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市居嗣治の「今日のお気に入り」 https://blog.goo.ne.jp/tsuguji19

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再

市居嗣治の「今日のお気に入り」
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2015/08/06

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  • 丸の内界隈 Long Good-bye 2024・06・30

    今日の「お気に入り」は、内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「腰弁の弁」と題した小文の一節。引用はじめ。「私は永年の間、朝飯も午飯もたべなかつた。しかしそれはお膳に坐らないと云ふのであつて、一日ぢゆう晩まで何もたべなかつたわけではない。朝はビスケツトに林檎、午は蕎麦のもりかけを食つて、身体の調子がすつかりそれに馴れてゐた。今度日本郵船会社の嘱託になつて出掛けるに就き一番閉口したのは食べ物の事である。丸ノ内にだつて蕎麦はありますよと軽く云ふ人があるが、蕎麦屋はあつても、毎日私の待つてゐる時刻に持つて来させるのは中中骨が折れる。出前持ちはこちらの気のすむ様にばかりしてくれるものではない。仮りにきまつた時刻に持つて来る様に馴らしたとしても私は毎日行つてゐるわけではないから始末...丸の内界隈LongGood-bye2024・06・30

  • 古き良き時代 Long Good-bye 2024・06・28

    今日の「お気に入り」は、また内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「下宿屋の正月」と題した小文の一節。季節外れの話柄ながら、明治と昭和にはさまれた大正時代ののんびりした社会の雰囲気、時代の雰囲気みたいなものが感じられる賄い付きの下宿屋の正月風景。引用はじめ。「学生時代に下宿屋でお正月を迎へた事はない。いつでも冬休みになる早早郷里へ帰つて自分の家で年を越した。それから十何年の後、一旦世間に地位を獲た後で失脚して、私一人場末の安下宿に引篭もり、そこで何度かのお正月を迎へる様な事になつた。初めの内はそれ程でもなかったが、次第に下宿料もたまり、その侭大晦日になると、お神さんが中中八釜しく云つた。向うも余り成績のいい商売をしてゐる様ではないので、困つてゐる事は解つてゐたが、私の方で...古き良き時代LongGood-bye2024・06・28

  • わたしの彼は左きき Long Good-bye 2024・06・26

    今日の「お気に入り」は、内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「窮屈」と題した小文の一節。引用はじめ。「私がお菓子を食ふのを見て、あなたは酒飲みの癖に甘い物をたべるのですかと怪しむ客がある。中にはけしからん事の様に考へる人もゐるらしい。酒飲みは酒飲み、甘党は甘党と片づけなければ気がすまぬのであらう。酒飲みの中にも、本当はたべたくないわけではないが、自分はいつぱしの酒飲みであると云ふ誇りがあつて、菓子を近づけないのもゐさうである。」「酒飲みを左利きと云ふのは、右手が鎚手(つちて)で左手が鑿手(のみて)と云ふ言葉の上の洒落に過ぎないのであるが、私の友達には一緒に酒を飲む時、必ず左手で酌を受ける、何かで左がふさがつてゐても、無理に左手をあけてそれで杯を取る男がゐる。こちらで笑ふ...わたしの彼は左ききLongGood-bye2024・06・26

  • 日本のいちばん長い夏 Long Good-bye 2024・06・24

    今日の「お気に入り」は、今拾い読みしている内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の一節。昭和20年(1945年)夏の百閒先生の日記からの抜き書き。正史のどこにも書いてない、銃後の、会社勤めの、当時55歳の日本人男性が書いた日記。一見のんきそうで、そうではない、団塊世代の親の世代が生きていた首都東京の当時の世相が、ヴィヴィッドに伝わってきます。筆者が生まれるほんの二年半前のこと。引用はじめ。「七月十三日金曜日午後出社ス。会社ニテ古(会社というのは日本郵船のことらしい)日カラ麦酒一本貰ツタ。夕帰リテ井戸水ニ冷ヤシテ飲ム。コノ頃ノ麦酒ハマヅイナドト素人ガ申スナレド然ラズ。タツタ一本デモ初メカラソノ覚悟デ飲ンダカラヤレタ。家ノ焼ケ跡ノ玄関ノ戸棚ノアツタ所ト台所トノ二ケ所ニ麦酒罎ノ王冠栓ノ...日本のいちばん長い夏LongGood-bye2024・06・24

  • 鱶 (フカ) 鮫 (サメ) 和邇 (ワニ) Long Good-bye 2024・06・22

    今日の「お気に入り」は、内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「蒲鉾」と題した小文の一節。引用はじめ。「私の郷里の岡山に昔から名代の蒲鉾屋があつて、今はなくなつたさうだが、当時は近国にまでその名が知れ渡つてゐた。子供の時に聞いた話に、その蒲鉾屋の横山の御主人がみんなと一緒に船に乗つて、金比羅詣りをした。船は岡山の町を貫流してゐる旭川を下つて、川口の児島湾から外海(そとうみ)に出る。外海と云ふのは瀬戸内海の事であつて、対岸の四国の讃岐へ渡るのであるが、小さな船の事だから手間が掛かつた事であらう。船が沖に出た頃、不意に鱶(ふか)が船をつけて来たので、船中が大騒ぎになつた。鱶は群をなして来るし又一匹でも人の乗つた船をくつがへす事が出来る。鱶につけられた以上は、船の中のだれかが一...鱶(フカ)鮫(サメ)和邇(ワニ)LongGood-bye2024・06・22

  • おさけははたちになつてから Long Good-bye 2024・06・20

    今日の「お気に入り」は、内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「シュークリーム」と題した小文の一節。引用はじめ。「私が初めてシュークリームをたべたのは、明治四十年頃の事であらうと思ふ。その当時は岡山にゐたので、東京や大阪では、或はもう少し早くから有つたかも知れない。第六高等学校が私の生家の裏の田圃に建つたので、古びた私の町内にもいろいろ新らしい商売をする家が出来た。夜になると、暗い往来のところどころにぎらぎらする様な明るい電気をともしてゐる店があつて、淋しい町外れの町に似合はぬハイカラな物を売つてゐた。私は明治四十年に六高に入学したのであるが、その当時は私の家はもうすつかり貧乏してしまつて父もなくなり、もと造り酒屋であつたがらんどうの様な広い家の中に、母と祖母と三人で暮ら...おさけははたちになつてからLongGood-bye2024・06・20

  • 越天楽今様 Long Good-bye 2024・06・18

    今日の「お気に入り」は、「春のやよいのあけぼのに」が歌い出しの「越天楽今様」(えてんらくいまよう)の歌詞。メロディが思い浮かばないのは、耳に馴染みがないせいでしょうか。日本の四季、今は昔。作詞者は僧慈円。「小倉百人一首」で前大僧正慈円(さきのだいそうじょうじえん)と紹介されている、平安時代末期から鎌倉時代初期の天台宗の僧で、歌人。歴史書「愚管抄」を記した人物。「歌詞春のやよいのあけぼのに四方(よも)の山べを見わたせば花盛りかもしら雲のかからぬ峰こそなかりけれ花たちばなも匂うなり軒のあやめも薫るなり夕暮さまのさみだれに山ほととぎす名乗るなり秋の初めになりぬればことしも半ばは過ぎにけりわがよ更けゆく月影のかたぶく見るこそあわれなれ冬の夜寒の朝ぼらけちぎりし山路は雪ふかし心のあとはつかねども思いやるこそあわれな...越天楽今様LongGood-bye2024・06・18

  • 吃驚仰天 ( びっくりぎょうてん ) Long Good-bye 2024・06・16

    今日の「お気に入り」は、内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「菊世界」と題した小文の一節。「菊世界」は、幼時から喫煙に親しんだという内田百閒さんの七十年の喫煙歴を縷々書き連ねた、今の感覚では不適切にも程がある「煙草飲み」の話し。以下に引用するのは、その文章の合間に挟みこまれた百閒さんの「蕎麦食い」の話し。ギャンブル依存症じゃありませんが、何かに「はまる」となかなか抜け出せないのは、人間の哀しい性(さが)。でも、ひとの嗜好というものは、もともとそういうものですよね、他人の理解のそと。「菊世界」というのは、戦前の日本にあった紙巻きたばこの銘柄名らしいです。知らんけど。引用はじめ。「今年の正月に、法政大学の騒動で、学校の先生を止めて以来、家に篭居して、身体を動かす事が少いので...吃驚仰天(びっくりぎょうてん)LongGood-bye2024・06・16

  • 薬喰 ( くすりぐい ) Long Good-bye 2024・06・14

    今日の「お気に入り」は、内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「薬喰」と題した小文の一節。引用はじめ。「私の家は造り酒屋だつたので、酒倉が穢れると云つて、子供の時は牛肉を食はして貰えなかつた。四脚の食べ物は、一切家に入れなかつたのである。だから本当の味は知らないけれども、大変うまいものだと云ふ話は、学校の友達などからも度度聞いて居り、又たまに夕方など、人の家の前を通り過ぎる拍子に、何とも云はれないうまさうな、温かい匂が風に乗つて流れて来ると、ひとりでに鼻の穴の内側が一ぱいに拡がる様な気持がした。田舎の町外れに、叔母さんの家があつて、古風な藁屋根で、入口には障子戸が嵌まつてゐた。私があんまり丈夫でないから、薬喰に牛肉を食べさせようと云ふ内緒話が、そこの叔母さんと私の母との間...薬喰(くすりぐい)LongGood-bye2024・06・14

  • 愛のさざ波 Long Good-bye 2024・06・12

    今日の「お気に入り」は、テレビ番組「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」の中で聴いた島倉千代子さんの曲「愛のさざ波」の一節。ただし、番組の中でこの曲を歌うのは、番組の進行役である六角精児さん。こんな歌詞で始まる。「この世に神様が本当にいるならあなたに抱かれて私は死にたいああ湖に小舟がただひとつやさしくやさしくくちづけしてねくり返すくり返すさざ波のように・・・♪♪♪」(作詞:なかにし礼作曲:浜口庫之助)(´_ゝ`)さざ波と聞くと、条件反射のように、大杉漣さんや別の物を思い出すのは私だけ?(ついでながらの筆者註:ちょっと長いけど、面白いからほぼ全文引用します。「六角精児(ろっかくせいじ、1962年6月24日-)は、日本の俳優・タレント。主な出演作品としては、テレビドラマの『相棒』シリーズ、『民王』『不機嫌な果実』『...愛のさざ波LongGood-bye2024・06・12

  • 呑み鉄本線 日本旅 Long Good-bye 2024・06・10

    今日の「お気に入り」は、NHK衛星放送の番組「呑み鉄本線」の中で流れる六角精児さんの歌「お父さんが嘘をついた」の一節。書き留めたのはこんな歌詞。「若い頃からの偏食が祟り尿酸値が異常に高い痛風になった様だ医者から食事制限を告げられる♪♫でも好きなものはなかなか辞めれず汐からエイヒレあん肝このわた今日もおいらは痛風に怯える(^^♪」「ディーゼル」というタイトルが付いたこんな歌詞の歌も流れます。番組のテーマ曲みたいに。「走る列車のリズムにあわせ缶ビールがゆれている窓の景色もそこそこにあ~少し酔ってしまったな~海岸線は故郷へ向かう道負けたんじゃない逃げるんじゃないさほんの少し弱くなっただけ時間調整の小さな駅でディーゼルの音を聴きながらホームにおりて背伸びをすればあ~少し気が晴れる海岸線は故郷へ向かう道負けたんじゃ...呑み鉄本線日本旅LongGood-bye2024・06・10

  • ヒマラヤ山系 Long Good-bye 2024・06・08

    今日の「お気に入り」は、今読んでいる本の中から抜き書き。久しぶりに読む内田百閒さん(1889-1971)の随筆「御馳走帖」(中公文庫)の中から「車窓の稲光り」と題した小文の一節。鉄道旅をこよなく愛した内田百閒さんの「百鬼園随筆」や「阿房列車」を、五十年以上も前の若い頃、読みふけったものです。百閒さんの旅のお供をする「ヒマラヤ山系君」(国鉄職員の平山三郎さん)のお名前も懐かしい達意の文章。引用はじめ。「お午頃に博多を出た東京行の特別急行列車が、快い轟音を立ててごうごうと走つて行く内に、狭いコムパートの中で時が過ぎ、もう外は薄暗くなつて来た。同室のヒマラヤ山系君をうながして二三輌先の食堂車へ来た。丁度今その時刻でである。席があるかどうかあやぶんだが、幸ひ向かひ合ひの二人卓が空いてゐた。そこに落ちつき、もうかう...ヒマラヤ山系LongGood-bye2024・06・08

  • 夜明けのヒッチハイク Long Good-bye 2024・06・05

    今日の「お気に入り」は、ニッポン放送制作の早朝のラジオ番組「上柳昌彦あさぼらけ」の番組冒頭で流されるテーマ曲「夜明けのヒッチハイク」。通常平日(火~金)の4:30開始の番組ですので、早起きしないと聴けません。radiko(ラジコ)ならいつでも聴けますが、寝床で聴くのがいいんだな、この曲。イギリスのロックバンドVanityFareの楽曲で、原題は"Hitchin'ARide"。歌詞は、次のようなもの。YouTubeで聴くと、韻を踏んだわかりやすい内容の歌詞で、イギリス人の英語を聞き慣れているせいか、とても聴きとりやすい感じがします。“Athumbgoesup,acargoesbyIt'snearlyoneA.M.andhereamIHitchin'aride,hitchinarideGottagetmeho...夜明けのヒッチハイクLongGood-bye2024・06・05

  • 四面初夏 Long Good-bye 2024・06・03

    今日の「お気に入り」は、水木しげるさんの著書「水木サンの幸福論」に載っているという「幸福の七か条」。今読んでいる平松洋子さんの随筆「肉まんを新大阪で」(文春文庫)の中で、この七か条、読みました。引用はじめ。「第一条成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。第ニ条しないではいられないことをし続けなさい。第三条他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。第四条好きの力を信じる。第五条才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。第六条怠け者になりなさい。第七条目に見えない世界を信じる。」引用おわり。(´_ゝ`)(ついでながらの筆者註:「水木しげる(みずきしげる、本名:武良茂〈むらしげる〉、1922年〈大正11年〉3月8日-2015年〈平成27年〉11月30日)は、日本の漫画家、妖怪研究家、...四面初夏LongGood-bye2024・06・03

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