2012年の映画「桐島、部活やめるってよ」のキャストのトップに表示されるのは、ポスターでも大きく顔が出ている神木隆之介であるが、物語的な主人公ということでは東出昌大演じるヒロキ君ということになるだろう。神木演じる映研部員は「桐島」が部活を辞めようが、学校へ来てなかろうが、自分の好きなことをやっているので、ブレない。野球部のキャプテンもブレない。 「桐島」が部活を辞める、ということで激しく葛藤するのは、東出演じるヒロキ君であるが、東出昌大の演技は大げさではなく、映画の中のヒロキ君は、大きな体でただ突っ立っているだけのように見える。行かない野球部の大きなバッグを抱え、ブラブラと校内を歩き、たいして…
ダメ男映画の金字塔「評決」。アル中ポール・ニューマンに痺れよ!
結局のところ、私が好きになる映画のジャンルって、青春映画かダメ男映画なのではないか。といったわけで、1982年のポール・ニューマン主演の裁判劇「評決」。監督は巨匠シドニー・ルメット! ファーストシーンは酒呑みながらピンボールをたしなむポール・ニューマンで、これって侘しい風景として意図されたと思えるシーンなのだけど、ポール・ニューマンだから、なんだかカッコよいんだな。これこそ哀愁というものだと思わざるを得ない。 そして、その後も侘しくも哀しいダメなシーンが続く。 ポール・ニューマンはダメ弁護士で、現在ロクな仕事をしておらず、いわゆるアルコール依存症状態。知らない人の葬式に顔を出しては、名刺を配っ…
笑学百科 小林信彦 新潮文庫 1985年7月25日初版発行 400円 古本屋で「笑学百科」を発見した。文庫版「日本の喜劇人」同様、いつの間にか紛失して、また読んでみたいと思っていた本だ。 「笑学百科」は1981年2月から6月まで夕刊フジに連載されたものをまとめたもので、1982年に単行本として刊行、1985年に文庫となった。作者による「文庫版のためのノート」に「日本の喜劇人」の〈別冊〉ともいうべき、と書いてあるので、小林信彦自身にとってそういう位置づけの本であるわけだ。実際、上下巻の豪華本「定本・日本の喜劇人」(2008年)が刊行された際は、この「笑学百科」も含まれた形で編まれていたようだ。た…
コロナの前からだって、そんなに頻繁に映画館へ出掛けていたわけではないが、コロナの世の中になった2020年以降、映画館で映画を見る頻度は下がった。それはなにも私だけではなかったようだ。 スガイディノスという会社が運営するシネコン・ディノスシネマズ旭川が2022年9月に閉館する。 ちょっと前にスガイディノスが民事再生手続きに入ったとの報道を目にし、一時閉館していたのも知っていたから、驚くというよりも、ああ、そうなのか、と淋しい気持ちになった。 一時的な閉館後、7月初旬になって、「こちらあみ子」を見るためにディノスシネマズ旭川へ行った。上映作品本数が減り、劇場の雰囲気が少し寂しく感じた。ちなみに、「…
90年代に入ると、あまり森田芳光映画を劇場に見に行かなくなってしまった。森田監督自身、映画監督としては不調の時期だったらしく、1992年に「未来の想い出 Last Christmas」を発表して以来、4年間作品を世に出さなかった。そんなわけで、1996年、4年ぶりとなる監督作品が、不思議な恋愛映画「(ハル)」ということになる。当時、まだ珍しかったパソコン通信とメールによる物語だ。 この映画は当時、劇場で見ておらず、しばらく経ってからビデオで見た記憶はあるのだが、それほど好印象ではなかった。それから、また随分と時間が経った。というわけで、随分久しぶりにDVDで見た。 いや、これ、森田監督らしい大…
初恋の悪魔(日本テレビ 土曜ドラマ 22時から) 松たか子、松田龍平、満島ひかりなどが共演するというので見たテレビドラマ「カルテット」(2017年)が面白かったので、坂元裕二という脚本家の名前を覚えた。「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年)はうっかり見過ごしたので、今回の「初恋の悪魔」はしっかり録画した。 ミステリーコメディというフォーマットを採用しているため、ミステリー的な謎を毎回仕掛けなければならず、けっこう脚本づくりは大変であると思われる。さらに、毎回のエピソードで、主人公たちが作成する模型の中で事件を再現しながらトリックを考察するというビジュアル的にも凝った演出がなされている。 そ…
積極的に見ようと思っていなかったのだけど、つい怖いもの見たさで録画したのが「家庭教師のトラコ」である。「家政婦のミタ」など、ちょっと変なドラマをつくる遊川和彦の脚本で、「家庭教師のトラコ」というタイトルが、もう怪しい雰囲気を出しまくりだ。そんな怪作の予感漂う作品の主演が、あの橋本愛であるというところに引っかかってしまい、このドラマを見始めたというわけ。 「あまちゃん」の親友の美少女ユイちゃんとして圧倒的存在感を見せた橋本愛。「桐島、部活やめるってよ」での美少女っぷりも印象に残る。しかし、この方、主演のイメージがない、というか、あまりに均整の取れた美少女ぶりが非現実的とも感じられ、日常的ドラマに…
ユニコーンに乗って(TBSテレビ 火曜ドラマ 22時から) NHKの朝ドラ「半分、青い」(2018年)は、中盤の漫画家編が良かったのだが、後半、扇風機を作り始めてから失速した印象がある。ただ、ヒロインを演じた永野芽郁という魅力的な女優を知ることができたので、見たかいがあったと思う。 なので、以降、永野芽郁の出ているテレビドラマをいくつか見たが(ムロツヨシが父親役のコメディや、ムロツヨシが上司の警官コメディなどなど)、残念ながら、グッとくるものに出会っていない。といったわけで、西島秀俊が共演の「ユニコーンに乗って」はどうだろうか、とこのドラマを見始めた。 永野芽郁演じるヒロインは、家が貧しかった…
鎌倉殿の13人(NHK大河ドラマ) 私は歴史が苦手であり、NHKの大河ドラマもほとんど見たことがない。さらに三谷幸喜脚本ドラマも積極的には視聴していない。にもかかわらず、2022年初頭の第一回目からNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」をとりあえず録画していた。 そのうちにツイッターなどで、このドラマは面白いという評判を目にしはじめた。陰謀裏切り権力闘争渦巻くドラマであり、まるで「仁義なき戦い」のようである、などという評判を目にし、これは見たほうがよいと思い、録画していた自分を褒めたくなった。すごいぞ俺、と溜まった録画を見始めたら、いやあ、これ面白いですね。 配役が良い。真面目なのかふざけているの…
気が付くとテレビドラマをたくさん見ている。 ちむどんどん(NHK朝の連続テレビ小説) 鎌倉殿の13人(NHK大河ドラマ) ユニコーンに乗って(TBSテレビ 火曜ドラマ 22時から) 家庭教師のトラコ(日本テレビ 水曜ドラマ 22時から) 初恋の悪魔(日本テレビ 土曜ドラマ 22時から) って、こうして改めてみると、わずか5本なのだが、自分としては多い。といったわけで、せっかくだから(?)、ブログ用に感想を書いてみようと思い立った。いずれも現在放映中のドラマであるため視聴は途中なのだが、あえて途中まで見ての感想を書いてみようと思う。 といったわけで、以下、個々のドラマについて感想を述べる。 ちむ…
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