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幕末血戦録 http://thshinsengumi.seesaa.net/

若者達が異なる信念の元に命を賭した時代、幕末。新撰組と御陵衛士を中心に、人々の生き様を書き記します。

服部武雄
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2013/12/07

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  • 鬼の章(48)

    取り急ぎ、市民の声も含めて伊東に報告しなければならない。そして毛内にも今宵の出来事を伝えるべきだろう。 分離派は分離派で、今は厄介な問題を抱えている状況ではある。だが、これは伏せておいて良い問題ではない。 月真院で働く岡本武兵衛が戒光寺を訪れたのは、翌日の朝のことだった。小柄だが逞しい身体の老人が届けたのは、加納から毛利達分離派に宛てた手紙だった。 加納からの文を読み終えると、毛内はそれを…

  • 鬼の章(47)

    「お主が、この店の主か」 「主は、私の伯父であります」 「そうか」 言いながら、芹沢は無造作に詩織の眼前に詰め寄った。詩織もまた、いつもの物おじしない様子のまま立ち尽くしていた。 芹沢は、手にした鉄扇を詩織の喉元に突きつけた。それでも詩織は、冷ややかな視線を芹沢に向けたまま一切動じない。 「気丈な女は嫌いではない」 「ありがとうございます」 そういった後、暫し、互いを凝視する2人であったが、意外…

  • 鬼の章(46)

    厄介な状況である。加納は唇を噛んだ。正直な所、今は天狗党への合流を見送るべきだというのが加納の考えだった。しかし、それなら何時なら良いのか。そう問われると答えは出ない。そうやって判断に遅れた結果、禁裏に逆らっているという判断でもされたら一大事である。 橋本も眉を顰めた。橋本が出入している薩摩藩では、禁裏の意向に沿うという建前で、若者達からなる特別部隊を天狗党に加入させるという案が進行している。こ…

  • 鬼の章(45)

    「京都天狗党の連中さ。御所や御公儀が口出し出来ないのをええことに、やりたい放題になっとる連中がいるって話や」 「その、天狗の連中が娘に手を出したかていうのか」 「大和家に金を要求して、それが足りへんからといって女に手を出したらしい。ひどい話や」 加納も橋本も、酒を満たした盃を手にしたまま、話に耳を傾けていた。京の市民生の声。これこそ、まさに今求めている情報だった。 御陵衛士は、京都天狗党に合流す…

  • 鬼の章(44)

    茶岡の店内の一席に、加納鷲雄の姿があった。向かいには、橋本皆助が座っている。 決して大きくない店内である。客は多くが顔見知りのようなもので、卓を越えて話をしている。そんな中で加納と橋本が他の客と比べてやや浮いているのは事実だった。着古した着流しを着込んで町民を装っているものの、一種の違和感は消しきれない。極秘の情報共有なら、他の場所を選んでいただろう。しかし、この日は目的が異なっていた。 情報共…

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