羽林の憂悶 -第一話-
違和感に気付いたのは、今朝がたのことだった。「…瑠璃さん、行って来るよ」参内用の装束に身を改め、寝乱れた褥の中で気持ちよさそうに夢に揺蕩う瑠璃さんの形のよい耳元にそっと囁くと、まだぐっすり眠っているとばかり思ってい小さな身体が、「んんっ……」と掠れた声を上げて僅かに身じろいだ。「たか、あきら…?」「ごめん。起こしてしまったね」「いい、の。大丈夫――」言いながら、瑠璃さんはまだまだ眠そうに目を擦りながら、...
2020/12/28 16:18
2020年12月 (1件〜100件)
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