2025年11月18日をもってgooblogがサービス終了するとのこと。2014年9月13日に「OCNブログ人」の終了により引っ越してきて、10年以上お世話になりました。今後このBlogは、4月18日より、「はてなブログ」(https://norio0923.hatenablog.com/)に移行して続けていきます。引き続きよろしくお願いいたします。〔お知らせ〕gooブログから引越しします
2023年に公開された日本映画です。オリジナル戯曲が原作の“サスペンス”テイストの作品です。ただ、サスペンスといっても、主人公の生きし方を辿るかたちで、粛々と物語は進んでいきます。プロットの秀逸さや構成の繊細さに加え、本作の場合は、キャスティングされた役者のみなさんの演技が見事だったと思います。主演の杉咲花さんの熱演はもちろんですが、相手役の若葉竜也さん、森永悠希さん、そして宇野祥平さんに中村ゆりさん。なかでも、中村ゆりさんの迫真の演技は印象に残りました。市子[DVD]通常盤杉咲花,若葉竜也,森永悠希,倉悠貴Happinet〔映画〕市子
1987年に公開されたアメリカ映画です。一昔前の“サスペンス”作品です。そもそもの設定もラフですし、ストーリー自体も全くリアリティが感じられない稚拙なつくりですが、エンターテインメント作品としてはシンプルに楽しめます。ただ、最後のサプライズはいかがなものでしょう。途中にもう少し伏線を仕込んでおかないと少々無理筋のような感じがします。キャスティング面では、ケヴィン・コスナーとジーン・ハックマンという大物の共演がウリのようですが、ストーリーに深みがないこともあり、ふたりとも物足りなさを感じる出来でした。特にジーン・ハックマンは、かなり“情けない”役回りで、何とも勿体なかったですね。追いつめられて[DVD]ケビン・コスナーユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン〔映画〕追いつめられて
いつも聴いている茂木健一郎さんのpodcastの番組に著者の國分功一郎さんがゲスト出演していて、茂木さんと本書についてお話ししていました。なかなか面白そうなやり取りだったので、ちょっと気になって手に取ってみました。(数年前に出版された本ですが、文庫化されて、近場の図書館ではいまだに10人以上の待ち行列でした)数々の興味深い思索の解説がありましたが、それらの中から、私が関心を惹いて理解できたような感触を得たところをひとつ書き留めておきましょう。それは、「人類の定住化と退屈との関係」について。人類の“定住化”は約1万年前から食糧生産に先だって中緯度地方にて始まったとのことですが、國分さんは「定住によって人間は、退屈を回避する必要に迫られるようになった」と指摘しています。遊動生活では移動のたびに新たな環境に適応...暇と退屈の倫理学(國分功一郎)
2010年に公開されたアメリカ映画です。主人公の心理的葛藤を軸にしたドラマチックな作品かと思っていたのですが、予想以上に“サイコ・サスペンス”色が強かったですね。映像の作りとしては、幻覚のシーンが現実と混然一体化しているので、様子が分かるまでは、観ていて結構混乱してしまいました。キャスティング面では、主役を演じたナタリー・ポートマンは評判どおりの熱演で素晴らしかったのですが、私としてはライバル役のミラ・クニスのインパクトの方が新鮮でより印象に残りました。いずれにしても、二人ともキャラクタのコントラストを見事に描いていたように思います。ブラック・スワン[Blu-ray]ナタリー・ポートマンウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕ブラック・スワン
2016年に公開されたアメリカ映画です。サスペンス・スリラーという謎めいた雰囲気を起こそうとしてか、設定やストーリーは“グダグダ”していて、私の好みではありませんでした。まあ、エミリー・ブラントとレベッカ・ファーガソンの共演ということで観てみたというのが正直なところなので、そのあたりは少々目を瞑らないとだめなのでしょうね。とはいえ、それぞれが演じる役柄のコントラストは冴えていました。演技面では、ふたりとも流石の存在感で、“見応え”は十分に及第点でした。ガール・オン・ザ・トレイン[DVD]エミリー・ブラントNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕ガール・オン・ザ・トレイン
1957年に制作されたアメリカ映画です。アメリカではひとつの定番ジャンルとなっている“法廷もの”の金字塔ともいうべき作品です。無用なサプライズはなく、真っすぐに結末に向かって物語が展開されますが、それで十分“サスペンス”としての緊張感を醸し出していますね。確かに「名作」だと思います。映画を離れても、“裁判の本質”を考えるまたとない題材ですね。本作品と同じようなケースを想定すると「同調圧力」が大手を振っている日本ではどう物語は進むのでしょうか。主人公のような行動をとる人物は稀だとすると、冤罪を防ぐ最後の砦が必須になりますが・・・。十二人の怒れる男[Blu-ray]ヘンリー・フォンダワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント〔映画〕十二人の怒れる男
このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、全シリーズ読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているのですが、時折は、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。今回は、いつも利用している図書館で目についた本です。北海道が大好きな私にとって“旅情ミステリー”と小さく付記された「札幌時計台殺人事件」というタイトルは問答無用で気になりました。著者の木谷恭介さんは、内田康夫さんより7歳年上の作家で、たぶんその作品を読むのは初めてだと思います。さて、ミステリー小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、読んでみると、典型的な「2時間ドラマの原作」のような印象でした。主人公のキャラクタ設定や謎解きで訪れる場所は、まさに...札幌時計台殺人事件(木谷恭介)
2001年に公開されたアメリカ映画です。アクション・コメディですね。伏線を回収したラストのサプライズまでストーリー展開のテンポがあがらず、エンターテインメント作品としては“可もなく不可もなし”という印象でした。半面、キャスティング面ではなかなかインパクトはありましたね。ビリー・ボブ・ソーントンの芸達者ぶりは刮目すべきものでしたし、何と言ってもケイト・ブランシェットの存在感は別格だったように思います。バンディッツ〈特別編〉[DVD]ブルース・ウィリス20世紀フォックスホームエンターテイメント〔映画〕バンディッツ
2021年に公開されたアメリカ映画です。サスペンステイストですが、ありがちな狭い世界を舞台に設定しているので、特段これといった特徴のないストーリー展開になってしまいました。キャスティング的には、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン、マギー・Qとなかなかに豪華なのですが、かなり勿体ない出来栄えですね。特に、マイケル・キートンの役どころがしっかり作りこまれていないので、物語の芯になる人間関係が観ていてしっくりこないのだと思います。これでは、単にマギー・Qを魅せるための映画のようです。まあ、それならそれでいいのですが・・・マーベラススペシャル・プライス[DVD]通常盤マギー・Q,マイケル・キートン,サミュエル・L.ジャクソンHappinet〔映画〕マーベラス
2022年に公開された日本映画です。平野啓一郎さんの長編小説が原作のサスペンスタッチの作品です。テーマの置き方によっていろいろな見方ができますね。そのあたりの重畳性を、安藤サクラさんをはじめ、妻夫木聡さん、窪田正孝さん、眞島秀和さん、柄本明さんら芸達者なキャスティングでしっかりと作りこんでいたように思います。特に柄本さんは、いかにも彼ならではの“怪演”が印象的で、なかなか見応えがありました。ストーリー、映像、キャスティングのバランスが秀逸で、和製エンターテインメントとしては、いい出来栄えの作品ですね。ある男[DVD]通常版DVD平野啓一郎松竹〔映画〕ある男
いつも利用している図書館の新着本の棚で目についたので手に取ってみました。著者の中森明夫さんは、コラムニストでアイドル評論家。中森さんの書き物は雑誌等で目にしたことはありますが、一冊の本として読むのはたぶん初めてだと思います。本書は中森さんの“得意ジャンル”である「日本のアイドルの半世紀」をたどったものですが、中森さんが私と同年代ということもあり、登場しているアイドルのみなさんは私も馴染みの方々だろうと期待して読み始めました。予想どおり数々の興味深いエピソードの紹介がありました。とはいえ、1971年の南沙織さんにはじまり、1980年代のアイドル全盛時代の話題には十分ついて行けたのですが、2000年代、2010年代と時を経るにつれてやはり無理でしたね。“大人数グループ乱立”のころからです。そういう中で、私でも...推す力人生をかけたアイドル論(中森明夫)
2009年に公開されたアメリカ映画です。「ターミネーター」シリーズの第4作目ですが、シリーズ間の時間的順序や設定の継続性等については必ずしも整合が取れているわけではないようなので、複数のシリーズ作品を観る際にはかなりラフに構えておいた方がよさそうです。シリーズ全体からみると、第一作目のアーノルド・シュワルツェネッガーが演じたメカとしての「ターミネーター」のインパクトが強烈だったのに比較して、本作の場合は“ストーリー性”に重きが置かれていますね。そのあたりは“観る側の好み”が分かれるところでしょう。ちなみに、興行的には今ひとつで、専門家の評価もあまり高くなかったようです。私は、観たのは2度目だと思いますが、嫌いではありません。結構楽しめましたよ。ターミネーター4スペシャル・エディション[Blu-ray]クリ...〔映画〕ターミネーター4
2022年に公開されたアメリカ映画です。1986年の「トップガン」から36年経っての続編というのも驚きですね。前作と比較すると、こちらの方がよりストレートに“エンターテインメント”に徹していたように感じました。主人公をはじめとして登場人物のキャラクタ設定が明瞭で、ストーリー展開もオーソドックスなものでしたね。ただ、私の場合、「予習」として前作を観ておいたのですが、それなしで本作を単独で観たとすると印象は変わっていたでしょう。やはり前作で描かれた人間関係や主要なエピソードを理解していないと、インパクトは半減以下になっていたように思います。本作品について言うなら、2作が1セットで“完結”です。トップガンマーヴェリックブルーレイ+DVD[Blu-ray]4550510033921トム・クルーズパラマウント〔映画〕トップガンマーヴェリック
2023年に日本・アメリカ合同で制作された映画です。1985年から連載が開始された車田正美さんのコミック「聖闘士星矢」が原作の実写版ですが、かなり印象が変わっていますね。もちろん長大なコミックのストーリーの頭の部分だけを映像化したものなので、原作の世界観を再現するのはそもそも無理というものです。まあ、これは本作に限ったことではなく、人気コミックの実写化が成功した例を私は知りません。(強いて言えば「るろうに剣心」がそこそこのレベルでした)かといって、この出来栄えだと、続編はどうなるでしょうね。今後につながるラストではありますが、正直なところちょっと難しそうです。聖闘士星矢TheBeginning[DVD]通常盤新田真剣佑,ファムケ・ヤンセン,マディソン・アイズマン,ディエゴ・ティノコHappinet〔映画〕聖闘士星矢TheBeginning
ラジオと戦争: 放送人たちの「報国」 (大森 淳郎・NHK放送文化研究所)
いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の大森淳郎さんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。大森さんは長年NHKでディレクターとしてETV特集等を担当していた方です。本書は、その大森さんが、NHK放送文化研究所の月刊誌「放送研究と調査」で連載した記事をまとめたもので、太平洋戦争当時、ラジオ放送に関わった「放送人」が何を考え、どう行動し、何をしなかったのかを貴重な証言や音源から顕かにしていくノンフィクション作品です。紹介された数々の興味深いエピソードの中から、特に私の関心を惹いたものをいくつか書き留めておきましょう。まずは、日本放送協会(1926年に設立された社団法人:1950年設立の現在のNHKの前身)のラジオ放送における「国策的ニュース編集のはじまり」。(p35より引用...ラジオと戦争:放送人たちの「報国」(大森淳郎・NHK放送文化研究所)
2012年に公開されたアメリカ映画です。サスペンス・タッチの作品ですが、全編沈鬱な感じで、今ひとつテンポよく物語が進みません。ラストのサプライズは悪くはないのですが、そこに至る行動を起こすきっかけに納得感がないので、何とも座りの悪い出来栄えになってしまいました。もう少し細部まで構成を詰めてストーリー立てすれば、それなりに見ごたえのある作品になるように思います。かなり残念でしたね。クーリエタイムリミット60HOURS[DVD]ジェフリー・ディーン・モーガンエイベックス・ピクチャーズ〔映画〕クーリエタイムリミット60HOURS
1986年に公開されたアメリカ映画です。ようやく配信が始まった「トップガンマーヴェリック」を近いうちに観ようかと思っているので、復習がてら観直しました。とてもシンプルな“青春映画”で、設定やストーリー展開にも特段のインパクトは感じられず、エンターテインメント作品としての出来栄えとしては“可もなく不可もなし”という印象です。強いて今観る楽しみをあげるとしたら、CGではないリアリティのある戦闘機同士の空中戦のシーンと、40年近く前のトム・クルーズ、ヴァル・キルマー、メグ・ライアンの若々しい姿ぐらいかもしれません。トップガンスペシャル・エディション[DVD]トム・クルーズパラマウントホームエンタテインメントジャパン〔映画〕トップガン
1997年に公開されたアメリカ映画です。もう30年近く経つのですね、これ以上ないだろうという典型的な“ラブ・ストーリー”です。舞台も「タイタニック」ですから、ドラマティックな演出には不自由はないでしょう。3時間を超える作品なのですが、しっかりと作りこんでいるので冗長な感じはありません。エピソードの織り込み方の巧みさも大きいのですが、やはりレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットという主役二人が大いに魅せてくれました。今、観ると、体形にも貫禄がついたレオナルド・ディカプリオと不変の艶やかさを保っているケイト・ウィンスレットの「若き日の姿」がとても眩しく映ります。タイタニック<2枚組>[Blu-ray]レオナルド・ディカプリオウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕タイタニック
いつも聴いているピーター・バラカンさんのpodcast番組に著者の古川英治さんがゲスト出演していて紹介された著作です。古川さんは日本経済新聞モスクワ特派員の経験もあるジャーナリストです。今も続くウクライナへのロシア侵攻開始時には、まさにウクライナ人である奥様とキーウに在住。その後も現地での取材活動を通して、「自由」を堅守しようと戦うウクライナの人々の現実の姿を伝え続けています。本書に記されている迫真のエピソードの数々はどれも心に刺さるものだったのですが、それらの中から特に印象に残ったところをいくつか書き留めておきましょう。ロシア侵攻時に古川さんが直面した最大の悩みは「キーウから避難しようとしない妻の強い決意」でした。しかし、これは古川さんの奥さんだけの特異な考え方ではありませんでした。防空シェルター内での...ウクライナ・ダイアリー不屈の民の記録(古川英治)
2023年に公開された日本映画です。「X」という設定は、それを真っ当に扱うマスコミの姿とともに、まったくリアリティは感じられないのですが、にもかかわらず、ここまでストレートに押し通すと、それはそれで物語として成立するんですね。こういう舞台であるからこそ、そこで展開されるエピソードの非日常性で作為的なやり取りも妙に収まるようです。まあ、作品としては今ひとつ私には合いませんでしたが、唯一、久しぶりに観た上野樹里さんの暖かな存在感は印象に残りました。いい役者さんだと思います。隣人X疑惑の彼女上野樹里〔映画〕隣人X-疑惑の彼女-
2022年に公開されたアメリカ映画です。王位をめぐる暗殺劇をトリガーにした“復讐譚”で、北欧の叙事詩的ロードムービースタイルも目新しいものではありません。ニコール・キッドマンが登場していることで、彼女の役どころと大体のラストまでのストーリー展開が予想できてしまいますし、映像の方は、現実の情景を描いたシーンはともかく、空想のシーンは正直今の時代的には稚拙な出来栄えでかなり“がっかり感”があります。強いて印象に残ったところと言えば、アニャ・テイラー=ジョイの新鮮な存在感ぐらいでしょうか。こちらは今後の活躍が期待できそうです。ノースマン導かれし復讐者[DVD]4550510083117アレクサンダー・スカルスガルドNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕ノースマン導かれし復讐者
2022年に公開された日本映画です。私の受けた印象では、構成にしても映像にしても、なかなかに工夫が凝らされた意欲的な作品だと感じました。香川照之さんは、役者としての存在感はやはり出色のものがありますし、共演の中越典子さん、津田寛治さん、尾美としのりさんも、作品の醸し出す雰囲気にとてもマッチしていたように思います。ストーリー自体はちょっとしたミステリー仕立てなのですが、これといった山場もなく淡々と進んでいくので物足りなさを感じるかもしれません。とはいえ、こういったテイストの作品、結構、私は好みです。宮松と山下[Blu-ray]香川照之TCエンタテインメント〔映画〕宮松と山下
かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第19作目」です。今回の舞台は“軽井沢”。軽井沢そのものへの出張はありませんが、プライベートで何度か訪れています。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、内田さんのもうひとつの人気シリーズ「信濃のコロンボ」の主人公竹村岩男警部も登場する珍しいコラボ作品です。本作で初めて二人が顔を合わせた設定ですが、適度な絡み方でよかったですね。ストーリー自体は、一昔前、昭和の香りがする展開でしたし...軽井沢殺人事件(内田康夫)
2019年から放映されているイギリス・オーストリア合作のテレビドラマです。舞台は1900年代初頭のオーストリアウィーンで、テレビドラマでありながら当時の時代感をしっかり醸し出しているのは、流石にBBCのドラマですね。サスペンス作品としては、よくある「コンビもの」で比較的淡々としたトーンで物語は展開していきます。ただ、通底している「フロイト流心理学」や「ユダヤ人問題」についての感覚がない私の場合、それらを踏まえてのこの作品の深みまでは理解することができないでしょう。ViennaBlood[DVD]JürgenMaurerPBS(Direct)〔ドラマ〕ViennaBlood(シーズン1)
2017年に公開された日本映画です。突然の「日本全国電力全断」という設定とそれによって始まる“サバイバル・ロードムービー”です。「サバイバル」といっても、ベースは“コメディ”なので刺激的な演出はありません。最後は、予定調和的なhappyendでの幕引きです。この手の映画は好みが分かれるでしょうね。私の印象は“今ひとつ”といったところでした。こういった作品にテーマのような「一本の軸」を期待するのは筋違いなのだと思いますが、どうにも中途半端な物足りなさが残りましたね。深津絵里さんも好演でしたが、ちょっともったいないキャスティングだったように感じました。サバイバルファミリーDVD小日向文世ポニーキャニオン〔映画〕サバイバルファミリー
2020年に放送された長編テレビドラマで、同年劇場映画としても公開されました。ドラマの割にはかなりしっかり作られている印象ですが、その点は、演技力で定評のある蒼井優さん、高橋一生さんのお二人に拠るところがとても大きいですね。さすがでした。あと、適度な“サプライズ”や“伏線回収”が効いたサスペンスタッチのストーリー展開はなかなか楽しめましたが、最後の最後は唐突で、ちょっと“息切れ感”が感じられたのは残念です・・・。スパイの妻<劇場版>蒼井優〔ドラマ〕スパイの妻
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。武田砂鉄さんの著作は、以前「マチズモを削り取れ」「べつに怒ってない」の2冊を読んでいるのですが、その論旨には、概ね同意するところとちょっと違うかなと感じるところが合い混じっていた印象があります。とはいえ、気になるライターさんではあるので本書も手に取ってみたという次第です。期待どおり数々の興味深いコメントや洞察がありましたが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、「学ばないほうが」という小文から。政治家自身の発言の中で顔を出した“ホンネ”のフレーズを問題視され、その釈明をするにあたってありがちな情景。(p104より引用)言い訳が貧相だと重大な物事まで貧相に染められてしまう。結果、問われること...なんかいやな感じ(武田砂鉄)
1992-93年に制作されたオリジナルビデオアニメーションです。原作は、1960年代の手塚治虫さんの漫画作品ですが、私の記憶にあるのは「テレビ放映された実写版」です。マモル役の江木俊夫さんは、のちにフォーリーブスのメンバとしてアイドル的人気を博しました。といってもピンとくる方は極々少数でしょう。さて、このアニメ版ですが、今回配信サービスで初めて存在を知りました。1990年代の作品にしてはアニメーションの出来はかなり貧相ですね。メインのキャラクタもそうですが、目につくのは「背景の絵の雑さ」です。すでに「スタジオジブリ」の作品が世に出ていたころで、もちろん比較するべくもないのですが、雲泥の差がありますね。手塚作品特有の“メッセージ性”も、作画品質がこのレベルだと残念ながらインパクトが感じられません。残念です。...〔アニメ〕マグマ大使
2022年に公開されたアメリカ映画です。“トレジャーハンティング”系のアドベンチャー色のかかった“ロマンティック・コメディ”といったところでしょうか。ただ、キャスティングが、サンドラ・ブロック、チャニング・テイタム、ブラッド・ピット、ダニエル・ラドクリフという何とも豪華絢爛な面々で、その分、かえって設定やストーリーの貧弱さが際立ちましたね。ラブコメにしては、主人公たちがちょっと重量系的過ぎます。なんとなく予想はついていましたが、エンターテインメント作品としては、やはり残念なレベルの出来映えでした。とはいえ、専門家の評価はまずまずらしく、私の感性もあてにはならないようです。ザ・ロストシティ[DVD]4550510066950サンドラ・ブロックパラマウント〔映画〕ザ・ロストシティ
1998年に公開されたアメリカ映画です。大型トラックが主役で爆走する類の作品は、アメリカ映画でよくあるパターンですね。その爆走シーンですが、この作品が制作されたのは今から25年以上前なので、ほどんどCGを使っての演出は見られません。その分かえって映像には迫力とリアリティが感じられますね。もっといえば、ストーリーやキャスティングについては特筆すべきところはなく、見どころはその「カーチェイス」シーンのみということでしょう。ブラック・ドッグ[DVD]パトリック・スウェイジポニーキャニオン〔映画〕ブラック・ドッグ
いつも聴いているpodcast番組(ジェーン・スーと堀井美香の「OVERTHESUN」)の企画で、ジェーン・スーさんと堀井美香さんが「東電社員殺人事件」を取り上げていました。事件当時、私の勤務地は東京電力本社の隣だったのと、被害者の女性社員が私とほぼ同年代であったことから記憶には残っているのですが、事件の背景や事実関係等にはほとんど関心は抱きませんでした。ということで、まず全貌を頭に入れておきたいと思い、本事件を扱った代表作である佐野眞一さんのノンフィクション作品を手に取ってみたというわけです。本書で佐野さんも指摘しているように、本事件は発生当時、異常ともいうべきセンセーショナルな扱いが先行しました。(p490より引用)いずれにせよ、渡辺泰子は魔風、淫風が吹きよどむ強い磁場のような円山町の底に引きこまれ、...東電OL殺人事件(佐野眞一)
「ブログリーダー」を活用して、OMOI-KOMI - 我流の作法 -さんをフォローしませんか?
2025年11月18日をもってgooblogがサービス終了するとのこと。2014年9月13日に「OCNブログ人」の終了により引っ越してきて、10年以上お世話になりました。今後このBlogは、4月18日より、「はてなブログ」(https://norio0923.hatenablog.com/)に移行して続けていきます。引き続きよろしくお願いいたします。〔お知らせ〕gooブログから引越しします
日本経済新聞の書籍紹介の欄で書評家の東えりかさんが取り上げていました。前野ウルド浩太郎さんの著作は初めてです。本書は、7年前に出版し新書大賞を受賞した「バッタを倒しにアフリカへ」の続編とのこと、エネルギッシュなタイトルも刺激的です。期待どおりインパクトのあるエピソードが数多く紹介されていましたが、その中でも特に印象に残ったところをいくつか書き留めておきます。まずは、「論文作成の現実」についてです。学術論文では当然なのでしょうが、記述内容はどんなに些細なことであってもすべて実際に確認されていなくてはならないという“探求への真摯さの程度”には改めて驚かされました。「卵母細胞は毎日、徐々に大きくなる」「メスは自力でオスを蹴っ飛ばすのに苦労する」といった一行にも満たない記述の裏には、解剖や実験にもとづく測定数値が...バッタを倒すぜアフリカで(前野ウルド浩太郎)
1979年に「宇宙戦艦ヤマトIIヤマトよ永遠なれ!」というタイトルで放送され、1985年「宇宙戦艦ヤマト2総集編」に改題され再放送された日本のアニメ作品です。大ヒットしたテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」は劇場映画化され、その続編として「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」が作られましたが、本作品は、同じ「白色彗星帝国」との戦いを描きつつもラストシーンをはじめかなり内容を改変して放映されたものです。両者の違いについてはそれぞれの捉え方があると思います。ドラマチックなエンディングという点では、「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」の方に軍配が上がるのでしょうが、それをもたらしているメンタリティを思うと、やはり強い違和感を感じざるを得ません。宇宙戦艦ヤマト2総集編松本零士〔アニメ〕宇宙戦艦ヤマト2総集編
2024年に公開された日本映画です。安田淳一さん脚本・監督の自主製作映画ですが、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞という快挙を成し遂げました。“タイムスリップ”というモチーフは、映画ではそれこそ山のように前例があってオリジナリティはありませんが、登場人物のキャラクタやストーリーだてが素直だったせいか、とても自然に楽しませていただきました。ラストに向かうシーンの組み合わせも秀逸でしたし、作品に通底する“映画作り”への情熱は、はるか昔に観た「蒲田行進曲」に通じるものがありますね。ちなみに、エンドロールをみていると、作品で「助監督」役を演じた沙倉ゆうのさんは、本作そのものでも「助監督」だったようですし、安田監督にいたっては、編集や照明等、いたるところに「安田淳一」の名前があるのには笑ってしまいました。楽し...〔映画〕侍タイムスリッパー
かなり以前に読んでいた内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“シリーズ全作品制覇”にトライしてみようと思い始めました。この作品は「第42作目」です。今回の舞台は“奈良”。奈良は、仕事関係で出張に行ったことはなかったと思いますが、遥か昔の修学旅行やプライベートでの旅行では、大仏、興福寺、春日大社、唐招提寺や斑鳩あたりにも訪れています。またゆっくり散策してみたい町ですね。ミステリー小説ですからネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品、いつもの浅見光彦シリーズの展開や幕引きとは一味違っているように感じまし...平城山を越えた女(内田康夫)
1980年に公開された日本映画です。有名な黒澤明監督の作品ですが、私は黒沢作品は数えるほどしか観たことがありません。確かに、よくいわれているように「色」へのこだわりは随所に見られましたし、多数の騎馬や歩兵が登場する野戦のシーンの迫力は出色でしたね。その鉄砲と騎馬との戦いの描き方も、直接的な衝突を写すのではなく、それぞれのシーンを交互に挟み込み、野太い音楽とのセットで表現していたあたり、素人目にも強烈なこだわりが伝わってきます。キャスティングも仲代達矢さん、山﨑努さん、志村喬さん等々大物揃いでしたが、なかでも格別の存在感を発揮していたと私が感じ入ったのは大滝秀治さん、素晴らしい役者さんですね。あと、エンドロールで外国版プロデューサーとしてフランシス・コッポラ、ジョージ・ルーカスの二人の名前が並んでいたのは、...〔映画〕影武者
いつも聴いている大竹まことさんのpodcast番組に著者の東畑開人さんがゲスト出演していて紹介していた本です。臨床心理士として、メンタルの悩みを抱える本人はもとより、突然にそういった身近な人のケアをし始めた人たちのカウンセリングに携わっている東畑さんの話はとても興味深い内容なのですが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきます。まずは、東畑さんが語る「こころのケア」の話に登場する基本概念、「ケア」と「セラピー」についてです。ケアとは何か?・ケアとは傷つけないことである・ケアとはニーズを満たすことである・ケアとは依存を引き受けることであるでは、セラピーとは何か?・傷つきと向き合うのがセラピー・セラピーとはニーズを変更することである・セラピーとは自立を促すことであるそして、ケアとセラ...雨の日の心理学こころのケアがはじまったら(東畑開人)
2024年に放映されたフランスのテレビドラマです。いうまでもなく北条司さんの往年の大ヒットコミック「キャッツ・アイ」の実写版。フランスでは1986年に日本版アニメが放送されて人気を博したとのことですが、原作とはかなり異なったテイストにアレンジされているので、評価は大きく分かれたようですね。私のような原作コミックをリアルタイムで知っている世代のファンからすると、あえて別物として捉えた方がよさそうです。正直な印象では、“B級”のノリのストーリー展開や現代フランスを意識したキャラクタ設定を楽しむといった作品でしょう。キャッツ・アイBIGBANDSTORY〔ドラマ〕Cat'sEyes
2003年に公開された日本映画です。向田邦子さん脚本のテレビドラマから始まり、映画・ドラマ・舞台とさまざまな形で何度となく作品化されました。昭和後期が舞台なので、当時の社会観念が色濃く出ている台詞や演出については、観る世代によって印象や評価がかなり変わるでしょうね。四姉妹を中心としたエピソードを綴るヒューマンコメディなので、姉妹や家族、それを取り巻く面々のキャスティングが興味を惹くところですが、本作の、大竹しのぶさん、黒木瞳さん、深津絵里さん、深田恭子さんの四姉妹、その両親に、仲代達也さん、八千草薫さん、さらには坂東三津五郎さん、桃井かおりさんと居並ぶラインナップは空前絶後、最強でした。特に八千草薫さんの雲をつかむようなほっこりしたキャラクタは出色でしたね。あとは、長澤まさみさん、まだオーラを発する前でし...〔映画〕阿修羅のごとく
このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているのですが、時折、以前よく読んでいた大沢在昌さんの作品の中から未読作にもトライしています。先日、“狩人シリーズ”の現時点での最新作「冬の狩人」を読んでみて結構面白かったので、今度はこのシリーズにも手を伸ばしてみようと思いました。というわけで、まずはシリーズ第1作目“北の狩人”、第2作目“砂の狩人”を読み終わり、今度は第3作目の本作という次第です。エンターテインメント作品なのでネタバレになるとまずいでしょうから内容には触れませんが、この作品も十分楽しめました。物語の展開という点では、かなりの部分まで多くの登場人物が次々と起こるエピソードに絡んできて、正直“ごちゃごちゃ”し過ぎている感じがしまし...黒の狩人(大沢在昌)
2024年に公開されたアメリカ映画です。ともかく観て単純に楽しめる“アクション・コメディ作品”です。スタントマンが主人公なのでスリリングなシーンが満載ですが、VFXでの映像制作にも少なからず生のスタント的な要素が不可欠なんですね。そのあたりの様子も興味深く知ることができました。あとは、キャスティング。エミリー・ブラントは芸域も広く私の好きな役者さんの一人なのですが、この作品では無難な役どころでかなり物足りませんでしたね。ちょっと残念ですが、まあこういった顔見世もあるのでしょう。フォールガイブルーレイ+DVD[Blu-ray]4550510120324ライアン・ゴズリングNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕フォールガイ
2024年に公開された日本映画です。柚木麻子さんの小説が原作で、堤幸彦さんが監督のライト・コメディ作品ですが、少し前に全面休館となった「山の上ホテル」を舞台とした点も話題性がありますね。主人公はのんさんが演じているのですが、これが見事にはまっていましたね。ちょっと屈折したネアカのキャラを適度なメリハリで魅せてくれました。それを引き立てる相手役の滝藤賢一さん、田中圭さんもいい演技だったように思います。ストーリー、キャスティング、演出、そして舞台となったホテル、それぞれのよさが相俟って穏やかなバランスを醸し出していました。面白かったです、楽しめました。私にふさわしいホテル堤幸彦〔映画〕私にふさわしいホテル
いつも利用している図書館の書架をつらつらと眺めていて目につきました。私も世の中的にいえば“老人”と呼ばれる年代に突入してしまったので、タイトルにも親近感を抱きますね。著者の下重暁子さんは、NHKのアナウンサーとして活躍後フリーとなり、現在では文筆家として多彩なジャンルの作品を世に送り出しています。本書は、そんな下重さんの得意なテーマのひとつである“高齢化社会”を扱ったエッセイで、“明日は我が身”だからというノリもあって読んでみました。で、結果ですが、正直なところ、かなり期待外れでしたね。“私は、他の人たちとは考え方が違うんだという思い込み”が、強烈な自己主張という形でちょっと表に立ち過ぎていたようです。エッセイなら、著者ならではの“感性”が、とりあげたモチーフの捉え方のオリジナリティとともに伝わってくるの...老人をなめるな(下重暁子)
1998年に公開された日本映画です。“平成モスラ”シリーズ3部作の第3作目、完結編にあたる作品で、こちらも“こども向けSFファンタジー”ですね。今回の見どころはゴジラシリーズの人気キャラの「キングギドラ」の降臨ですが、この強敵と一戦を交えるために、「巨大な蛾」をあの手この手でパワーアップさせています。とはいえ、なかなか苦労したようですね。とても残念なことに、せっかくの主役のモスラは、“形態変化”のたびにリアリティのない薄っぺらい造型になってしまいました。モスラ3キングギドラ来襲[東宝DVD名作セレクション]小林恵東宝〔映画〕モスラ3キングギドラ来襲
2023年に放映された日本の長編テレビドラマです。2022年に連続テレビドラマとして人気を博した番組のスペシャル版で、主要な登場人物も引き継がれたテレビシリーズとの連続モノとして制作されました。江戸時代に「家電がタイムスリップして出現する」という発想がすべてですね。さらに本作はそのアイデアを「忠臣蔵」の物語に織り込む形で“無邪気なエンタメ”として楽しませてもらいました。滝藤賢一さんの独り舞台のようなつくりですが、その他のキャスティング面では、何といっても田島令子さんが目に留まりました。よかったです。もうこういった年季の入った役どころにはまるんですね。家電侍スペシャルストップ!忠臣蔵〔ドラマ〕家電侍スペシャルストップ!忠臣蔵
日本経済新聞の書籍紹介の欄でサイエンスライターの竹内薫さんが取り上げていました。ちょっと前に、いつも利用している図書館の新着本の棚で目には入っていたので、さっそく改めて借りてきました。恐竜絶滅の原因は最近では“隕石衝突説”が定説に近い位置にあるようですが、本書では、隕石衝突後“生物が絶滅に至るプロセス”と、その直後からの“再生のプロセス”を具体的に描き出して解説しています。興味深い内容が満載だったのですが、その中でも特に印象に残ったところをいくつか覚えとして書き留めておきます。まずは、「隕石衝突の生命史上のインパクト」について。(p14より引用)地球の生命史は、「偶然性」というたったひとつの事象によって、不可逆的な変化を経験した。もし小惑星の衝突が起こらなかったり、もっと遅かったりしていたなら、あるいは、...恐竜最後の日:小惑星衝突は地球をどのように変えたのか(ライリー・ブラック)
2015年に公開された日本映画です。大泉洋さんが主演のコメディ作品ですが、井上ひさしさんの小説「東慶寺花だより」を原案にした原田眞人さんの脚本がとてもよかったですね。喜劇風の台詞回しも効果的でした。キャスティングも、樹木希林さん、堤真一さん、キムラ緑子さんに山﨑努さんといったベテランが脇を固めた中で、満島ひかりさん、戸田恵梨香さん、内山理名さんといった中堅どころの実力派が魅力的でそれぞれに持ち味を存分に発揮していました。あと、出色だったのが陽月華さん。彼女が演じたキャラクタがこの作品に爽やかな微笑みを纏わせてくれました。駆込み女と駆出し男[DVD]大泉洋バンダイビジュアル〔映画〕駆込み女と駆出し男
2024年に公開されたアメリカ映画です。ジェイソン・ステイサム主演の“アクション作品”なので、リアリティは「0(ゼロ)」、超安心の“ワンパターン”の復讐モノです。ただ、今回は「養蜂家」というキャラクタの設定にちょっとオリジナリティが感じられました。さらに、「ハチ」の社会の仕組みをしっかりと物語の舞台の背景に織り込んでいるのは、なかなか面白い着眼で秀逸だったと思います。ビーキーパーデヴィッド・エアー〔映画〕ビーキーパー
かなり以前に読んでいた内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“シリーズ全作品制覇”にトライしてみようと思い始めました。この作品は「第41作目」です。今回の舞台は“伊香保(群馬)”。伊香保には、かなり昔になりますが、近場の温泉地ということで、(たぶん)同期入社の研修後の親睦会で訪れた記憶があります。(正直、かなり朧げです)プライベートでも、家族ドライブで立ち寄ったことがあるように思うのですが、こちらも定かではありません。こどもたちと「ガラス細工の体験」をしたのが、伊香保だったような記憶が・・・。この作品、ミステリー小...伊香保殺人事件(内田康夫)
1995年公開のアメリカ映画です。専門家の評価はそこそこ高いようなのですが、私の感覚が鈍いのか、正直かなり退屈でした。ストーリー展開に全くスピード感がなく山谷もありません。キャスティング的には、ジョン・トラボルタ、ジーン・ハックマン、レネ・ルッソ、ダニー・デヴィートと錚々たる面々が並んでいるのですが、やはりこういったコメディには今ひとつ合わないようです。ゲット・ショーティ[DVD]ジョン・トラボルタソニー・ピクチャーズエンタテインメント〔映画〕ゲット・ショーティ
2012年公開の日本映画です。伊坂幸太郎さんの短編小説が原作の作品ですが、無駄のないストーリーでサクッと楽しめます。キャスティングも、大森南朋さん、石田えりさんといった味のある実力派の俳優さんに、ブレイクし始めた木村文乃さんといった魅力的な面々で、さらに音楽は斉藤和義さんという私的には大いに満足した作品でした。それにしても、石田えりさんと木村文乃さんとの居酒屋のシーンは、なんともほのぼのと自然体で印象的でしたね。よかったです。ポテチ[DVD]濱田岳アミューズソフトエンタテインメント〔映画〕ポテチ
2015年公開の日本とトルコの合作映画です。日本・トルコ友好125周年の記念、朝日放送創立65周年の記念、BSフジ開局15周年の記念という名目で制作された作品ですが、さすがにここまでコテコテの“優等生的映画”も珍しいでしょう。当時の両国のトップ同士でも話し合われた末に実現した企画ということですから、さもありなんです。出演している役者の皆さんの熱演は印象的ではありましたが、やはり、こういった経緯で作られた映画の“危うさ”はとても気になりますね。海難1890[DVD]内野聖陽TOEICOMPANY,LTD.(TOE)(D)〔映画〕海難1890
いつも利用している図書館の新着本リストで目につきました。このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、全作読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているので、久しぶりの松本清張作品です。初期の短編8作を収録した傑作集とのこと。ミステリー小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、やはり清張さんの構成力と筆力は素人目にも卓越しているのを感じます。たとえば、4番目に編まれている「白い闇」。読み進めるにつれ高まりゆくクライマックスに向かっての緊迫感。(p174より引用)濃い霧は二人を閉ざした。一メートル先が、白い、厚い紗でぼかされていた。ボートとその近い周囲のあおぐろい水だけが人間の視界にはいっている最大限であった。距離感も遠近感もまったく失われ、白い宙の中を舟は動いてい...空白の意匠:初期ミステリ傑作集(二)(松本清張)
2019年公開のアメリカ映画です。詐欺師が主人公のコメディ作品はそれこそ山のようにありますし、サプライズもかなりの確率で途中で透けて見えてしまいます。本作もそうですが、まあ見どころはアン・ハサウェイとレベル・ウィルソンのコントラストと、ともかく軽いタッチの作風にあるので、それ以外の出来についてとやかく言うものではありません。専門家の評価はかなり厳しいようですが、この手のコメディで「名作」というのはなかなかお目にかかれませんから。“詐欺師が主人公”の名作といえば「スティング」に勝るものを私は知りませんし・・・。ザ・ハッスルアン・ハサウェイスティング[DVD]ポール・ニューマンジェネオン・ユニバーサル〔映画〕ザ・ハッスル
1992年公開のアメリカ映画です。ありがちなモチーフで、想像どおりのストーリー展開ですが、それでも素直に楽しめるのは、役者のみなさんの素晴らしい演技の賜物でしょう。主人公を演じたウーピー・ゴールドバーグさんを筆頭に、キャシー・ナジミーさん、ウェンディ・マッケナさんの対照的ながらとても好感の持てるキャラクター、そして院長役のマギー・スミスさん、こちらは出色の存在感でしたね。このところ、マッドマックスやリディックといった濃い口の映画に浸っていたところなので、久しぶりに心洗われるコメディにホッと一息です。天使にラブ・ソングを…[DVD]ウーピー・ゴールドバーグブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント〔映画〕天使にラブ・ソングを…
そこそこ使っていた私のスマホPixel3XLですが、バッテリーの膨張で裏蓋が数ミリ持ち上がってしまいました。docomoの「ケータイ補償サービス」を契約していたので、サポートセンタに問い合わせたところ「バッテリー膨張でも代替機に交換可能」とのこと。早速、サイトから申し込みを始めたのですが、数ステップ進んだところで、「Pixel3XLの整備品は無く、代替機は『SamsungGalaxyA51』になる」とのメッセージ。負担額は8千数百円ではありますが、数年前のミドルレンジの機種というのには少々抵抗があります。Pixelの数世代前の機種あたりだったらよかったのですが。ということで、いったん「ケータイ補償サービス」の申し込みは中断して、「googleの故障修理店」でバッテリー交換を相談してみました。店員さん曰く、...〔買い物〕Pixel3XLからPixel8aに機種変更
2021年公開のアメリカ映画です。サスペンス・スリラーといったジャンルでしょうか、主人公の心理を独白で語りながらのストーリー展開は、最後にその主役が入れ替わるところも含め、面白いチャレンジだったように思います。とはいえ、キャスティングを眺めただけで、大体のサプライズの予想はついてしまいます。まあ、そういったことは本作品に限ったことでもありませんが、それだけアビー・コーニッシュの存在感が大きかったということですね。エージェント:0漆黒の暗殺者[DVD]通常盤ニック・スタグリアーノアメイジングD.C.〔映画〕エージェント:0漆黒の暗殺者
2004年公開のアメリカ映画です。ヴィン・ディーゼルが主役の作品なので、誰でも雰囲気は予想できるのですが、そのとおりのテイストでした。舞台は「宇宙」ですが、やはり結局は同じですね。ラストもこういう形になったけど、さて、その後はいったいどうなるのか、とても不安に思ってしまう結末です。同じ“ワンパターン・キャラ”なら、まだ「ワイルド・スピード」シリーズの方が私は好みです。まあ、五十歩百歩ですが。リディック通常版[DVD]ヴィン・ディーゼルアミューズソフトエンタテインメント〔映画〕リディック
かなり以前に読んでいた内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“シリーズ全作品制覇”にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第22作目」です。今回の舞台は“日光”。有名な観光地ですから私も何度か訪れたことがありますが、いわゆる観光シーズンの「紅葉の盛り」とかには縁がないので、あまり印象に残ってはいません。ポピュラー過ぎて新鮮さに乏しく感じるのかもしれません。で、肝心の作品について。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、「1勝2敗」ですかね。何かといえば、今回、浅見光彦は3つの事件に遭遇したのですが、そ...日光殺人事件(内田康夫)
1981年公開のオーストラリアの映画です。少し前に、前作の「マッドマックス」を観た流れで、この2作目にもトライしてみました。独特の近未来の退廃的な世界観は、人気コミックの「北斗の拳」にも通じるところがあります。しかし、主演にこれほど「台詞」が少ない作品もなかなかお目にかかりませんね。ともかくバイオレンス色に塗り籠められたカーアクションの迫力が最大の魅力ですから、そこが合わないと、別段ストーリーがあるわけではないので全く楽しめないでしょう。まあ、今しばらく付き合ってみるとして、とりあえず第3作目にはチャレンジしましょう。マッドマックス2[DVD]メル・ギブソンワーナー・ホーム・ビデオ〔映画〕マッドマックス2
2019年公開のアメリカ映画です。マーベル・コミックのスーパーヒーローたちを主人公にした「アベンジャーズ」シリーズの“中締め”のような位置づけの作品です。シリーズものではありますが、前作の「インフィニティ・ウォー」を観ていない私の印象としては、独立作品として観てもそれほど違和感はないでしょう。もちろん、シリーズ中の何か一作ぐらいは観ておいた方が、少しでも登場人物間の関係性が浮かぶので、より楽しめるとは思いますが。ともかく、どこまでもエンターテインメントに徹し切った作品ですね。出来栄えがどうこうというより、ここまで豪華絢爛な役者のみなさんを揃えて、これでもかと凝った映像と、懐かしいシーンを織り交ぜた演出をみせられると、やはり敵いませんね。アベンジャーズ/エンドゲームロバート・ダウニーJr.ウォルト・ディズニ...〔映画〕アベンジャーズ/エンドゲーム
1979年公開のオーストラリア映画です。最近、シリーズ第5作目が封切られたようですが、45年間で5作なので、シリーズといってもピンとこないぐらいに悠長なテンポでの制作ですね。観た感想ですが、ストーリーはともかく、アクションシーンも本人やスタントマンによる実写なのでしょう、なかなかの迫力ですし、背景に流れる音楽も直裁的で、まさにシーンの盛り上げ役を十分に果たしていました。思いのほか楽しめましたね。しかしまあ、何より、主役のメル・ギブソン。40年以上前の彼の初々しい姿には驚かされます。マッドマックス[DVD]メル・ギブソンワーナー・ホーム・ビデオ〔映画〕マッドマックス
2016年に公開された日本映画です。テレビシリーズの劇場版ですが、劇場版もシリーズ化されていて本作が7作目とのことです。私はテレビも映画もほとんど観た記憶はありませんが、改めて本作を観てみて、「これは合わない、ダメだ」と感じましたね。中途半端なギャグ映画としか思えませんし、荒唐無稽な設定に加え、ひと昔もふた昔も前の演出センスは情けなくなります。(まあ、ひと昔前の作品ですが・・・)舘ひろしさんも浅野温子さんも、ちょっと前の言いようでは“イタイ”キャラクタの典型でしょう。最近、復活版の映画が上映されているようですが、どうでしょう・・・、私は全く食指が動きません。さらばあぶない刑事(通常版)[DVD]舘ひろしバップ〔映画〕さらばあぶない刑事
いつも利用している図書館の新着本リストを見ていて、タイトルに惹かれて手に取ってみました。哲学者三木那由他さんによる“哲学的な視座”からのエッセイ集です。トランスジェンダーである三木さんならではの起点からの興味深い指摘や思索の紹介が数々ありましたが、そういった類のものとはちょっと違ったユーモラス?なエピソードをひとつ書き留めておきましょう。三木さんはかれこれ30年来の“GLAY(日本のロックバンド)ファン”とのことですが、言語哲学を学んだあと、歌詞の解釈に新たなバイアス?がかかったというのです。その歌詞は、こうです。(p125より引用)避けられぬ命題を今背負って迷ってもがいて真夜中出口を探している手探りで「puresoul」という楽曲の歌詞なのですが、この中の“命題”という単語に鋭敏に反応してしまうようにな...言葉の風景、哲学のレンズ(三木那由他)
2022年に公開された日本映画です。BLコミックを小道具に、年の離れたふたりの人間関係を描いたオリジナルシナリオの作品ですが、芦田愛菜さんと宮本信子さんが主役なだけに、とても落ち着いた優等生的な仕上がりですね。正直、ふたりの演技力や存在感を考えると、作品の出来はかなり物足りない印象です。まあ、たまには観る映画にこういった感じのものを混ぜるのも、心穏やかでいいかもしれません。「メタモルフォーゼの縁側」通常版(DVD1枚組)DVD芦田愛菜バップ〔映画〕メタモルフォーゼの縁側
2022年に公開されたイギリスとアメリカ合衆国の合作映画です。テレビドラマシリーズの続編を映画化したものとのことですが、確かにテイストは“ホームドラマ”的ですね。ストーリー展開もいくつかのエピソードが並行して進みつつも分かりやすく、HappyEndに収束していきます。そういったお決まりの安心感は万人受けする王道パターンなのでしょう。その点、物足りなさを感じるかもしれませんが、私はこの“ほどほど”が程よいのです。ダウントン・アビー/新たなる時代へ[DVD]4550510077604ヒュー・ボネヴィルNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕ダウントン・アビー/新たなる時代へ
2010年から放送されたBBC制作のテレビドラマです。シリーズ1から4まで特別編を含めると13話。それぞれが1時間を超える長尺で、一流の映画だとっても十分通用するしっかりした作りです。ストーリーは一筋縄ではいかないとても凝ったもので、正直その複雑さと奇抜さにはついていけないところがありました。キャスティングも、主役のベネディクト・カンバーバッチをはじめマーティン・フリーマン、アンドリュー・スコットら映画俳優としても有名どころが配されていて、見応え十分のドラマですね。SHERLOCK(シャーロック)#3『大いなるゲーム』スティーヴン・モファット〔ドラマ〕SHERLOCK(シャーロック)
1992年に公開されたアメリカ映画です。ブラックコメディ作品ですが、こういったノリは好き嫌いがはっきり分かれるでしょうね。ちなみに私には全く合いませんでした。ラストで語られるメッセージも、そのあとのシーンで混ぜ返されてしまったようで・・・。キャスティング的には、メリル・ストリープ、ブルース・ウィリス、ゴールディ・ホーンとかなりの重量級が並んでいます。それぞれコメディもこなす演技派だとは思いますが、まあ、こういったテイストの作品であれば“この面々でなくては、”といった感じでもありません。そのあたりも、ちょっとちぐはぐな印象でした。永遠に美しく・・・[DVD]メリル・ストリープジェネオン・ユニバーサル〔映画〕永遠に美しく…
少し前に、大江英樹さんによる「90歳までに使い切るお金の賢い減らし方」という本を読んだのですが、その中で本書が紹介されていました。私も「定年」を目の前に控え、僅かではありますが手元にある“資産の処し方”について考えてみなくてはならない歳になりました。そのあたりのヒントにと手に取った著作ですが、結構参考になるアドバイスや新鮮な気づきが得られました。その中から特に有益だと感じたところを覚えとして書き留めておきます。まずは、著者が本書で伝えたいメッセージを端的に記しているくだりです。(p19より引用)今しかできないことに金を使う。それこそが、この本で伝えたいことの核だ。90歳になって水上スキーを始めるのは難しい。今それを我慢すれば、その分の金は貯まるだろう。だが、十分な金を得たときには、すでにそれができない年齢...DIEWITHZERO人生が豊かになりすぎる究極のルール(ビル・パーキンス)