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2014/10/11

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  • 荒海ノ津

    ―居眠り磐音(22)―佐伯泰英/双葉文庫2007年4月20日初版。福岡商人の招きでしばらく福岡に留まることになった。江戸に戻る旅の途中でのこと。しかし、ここにも「道場破り」や「駆け落ち」など、波乱が続く。その頃、江戸でもいろいろなことがあった。特に品川家の紆余曲折に、次男坊の柳次郎も困窮したが、幼馴染のお有との出会いを期に、何だか運が開けて来た様子。この際、お有は福の神だったか。・福岡・藩道場(修養館)の稽古・尚武館道場破り・お咲の駆け落ち・柳次郎、八方塞がり・賭場のガサ入れ・修養館道場破り・次男坊、当主になる駄洒落は江戸っ子の啖呵、洒落、粋とともに、文化の一翼を担う。「恐れ入谷の鬼子母神」は現役の言葉遊びだが、その後にこんな続きがあるとは知らなかった。恐れ入谷の鬼子母神、(恐れ入りました)そうで有馬の水天宮、...荒海ノ津

  • 鯖雲ノ城

    ―居眠り磐音(21)―佐伯泰英/双葉文庫2007年1月20日初版、2007年2月10日第4刷。恐怖の船旅を終えて、どうにか主人公の故郷、豊後関前風待湊に到着したが、既に江戸で聞いていたように、ここにも暗雲は漂っていた。出来るだけ関わらないように努めた主人公だったが、例によって災禍は向こうからやってくる。・国家老(正睦)暗殺未遂・郡奉行(東)刺される・家老の策略・仮祝言と出立・最終対決話しがあまりにリアルなものだから、関前藩の白鶴城は想像の産物か、それともモデルはあるのか気にかかる。著者は九州出身だから、地元に詳しいのはわかるが。大分県(豊後)の東海岸沿いで北に「臼杵」、南に「日向」がある。話としては、この間になるはずで、北から津久見、佐伯、延岡の三市があるが、相当するような城は見当たらない。港湾の形も違うような...鯖雲ノ城

  • 野分ノ灘

    ―居眠り磐音(20)―佐伯泰英/双葉文庫2007年1月20日初版、2007年6月10日第7刷。前冊に続き、どうやら刺客を差し向けるのは田沼派らしい。今回も次々と困窮した浪人の足元を見て、雇い入れたであろう刺客がやって来る。同時に主人公の周辺も慌ただしく変化する。・磐音の転職・柳原土手の刺客・南割下水の刺客・同心、一郎太狙われる・船旅・船上の刺客今回の圧巻はやはり千石船の船旅だろう。少し前に「漂流/角幡唯介」を読んだが、船は実に恐ろしい。穏やかな洋上であれば、何の心配もなくこれほど快適な旅はないのだが、ひとたび荒れ狂った洋上では、人間の無力を感じない人は皆無だろう。ましてこの時代、エンジンも無ければGPSも無い。天気予報は船頭の読み次第だ。それでも陸上輸送の困難さに比べれば、やはり利点は大きかったのだろう。刺客も...野分ノ灘

  • 梅雨ノ蝶

    ―居眠り磐音(19)―佐伯泰英/双葉文庫2006年9月20日初版。2018年6月13日第39刷。今回は佐々木道場の改築完成とそのお祝い。道場は新たに「尚武館」と名が付けられ、盛大な剣術大会が開催された。その裏で、磐音を付け狙う刺客がいた。・柳原土手、磐音の油断・尚武館道場、杮落し「剣術大会」・島抜けの強盗殺人集団、一網打尽・刺客との再会、両国橋雨中対決最後に、雨の両国橋で再対決。しかし、刺客を放った人物は遂に判らなかった。刺客は「そなたを邪魔に思うお方が城中におられる」という一言を残しただけだった。「城中」ということは「基家」を警護したことで報復を考えた田沼派か、或いは豊後関前藩江戸家老(福坂利高)の城中関係者か。磐音が潰した大名、旗本は一つ二つではない。どこでどんな恨みを持つか知れたものではないが、これからも...梅雨ノ蝶

  • 捨雛ノ川

    ―居眠り磐音(18)―佐伯泰英/双葉文庫2006年6月20日初版、2009年11月30日第25刷。今回の章はざっと以下の様な具合。・鐘四郎の思い切り・おそめの奉公替え、「縫箔」弟子入り・鐘四郎の婿入り縁談・矢平次の島抜け・おはつの奉公先エントリー今までも、いろいろな情景が描写されてきたが、今回のラスト338p~は秀逸なもの。どうも男が描く情景は無骨で、粗野な感じがするものだが、ここは著者も頑張った。こんな情景が出て来るとは思わなかった。思わず二度読みしてしまった。この場合、川に「流す」という行為は、「怨み辛み、積もり積もった蟠り、辛苦の思い」を形に託して流し去り、心機一転、明日から新たな気持ちで向き合おうという、心の再起動のようなもの。「怨み辛み、積もり積もった蟠り、辛苦の思い」は「人の心の闇」であり「穢れ」な...捨雛ノ川

  • 紅椿ノ谷

    ―居眠り磐音(17)―佐伯泰英/双葉文庫2006年3月20日初版、2008年3月20日第20刷。地図を見ながらの読書だが、今回ちょっとした発見があった。江戸城を取り巻く堀に掛る橋が、同時に堀の内外を結ぶ門になっており、「何々御門」という名が付けられているが、当初「浅草御門」は浅草にあるものと思っていた。話の筋から何かおかしいと思いながら読んでいたが、今回それがはっきりした。何と「浅草御門」は両国にある御門だった。両国の北を大川に流れ込む神田川に掛る二つ目の橋が浅草橋という名前になっており、その袂が「浅草御門」だった。浅草寺、雷門がある浅草は大川の左側、御蔵前(江戸通り)という通りをかなり北へ(2km以上)上ったところにあり、大川には両国橋、吾妻橋(東橋)のこの間に橋はない。そういえば総武本線の駅も「浅草橋」で、...紅椿ノ谷

  • 蛍火ノ宿

    ―居眠り磐音(16)―佐伯泰英/双葉文庫2006年3月20日初版。2007年10月30日第15刷。今回の章の大きなうねりは、やはりかつて許嫁であった小林奈緒との決別であろう。その前に「今津屋吉右衛門・小清水屋佐紀」の話し、脱藩、出奔した「大塚左門・小清水屋香奈」の話しがある。そして「坂崎磐音・小林奈緒」の話しで纏められる。・大塚左門・お香奈のその後・白鶴太夫の落籍・吉原敗者の逆襲・奈緒との別れ「吉右衛門と佐紀」は「幸せ」の門出、「左門と香奈」は再び「流浪」の旅へ、そして「磐音と奈緒」はとうとう「訣別」する。己の努力だけでは如何ともし難い「選択」が人生には多々起きる。これを翻弄されずに乗り切るというのは並大抵ではない。幸せの形は人それぞれであるとしても、「苦汁の選択」だけは避けたいものだ。それでなくても「災厄」は...蛍火ノ宿

  • 駿雨ノ町

    ―居眠り磐音(15)―佐伯泰英/双葉文庫2005年11月20日初版、2007年6月10日第14刷。今回の章は、関前藩江戸家老の裁断が大きな波。そもそも評判の悪い江戸家老で、国家老宍戸文六の再来と言われているくらいであるから、どのような先行きになるかと思っていたが、結果厳しい沙汰となった。細かな事件が周辺を埋めて、なかなか立体的に構成されている。もう一つの読み所は、「富士川下り」かもしれない。殺陣のシーンはいつものこととして、この船上の激闘はなかなか迫力がある。長く大きな川だけに、増水したときの川の恐ろしさは今も昔も変わらない。・江戸家老の乱心・幸吉の失踪・菓子屋強殺・押し込み首領の護送・夜盗一家など。お家の騒動に関わるような場合、後継者がいるのであれば、多くは「病死」として扱われる。その罪が公に知られたことであ...駿雨ノ町

  • 夏燕ノ道

    ―居眠り磐音(14)―佐伯泰英/文春文庫2019年9月10日初版。今回の章は将軍の「日光社参」に終始した。将軍の威光を示すものではあったが、無理に無理を重ねての日光詣でであった。江戸時代、この21年後(1843年)の社参は最終回となる。そして67年後には慶喜によって大政奉還が成され、武家社会の終焉を迎えることになる。それは既に坂崎磐音の時代ではないが、人々は想像することすら出来なかったことだろう。・第18回、日光社参(1776年)・次期将軍(家基)暗殺指令江戸庶民の生活と形骸化した武家社会の表裏がこのように小説化されたものを今まで読んだことはない。「日光社参」は、その象徴的な行事だったと思われる。シリーズはまだ半ばにもならないが、その中でも読み応えのある一冊ではないだろうか。関前藩の国家老宍戸文六も幕府の中老田...夏燕ノ道

  • 残花ノ庭

    ―居眠り磐音(13)―佐伯泰英/文春文庫2019年8月10日初版。今回も盛沢山、とにかく磐音の行くところ事件が次々沸き起こる。・強請、たかり、ご隠居の災難・旗本の町金・美人局・おそめの就活・桜子姫の失恋・おこんのお見合い・カピタン襲われる・種姫の麻疹回復・父の出府・カピタンの将軍謁見・身内の刺客幕藩体制の歪みが徐々に進行し、崩れ始める時代の波、そこに決して無関係とは言えない市井に生きる一生懸命な人々の生活が何とも哀愁がこもる。これから日光社参という破綻の威光と、改革反対派の裏切りが渦巻く関前藩の活路はどう展開していくのだろうか。些細な日常、周囲を巻き込む事件、人々を震撼させる事件、お家騒動、体制を揺るがす疑獄と複雑多重に織りなすところが読みどころだ。丁度某局の「歴史ヒストリア」でこの時代の話しが出た。このカピタ...残花ノ庭

  • 探梅ノ家

    ―居眠り磐音(12)―佐伯泰英/文春文庫2019年8月10日初版。・押し込み強盗、吉祥天の伯王・鎌倉建長寺、お艶の供養・今津屋の後添え探し・小清水屋の姉妹・脱藩、逃避行人生、思うようにはならない。近習の大塚左門が、今津屋の後添えにと思っていた小清水屋のお香奈を伴って脱藩、逃避行を選択した。この思い切りのよさが、いやでも磐音の場合と比較される。そして二人の行く末を案ぜずにはいられない。幸せは「思い」だけでは成就しない。思わず「陰で見守る」決意が揺らぐ磐音だが、この先どんな自己実現が待っているのだろうか。探梅ノ家

  • 無月ノ橋

    ―居眠り磐音(11)―佐伯泰英/文春文庫2019年7月10日初版。「カネ」は確かに便利ではあるけれども、同時に扱い方を誤れば、その分だけ「不幸」を強いられる。違法な利子のカネ貸し、借金地獄、取り立て乗っ取り等、凡そ「カネ」が使われるようになってから起きる問題は、今も昔も変わらない。主軸が「米」であった頃の幕藩体制は、江戸時代になって明らかに時代から落伍し続け、完全に形骸化してしまった。磐音が生きた時代はその典型のような武家社会崩壊の様相である。・直参旗本のカネ貸し・鳥取藩の内紛・与力、辻斬りに逢う・吉原太夫の紅葉狩り何だか「太夫の紅葉狩り」がバブル崩壊前夜のような様相。身分の格差と貧富の格差、更にそれぞれが立場や現実をわきまえない行動によって仇花のように咲き誇るのを見るようだ。無月ノ橋

  • 朝虹ノ島

    ―居眠り磐音(10)―佐伯泰英/文春文庫2019年7月10日初版。今回の大きなテーマは江戸城修復。そのための「石」を求めて、伊豆に出掛ける。江戸城の城壁、あの石はどこから持ってきたものか、考えたことも無かったが、それはどうやら伊豆から運んだものらしい。改めてその事業の大変さが解かる話しだった。公共工事と同じで、カネの動くところに人は集まる。そして権利取得や独占、談合が画策されるのは、今も昔も変わらない。公共工事は平等に競争し、適正な価格で行わなければ意味がない。今津屋もカネを出せばよいというものではない。出すからには最適に使って貰わなければ、後々の結果にも影響するだろう。カネに群がる輩を払いのけ、今回は品川柳次郎も活躍する。ちょっとボコボコになってしまったが。朝虹ノ島

  • 遠霞ノ峠

    ―居眠り磐音(9)―佐伯泰英/文春文庫2019年6月10日初版。相変わらず坂崎は市井の細々したいざこざから藩の経済問題まで何かと忙しい毎日を過ごしている。悪党をバッタバッタとなぎ倒しながら。・新人小僧、騙りに遭う・吉原太夫の人気投票・秩父の貧困、娘の身売り・関前物産所利権の攻防・関前物産、第一便の成否家老の嫡男を誇示する訳でもなく、剣技を盾に威嚇する訳でもない。相手には最大の敬意をもって対峙する姿勢はいささかも崩れない。この潔さと誠意がどこまでも続くようだ。坂崎磐音、品川柳次郎、竹村武左衛門、この人間臭い三人が常に登場するが、これこそ「人の側面」「真の姿」に違いない。何かと誘惑に右往左往し、棚から牡丹餅で一喜一憂し、運が悪いとショボくれる。主人公は出来過ぎだが、品川や武村は何が優れているという訳でもなく、武士の...遠霞ノ峠

  • 朔風ノ岸

    ―居眠り磐音(8)―佐伯泰英/文春文庫2019年6月10日初版。いきなり、・石見銀山による一家毒殺事件から始まって、・修善寺の抗争助っ人・小手斬り佐平次との対決・無頼の極右との対決・・等々。その間に豊後関前藩の不審な動きが横たわる。何者かが画策している様子が、何とも場を盛り上げる。無頼の極右、裏で糸を引く「鐘ヶ淵のお屋方様」の正体が遂に判明、攻守逆転し、主人公等が攻めに入り、年番方与力の協力を得て、今回ようやく決着した。四巻「雪華ノ里」から引き摺って来た案件だ。確かに主人公の周りにはいつも何かと事件が起こる。しかし、ヒーローによる単独解決ではなく、周囲の協力を得て必ず解決するというのが一つのスタイルになっている。同心と岡っ引きのような組織的、あるいは上司部下の関係の中で解決する捕り物とは違う点である。吉原の会所...朔風ノ岸

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