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  • もし事故が起きていても教員の判断を擁護し続ける?

    「擁護していただけますか」4月19日連載企画『センセイ、一歩ずつルポ赤羽自主夜間中学』の第9回は、『学ぶ喜びを知る人』というタイトルでした。その中に、ある教員の小学校勤務時の出来事が紹介されていました。『2年間担任した最後の春休み。クラスの母親たちが「思い出作りをしましょう」と言ってくれた。隅田川の土手滑り。けがを心配して学校は禁止していた。内緒で保険をかけ、母子80人でプラスチックのそりに乗って遊んだ。母親たちとは今も付き合っている』。このエピソードは、子供のことを思い、子供との信頼関係を築き上げた教員の「良い話」として紹介されていました。私の見解は異なりますが、ものの見方は人それぞれです。ただし、私は論理の一貫性が大切だと考えています。それは次のようなことです。まず、楽しい土手滑りを禁止する学校の方針...もし事故が起きていても教員の判断を擁護し続ける?

  • 私っていけない子?

    「誰もが?」4月17日作家志賀内泰弘氏が、『心の垣根を取り払う』という表題でコラムを書かれていました。その中で志賀内氏は、取材で訪れた小学校での体験を紹介なさっています。『先生が壇上で話をする最中、一番後ろのグループが騒いでいた。でも、誰も注意しようとしない。どういうことかと近くに行ってみて驚いた。ゴロンと寝そべっている一人の男の子を囲むようにして、数人の児童が笑いながらおしゃべりをしているではないか(略)真ん中にいる男の子はダウン症でみんなと一緒の行動ができない。そこで、団体行動をする際には、仲良しグループの友達が付き添って遊んであげているのだという』。志賀内氏は、『心と心の垣根を取り払い、誰もが心地よく暮らせる社会を作る秘訣がここにある』とコラムを締め括っていらっしゃいました。本当かな?疑り深い私は、...私っていけない子?

  • 2通りの「1人だけ」

    「一人だけ」4月17日『飛び出したら「勝ち」黒ひげ危機一発50年で回帰』という見出しの記事が掲載されました。玩具メーカータカラトミーが、『「黒ひげ危機一発」が今年で発売から50周年を迎えるのを記念(略)「飛び出したら負け」のルールを発売当初に戻し、「飛び出したら勝ち」へと変更する』ことを報じる記事です。私はこの記事で、「黒ひげ危機一発」が「黒ひげ危機一髪」出ないことをを初めて知りましたし、初めは「飛び出したら勝ち」だったことも知りませんでした。ただそれだけの軽い気持ちで読んでいたのですが、そのうち、今回の原点回帰で、遊ぶ人に気持ちはどう変わるのか、ということが気になりだしました。5人で遊んでいたとします。「飛び出したら負け」というルール下では、一人だけ敗者が出ます。他の4人は勝者、1人だけ他の4人より下に...2通りの「1人だけ」

  • 原則か、例外か

    「原則の外」4月17日論説委員濱田元子氏が、『左を見て、右を見て』という表題でコラムを書かれていました。その中で濱田氏は、『劇作家、スージー・ミラーさんの戯曲』を取り上げています。タイトルは『プライマ・フェイシー』で、このラテン語の意味は『反証されない限り事実を証明する十分な証拠』だそうです。戯曲に内容は、『(テッサは)気鋭の法廷弁護士で、性暴力で訴えられた男性の弁護に当たっている。被害を訴える女性の記憶や証言のあいまいさを突き、勝ちを挙げてきた。だが、立場は逆転する。テッサ自身が同僚による「同意のない性行為」の被害者として法廷で闘う決意をした』というものだそうです。私が注目したのは、戯曲の作者のノートにあったとされる言葉です。『「推定無罪」が人権の揺るがぬ基盤だと固く信じているが、この原則の性的暴行事件...原則か、例外か

  • 人間は複雑

    「コミュニケーションとは」4月16日沖ワークウェル社長堀口明子氏が、『AIとの対話力磨こう』という表題でコラムを書かれていました。その中で堀口氏は、『仕事をする上でコミュニケーション能力を高めていくことは大切』とおっしゃっています。ごく普通の考え方です。また、堀口氏は、コミュニケーション能力について、『能力の高い人は、相手の意見を尊重しながら、的確に自分の考えを伝え、自分に必要な情報を得ていきます。また、相手との信頼関係を築き、仕事を円滑に進めていきます』とも書かれていました。これもまた、よく分かる説明です。ただ、『最近は対話の相手が人間とは限らなくなっています』として、『AIとの対話』という言葉を使われていることに違和感を覚えました。AIとの対話、つまりAIとのコミュニケーションというときの「コミュニケ...人間は複雑

  • そんな人になりたかった

    「教わるor獲得する」4月15日専門記者大治朋子氏が、『神ヘルパーさん』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、訪問介護の現場で出会ったホームヘルパーの行動を次のように書かれています。『お年寄りにまず笑顔であいさつをする。ひざまずいてゆっくりと見つめる。軽く手のひらで型や背中をさわりながら「体調はどうですか?」とゆったりした口調で尋ねる。作業の合間も、お年寄りが持っている写真などを話題に、「すてきなご家族ですね」と、その人生に敬意を払う。お年寄りや嬉しそうに言葉を返す』と。一方で、抜かりなく黙々と作業をこなすだけのヘルパーに対しては、お年寄りが『あの人にはもう来てほしくない』と言っているという事実を示されるのです。そして、『ケアの五つのステップ』について解説をされています。それは、『「出会...そんな人になりたかった

  • 私(AI)がお答えいたします

    「正しい判断」4月15日『子どもわくわく課題ぞくぞく』という見出しの記事が掲載されました。大阪・関西万博について、『半年間の会期中、計約58万人が学校単位での来場を予定しているが、安全面への懸念から直前に参加を取りやめた学校も』ということで、学校行事としての万博訪問について取り上げた記事です。記事では、『大屋根「リング」から眺める景色に歓声を上げた』『水上ショーを楽しみながら弁当を広げた』『学んだことや感じたことをメモしていた』などの様子が紹介される一方、『「子ども優先列車」を利用した(略)多数の外国人客などが誤って乗り込み、混雑した』『給水所には、生徒が30人近く列を作った』『協会から3月下旬に見学できるパビリオンが割り当てられたが、1学年が複数に分かれる形だった(略)付き添うの教師の数が足りず~』など...私(AI)がお答えいたします

  • なぜかは自分でも分からない

    「掘り返す」4月12日書評欄に、『「なぜ」と聞かない質問術(中田豊一著ダイヤモンド社)』についての書評が取り上げられていました。同書は何らかのミスや失敗について、『「なぜ?」と質問することの弊害を訴える』もので、『「詰問型のなぜ質問」は力関係の差を利用して、相手に重圧をかけている』と断じています。そして、『(なぜ質問では)相手は心を閉ざす。では、どうすればよいのか?著者は「いつ?」と聞くよう教える』のです。具体例として、ゲームを片づけない子供に、「いつ出したの?」と聞けば、子供は「朝出した」と気付き自発的に片づけようとする、があげられています。そんなにうまくいくのか、と疑問も感じますが、私も基本的には著者の考え方に賛成です。以前も、このブログで、中居正広氏の問題に関するフジテレビの記者会見について、事実を...なぜかは自分でも分からない

  • 「物語」を学ぶ意味

    「物語を読む」4月12日書評欄の『なつかしい一冊』のコーナーで、歌人・詩人・小説家竹中優子氏が、『泣いた赤おに(浜田広介作つちだのぶこ絵あすなろ書房)』についての思い出を語られていました。その中で竹中氏は、『子どものころは、赤鬼が手に入れたもの(人間と仲良くなる)と失ったもの(友人の青鬼)の大きさを比較し(略)悪役を買って出た青鬼の提案を受け入れたのが間違いだった』と考えたと述べられています。そして、『もう少し大きくなると、ころころとものの好き嫌いが移り変わる「人間」というものが薄気味悪く感じるようになった。その「人間」の仲間入りをしたい赤鬼にも共感できなくなった。わたしはひっそりと青鬼を愛した』と感想が変化し、さらに大人になって『「青鬼はなんでそこまで赤鬼に親切にしたのだろう」という疑問が湧いてきた(略...「物語」を学ぶ意味

  • 当たり前の結論

    「子供の能力」4月11日論点欄のテーマは『新社会人のあなたへ』でした。『人生の先輩たちから、全国の「新人さん」へのアドバイス』という趣旨で、3人の識者の方々が話されていました。私はその中で、組織開発コンサルタント勅使河原真衣氏の言葉が印象に残りました。勅使河原氏は、『「能力」は個人に固定的に存在するものではありません。「使えない」と言われた社員が、別の部署で大活躍するのはよくある話。「能力」って環境次第で“乱高下”するもの(略)「能力」とやらをこの目で見たことがある人はいません(略)個人ではなく組織を変える、つまり人材・能力開発ではなく「組織開発」を目指す会社を作りました』と語っていらっしゃるのです。そうだなぁ、と思いました。私自身、似たような経験があるからです。自慢ではありませんが某区教委で先任指導主事...当たり前の結論

  • 統治の原則

    「集団統治」4月8日『通行料「後払い」不満の声弁護士「不払いなら詐欺罪の可能性」』という見出しの記事が掲載されました。NEXCO中日本管轄のETCの不具合で料金所が利用できなくなったトラブルについて、同社が後払いを求めていることについて報じる記事です。その中に、学級経営にも通じる集団統治の原則について考えさせる記述がありました。まず、『高速道路が「高速」じゃなかったら、料金を請求されても納得できない』という不満が寄せられているという記述です。この不満に対し、同社は『通行料金は高速道路の利用料で、「JRなどの特急料金のように所要時間の保証といった性格を含んでいない」』とHPで通知しています。ここからどんな原則が引き出せるか。それは、ルールについては何か起きてから説明するのではなく、事前にきちんと周知しておく...統治の原則

  • みんなを「えこひいき」

    「難事」4月7日連載企画『伊達公子×プロフェッショナル』、今回は元サッカー日本代表監督岡田武史氏との対談でした。印象に残ったのは、『監督好かれずに尊敬されろ』という言葉でした。この言葉について岡田氏は具体的に、『俺だってみんなにいい人だって言われたいし、好かれたいけど、ピッチには11人しか出せない。選手の仲人とかしないし、一線を区切って選手と酒を飲まない(略)一緒に飲んだ翌日、メンバーを外れてくれってよう言わんから』と語っていらっしゃいました。監督は、選手を評価し、評価に基づき処遇を決める者です。そして人は、内心では自分を高く評価し、自分に下された正当な評価を不当に低いと感じる傾向があります。だからこそ、評価者である監督は、評価に疑念を抱かせないように、公平・公正性を保つために細心の注意を払う必要があるの...みんなを「えこひいき」

  • 卑怯と言われれば一言もない

    「正義を見せる場所」4月5日『被害者なのに……児童間の性暴力増える2次被害』という見出しの記事が掲載されました。『同じ学校に通う子供同士の間で起きた性暴力事案により、被害者側が意に反して転校を余儀なくされたり、配慮を欠く教員の言動で2次被害を受けたりするケースが相次いでいる』として、その現状や背景、問題点と改善の方向を示す記事です。記事では、6年女児の部屋に同級生の男児が忍び込み、下着を盗んだり、体液をベットに残したりした事件が取り上げられていました。事件後のことについて、『女児は事件翌日から登校できなくなった。自室には「気持ち悪い」と入れない。本当は学校に行きたいが、いきなり目の前に現れたらと思うと怖い。不安は拭えず、外出を控えるしかなかった。学校は(略)席替えや別室登校を提案した。だが被害者としては、...卑怯と言われれば一言もない

  • どんな教員だった?

    「どういう教員?」4月5日『やはり「現場がいい」』という見出しの記事が掲載されました。連載企画『センセイ、一歩ずつルポ赤羽自主夜間学級』の8回目です。自主夜間中学で指導に当たる元教員たちと教え子の交流の様子を紹介する記事です。その中に次のような記述がありました。『河合充子さん(74)も元小学校の教師。私(記者)が訪れた時、ネパール人の女性に数字の読み方を教えていた。「1161は?」「せんひゃくろくじゅういち、です」「よくできました。すごーい」女性の背中をさすりながらほめた。学校でもそんな先生だったのではないか』。私はこの部分を何回か読み返しました。さっぱり分からなかったのです。「そんな先生」とはどんな教員のことなのか、がです。記事全体のトーンからして、ここでは河合氏の言動を、教員として肯定的に評価している...どんな教員だった?

  • 相手によっては、時と場合には、はダメ

    「本当の意識」4月4日論点欄は、『検察官の暴走はなぜ』というテーマで3人の識者が意見を述べていました。『録音・録画が本格化した検察で、威圧的、侮辱的な取り調べが相次いで表面化している(略)検察官はなぜ、「外部の目」が入っても暴走するのか』という問題意識の下、設定されたテーマです。私はその中で、元最高検次長検伊藤鉄男氏が書かれたことが印象に残りました。伊藤氏は、『録音・録画が決定的な対策にならないことははっきりした(略)根本的な原因は、検事がどのような取り調べがいけないのかを理解していないから』と分析し、『同じ文言でも場面や口調、相手との関係性次第で、不適切な発言と捉えられるかどうかは変わってくる』と述べていらっしゃいます。この考え方、教員の体罰など「不適切な指導」といわれる行為を巡る問題と全く同じ構図だと...相手によっては、時と場合には、はダメ

  • 真の成長戦略

    「成長戦略」4月3日くらし科学環境部渡辺諒記者が、『科学技術「暴走」にルールを』という表題でコラムを書かれていました。渡辺氏は、『(AI、生命科学、気候変動のような)最先端の科学技術がもたらす光と影を追う「神への挑戦」』を担当された方です。『その「影」が、もはや人間の手に負えないレベルに達しようとしている』という危機感に突き動かされての執筆だったようです。私はその中の『暴走を食い止めるためには、どう対処すべきなのか。一つは、倫理的、法的、社会課題を盛り込んだ研究指針を作ることだ(略)しかし、AIなどの新しい分野ではまだ導入が不十分だ。その分野の研究者だけで策定され、法学者や倫理学者などが必ずしも参加していない』という記述が印象に残りました。要するに、今後の社会発展のためには、法学者、倫理学者、社会学者など...真の成長戦略

  • エビデンス擬き

    「科学的裏付け?」4月2日『整髪戦うスイッチオン試合前「覚悟の儀式」無名校を強豪に』という見出しの記事が掲載されました。『無名だったある高校サッカー部が近年、全国大会に何度も出場するようになった。転機の一つが、試合前に髪を整えることだったという。スポーツ界では類似する取り組みが散見されるが、どのような効果が考えられるのか』という問題意識で書かれた記事です。ある高校とは、福岡・飯塚高です。同校監督は、『髪型を整えることで内面の覚悟が決まる』と述べ、主将は『試合に出る選手がカットをしてもらい、一体感を感じた。ヘアセットをしてもらうと、テンションが上がった』と語っています。また、『プロの世界でも髪型を自らの「スイッチ」にする選手がいる』とのことで、日本代表長友佑都選手の例が紹介されていました。さらに、大阪体育大...エビデンス擬き

  • みんな大活躍!

    「模範的?」4月1日専門記者大治朋子氏が、『困った時の女性かつぎ』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、『やはりそうか。元タレントの中居正広氏による女生徒のトラブルに絡む問題で、フジ・メディア・ホールディングスが人事の刷新案を発表した。柱の一つが「取締役の女性比率を3割以上にする」だった。企業や組織が業績低迷やスキャンダルあら心機一転、出直しを図ろうとする時に「女性カード」を切ることは珍しくない』と書かれています。要するに、『男性中心の組織ほど女性抜てきで「新鮮味」を打ち出そう、と考える』思考パターンを非難しているわけです。全く同感です。もちろん、契機は不祥事時のイメージ戦略に過ぎなくても、その後も女性の能力に対する適正な評価と処遇が進むのであればよいのですが、しばらくしてほとぼりが冷め...みんな大活躍!

  • お掃除ロボットは雑巾がけもします

    「必要なもの、不必要になったもの」4月1日読者投稿欄に、福岡県の主婦S氏による『世の中の変化速く教育にひずみ』と題された投書が掲載されていました。その中でS氏は、『ボランティアで出かけた小学校で1年生と掃除をした時』のことを書かれていました。『「雑巾をぬらして絞っておいで」とある男の子に言うと、「どうやるの」と聞かれました。雑巾を絞ったことがないと言います。恐らく家出の掃除は使い捨てのウエットシートなのでしょう。他にも雑巾を絞れずポタポタと水をしたたらせる子もいました』と。そして、『昔ながらのことができなくなっています。スピードを持って変わる世の中が教育にひずみをもたらしている気がします』と結んでいらっしゃいました。よく分かる、という気がします。私は高齢者、昔を懐かしむ気持ち、昔はよかったという感覚を強く...お掃除ロボットは雑巾がけもします

  • 「教育現場」のお話

    「ずれてないか」3月30日『理系女子なぜ少ない教育現場自体に偏見』という見出しの記事が掲載されました。『企業や大学の理工系分野での女性の少なさが課題となっている』という問題意識の下、その背景について、九州大教授河野銀子氏にインタビューした記事です。河野氏の指摘は何となく読むと分かったつもりにさせられるのですが、少し考えるといくつかの疑問点が生まれてくるのです。特に、「教育現場自体に偏見」という捉え方です。教育現場ってどこ?、ということです。幼少中高大院、教育現場と言ってもたくさんあります。それを区別せずに論ずることは誤解の元です。河野氏は、『小学校4年から高校3年まで好きな教科を尋ねたデータがあります。小4から中1まで、5教科の中で女子が最も好んだのは理科です』と述べています。つまり、小学校段階では、女子...「教育現場」のお話

  • 塾は楽しい、でも地方には…

    「正気?その2」3月29日『デモクラシーズこれまでこれから戦後80年個人でいられる保証を』という見出しの記事が掲載されました。絵本作家五味太郎氏へのインタビュー記事です。その中で五味氏は、次のように述べていらっしゃいました。『学校はもっと産業資本主義的にいかないとまずいと思うよ。「義務教育だから」と学校に来させるのではなく、「あの学校で遊ぶと楽しい」という世界を何で作らないのかな。子どもは、見て、聞いて、楽しくて、興味深いものに出会って吸収する時期だよ。すてきなプールがあって、給食もうまいし、文字も憶えちゃうんだぜ、興味ある子はポルトガル語でもいいよ、っていう学校。そういう“商品”が貧しいんだ(略)いまは受験態勢のために魅力的な塾の方がもうかっていて。でも、塾の目的って、僕たちがしたい勉強はそういう形じゃ...塾は楽しい、でも地方には…

  • 公費助成は慎重に

    「正気?」3月28日『1年生からフリースクール個性求め「不登校」選ぶ道』という見出しの記事が掲載されました。『子供の個性を伸ばそうと、正規の小学校に一度も通わせないまま、米国やオーストラリアなどの先進的な教育手法を取り入れたフリースクールを選ぶ保護者たちがいる。「積極的不登校」とも呼ばれる選択肢の現状を追った』記事です。記事では、『各学年9人まで受け入れ』『探究学習に力を入れ、多彩な活動に取り組む』などの特徴が述べられると同時に、『学校教育法で定められた学校ではない(略)学籍を巡ってトラブルになるケースも少なくない』といった課題も紹介されています。記事全体のトーンは、『さまざまな選択肢から教育を選べる社会になってほしい』ということで、公的な支援が限られ保護者の負担が大きい現状を問題視するような内容になって...公費助成は慎重に

  • 言葉感覚は保守的で

    「時代遅れ?」3月27日専門記者田原和宏氏が、『「カワイイ」論』という表題でコラムを書かれていました。その中で田原氏は、『スポーツ言語学会は8日、2024年度に創設したスポーツ言語大賞として、パリ・オリンピックのレスリング女子76kg級で金メダルに輝いた鏡優翔選手(23)が語った「ガンバレと言われるより、カワイイと言われる方が力になる」を選んだ』ことを取り上げていらっしゃいました。田原氏は、当初、『ルッキズムへの忌避感』から、記事化を躊躇ったと述懐しています。私も同じ感覚です。女性を外観で評価する発想を讃える行為に、加担してしまう気がするからです。しかし、専門家によると、現代における「カワイイ」は、『見た目もジェンダーも問わないオールラウンドな肯定表現として使われる』のだそうです。『言葉の意味は時代ととも...言葉感覚は保守的で

  • 臆病ぐらいでちょうどいい

    「臆病者の保身」3月26日オピニオン編集部吉井理記氏が、『現金か金券か』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、『20年以上前の地方記者時代、異動が決まった僕が、ある自治体の首長から現金3万円の餞別を贈られた』という話について書かれていました。その後の顛末がとても印象に残りました。『違法なお金ではないが、翌日お返しした。記者倫理に反する、といった理由ではなく、競合のY新聞あたりに「記者が○○氏から現金!」と報じられるのでは、と勝手に心配したのだ。要は保身だ』。話はここから石破首相の10万円商品券問題に進むのですが、それはここでは触れません。私がこの話に注目したのは、私も同じだ、と思ったからです。私は今までにこのブログで、公務員である教員としての「汚職」について再三触れてきました。昨日もそう...臆病ぐらいでちょうどいい

  • コチコチ

    「受け取れません」3月26日読者投稿欄に、神奈川県の主婦K氏の『石破さんは世の中知らなすぎ』と題する投稿が掲載されていました。その中でK氏は、石破氏の法的には問題ないという「お土産」答弁を批判なさっています。K氏は、『公立小中学校では、卒業式に担任に花束を渡すことさえ固辞されている(略)公務員として保護者から花束でさえ受け取れないというのだ』『市立病院では、看護師センターへのお菓子のお礼も断られる。公務員として、何一つ、もらってはいけないのだと』という例を挙げて、石破氏の認識について『悲しすぎて笑える』と突き放しているのです。石破氏への非難については同感です。しかしここでは、私の思い出を語らせてもらいます。私が統括指導主事をしているときのことです。主任指導主事の1人が、教科書会社との癒着を疑われ、綱紀粛正...コチコチ

  • 意識せずにできる習慣のレベルに

    「何が悪いか分かっている?」3月26日『「美しいお顔で」文科相発言謝罪』という見出しの記事が掲載されました。謝罪した発言は、『吉良氏は24日の文科委で、教員の残業時間の試算方法について「休憩時間を差し引いているのは不公平なやり方では」と質問。これに対し、阿部氏が「吉良委員が本当に美しいお顔で怒っているのも大変よく分かるのですが」と発言』というものです。阿部文科相は、『多くの方に不愉快な思いをさせてしまい心よりおわびする』と謝罪したわけですが、何がいけなかったのか、この短い記事できちんと伝わっているのか、少し気になりました。質問に関係のない顔の話を持ち出したことが問題、という捉え方をした人がいるかもしれません。また、吉良氏が客観的にみて「美しくない顔」をしているにもかかわらず、「美しいお顔」などと皮肉り傷付...意識せずにできる習慣のレベルに

  • AIならできるの?

    「2つの実践」3月25日『「書く」ことで幸せになる』という見出しの記事が掲載されました。『家庭学習の習慣化をサポートしようと、文具大手のコクヨが2019年に発売したIOT文具「しゅくだいやる気ペン」』の開発グループリーダー中井信彦氏へのインタビュー記事です。ちなみに、やる気ペンとは、『鉛筆に取り付けて学習することで、内部のセンサーが振動を感知します。一定時間を過ぎる度に「やる気パワー」がたまり、色が変わる仕組み』というものです。つまり、長い時間書き続けているとそれが可視化できる装置ということです。今日は○○色まで頑張った、と満足感が得られ、それが学習意欲につながるということだと思われます。この記事を読み、私は自分が教員時代に取り組んでいた2つの実践を思い出しました。1つは、速書き、聞き書き、暗写という取り...AIならできるの?

  • トランプのような教員とプーチンのような子供

    「学校のトランプ」3月24日歌壇欄に、春日市I氏の『いじめっ子のあいつと握手しろなんて僕も言われたゼレンスキーさん』という短歌が掲載されていました。ハッとしました。ゼレンスキー大統領に侵略者プーチンと握手しろと迫ったトランプ氏、この自分勝手な正義漢気取りの嫌な奴、それが学校にはたくさんいるのではないか、と思ったからです。被害者であるウクライナの立場や気持ち、正義ということをまるで考えずに、戦闘に一時停止をもたらした実行力のある仲裁者という名誉だけが欲しくて、被害者を責めるトランプ氏に、いじめ問題の解決におけるダメ教員の姿がぴったりと重なったのです。ある学級でいじめが発覚します。悪いのは加害者です。正義は被害者の救済と加害者の処罰で実現されます。しかし、解決にあたる担任教員は、自分のことしか考えていません。...トランプのような教員とプーチンのような子供

  • あえて不評を背負う

    「百家争鳴」3月23日京都大教授待鳥聡史氏が、『寄り添う政治とは』という表題でコラムを書かれていました。私が普段モヤモヤと思っていることをしっかりと指摘してくださる内容でした。待鳥氏は、『「寄り添う」ことに重点を置きすぎると、いくつかの大きな問題が起こりうる』と問題提起なさっています。『一つは、少数派に「寄り添う」ことで政策の整合性が弱まり、各方面への野放図なバラマキに近づきかねない』と述べ、『私たち個々人は、常に何らかの意味で弱者であり少数派である』と指摘し、『全てに政策的に対応するには、大規模なセーフティーネットを作り、巨額の財源を投入する必要がある』と喝破なさっているのです。そして、『財政は度外視して、現在の苦しみに対応することが至上命令』となり、『不満は一時的に解消されるかもしれないが、政治の役割...あえて不評を背負う

  • 分権は善という幻想

    「盲信」3月21日『トランプ氏、教育省廃止へ大統領令』という見出しの記事が掲載されました。『トランプ米大統領は20日、教育省の廃止を目指す大統領令に署名した』ことを報じる記事です。『(教育省)の権限の各州への移行はトランプ氏が掲げてきた選挙公約』の一つなのだそうです。記事ではその理由について次のように書かれていました。『米国の(児童・生徒・学生の)読解力と数学の成績は歴史的な低水準に近い(略)教育省は「期待を裏切っている」』。確かに、PISA等でも米国の学力はあまり良い結果ではありません。教育省の取り組みに問題があるという指摘は間違っていないのかもしれません。ただ私が不思議に思うのは、教育省を抜本的に作り変える(トランプ氏の剛腕なら可能かも)という方向性ではなく、廃止して各州に、という方策が打ち出された背...分権は善という幻想

  • いろいろ気になった

    「本題から外れますが」3月21日論点欄は、『高校授業料の無償化』というテーマでした。この問題については、私は反対の立場ですが、今回はそのことについては述べません。3人の識者の方が書かれたことについて、本筋とはあまり関係のない部分で気になることがいくつかあり、それらについて取り上げてみたいと思います。まず、日本大教授末冨芳氏についてです。末冨氏は、『公立は教育委員会の管轄で人事異動もあり、魅力を高めようとしても改革は進みにくい。一方で、私立は理事長や校長次第で改革がしやすい』と述べていらっしゃいました。なるほど、です。確かに公立校は急激に変化することはしにくいシステムになっています。しかしそれは、安定性を確保するシステムでもあることを意味しています。私立校が、理事長や校長が独断で急激な変革を進めることが可能...いろいろ気になった

  • ごめんね

    「相談できない」3月20日『性差ない被害者支援を』という見出しの記事が掲載されました。『これまで私は「男性=DVの加害者」と思い込んでいた。男性も被害に遭っている事実を、多くの人に知ってもらいたい』という思いで書かれた記事です。記事の中に、『被害者には男性もいる。相談する場がなく、境遇は女性より悲惨だ』『「男のくせに」という周囲の目を気にして、相談することすら控えていた』などの記述がありました。私自身の中にも「男が被害者になるなんて」という強固な思い込みがあります。教員時代のことを思い出してみました。DVというよりも、性的な被害です。女児が大人から、ときには教員から性的被害に遭う、そうした事例は耳にしますし、あり得ることとして想像もできます。しかし、男児に対する性的被害ということについては、現役の教員時代...ごめんね

  • 教員の数は農家より多いのでは?

    「誰が考えてくれる?」3月17日『元農水官僚はこう見る米価高騰の真相』という見出しの記事が掲載されました。元農水官僚でキャノングローバル戦略研究所研究主幹山下一仁氏へのインタビュー記事です。山下氏の言葉がとても印象に残りました。『なぜ農水省はかたくなにコメが足りないと認めないのか』という問いに対し、山下氏は『理由は一つしかありません(略)米価を下げたくないのですよ。足りないと認めたら、備蓄米を大量放出したり、減反の手を緩めたりして、コメの供給量が増え、米価が下がってしまう。彼らにとって重要なのは米価であり、高いコメを買わされる消費者のことなんか眼中にないのです』。最近、よく聞かれる指摘です。私には、真相は分かりません。ただ、山下氏が指摘する構図は、コメ問題に限らず、様々な分野で見られることだと思ったのです...教員の数は農家より多いのでは?

  • 継続は手抜きなり

    「今も変わらず」3月17日『世界的画家横尾忠則さん「計画立てず自由に」』という見出しの記事が掲載されました。横尾氏へのインタビュー記事です。その中に考えさせられる記述がありました。『飽きることで人間は解放され、自由になっていく。自分の執着を離れて初めて自由になる(略)一つのことに熱中すると「飽きる」。そして、次のテーマに移る。「飽きる」ことが次の創作の原点になる』という言葉です。私は、あまり「飽き」ない人間です。趣味は、大学生のときから読書と将棋で、今も続いています。仕事は、大学卒業後すぐに教員になり、その後指導主事として教委に勤め、退職後もこうして学校教育に関するブログを6000回も続けています。教育実習時から社会科の勉強会に所属し、統括指導主事となるまで社会科研究に携わり続けました。ちなみに、結婚生活...継続は手抜きなり

  • 美しい学校、美しい教員

    「美?」3月15日漫画家やくみつる氏が、『タオル応援、一定の制限ほしい』という表題でコラムを書かれていました。その中でやく氏は、『(大相撲において)近ごろでは、もっぱら力士のシコ名をあしらったタオルのような物を掲げる応援スタイルが主流となっている』と指摘し、『観客もまた大相撲の様式美の一構成要素。アイドルのコンサートまがいのキンキラモールをあしらったようなボードは、たとえ(禁止されている)肩幅未満でもご法度に願いたい』と書かれています。私も大相撲中継を欠かさず見ている相撲ファンです。相撲はつまらないと言う人は、取り組み事態は数秒で終わってしまうのに、塩を撒いたり、仕切りをしたりといったことにばかり時間をかけていて退屈だ、言います。相撲ファンは、それがいいと言います。そうした所作を含めて相撲の様式美だと主張...美しい学校、美しい教員

  • 単純な話ではない

    「もっと他にも考えるべきこと」3月14日『小学校の卒業式はかまブーム到来?』という見出しの記事が掲載されました。『はかまがブームになっているらしい。それも、卒業式を迎える女子児童たちの間で(略)令和の小学生を取り巻く、最新のはかま事情を探ってみると-。』という記事です。記事では、『小学校の卒業式ではかまが取り沙汰されるようになってのは2010年代前半から』とありますが、私が最後の卒業生を送り出した1994年には、既にはかま姿の女子児童がいました。一人だけでしたが。ですから、この問題はかなり昔から起こっていたのです。記事では、『先にはかまにひかれたのは母親だ(略)かわいさに衝撃を受けた。絶対に娘に着てほしい』とありました。そうでしょう。親の思惑で子供に、と批判するつもりはありません。ただ、気になるのは、『若...単純な話ではない

  • いじめを見逃しても許されるなら

    「無罪放免」3月14日『337万人ネットカジノ経験』という見出しの記事が掲載されました。『オンラインカジノの国内の利用経験者は約337万人と推計されることが13日、警察庁の実態調査で明らかになった』ことを報じる記事です。記事によると、『「現在もオンラインカジノを利用している」との回答は、2.0%の550人』ということでした。私はこのような記事を読むといつも疑どうして、警察は放置しているのか、ということです。もしこの調査が、政治家の暗殺のために銃器を用意しているか、という内容で、50人がイエスと回答したとしても放置しておくのでしょうか。仮に放置したとして、その50人のうちの何人かが実際に暗殺を実行に移し、何人かの国会議員や大臣が殺されたとしたら、メディアは、世論は警察を責めるのではないでしょうか。もちろん、...いじめを見逃しても許されるなら

  • 間違っている「指導」観

    「30年前の出来事」3月14日『甲子園優勝監督に聞く早稲田実・和泉実さん』という見出しの記事が掲載されました。和泉氏へのインタビュー記事です。私がこの記事に注目したのは、サブの見出しとして『指導という言葉は嫌い』とあったからです。記事の中で和泉氏は、『今はどのように指導しているのですか?』という問いに対し、『「指導」という言葉は好きではありません。勉強でも一生懸命やっているのにガミガミ言われると聞く耳持たないでしょう。一方、教える側は、間違っているのが分かるので言いたくなります』と答えていらっしゃいました。30年ほど前のことを思い出しました。当時学習指導要領が改訂され、「指導から支援へ」という言葉が、教育界で流行りました。小学校の低学年で生活科が創設され、その後「総合的な学習の時間」が導入され、子供が学習...間違っている「指導」観

  • 孫がいなくてよかった

    「難題」3月13日川柳欄に、川崎氏S氏の『花魁を孫に説明する苦労』という句が掲載されていました。状況は説明するまでもありません。今年の大河ドラマ「べらぼう」を家族で見ていて、小芝風花さんらが演じる花魁について、「花魁って何してる人?」とまだ幼い孫に訊かれ、どう説明したらよいか考え込んでいる、ということを詠んだものです。確かに苦労しますね。私だったらどう説明するだろうと考えてみても、すぐに答えが浮かびません。それは、花魁についての説明では、売春について語ることが不可欠だからです。売春について語るには、男性の性欲について語らなければなりませんし、売春の非人間性、人権蹂躙ということについてしっかりと論じなければなりません。そもそも快楽のための性行為ということについて語ることも必要ですが、多くの大人にとって抵抗が...孫がいなくてよかった

  • ミニトランプな私

    「私も…」3月12日オピニオン編集部吉井理記氏が、『感謝を強いる人たち』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、先日亡くなった曽野綾子氏の生前の発言について書かれていました。『(自民党衆院議員)野田さんを名指しして、<自分の息子が、こんな高額医療を、国民の負担において受けさせてもらっていることに対する、一抹の申し訳なさ、感謝が全くない>と攻撃した』と。私も、そういえばそんなことがあったと思い出しました。吉井氏はこの発言について、『僕も健康保険料を負担してきたが、高額医療を使う人に「感謝せよ」と思ったことはない』と述べ、トランプ米大統領がゼレンスキーウクライナ大統領に感謝しろと要求した件も引き合いに出し、『「感謝しろ」というセリフ、代替が強者が弱者に、健常者が障害者に、富者が貧者に向けて発せ...ミニトランプな私

  • 私って、何者?

    「模倣の限界」3月11日精神科医香山リカ氏が、『「熱心、丁寧に」取り組む』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、望ましい医師像として、『思いやりの心と謙虚さ、目に見えないものを感じ取る感性、もののあわれを感じる情操』を掲げたエッセーを読んだことを紹介し、共感を示されています。その上で、『「謙虚、感性、情操」(略)この三つの要素が必要なのは、医師に限ったことではない。学校の教員や福祉関係者など人間に関わる職業の人』に求められる資質だと述べられているのです。全くその通りだと思います。さらに、エッセーには、『一人一人の患者さんの訴えに熱心に耳を傾け、丁寧に診療』することで、自然に人間性が育っていくとも書かれていたこと紹介しています。さて、おもしろいと思ったのはその後です。香山氏は早速実践に移し...私って、何者?

  • 勉強はそれほどではありませんが、という多様性

    「多様化」3月7日『東大、入試多様化検討』という見出しの記事が掲載されました。学長が、『筆記試験のみの一般選抜ではない形式の入試枠の拡充を検討している』ことを明らかにしたということを報じる記事です。記事によると、『検討の背景には、学生の多様性確保への危機感がある』とのことです。多様性、最近よく目にする言葉です。大切な概念だと思います。社会や企業などの組織において多様性が確保されることは望ましいことです。一方、東大に必要な多様性とは何なのか、ということについては考えさせられます。私は、東大は勉強ができる若者、頭がいい若者、努力を続けられる若者、が集まるべきところだと考えています。私のような頭の出来がイマイチ、という者が入学すべきところではないと考えます。それは東大という大学の個性や特徴を損なうことにつながり...勉強はそれほどではありませんが、という多様性

  • ディール不要

    「どちらの立場」3月6日『大牟田高駅伝部員9割転校体罰で降格のコーチ追い鳥取へ』という見出しの記事が掲載されました。『(同校の)駅伝部員9割超が、4月から鳥取城北高へ転校することが判明した(略)コーチを務めたA氏(52)の処遇を巡る学校側への反発が背景にあり、部員と保護者はA氏の転職先となる鳥取城北での競技継続を選択した』ことを報じる記事です。前にも似たようなことがありました。教員が体罰をする、学校が処分をする、体罰教員は他校に転職する、部員と保護者が体罰教員の指導による成果(全国大会での上位入賞)を期待し体罰教員の転職先に転校する、という図式が、です。どうして同じようなことが繰り返されるのか、その結果どのようなことが生じるのか、考えてみる必要があります。まず、私立校における運動系部活のもつ「価値」につい...ディール不要

  • 一つの…

    「前例」3月6日『知事懲戒を撤回せず兵庫百条委報告書「一つの見解」』という見出しの記事が掲載されました。兵庫県斎藤知事のパワハラ疑惑等について調査した百条委の報告書が議会で了承されたことについて報じる記事です。その中にとても気になる記述がありました。まず、『斎藤氏ら県の対応を「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応」などと厳しく批判(略)しかし、斎藤氏は「一つの見解だ」と従来の主張を改めなかった』です。数カ月かけ調査された結果、それも県民の代表である議会が了承した結果を、「一つの見解」と切り捨て無視する、そんなことを知事という立場にある人物が平然と行う、恐ろしいことだと思いました。行政の特質として「前例踏襲主義」があります。いろいろと批判されることも多い考え方ですが、行政の安定性や継続性を担保する働きも...一つの…

  • 製造者責任

  • 何となく、も教員の責任?

    「親の責務?」3月1日人生相談欄に、55歳女性の『反抗期以来夫と話さぬ娘』と題された相談が掲載されました。娘は27歳、『15歳の反抗期から夫と話さなくなりました。娘は「嫌いじゃないけど何か話したくない」といっていました』という状況だそうです。母親としては気に病むでしょうし、父親は寂しいでしょう。ところが回答者は、『(娘には)なんの問題もないじゃないですか(略)いいですか、親は子どもがこちらを向いてくれるよう努力しなきゃなりません。だったおもしろくない存在だとおもわれているんですから(略)恋人に振り向いてもらうのと一緒です。努力あるのみ』と回答しているのです。言わんとしていることは分かります。人間が変えることができるのは未来とこれからの自分だけ、過去と他人は変えることができません。子供といえども他人(自分で...何となく、も教員の責任?

  • 三層構造

    「教員に配慮義務?」2月28日法学者谷口真由美氏が『理想を目指す社会に』という表題でコラムを書かれていました。作家・反貧困活動家雨宮処凛氏との往復書簡です。その中に次のような記述がありました。『トランプ大統領は就任早々、「DEIの強制をやめる。政府と民間のすべてで、税国を実力主義に戻す」と語りました(略)しかし「実力主義」でいう「実力」は、各人の「資源」(生まれた場所や親の年収など)によって左右されます。いわゆる「親ガチャ」も子どもの自己責任でしょうか』です。「親ガチャ」、近年よく聞く言葉です。最近某テレビ局でAC広告機構のCMがよく流れるようになりました。その中に、若者が徒競走で駆け出すのですが、一人だけずっと後ろからスタートさせられる女子生徒がいて、いくら懸命に走っても他の子の追いつけない、というCM...三層構造

  • 幸せな家庭と楽しい学校、でよくない?

    「ほしいと思ったことはない」2月27日『中高生に「第三の居場所を」』という見出しの記事が掲載されました。『中高生らが自由に過ごせる、家でも学校でもない「第三の居場所」を各地に広めようと、教育学を専門とする大学院生コンビが挑戦を始めた』ことを報じる記事です。千葉大大学院博士課程に所属する2人が、『「学校の中だけでは、学びが実社会に繋がりにくい」「子ども会などが縮小し、地域に中高生世代が主体的に活動できる居場所がない」』という課題を感じ、取り組みを始めたのだそうです。良いこと、のような気がします。あやふやな言い方になってしまうのは、私自身に実感がないからです。記事によると、『家や学校以外に「居場所が欲しいのにない」と回答した子どもや若者は4人に1人』なのだそうです。私には、家や学校以外に場所が欲しいと思った経...幸せな家庭と楽しい学校、でよくない?

  • 何と言っても文句がきそう

    「夢を守る」2月27日大学生が作る紙面キャンパるに、J大I氏が、『「サンタはいる」母の苦労と愛』という表題でコラムを書かれていました。その中でI氏は、小学1年生のときのことを書かれています。『クリスマスを前にすると毎年、サンタさんに欲しいものを書いた手紙を送っていた(略)母に尋ねた。「この手紙はどこに送っているの?」母はしばらく考え込み(略)「サンタ協会」という団体があって、子どもができると連絡先を教えてもらえる。母がプレゼントの内容をメールすると、12月24日の夜、協会のサンタクロースがプレゼントを持って、タクシーで我が家にやってくる-。妙に現実的で筋の通った話だ』。凄い母親だと思いました。I氏は、このことについて、『今なら、母の苦労と愛がよく分かる。サンタなんていないと真実を明かす方が、ずっと簡単だっ...何と言っても文句がきそう

  • トランプ的教育観

    「本当に変わった?」2月27日『僕は「割れ煎」俳優の道ひょうひょうと』という見出しの記事が掲載されました。俳優ピエール瀧氏へのインタビュー記事です。その中に気になる言葉がありました。『僕らの時代って、若いヤツは「ひと山いくら」で売られるもんでしたからね。君たちは素晴らしい、君たちは何にでもなれる、ってのが今の教育システムですし、社会のマインドでしょ。実際には建前なんでしょうけど』です。瀧氏は、私の一回り年下、私が教員になって初めて担任した教え子たちと同じ世代です。その頃も、瀧氏の言う「君たちは何にでもなれる」という子供観で学校教育は行われていました。しかし、そうした子供観は、社会に広く定着しているという状況ではなく、正に「建前」的でした。子供の瀧氏は、そうした雰囲気を敏感に感じていたのでしょうか。それとも...トランプ的教育観

  • うちの〇〇はどんな人?

    「選択不能」2月26日日本歯科大内科客員教授渡辺尚彦氏が、『「基準変わった」多い誤解』という表題でコラムを書かれていました。高血圧の基準が変わった、と誤解している人が増えたという状況について、書かれたものです。その中で渡辺氏は、『高血圧の基準は「収縮期血圧(上の血圧)140以上かつ、または拡張期血圧(下の血圧)90以上」で変わっていません』と明確に述べ、『なぜ基準が変わったと誤解されたのでしょう』と問いを投げかけていらっしゃいます。そんな中、私が気になったのは、『困るのは、医師の中にも「血圧は高くても問題ない」「高血圧の基準が低すぎる」と主張する人がいることです』『約40年前、私が医者になりたてのころは上が160以上、信田が5以上の場合に高血圧とされていました。さらにさかのぼると、上が「年齢プラス90以上...うちの〇〇はどんな人?

  • とりあえず調査、設問は何となく

    「何を引き出すか」2月25日『「やればできる」教えてくれたのは母』という見出しの記事が掲載されました。『学習塾「明光義塾」を展開する明光ネットワークジャパンが実施した中高生への意識調査』の結果について報じる記事です。記事によると、『「やればできる」と感じさせてくれる存在として「母親」を挙げた生徒が35.4%で最多(略)「母親」に続いたのは、「友人」の27.6%。3番手が「先生」(21.7%)、4番手に「父親」(17.0%)という順になった』ということです。この結果をどのように解釈すればよいのでしょう。同じ親なのに父親の影響力が母親に比べて弱いのは、父親が子育てに関わっていないからであり、男性の子育てへの参加を社会全体で後押ししていく必要がある、という人もいるでしょう。教員は子供を導くのが仕事なのに、母親は...とりあえず調査、設問は何となく

  • だから法で規制して

    「経済、を教える」2月25日読者投稿欄に、福岡県F氏による『消えたコメ政府は不正許すな』と題された投稿が掲載されていました。その中でF氏は、『誰だかわからないが、コメ不足につけ込んで金もうけをたくらんでいる者がいるとしたら言語道断だ(略)金目当ての不正な行為は一粒たりとも許してはならない』と書かれています。F氏と同じような思いを抱いている人は少なくないように思います。私もコメの値上がりには苦しんでいます。ですからF氏の気持ちも分からないわけではありません。しかし、F氏の怒りは正しいのでしょうか。「買占め」をしている業者や売り惜しみをしている農家は、悪事を働いている悪人なのでしょうか。私はそうは思いません。我が国は資本主義経済を採用しており、経済活動においても自由主義を取っています。それは、法令に反しない限...だから法で規制して

  • 遠くを見つめたのはなぜ

    「記録の難しさ」2月23日日本芸術文化振興会理事長長谷川眞理子氏が、『真善美とは何か価値観が関与する「事実」』という表題でコラムを書かれていました。その中で長谷川氏は、『「真」は認識上の問題で、あることが真実であるかどうかの判断』と一応定義した上で、次の例をあげます。『大きなアザラシの雄は(略)多くの雌を自分の周囲に囲い込む。雌がそこを出て行こうとすると、雄は雌の首にかみついて阻止する(略)しかし、雌が他の雄のところに行こうとする、という行動の描写自体、雌は雄の気を引こうとしてわざと嫌がる様子を見せているだけだ、と解釈して描写することもできる』。つまり、アザラシの雄と雌の一連の行動を人が記録するとき、そこに主観が入り込む可能性があるということです。私は、自分が指導主事時代のエピソードを思い出しました。それ...遠くを見つめたのはなぜ

  • 使い道がない老残者

    「偉くなるな」2月23日『ホワイトカラーの再就職変化に適応し中小へ』という見出しの記事が掲載されました。『定年を見据え、新たな職場で働こうとする人は多い(略)高齢になっても、やりがいのある仕事を続けられる道はあるのか。シニア世代のサラリーマンの独立や再就職を支援する会社を運営する市原大和氏に聞いた』という記事です。その中にとても気になる記述がありました。『報告書や提案書をぱっと書ける人は重宝されますが、役員手前や部長まで行ってしまい、そうしたものをチェックするだけの立場だった人は求められていません』という記述です。教員に当てはめると、副校長や校長になった人の再就職は難しいということになります。記事によると、『2023年に仕事をしている65歳以上の高齢者は(略)男性では65~69歳は62%、70~74歳は4...使い道がない老残者

  • 土台を重視

    「手遅れ」2月22日川柳欄に、町田市O氏の『体力が無くちゃ体力つくれない』という句が掲載されていました。その通りと、と苦笑してしまいましたが、よく考えるととてもシビアな句です。意味は言うまでもありません。体力づくりに毎日40分のウォーキングを、と言われても、そもそも40分も歩き続けることができるだけの体力がないから困っているのに、ということでしょう。この句が意味することをよく考えてみると、苦笑いでは済みません。体力を学力と入れ替えてみましょう。学力が無くちゃ学力を伸ばせない、となります。つまり、ある時点で、既に学力が低レベルにある子供にとって、今以上に学力を伸ばすのは難しいということになります。そしてこれは、単なる句づくりの言葉遊びではなく、真理なのです。例えば、ある子供が割り算も掛け算も理解できないまま...土台を重視

  • 検討は進んでいる?

    「どうしている?」2月21日『トランス競技者の排除多様な性認めるルールを』と題された社説が掲載されました。『トランプ米大統領が、トランスジェンダー女性の女子競技への参加を禁止する大統領令に署名し(略)IOCに対しても、2028年ロサンゼルス五輪で同様の措置をとるように求めた』ことに危機感を覚え、『スポーツをする権利はあらゆる人に認められている。性自認だけで競技への参加機会が制限されることは避けなければならない』と訴える内容です。同感です。国際的な競技連盟等の対応も大事ですが、私は、我が国における中高の体育や運動系部活動における対応が気になります。今は、大きな問題となってはいないように思えます。しかし、人権意識がさらい高まり、トランスジェンダーの生徒が世間の目を気にせずに、自身の性自認を表明出来るようになり...検討は進んでいる?

  • 実現不可能なないものねだり

    「どこ?」2月20日専門記者田原和宏氏が、『ラブ・ミー症候群』という表題でコラムを書かれていました。田原氏は、ドジャースの大谷選手について同じような報道ばかりが垂れ流される状況について友人から不満を言われた経験を述べた上で、関西大名誉教授黒田勇氏が『報道が大谷選手に集中する背景を「ラブ・ミー症候群との造語で形容』していることを紹介しています。ちなみに、ラブ・ミー症候群とは、『日本は経済の衰退で自信を失い、内向き志向が強まった。だからこそ「日本スゴイ」と認められたい。そんな複雑な心の動きを表す』言葉だそうです。納得させられる解説です。田原氏も書かれていますが、近年目立った「日本はすごい」を強調する書籍も、このラブ・ミー症候群の事例と言えそうです。個人的な感想ですが、正直、醜いと思います。人間関係でもそうです...実現不可能なないものねだり

  • 受験教科に

    「受験教科に」2月20日全日本ろうあ連盟事務局長久松三二氏が、『手話言語の世界を広げる年に』という表題でコラムを書かれていました。デフリンピックの東京開催を控え、『その祭典を前に、ぜひ訴えたいことがある。ろう者が使う手話言語について、いっそう関心を高め「言語」つぃての認識を共有してもらいたい』という思いを綴られたものです。その中に、『今、通常国会で、「手話施策推進法」の議員立法による制定が大きく動き出している。手話を「言語」として位置付け、手話を必要とするこどもの習得への支援、学校における教育、手話文化の保存、継承、発展を図る内容だ』という記述がありました。お恥ずかしい限りですが、不勉強のためまったく知りませんでした。特に、「学校における教育」について、どのような取り組みがイメージされているのか、理解でき...受験教科に

  • のんびり出社は健康にもいいのでは

    「おかしなことを言う?」2月19日『八王子市、予算案に計上始業前の児童見守り16校へ』という見出しの記事が掲載されました。『八王子市は2025年度、始業前の朝の時間に児童を受け入れる市立小学校を9校から16校に広げる』ことを報じる記事です。『小学校の開門は午前8時以降が一般的。未就学児の時は午前7時ごろから保育園に預けられたのに、小学生になると預け先に困るという家庭は多い』という『小1の壁』問題への対応策です。予め断っておきますが、私は、八王子市の対応に異議があるわけではありません。ただ、我ながら少し非現実的かもと思うことを考えてしまっただけです。こうした問題を抱える家庭は多いはずです。しかもこれからますます増えていくと思われます。そうだとすれば、国の政策として、企業や官庁の遅らせて、8時に我が子を送り出...のんびり出社は健康にもいいのでは

  • 読む

    「教員にも」2月18日精神科医香山リカ氏が、『たまには「心の栄養」を』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、研修医が診療の合間にも熱心に医学書などを見ている姿に感心すると述べた上で、『若い時は仕事以外のこともした方がいい(略)医師の場合、患者さんの命や人生そのものに向き合うことも少なくない。そんな時に役に立つのは、医学の知識ではなくて、映画やドラマ、小説で描かれている内容だったりするのではないか』と書かれていました。分かります。そして、それは人と接する仕事に携わる人全てに言えることではないかと思います。もちろん、教員にもです。教員になろうとする若者はどれくらい小説を読み、映画やドラマを見ているのでしょうか。多くの若者がスマホから目を離さず、動画らしきものを見ている姿を見かけます。その画面...読む

  • 学校に通って勉強している下層階級

    「何を評価対象とするか」2月18日『不登校でも学び継続』という見出しの記事が掲載されました。『不登校の子どもが増え続ける中、高校でもその対策の一つとして、インターネットで教室と自宅などをつなぐ「遠隔教育」の活用が始まっている』という現状と課題を報じる記事です。その中に気になる記述がありました。教育経済学を専門とされる慶応大教授中室牧子氏の言葉です。『日本は授業を受けたかどうかによって単位を認める履修主義だが、海外ではどれくらい内容を理解して試験で点数を取れるかという習得主義の国も増えている。遠隔教育の導入を機に、教育のあり方も見直すべきではないか』。私はこのブログで、何回か履修主義から習得主義への転換について述べてきました。今から13年ほど前、当時大阪市長だった橋下徹氏が、義務教育留年制を提唱されたときに...学校に通って勉強している下層階級

  • キャッチーな言葉

    「新語」2月17日『「自己差別」から逃れる闘い上野千鶴子さん、金満里さんが対談』という見出しの記事が掲載されました。『人間の「自立」とは何を意味するのだろうか。そして、身体は我々にとってどんな存在なのだろうか』をテーマに行われたトークイベントについて報じる記事です。その中に、私が今まで訴えてきたことをぴったりと表してくれる「新語」がありました。『老いるとは、中途障害者になること。中途障害者は昔の自分を覚えているから、「ふがいない」「情けない」と、自分で自分を差別してしまう』に登場する「中途障害者」という言葉です。私はこのブログで人権学習について再三取り上げてきました。人権学習の大きな課題は、権利の問題であるにもかかわらず、「目の不自由な方が困っていたら、何かお役に立てますか、と声を変えてあげましょう」とい...キャッチーな言葉

  • 本当は復帰させたかった

    「教員の場合」2月16日『佐賀県「能力不足」職員免職「公務員は安泰」変化の波』という見出しの記事が掲載されました。『佐賀県が2024年に、50代の男性職員2人を「能力不足」を理由に民間の「解雇」に相当する分限免職処分としていた』ことについて報じる記事です。記事では、『改正地方公務員法が16年に施行され(略)昭和、平成の時代は「公務員の身分は保障される」という意識が強かった。人事評価制度で良くも悪くも数字で出るようになり、処分がより公正にできるようになった』という背景を説明しています。そして今後こうした事例が全国的に増えてくる可能性があることを指摘しています。このブログで何回も書いたことですが、私は教委勤務時に、実質的に全国で初となる「指導力不足教員研修」を担当しました。教員にとっての「指導力」とは、即ち一...本当は復帰させたかった

  • 悪影響しかない

    「よくぞ言ってくれました」2月15日メディア文化評論家碓井広義氏が、『「学園ドラマ批判」の学園ドラマ「自分で考える」を促す御上先生』という表題でコラムを書かれていました。その中で碓井氏は、1月期のドラマ、『日曜劇場「御上先生」(TBS系)』を取り上げ、『ユニークで刺激的』と評価なさっていました。私も毎週見ています。面白いドラマだと思っています。それはともかく、とても印象に残って記述がありました。『「教師像」についての言及もあった。ある学園ドラマが、生徒のために奔走するスーパー熱血教師以外は教師にあらずという空気を作ってしまった。保護者達の教師に対する要求はエスカレートし、教育の理想を描いた学園ドラマがモンスターペアレンツ製造マシンとなった』という記述です。碓井氏も指摘なさっていますが、これは「3年B組金八...悪影響しかない

  • 身内の視点と外部の視点

    「鈍磨」2月13日田中博子記者が、『「夢の世界」の裏側は』という表題でコラムを書かれていました。その中で田中氏は、ご自身が宝塚歌劇のファンであることを記し、さらに宝塚の担当記者であったことも述べられています。そして、昨年表面化したパワハラ事件に関し、『絶対的な上下関係も、彼女たちが髪飾りなどの小道具作りに休日返上で励んでいることも担当記者には周知の事実だったが、「宝塚の伝統」として問題とも思わず聞き流していた』と吐露なさっていました。田中氏の慙愧の思いが伝わってくる一文でした。ある業界についてよく知っている、知っていいるからこそ、そこで発生している「悪」を、伝統や文化、歴史などの「綺麗事」で容認してしまうというのは、よくあることだと思います。だからこそ、外部の冷静な第三者の目による点検と勧告が必要となるの...身内の視点と外部の視点

  • 好きこそものの上手なれ

    「教員の才能」2月13日囲碁棋士平田智也氏が、『かなわないなと思った人』という表題でコラムを書かれていました。その中で平田氏は、「才能」について考察しています。印象に残ったのは次の記述です。『かなわないなと思った人が浮かびました。それはいつも楽しそうに囲碁をずっとしている、訓練を訓練と思っていない人。上野愛咲美さんです。研究会などで一緒になることが多いのですが、彼女はいつも笑顔で楽しそうに囲碁をしています』。囲碁の才能と言えば、大局観が優れ手が読めることでしょう。しかし、そもそもプロ棋士になるような人は皆とてつもない読みの力と大局観をもつ天才ばかりです。その中でさらに群を抜くには、努力を続けるという別の才能が必要です。平田氏もそうした努力を重ね八段の高段者となったのでしょう。そんな天賦の才と努力の才を併せ...好きこそものの上手なれ

  • 半分お世辞と分っていても

    「褒めて伸ばす、は×」2月13日『ほめる=自他を見つめること』という見出しの記事が掲載されました。『ほめる達人からほめ方を学ぶセミナーがある』ということで、記者がセミナーの参加してみた、という記事です。その中にとても考えさせられる記述がありました。『「最も重要です」と示されたスライドには<ほめるを……相手のコントロールに使わない>と記されていた。「ほめたら動いてくれるんでしょ、と少しでも思った瞬間、それは相手に伝わってしまいます。人を変えることはできません。ほめるというのはすべて自己完結で、自分の心が整うんです」』という記述です。言わんとすることは分かるような気もします。しかし、これを言葉通りに受け止めると、学校教育において、褒めて伸ばす、という考え方は成り立たないということになります。なぜなら、学校教育...半分お世辞と分っていても

  • けがらわしい、ではすまない

    「繰り返しになるけれど」2月12日オピニオン編集部吉井理記氏が、『「机上の空論」とは』という表題でコラムを書かれていました。その中に、私がこのブログで繰り返し書いてきたことが端的に書かれていて思わず、その通りとニンマリしてしまいました。それは、『僕は憲法9条改正に反対だ。つまり護憲派だが、護憲派こそは自衛隊や軍事に精通しなければならないと考えてきた』という一文です。私は、戦争の悲惨さを強調するあまり、情緒に流れ過ぎる我が国の平和教育に疑念を呈し、真の平和教育は、戦争阻止教育でなければならないと主張してきました。そして、戦争を阻止するためには、戦争そのものを知らなければならないと考えるのです。敵を知り己を知れば百戦危うからず。戦争を知ること、戦争が起きる状況、戦争を是とする社会を支配する心理、戦争を可能にす...けがらわしい、ではすまない

  • パンとサーカスの時代

    「今さえ良ければ」2月12日『「手取り増」最重要課題』という見出しの記事が掲載されました。『国民民主党は11日、定期党大会を東京都内で開き、2025年度の活動方針を採択した。「手取りを増やす」ことを最重要の政治課題に位置づけ~』ことを報じる記事です。手取りを増やすとは具体的は、『(年収103万円の)「壁」の引き下げたガソリン、電気代値下げ』といった政策を指すようです。この方針は、「主権者教育」的にはどうなのでしょうか。多くの識者が、主権者教育においては、生徒に身近な問題を取り上げ、自分事として考えさせることが大切だと主張しています。身近なことでいえば、手取りが増えることは歓迎すべきことに違いありません。家計の収入が増えれば、生徒の小遣いも増え、学品面から大学の選択肢も増え、やりたくても我慢していた習い事が...パンとサーカスの時代

  • 幼小中高特に次ぐ第6の免許を

    「校長は?教員は?」2月11日『「多様化学校」新設へ世田谷区不登校中学生対象』という見出しの記事が掲載されました。『不登校の中学生が増えていることを受け、せたがや区は、不登校の生徒に合わせたカリキュラムが組める「学びの多様化学校」を新設すると発表した』ことについて報じる記事です。記事によると、『すでに世田谷中学の分教室として「学びの多様化学校」があるが、学校を新設すれば校長など管理職を配置でき、きめ細やかな運営が可能になる』とのことでした。短い記事で、詳細はよく分かりません。ただ気になるのは、新しい「学びの多様化学校」の校長に求められる知識や経験、能力とはどのようなものなのか、ということです。普通の中学校の校長と同じなのでしょうか。異なる理念が求められるはずですし、その理念に沿ったカリキュラムの編成をリー...幼小中高特に次ぐ第6の免許を

  • 達人の境地

    「それほどでは」2月9日心療内科医海原純子氏が、『不完全であること』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、イチロー氏が米野球殿堂入りしたことを取り上げ、『満票に1票足りない投票は、「ギネス登録された通産安打4367、通算打率3割2分2厘(略)ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞7回も選手にも投票しない人がいるのだ」という意味で、「人はすべての人に認められることはない」ということをしめしている』と書かれていました。当たり前のことではありますが、改めて言われてみると、なるほどと思います。私はこれほどのことをしたのだから認められ褒められるのが当然、と考えがちなのが人間というものですが、人は十人十色、価値観も評価基準も人それぞれなのです。それなのに人は、自分の期待通りの評価が得られないと、評価し...達人の境地

  • 今が大事、の意味

    「今を大切に」2月8日書評欄に、東京科学大教授中島岳志氏による、『「手段からの解放シリーズ哲学講話」國分功一郎著(新潮新書)』についての書評が掲載されました。その書き出しは、『現代社会は、「いま」を失っている。子供の時には受験のために「いま」を犠牲にし、若者は、就職後もキャリアアップのために「いま」を酷使する。中年になれば老後のために資産運用をしろと言われ、老齢になると死に備えた終活が重要だと言われる。「いま」という時間は、目的のための手段となり、その時々の楽しさが収奪される』でした。嚙み締めたい言葉です。人は誰も幸せな一生を送る権利をもっているはずです。赤ん坊も子供も大人も。それにもかかわらず、我が国は国民の中で「幸せ」を感じている人の割合が低いことが指摘されています。その原因のひとつが、ここに挙げられ...今が大事、の意味

  • 小さな幸せ

    「教育環境改善」2月8日川柳欄に、福岡のA氏の『幸せな人は他人の句を誉める』という句が掲載されていました。その通りです。別に川柳や俳句に限らず、人を誉めるためにはある条件が必要です。それが「幸せ」なのです。愛する人が亡くなった、長年心血を注いできた仕事が失敗に終わった、不治の病を宣告されたなど、とてつもない悲運の最中にいる人に、他人を誉めなさいといっても、それは無理でしょう。大声を上げ号泣をしたい心理状況で、他人に「いつも仕上げが丁寧ね。簡単なようでなかなかできないことよ。ありがとう」などという言葉が出てくる人はいません。穏やかな笑顔を作ることもできないでしょうこれは教員にも当てはまります。教員が「幸せ」でなければ、子供の良さに目を向け、褒める、認めるなどということは難しくなってしまうのです。今、教員の働...小さな幸せ

  • キーセンパーティー

    「伝統」2月5日オピニオン編集部吉井理記氏が、『礼儀正しい日本人?』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、『宝石や時計など高価なものを買いあさる……ホテルの廊下を下着姿で歩く』『列車の中でインスタントラーメンを作り……食卓で大声で談笑』『(ホテルの)じゅうたんにツバをしたり、たばこを捨てて焦がしたり』といった観光客のマナーを列挙し、これらが全て60年から50年ほど昔の日本人について新聞記事に書かれたものであることを暴露しています。つまり、吉井氏は、「礼儀正しい日本人」は、近年漸く実現しただけで、かつては日本人のマナーの悪さは世界で顰蹙をかっていたということを指摘したのです。私も、日本人の「とんでも行動」については記憶にあります。小松左京氏の小説では、外国のホテルでトイレの使い方が分からず...キーセンパーティー

  • 競い合う相手は誰?

    「有効?」2月5日『テレビ業界の常識って?』という見出しの記事が掲載されました。タレント中居正広氏の問題について、二人の識者が語る特集記事です。その中で、元TBSアナウンサー・エッセイスト小島慶子氏が語られた言葉が印象に残りました。『国際競争にさらされる他の業界では、自らのビジネスに関わるすべての人の人権を守る姿勢が求められ、これを軽んじる企業は厳しく批判される(略)でも、テレビ局に国際競争はありません。コンプライアンスなんて言っていたら、番組がつまらなくなる、という勝手な理屈で、体質改善を怠ってきたのです』という言葉です。競争のないところでは改善機能が働かない、という論理です。確かにそうした側面はあるでしょう。しかし私は、競争原理を過剰に高く評価する考え方には疑問を感じてしまいます。20年以上昔のことに...競い合う相手は誰?

  • 攻撃か、協調か

    「方針です」2月2日心療内科医海原純子氏が、『三つのルール』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、トランプ米大統領の『若い日を描いた映画「アプレンティスドナルド・トランプの創り方」』を取り上げ、そこで紹介されている『勝つための三つのルール』について述べられています。三つのルールとは、『最初のひとつが、「攻撃・攻撃・攻撃」というもの。暴言も脅迫も何でもありという教えである。ルールその2は、「非を認めるな、全否定せよ」。事実などは無視するように、というものだ。ルールその3は「どれだけ劣勢でも勝利を主張せよ」というものだ』です。すごいですね。まさにトランプ氏そのものという感じです。現在のトランプ氏を見て、後からもっともらしい話を捏造したという気さえします。それはともかく、この三つのルール、どう...攻撃か、協調か

  • たくさん質問できた

    「満載」2月1日書評欄に、大阪大特任教授大竹文雄氏による『「科学的根拠(エビデンス)で子育て」中室牧子著(ダイヤモンド社)』についての書評が掲載されました。テレビのコメンテーターとしても活躍される中室氏ですが、書かれている内容はさらに突っ込んで訊きたくなる興味深いものばかりです。まず、『将来の収入を高めるために、子どもたちがすべきことは(略)「スポーツをする」「リーダーになる」「非認知能力を高める」という三つ』という記述です。最初に浮かんだのは、非認知能力が目的で、スポーツとリーダーはそのための手段なのではないか、三つを並列に並べるのはおかしいのではないか、という疑問でした。さらに、スポーツをするというのはどういうイメージなのか、ということも気になりました。私は中高と卓球部に所属していました。週に3回ほど...たくさん質問できた

  • 「高邁」の意味、変わった?

    「今は昔」2月1日『「ドラゴン桜」無理じゃない』という見出しの記事が掲載されました。『地方の非進学校から東大を目指せ(略)地方の高校生が東大を目指すのは「どうせ無理」なのか。「リアルドラゴン桜」の育成に取り組む東北の高校を取材した』という記事です。その中に次のような記述がありました。『23年度の東大受験者は3人。いずれも合格には至らなかったが、「自分の人生を変えようと挑戦することに意義がある」』『東大に合格するという結果が一番大切なのではなく、合格を目指すプロセスに最も価値がある。可能性が低くても、高い目標と高邁な志を持ち励むことには大きな価値があり、尊いものであるはず』です。私は、時代は変わったという感慨を抱きました。かつて、受験戦争という言葉がありました。東大を頂点とする難関大を目指し、家族との生活や...「高邁」の意味、変わった?

  • 緩い感じが好き

    「辛い」1月30日『人前で歌う愛情が乗る』という見出しの記事が掲載されました。『名バラード「メリー・ジェーン」のソウルフルな歌声で知られる、つのだ☆ひろ』氏へのインタビュー記事です。その中で、つのだ氏は、『「元々、音痴な人なんかいない」というのが持論だそうですね』と訊かれ、、『ちゃんと先生について、音楽的なレッスンを受ければ、うまく歌えるようになります』と答えていらっしゃいました。音痴の皆さん、この言葉、どう思われるでしょうか。「そうか、頑張って練習すればうまくなれるんだ」と元気づけられる人がいるはずです。また、「そうか、自分が音痴なのは、音楽の先生がきちんと教えてくれなかったからなんだ」と恨みを抱く人もいるかもしれません。あるいは、「音楽の授業を真面目に受けてきたけど音痴。自分は努力が足りなかったのかな...緩い感じが好き

  • 追い出し作戦

    「今は無理だけど」1月29日『トランプ政権、職員200万人退職勧奨』という見出しの記事が掲載されました。『トランプ米政権は28日、連邦政府の大半の職員を対象に退職を勧奨した(略)2月6日までに退職に応じれば、9月30日までの給与が支払われる(略)対象は約200万人で、政権高官はそのうち「5~10%が退職に応じる」と見込んでいる』ということを報じる記事です。とんでもない暴挙だと思います。トランプ氏に不満をもつ職員を追い出し、イエスマンで固め、独裁的な権力を振るおうとする行為です。トランプ氏に対しては、不満と不安を抱く職員は少なくないと思われます。それだけに、予想外に多くの職員が職場を去る決意をするのではないかとも思います。トランプ氏の思う壺ですね。そうした思いとは別に、もしこうした策を我が国で用いたらどうか...追い出し作戦

  • しっかりやっています

    「私以下」1月29日『怒号飛び交う10時間23分』という見出しの記事が掲載されました。『中居正広さん(52)による女性とのトラブルを巡り、フジテレビの港浩一社長らが27日にやり直した記者会見』について報じる記事です。とてもおかしな記者会見でした。多くの人が『フジは「女性のプライバシー保護」を理由に明確な説明を避け』たことを問題視していたようですが、私は質問する側に疑問を抱きました。それは、事実を明らかにすることで問題点を浮かび上がらせるという追及するものの基本姿勢に欠けていると思ったからです。私は教委の指導室長時代、様々な問題を起こしてしまった教職員に対する聴取を行いました。私も人間ですから、「この野郎、覗きなんかして捕まりやがって。とんだ恥さらしだ。お陰で議会では吊し上げられることになるし、毎日市民から...しっかりやっています

  • 幻想は捨てる?

    「私だけの」1月28日精神科医香山リカ氏が、『私だけの楽しさ』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、石破首相の施政方針演説の『「一人一人が自己実現できる(楽しい日本)」を目指す』という言葉について触れられています。そして、『一人一人が「楽しい日本」を目指す、というプランには私も大賛成』と述べつつ、そのためには『人と違っていてもこれが私の楽しさ』という考え方がきちんと理解され浸透していくことが重要であると指摘なさっています。その通りだと思います。そしてそれゆえに、石破氏が施政方針演説において「楽しい日本」という表現を使ったのは失敗だと考えます。行政は大きな枠を決めて、最大多数を想定して行われるものです。今では古臭く実態に合わないとされる、男女の夫婦に子供が2人という「標準世帯」ですが、これ...幻想は捨てる?

  • このままでいい?このままがいい?

    「幸せの形」1月27日『ロシアと国境接するフィンランドシェルター5万カ所訓練も人気幸福裏に国防意識』という見出しの記事が掲載されました。『世界幸福度ランキングで7年連続トップの北欧フィンランド(略)ロシアと約1300㌔もの長い国境を接し、ウクライナ後の「標的」にされるのではという懸念もくすぶる。現地で有事への備えを探ると、幸福感の裏にある市民らの緊迫感と、強固な国防意識がうかがえた』ことを報じる記事です。書かれている内容は、長年平和ボケでいられるという幸福をじっくりと味わっている私には考えられないものでした。『国防大学への応募者はウクライナ侵攻の開始以降、毎年増加し、24年は前年より114人多い730人だった』『今のうちに自分も戦えるよう強くなりたいという人が増えた』『市街戦などに備える訓練に参加する市民...このままでいい?このままがいい?

  • 賢い行政マンは…

    「まず」1月26日ノンフィクション作家河合香織氏が、『子どものSNS規制まずは居場所の確保を』という表題でコラムを書かれていました。その中で河合氏は、『子どもを取り巻くこうした状況を考えると、SNSの年齢制限は必要だろう』としながらも、『犯罪は子どもの居場所のなさや、寂しさにつけ込んで発生している(略)まずは変化している社会や家庭のあり方を再考し、子どもの居場所を確保することが先決だろう』とおっしゃっていました。私も、SNSの規制や子供の居場所確保が大切であるといい認識をもっています。というよりも、多くの人がそう考えているのではないでしょうか。ただ、私が少し引っ掛かったのは、「まずは」という言葉についてでした。「まずは~」という表現は、いくつかの方策が想定されているときに、真っ先に取り組むべきという優先順...賢い行政マンは…

  • 郷愁

    「生き抜く力」1月23日『「後ろ向きのカリスマ」燃え殻さんとボヤく』という見出しの記事が掲載されました。小説家燃え殻氏へのインタビュー記事です。失礼な話ですが、私は燃え殻氏も氏の描かれた小説のことも知りませんでした。43歳で小説家デビューした燃え殻氏、どんな人なのだろうと興味をもって読み始めました。そして、燃え殻氏が語る人生や人間についての言葉に心を惹かれてしまいました。『誰でも根拠のない夢を気持ち良く語る瞬間があって言い(略)何一つ夢がかなわなくても大人になって酒を飲んで笑い話にできるって、人生の醍醐味だと思う』『生き抜くための特効薬なんて一つもなかった。結局、微調整に次ぐ微調整で地味に毎日を続けていくしかない』『夢がかなう人ばかりではない。でも、夢って必ずしも実現しなきゃいけないものでもない』などなど...郷愁

  • もうそんな時間はない

    「それまで待つの」1月24日『民主主義日々の実践から』という見出しの記事が掲載されました。政治学者・東大教授宇野重規氏へのインタビュー記事です。その中で宇野氏は、『いきなり国政や国防の話を「どう思う?」と聞かれても、多くの人は「さあ?」です。民主主義のリアリティーは、もっと日々の小さな実践から得られるものです。地域の中で、地域の課題をどう解決しようかと考える場です』と話されています。宇野氏の指摘は、現在の主権者教育の考え方と通底するものです。私は賛成できません。疑問に感じることはいくつもあります。まず、宇野氏の指摘ををそのまま受け入れるとすると、憲法改正や安全保障政策、原発再稼働の是非などの問題については、誰が関与すればよいということになるのでしょう。政治に対する意識が未熟な者は自分の地域の問題に取り組み...もうそんな時間はない

  • 立ち止まって熟議を

    「何もしないわけにはいかない、の弊害」1月23日京都大准教授小堀聡氏が、『{教員不足}平成の改革再検証せよ』という表題でコラムを書かれていました。教育現場の疲弊の背景について分析するものです。その中で小堀氏は、『行財政改革が教員の雇用控えと非正規化を促進したにもかかわらず、教育改革は業務を大幅に複雑化させた。これに価値観の多様化などの社会変化が重なった結果、教員の負担は増大。そして、過酷な労働環境が社会的に認知されたことで志願者が減少し、現職教員の負担は一層増えていく。悪循環が発生しているのだ』と書かれています。流石の慧眼です。そして、『今日の閉塞感は、決して何もしなかった帰結ではない。何かをしたにもかかわらず、発生しているのだ』と指摘し、改革の再検証を求めているのです。ある分野において、問題点が指摘され...立ち止まって熟議を

  • ご要望はお伺いいたしました

    「業務軽減」1月22日『コールセンター人の「限界点」』という見出しの記事が掲載されました。『解消されぬ「ただ今電話が大変混み合っています」』という状況について、背景と今後の動向について報じる記事です。その中に次のような記述がありました。『自動音声による番号の入力は、そうした状況の打開策だった。客に「予約は1、解約は2を」などと入力してもらい、内容別にオペレーターにつなぐシステム(略)人材育成上のメリットもあるという。新人が全ての業務知識を身につけるには時間がかかる。内容ごとに電話を振り分ければ、少しずつ計画的に現場で経験を積んでいける』というのです。しかもさらに、『AI(人工頭脳)への移行を見据えて(略)AIを活用した無人対応が一般的になり~』という未来が近づいているというのです。コールセンターの主業務は...ご要望はお伺いいたしました

  • 100枚と20枚

    「嫌な話だが」1月22日川柳欄に、奈良県W氏による『先生の評価でもあるテストの点』という句が掲載されました。意味は明瞭、子供のテストの点が悪いと、努力が足りないなどと子供を責めるが、テストの点数が悪いのは教員の教え方が悪いということをも表しているのだから、教員は子供を責める前にまず自分の教え方を反省すべき、ということです。まったくその通りです。私もこのブログで、子供は教員を映す鏡であり、子供を見て自分の欠点を自覚すべきという趣旨のことを書いてきました。しかし、今回は少し番う視点から考えてみたいと思います。それは、テストの点の悪さ、あるいは良さは、子供の責任であるという考え方についてです。私は若いころ、23区の周辺部、比較的貧しいとされる地域で教員をしてきました。6年生の35人ほどの学級で、私立中学に進学す...100枚と20枚

  • 何を読もうか、いつ読もうか、どこで読もうか

    「いくつもの知りたいこと」1月21日『全国の中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る』という趣旨の連載企画『14歳の君へ』、今回は、『「英語独習法」という本を書いて話題になった』認知心理学者で慶応大教授の今井むつみ氏が登場なさっていました。今井氏が語られる内容な興味深いことが多く、もっと質問してみたいという思いに駆られました。『全ての勉強の基礎は国語です』『本を読むことで支えられ、本を読んでつけた国語力に救われました』『英語の勉強も日本語が基本です。言葉を大切にし、本を読んで生きた知識を得てください。特に抽象的な言葉を含む本は考える力を伸ばし、学力がつく』などです。まず、国語が大事ということに関連して、小学校における英語教育についての見解を伺いたいと思いました。小学校で英語の授業を始めるにあたっては、そ...何を読もうか、いつ読もうか、どこで読もうか

  • 「先生は今幸せ?」

    「教員の幸福感」1月20日『人生100年クラブシニアが担う子ども向けサービス』という見出しの記事が掲載されました。『働くシニア層の活躍の場が子ども向けのサービスを担う仕事に広がっている』ことを報じる記事です。その中に、『小学生などを対象にロボット製作やプログラミングの教室を開く団体』の事例が紹介されていました。『複数のロボットを組み立て、それぞれ動かすためのプログラミングの構成を考える学びを通して、課題に対する子供たちの能力を育てるのが目的』の事業です。『(50~70代の元技術者などの)シニアコーチたちは、大学生のスタッフとともに子供たちの学びを支援し(略)当初は子どもたちの対応に戸惑っていた、シニアも、関わるうちに笑顔が増え、親しみを込めてお互いが下の名前で呼び合うなど良好な関係を築いている』『シニアの...「先生は今幸せ?」

  • 怖い、不気味もOK

    「社会科見学は可能?」1月18日書評欄に、『国際理解には宗教がほぼ半分法蔵館・2420円』の著者で相愛大客員教授三木英氏へのインタビュー記事が掲載されていました。その中に次のような記述がありました。『日本にあるマスジト(イスラム教の礼拝所)やブラジル出身者が集うキリスト教会、誰にでも平等に食事を振る舞うシク教の寺院などを訪ねてきた』。三木氏は、海外出身者を理解するためには宗教に関する理解が不可欠という考えをおもちです。私も同じ考えです。しかし、我が国では公立学校で宗教を扱うことに慎重であり、実践事例もほとんどないというのが現状です。私は、上述の言葉に、自分の無知を痛感させられました。三木氏は、身近なところに海外出身者の宗教施設があると言っているのです。私は、私の狭い生活圏内に、そうした施設があるのか否かさ...怖い、不気味もOK

  • 粗製乱造

    「何を考えている」1月15日『教員給与の引き上げ働き方の見直しと両輪で』と題された社説が掲載されました。その中に教員確保の方策として、『他業種からの転職を容易にする仕組みの構築も急務だ。文科省は24年末、社会人でも教員免許を取りやすくする方策などを検討するよう、中央教育審議会に諮問した』という記述がありました。文科省は何を考えているんだ、という気持ちです。先日、私はこのブログで、教員に対するリスペクトを高めることの必要性に言及しました。それがあってこそ、教職を志望する優秀な若者が増えると考えられるからです。そうした考え方からすれば、教員免許の取得を容易にするということは、どんなバカでも教員になることができるということになり、教員に対する世間のリスペクトを減じることにつながり、結果として教員志望者を減らすこ...粗製乱造

  • 凡人上等

    「私は凡人です」1月14日『「私権は大丈夫?」「もっと頑張れ」「必ず受かる」中学受験医師が説く3大NGワード』という見出しの記事が掲載されました。受験生専門外来がある「本郷赤門前クリニック」院長で心療内科医吉田たかよし氏へのインタビュー記事です。その中で吉田氏が語られている言葉に共感を覚えました。『褒めてはいけないところまで褒めることによって、自己愛が増長し、自分自身に意識が集中し、「自分は周囲から特別な扱いを受けて当然だ」と思い込んでしまうのです。また、自分自身へのネガティブな感情に対するストレス耐性が低下します』という言葉です。これは、最近の褒めて伸ばす教育への警鐘として発せられている言葉です。もちろん、吉田氏も褒めて伸ばすという考え方を肯定なさっているのですが、行き過ぎに注意を促していらっしゃるので...凡人上等

  • 悪を許せ?

    「どちらを重視?」1月14日植草学園大教授野澤和弘氏が、『SNS選挙と既存メディア政策求める切実な民意』という表題でコラムを書かれていました。その中で野澤氏は、先の兵庫県知事選について、次のように述べていらっしゃいました。『「SNSや動画サイト」はうそやデマばかり流したのだろうか。斎藤陣営が何を発信したかと言えば、県立大学の入学金・授業料の無償化、プレミアム付き商品券などの物価高騰対策、不妊治療の支援、学校トイレの改修などの有権者に密着した政策だ(略)有権者の関心はメディアが報じないところにある(略)政策や改革姿勢を知りたいという切実なニーズにメディアは応えることができていないのである』。野澤氏は、有権者は斎藤氏の政策や改革姿勢を支持したのであって、政策本位の選択をした有権者の姿勢は正しく、斎藤氏のスキャ...悪を許せ?

  • 分かっているなら教えてほしい

    「どうすれば」1月12日『そこが聞きたい危ぶまれる地域社会存続』という見出しの記事が掲載されました。『介護など人々の命や生活を「エッセンシャルワーカー」は、賃金の低さもあって(人材獲得競争で)苦戦を強いられ、このままでは地域社会の存続が危うい』という問題意識の下行われた、元総務相増田寛也氏へのインタビュー記事です。その中に次のような言葉がありました。『処遇や給与も大事ですが、エッセンシャルワーカーが生み出す「社会的価値」について周囲がリスペクトするような環境をしっかり作ることも重要です』という言葉です。的を射た指摘だと思います。そして同じことは、教職についても言えると考えます。介護職と教職、共に志願者が減り、新たに職に就く人が必要数に足りていないという悩みを抱えています。だからこそ、教職に対するリスペクト...分かっているなら教えてほしい

  • 俺様のお話を聴け

    「自分はできる」1月11日『無知、未熟な指導者なぜ』という見出しの記事が掲載されました。『2020年8月29日、福岡・私立博多高1年の女子剣道部員が自殺した』顧問による指導死事件について、追跡取材した記事です。その中にとても印象に残った記述がありました。『和解協議で夏美さん(生徒の母親)が強く求めたのは再発防止(略)驚いたのは、2人の顧問に異なる対応を求めたことだ。不信感が消えないA氏には剣道の指導に今後一切関わらないことを和解の条件とする一方、暴言や暴力を振るったはずのB氏には同じ条件を課さなかった。むしろ今後も指導に関わることを望んだ』という記述です。娘を死に追い込んで直接の加害者B、彼に剣道の指導を続けるよう訴えた真意はというと、『B氏は剣道四段だったが、暴力的な言葉が子どもを死に追いやると考えもし...俺様のお話を聴け

  • 「他人を押しのけてでも前に出ろ」とは言えない

    「それぞれに可能なこと」1月10日『タブーが社会の欠落映す』という見出しの記事が掲載されました。雑誌「創」編集長篠田博之氏へのインタビュー記事です。その中に、印象に残った記述がありました。『(やまゆり園事件の犯人)植松聖死刑囚は、やまゆり園の元職員だった。なぜそんな彼が事件を?実は事件の動機について新聞やテレビが彼の言葉を通じて報じることは少なかった(略)彼の「障害者」観が差別的で身勝手すぎて、読者や視聴者に不快感を抱かせるため、控えざるをえない面があったからだ。一方、創は植松死刑囚の手記を度々掲載している。「新聞やテレビは読者や視聴者全員に向けた配慮が必要ですが、雑誌の場合は読者が不快な供述が載っていることを知ったうえで買ってくれるわけだから、掲載できる裁量が大きいわけです」』。メディアは事実を報じなけ...「他人を押しのけてでも前に出ろ」とは言えない

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