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2014/10/11

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  • 奪取(上下)

    真保裕一/講談社文庫1995年5月15日初版、1999年6月11日第2刷。実に凝ったエンタメ作品だったように思う。1つの物事に究極まで拘るという(日本人特有の)性質に着目したような作品だった。凝りもせず、何の足しにもならないことに全財産と時間をつぎ込むという奇妙な性質をうまくすくい上げ「偽札作り」に例えて、ユーモラスに展開する話。古書、骨董、絵画とその真贋は金額が張れば張るほど冗談では済まなくなる。その最上位にあるのが偽札ではないだろうか。そこで「偽札作り」というのは実にスリリングで、難題なのだと思う。これだけの努力を傾ける意欲と情熱があるなら、他の仕事でもいろいろと成功可能なはずだが、そこが何故か「偽札作り」に憑りつかれた四人だった。困難であればあるほど、全力を傾けて臨んでしまうという匠というか実にロマンチッ...奪取(上下)

  • 三州吉良殺人事件

    内田康夫/角川文庫1994年4月25日初版、1997年4月30日第15刷。シリーズNo.45。長く読んできた浅見光彦シリーズだが、遂に117冊の最終の一冊になった。近くの本屋には見当たらず、通販で探して取り寄せた。手数料、送料で本体よりもはるかに高くついたが、シリーズ完結には必要不可欠と納得する。ホテルの電話のトリック(留守番電話)、スケジュールの正確さ故の証明、必然性の無い作為、見た目の裏に隠れた思い、「岸壁」のトリック等、いろいろと推理作品らしい仕掛けがあり、同時に地域の伝承、故事、歴史、そして現実問題を織り込んだ実に楽しい「旅と歴史」の一冊だった。三河と尾張の関係は、どんな相違によるものなのか、水の違い、伊勢湾と三河湾の文化の違い、地政学的な違いなど、地続きにも関わらず興味深いものがある。吉良上野介と塩田...三州吉良殺人事件

  • 八日目の蝉

    角田光代/中公文庫2011年1月25日初版。発表されてからはや10年になろうとしているが、この作品はどこかで読んだ記憶がある。しかし、既読の記録を見ても見当たらない。別の著者名で別の題名だったのだろうか。薫と希和子が「虫おくりの祭り」に出掛けた時の描写がカラー写真のように記憶されているのである。更に、その時の写真を撮られ、全国紙に載ってしまい、再び脱出を試みるところなど。この話にはきっかけとなった事件があるらしい。Netによれば「日野OL不倫放火殺人事件」ということになっている。ドキュメンタリーではないから現実の事件の流れをそのまま書いている訳ではなく、ほとんどフィクションである。現実は放火によって子供二人が焼死したという悲惨なものである。作品の根底にあるのは「女の性(さが)とリアルな現実」なのかなと思う。大人...八日目の蝉

  • ジウⅠ

    ―警視庁特殊犯捜査係―誉田哲也/中公文庫2008年12月20日初版、2014年7月5日第21刷。三部作のその一。著者の作品は、「歌舞伎町ダムド」に始まって「歌舞伎町セブン」「ソウルケイジ」「ストロベリーナイト」「妖しの華」などを読んできたが、そのエンターテイメント性、話のダイナミックさ、ストーリーの展開のテンポのよさなど、どの作品も一貫しているように思う。誉田カラーということになるだろうか。相変わらず、都下を縦横無尽に動き回る忙しい展開。誘拐事件を専門に担当する「警視庁特殊犯捜査係」の二人の警官(門倉美咲、伊崎基子)が主人公だが、これがまた全くの性格の異なる二人で、同じ独身寮に居ながらろくに口も利かないというもの。ある誘拐事件を境に二人はそれぞれ異動を余儀なくされるが、異動先で己に合った相棒をちゃんと見つけるか...ジウⅠ

  • 模倣の殺意

    中町信/創元推理文庫2004年8月13日初版、2013年3月8日第19刷。機会があって再度「模倣の殺意」を読んでみた。前回は2016年4月29日。最初に詠んだ時とちょっと異なる印象。よく読んでみると「坂井正夫」が三人も出て来る訳で、改めてその複雑さを確認する。改題の複雑な変遷もある。1971年、「そして死が訪れる」1972年、「模倣の殺意」1973年、「新人賞殺人事件」1978年、「新人文学賞殺人事件」2013年、「模倣の殺意」といった具合である。作品の中でも、最初の坂井の作品、「七月七日午後七時の死」瀬川恒太郎の模倣作「明日に死ねたら」第二の坂井の模倣作「七月七日午後七時の死」なんてことになっている。殺人事件でありながら、警察関係者が具体的に一人も登場しないというのも珍しい。解説者は、この手のミステリーを「叙...模倣の殺意

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