8)安保闘争一九六〇年の元旦を迎えた時、行雄は、この年が自分にとって計り知れないほど、意義深い年になるだろうと予感した。満十八歳になっていた彼は、大いなる希望と期待感に満ちあふれていた。日米安保条約改定については、これを粉砕できるかどうか自信はなかった。しかし、今後盛り上がっていくであろう安保闘争を通じて、全学連をはじめ自分達の進めている運動が、必ず大きく広がっていくという自信はあった。いや安保改定だって、先の警察官職務執行法改正案と同様に、潰すことができるかもしれない。警職法改正案は一九五八年十一月、革新陣営の猛反対で廃案になったが、この時の岸内閣の後退ぶりを見ていた行雄は、やればできるのだという希望を持ったことがある。もちろん、安保改定と警職法改正とでは次元の違う問題だが、同じ岸内閣が、革新陣営の猛反...青春流転(8)