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  • いつも蚊帳の外

    「日本文化?」6月1日日本芸術文化振興会理事長長谷川眞理子氏が、『リベラルの理念どこへ?「世のため」の原点見直せ』という表題でコラムを書かれていました。その中で長谷川氏は、トランプ大統領の言動を念頭に、『20世紀の米国の大金持ちには、「世のため」にという精神があったが、今はもうない、という議論はよく聞く。日本文化には、「世のため」という精神はあるはずだ。この際、その原点を見直すべきではないか』と書かれています。そうなのでしょうか。私は、我が国には「世のため」という文化的な伝統は乏しいと思っているのですが。「世のため」という考え方は、健全な民主主義の維持に有用です。この考え方が乏しい国や社会では、分断が起き、私たちとあいつら、敵と味方という概念で社会を見、敵に勝つ、敵の陰謀を打ち砕くことこそが自分たちの使命...いつも蚊帳の外

  • 病気だった?

    「実は病気だった?」6月1日『更生重視変わる刑務所』という見出しの記事が掲載されました。『発達障害がある受刑者の社会復帰を支えようと、大阪刑務所が、個人の特性に合わせた処遇に取り組んでいる』ことについて報じる記事です。記事には、『発達障害そのものが犯罪に結びつくことはないが、法務省は「自分や他人の特性を理解しないまま出所し、社会で孤立してしまい、再犯に至るケースもあった」』という記述がありました。私は、教委勤務時に担当していた、指導力不足教員研修と服務事故再発防止研修の受講者たちを思い出してしまいました。どちらも、教員として問題があると認定され、研修を命じられた教員たちでした。彼らの中に、今思えば、大人の発達障害の人がいたのではないか、と考えたのです。一人一人の教員については、拙著「教員改革」で触れていま...病気だった?

  • 今後も後を絶たないはず

    「思い知ったか」5月30日『「3歳の頭」外部コーチ暴言東京・区立中女子ソフト部生徒は競技断念』という見出しの記事が掲載されました。『外部コーチを務めている40代女性が、2022~23年度、部員の女子生徒に対して「バカ」といったメッセージを送信したり他の部員の前で「3歳の頭しかない」などと叱責(略)コーチや学校、区教委から謝罪がないまま生徒は卒業し、競技を続けることを断念した』という事件について報じる記事です。暴言はそれ以外にもいくつも報じられていましたが、詳細は省きます。ただ、このコーチについては、『卒業後に日本代表になった教え子もいる』『現在もこの中学校で指導を続けていること』ことと、被害生徒は『高校でもソフトボールを続けるつもりだったが、競技を続けるとコーチと関わる恐れがあるため、ソフトボール部のない...今後も後を絶たないはず

  • 花壇に○○を

    「率先して」5月28日『官邸での除染土再利用方針決定』という見出しの記事が掲載されました。『政府は27日、東京電力福島第一原発事故後に出た福島県内の除染土の再利用や県外処分の実現を目指し全閣僚が参加する会議を開き、首相官邸で除染土を使う方針を決めた』ことを報じる記事です。全国にたくさんある公共施設といえば、学校です。国立・公立の小中高大は、膨大な数になり、その占有面積も広大です。どうして、学校の敷地内で除染土を使うという方針を立てないのでしょうか。だって、「安全」なのですよね。子供たちに、原発再稼働の是非について自分事として考えさせる良い機会になると思います。そこから広く我が国のエネルギー政策について考えさせることも可能です。特に首都圏の学校の場合、自分たちが使う電気の生産を地方に押し付けているという構造...花壇に○○を

  • できない!と叫びたい

    「理想論では」5月28日『認知症Q&A』のコーナーに、『(認知症の)母は暴力的になり、父をかばうと娘の私を父の愛人と思ってか「この家に居られなくする。裁判を起こす」などと言います。対処法を教えてください』という相談が寄せられていました。介護福祉を専門とされる回答者は、『苦痛や不快から生じていることもありますから、体調チェックしてみましょう』『深呼吸して心のゆとりを持ち、お母さんの言っていることを否定せずにまずは聞き入れ、落ち着いたところで話題を変えて関心をそらしてみてはどうでしょうか。殴りかかってくる場合であっても、落ち着いてかかわりましょう』『危険が伴うようであれば、、少しその場を離れて様子を見てください』『そばに寄り添っているだけで落ち着くことは多いものです』『本人が支持されている、愛されているという...できない!と叫びたい

  • 教育という視点で

    「統一見解はある?」5月26日『最新技術駆使アートの今』という見出しの記事が掲載されました。『テクノロジーはアートの定義を変えるのだろうか』という問題意識の下、『六本木の森美術館で開催中の「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」展』を取り上げた記事です。同展では、『ゲームを製作するためのソフトウエア「ゲームエンジン」やVR、生成AIといった新しい表現手法を獲得したアートの今』が見られるそうです。記事の中に、『現在「アート」とされる絵画や彫刻を「オールドメディア」と呼ぶ人もいる』という記述がありました。さらに、『AIなどの技術を誰でも使えるようになってきた時代に、それを手法とした作品を作る作家が増えてくることは逃れられない』という学芸員の声も紹介されていました。さてそこで、小学校の図画工作において、...教育という視点で

  • 変質

    「便利箱」5月23日『小学校総合学習「情報領域」新設文科省方針』という見出しの記事が掲載されました。『次期学習指導要領に向けた改定作業を行う中央教育審議会特別部会が22日開かれ、文科省は情報活用能力の向上に向け、小学校は探究的な学びを行う「総合的な学習の時間」の中で情報に関する領域を新設して教える方針を示した』ことを報じる記事です。具体的には、『情報技術の基本的な活用方法や適切な取り扱いなどを学ぶ』ということだそうです。残念です。私がこの記事を読んで感じるのは、「総合的な学習の時間」は、本来の趣旨から離れ、何でも放り込んでおける便利な箱になってしまった、という思いです。私が指導主事をしていたときに創設された「総合的な学習の時間」は、これからの時代を担う子供たちにとっては生きる力の涵養が重要であり、生きる力...変質

  • トランプ型クレーマー対処法

    「トランプ病」5月22日連載企画『混迷する世界を語る』に、政治学者ヤシャ・モンク氏が、『「ゼロサム」のトランプ氏』というタイトルで寄稿なさっていました。その中でモンク氏は『トランプ大統領の世界観は「ゼロサム」思考に基づいている。すなわち「米国が勝つためには誰かが負けなければならない」とする考えで、両者が利益を得る「ウィンウィン」の発想はない。ゼロサムの対立構造はトランプ氏の人生を構成する不変の要素だ』と書かれています。その通りだと思います。そして、教員として、あるいは教委の幹部として多くの子供や保護者に接する中で、トランプ氏と同じ考え方の人は意外に多いとも感じています。こうした思考法の人にはどのように接すればよいのでしょうか。私の経験から言うと、ウィンウィンの考え方が通用しないというのは当然ですが、このウ...トランプ型クレーマー対処法

  • 爪を切る

    「問題発見能力」5月21日川柳欄に、茨城県M氏の『古代人爪どうやって切ってたの?』という句が掲載されていました。なるほど、です。こんな「?」、私は考えたこともありませんでした。そういえば以前、何かの本で何十年も爪を伸ばしっぱなしという女性の写真を見たことがありました。彼女は伸ばせば数㍍にもなる両手の爪を袋のようなもので包んでいました。何もしないままだと折れてしまうのだそうです。家事はもちろん、着替えも入浴もおそらく排泄後の始末も、自分ではできなかったと思われます。どうしてそんな事をしているのかは忘れてしまいましたが、爪も伸びすぎると大変だな、と思ったことは憶えています。また、芸能人で5cmほどの長さのカラフルな爪をしている女性を見て、米も研げないねとつれあいと話したこともありました。つまり、長い爪=生活上...爪を切る

  • 優しさを支えるもの

    「優しい心」5月21日読者投稿欄に、三重県の元教員N氏の『優しい看護師になっていてほしい』と題された投稿が掲載されていました。N氏は、『62歳の時、初めて衛生看護科の授業を持つ』ことになり、そのときの彼女たちも20代後半という年齢になっているとのことでした。そして、『心身が弱っている患者に寄り添い、信頼できる、優しい看護師であってほしい』と願われているのです。多くの人にとって、特に引っ掛かるところのない内容だと思います。でも私は気になってしまうのです。N氏が挙げた「寄り添い」「信頼できる」「優しい」の3要素の関係はどうなっているのだろ、N氏はなぜ「優しい」を最優先に考えている(タイトルがそうなっている)のだろう、ということに。看護師も教員も、人に接する仕事です。私は教員についていつも、「優しい」と「指導技...優しさを支えるもの

  • とりあえず今は…

    「平凡な言葉」5月20日『全国の中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る』という趣旨の『14歳の君へ私たちの授業』、今回は魚の伝道師上田勝彦氏が登場されました。平凡人の私などには想像もつかない人生を送られてきた上田氏ですが、強く私の印象に残ったのは実に平凡な言葉でした。仙台から千葉、さらにオーストラリアから東京、そして長崎の大学へ、寿司屋のバイトから漁師のバイト、そのまま漁師になるかと思えば、水産庁の役人になり、大学の客員教授と、ずっと魚に関わってきた上田氏は、『好きなことがあれば中断してもやめないこと。特にない人は勉強でもしよう』と語られているのです。好きなことを見つけて打ち込む、これは多くの「成功者」が口にすることです。上田氏の言葉も前段はその類です。真実なのかもしれませんが、平凡人の私には「子供の...とりあえず今は…

  • フラット

    「先生」5月20日『刑務所進む人権配慮受刑者呼び捨て→さん付け』という見出しの記事が掲載されました。『厳格な規律で受刑者を管理するイメージが強い刑務所の風土が変わり始めている。刑務官が受刑者を、受刑者が刑務官を、互いに「さん付け」で呼んでいるのだ(略)当の受刑者、刑務官はどう感じているのだろうか』という内容の記事です。『自分は犯した罪を償う立場なのに「甘やかされているのではないか」とも感じた』という受刑者の声。『私が被害者だったら、さん付け呼称は甘やかしているように見える。すべきではないと思っていました』という刑務官の声。いずれも、現在では違和感を覚えなくなっているとのことでした。記事によると、「さん付け」は、『受刑者と職員の間の肯定的な関係や双方向的なコミュニケーションを促し、社会復帰の第一歩にしようと...フラット

  • アンチ○○が流行り?

    「自己肯定感」5月20日『個性を潰す「自己肯定感」の呪縛』という見出しの記事が掲載されました。5日前に『「自己肯定感」という言葉を「激しく忌み嫌っている」』とおっしゃるカウンセラー信田氏へのインタビューを取り上げたばかりで、今アンチ自己肯定感が流行りなのかと思ってしまいました。今回の記事は、スポーツドクター辻秀一氏へのインタビュー記事です。辻氏は、中学受験について語っています。受験生を念頭に、『ひたすら肯定感を高めようとする呪縛の中で育った子供たちは、評価されることに終わりがないので、充足感を得られることがありません。代わりに、相手を見下すことで、相対的に自分を肯定しようとする』と指摘なさっています。分かるような気がします。辻氏は、競争の中で他者との比較でしか肯定感を得られず、ずっと勝ち続けることを目指し...アンチ○○が流行り?

  • 歪な目標

    「歪な目標」5月16日『教員残業月30時間に給特法改正案衆院通過』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『法案は、公立学校教員に残業代の代わりに基本給の4%相当を支給する「教職調整額」を2026年1月から毎年1%ずつ引き上げ31年1月に10%とするのが柱(略)付則では、教員の時間外勤務を29年度までに月平均30時間程度にまで減らすことを目標に掲げ』ということです。理屈に合わない話です。10%ということは、月の労働時間を基に考えると、約180×0.1=18時間分になります。他の業種で考えると、時間外勤務は通常の勤務時間の労働に比べて割り増しで賃金が支払われるのが常識ですから、精々15時間分程度にしかなりません。それなのに、30時間の時間外勤務を目標として想定しているのです。つまり、改革が達成され...歪な目標

  • いじめも不登校も私のせいではない

    「言いたいことは分かるけど、例示が…」5月15日『落ち込まないで「他責」の勧め』という見出しの記事が掲載されました。心理カウンセラー信田さよ子氏氏へのインタビュー記事です。信田氏は、『新著「なぜ人は自分を責めてしまうのか」で、「自己肯定感」という言葉を「激しく忌み嫌っている」と書いて』いらっしゃる方です。信田氏は、『もっと人のせい、社会のせいにしてよい』『自分のことをだめと思うのではなく、他者との関係性を考えてください』『(自己責任を強調するのは)個人の責任にすれば社会は責任を取らなくていいからです』『他者の力を借りて自分を楽しくすればいい』などと語っていらっしゃいました。分かるような気がします。ただ、信田氏が例として挙げていたことに違和感を覚えたのです。『引きこもりの子を持つ父親たちの話を聞くと、父親は...いじめも不登校も私のせいではない

  • 1位の背景には

    「学校の貢献は?」5月14日『日本の子供、「精神的な健康度」32位』という見出しの記事が掲載されました。『国連児童基金は14日、先進・新興国43ヵ国に住む子供の「幸福度」を調査した報告書を公表した』ことに関する記事です。見出しにある通り、「精神的な健康度」の順位の低さを問題視する記事ですが、よく読むと、『「身体的な健康度」は20年に続き首位だった』とも書かれているのです。2回連続、先進国の中で身体的な健康度が1位というのは快挙ではないのでしょうか。どうしてそのことに触れる記述が少ないのか、不思議でなりません。記事には分析は一切ないのですが、私はこの「身体的健康度」1位という結果について、学校教育はどの程度関与しているのか、どのような面で影響を及ぼしているのか、ということが気になりました。偏見かもしれません...1位の背景には

  • 「いい先生」が実は…

    「子供の性被害とは」5月14日『脱衣所で男児盗撮容疑元幼稚園職員逮捕数千人被害か』という見出しの記事が掲載されました。『宿泊施設の脱衣所で小中学生らの裸を盗撮した』男性が逮捕されたことを報じる記事です。記事によると、『数千人の男児が被害(略)不特定多数に販売する目的で当時9~14歳の』ということで、犯人自身の性的な興味というよりも金銭目的の行為であったようです。被害に遭った子供や保護者の心情を考えると、不謹慎な感想だということは理解しているつもりですが、私はこうした事件の報道を目にするたびに、違和感を覚えてしまうのです。それは私自身は、男子小中学生の裸というものにまったく関心がないからです。異性愛者の男性であれば、多くが私と同じ感覚なのではないかと思います。そんなものの写真や映像を見て何が楽しいんだ、と思...「いい先生」が実は…

  • 「自立時代」の学校

    「教育の構造改革」5月14日論点欄は、『こどもの自死』がテーマでした。2人の識者が『日本はこどもにとって生きることが厳しい社会になっているのか』という問題意識の下、論じていらっしゃいました。私はその中で、ノートルダム清心女子大教授山下美紀氏の言葉に注目させられました。山下氏は、『家庭や学校とは非常に強くつながっているのに、それ以外とのつながりは弱すぎるのです。関係は強すぎても弱すぎてもいけないのに、強すぎるつながりと弱すぎるつながりしかありません』と述べていらっしゃるのです。私はこのブログで、教育は、家庭・学校・地域がそれぞれの特性に応じて機能を発揮して行われるものであるべきなのに、我が国の「教育」は学校に大きすぎる責任を負わせている、という趣旨の指摘をしてきました。山下氏の指摘は、学校偏重の欠陥という意...「自立時代」の学校

  • 考えた3つのこと

    「3つのこと」5月13日植草学園大教授野澤和弘氏が、『高校生SNSの落とし穴』という表題でコラムを書かれていました。その中で、考えさせられる指摘が3点ありました。まず、『(子供の自殺について)「健康問題」「経済・生活問題」「家庭問題」など主な原因がカテゴリー化されているが、自殺をめぐる子どもの心理的状況はもっと複雑で不確実な要因が大きい(略)部活やアルバイトなどの人間関係、異性との関係が絡んでいることが多い。さらに家庭内の不和や虐待、マルトリートメントが影を落としていることがある』という指摘です。その通りだと思います。統計調査は何らかのカテゴリー化なしには成り立ちません。そのカテゴリーをどんなに細かくしていっても、複雑な実態を的確に捉えることはできません。統計的な調査はあくまでも、全体傾向を大掴みし、必要...考えた3つのこと

  • M教員

    「イメージ」5月13日『中居氏側「性暴力」認定に反論』という見出しの記事が掲載されました。『フジテレビの第三者委員会に元フジテレビアナウンサーの女性への性暴力を認定された元タレントの中居正広氏の代理人弁護士は12日、「一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為の実態は確認されなかった」と反論』したことを報じる記事です。私が気になったのは、「一般的に想起される」という言葉でした。公的に使われる言葉については、公的な機関等による定義付けがなされているケースが少なくありません。今回の「性暴力」もその一つです。確かに、「性暴力」と言えば、嫌がって泣き叫ぶ女性に対し、屈強な男性が殴りつけたり抑え付けたりして抵抗できない状態に追い込み、衣服をはぎ取り、性行為に及ぶというようなアダルトビデオ的な情景を連想してしまう...M教員

  • 葬儀運営指針

    「学校でも…」5月10日『ペットの弔い多様化』という見出しの記事が掲載されました。『家族のように愛したペットを大事に弔いたいという飼い主の気持ちに寄り添うサービスが広がっている』ことを報じる記事です。記事によると、『飼い主とペットが一緒に入ることができる墓所』が提供されているという事例や、『墓石は、飼い主の希望に沿うデザインで仕上げる(略)ある家族は円形の墓石の中央に、2匹の猫の姿を配置。窯元に依頼し、写真を陶板に転写して焼き付けた(略)依頼主の娘が幼い時に描いた飼い猫の絵を基に、彫り方を工夫して手描きのタッチを残したデザインの墓石もあった』といった事例が紹介されていました。さらに驚くべきことに、『カブトムシなどの昆虫を埋葬する共同墓所』まであるというのです。そんな中、私が注目したのは記事の締めくくりの言...葬儀運営指針

  • 襲われる!

    「近未来の話」5月10日『小学校に侵入対策に限界』という見出しの記事が掲載されました。前日の立川市立小学校に男性2人が侵入し、『教室付近で制止しようとした校長ら5人が暴行され、50代教諭が重傷、4人は軽傷』という事件に関する記事です。記事は、『出入り口を全て施錠すれば外部からの侵入は防ぐことができるが、施錠の徹底が難しい側面がある上、保護者の訪問は拒めない。事件は学校現場に難しい問題を突きつけている』という問題意識で書かれたものです。記事では、安全対策として、インターホン、防犯カメラの設置、警備員の配置などの対策が例示されていましたが、私は少し違う心配をしています。それは、学校外での教員襲撃です。私が某区の教委に勤務していたとき、学校の対応に不満をもつ保護者が、校長と教頭を殴るという事件がありました。公平...襲われる!

  • 平和教育とソフトパワー

    「目指すべきもの」5月9日『ジョセフ・ナイ氏死去88歳「ソフトパワー」提唱』という見出しの記事が掲載されました。『クリントン政権で国防次官補などを務めたジョセフ・ナイ米ハーバード大特別功労名誉教授が6日、死去した』ことを報じる記事です。ナイ氏について記事では、『文化や価値観などの魅力で国際的地位を高める「ソフトパワー」を提唱』したことを功績として紹介していました。『軍事や経済など強制力を伴う「ハードパワー」だけでなく、他国が自ら納得して追随する状況を作り出す能力に注目する必要がある』と主張したのです。記事の結びでは、『トランプ大統領はソフトパワーが外交政策で果たす役割を理解していない。民主的な同盟国の信頼を弱めている』と指摘していたことも紹介されていました。私はこの「ソフトパワー」の考え方こそ、我が国が目...平和教育とソフトパワー

  • 風は一瞬で変わる

    「ひっくり返る世論」5月9日『小学校侵入教員暴行疑い5人けが保護者知人ら逮捕東京・立川』という見出しの記事が掲載されました。立川市立小学校で『教職員5人が侵入した男性2人に暴行されてけがをし、病院に搬送された』という事件について報じる記事です。記事によると、『児童にけがはなかった』『容疑者は同校2年に在籍する児童の母親の知人』ということで、事件発生に至る経緯としては『(母親は)児童間のトラブルに関する相談のため来校したが、学校側との話し合いがまとまらなかった。帰宅後、母親が40代の容疑者に話し合いの結果を伝達。母親は両容疑者を連れて学校に戻ってきた』ということのようです。同市教育長は、『教職員が複数で不審者に対応し、児童を守れたことに感謝している』と話していますし、保護者や世論も、容疑者を非難し、学校側を...風は一瞬で変わる

  • 巧みな洗脳者

    「偏向教員」5月6日専修大教授武田徹氏が、『手書き新聞に学ぶこと懸命ゆえに伝わる熱』という表題でコラムを書かれていました。その中で武田氏は、『真実の報道と虚偽の流言を受けては内容から区別できない(略)真偽を確かめる取材、調査力を市井の一般人は持ち合わせていないからだ。そこで、送り手が信頼できれば情報が正しいと考え、送り手を疑えば虚偽ではないかと考える』と書かれています。武田氏は、昨年の兵庫県知事選における虚偽のネット情報の影響力を問題視し、職業的報道人の在り方について論じているのですが、私は全く違うことを連想してしまいました。偏向教育を行う教員についてです。私は教委勤務時に、様々な問題を起こしてしまった教員に再教育を行う仕事をしていたことがあります。そこには、メディアに再三取り上げられる名物教員が含まれて...巧みな洗脳者

  • どういう風の吹き回し?

    「どういう風の吹き回し?」5月5日『こどもの日に考える公教育の価値問い直す時』と題された社説が掲載されました。その中の記述を見て驚きました。『子どもたちの知的能力という点で日本の水準は高い(略)経済的に恵まれた家庭ほど成績がいい傾向は各国に共通しているが、日本は恵まれない家庭の生徒も数学の得点が高く、成績の格差も小さい。学力以外の結果も、おおむね良好だ(略)学校に居場所を見つけられる子どもが多い(略)15歳までの教育を担う小中学校のほとんどが公立である。公教育の総合力が日本の子どもたちの高い能力を支えてきた』と書かれていたのです。我が国の公立小中学校における教育に対する高評価です。画一的だとか、知識注入型の古い教育だとか、体罰やわいせつ行為などの教員の不祥事だとか、校長や教委の隠蔽体質だとか、何かと批判ば...どういう風の吹き回し?

  • 伝える能力

    「我慢が大事、ではない」5月4日心療内科医海原純子氏が、『怒りをどう表現しますか』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、『普段怒りを抑えているのがいいかというとそうではない。怒りを感じていても、それを伝えず我慢していると、あるとき限界が来て突然激高して感情爆発状態になる』と書かれています。近年、アンガーマネジメント訓練を取り入れる組織が増えていますが、その趣旨を正しく理解せず、怒りを我慢することが大事と誤解している例もあるように思います。教員の体罰事案等を見ても、この我慢→暴発という型が見られます。この型の体罰は、暴行が一定時間継続し、被害者が大ケガをするなど、大事件につながってしまうケースが多いのです。後日、加害教員に事情聴取すると「頭が真っ白になって~」というように我を忘れるような興...伝える能力

  • 異常性

    「前提条件」5月2日論点欄は、『首長のハラスメント』というテーマでした。兵庫県の斎藤元彦知事の事件などを受けたテーマ設定です。3人の識者の中で神奈川県立保健福祉大大学院教授津野香奈美氏が書かれたことが強く印象に残りました。津野氏は、『組織自体の問題もあるが、個人の特性によるところも大きい。パワハラ加害者となりやすいのは、目的のためには手段を択ばない「マキャベリ主義」、「自分は素晴らしく、他人は自分のために働くのが当然だ」という「自己愛性傾向」、他人を傷つけても悪いと思わない「サイコパシー」の傾向が強い人』『加害者に、自ら気付いて行動を改めてもらおうというのは幻想だ。パワハラが認められた時には、本人の意識に関わらず粛々と処分すべきだ』『人は、他人を罵倒し目立つ人物を、行動力があると錯覚しやすい傾向がある』『...異常性

  • いじめの勧め

    「いじめの勧め」5月2日人生相談欄に、看護師の女性からの相談が掲載されました。『女性事務員は仕事に対して手を抜きます』『有休も1人だけ1年間でほぼ消化』『スタッフ全員が彼女に振り回されています』『解雇できるほどの要因もなく、退職してほしいですが、それも難しい』という現状を挙げ、今後の接し方を問うています。そんな人、よくいますね。そういう意味ではよくある相談です。しかし、その回答に驚きました。『まず彼女との会話を減らし、同時に振り向ける笑顔も減らすのです。無視したりするのはイジメですから、会話と笑顔を徐々に減らして様子を見るのです。最初は気づかれないくらいに。やがて変だと彼女は思います。こういう人ですから、気のせいで済ますかもしれません。でも根気よく続けます』。回答者は、いじめをどのように考えているのでしょ...いじめの勧め

  • 自分でやりなさい

    「失敗の経験」5月1日専門記者田原和宏氏が、『誰かに頼る勇気を』という表題でコラムを書かれていました。その中で田原氏は、哲学者戸谷洋志氏の著書から、子育てを例に『子どもを守るためならば、仕事や家事、育児を誰かに頼るのは当然だ。誰かに委ねてこそ、子どもを守るという最も大切な責任を果たせる。一人で抱え込み、つぶれてしまうと責任を全うできない』と書かれています。お隣りさんでも、ママ友でも、保育園の保育士さんでも、実家の親でも、お巡りさんでも、かかりつけ医でも、「今、○○で困っています。30分だけこの子を~」という声を上げられるかどうかが、子供を守る者としての責任を果たす上で大切だということです。お隣りさんも子供が小さいし…、お祖母ちゃんも俳句教室を楽しみにしてるし…、保育園のA先生には先週無理を言っちゃったし…...自分でやりなさい

  • 完全に払しょく、は無理

    「差別?」5月1日ノンフィクション作家藤原章生氏が、連載企画『25年後のアフリカ番外編』で、南アフリカでの体験について書かれていました。『初対面の人が「チャイナはどう?」と聞いてくれば、「中国はよく知らない、日本人だからな」と答え、違いを教えもする。だが相手は要領を得ない。「なんだ日本人か。悪かった悪かった。日本のどこだ?」「東京だ」「東京か。じゃあ香港か」「香港じゃない」「違うのか」』。中国人に間違えられる体験を繰り返し、藤原氏は『日本と中国、朝鮮半島に人間はもっと似ている(略)どっちだっていいじゃないか。なぜそこにこだわったのか。自分の中に、一緒にされたくないという、中国人差別のタネがあるのではないか』と自問し、『自分は差別する人間だ(略)行動に出なくとも差別意識まで完全に消えたと言えるだろうか』を自...完全に払しょく、は無理

  • 若いうちの苦労は

    「寝ないで…の後に」4月30日『草彅、不安だから迫真』という見出しの記事が掲載されました。映画「新幹線大爆破」に出演する草彅剛氏へのインタビュー記事です。その中で草彅氏は、『(脚本は読まないというのは本当かと訊かれ)そうですね、あんまり読まないですよ。「新幹線大爆破」はアクションを全部字で説明するからト書きが多くて。自分のセリフしか、読まない』と話されていました。ここだけ読むといい加減な人という印象ですが違います。草彅氏は『35歳くらいまでは、すごく読んでいました。寝ないで、穴が開くくらい。読んで計算して、安心する自分もいたし。でも。大事なのはそこじゃない(略)ネガティブで不真面目な“適当”じゃない。肩の力を抜いて、作品の世界観の中でこういう人だという感覚。演技って。ルールがない総合格闘技みたいなもん』と...若いうちの苦労は

  • コツコツと地道に

    「そうだ!」4月30日『戦後80年日本経済の針路生活支える基盤再構築を』というタイトルの社説が掲載されていました。その中にとても印象に残った記述がありました。日本総合研究所会長寺島実郎氏の『技術を磨いて産業の現場を黙々と支える人を支援しなければならない』という言葉です。社説では、『日本の強味であるものづくりが得意は中小企業は多い』とし、『1000分の1㍉単位で調整できる技術を持つ』従業員7人のメッキ工場の例を挙げていました。寺島氏の指摘もこうした企業を脳裏に浮かべてのことでしょう。近年、我が国ではAIや生命科学、半導体など先端科学の重要性が強調され、大学や大学院はもちろんのこと、小中高でも突出した才能の発掘と伸長を目指すべきだという風潮が強いように思われます。それは必要なことです。しかし、あまりにそうした...コツコツと地道に

  • 体育の授業を変えるのは教員

    「どんな実践?」4月29日『「体育嫌い」の声に寄り添って』という見出しの記事が掲載されました。『体育の授業が嫌いだった-。そんな話題が近年、SNSなどで増えている。背景に何があるのか』という問題意識の下行われた、関西大・日本学術振興会特別研究員三上純氏へのインタビュー記事です。三上氏は、インタビューの最後に『スポーツをやるなかで嫌な経験が生まれる可能性が常にあるということを現場が分かった上で、見過ごされてきた「体育嫌い」の声に寄り添った教育実践を考えていく必要がある』と語られています。その通りだと思います。反対する人はいないはずです。では、体育嫌いの声とはどのようなものかというと、記事では次のような例が挙げられています。『体育会系の「強い男性」から嫌な思いをさせられた』『「スポーツができると女子にモテる」...体育の授業を変えるのは教員

  • 下僕化

    「他山の石」4月28日『フジ「失敗」対話不在の末第三者委報告書検証』という見出しの記事が掲載されました。その中に、『役員人事で「『××階で日枝氏が決めている』という指名プロセスのブラックボックス化を招いている」(略)「経営リスクの高い案件」について、編集ラインの「同質性の高い壮年男性のみ」で判断(略)成功体験が強すぎて時代の変化についていっていなかった』という記述がありました。私は、勤務していた某教委のことを思い出しました。そこでは、K教育長が絶対的存在として君臨していました。指導室長を4年、その後教育長として8年、教員人事、学校管理職人事を一手に掌握していました。指導主事や、指導室長はもちろん、現役の校長、退職し嘱託として教委に勤務していた元校長まで、K氏を崇め奉っていました。12年という年月は、まだ一...下僕化

  • 守るべきなのは「学校教育への信頼」

    「守るべきもの」4月27日『不適切指導絶たれた剣の道大分・高2部活で熱中死』という見出しの記事が掲載されました。夏季休業中の剣道部の練習で生徒が亡くなった事件について、当時の状況ととその後の経緯を報じる記事です。私は見出しを見て、高温の中休憩や給水を怠ったという事故かと思ったのですが、実際はとんでもない事件でした。記事によると、『1人が倒れ、別の1人も嘔吐した(略)だが顧問は2人をとがめ、腰を竹刀で叩く(略)剣太さんがふらつき、「もう無理です」と訴えても(打ち込み練習は)続いた(略)立ちつくしたままでいると、顧問は剣太さんの右脇腹を蹴った(略)額から出血してあおむけに倒れこむと、顧問は馬乗りになって胸ぐらをつかんだ。そして10回程度、頬を平手打ちにいた。額の血が飛ぶほどの激しさだった。「演技するな。目を開...守るべきなのは「学校教育への信頼」

  • けがの功名?つまらない授業

    「楽しくなければ授業じゃない」4月25日『戦後80年座談会』の第3回の様子が掲載されました。『資本主義の岐路戦前想起ビジョンに基づき決断を』という見出しがつけられた座談会の中で、作家温又柔氏、日本政治外交史を専門とされる学習院大教授井上寿一氏、主筆前田浩智氏の語られる言葉に注目させられました。温氏は『正しいことは、すごくつまらない。だからこそ、こうしたつまらなさに耐えるのが、今、とても重要だとも思うんです(略)この耐えがたさに耐えて「つまらないが、事実」を積み上げるということが切実に問われている』と話されていました。そうすると、話し合いの後半で井上氏が『「つまらなさ」に耐えるという表現もありました。高度情報化社会の中で、私たちはそのような力を鍛えなくてはならない』と語り、総括として前田氏が『「つまらない正...けがの功名?つまらない授業

  • 失うのは一瞬

    「全く分からないけど」4月24日『聞こえぬ音体で浴びて』という見出しの記事が掲載されました。歌手野口五郎氏へのインタビュー記事です。その中で野口氏は、『人類が誕生して20万年ですが、たった30年の間に(人々が多く聴取するのは)デジタル処理された非可聴音を感じない音楽になってしまった』と語られていました。非可聴音とは、『非常に高い周波数のため人の耳では聞き取れず、CDのようにデジタル処理された音源では取り除かれる』のだそうです。野口氏は、非可聴音を『実はすごく大事』とし、『生演奏などに含まれる非可聴音が人体に何らかの影響を与えている』と考え、大学教授らと共同研究を続けており、学会での発表も予定しているとのことでした。私は、音楽のことは全く分かりません。悪声ですし、演奏できる楽器は皆無です。ただ、気になったの...失うのは一瞬

  • 理念は捨てた?

    「理念はどこに?」4月24日『公立高の併願入試検討文科省合格先自動割り振り』という見出しの記事が掲載されました。『文部科学省は、公立高校の入試で一つの高校しか受験できない「単願制」の見直しに向けた検討を始める』ことを報じる記事です。『複数の高校を志願でき、志望順位と入試の点数などに基づいて自動的に合格先を割り振る』という制度です。記事ではその背景として、『高校授業料無償化で私立人気の高まりが予想されることを踏まえ、公立を選びやすくする』ことを狙っていると解説されていました。とても疑問です。記事でも、『学校や生徒の序列化が進む』という懸念が示されていましたが、それ以外にも大きな問題があります。それは、20年以上にわたって掲げられてきた、学校教育の多様化という根本理念に反することです。文科省は、画一的・硬直的...理念は捨てた?

  • 歪曲してない?

    「精査が必要」4月23日オピニオン編集部吉井理記氏が、『アメリカを超えた!』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、『トランプ米大統領が自身の考えと異なる私大への弾圧を始めたことが日本でもニュースになったが、なに、騒ぐまでもない。私立か公立かの違いはあれど、教育現場への国家の締め付けは、日本がずっと先行していた』と書かれています。吉井氏が言う『締め付け』とは、『小中学校の入学式や卒業式での「君が代」斉唱が義務づけられた』ことです。そして、その不当性の根拠として、『斉唱や起立の強制は「市民的権利を侵害する」として、国連教育科学文化機関などが19年に是正を勧告した』ことを挙げていらっしゃいます。正しい指摘です。ただ若干の補足が必要ではないかと考えます。儀式的行事において、教職員に国家の斉唱及び...歪曲してない?

  • 知りすぎても

    「出来るかな?」4月22日精神科医香山リカ氏が、『患者ではなく「その人」』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、『(往診先の特養で)肺炎となってしばらく診療所に入院し、良くなって退院した入所者の顔を見かけた(略)病室にいた時より、ずっと明るい表情に見える。「いかがですか」と声をかけると、「大丈夫よ」と一言だけ答えてまた飾り作りに熱中し始めた。介護職員が「元々、手芸が大好きなんですって」と笑顔で教えてくれた』というエピソードを紹介なさっていました。そして、『医療機関では「その人」であるより先に「病気の患者さん」としてみられてしまうのだ。そうするうちに、その人の表情もだんだん沈んできた』と述べ、『私も、診察室で、「患者さん」ではなくて「その人」を診られるようになりたい』と決意されているのです...知りすぎても

  • この話、使える!

    「妄想癖」4月21日『架空の試験が非関税障壁?』という見出しの記事が掲載されました。トランプ米大統領が『関税以外で自身が問題と考える貿易上の不正行為の具体例を列挙した(略)「保護技術基準(日本のボウリング球試験)」と明記。ボウリングの球を自動車に向かって落とし、車体が傷ついたらその自動車は安全基準で不合格-という現実には存在しないトランプ氏の「脳内試験」を再び持ち出し難癖をつけている可能性がある』ことを報じる記事です。困ったものです。それはともかく、私はこの記事を目にして、学校教育でも似たような話があったな、と思い出しました。拙著「断章主義」の154ページ「都市伝説」の一部を以下に引用します。実はこうした根拠のあいまいな「都市伝説」は、学校教育においても見ることができます。その代表的なものが、「徒競走で全...この話、使える!

  • もし事故が起きていても教員の判断を擁護し続ける?

    「擁護していただけますか」4月19日連載企画『センセイ、一歩ずつルポ赤羽自主夜間中学』の第9回は、『学ぶ喜びを知る人』というタイトルでした。その中に、ある教員の小学校勤務時の出来事が紹介されていました。『2年間担任した最後の春休み。クラスの母親たちが「思い出作りをしましょう」と言ってくれた。隅田川の土手滑り。けがを心配して学校は禁止していた。内緒で保険をかけ、母子80人でプラスチックのそりに乗って遊んだ。母親たちとは今も付き合っている』。このエピソードは、子供のことを思い、子供との信頼関係を築き上げた教員の「良い話」として紹介されていました。私の見解は異なりますが、ものの見方は人それぞれです。ただし、私は論理の一貫性が大切だと考えています。それは次のようなことです。まず、楽しい土手滑りを禁止する学校の方針...もし事故が起きていても教員の判断を擁護し続ける?

  • 私っていけない子?

    「誰もが?」4月17日作家志賀内泰弘氏が、『心の垣根を取り払う』という表題でコラムを書かれていました。その中で志賀内氏は、取材で訪れた小学校での体験を紹介なさっています。『先生が壇上で話をする最中、一番後ろのグループが騒いでいた。でも、誰も注意しようとしない。どういうことかと近くに行ってみて驚いた。ゴロンと寝そべっている一人の男の子を囲むようにして、数人の児童が笑いながらおしゃべりをしているではないか(略)真ん中にいる男の子はダウン症でみんなと一緒の行動ができない。そこで、団体行動をする際には、仲良しグループの友達が付き添って遊んであげているのだという』。志賀内氏は、『心と心の垣根を取り払い、誰もが心地よく暮らせる社会を作る秘訣がここにある』とコラムを締め括っていらっしゃいました。本当かな?疑り深い私は、...私っていけない子?

  • 2通りの「1人だけ」

    「一人だけ」4月17日『飛び出したら「勝ち」黒ひげ危機一発50年で回帰』という見出しの記事が掲載されました。玩具メーカータカラトミーが、『「黒ひげ危機一発」が今年で発売から50周年を迎えるのを記念(略)「飛び出したら負け」のルールを発売当初に戻し、「飛び出したら勝ち」へと変更する』ことを報じる記事です。私はこの記事で、「黒ひげ危機一発」が「黒ひげ危機一髪」出ないことをを初めて知りましたし、初めは「飛び出したら勝ち」だったことも知りませんでした。ただそれだけの軽い気持ちで読んでいたのですが、そのうち、今回の原点回帰で、遊ぶ人に気持ちはどう変わるのか、ということが気になりだしました。5人で遊んでいたとします。「飛び出したら負け」というルール下では、一人だけ敗者が出ます。他の4人は勝者、1人だけ他の4人より下に...2通りの「1人だけ」

  • 原則か、例外か

    「原則の外」4月17日論説委員濱田元子氏が、『左を見て、右を見て』という表題でコラムを書かれていました。その中で濱田氏は、『劇作家、スージー・ミラーさんの戯曲』を取り上げています。タイトルは『プライマ・フェイシー』で、このラテン語の意味は『反証されない限り事実を証明する十分な証拠』だそうです。戯曲に内容は、『(テッサは)気鋭の法廷弁護士で、性暴力で訴えられた男性の弁護に当たっている。被害を訴える女性の記憶や証言のあいまいさを突き、勝ちを挙げてきた。だが、立場は逆転する。テッサ自身が同僚による「同意のない性行為」の被害者として法廷で闘う決意をした』というものだそうです。私が注目したのは、戯曲の作者のノートにあったとされる言葉です。『「推定無罪」が人権の揺るがぬ基盤だと固く信じているが、この原則の性的暴行事件...原則か、例外か

  • 人間は複雑

    「コミュニケーションとは」4月16日沖ワークウェル社長堀口明子氏が、『AIとの対話力磨こう』という表題でコラムを書かれていました。その中で堀口氏は、『仕事をする上でコミュニケーション能力を高めていくことは大切』とおっしゃっています。ごく普通の考え方です。また、堀口氏は、コミュニケーション能力について、『能力の高い人は、相手の意見を尊重しながら、的確に自分の考えを伝え、自分に必要な情報を得ていきます。また、相手との信頼関係を築き、仕事を円滑に進めていきます』とも書かれていました。これもまた、よく分かる説明です。ただ、『最近は対話の相手が人間とは限らなくなっています』として、『AIとの対話』という言葉を使われていることに違和感を覚えました。AIとの対話、つまりAIとのコミュニケーションというときの「コミュニケ...人間は複雑

  • そんな人になりたかった

    「教わるor獲得する」4月15日専門記者大治朋子氏が、『神ヘルパーさん』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、訪問介護の現場で出会ったホームヘルパーの行動を次のように書かれています。『お年寄りにまず笑顔であいさつをする。ひざまずいてゆっくりと見つめる。軽く手のひらで型や背中をさわりながら「体調はどうですか?」とゆったりした口調で尋ねる。作業の合間も、お年寄りが持っている写真などを話題に、「すてきなご家族ですね」と、その人生に敬意を払う。お年寄りや嬉しそうに言葉を返す』と。一方で、抜かりなく黙々と作業をこなすだけのヘルパーに対しては、お年寄りが『あの人にはもう来てほしくない』と言っているという事実を示されるのです。そして、『ケアの五つのステップ』について解説をされています。それは、『「出会...そんな人になりたかった

  • 私(AI)がお答えいたします

    「正しい判断」4月15日『子どもわくわく課題ぞくぞく』という見出しの記事が掲載されました。大阪・関西万博について、『半年間の会期中、計約58万人が学校単位での来場を予定しているが、安全面への懸念から直前に参加を取りやめた学校も』ということで、学校行事としての万博訪問について取り上げた記事です。記事では、『大屋根「リング」から眺める景色に歓声を上げた』『水上ショーを楽しみながら弁当を広げた』『学んだことや感じたことをメモしていた』などの様子が紹介される一方、『「子ども優先列車」を利用した(略)多数の外国人客などが誤って乗り込み、混雑した』『給水所には、生徒が30人近く列を作った』『協会から3月下旬に見学できるパビリオンが割り当てられたが、1学年が複数に分かれる形だった(略)付き添うの教師の数が足りず~』など...私(AI)がお答えいたします

  • なぜかは自分でも分からない

    「掘り返す」4月12日書評欄に、『「なぜ」と聞かない質問術(中田豊一著ダイヤモンド社)』についての書評が取り上げられていました。同書は何らかのミスや失敗について、『「なぜ?」と質問することの弊害を訴える』もので、『「詰問型のなぜ質問」は力関係の差を利用して、相手に重圧をかけている』と断じています。そして、『(なぜ質問では)相手は心を閉ざす。では、どうすればよいのか?著者は「いつ?」と聞くよう教える』のです。具体例として、ゲームを片づけない子供に、「いつ出したの?」と聞けば、子供は「朝出した」と気付き自発的に片づけようとする、があげられています。そんなにうまくいくのか、と疑問も感じますが、私も基本的には著者の考え方に賛成です。以前も、このブログで、中居正広氏の問題に関するフジテレビの記者会見について、事実を...なぜかは自分でも分からない

  • 「物語」を学ぶ意味

    「物語を読む」4月12日書評欄の『なつかしい一冊』のコーナーで、歌人・詩人・小説家竹中優子氏が、『泣いた赤おに(浜田広介作つちだのぶこ絵あすなろ書房)』についての思い出を語られていました。その中で竹中氏は、『子どものころは、赤鬼が手に入れたもの(人間と仲良くなる)と失ったもの(友人の青鬼)の大きさを比較し(略)悪役を買って出た青鬼の提案を受け入れたのが間違いだった』と考えたと述べられています。そして、『もう少し大きくなると、ころころとものの好き嫌いが移り変わる「人間」というものが薄気味悪く感じるようになった。その「人間」の仲間入りをしたい赤鬼にも共感できなくなった。わたしはひっそりと青鬼を愛した』と感想が変化し、さらに大人になって『「青鬼はなんでそこまで赤鬼に親切にしたのだろう」という疑問が湧いてきた(略...「物語」を学ぶ意味

  • 当たり前の結論

    「子供の能力」4月11日論点欄のテーマは『新社会人のあなたへ』でした。『人生の先輩たちから、全国の「新人さん」へのアドバイス』という趣旨で、3人の識者の方々が話されていました。私はその中で、組織開発コンサルタント勅使河原真衣氏の言葉が印象に残りました。勅使河原氏は、『「能力」は個人に固定的に存在するものではありません。「使えない」と言われた社員が、別の部署で大活躍するのはよくある話。「能力」って環境次第で“乱高下”するもの(略)「能力」とやらをこの目で見たことがある人はいません(略)個人ではなく組織を変える、つまり人材・能力開発ではなく「組織開発」を目指す会社を作りました』と語っていらっしゃるのです。そうだなぁ、と思いました。私自身、似たような経験があるからです。自慢ではありませんが某区教委で先任指導主事...当たり前の結論

  • 統治の原則

    「集団統治」4月8日『通行料「後払い」不満の声弁護士「不払いなら詐欺罪の可能性」』という見出しの記事が掲載されました。NEXCO中日本管轄のETCの不具合で料金所が利用できなくなったトラブルについて、同社が後払いを求めていることについて報じる記事です。その中に、学級経営にも通じる集団統治の原則について考えさせる記述がありました。まず、『高速道路が「高速」じゃなかったら、料金を請求されても納得できない』という不満が寄せられているという記述です。この不満に対し、同社は『通行料金は高速道路の利用料で、「JRなどの特急料金のように所要時間の保証といった性格を含んでいない」』とHPで通知しています。ここからどんな原則が引き出せるか。それは、ルールについては何か起きてから説明するのではなく、事前にきちんと周知しておく...統治の原則

  • みんなを「えこひいき」

    「難事」4月7日連載企画『伊達公子×プロフェッショナル』、今回は元サッカー日本代表監督岡田武史氏との対談でした。印象に残ったのは、『監督好かれずに尊敬されろ』という言葉でした。この言葉について岡田氏は具体的に、『俺だってみんなにいい人だって言われたいし、好かれたいけど、ピッチには11人しか出せない。選手の仲人とかしないし、一線を区切って選手と酒を飲まない(略)一緒に飲んだ翌日、メンバーを外れてくれってよう言わんから』と語っていらっしゃいました。監督は、選手を評価し、評価に基づき処遇を決める者です。そして人は、内心では自分を高く評価し、自分に下された正当な評価を不当に低いと感じる傾向があります。だからこそ、評価者である監督は、評価に疑念を抱かせないように、公平・公正性を保つために細心の注意を払う必要があるの...みんなを「えこひいき」

  • 卑怯と言われれば一言もない

    「正義を見せる場所」4月5日『被害者なのに……児童間の性暴力増える2次被害』という見出しの記事が掲載されました。『同じ学校に通う子供同士の間で起きた性暴力事案により、被害者側が意に反して転校を余儀なくされたり、配慮を欠く教員の言動で2次被害を受けたりするケースが相次いでいる』として、その現状や背景、問題点と改善の方向を示す記事です。記事では、6年女児の部屋に同級生の男児が忍び込み、下着を盗んだり、体液をベットに残したりした事件が取り上げられていました。事件後のことについて、『女児は事件翌日から登校できなくなった。自室には「気持ち悪い」と入れない。本当は学校に行きたいが、いきなり目の前に現れたらと思うと怖い。不安は拭えず、外出を控えるしかなかった。学校は(略)席替えや別室登校を提案した。だが被害者としては、...卑怯と言われれば一言もない

  • どんな教員だった?

    「どういう教員?」4月5日『やはり「現場がいい」』という見出しの記事が掲載されました。連載企画『センセイ、一歩ずつルポ赤羽自主夜間学級』の8回目です。自主夜間中学で指導に当たる元教員たちと教え子の交流の様子を紹介する記事です。その中に次のような記述がありました。『河合充子さん(74)も元小学校の教師。私(記者)が訪れた時、ネパール人の女性に数字の読み方を教えていた。「1161は?」「せんひゃくろくじゅういち、です」「よくできました。すごーい」女性の背中をさすりながらほめた。学校でもそんな先生だったのではないか』。私はこの部分を何回か読み返しました。さっぱり分からなかったのです。「そんな先生」とはどんな教員のことなのか、がです。記事全体のトーンからして、ここでは河合氏の言動を、教員として肯定的に評価している...どんな教員だった?

  • 相手によっては、時と場合には、はダメ

    「本当の意識」4月4日論点欄は、『検察官の暴走はなぜ』というテーマで3人の識者が意見を述べていました。『録音・録画が本格化した検察で、威圧的、侮辱的な取り調べが相次いで表面化している(略)検察官はなぜ、「外部の目」が入っても暴走するのか』という問題意識の下、設定されたテーマです。私はその中で、元最高検次長検伊藤鉄男氏が書かれたことが印象に残りました。伊藤氏は、『録音・録画が決定的な対策にならないことははっきりした(略)根本的な原因は、検事がどのような取り調べがいけないのかを理解していないから』と分析し、『同じ文言でも場面や口調、相手との関係性次第で、不適切な発言と捉えられるかどうかは変わってくる』と述べていらっしゃいます。この考え方、教員の体罰など「不適切な指導」といわれる行為を巡る問題と全く同じ構図だと...相手によっては、時と場合には、はダメ

  • 真の成長戦略

    「成長戦略」4月3日くらし科学環境部渡辺諒記者が、『科学技術「暴走」にルールを』という表題でコラムを書かれていました。渡辺氏は、『(AI、生命科学、気候変動のような)最先端の科学技術がもたらす光と影を追う「神への挑戦」』を担当された方です。『その「影」が、もはや人間の手に負えないレベルに達しようとしている』という危機感に突き動かされての執筆だったようです。私はその中の『暴走を食い止めるためには、どう対処すべきなのか。一つは、倫理的、法的、社会課題を盛り込んだ研究指針を作ることだ(略)しかし、AIなどの新しい分野ではまだ導入が不十分だ。その分野の研究者だけで策定され、法学者や倫理学者などが必ずしも参加していない』という記述が印象に残りました。要するに、今後の社会発展のためには、法学者、倫理学者、社会学者など...真の成長戦略

  • エビデンス擬き

    「科学的裏付け?」4月2日『整髪戦うスイッチオン試合前「覚悟の儀式」無名校を強豪に』という見出しの記事が掲載されました。『無名だったある高校サッカー部が近年、全国大会に何度も出場するようになった。転機の一つが、試合前に髪を整えることだったという。スポーツ界では類似する取り組みが散見されるが、どのような効果が考えられるのか』という問題意識で書かれた記事です。ある高校とは、福岡・飯塚高です。同校監督は、『髪型を整えることで内面の覚悟が決まる』と述べ、主将は『試合に出る選手がカットをしてもらい、一体感を感じた。ヘアセットをしてもらうと、テンションが上がった』と語っています。また、『プロの世界でも髪型を自らの「スイッチ」にする選手がいる』とのことで、日本代表長友佑都選手の例が紹介されていました。さらに、大阪体育大...エビデンス擬き

  • みんな大活躍!

    「模範的?」4月1日専門記者大治朋子氏が、『困った時の女性かつぎ』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、『やはりそうか。元タレントの中居正広氏による女生徒のトラブルに絡む問題で、フジ・メディア・ホールディングスが人事の刷新案を発表した。柱の一つが「取締役の女性比率を3割以上にする」だった。企業や組織が業績低迷やスキャンダルあら心機一転、出直しを図ろうとする時に「女性カード」を切ることは珍しくない』と書かれています。要するに、『男性中心の組織ほど女性抜てきで「新鮮味」を打ち出そう、と考える』思考パターンを非難しているわけです。全く同感です。もちろん、契機は不祥事時のイメージ戦略に過ぎなくても、その後も女性の能力に対する適正な評価と処遇が進むのであればよいのですが、しばらくしてほとぼりが冷め...みんな大活躍!

  • お掃除ロボットは雑巾がけもします

    「必要なもの、不必要になったもの」4月1日読者投稿欄に、福岡県の主婦S氏による『世の中の変化速く教育にひずみ』と題された投書が掲載されていました。その中でS氏は、『ボランティアで出かけた小学校で1年生と掃除をした時』のことを書かれていました。『「雑巾をぬらして絞っておいで」とある男の子に言うと、「どうやるの」と聞かれました。雑巾を絞ったことがないと言います。恐らく家出の掃除は使い捨てのウエットシートなのでしょう。他にも雑巾を絞れずポタポタと水をしたたらせる子もいました』と。そして、『昔ながらのことができなくなっています。スピードを持って変わる世の中が教育にひずみをもたらしている気がします』と結んでいらっしゃいました。よく分かる、という気がします。私は高齢者、昔を懐かしむ気持ち、昔はよかったという感覚を強く...お掃除ロボットは雑巾がけもします

  • 「教育現場」のお話

    「ずれてないか」3月30日『理系女子なぜ少ない教育現場自体に偏見』という見出しの記事が掲載されました。『企業や大学の理工系分野での女性の少なさが課題となっている』という問題意識の下、その背景について、九州大教授河野銀子氏にインタビューした記事です。河野氏の指摘は何となく読むと分かったつもりにさせられるのですが、少し考えるといくつかの疑問点が生まれてくるのです。特に、「教育現場自体に偏見」という捉え方です。教育現場ってどこ?、ということです。幼少中高大院、教育現場と言ってもたくさんあります。それを区別せずに論ずることは誤解の元です。河野氏は、『小学校4年から高校3年まで好きな教科を尋ねたデータがあります。小4から中1まで、5教科の中で女子が最も好んだのは理科です』と述べています。つまり、小学校段階では、女子...「教育現場」のお話

  • 塾は楽しい、でも地方には…

    「正気?その2」3月29日『デモクラシーズこれまでこれから戦後80年個人でいられる保証を』という見出しの記事が掲載されました。絵本作家五味太郎氏へのインタビュー記事です。その中で五味氏は、次のように述べていらっしゃいました。『学校はもっと産業資本主義的にいかないとまずいと思うよ。「義務教育だから」と学校に来させるのではなく、「あの学校で遊ぶと楽しい」という世界を何で作らないのかな。子どもは、見て、聞いて、楽しくて、興味深いものに出会って吸収する時期だよ。すてきなプールがあって、給食もうまいし、文字も憶えちゃうんだぜ、興味ある子はポルトガル語でもいいよ、っていう学校。そういう“商品”が貧しいんだ(略)いまは受験態勢のために魅力的な塾の方がもうかっていて。でも、塾の目的って、僕たちがしたい勉強はそういう形じゃ...塾は楽しい、でも地方には…

  • 公費助成は慎重に

    「正気?」3月28日『1年生からフリースクール個性求め「不登校」選ぶ道』という見出しの記事が掲載されました。『子供の個性を伸ばそうと、正規の小学校に一度も通わせないまま、米国やオーストラリアなどの先進的な教育手法を取り入れたフリースクールを選ぶ保護者たちがいる。「積極的不登校」とも呼ばれる選択肢の現状を追った』記事です。記事では、『各学年9人まで受け入れ』『探究学習に力を入れ、多彩な活動に取り組む』などの特徴が述べられると同時に、『学校教育法で定められた学校ではない(略)学籍を巡ってトラブルになるケースも少なくない』といった課題も紹介されています。記事全体のトーンは、『さまざまな選択肢から教育を選べる社会になってほしい』ということで、公的な支援が限られ保護者の負担が大きい現状を問題視するような内容になって...公費助成は慎重に

  • 言葉感覚は保守的で

    「時代遅れ?」3月27日専門記者田原和宏氏が、『「カワイイ」論』という表題でコラムを書かれていました。その中で田原氏は、『スポーツ言語学会は8日、2024年度に創設したスポーツ言語大賞として、パリ・オリンピックのレスリング女子76kg級で金メダルに輝いた鏡優翔選手(23)が語った「ガンバレと言われるより、カワイイと言われる方が力になる」を選んだ』ことを取り上げていらっしゃいました。田原氏は、当初、『ルッキズムへの忌避感』から、記事化を躊躇ったと述懐しています。私も同じ感覚です。女性を外観で評価する発想を讃える行為に、加担してしまう気がするからです。しかし、専門家によると、現代における「カワイイ」は、『見た目もジェンダーも問わないオールラウンドな肯定表現として使われる』のだそうです。『言葉の意味は時代ととも...言葉感覚は保守的で

  • 臆病ぐらいでちょうどいい

    「臆病者の保身」3月26日オピニオン編集部吉井理記氏が、『現金か金券か』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、『20年以上前の地方記者時代、異動が決まった僕が、ある自治体の首長から現金3万円の餞別を贈られた』という話について書かれていました。その後の顛末がとても印象に残りました。『違法なお金ではないが、翌日お返しした。記者倫理に反する、といった理由ではなく、競合のY新聞あたりに「記者が○○氏から現金!」と報じられるのでは、と勝手に心配したのだ。要は保身だ』。話はここから石破首相の10万円商品券問題に進むのですが、それはここでは触れません。私がこの話に注目したのは、私も同じだ、と思ったからです。私は今までにこのブログで、公務員である教員としての「汚職」について再三触れてきました。昨日もそう...臆病ぐらいでちょうどいい

  • コチコチ

    「受け取れません」3月26日読者投稿欄に、神奈川県の主婦K氏の『石破さんは世の中知らなすぎ』と題する投稿が掲載されていました。その中でK氏は、石破氏の法的には問題ないという「お土産」答弁を批判なさっています。K氏は、『公立小中学校では、卒業式に担任に花束を渡すことさえ固辞されている(略)公務員として保護者から花束でさえ受け取れないというのだ』『市立病院では、看護師センターへのお菓子のお礼も断られる。公務員として、何一つ、もらってはいけないのだと』という例を挙げて、石破氏の認識について『悲しすぎて笑える』と突き放しているのです。石破氏への非難については同感です。しかしここでは、私の思い出を語らせてもらいます。私が統括指導主事をしているときのことです。主任指導主事の1人が、教科書会社との癒着を疑われ、綱紀粛正...コチコチ

  • 意識せずにできる習慣のレベルに

    「何が悪いか分かっている?」3月26日『「美しいお顔で」文科相発言謝罪』という見出しの記事が掲載されました。謝罪した発言は、『吉良氏は24日の文科委で、教員の残業時間の試算方法について「休憩時間を差し引いているのは不公平なやり方では」と質問。これに対し、阿部氏が「吉良委員が本当に美しいお顔で怒っているのも大変よく分かるのですが」と発言』というものです。阿部文科相は、『多くの方に不愉快な思いをさせてしまい心よりおわびする』と謝罪したわけですが、何がいけなかったのか、この短い記事できちんと伝わっているのか、少し気になりました。質問に関係のない顔の話を持ち出したことが問題、という捉え方をした人がいるかもしれません。また、吉良氏が客観的にみて「美しくない顔」をしているにもかかわらず、「美しいお顔」などと皮肉り傷付...意識せずにできる習慣のレベルに

  • AIならできるの?

    「2つの実践」3月25日『「書く」ことで幸せになる』という見出しの記事が掲載されました。『家庭学習の習慣化をサポートしようと、文具大手のコクヨが2019年に発売したIOT文具「しゅくだいやる気ペン」』の開発グループリーダー中井信彦氏へのインタビュー記事です。ちなみに、やる気ペンとは、『鉛筆に取り付けて学習することで、内部のセンサーが振動を感知します。一定時間を過ぎる度に「やる気パワー」がたまり、色が変わる仕組み』というものです。つまり、長い時間書き続けているとそれが可視化できる装置ということです。今日は○○色まで頑張った、と満足感が得られ、それが学習意欲につながるということだと思われます。この記事を読み、私は自分が教員時代に取り組んでいた2つの実践を思い出しました。1つは、速書き、聞き書き、暗写という取り...AIならできるの?

  • トランプのような教員とプーチンのような子供

    「学校のトランプ」3月24日歌壇欄に、春日市I氏の『いじめっ子のあいつと握手しろなんて僕も言われたゼレンスキーさん』という短歌が掲載されていました。ハッとしました。ゼレンスキー大統領に侵略者プーチンと握手しろと迫ったトランプ氏、この自分勝手な正義漢気取りの嫌な奴、それが学校にはたくさんいるのではないか、と思ったからです。被害者であるウクライナの立場や気持ち、正義ということをまるで考えずに、戦闘に一時停止をもたらした実行力のある仲裁者という名誉だけが欲しくて、被害者を責めるトランプ氏に、いじめ問題の解決におけるダメ教員の姿がぴったりと重なったのです。ある学級でいじめが発覚します。悪いのは加害者です。正義は被害者の救済と加害者の処罰で実現されます。しかし、解決にあたる担任教員は、自分のことしか考えていません。...トランプのような教員とプーチンのような子供

  • あえて不評を背負う

    「百家争鳴」3月23日京都大教授待鳥聡史氏が、『寄り添う政治とは』という表題でコラムを書かれていました。私が普段モヤモヤと思っていることをしっかりと指摘してくださる内容でした。待鳥氏は、『「寄り添う」ことに重点を置きすぎると、いくつかの大きな問題が起こりうる』と問題提起なさっています。『一つは、少数派に「寄り添う」ことで政策の整合性が弱まり、各方面への野放図なバラマキに近づきかねない』と述べ、『私たち個々人は、常に何らかの意味で弱者であり少数派である』と指摘し、『全てに政策的に対応するには、大規模なセーフティーネットを作り、巨額の財源を投入する必要がある』と喝破なさっているのです。そして、『財政は度外視して、現在の苦しみに対応することが至上命令』となり、『不満は一時的に解消されるかもしれないが、政治の役割...あえて不評を背負う

  • 分権は善という幻想

    「盲信」3月21日『トランプ氏、教育省廃止へ大統領令』という見出しの記事が掲載されました。『トランプ米大統領は20日、教育省の廃止を目指す大統領令に署名した』ことを報じる記事です。『(教育省)の権限の各州への移行はトランプ氏が掲げてきた選挙公約』の一つなのだそうです。記事ではその理由について次のように書かれていました。『米国の(児童・生徒・学生の)読解力と数学の成績は歴史的な低水準に近い(略)教育省は「期待を裏切っている」』。確かに、PISA等でも米国の学力はあまり良い結果ではありません。教育省の取り組みに問題があるという指摘は間違っていないのかもしれません。ただ私が不思議に思うのは、教育省を抜本的に作り変える(トランプ氏の剛腕なら可能かも)という方向性ではなく、廃止して各州に、という方策が打ち出された背...分権は善という幻想

  • いろいろ気になった

    「本題から外れますが」3月21日論点欄は、『高校授業料の無償化』というテーマでした。この問題については、私は反対の立場ですが、今回はそのことについては述べません。3人の識者の方が書かれたことについて、本筋とはあまり関係のない部分で気になることがいくつかあり、それらについて取り上げてみたいと思います。まず、日本大教授末冨芳氏についてです。末冨氏は、『公立は教育委員会の管轄で人事異動もあり、魅力を高めようとしても改革は進みにくい。一方で、私立は理事長や校長次第で改革がしやすい』と述べていらっしゃいました。なるほど、です。確かに公立校は急激に変化することはしにくいシステムになっています。しかしそれは、安定性を確保するシステムでもあることを意味しています。私立校が、理事長や校長が独断で急激な変革を進めることが可能...いろいろ気になった

  • ごめんね

    「相談できない」3月20日『性差ない被害者支援を』という見出しの記事が掲載されました。『これまで私は「男性=DVの加害者」と思い込んでいた。男性も被害に遭っている事実を、多くの人に知ってもらいたい』という思いで書かれた記事です。記事の中に、『被害者には男性もいる。相談する場がなく、境遇は女性より悲惨だ』『「男のくせに」という周囲の目を気にして、相談することすら控えていた』などの記述がありました。私自身の中にも「男が被害者になるなんて」という強固な思い込みがあります。教員時代のことを思い出してみました。DVというよりも、性的な被害です。女児が大人から、ときには教員から性的被害に遭う、そうした事例は耳にしますし、あり得ることとして想像もできます。しかし、男児に対する性的被害ということについては、現役の教員時代...ごめんね

  • 教員の数は農家より多いのでは?

    「誰が考えてくれる?」3月17日『元農水官僚はこう見る米価高騰の真相』という見出しの記事が掲載されました。元農水官僚でキャノングローバル戦略研究所研究主幹山下一仁氏へのインタビュー記事です。山下氏の言葉がとても印象に残りました。『なぜ農水省はかたくなにコメが足りないと認めないのか』という問いに対し、山下氏は『理由は一つしかありません(略)米価を下げたくないのですよ。足りないと認めたら、備蓄米を大量放出したり、減反の手を緩めたりして、コメの供給量が増え、米価が下がってしまう。彼らにとって重要なのは米価であり、高いコメを買わされる消費者のことなんか眼中にないのです』。最近、よく聞かれる指摘です。私には、真相は分かりません。ただ、山下氏が指摘する構図は、コメ問題に限らず、様々な分野で見られることだと思ったのです...教員の数は農家より多いのでは?

  • 継続は手抜きなり

    「今も変わらず」3月17日『世界的画家横尾忠則さん「計画立てず自由に」』という見出しの記事が掲載されました。横尾氏へのインタビュー記事です。その中に考えさせられる記述がありました。『飽きることで人間は解放され、自由になっていく。自分の執着を離れて初めて自由になる(略)一つのことに熱中すると「飽きる」。そして、次のテーマに移る。「飽きる」ことが次の創作の原点になる』という言葉です。私は、あまり「飽き」ない人間です。趣味は、大学生のときから読書と将棋で、今も続いています。仕事は、大学卒業後すぐに教員になり、その後指導主事として教委に勤め、退職後もこうして学校教育に関するブログを6000回も続けています。教育実習時から社会科の勉強会に所属し、統括指導主事となるまで社会科研究に携わり続けました。ちなみに、結婚生活...継続は手抜きなり

  • 美しい学校、美しい教員

    「美?」3月15日漫画家やくみつる氏が、『タオル応援、一定の制限ほしい』という表題でコラムを書かれていました。その中でやく氏は、『(大相撲において)近ごろでは、もっぱら力士のシコ名をあしらったタオルのような物を掲げる応援スタイルが主流となっている』と指摘し、『観客もまた大相撲の様式美の一構成要素。アイドルのコンサートまがいのキンキラモールをあしらったようなボードは、たとえ(禁止されている)肩幅未満でもご法度に願いたい』と書かれています。私も大相撲中継を欠かさず見ている相撲ファンです。相撲はつまらないと言う人は、取り組み事態は数秒で終わってしまうのに、塩を撒いたり、仕切りをしたりといったことにばかり時間をかけていて退屈だ、言います。相撲ファンは、それがいいと言います。そうした所作を含めて相撲の様式美だと主張...美しい学校、美しい教員

  • 単純な話ではない

    「もっと他にも考えるべきこと」3月14日『小学校の卒業式はかまブーム到来?』という見出しの記事が掲載されました。『はかまがブームになっているらしい。それも、卒業式を迎える女子児童たちの間で(略)令和の小学生を取り巻く、最新のはかま事情を探ってみると-。』という記事です。記事では、『小学校の卒業式ではかまが取り沙汰されるようになってのは2010年代前半から』とありますが、私が最後の卒業生を送り出した1994年には、既にはかま姿の女子児童がいました。一人だけでしたが。ですから、この問題はかなり昔から起こっていたのです。記事では、『先にはかまにひかれたのは母親だ(略)かわいさに衝撃を受けた。絶対に娘に着てほしい』とありました。そうでしょう。親の思惑で子供に、と批判するつもりはありません。ただ、気になるのは、『若...単純な話ではない

  • いじめを見逃しても許されるなら

    「無罪放免」3月14日『337万人ネットカジノ経験』という見出しの記事が掲載されました。『オンラインカジノの国内の利用経験者は約337万人と推計されることが13日、警察庁の実態調査で明らかになった』ことを報じる記事です。記事によると、『「現在もオンラインカジノを利用している」との回答は、2.0%の550人』ということでした。私はこのような記事を読むといつも疑どうして、警察は放置しているのか、ということです。もしこの調査が、政治家の暗殺のために銃器を用意しているか、という内容で、50人がイエスと回答したとしても放置しておくのでしょうか。仮に放置したとして、その50人のうちの何人かが実際に暗殺を実行に移し、何人かの国会議員や大臣が殺されたとしたら、メディアは、世論は警察を責めるのではないでしょうか。もちろん、...いじめを見逃しても許されるなら

  • 間違っている「指導」観

    「30年前の出来事」3月14日『甲子園優勝監督に聞く早稲田実・和泉実さん』という見出しの記事が掲載されました。和泉氏へのインタビュー記事です。私がこの記事に注目したのは、サブの見出しとして『指導という言葉は嫌い』とあったからです。記事の中で和泉氏は、『今はどのように指導しているのですか?』という問いに対し、『「指導」という言葉は好きではありません。勉強でも一生懸命やっているのにガミガミ言われると聞く耳持たないでしょう。一方、教える側は、間違っているのが分かるので言いたくなります』と答えていらっしゃいました。30年ほど前のことを思い出しました。当時学習指導要領が改訂され、「指導から支援へ」という言葉が、教育界で流行りました。小学校の低学年で生活科が創設され、その後「総合的な学習の時間」が導入され、子供が学習...間違っている「指導」観

  • 孫がいなくてよかった

    「難題」3月13日川柳欄に、川崎氏S氏の『花魁を孫に説明する苦労』という句が掲載されていました。状況は説明するまでもありません。今年の大河ドラマ「べらぼう」を家族で見ていて、小芝風花さんらが演じる花魁について、「花魁って何してる人?」とまだ幼い孫に訊かれ、どう説明したらよいか考え込んでいる、ということを詠んだものです。確かに苦労しますね。私だったらどう説明するだろうと考えてみても、すぐに答えが浮かびません。それは、花魁についての説明では、売春について語ることが不可欠だからです。売春について語るには、男性の性欲について語らなければなりませんし、売春の非人間性、人権蹂躙ということについてしっかりと論じなければなりません。そもそも快楽のための性行為ということについて語ることも必要ですが、多くの大人にとって抵抗が...孫がいなくてよかった

  • ミニトランプな私

    「私も…」3月12日オピニオン編集部吉井理記氏が、『感謝を強いる人たち』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、先日亡くなった曽野綾子氏の生前の発言について書かれていました。『(自民党衆院議員)野田さんを名指しして、<自分の息子が、こんな高額医療を、国民の負担において受けさせてもらっていることに対する、一抹の申し訳なさ、感謝が全くない>と攻撃した』と。私も、そういえばそんなことがあったと思い出しました。吉井氏はこの発言について、『僕も健康保険料を負担してきたが、高額医療を使う人に「感謝せよ」と思ったことはない』と述べ、トランプ米大統領がゼレンスキーウクライナ大統領に感謝しろと要求した件も引き合いに出し、『「感謝しろ」というセリフ、代替が強者が弱者に、健常者が障害者に、富者が貧者に向けて発せ...ミニトランプな私

  • 私って、何者?

    「模倣の限界」3月11日精神科医香山リカ氏が、『「熱心、丁寧に」取り組む』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、望ましい医師像として、『思いやりの心と謙虚さ、目に見えないものを感じ取る感性、もののあわれを感じる情操』を掲げたエッセーを読んだことを紹介し、共感を示されています。その上で、『「謙虚、感性、情操」(略)この三つの要素が必要なのは、医師に限ったことではない。学校の教員や福祉関係者など人間に関わる職業の人』に求められる資質だと述べられているのです。全くその通りだと思います。さらに、エッセーには、『一人一人の患者さんの訴えに熱心に耳を傾け、丁寧に診療』することで、自然に人間性が育っていくとも書かれていたこと紹介しています。さて、おもしろいと思ったのはその後です。香山氏は早速実践に移し...私って、何者?

  • 勉強はそれほどではありませんが、という多様性

    「多様化」3月7日『東大、入試多様化検討』という見出しの記事が掲載されました。学長が、『筆記試験のみの一般選抜ではない形式の入試枠の拡充を検討している』ことを明らかにしたということを報じる記事です。記事によると、『検討の背景には、学生の多様性確保への危機感がある』とのことです。多様性、最近よく目にする言葉です。大切な概念だと思います。社会や企業などの組織において多様性が確保されることは望ましいことです。一方、東大に必要な多様性とは何なのか、ということについては考えさせられます。私は、東大は勉強ができる若者、頭がいい若者、努力を続けられる若者、が集まるべきところだと考えています。私のような頭の出来がイマイチ、という者が入学すべきところではないと考えます。それは東大という大学の個性や特徴を損なうことにつながり...勉強はそれほどではありませんが、という多様性

  • ディール不要

    「どちらの立場」3月6日『大牟田高駅伝部員9割転校体罰で降格のコーチ追い鳥取へ』という見出しの記事が掲載されました。『(同校の)駅伝部員9割超が、4月から鳥取城北高へ転校することが判明した(略)コーチを務めたA氏(52)の処遇を巡る学校側への反発が背景にあり、部員と保護者はA氏の転職先となる鳥取城北での競技継続を選択した』ことを報じる記事です。前にも似たようなことがありました。教員が体罰をする、学校が処分をする、体罰教員は他校に転職する、部員と保護者が体罰教員の指導による成果(全国大会での上位入賞)を期待し体罰教員の転職先に転校する、という図式が、です。どうして同じようなことが繰り返されるのか、その結果どのようなことが生じるのか、考えてみる必要があります。まず、私立校における運動系部活のもつ「価値」につい...ディール不要

  • 一つの…

    「前例」3月6日『知事懲戒を撤回せず兵庫百条委報告書「一つの見解」』という見出しの記事が掲載されました。兵庫県斎藤知事のパワハラ疑惑等について調査した百条委の報告書が議会で了承されたことについて報じる記事です。その中にとても気になる記述がありました。まず、『斎藤氏ら県の対応を「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応」などと厳しく批判(略)しかし、斎藤氏は「一つの見解だ」と従来の主張を改めなかった』です。数カ月かけ調査された結果、それも県民の代表である議会が了承した結果を、「一つの見解」と切り捨て無視する、そんなことを知事という立場にある人物が平然と行う、恐ろしいことだと思いました。行政の特質として「前例踏襲主義」があります。いろいろと批判されることも多い考え方ですが、行政の安定性や継続性を担保する働きも...一つの…

  • 製造者責任

  • 何となく、も教員の責任?

    「親の責務?」3月1日人生相談欄に、55歳女性の『反抗期以来夫と話さぬ娘』と題された相談が掲載されました。娘は27歳、『15歳の反抗期から夫と話さなくなりました。娘は「嫌いじゃないけど何か話したくない」といっていました』という状況だそうです。母親としては気に病むでしょうし、父親は寂しいでしょう。ところが回答者は、『(娘には)なんの問題もないじゃないですか(略)いいですか、親は子どもがこちらを向いてくれるよう努力しなきゃなりません。だったおもしろくない存在だとおもわれているんですから(略)恋人に振り向いてもらうのと一緒です。努力あるのみ』と回答しているのです。言わんとしていることは分かります。人間が変えることができるのは未来とこれからの自分だけ、過去と他人は変えることができません。子供といえども他人(自分で...何となく、も教員の責任?

  • 三層構造

    「教員に配慮義務?」2月28日法学者谷口真由美氏が『理想を目指す社会に』という表題でコラムを書かれていました。作家・反貧困活動家雨宮処凛氏との往復書簡です。その中に次のような記述がありました。『トランプ大統領は就任早々、「DEIの強制をやめる。政府と民間のすべてで、税国を実力主義に戻す」と語りました(略)しかし「実力主義」でいう「実力」は、各人の「資源」(生まれた場所や親の年収など)によって左右されます。いわゆる「親ガチャ」も子どもの自己責任でしょうか』です。「親ガチャ」、近年よく聞く言葉です。最近某テレビ局でAC広告機構のCMがよく流れるようになりました。その中に、若者が徒競走で駆け出すのですが、一人だけずっと後ろからスタートさせられる女子生徒がいて、いくら懸命に走っても他の子の追いつけない、というCM...三層構造

  • 幸せな家庭と楽しい学校、でよくない?

    「ほしいと思ったことはない」2月27日『中高生に「第三の居場所を」』という見出しの記事が掲載されました。『中高生らが自由に過ごせる、家でも学校でもない「第三の居場所」を各地に広めようと、教育学を専門とする大学院生コンビが挑戦を始めた』ことを報じる記事です。千葉大大学院博士課程に所属する2人が、『「学校の中だけでは、学びが実社会に繋がりにくい」「子ども会などが縮小し、地域に中高生世代が主体的に活動できる居場所がない」』という課題を感じ、取り組みを始めたのだそうです。良いこと、のような気がします。あやふやな言い方になってしまうのは、私自身に実感がないからです。記事によると、『家や学校以外に「居場所が欲しいのにない」と回答した子どもや若者は4人に1人』なのだそうです。私には、家や学校以外に場所が欲しいと思った経...幸せな家庭と楽しい学校、でよくない?

  • 何と言っても文句がきそう

    「夢を守る」2月27日大学生が作る紙面キャンパるに、J大I氏が、『「サンタはいる」母の苦労と愛』という表題でコラムを書かれていました。その中でI氏は、小学1年生のときのことを書かれています。『クリスマスを前にすると毎年、サンタさんに欲しいものを書いた手紙を送っていた(略)母に尋ねた。「この手紙はどこに送っているの?」母はしばらく考え込み(略)「サンタ協会」という団体があって、子どもができると連絡先を教えてもらえる。母がプレゼントの内容をメールすると、12月24日の夜、協会のサンタクロースがプレゼントを持って、タクシーで我が家にやってくる-。妙に現実的で筋の通った話だ』。凄い母親だと思いました。I氏は、このことについて、『今なら、母の苦労と愛がよく分かる。サンタなんていないと真実を明かす方が、ずっと簡単だっ...何と言っても文句がきそう

  • トランプ的教育観

    「本当に変わった?」2月27日『僕は「割れ煎」俳優の道ひょうひょうと』という見出しの記事が掲載されました。俳優ピエール瀧氏へのインタビュー記事です。その中に気になる言葉がありました。『僕らの時代って、若いヤツは「ひと山いくら」で売られるもんでしたからね。君たちは素晴らしい、君たちは何にでもなれる、ってのが今の教育システムですし、社会のマインドでしょ。実際には建前なんでしょうけど』です。瀧氏は、私の一回り年下、私が教員になって初めて担任した教え子たちと同じ世代です。その頃も、瀧氏の言う「君たちは何にでもなれる」という子供観で学校教育は行われていました。しかし、そうした子供観は、社会に広く定着しているという状況ではなく、正に「建前」的でした。子供の瀧氏は、そうした雰囲気を敏感に感じていたのでしょうか。それとも...トランプ的教育観

  • うちの〇〇はどんな人?

    「選択不能」2月26日日本歯科大内科客員教授渡辺尚彦氏が、『「基準変わった」多い誤解』という表題でコラムを書かれていました。高血圧の基準が変わった、と誤解している人が増えたという状況について、書かれたものです。その中で渡辺氏は、『高血圧の基準は「収縮期血圧(上の血圧)140以上かつ、または拡張期血圧(下の血圧)90以上」で変わっていません』と明確に述べ、『なぜ基準が変わったと誤解されたのでしょう』と問いを投げかけていらっしゃいます。そんな中、私が気になったのは、『困るのは、医師の中にも「血圧は高くても問題ない」「高血圧の基準が低すぎる」と主張する人がいることです』『約40年前、私が医者になりたてのころは上が160以上、信田が5以上の場合に高血圧とされていました。さらにさかのぼると、上が「年齢プラス90以上...うちの〇〇はどんな人?

  • とりあえず調査、設問は何となく

    「何を引き出すか」2月25日『「やればできる」教えてくれたのは母』という見出しの記事が掲載されました。『学習塾「明光義塾」を展開する明光ネットワークジャパンが実施した中高生への意識調査』の結果について報じる記事です。記事によると、『「やればできる」と感じさせてくれる存在として「母親」を挙げた生徒が35.4%で最多(略)「母親」に続いたのは、「友人」の27.6%。3番手が「先生」(21.7%)、4番手に「父親」(17.0%)という順になった』ということです。この結果をどのように解釈すればよいのでしょう。同じ親なのに父親の影響力が母親に比べて弱いのは、父親が子育てに関わっていないからであり、男性の子育てへの参加を社会全体で後押ししていく必要がある、という人もいるでしょう。教員は子供を導くのが仕事なのに、母親は...とりあえず調査、設問は何となく

  • だから法で規制して

    「経済、を教える」2月25日読者投稿欄に、福岡県F氏による『消えたコメ政府は不正許すな』と題された投稿が掲載されていました。その中でF氏は、『誰だかわからないが、コメ不足につけ込んで金もうけをたくらんでいる者がいるとしたら言語道断だ(略)金目当ての不正な行為は一粒たりとも許してはならない』と書かれています。F氏と同じような思いを抱いている人は少なくないように思います。私もコメの値上がりには苦しんでいます。ですからF氏の気持ちも分からないわけではありません。しかし、F氏の怒りは正しいのでしょうか。「買占め」をしている業者や売り惜しみをしている農家は、悪事を働いている悪人なのでしょうか。私はそうは思いません。我が国は資本主義経済を採用しており、経済活動においても自由主義を取っています。それは、法令に反しない限...だから法で規制して

  • 遠くを見つめたのはなぜ

    「記録の難しさ」2月23日日本芸術文化振興会理事長長谷川眞理子氏が、『真善美とは何か価値観が関与する「事実」』という表題でコラムを書かれていました。その中で長谷川氏は、『「真」は認識上の問題で、あることが真実であるかどうかの判断』と一応定義した上で、次の例をあげます。『大きなアザラシの雄は(略)多くの雌を自分の周囲に囲い込む。雌がそこを出て行こうとすると、雄は雌の首にかみついて阻止する(略)しかし、雌が他の雄のところに行こうとする、という行動の描写自体、雌は雄の気を引こうとしてわざと嫌がる様子を見せているだけだ、と解釈して描写することもできる』。つまり、アザラシの雄と雌の一連の行動を人が記録するとき、そこに主観が入り込む可能性があるということです。私は、自分が指導主事時代のエピソードを思い出しました。それ...遠くを見つめたのはなぜ

  • 使い道がない老残者

    「偉くなるな」2月23日『ホワイトカラーの再就職変化に適応し中小へ』という見出しの記事が掲載されました。『定年を見据え、新たな職場で働こうとする人は多い(略)高齢になっても、やりがいのある仕事を続けられる道はあるのか。シニア世代のサラリーマンの独立や再就職を支援する会社を運営する市原大和氏に聞いた』という記事です。その中にとても気になる記述がありました。『報告書や提案書をぱっと書ける人は重宝されますが、役員手前や部長まで行ってしまい、そうしたものをチェックするだけの立場だった人は求められていません』という記述です。教員に当てはめると、副校長や校長になった人の再就職は難しいということになります。記事によると、『2023年に仕事をしている65歳以上の高齢者は(略)男性では65~69歳は62%、70~74歳は4...使い道がない老残者

  • 土台を重視

    「手遅れ」2月22日川柳欄に、町田市O氏の『体力が無くちゃ体力つくれない』という句が掲載されていました。その通りと、と苦笑してしまいましたが、よく考えるととてもシビアな句です。意味は言うまでもありません。体力づくりに毎日40分のウォーキングを、と言われても、そもそも40分も歩き続けることができるだけの体力がないから困っているのに、ということでしょう。この句が意味することをよく考えてみると、苦笑いでは済みません。体力を学力と入れ替えてみましょう。学力が無くちゃ学力を伸ばせない、となります。つまり、ある時点で、既に学力が低レベルにある子供にとって、今以上に学力を伸ばすのは難しいということになります。そしてこれは、単なる句づくりの言葉遊びではなく、真理なのです。例えば、ある子供が割り算も掛け算も理解できないまま...土台を重視

  • 検討は進んでいる?

    「どうしている?」2月21日『トランス競技者の排除多様な性認めるルールを』と題された社説が掲載されました。『トランプ米大統領が、トランスジェンダー女性の女子競技への参加を禁止する大統領令に署名し(略)IOCに対しても、2028年ロサンゼルス五輪で同様の措置をとるように求めた』ことに危機感を覚え、『スポーツをする権利はあらゆる人に認められている。性自認だけで競技への参加機会が制限されることは避けなければならない』と訴える内容です。同感です。国際的な競技連盟等の対応も大事ですが、私は、我が国における中高の体育や運動系部活動における対応が気になります。今は、大きな問題となってはいないように思えます。しかし、人権意識がさらい高まり、トランスジェンダーの生徒が世間の目を気にせずに、自身の性自認を表明出来るようになり...検討は進んでいる?

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