スピノザ<以下の文を復刻します。>今日は少し“七面倒臭い”話をしたい。苦しみから脱却しようとする時、大抵の人はさまざまな思想や宗教などに頼ろうとする。しかし、納得のいく思想や宗教がないと、人はさらに苦しみの中へ落ち込んでいく。私の場合ももちろんそうだった。若い頃、過激な学生運動・革命運動に没頭していた私は、ある時、マルクス主義やアナーキズムが信じられなくなり、運動から離脱した。寂しかった。これを自分なりに「転向」と受け止めたものの、一種の懐疑論、虚無主義へと陥っていった。しかし、それでは生きていく“張り”がなくなり、私は必死になって自分が救われる思想を追い求めた。ところが、そんな救いの思想や宗教はなかなか現われない。苦悶の時間がどんどん過ぎていったが、ある日、東京・新宿駅の雑踏の中で、一瞬の閃きから「この...スピノザと汎神論