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  • 柴田元幸さんによるポール・オースター

    ポール・オースター『4321』の邦訳がようやく出版され、梅屋敷の仙六屋カフェで翻訳家の柴田元幸さんによるトークが開かれた。葉々社さんの主催(いい書店!)。2013年5月に書き始めて2017年1月に出版。アメリカの事情のことを考えればこの分厚い本を2年半ほどで書き終えたことになるという。1960年代を描いた作品としては『MoonParace』、『Invisible』に次いで3作目。柴田さんが最初のところを朗読しはじめるとどうも覚えがある。それも当然で、原著が出たとき自分も読みかけ、あまりの量に挫折したのだった。柴田さんによればオースターを映画が支えていた面もあったようで、サイレント期のコメディアンであるローレル&ハーディはサミュエル・ベケット経由で意識した可能性があるという。会場では『極楽ピアノ騒動』が少し...柴田元幸さんによるポール・オースター

  • 太田昌国の世界 その87「追悼私記2話—大谷恭子さん、鈴木道彦さん」

    東京琉球館で太田昌国さんのトーク(2024/11/29)。先ごろ亡くなった弁護士の大谷恭子さん、フランス文学者の鈴木道彦さんに関する話。大谷恭子さんは全共闘世代、ブントのメンバーでもあった。たまたま脳性麻痺の小学生・金井康治の建造物侵入事件(1977年)の弁護を引き受け、そのことが彼女の弁護士生活を変えた。大谷さんのようなひとたちの地道な努力が、国連の障害者権利条約(2008年発効)、日本の障害者差別解消法(2013年制定)に結び付いた。2021年には民間企業にも配慮が義務付けられた。太田さんはこの社会を「インクルーシブ」(包摂的)なものと書く。その後大谷さんは永山則夫の弁護団にも加わり、死刑廃止論者となる。永山は極寒の地に生まれ酷いネグレクトを受けた少年時代を過ごした。ひとの背景を鑑みることなく少年犯罪...太田昌国の世界その87「追悼私記2話—大谷恭子さん、鈴木道彦さん」

  • 李俐錦+Miya+武田理沙@代々木上原Hako Gallery

    代々木上原のHakoGallery(2024/11/28)。Li-ChinLi李俐錦(中国笙)MIYA(Modularfl)RisaTakeda武田理沙(synth)李俐錦さんから「自分はloudだからエレクトロニクスと演りたい」との発言があり企画した。当日になり3人で相談し、ファーストセットはデュオふたつ(順番はMIYAさんと武田さんがじゃんけんで決めた)、セカンドセットはトリオによる即興。武田さんとのデュオで感じたのは中国笙のデジタル感(日本の笙にもシンセのような感覚があるけれど)。ふたりとも何の前触れもなく「その音」にたどりつき続け、その驚きが持続する。MIYAさんとのデュオでは、MIYAさんの作り出すサウンドがまるでプラットフォームのようになり、その場を共有してふたりとも発言する感覚。発言が蓄積さ...李俐錦+Miya+武田理沙@代々木上原HakoGallery

  • 大前チズル+中島教秀『Avec マタタビ』(Jaz.in)

    『Jaz.in』vol.14(2025年1月号)に、大前チズルさん、中島教秀さんによる『Avecマタタビ』のレビューを寄稿しました。大阪で念願の大前さんを観たばかり、いやカッコいいです。ご一読ください。マタタビ効果あり〼。●大前チズル自由部活女子—大前チズル+吉田野乃子@大阪StudioT-Bone(2024年)大前チズル『RoyalFolks』(2017-18年)大前チズル+中島教秀『Avecマタタビ』(Jaz.in)

  • 『エレクトリック・シナプス!』(Jaz.in)

    『Jaz.in』vol.14(2025年1月号)に、『エレクトリック・シナプス!』(地底レコード)を出したばかりの加藤崇之さんへのインタビュー記事を寄稿しました。話も、もちろんサウンドもめちゃおもしろいです。ぜひご一読ください。加藤崇之g、さがゆきvo,g、佐藤研二b、藤掛正隆ds、松井智恵美映像、寺部孝規音響、kagaridance●加藤崇之インプロヴァイザーの立脚地vol.24加藤崇之(JazzTokyo)(2024年)加藤崇之+神田綾子@東中野セロニアス(2024年)zekatsumaカルテット@新宿ピットイン(2023年)松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2022年)吉田達也+加藤崇之+神田綾子@公園通りクラシックス(2022年)松風鉱一@西荻窪clopclop(2021年)エレクトリ...『エレクトリック・シナプス!』(Jaz.in)

  • 李俐錦+すずえり@Ftarri

    水道橋のFtarri(2024/11/25)。Li-ChinLi李俐錦(中国笙)Suzueriすずえり(p,org,electronics,etc.)なにしろ李俐錦さんの中国笙が多様で迫力もありすばらしい。雅楽の笙とはずいぶん異なり、音域が驚くほど幅広く、エヴァン・パーカーを思わせるマルチフォニックもみせる。共鳴管が多数あるためタッピングも逆からの息の吹き込みもまた多様。すずえりさんは李さんの呼応を期待したうえで音風景を作り出す。ピアノはピアノらしい響きと奇妙なプリペアド、オルガンによるドローン、光の明滅に反応させるエレクトロニクス、セロファンテープのマテリアル性に依拠した仕掛け。それらに時間の要素を重ね、ふたりの場を擾乱してみせるのはみごと。FujiX-E2,7Artisans12mmF2.8,Leic...李俐錦+すずえり@Ftarri

  • 稲葉佳子・青池憲司『台湾人の歌舞伎町』

    稲葉佳子・青池憲司『台湾人の歌舞伎町』(ちくま文庫)がおもしろい。新橋駅前や渋谷の道玄坂あたりは戦後台湾やくざ(というと物騒だがそういう形でしかありえなかった)が開発を担った場所だと認識していたが、歌舞伎町もまたそうだった。まずは新宿の西口マーケットがあり、そこを拠点として歌舞伎町が開発される。なぜ西口マーケット拠点かといえば今も残るトンネルを通じて歌舞伎町と地続きだったから。なぜ歌舞伎町に歓楽街と区役所ができたかといえばなにもなかったから。そして西口マーケットの一部はしょんべん横丁(いまの思い出横丁)として残る。名店どん底も紀伊國屋書店の創業者・田辺茂一から歌舞伎町に移転しろと薦められたが、結局決断できず三丁目にちょっとずれただけだったらしい。ひょっとしたら風景が変わっていたかな。コマ劇場が消えたのはつ...稲葉佳子・青池憲司『台湾人の歌舞伎町』

  • 安田芙充央『SORA』

    安田芙充央『SORA』(Pourquoi、2024年)FumioYasuda安田芙充央(p,melodica,key,perc,etc.)JoachimBadenhorst(vo,voice,cl,bcl)Akimuse(vo)NobuyoshiIno井野信義(b)DogenKinowaki木ノ脇道元(fl,altofl)TakakoHagiwara萩原貴子(fl)AsianArtStrings(strings)このアルバムにはいくつかの異なる貌があり、それらが自然に併存し、ときに介入しあっている。ジャズの貌。かつて安田文夫時代に高柳昌行のアングリーウェイブスに参加したこともあるピアニストだということを意識することはあまりない。もとより高柳がアルバート・アイラーをコンセプトとして結成したバンドでもあり、サ...安田芙充央『SORA』

  • Arashi@公園通りクラシックス

    渋谷の公園通りクラシックス(2024/11/19)。AkiraSakata坂田明(as,cl,voice)JohanBerthling(b)PaalNilssen-Love(ds,perc)のるかそるか、しかしこの速度と密度で誰も振り落とされることがないのは驚嘆にあたいする。坂田明さんは<死んだ男の残したものは>を歌った。その間ポールもヨハンもじっと耳を傾け、やがて入り、坂田さんが主旋律を吹いた。いつもと異なるありようは、おそらく谷川俊太郎さんへの追悼でもあったからだろう。FujiX-E2,7Artisans12mmF2.8,LeicaElmarit90mmF2.8(M)●坂田明坂田明+住倉カオス+竹下勇馬+オータコージ@千駄木barisshee(2024年)ヨシュア・ヴァイツェル+永井千恵+坂田明@稲毛...Arashi@公園通りクラシックス

  • 市野元彦・津上研太・外山明『melodies』CD先行発売ライブ@新宿ピットイン

    新宿ピットイン(2024/11/18)。MotohikoIchino市野元彦(g)KentaTsugami津上研太(as)AkiraSotoyama外山明(ds)SpeicialGuest:MinyenHsieh謝明諺(ts)謝明諺さんの全方位的なテナーにも、刀を抜くとナマの感じが強い津上研太さんのアルトにも聴き惚れる。それぞれのソロのときアプローチを変える外山明さんはみごと。市野元彦さんのギターには即興であろうと曲であろうと関係ない魅力があって、弾いているだけで気が付くとサウンド全体が持ち上がっている。●市野元彦西島芳+市野元彦@上町63(2024年)高田ひろ子+市野元彦@中野SweetRain(2023年)melodies@新宿ピットイン(2023年)YukariEndoProject『DROP,DR...市野元彦・津上研太・外山明『melodies』CD先行発売ライブ@新宿ピットイン

  • 北川民次展@世田谷美術館

    人が瓶や木の実になったようなフォルムに惚れ惚れする。メキシコ帰りというイメージばかりが強かったのだけれど、意外にもスタイルが変遷していったのは発見だった。やはりというべきかフェルナン・レジェからの影響もあった。戦時中に当局に依頼されての絵も謎めいていて、まったく戦意高揚につながらないのが北川民次らしい。本駒込のギャラリー・ときの忘れものでも北川作品を展示していて、これもうれしい。北川民次展@世田谷美術館

  • 加茂直明+金子雄生「路傍の人」@新宿サムライ

    新宿のサムライ(2024/11/9、マチネ)。NaoakiKamo加茂直明(舞踏)YuseiKaneko金子雄生(tp)昼でもサムライは異界。その中にさらに別の界が作られる。舞踏による外からの介入があり、楽器の音も介入するとともに、動く身体の介入に自らを開いているよう。外から聞こえる救急車のサイレンもこの界でつくられたものかもしれない。ぎりぎりの精神でもちこたえるところに境と界の価値があった。FujiX-E2,7Artisans12mmF2.8,LeicaElmarit90mmF2.8(M)●金子雄生5Trumpets@なってるハウス(2023年)加茂直明+金子雄生「路傍の人」@新宿サムライ

  • 安部公房展@神奈川近代文学館

    神奈川県近代文学展の安部公房展。展示内容がとても豊富で驚いた。8インチフロッピーのワープロやKORGのシンセも、2台のコンタックスRTSやミノルタCLEも実際に目にすることができてうれしかった。もうひとつの目当ては苅部直さん(政治学者)と鳥羽耕史さん(文学研究者)との対談。若いころ共産党に入った安部が展開したのはシュールレアリスム的な表現であり、これがソ連式リアリズムとどう折り合いを見出したのかという指摘がおもしろい。もとよりシュールレアリスムが大衆に向けられた手段であったこと、一方で安部が活動した下丸子文化集団では相手が市民であろうと容赦なくカフカの話などをしていたことについても言及があり、そのアンバランスさは今後も安部への視線のひとつであるにちがいない。そして、『箱男』では匿名性をもとにしたデモクラシ...安部公房展@神奈川近代文学館

  • エスペランサ・スポルディング@ビルボードライブ東京

    六本木ミッドタウンのビルボードライブ東京(2024/11/3)。esperanzaspalding(contrabass,el-b,vo,dance,p,g)MatthewStevens(g,el-b)EricDoob(ds)KaylinHorgan(dance)TashaeUdo(dance)今回はエスペランサの闊達さに圧倒されたのはコントラバスよりもエレキベース。そして幅広く伸びる声、ダンス、ピアノ、ギター。中心にあるのは愛。また完璧を超えるステージをみせてくれた。●エスペランサ・スポルディングクリス・デイヴィス『DiatomRibbons』(2018年)エスペランサ・スポルディング@ブルーノート東京(2017年)テリ・リン・キャリントン(SocialScience)『WaitingGame』(201...エスペランサ・スポルディング@ビルボードライブ東京

  • 安田芙充央+水谷浩章@横濱エアジン

    関内の横濱エアジン(2024/11/2)。FumioYasuda安田芙充央(p)HiroakiMizutani水谷浩章(b)ピアノの音と音との間に、残響に、過去と未来の音の記憶が侵入する。またとない体験だった。個人体験を大事にすることにして、挨拶もせずに帰った。FujiX-E2,LeicaElmarit90mmF2.8(M),7Artisans12mmF2.8●安田芙充央ヨアヒム・バーデンホルスト+井野信義+安田芙充央@稲毛Candy(2023年)TRYANGLE/安田芙充央+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス(2022年)ヨアヒム・バーデンホルスト+安田芙充央+井野信義@稲毛Candy(2020年)PoemofaCellSound/FilmInstallation&ConcertinTokyo@ドイツ...安田芙充央+水谷浩章@横濱エアジン

  • 山猫トリオ『闇を駆け抜ける猫たち Running through the darkness』(JazzTokyo)

    #2354『山猫トリオ/闇を駆け抜ける猫たちRunningthroughthedarkness』–JazzTokyo●庄子勝治豊住芳三郎+照内央晴+庄子勝治@稲毛Candy(2022年)庄子勝治+照内央晴@稲毛Candy(2020年)豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)●植川縁庄子勝治+照内央晴@稲毛Candy(2020年)照内央晴+方波見智子@なってるハウス(2019年)●照内央晴アンドレア・チェンタッツォinmovingnightsw/森順治@なってるハウス(2024年)豊住芳三郎80歳記念ライヴ@中目黒楽屋(2023年)SABUUnit@新宿ピットイン(2023年)“創生自在”@京都みとき屋(2022年)SABUUNIT@新宿...山猫トリオ『闇を駆け抜ける猫たちRunningthroughthedarkness』(JazzTokyo)

  • カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイア『Rivbea Live! Series, Volume 1』(JazzTokyo)

    #2353『カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイア/RivbeaLive!Series,Volume1』–JazzTokyo●カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイア"カラパルーシャ"・モーリス・マッキンタイアー『Dreamof----』(1998年)”カラパルーシャ”・モーリス・マッキンタイアー『ForcesandFeelings』(1970年)カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイア『RivbeaLive!Series,Volume1』(JazzTokyo)

  • インプロヴァイザーの立脚地 vol.25 北田学(JazzTokyo)

    インプロヴァイザーの立脚地vol.25北田学–JazzTokyoFujiX-E2,XF35mmF1.4●北田学戸上優子+北田学+山田光@渋谷BarSubterraneans(2024年)「じゃフリージャズやろう」@神保町試聴室(2024年)北神田@渋谷BarSubterraneans(2024年)北田学+外山明+阿部真武@渋谷BarSubterraneans(2023年)北田学+外山明+阿部真武@渋谷BarSubterraneans(2022年)藤山裕子+北田学+藤井信雄@なってるハウス(2022年)北田学+西嶋徹+神田綾子@渋谷Barsubterraneans(2021年)神田綾子+北田学@渋谷BarSubterraneans(動画配信)(2020年)鈴木ちほ+北田学@バーバー富士(2019年)宅Sho...インプロヴァイザーの立脚地vol.25北田学(JazzTokyo)

  • アンドレア・チェンタッツォ in moving nights w/ 森順治@なってるハウス

    入谷のなってるハウス(2024/11/1)。AndreaCentazzo(per)HisaharuTeruuchi照内央晴[テルピアノ](p)SayoHoriguchi堀口紗与(vln)AyaOgawa小川斐子(voice)guest:JunjiMori森順治(as,bcl)アンドレア・チェンタッツォ、十年ぶりの来日ツアー初日。そのパーカッションセットは複雑なようであってもひとつひとつの打音に焦点を当てているという点ではシンプル。これに電気を加えているのがユニークだ。おもしろいのはどのメンバーのどの音要素を取っても極端に場に開かれていることだ。音単位、人単位では完結させない即興のありようを問うているように思えた。これが相互依存かどうかはわからない。FujiX-E2,7Artisans12mmF2.8,Le...アンドレア・チェンタッツォinmovingnightsw/森順治@なってるハウス

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