガーデン(講談社文庫)2022.9.11読了。桐野夏生(著)高校二年生のあの日。薔薇(ばら)が咲き乱れる自宅のベッドで、ミロの口から「義父と寝た」という驚くべき話を聞かされた。「俺」は激しい嫉妬に囚(とら)われ興奮した──。ジャカルタで自殺した前夫・博夫の視点で、村野ミロの妖艶な青春時代を描いた表題作など、4つの事件簿からなる短篇集。「ミロシリーズ」第3弾!「ミロシリーズ」第3弾!でございます。これはたぶん読んだことないですね。よって、再読ではありません。その当時、これ短編集だし、本筋とはたぶん関係ないだろうとということで、脇によけといた部類ですね。今回読んでみましたが、たぶん、当時の私正しい判断だったと思います。たぶん、これ関係ないです。何と関係ないかはアレですが、本としては面白くないわけじ...「ローズガーデン」桐野夏生

  • 「天使に見捨てられた夜」 桐野夏生

    AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!ミロシリーズ第二弾でございます。こちらも再読なんですが、ほんとすっかりなんにも覚えていない。いいですね。ミロシリーズ!この第二弾は前作より好きですね。女流作家が、女探偵を主人公に書いている独特のこの雰囲気が良いです。8点「天使に見捨てられた夜」桐野夏生

  • 「顔に降りかかる雨」 桐野夏生

    新装版顔に降りかかる雨(講談社文庫)2022.9.6読了。桐野夏生(著)親友の耀子が、曰く付きの大金を持って失踪した。夫の自殺後、新宿の片隅で無為に暮らしていた村野ミロは、共謀を疑われ、彼女の行方を追う。女の脆さとしなやかさを描かせたら比肩なき著者のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞!再読だが大雑把なストーリーを覚えていただけだったので、大変面白く読めた。最後の真相もまったく覚えていなくて、「えっ!」ってなったくらいだ。これがミロシリーズ第1作か、、、なんか感慨深いものががあるよね。なんかこの後ミロさんどんどん変わっていってしまって読む気がなくなってしまったんだよな。今回はどうだろ?6.5点「顔に降りかかる雨」桐野夏生

  • 「水の眠り灰の夢」 桐野夏生

    新装版水の眠り灰の夢(文春文庫)2022.9.1読了。桐野夏生(著)東京オリンピック前夜の熱気を孕んだ昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、女子高生殺しの容疑者に。高度成長の歪みを抱えたまま変貌する東京を舞台に、村野が炙り出したおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描いた傑作ミステリー。昭和の雰囲気がいい感じだし、なにせこの村野という主人公がカッコイイ。そしたら、村野ミロの義父だというじゃないですか?なるほどねぇ。7点「水の眠り灰の夢」桐野夏生

  • 「猿の見る夢」 桐野夏生

    猿の見る夢(講談社文庫)2022.8.28読了。桐野夏生(著)現在の薄井の楽しみは、十年来の愛人しかなかった。それなのに逢い引きに急ぐところを会長に呼び止められ、社長のきなくさいセクハラ問題を耳打ちされる。家に帰れば、妻が占い師を知らぬ間に連れ込んでいる。女のマンションで機嫌をとって朝帰りすれば、妹から電話で母が亡くなったと知らされた。「なぜみんな俺を辛い立場に立たせる?」欲深い59歳の男はついにある一線を越えてしまう。もっとも過激な「定年小説」!定年小説だそうですが、この主人公と年齢の近い男が読めば、これは立派なホラー小説です。ほんと怖かった、そして大変おもしろく読ませていただきました。「猿の見る夢」という題名も秀逸です。8点「猿の見る夢」桐野夏生

  • 「夜また夜の深い夜」 桐野夏生

    夜また夜の深い夜(幻冬舎文庫)2022.8.23読了。桐野夏生(著)友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。ラストはどうなるんだろ?と思って読んできたが、小さなどんでん返しとふわっとした終わり方。なんかもっとハードな着地になるのかと思っていたからちょっと気が抜けた。しかし、主人公たち3人の生命力をはらんだ疾走的サバイバルは面白く読めた。舞台がナポリっていうのもまたダークでいい。7点。「夜また夜の深い夜」桐野夏生

  • 「奴隷小説」 桐野夏生

    奴隷小説(文春文庫)2022.8.18読了。桐野夏生(著)長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう、という掟のある村で、ある少女が結婚相手として選ばれる「雀」。ある日突然、武装集団によって、泥に囲まれた島に拉致された女子高生たちを描いた「泥」。アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿とは?(「神様男」)。管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事し、時に動物より躊躇なく殺される。死と紙一重の鐘突き番にさせられた少年の運命は?(「山羊の目は空を青く映すか」)……など。時代や場所にかかわらず、人間社会に現れる、さまざまな抑圧と奴隷状態。それは「かつて」の「遠い場所」ではなく、「いま」「ここ」で起きている。あなたもすでに、現代というディストピアの奴隷なの...「奴隷小説」桐野夏生

  • 「夜の谷を行く」 桐野夏生

    夜の谷を行く(文春文庫)2022.8.15読了。桐野夏生(著)女たちが夢見た「革命」とは?連合赤軍事件をめぐるもう一つの真実に光をあてた傑作長篇。山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、十二人の仲間が次々に死んだ。アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は五年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。しかし、ある日突然、元同志の熊谷から連絡が入り、決別したはずの過去に直面させられる。独り暮らし、63歳女性の実は壮絶な過去。それを日常のなかに必死に埋め込んでなかったことにしようと生活してくが、あるきっかけであの当時の自分と対峙していく。引きずり込まれます。7点。「夜の谷を行く」桐野夏生

  • 「バラカ」(上・下) 桐野夏生

    バラカ上・下(集英社文庫)2022.8.10読了。桐野夏生(著)出版社勤務の沙羅は40歳を過ぎ、かつて妊娠中絶した相手の川島と再会。それ以来、子供が欲しくてたまらなくなってしまった。非合法のベビー・スークの存在を聞きつけ、友人・優子とドバイを訪ねた。そこで、少女「バラカ」を養女にしたが、全く懐いてくれない。さらに川島と出来婚をしていたが、夫との関係にも悩んでいた。そんな折、マグニチュード9の大地震が発生。各々の運命は大きく動き出す。東日本大震災によって、福島原発4基すべてが爆発し、日本は混沌としていた。たった一人で放射能被害の警戒区域で発見された少女バラカは、豊田老人に保護された。幼くして被曝した彼女は、反原発・推進両派の異常な熱を帯びた争いに巻き込まれ―。全ての災厄を招くような川島に追われながらも、震災...「バラカ」(上・下)桐野夏生

  • 「東京棄民」 赤松利市

    東京棄民(講談社文庫)2022.8.2読了。赤松利市(著)これは、日本の未来に対する警告である。感染者、重症者、死者、最多更新。最凶の新型コロナウイルス・東京株が蔓延した未来。政府は東京を見捨てる決意をした!令和4年。新型コロナは再び変異を起こし、東京固有の株が猛威を振るっていた。大量の感染者。死者。なすすべがなくなった政府はいよいよ、「東京逆ロックダウン」、すなわち感染者を残し、東京都民を全国に分配し、東京をロックダウンすることを決意する。しかしろくな学歴もなく、正社員の立場も失い、漫画喫茶に寝泊まりしている主人公のイサムは政府の避難指示を受け取ることができず、東京に取り残されることになってしまった。山本周五郎賞候補、大藪春彦賞受賞、業界最注目作家、初の文庫書下ろし。発想は素晴らしい。けど、小説としては...「東京棄民」赤松利市

  • 「ロスト・ケア」 葉真中顕

    ロスト・ケア(光文社文庫)2022.7.27読了。葉真中顕(著)戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奧に響く痛ましい叫び――悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味……。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。葉真中作品ははずれがない。6点「ロスト・ケア」葉真中顕

  • 「政治的に正しい警察小説」 葉真中顕

    政治的に正しい警察小説(小学館文庫)2022.7.21読了。葉真中顕(著)“ポリティカル・コレクトネス”をコンセプトにした警察小説の依頼を受けた、新人作家・ハマナコがたどり着く境地とは……!?表題作「政治的に正しい警察小説」ほか、偶然通りかかったカレーショップで、生き別れた母の思い出の味に再会した大学生の僕とその“隠し味”をめぐる「カレーの女神様」、25歳の若さで亡くなった“史上最強の棋士”紅藤清司郎の没後20年にあたり、彼の軌跡を取材したライターがたどりつく真相を描く「神を殺した男」など。驚愕と感嘆にあふれた全6編を収録。『ロスト・ケア』『絶叫』など社会派ミステリーの新鋭が放つ、ブラックユーモアミステリー集が文庫オリジナルで登場。ブラックユーモアミステリー集なんでしょうか?最後の表題作「政治的に正しい警...「政治的に正しい警察小説」葉真中顕

  • 「テミスの剣」 中山七里

    テミスの剣(文春文庫)2022.7.19読了。中山七里(著)豪雨の夜の不動産業者殺し。強引な取調べで自白した青年は死刑判決を受け、自殺を遂げた。だが5年後、刑事・渡瀬は真犯人がいたことを知る。隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬はひとり事件を追うが、最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった!どんでん返しの帝王が司法の闇に挑む渾身のミステリ。司法国家とは?国家権力とは?司法が腐敗していて、自己保身しかない警察のくだらない足の引っ張り合い、冤罪ってなくならないわけだな。何時自分がやってもいない事件で逮捕されてしまうかもしれない。そう思うと恐ろしい。途中のストーリーもどんでん返しも良かった。渡瀬警部の足跡が知れてちょっと得した気分。6点「テミスの剣」中山七里

  • 「マリオネットの罠」 赤川次郎

    マリオネットの罠(新装版)文春文庫2022.7.14読了。赤川次郎(著)作家生活30周年記念。赤川次郎の処女長篇。“私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない"…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。『マリオネットの罠』は、氏がデビューした翌年に書き下ろした初めての長編ミステリーであり、力のこもったサスペンス小説である。この『マリオネットの罠』は、ユーモア・ミステリーのある軽いタッチの初期作品群とはまったく趣を異にしたフランス・ミステリーふうのサスペンス小説であり、氏が新しい舞台に全力投球で臨んだことがうかがえる...「マリオネットの罠」赤川次郎

  • 「連続殺人鬼カエル男ふたたび」 中山七里

    連続殺人鬼カエル男ふたたび(宝島社文庫)2022.7.10読了。中山七里(著)凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。十ヵ月後、事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。カエル男の報復に、渡瀬&古手川の刑事コンビもふたたび動き出す。さらにカエル男の保護司だった有働さゆりもアクションを起こし……。渡瀬&古手川コンビにふたたび会えたのはうれしかったが、ハードルも上がっちゃってるし、前作の方が数段良かったなぁ~。5点。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」中山七里

  • 「コクーン」 葉真中顕

    コクーン(光文社文庫)2022.7.1読了。葉真中顕(著)一九九五年三月二十日、丸の内で起こった無差別乱射事件。カルト教団『シンラ智慧の会』による凶行の首謀者は、忌まわしき過去を背負う教祖、天堂光翅であった。彼や教団に関わった者たちの前に現れる一匹の煌めく蝶。金色の翅が導くのは地獄か、それとも…。平成を揺るがすテロ事件が生み落とした絶望とかすかな希望を、幻想的かつスリリングに物語る衝撃作!宗教系が大好きな自分はまあ面白く読めたが、特にこの手の話が好きじゃない人にとっては主題がつかみにくい曖昧な話になるだろうな。なんか主題がつかみにくいしラストもバシッという感じもしない。6点「コクーン」葉真中顕

  • 「絶叫」 葉真中顕

    絶叫(光文社文庫)2022.6.27読了。葉真中顕(著)マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!いろんな要素を詰め込んだエンターテインメント。主人公はどちらか?鈴木陽子か女刑事か。どう転ぶんだか先が気になって、ガシガシ読み進めた。女の人生の幸福とはなにか?ほんと何が幸せで、何が不幸だなんて本人にもよくわからないんじゃないかと思わされた。これは転落の物語なのか?それとも、、、ただ読み終わったときに「絶叫」は...「絶叫」葉真中顕

  • 「連続殺人鬼カエル男」 中山七里

    連続殺人鬼カエル男(宝島社文庫)2022.6.10読了。中山七里(著)マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは?どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。どんでん返しものの多くは、後半だけが面白く、程度の差こそあれ途中までだらだらと読み進めるものも多いが、これは違う。ちゃんと序盤から物語に没入できる。主人公やその上司など、キャラもたっていて、一人の若い刑事の成長物語としても面白い。もちろん最後はどんでん返しの連続でほんとに...「連続殺人鬼カエル男」中山七里

  • 「だれかの木琴」 井上荒野

    だれかの木琴(幻冬舎文庫)2022.6.3読了。井上荒野(著)主婦・小夜子が美容師・海斗から受け取った、一本の営業メール。それを開いた瞬間から、小夜子は自分でも理解できない感情に突き動かされ、海斗への執着をエスカレートさせる。明らかに常軌を逸していく妻を、夫の光太郎は正視できない。やがて、小夜子のグロテスクな行動は、娘や海斗の恋人も巻き込んでゆく。息苦しいまでに痛切な長篇小説。この主人公たち気に入らない。夫婦の倦怠期をストーカーらしき行為で穴埋めするみたいな、犯罪を犯すわけでもなく、夫婦喧嘩するでもなく、誰でもいいような顔もよく覚えていないような美容師に執着しているようなストーカーのまねごとをして、夫の気を引こうとする。夫は夫で何でもかんでも見なかったこと、なかったことにして、女を外で買ってその残像で次回...「だれかの木琴」井上荒野

  • 「リピート」 乾くるみ

    リピート(文春文庫)2022.6.1読了。乾くるみ(著)もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。いやー、参りました。設定が大好物なんでまずはずれはないとは思いましたが、予想をはるかに超える面白さでした。ミステリー、SF小説、RPGゲームなんかをごちゃまぜにしていいとこどりしたようなエンターテインメントだと思った。8.5点「リピート」乾くるみ

  • 「緩やかな反転」 新津きよみ

    緩やかな反転(角川文庫)2022.5.30読了。新津きよみ(著)亜紀子はある日、見知らぬ女性の訪問を受けた。最後の記憶は、訪問者を玄関に請じ入れたこと。だが、次に気付いたとき、亜紀子は血のついた野球のバットを握り、床に倒れた“自分自身”を見下ろしていた!加害者の姿になって行き場を失った亜紀子は、その女性の持ち物から調べた住所へ、やむなく足を運ぶ。なぜ“私”は彼女に殺されなくてはならなかったのか?対照的な2人の女性の人生が交錯する、サスペンスミステリ。いやー、面白かった。どうなるのか先が気になって気になって、ページをめくる手が止まらず、ほぼ徹夜。こんなこといつ以来だろう。最初から最後まで面白いなんてスゴイ。9点。「緩やかな反転」新津きよみ

  • 「信長と征く」1&2 転生商人の天下取り 入月 英一

    信長と征く1&2転生商人の天下取り(講談社文庫)2022.5.26読了。入月英一(著)1あらすじ時は戦国、桶狭間の戦いに勝利した織田家に大博打を仕掛け、その度胸と知恵から信長に一目置かれた商人がいた。名は大山源吉、21世紀から時を遡り転生したという秘密を持つ男だ。誰が覇者になるか、史実を知る彼の野望は信長を支えつつ、銭の力で天下を取ること。現代知識を武器に商人としての闘いが始まる。2あらすじ21世紀から時を遡り、戦国時代へ転生した商人・大山源吉。彼は歴史知識で考案した織物で織田舞蘭度を創設、大きな銭を信長にもたらす。そして史実よりも早く美濃攻めを完遂させた。天下取りへの戦略に不備はなし。信長を裏切る運命の明智光秀との合流に不安を抱えながらも、源吉は銭の力で乱世をつき進む。これは講談社文庫ですがラノベです。尻切れ...「信長と征く」1&2転生商人の天下取り入月英一

  • 「Ank : a mirroring ape」 佐藤究

    Ank:amirroringape(講談社文庫)2022.5.22読了。佐藤究(著)2026年、京都で大暴動が起きる。「京都暴動=キョート・ライオット」だ。人々は自分の目の前にいる人間を殺し合い、未曽有の大惨劇が繰り広げられた。事件の発端になったのは、「鏡=アンク」という名のたった1頭のチンパンジーだった。霊長類研究施設に勤める研究者・鈴木望は、世界に広がらんとする災厄にたった1人で立ち向かった……。650頁の厚さですがほぼ一気読みでした。そうだったんですけど、ただ、どうしてもチンパンジーが発する警戒音を聞くと、チンパンジー同士、人間同士が殺戮を始めるということが納得できなかった。チンパンジーだけならまだいいんだけど、なぜ、人間まで?この点は説得力がない。これが納得できないので、小説自体の面白さが半減してしまっ...「Ank:amirroringape」佐藤究

  • 「夜の声を聴く」 宇佐美まこと

    夜の声を聴く(朝日文庫)2022.5.17読了。宇佐美まこと(著)よろず相談も受けているリサイクルショップ「月世界」。そこを手伝う定時制高校に通う堤隆太は、些細なトラブルを解決していくが、いつしか数年前に起きた未解決の一家殺人事件の謎に巻き込まれ……。驚愕の書き下ろしミステリー。ラストは最高だった。満ち足りた気持ちで本を閉じた。だが実際中盤まではなんだかなー、盛りあがんねーし、他の本に行こうかななんて考えて読んでた。他の方のレビューで後半になりさえすれば面白いってしっていたので、何とか持ちこたえた。大げさに言えばあの試練がなければ、このラストにたどり着けないということだ。読者に我慢させて読ませて、苦行に耐えたものだけが味わえる読書の至福。なんかむかつくが、あー、途中でぶん投げないでよかった。7点。「夜の声を聴く」宇佐美まこと

  • 「愚者の毒」 宇佐美まこと

    一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!序盤から面白く読んだ。でも、最後の最後が気に入らない。不自然な執念とその仕掛け。どちらも首を傾げた。でもそこ以外は本当に面白かった。8点。「愚者の毒」宇佐美まこと

  • 「黒鳥の湖」 宇佐美まこと

    黒鳥の湖(祥伝社文庫)2022.5.10読了。宇佐美まこと(著)上場企業『ザイゼン』の社長財前彰太は、妻の由布子、娘の美華と三人で幸福に暮らしていた。ところが、世間を騒がす女性拉致事件のニュースを見かけ、彰太の心に不安が兆す。その快楽殺人者の手口に覚えがあったのだ。十八年前、反対を押し切って由布子と結婚するため、そして伯父の会社を奪うため、彰太はある〝罪〞を犯した……。人間の悪と因果を暴く衝撃のミステリー!特に、後半の怒涛のサプライスはたまらなかった。面白かったけど、どうも主人公の家族だけが、再生して幸せになるみたいなラストはなんか気に食わない。悪と因果の報いはどこいった?6.5点。「黒鳥の湖」宇佐美まこと

  • 「恋狂ひ」 宇佐美まこと

    恋狂ひハルキ文庫2022.5.5読了。宇佐美まこと(著)友人と旅行代理店を経営している四二歳の鞠子は、十一歳年下の男と付き合っているが結婚する気はない。そんな彼女が、亡父から相続した元遍路宿の古民家を訪れ、そこで古い日記を見つける。四国遍路で果てる覚悟の女が戦前に書いたと思われる旅の記録を読み、自身も女の生と性に揺れる鞠子はこの遍路日記に飲み込まれるようになり……。戦前の四国遍路の話と絡めることによって、姉妹とその夫をめぐる内輪の愛憎劇が時空を超えたミステリーになっていくっていうのがスゴイ。終盤のたたみ方も素晴らしい。ただ、読んでいて終始主人公に全く共感できず、しかも最後の最後までご安泰なのは憎らしい。7点。「恋狂ひ」宇佐美まこと

  • 「QJKJQ」 佐藤究

    QJKJQ(講談社文庫)2022.5.3読了。佐藤究(著)女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。最後まで、タイトルの意味がイマイチわからなかった。スピード感のある文章(主人公が行動している時など)と説明臭い停滞する文章(父親との会話など)の交互の出現で期待していた疾走感はイマイチ。だが、主人公のキャラよりも、くどい説明が好きな父(仮)のキャラクターが好きかもしれない...「QJKJQ」佐藤究

  • 「熟れた月」 宇佐美まこと

    熟れた月(光文社文庫)2022.4.27読了。宇佐美まこと(著)がんで余命半年と宣告されたヤミ金業のマキ子。落ちぶれた取り立て屋の乾。陸上部のエース阿久津先輩に憧れる高校生の結。生まれてから車椅子の生活しか知らない身体の不自由な博。それぞれの運命が絡み合ったとき、人生は思いがけない方向へ……。二〇一七年『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞した著者が、底辺で生きる人間たちの業と、不思議な縁を描く。最初、どういう話なのかさっぱりわからなかった。話がわからなくても面白く読み進めてしまうのは作家さんの力量か。後半に向かって、話が回収されていき、ストーリーがまとめられてくるあたりから、そりゃー、面白いわ面白いわ。クライマックスまで一気読み。ちょっとファンタジーが入っているおかげで、出来すぎのラストにならないで済んでいる...「熟れた月」宇佐美まこと

  • 「一橋桐子(76)の犯罪日記」 原田ひ香

    一橋桐子(76)の犯罪日記単行本2022.4.21読了。原田ひ香(著)老親の面倒を見てきてた桐子は、気づけば結婚もせず、76歳になっていた。両親をおくり、わずかな年金と清掃のパートで細々と暮らしているが、貯金はない。同居していた親友のトモは病気で先に逝ってしまった。唯一の家族であり親友だったのに……。このままだと孤独死して人に迷惑をかけてしまう。絶望を抱えながら過ごしていたある日、テレビで驚きの映像が目に入る。収容された高齢受刑者が、刑務所で介護されている姿を。これだ!光明を見出した桐子は「長く刑務所に入っていられる犯罪」を模索し始める。また、単行本読んでしまった、そんで小説は面白かった。だけど、ラストがうまく行きすぎ。主人公に関わった人、全部があかの他人の老人にみんなこんなに優しくはしてくれないと思う、現実社...「一橋桐子(76)の犯罪日記」原田ひ香

  • 「世界が赫に染まる日に」 櫛木理宇

    世界が赫に染まる日に(光文社文庫)2022.4.16読了。櫛木理宇(著)中学三年生の緒方櫂は復讐心をたぎらせていた。従弟が上級生たちから凄絶ないじめに遭った末に意識不明の重体に。その妹も同じ連中に性的暴行を受けたのだ。自殺願望を持つ同級生・高橋文稀が櫂の復讐の相棒となることを承諾。二人は予行演習として、少年法に守られて罰せられない犯罪者たちを次々と襲い始める。エスカレートする制裁の果てに待つ衝撃の運命とは?なんか焦点がぼけていたような。結局何にポイントを置いて書かれたお話なのか?友情なのか、少年法なのか、クライム小説なのか、サイコミステリーなのか、青春ものなのか。あと、主人公が計画から脱落する理由もちょっと弱い気もするし、そもそも主人公はどっちだったんだろう?なんか色々と中途半端な状態ですが、とは言ってもそれな...「世界が赫に染まる日に」櫛木理宇

  • 「テスカトリポカ」 佐藤 究

    テスカトリポカハードカバー2022.4.14読了。佐藤究(著)第165回直木賞受賞!鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元!メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。登場人...「テスカトリポカ」佐藤究

  • 「アイネクライネナハトムジーク」 伊坂幸太郎

    アイネクライネナハトムジーク(幻冬舎文庫)2022.4.8読了。伊坂幸太郎(著)妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。それぞれの短編の登場人物が時間を行き来してまた登場する。実は、彼は誰かの夫だったり、娘だったり、ってな具合に。そして最後の「ナハトムジーク」に突入していろいろとわかって終焉という連作短編集なんですが、自分はこの本、長編として時系列通りに(「ナハトムジーク」はそのまま最後で)並べてほしかった気もちょっとします。長編として...「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎

  • 「飛べないカラス」 木内一裕

    飛べないカラス(講談社文庫)2022.4.5読了。木内一裕(著)規格外の新主人公(ニューヒーロー)誕生!すべてを失った男に舞い込んだシンプルな「超難問」「娘が幸せかどうか確かめてきてほしい」1億円の行方と、謎の女と、仕掛けられた過去。冒険は、この依頼から始まった。俺の幸運は、不幸の始まり……の、はずだった。元売れない俳優で元起業経営者。元犯罪被害者で元受刑者。納得しようのない罪での服役を終えた加納健太郎への奇妙な依頼は、彼を運命の女(ファム・ファタール)へと導いた。笑い、驚き、涙する。すべてが詰まった究極のエンターテインメント!スピード感、謎解き、ユーモア、ちょっとハードボイルド的かっこよさ、ちょこっと感動、そして映画への愛、などいろいろ満載のエンターテインメント小説。面白い。一言でいえば面白いけど、読んでいて...「飛べないカラス」木内一裕

  • 「正体」 染井為人

    正体光文社文庫2022.3.31読了。染井為人(著)罪もない一家を惨殺した死刑囚はなぜ脱獄したのか!?その488日を追うミステリー!埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した!東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム……。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は?その逃避行の日々とは?映像化で話題沸騰の注目作!なになにどうなるの?最初から一気に没入。ページをめくる手が止められない状態。だが、後半に入ると大体話が見えてくるような。ここからは、いやなラストしか思い描けず、急に読み進めたくなくなる。なんとか最後まで読み切りやはり憤慨。この気持ちをどこにぶつければよいのやら。7点...「正体」染井為人

  • 「女王」(上・下) 連城三紀彦

    女王(上・下)講談社文庫2022.3.16読了。連城三紀彦(著)戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。一方、史郎の祖父・祇介は、大晦日の夜にかかってきた一本の電話を受け、急遽旅に出た後、遺体となって発見された。邪馬台国研究に生涯を捧げた古代史研究家であった祇介が、吉野へ向かい若狭で死んだのはなぜなのか。瓜木は史郎と彼の妻・加奈子とともに奇妙な記憶と不審な死の真相を探るが。だいたいにして、スケールが大きすぎる話は最後に話が破綻したり、風呂敷を広げすぎたために収集つかなかったりということが得てしてあるがさすがは連城さん、うまくまとめてます。しかも、お得意の人間の情念をうまく織り込んでいくあたりこの人にしか書けない物語だと思いま...「女王」(上・下)連城三紀彦

  • 「愛についての感じ」 海猫沢めろん

    愛についての感じ講談社文庫2022.3.7読了。海猫沢めろん(著)レザーフェイスと呼ばれる男は、阿佐ヶ谷駅前で切り絵をする女の子に出会った。プレゼントは渡せないし、メールは送れない。奥手すぎる男の淡く儚い恋の物語(「初恋」)。東のヤクザである金城は、西の色町で働くたま子に惹かれていく。想いがなかなか交わらないまま、不器用な二人は最後の日に通天閣に登ることに(「新世界」)。はみ出し者たちが、街の片隅で出会い、不器用に奏でる切ない恋模様を描く5編の作品集。久々に紙の本を読んだので更新。最近は電子でラノベばかり読んでました。なんだろうなぁ、この不思議な小説は。愛についての感じって何なんだろう?色々と解釈に困る文章も多いし、難解である。そんな話が多い中で、「新世界」だけは直球で、あれ?ひょっとして作者さんにとってはこち...「愛についての感じ」海猫沢めろん

  • 「時の輝き」 折原みと

    時の輝き(講談社文庫)2021.12.22読了。折原みと(著)看護実習生・由花は実習先の病院で初恋の相手・シュンチと再会する。が、お互いの想いを確認して間もなく、2人は彼の本当の病名を知ることに。限られた「時間」を共に過ごす決意をした由花に、シュンチが遺したものは……。生命、愛、そして本当に大切なものを教えてくれる、110万部のベストセラー、待望の復刊!講談社文庫になってるけど、昔読んだことのあるコバルトシリーズのような内容。児童書を読んでいるかのような薄さ。物語の筋書きだけが本になっているようで深みがない。読んだ自分が悪いんだけれど。3点。「時の輝き」折原みと

  • 「上杉謙信」 吉川英治

    上杉謙信(吉川英治歴史時代文庫)2021.12.18読了。謙信を語るとき、好敵手・信玄を無視することはできない。精捍孤高の武将謙信と千軍万馬の手だれの武将信玄。川中島の決戦で戦国最強の甲軍と龍攘虎搏の激闘を演じ得る越軍も、いささかもこれに劣るものではない。その統率者・謙信と彼の行動半径は――?英雄の心事は英雄のみが知る。作者が得意とする小説体の武将列伝の1つであり、その清冽な響きは、千曲・犀川の川音にも似ている。第四次川中島をメインに武田信玄との戦いを双方の視点から描いている。なんといっても謙信の人物像が魅力的。まさしくカッコイイのだ。有名な話ではあるが塩を武田に送るくだりはめまいすら覚える。美しい文体と華麗な構成は今読んでも色あせない。今回、青空文庫版にて読ませていただいたが、こんないいものが、無料で読める時...「上杉謙信」吉川英治

  • 「戦百景 長篠の戦い」 矢野隆

    戦百景長篠の戦い(講談社文庫)2021.11.26読了。矢野隆(著)戦国最強の騎馬軍団を膨大な数の鉄砲で打ち負かしたとされる「長篠の戦い」。だがそこには、それぞれの武将の深い思惑が働いていた。長篠城の奥平信昌はどうして武田を裏切って徳川方についたのか。内藤・馬場・山県ら武田の勇将たちは無駄な特攻をなぜ敢行したのか。家康・酒井忠次主従は何を期して奇襲軍を出したのか。信長が仕掛けた罠とは何だったのか。勝頼は絶対的に不利な状況で、なぜわざわざ攻撃を仕掛けなければならなかったのか。そして、長篠の戦いの最大のヒーローとも言える奥平勢の足軽・鳥居強右衛門の活躍とは。最強合戦の真実に迫る書下ろし歴史小説!良く言えば、読みやすい。悪く言えば、軽い。ストーリーが全部わかっているのもこの手の小説の弱点だ。どうなるのかわからないから...「戦百景長篠の戦い」矢野隆

  • 「死神の精度」伊坂幸太郎

    死神の精度(文春文庫)2021.10.9読了。伊坂幸太郎(著)1、CDショップに入りびたり、2、苗字が町や市の名前であり、3、受け答えが微妙にずれていて、4、素手で他人に触ろうとしない。――そんな人物が身近に現れたら、それは死神かもしれません。1週間の調査ののち、その人間の死に〈可〉の判断をくだせば、翌8日目には死が実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う6つの人生。日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか、「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「恋路を死神」「死神対老女」を収録。まず、死神の精度というタイトルが秀逸、死神のキャラクターがいい、死神が千葉というのもまたいい。軽く読めるんだけど、なんか物語にいまいち深みがないんですよね。なんか唸るような短編はなかった。まあ、伊坂さんだからっ...「死神の精度」伊坂幸太郎

  • 「二歩前を歩く」 石持浅海

    二歩前を歩く(光文社文庫)2021.10.20読了。石持浅海(著)ある日、僕は前から歩いてくる人に避けられるようになった。まるで目の前の“気配”に急に気がついたかのように、彼らは驚き避けていく…。(表題作)とある企業の研究者「小泉」が同僚たちから相談を持ちかけられ、不可思議な出来事の謎に挑む。超常現象の法則が判明したとき、その奥にある「なぜ?」が解き明かされる!チャレンジ精神溢れる六編のミステリー短編集。超常現象を推理するという変わったミステリー集。で、とりあえず大前提として超常現象に理屈をつけてもしょうがないから、その現象は認めてしまう。その上で、真相を解き明かしていくのだが、、、目の付け所がいいです。6点。「二歩前を歩く」石持浅海

  • 「年収100万円で生きる」吉川ばんび

    年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-(扶桑社新書)2021.10.7読了。吉川ばんび(著)トランクルームに住む「ワーキングプア」、劣悪環境で暮らす「ネットカフェ難民」、母の遺骨と暮らす「車中泊者」、田舎暮らしで失敗した「転職漂流者」、マスク転売をする「新型コロナで失職した男」……etc。100万円あれば幸せに生きられるという系統の本ではなくて、100万円以下の年収しかなく、それで困難な生活を余儀なくされているという人々のドキュメンタリー、なんだけど、途中からその主題から話が大きくそれて関係ないっちゃ関係ない話に終始、そして著者の生い立ちの話で終わり。「年収100万円で生きる」はどこへ行ってしまったんだー?5点。「年収100万円で生きる」吉川ばんび

  • 「隠居生活10年目 不安は9割捨てました」大原扁理

    隠居生活10年目不安は9割捨てました単行本2021.10.6読了。大原扁理(著)25歳で始めた隠居も気づけば10年目。お金、地位、友人がなくても、気づけば毎日ハッピー。それは隠居を始めたときから少しずつ「いらない不安」を捨ててきたからでした。最近心がずっとざわざわしている、ぼんやりとした不安が常にある、そんな人に読んでほしい1冊です。著者の本を全部読んでいる自分にとっては、ほとんど目新しい記載はなく、過去本のダイジェストのよう。最後にちょろっと「不安」について書かれているが、わざわざこの本に求めなくても、どこにでもあるありきたりの情報で著者特有の解消法ではない。3点。「隠居生活10年目不安は9割捨てました」大原扁理

  • 「シュガーレス・ラヴ」山本文緒

    シュガーレス・ラヴ(角川文庫)2021.8.18読了。山本文緒(著)仕事、恋愛、家族…女性たちを取り巻く様々な人間関係のストレスが引き起こす病気の数々。皮膚炎、睡眠障害、アルコール依存症等々、女たちの心と体を蝕む人間ドラマを描く短編集。うーん、面白くなかった。内容が薄いし、ありきたり。山本さんは好きだけど、ほんと山本さんの本なのか?というクオリティ。3点。「シュガーレス・ラヴ」山本文緒

  • 「いま、台湾で隠居してます」 大原扁理

    いま、台湾で隠居してます単行本2021.7.28読了。大原扁理(著)2015年出版『20代で隠居』の台湾編感動エッセイ。31歳で17万円握りしめて移住、3年間の新しい隠居生活。言葉も勝手もわからぬ国での「頑張らない日々」のなか、ぶらり気楽な隠居暮らしにしか見えてこないものがある。「台湾讃歌」と「マイノリティ讃歌」がこの本のテーマだ。台湾を知るにつけ、心に沁みてくるのは差別感覚の薄さ。明るい人情はマイノリティの人々もすんなり受け入れる。ホームレスにもLGBTにも物売りの少女にも温かい。「言葉に不自由な外国人の隠居」もまたマイノリティだが、ここ台湾ではラク~なことに気づく。エッセイの語り口は軽く淡々としているものの、それが、読者にしみじみとした感動を与えてくれるこのひとの、モノの見方って独特だけど、好きだな。どの本...「いま、台湾で隠居してます」大原扁理

  • 「前夜のものがたり」 藤田宜永

    前夜のものがたり(講談社文庫)2021.7.8読了。藤田宜永(著)明日、答えが出るのにじっとしていられず、バーの扉を押し開けた。53歳にして私は、竹馬の友を相手にこの店の女主人を取り合うことになり…(「蘭の前夜」)。三角関係、熟年夫婦の危機、家出した娘に許しを請う旅ーー中年男性が折々に迎える人生の転機を、ほろ苦い思いとともに切り取った作品集、全8話。なんか、たぶん再読。なんだけど、まったくおぼえてない。この小説、ラストはないので読者に丸投げってやつで。オチ無し、どんでん返し無しなんで、かなりそこまでで読ませないといけないから、大変だと思うんだよね。無理にこんなハンデしょってまで小説書かなくてもよさそうなものだが。まあ、ラストは丸投げでも自分は面白く読めたけど、藤田さんの文体がわりと好きなんで。あと主人公が全部5...「前夜のものがたり」藤田宜永

  • 「地下鉄に乗って」 浅田次郎

    地下鉄に乗って新装版(講談社文庫)2021.6.18読了。浅田次郎(著)永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは30年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため……。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。たぶん、再読です。あれ、こんな話しだっけかな?なんか最近、前に読んだ小説の内容を覚えていません。歳のせい以外のなにものでもありません。おいしいといえばおいしいが、こんな自分が小説を読んでなんになるのだろうと思います。中身をなにも覚えていないのに読む意味があるのだろうか?読んでいる時だけ面白ければそれでいいのか?それでいいのかも。あっ、本の方ですが、私、この主人公...「地下鉄に乗って」浅田次郎

  • 「異形のものたち」 小池真理子

    異形のものたち(角川ホラー文庫)2021.6.9読了。小池真理子(著)母の遺品整理のため実家に戻った邦彦は農道で般若の面をつけた女とすれ違う――(「面」)。“この世のものではないもの”はいつも隣り合わせでそこにいる。甘美な恐怖が心奥をくすぐる6篇の幻想怪奇小説。悲しい余韻が残るホラー集。どのお話もよくできている。6点。「異形のものたち」小池真理子

  • 「夕映え天使」 浅田次郎

    夕映え天使(新潮文庫)2021.6.7読了。浅田次郎(著)東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ……「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの……「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。浅田さんの短編にしては、こなかったなぁ。残念。5点。「夕映え天使」浅田次郎

  • 「月のしずく」 浅田次郎

    月のしずく(文春文庫)2021.5.31読了。浅田次郎(著)再生の祈りに満ちた珠玉の短篇集――。三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。何一つ変わりばえのしない生活をおくる佐藤辰夫のもとに、十五夜の満月の晩、偶然、転がり込んだ美しい女・リエ―ー出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、子供のころ、男と逃げた母親との再会を描く「ピエタ」など、全七篇の短篇集(他に「聖夜の肖像」「銀色の雨」「琉璃想(リウリィシァン)」「花や今宵」「ふくちゃんのジャック・ナイフ」)。「銀色の雨」は2009年11月に、賀来賢人、中村獅童出演で映画化。表題作の「月のしずく」よかったなぁ~。なんか最近浅田さんの短編がほんと心にしみるわ~。はずれないし。7点。「月のしずく」浅田次郎

  • 「グランドマンション」 折原 一

    グランドマンション(光文社文庫)2021.5.29読了。折原一(著)「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣―次々に住人が引き起こすトラブル。そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは…。希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。変な人ばかり住んでいるマンションですこと。叙述トリックは大したことなかった。まあ、来るとわかって読んですからなんだけどね。なんか独立した短編を手を入れて連作にした感じがする。5点。「グランドマンション」折原一

  • 「鉄道員(ぽっぽや)」 浅田次郎

    鉄道員(ぽっぽや)(集英社文庫)2021.5.9読了。浅田次郎(著)娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた―。心を揺さぶる“やさしい奇蹟”の物語…表題作はじめ、「ラブ・レター」「角筈にて」など8編収録。第117回直木賞受賞作。再読である。結構憶えていた。どの短編もいいんだけど。今更ながら、初回絶対ノーマークだった「オリヲン座からの招待状」が刺さる。歳なのか?お年寄りなのか?そうなのか?…文句なし。9点。「鉄道員(ぽっぽや)」浅田次郎

  • 「年収90万円でハッピーライフ」 大原扁理

    年収90万円でハッピーライフ(ちくま文庫)2021.5.7読了。大原扁理(著)世界一周をしたり、隠居生活をしたり。「フツー」に進学、就職してなくても毎日は楽しい。ハッピー思考術と、大原流の衣食住で楽になる。解説小島慶子以前単行本で読んだものの文庫版。特に目新しいこともなし。5点。「年収90万円でハッピーライフ」大原扁理

  • 「おもかげ」 浅田次郎

    おもかげ単行本2021.5.5読了。浅田次郎(著)商社マンとして定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。今や社長となった同期の嘆き、妻や娘婿の心配、幼なじみらの思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験を重ねていた。やがて、自らの過去を彷徨う竹脇の目に映ったものは――。読者の年代や立場によって感じることはそれぞれだろう。自分はそれもこれもたぶんど真ん中。衝撃的な感情移入。面白ければ、単行本の厚さも重さも気にならない。9点。「おもかげ」浅田次郎

  • 「なるべく働きたくない人のためのお金の話」 大原扁理

    なるべく働きたくない人のためのお金の話大原扁理著2021.4.12読了。無理に働かなくてもいいんじゃない?弱い私たちの「生存戦略」。著者が隠居生活の中で、お金と人生についてゼロから考えた記録。将来に不安や心配を感じる人へ向けた、もっと楽に生きるための考え方がこの1冊に詰まっています。巻末対談:鶴見済×大原扁理「豊かさって何だろう」?…6点。「なるべく働きたくない人のためのお金の話」大原扁理

  • 「思い立ったら隠居」週休5日の快適生活 大原扁理

    思い立ったら隠居――週休5日の快適生活(ちくま文庫)2021.4.7読了。大原扁理(著)好きな時に起きて遊んで、食べて寝る、憧れの「隠居」生活。「せちがらい世の中でいかに隠居という生活スタイルにたどり着き、楽しく毎日を生き延びる方法を見つけてきたか、自らの体験をもとにお話ししていきたいと思います」。「隠居食」から人生哲学まで。キラキラ自己啓発本とは対極の、しわしわ自己完結本。文庫化にあたり、エッセイ、レシピ、イラストを増補。…6点。「思い立ったら隠居」週休5日の快適生活大原扁理

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